特許第6235814号(P6235814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235814
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】照明制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/02 20060101AFI20171113BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20171113BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B60Q1/02 C
   B60Q1/04 E
   B60Q1/14 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-143846(P2013-143846)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2015-16733(P2015-16733A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鍵山 真治
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−032112(JP,A)
【文献】 特開2009−218155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/02
B60Q 1/04
B60Q 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方を照明する灯具と、
車両の前方の明るさを検知するセンサと、
前記灯具により形成される照明領域の一部に非照明領域を形成する配光制御部と、
前記センサに検知された前記明るさが第1閾値を下回る場合に、前記照明領域の少なくとも一部の照度が低下するように前記灯具を制御する照度制御部とを備えており
前記照度制御部は、前記照明領域における少なくとも前記非照明領域に隣接する部分の照度を変化させる、照明制御システム。
【請求項2】
前記照度制御部は、前記センサに検知された前記明るさが第2閾値を上回る場合に、前記照明領域の少なくとも一部の照度が上昇するように前記灯具を制御する、請求項1に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前方を照明する灯具を制御する照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシステムとして、ロービームおよびハイビームを照射可能な前照灯と、ハイビームの一部を遮光することにより非照明領域を形成する非照明領域形成部と、カメラが撮像した車両前方の画像に基づいて前方を走行する車両(先行車または対向車)を検出する検出部を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。検出された前方車両が非照明領域内に位置するように非照明領域形成部が制御されることにより、当該前方車両に与えるグレアが抑制される。一方、非照明領域の周囲へのハイビーム照射は維持されるため、周囲の視認性は確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−140661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような照明領域内に部分的な非照明領域を形成する配光制御は、車両の走行環境によっては、運転者に煩わしさを感じさせることがある。例えば、街灯が全くない夜道の走行時においては、非照明領域と照明領域の照度差(コントラスト)が大きくなる。そのため、非照明領域の位置や大きさの変化が比較的認識されやすく、煩わしさに繋がる場合がある。
【0005】
よって本発明は、照明領域内に部分的な非照明領域を形成する配光制御を行なうにあたり、運転者に煩わしさを与えないようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明がとりうる一態様は、照明制御システムであって、
車両の前方を照明する灯具と、
車両の前方の明るさを検知するセンサと、
前記灯具により形成される照明領域の一部に非照明領域を形成する配光制御部と、
前記センサに検知された前記明るさが第1閾値を下回る場合に、前記照明領域の少なくとも一部の照度が低下するように前記灯具を制御する照度制御部とを備える。
【0007】
このような構成によれば、例えば街灯のない夜道を走行している場合など、車両の前方がある程度暗いとき、照明領域の照度が低下されることによって、非照明領域との照度差(コントラスト)が小さくなる。これにより、非照明領域の位置や大きさの変化が運転者に強く認識されにくくなる。したがって、照明領域内に部分的な非照明領域を形成する配光制御を行なうにあたって、運転者に与える煩わしさを抑制することができる。
【0008】
前記照度制御部は、前記センサに検知された前記明るさが第2閾値を上回る場合に、前記照明領域の少なくとも一部の照度が上昇するように前記灯具を制御する構成としてもよい。
【0009】
例えば街灯の多い場所を走行している場合などは、車両の前方がある程度明るいため、非照明領域と照明領域の照度差が小さくなる。そのため、非照明領域の位置や大きさの変化が認識されにくく、照明領域内に部分的な非照明領域を形成する配光制御の恩恵を運転者が感じにくい場合がある。あるいは当該配光制御が正常に実行されているのか不安を感じる場合がある。上記の構成によれば、車両の前方がある程度明るい場合に、照明領域の照度が上昇されることによって、非照明領域との照度差(コントラスト)が大きくなる。これにより、非照明領域の位置や大きさの変化が運転者に認識されやすくなる。したがって、当該配光制御が正常に実行されている実感と安心感を運転者に与えることができる。
【0010】
前記照度制御部は、前記照明領域における少なくとも前記非照明領域に隣接する部分の照度を変化させる構成としてもよい。
【0011】
このような構成によれば、最小限の制御で運転者が感じる非照明領域と照明領域とのコントラストを効果的に調節できる。特に複数の半導体発光素子を配列したアレイ光源を用い、個々の半導体発光素子の点消灯を制御することにより非照明領域の位置と大きさを制御する場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る制御システムを模式的に示す図である。
図2】制御システムを構成する前照灯の内部構成を模式的に示す縦断面図である。
図3】前照灯に搭載されるシェード機構の構成を示す正面図である。
図4】制御システムにより形成される配光パターンの例を模式的に示す図である。
図5】制御システムにより実行される照度制御の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態例について以下詳細に説明する。なお以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。また以降の説明に用いる「右」および「左」は、運転席から見た左右の方向を示している。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る制御システム1が搭載された車両2の全体構成を模式的に示している。制御システム1は、統合制御部3、右前照灯5R、左前照灯5L、車輪速センサ6、操舵角センサ7、カメラ8、および明るさセンサ9を備えている。
【0015】
統合制御部3は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM等を備え、車両2における様々な制御を実行する。
【0016】
車輪速センサ6は、車両2に組み付けられる左右の前輪および後輪の4つの車輪の各々に対応して設けられている。車輪速センサ6の各々は、統合制御部3と通信可能に接続されており、車輪の回転速度に応じた信号を統合制御部3に出力する。統合制御部3は、車輪速センサ6から入力された信号を利用して車両2の速度を算出する。
【0017】
操舵角センサ7は、ステアリングホイールに設けられて統合制御部3と通信可能に接続されている。操舵角センサ7は、運転手によるステアリングホイールの操舵回転角に対応した操舵角パルス信号を統合制御部3に出力する。統合制御部3は、操舵角センサ7から入力された信号を利用して車両2の進行方向を算出する。
【0018】
カメラ8は、例えばCCD(Charged Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子を備えている。カメラ8は、例えばルームミラーの裏面に配置されて前方を向き、車両前方の画像を撮影する。カメラ8は、統合制御部3と通信可能に接続されており、取得した画像データを統合制御部3に送信する。
【0019】
明るさセンサ9は、例えば車両2の前部に配置され、少なくとも車両2の前方の明るさを検出する。明るさセンサ9は、統合制御部3と通信可能に接続されており、検知した明るさに対応する信号を統合制御部3に送信する。
【0020】
右前照灯5Rは車両2の前部右寄りに配置され、左前照灯5Lは車両2の前部左寄りに配置される。以降の説明においては、必要に応じて右前照灯5Rと左前照灯5Lを「前照灯5」と総称する。前照灯5は、統合制御部3と通信可能に接続されている。
【0021】
図2は、右前照灯5Rの内部構造を示す概略断面図である。左前照灯5Lの構造は右前照灯5Rと同等であるため、図示および詳細な説明を省略する。
【0022】
前照灯5は、車両2の前方を照明するための灯具である。前照灯5は、ハウジング212と透光カバー214を備えている。透光カバー214は、ハウジング212に装着されて灯室216を区画している。灯室216には、光を車両2の前方に照射する灯具ユニット10が収納されている。
【0023】
灯具ユニット10は、基台11、ハイビーム光源12、ロービーム光源13、ハイビームリフレクタ14、ロービームリフレクタ15、投影レンズ16、シェード機構20、およびスイブル機構30を備えている。
【0024】
ハイビーム光源12は発光面が下向きに基台11に取り付けられ、ハイビーム光源12からの光は、ハイビーム光源12と対向するように基台11に取り付けられたハイビームリフレクタ14により前方に反射される。また、ロービーム光源13は発光面が上を向いた状態で基台11に取り付けられる。
【0025】
ロービーム光源13からの光は、ロービーム光源13と対向するように基台11に取り付けられたロービームリフレクタ15により前方に反射される。また、これらハイビームリフレクタ14およびロービームリフレクタ15からの反射光は、凸レンズからなる投影レンズ16を介して灯具の光軸Axに沿って前方に投射される。
【0026】
本実施形態においては、ハイビーム光源12およびロービーム光源13を発光ダイオード(LED)で構成している。また、ハイビームリフレクタ14およびロービームリフレクタ15は、楕円球面を基調とする反射面を有している。
【0027】
投影レンズ16の後方焦点Fの近傍には、ハイビーム光源12およびロービーム光源13の光の一部を遮光可能なシェード機構20が設けられている。シェード機構20としては、例えば図3に示す機構を採用することができる。
【0028】
シェード機構20は、フレーム21と、一対のギアユニット22a、22b、一対の遮光部材23a、23b、および固定遮光板24を備えている。一対のギアユニット22a、22bは、図示しないモータ等の駆動源に接続されている。一対の遮光部材23a、23bは、それぞれギアユニット22a、22bと噛合してフレーム21に対して回動可能とされている。固定遮光板24は、フレーム21の上方に設けられている。
【0029】
フレーム21と固定遮光板24との間にはスリット25が形成されている。ハイビーム光源12およびロービーム光源13から出射された光は、スリット25を通過して投影レンズ16に入射される。遮光部材23a、23bの遮光部はスリット25に進入するように回動され、ハイビーム光源12およびロービーム光源13からの光の一部を遮光可能とされている。
【0030】
図2に示すように、灯具ユニット10の下面には、灯具ユニット10の光軸を左右に回動させるスイブル機構30が設けられている。スイブル機構30は、スイブルアクチュエータ31を備え、その回転軸が灯具ユニット10の基台11の下部に設けられた回転軸受31aに固定されている。スイブルアクチュエータ31は、統合制御部3によって制御され、灯具ユニット10の光軸Axを左右に旋回させることにより、照明領域を左右方向に移動させることができる。
【0031】
次に図4を参照しつつ、上記の構成を有する右前照灯5Rおよび左前照灯5Lにより形成される配光パターンを説明する。
【0032】
ロービーム光源13から出射された光は、水平線H−H付近を左右方向に延びる横カットオフラインCLの下方を照明する。ハイビーム光源12から出射された光は、横カットオフラインCLの上方を含む領域を照明する。統合制御部3は、シェード機構20の遮光部材23a、23bを変位させることにより、ハイビーム光源12とロービーム光源13から出射される光をどのように遮るかを制御する。
【0033】
図4の(a)は、右前照灯5Rにより形成された部分的右ハイビームパターンRPHを模式的に示す。右前照灯5Rのハイビーム光源12から出射された光の一部が遮光されることにより、ハイビーム照明領域内に右非照明領域RSが形成される。右非照明領域RSと照明領域の左右方向における境界は、右縦カットオフラインRCとされる。
【0034】
図4の(b)は、左前照灯5Lにより形成された部分的左ハイビームパターンLPHを模式的に示す。左前照灯5Lのハイビーム光源12から出射された光の一部が遮光されることにより、ハイビーム照明領域内に左非照明領域LSが形成される。左非照明領域LSと照明領域の左右方向における境界は、左縦カットオフラインLCとされる。
【0035】
図4の(c)は、上記の部分的右ハイビームパターンRPHと部分的左ハイビームパターンLPHを重ね合わせて得られる部分的ハイビームパターンPHを示している。右非照明領域RSと左非照明領域LSが重ね合わされた部分は、非照明領域Sとなる。
【0036】
非照明領域Sはハイビーム照明領域内に検出された前方車両のグレアを抑制するために形成するものである。「前方車両」は、自車線の前方を走行する先行車と、対向車線を走行する対向車の双方を含む意味である。図4の(c)では自車線上に前走車F1が存在しており、当該前走車F1が非照明領域Sに収まるように右縦カットオフラインRCと左縦カットオフラインLCの位置が定められている。
【0037】
具体的には、統合制御部3は、カメラ8が取得した車両2の前方画像に基づいて、前方車両や歩行者等の有無を検出し、部分的ハイビームパターンPHを形成することの要否を判断する。部分的ハイビームパターンPHの形成が必要と判断された場合、カメラ8を通じて検出された対象物の位置、車輪速センサ6が検出した車両2の速度、および操舵角センサ7が検出した車両2の進行方向に基づき、形成すべき非照明領域Sの位置および範囲を決定する。統合制御部3は、決定された非照明領域Sの位置および範囲に基づいて、右前照灯5Rと左前照灯5Lのそれぞれにおけるシェード機構20およびスイブル機構30を制御する。
【0038】
統合制御部3は、前照灯5が備えるハイビーム光源12とロービーム光源13の少なくとも一方の光度を調節することにより、部分的ハイビームパターンPHにおける照明領域の照度を制御可能とされている。光度の調節は、各光源に供給される電力を増減することにより行なわれる。
【0039】
図5は、統合制御部3が実行する照度制御処理を示すフローチャートである。統合制御部3は、明るさセンサ9により検知された明るさが第1閾値を下回るかを判定する(ステップS1)。検知された明るさが当該第1閾値を下回ると判定された場合(ステップS1においてYes)、統合制御部3は、部分的ハイビームパターンPHにおける照明領域の照度が低下するように、前照灯5を制御する(ステップS2)。
【0040】
一方、検知された明るさが第1閾値以上であると判定された場合(ステップS1においてNo)、統合制御部3は、明るさセンサ9により検知された明るさが第2閾値を上回るかを判定する(ステップS3)。検知された明るさが当該第2閾値を上回ると判定された場合(ステップS3においてYes)、統合制御部3は、部分的ハイビームパターンPHにおける照明領域の照度が上昇するように、前照灯5を制御する(ステップS4)。
【0041】
検知された明るさが第1閾値以上かつ第2閾値以下であると判定された場合(ステップS3においてNo)、統合制御部3は、部分的ハイビームパターンPHにおける照明領域の照度を維持する(ステップS5)。
【0042】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る制御システム1(照明制御システムの一例)において、前照灯5(灯具の一例)は車両2の前方を照明し、明るさセンサ9は、車両2の前方の明るさを検知する。統合制御部3(配光制御部の一例)は、前照灯5により形成される照明領域の一部に非照明領域Sを形成する。統合制御部3(照度制御部の一例)は、明るさセンサ9により検知された明るさが第1閾値を下回る場合に、当該照明領域の照度が低下するように前照灯5を制御する。
【0043】
このような構成によれば、例えば街灯のない夜道を走行している場合など、車両2の前方がある程度暗いとき、部分的ハイビームパターンPHにおける照明領域の照度が低下されることによって、非照明領域Sとの照度差(コントラスト)が小さくなる。これにより、非照明領域Sの位置や大きさの変化が運転者に強く認識されにくくなる。したがって、部分的ハイビームパターンPHを形成する配光制御を行なうにあたって、運転者に与える煩わしさを抑制することができる。
【0044】
上記実施形態において、統合制御部3(照度制御部の一例)は、明るさセンサ9により検知された明るさが第2閾値を上回る場合に、当該照明領域の照度が上昇するように前照灯5を制御する。
【0045】
例えば街灯の多い場所を走行している場合などは、車両2の前方がある程度明るいため、非照明領域Sと照明領域の照度差が小さくなる。そのため、非照明領域Sの位置や大きさの変化が認識されにくく、部分的ハイビームパターンPHを用いた配光制御の恩恵を運転者が感じにくい場合がある。あるいは当該配光制御が正常に実行されているのか不安を感じる場合がある。上記の構成によれば、車両2の前方がある程度明るい場合に、部分的ハイビームパターンPHにおける照明領域の照度が上昇されることによって、非照明領域Sとの照度差(コントラスト)が大きくなる。これにより、非照明領域Sの位置や大きさの変化が運転者に認識されやすくなる。したがって、部分的ハイビームパターンPHを形成する配光制御が正常に実行されている実感と安心感を運転者に与えることができる。
【0046】
上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは明らかである。
【0047】
上記の実施形態においては、部分的ハイビームパターンPHにおける照明領域の照度が維持される場合を含め、3つの照度値をとりうる構成とされている。しかしながら、上記の第1閾値と第2閾値を同一とし、2つの照度値を切り替える構成としてもよい。一方、明るさセンサ9が検知する明るさに応じて、さらに多くの照度値の間で切替えがなされる構成としてもよい。照度値の上下は、段階的に行なわれてもよいし、連続的に行なわれてもよい。検知された明るさと制御される照度の関係は、線形であっても非線形であってもよい。
【0048】
前照灯5のハイビーム光源12とロービーム光源13は、LEDに限定されるものではない。レーザダイオードや有機EL素子等の半導体発光素子を用いてもよく、ハロゲンランプやHID(High Intensity Discharge)ランプなどのバルブ光源を用いてもよい。またハイビーム光源12とロービーム光源13は、必ずしも同一の灯具ユニット内に配置されることを要しない。
【0049】
また少なくともハイビーム光源12は、複数の半導体発光素子を配列したアレイ光源を用いることができる。この場合、個々の半導体発光素子に対応する複数の部分領域により照明可能領域が形成され、個々の半導体発光素子の点消灯を制御することにより当該照明可能領域内に照明領域と非照明領域が形成される。このようなアレイ光源を用い、検出した先行車が非照明領域に含まれるように半導体発光素子の点消灯を行なう、いわゆる電子スイブル制御にも本発明を適用することができる。
【0050】
この場合、少なくとも非照明領域Sに隣接する領域(図4の(c)に破線で示す領域AR)の照度を変化させれば、運転者が感じる非照明領域Sと照明領域とのコントラストを効果的に調節できる。具体的には、アレイ光源において当該領域ARに対応付けられた半導体発光素子に供給される電力を増減して調節を行なう。したがって、最低限の制御により効果的な照度調節を行なうことができる。
【0051】
前方車両を検出するための手段は、カメラ8に限られず、レーダセンサ等を用いてもよい。また車車間通信や路車間通信を用いて前方車両の検出や、走行環境に係る情報の取得を行なう構成としてもよい。
【0052】
統合制御部3により実現される、配光制御部および照度制御部としての機能の少なくとも一部は、前照灯5内に配置された図示しない灯具制御モジュールにより分担される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1:制御システム、2:車両、3:統合制御部、5:前照灯、9:明るさセンサ、PH:部分的ハイビームパターン、S:非照明領域
図1
図2
図3
図4
図5