【文献】
CINAR,Simge et al.,Synthesis of Silver Nanoparticles by Oleylamine-Oleic Acid Reduction and Its Use in Making Nanocable by Coaxial Electrospinning,Journal of Nanoscience and Nanotechnology,米国,American Scientific Publishers,2011年 4月,vol.11,No.4,p.3669-3679,ISSN:1533-4880(Print);ISSN:1533-4899(Online)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記共電界紡糸が、中央開口および周囲環状開口を有する共軸環状ノズルを通して前記銀インクコア成分および前記シェル成分を供給することを含み、前記銀インクコア成分が前記中央開口を通して供給され、および前記シェル成分が前記周囲環状開口を通して供給される、請求項1に記載の方法。
前記銀インクコア成分が、0.1〜3μL/minの流量で前記中央開口を通して供給され、および前記シェル成分が、1〜30μL/minの流量で前記周囲環状開口を通して供給される、請求項4に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される「銀ミニワイヤ」という用語は、長い寸法(長さL)および短い寸法(直径D)で、銀ミニワイヤの平均アスペクト比L/Dが≧100である銀ナノ構造を意味する。
【0017】
回収された銀ミニワイヤを参照して本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される「高アスペクト比」という用語は、回収された銀ミニワイヤの平均アスペクト比L/Dが>100であることを意味する。好ましくは、回収された銀ミニワイヤは、≧200の平均アスペクト比を示す。最も好ましくは、回収された銀ミニワイヤは、≧1,000の平均アスペクト比を示す。
【0018】
基体の表面上に形成された膜を参照して本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される「低減されたシート抵抗」という用語は、堆積した材料が、複数の非導電球体を含まないこと以外は材料および堆積方法の同一の組み合わせ(「比較方法」)を用いて形成された膜が示すシート抵抗よりも、本発明の方法(「本発明の方法」)を用いて基体の表面上に形成された膜のシート抵抗が低いことを意味する。
【0019】
本発明の方法において提供された基体は、導電性および非導電性の任意の既知の材料から選択されうる。好ましい基体には、ガラス(例えば、Corning,Inc.から入手可能なWillow(登録商標)ガラス)、プラスチック膜(例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート)、金属(例えば、アルミニウム、銅)、導電処理した紙、導電処理した不織布、導電性の液体浴(例えば、水、水電解質混合物)が挙げられる。本発明の方法において提供される基体は、デバイス(例えば、タッチスクリーンデバイスの透明導体アセンブリの一部として)に後で組み込むことを考慮して選択されることが好ましい。
【0020】
本発明の方法において使用される複数の銀ミニワイヤは、特に限定されない。本明細書に提案された教示を得た当業者であれば、本発明の方法において使用するのに適した銀ミニワイヤを選択できるであろう。好ましくは、本発明の方法において使用される銀ミニワイヤは、好ましくは、高アスペクト比を示すであろう。好ましくは、銀ミニワイヤは、10nm〜5μm(好ましくは、50nm〜5μm、より好ましくは、75nm〜5μm、さらにより好ましくは、100nm〜5μm、最も好ましくは、1μm〜5μm)の平均直径Dを示し、≧10μm(好ましくは、10〜10,000μm、より好ましくは、20〜10,000μm、さらにより好ましくは、60〜10,000μm、最も好ましくは、500〜10,000μm)の平均長さLを示す。好ましくは、銀ミニワイヤは≧100(より好ましくは、200〜10,000、さらにより好ましくは、500〜10,000、最も好ましくは、1,000〜10,000)のアスペクト比L/Dを示す。
【0021】
好ましくは、本発明の方法において使用される複数の銀ミニワイヤは、銀キャリヤーに分散させた≧60重量%の銀ナノ粒子を含有する銀インクコア成分を提供し、シェルキャリヤーに分散させた膜形成性ポリマーを含有するシェル成分を提供し、ターゲットを提供し、銀インクコア成分およびシェル成分を共電界紡糸して、コアおよびコアの周囲のシェルを有し、銀ナノ粒子がコアにあるコアシェル繊維をターゲット上に堆積させ、平均長さLが≧10μm(より好ましくは、≧60μm)である複数の銀ミニワイヤを形成するように銀ナノ粒子を処理することを含む方法によって提供される。
【0022】
より好ましくは、本発明の方法において使用される複数の銀ミニワイヤは、銀キャリヤーに分散させた≧60重量%の銀ナノ粒子を含有する銀インクコア成分を提供し、シェルキャリヤーに分散させた膜形成性ポリマーを含有するシェル成分を提供し、ここで、銀キャリヤーおよびシェルキャリヤーが、シェル成分と銀インクコア成分との間の界面張力が2〜10mN/m(好ましくは、2〜5mN/m)になるように選択され、ターゲットを提供し、銀インクコア成分およびシェル成分を共電界紡糸して、コアおよびコアの周囲のシェルを有し、銀ナノ粒子がコアにあるコアシェル繊維をターゲット上に堆積させ、並びに平均長さLが≧10μm(より好ましくは、≧60μm)である複数の銀ミニワイヤを形成するように銀ナノ粒子を処理することを含む方法によって提供される。
【0023】
好ましくは、複数の銀ミニワイヤを提供する方法において使用される銀インクコア成分は、銀キャリヤーに分散された≧60重量%(より好ましくは、≧70重量%、最も好ましくは、≧75重量%)の銀ナノ粒子を含む。
【0024】
好ましくは、銀インクコア成分において使用される銀ナノ粒子は、≦2(より好ましくは、≦1.5、最も好ましくは、≦1.1)のアスペクト比を示す。使用される銀ナノ粒子は、銀キャリヤーにおいて安定した分散物を形成しやすいようにし、かつ凝集体の形成を阻止するために、処理または表面コーティングを任意選択的に含む。
【0025】
複数の銀ミニワイヤを提供する方法に使用される銀キャリヤーは、銀ナノ粒子が分散されうる任意の液体から選択されうる。好ましくは、銀キャリヤーは、水、アルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、銀キャリヤーは、水、C
1−4アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール)、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、リン酸トリメチルおよびそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、銀キャリヤーは水である。
【0026】
複数の銀ミニワイヤを提供する方法において使用される銀インクコア成分は、任意選択的に、コア添加物をさらに含む。コア添加物は、界面活性剤、酸化防止剤、光酸発生剤、熱酸発生剤、クエンチャー(quencher)、硬化剤、溶出速度調整剤、光硬化剤、光増感剤、酸増幅剤、可塑剤、配向制御剤および架橋剤からなる群から選択されうる。好ましいコア添加物は、界面活性剤および酸化防止剤を含む。
【0027】
好ましくは、複数の銀ミニワイヤを提供する方法において使用されるシェル成分は、シェルキャリヤーに分散された膜形成性ポリマーを含む。
【0028】
複数の銀ミニワイヤを提供する方法において使用される膜形成性ポリマーは、既知の電界紡糸可能な膜形成材料から選択されうる。好ましい膜形成性ポリマーは、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルプロピレン、セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース)、シルクおよびそれらの混合物が挙げられる。より好ましくは、膜形成性ポリマーは、ポリエチレンオキシドである。最も好ましくは、膜形成性ポリマーは、10,000〜1,000,000g/モルの重量平均分子量を有するポリエチレンオキシドである。
【0029】
複数の銀ミニワイヤを提供する方法において使用されるシェルキャリヤーは、膜形成性ポリマーが分散可能な任意の液体から選択されうる。好ましくは、シェルキャリヤーは、膜形成性ポリマーの任意の良好な溶媒でありうる。より好ましくは、シェルキャリヤーは、シェル成分と銀インクコア成分との間の界面張力が>0.1mN/m(好ましくは、>1mN/m、より好ましくは、>2mN/m、さらにより好ましくは、2〜10mN/m、最も好ましくは、2〜5mN/m)になるように選択される。銀キャリヤーとして水を有する銀インクコア成分と組み合わせて使用する場合、シェルキャリヤーは、水・アルコール混合物からなる群から選択されることが好ましく、アルコールは、アセトン、C
1−4アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、tert−ブタノール)およびそれらの混合物からなる群から選択され、水・アルコール混合物のアルコール濃度は、≧50重量%(より好ましくは、>50重量%)である。
【0030】
複数の銀ミニワイヤを提供する方法において使用されるシェル成分は、任意選択的に、シェル添加物をさらに含む。シェル添加物は、界面活性剤、酸化防止剤、光酸発生剤、熱酸発生剤、クエンチャー、硬化剤、溶出速度調整剤、光硬化剤、光増感剤、酸増幅剤、可塑剤、配向制御剤および架橋剤からなる群から選択されうる。好ましいシェル添加物は、界面活性剤および酸化防止剤を含む。
【0031】
本発明の複数の銀ミニワイヤを提供する方法において使用される特に好ましいシェル成分は、水およびC
1−4アルコール混合物シェルキャリヤーに分散される1〜25重量%(より好ましくは、1〜15重量%、最も好ましくは、2〜10重量%)の膜形成性ポリマーを含む。好ましくは、シェルキャリヤーは、アルコール濃度が≧50重量%(最も好ましくは、≧60重量%アルコール)である水およびC
1−4アルコール混合物である。最も好ましくは、シェル成分は、シェルキャリヤーに2〜10重量%のポリエチレンオキシドを含み、シェルキャリヤーは、エタノール含有量が≧50重量%の水エタノール混合物である。
【0032】
任意選択的に、本発明の複数の銀ミニワイヤを提供する方法は、シェルキャリヤー中に分散させた膜形成性ポリマーを含有する少なくとも1種の追加のシェル成分を提供し、並びに少なくとも1種の追加のシェル成分を銀インクコア成分およびシェル成分と共電界紡糸して、コアおよびコアを取り囲む少なくとも2つのシェルを有し、銀ナノ粒子がコア中にあるコアシェル繊維をターゲット上に堆積することをさらに含む。
【0033】
複数の銀ミニワイヤを提供する方法において使用されるターゲットは、導電性および非導電性の両方の任意の既知の材料から選択されうる。好ましいターゲットは、ガラス(例えば、Corning,Inc.から入手可能なWillow(登録商標)ガラス)、プラスチック膜(例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート)、金属(例えば、アルミニウム、銅)、導電処理した紙、導電処理した不織布、導電性の液体浴(例えば、水、水電解質混合物)が挙げられる。
【0034】
好ましくは、本発明の複数の銀ミニワイヤを提供する方法は、銀キャリヤーに分散させた≧60重量%(より好ましくは、≧70重量%、最も好ましくは、≧75重量%)の銀ナノ粒子を含有する銀インクコア成分を提供し、シェルキャリヤーに分散させた膜形成性ポリマーを含有するシェル成分を提供し、ターゲットを提供し、銀インクコア成分およびシェル成分を共電界紡糸して、コアおよびコアの周囲のシェルを有し、銀ナノ粒子がコアにあるコアシェル繊維をターゲット上に堆積させ、複数の銀ミニワイヤを形成するように銀ナノ粒子を処理することを含み、複数の銀ミニワイヤの平均長さLは、≧10μm(好ましくは、≧60μm、より好ましくは、60〜10,000μm、最も好ましくは、100〜10,000μm)である。
【0035】
好ましくは、複数の銀ミニワイヤを提供する方法は、銀キャリヤーに分散させた≧60重量%(より好ましくは、≧70重量%、最も好ましくは、≧75重量%)の銀ナノ粒子を含有する銀インクコア成分を提供し、シェルキャリヤーに分散させた膜形成性ポリマーを含有するシェル成分を提供し、ターゲットを提供し、銀インクコア成分およびシェル成分を共電界紡糸して、コアおよびコアの周囲のシェルを有し、銀ナノ粒子がコアにあるコアシェル繊維をターゲット上に堆積させ、複数の銀ミニワイヤを形成するように銀ナノ粒子を処理することを含み、複数の銀ミニワイヤが10nm〜5μm(好ましくは、100nm〜5μm、より好ましくは、1〜5μm)の平均直径Dを示し、および≧10μm(好ましくは、≧60、より好ましくは、60〜10,000μm、最も好ましくは、100〜10,000μm)の平均長さLを示す。好ましくは、銀ミニワイヤは、≧100(より好ましくは、≧150、さらにより好ましくは、≧200、最も好ましくは、200〜10,000)のアスペクト比L/Dを示す。
【0036】
好ましくは、複数の銀ミニワイヤを調製する方法において、ターゲット上に堆積されたコアシェル繊維中の銀ナノ粒子は、焼結(例えば、光焼結(photosintering)、熱焼結)、加熱(例えば、焼切り(burn off)、マイクロパルス光加熱、連続光加熱、マイクロ波加熱、オーブン加熱、炉加熱)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される技術を用いて処理される。好ましくは、ターゲット上に堆積されたコアシェル繊維中にある銀ナノ粒子は、光焼結によって処理される。
【0037】
好ましくは、複数の銀ミニワイヤを調製する方法は、中央開口および周囲環状開口を有する共軸環状ノズルを通して銀インクコア成分およびシェル成分を供給することを含み、銀インクコア成分は中央開口を通して供給され、シェル成分は周囲環状開口を通して供給される。好ましくは、周囲環状開口を通して供給されるシェル材料の体積流量VER
shell:中央開口を通して供給されるコア材料の体積流量VFR
coreの比は、流れ方向に垂直な周囲環状開口の断面積CSA
annular:流れ方向に垂直な中央開口の断面積CSA
centerの比より大きいか、または等しい。より好ましくは、以下の数式は処理条件によって満たされる。
【0039】
最も好ましくは、以下の数式は処理条件によって満たされる。
【0041】
好ましくは、複数の銀ミニワイヤを提供する方法において、銀インクコア成分は、0.1〜3μL/min(好ましくは、0.1〜1μL/min、より好ましくは、0.1〜0.7μL/min、最も好ましくは、0.4〜0.6μL/min)の体積流量で中央開口を通して供給される。
【0042】
好ましくは、複数の銀ミニワイヤを提供する方法において、シェル成分は、1〜30μL/min(好ましくは、1〜10μL/min、より好ましくは、1〜7μL/min、最も好ましくは、4〜6μL/min)の流量で周囲環状開口を通して供給される。
【0043】
好ましくは、複数の銀ミニワイヤを提供する方法において、共軸環状ノズルは、
ターゲットに対して正印加電位差に設定される。より好ましくは、印加電位差は、3〜50kV(好ましくは、4〜30kV、より好ましくは、5〜25kV、最も好ましくは、5〜10kV)である。
【0044】
本発明の方法において使用される複数の非導電球体は、特に限定的ではない。本明細書に提案された教示を得た当業者であれば、本発明の方法において使用するのに適した非導電球体を選択できるであろう。好ましくは、複数の非導電球体は、ポリスチレン球およびガラス球から選択される。より好ましくは、複数の非導電球体はガラス球である。
【0045】
好ましくは、本発明の方法において使用される複数の非導電球体の平均粒子サイズは、0.1〜300μmである。より好ましくは、本発明の方法において使用される複数の非導電球体の平均粒子サイズは、10〜300μmである。さらにより好ましくは、本発明の方法において使用される複数の非導電球体の平均粒子サイズは、20〜200μmである。なおさらにより好ましくは、本発明の方法において使用される複数の非導電球体の平均粒子サイズは、50〜200μmである。最も好ましくは、本発明の方法において使用される複数の非導電球体の平均粒子サイズは、70〜200μmである。非導電球体の平均粒子サイズは、よく知られている低角レーザ光散乱のレーザ回折法を用いて測定されうる。
【0046】
本発明の方法において使用される任意選択のマトリックス材料は、特に限定的なものではない。当業者であれば、本発明の方法を用いて調製された膜の所望の最終用途に基づいて、適切なマトリックス材料を選択できるであろう。好ましくは、マトリックス材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、スチレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、ゼラチン、キチン、ポリペプチド類、多糖類およびそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、マトリックス材料は、透明セルロースエステルポリマーおよび透明セルロースエーテルポリマーからなる群から選択される。
【0047】
本発明の方法において使用される任意選択のビヒクルは、特に限定的なものではない。当業者であれば、本発明の方法とともに使用するのに適したビヒクルを選択できるであろう。好ましくは、ビヒクルは、有機溶媒および水性溶媒からなる群から選択される。より好ましくは、ビヒクルは、C
1−5アルコール、トルエン、キシレン、メチルエチレンケトン(MEK)、水およびそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、ビヒクルは水である。
【0048】
複数の銀ミニワイヤ、複数の非導電球体、任意選択のマトリックス材料および任意選択のビヒクルは、よく知られている混合技術を用いて組み合わせられて、組み合わせを形成することができる。
【0049】
好ましくは、本発明の方法において使用される組み合わせ物は、2〜15重量%(より好ましくは、2〜10重量%)の銀ミニワイヤ、10〜20重量%の非導電球体、5〜70重量%(より好ましくは、5〜20重量%)のマトリックス材料、0〜85重量%(より好ましくは、50〜75重量%)のビヒクルを含む。
【0050】
組み合わせ物は、よく知られた堆積方法を用いて基体の表面に適用されうる。好ましくは、組み合わせ物は、吹き付け塗装、浸漬コーティング、スピンコーティング、ナイフコーティング、キスコーティング、グラビアコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷およびパッド印刷からなる群から選択される方法を用いて基体の表面に適用される。より好ましくは、組み合わせ物は、浸漬コーティング、スピンコーティング、ナイフコーティング、キスコーティングおよびグラビアコーティングからなる群から選択される方法を用いて基体の表面に適用される。最も好ましくは、組み合わせは、スピンコーティングによって基体の表面に適用される。
【0051】
好ましくは、基体の表面上に堆積された組み合わせ物に含まれる任意の揮発性成分は、基体上に形成された膜から除去される。好ましくは、揮発性成分は、基体上に形成された膜をベークすることによって除去される。好ましくは、揮発性成分の除去後の膜における銀ミニワイヤの濃度は、10〜40重量%(より好ましくは、15〜35重量%、最も好ましくは、15〜25重量%)である。
【0052】
好ましくは、本発明の方法を用いて基体の表面上に形成された膜は、低減されたシート抵抗を示す。好ましくは、本発明の方法を用いて堆積された膜が示すシート抵抗は、比較方法を用いて堆積された膜のものより少なくとも30%低い(より好ましくは、少なくとも50%低く、最も好ましくは、少なくとも80%低い)。
【0053】
以下の実施例において、本発明のいくつかの実施形態について詳細に記述する。
【0054】
以下の実施例において使用した複数の非導電ガラス球は、Prixmalite(P2075SL)から得た。ガラス球の平均直径は67μmであることが報告されており、屈折率は1.5を示した。
【0055】
以下の実施例において使用した複数の非導電ポリスチレン(PS)球は、従来の技術を用いて準備した。使用した複数の非導電ポリスチレン球は、20μm、45μm、73μm、100μm、156μmおよび200μmの平均直径を示した。使用した複数の非導電ポリスチレン球の屈折率はすべて1.59を示した。
【0056】
以下の実施例において使用した銀ミニワイヤは、Blue Nano(SLV BN90)から得た。Blue Nanoの報告によると、使用した銀ミニワイヤの平均径は90nm、長さは20〜60μmであった。銀ミニワイヤは、2.5重量%の銀濃度で、任意選択のビヒクル、イソプロピルアルコール溶液と組み合わせて提供された。
【0057】
以下の実施例において使用したマトリックス材料は、0.5重量%の濃度で水に希釈されたMethocel(登録商標)K100M(Dow Wolff Cellulosicsから入手可能)であった。
【0058】
比較例C1〜C5および実施例1〜19
膜堆積のための組み合わせ物の調製
比較例C1〜C5および実施例1〜19において、磁気攪拌子を入れたフラスコ内で、表1に示す量の特定された材料を物理的に混ぜ合わせることによって、複数の銀ミニワイヤ、複数の非導電球体、マトリックス材料(Methocel(登録商標))および水を含む組み合わせ物を調製した。詳細には、Blue Nanoから得られるような銀ミニワイヤイソプロピルアルコール溶液を計り採り、フラスコに加え、表1に示す質量の銀ミニワイヤを得た。次に、表1に示す乾燥状態の複数の非導電球体をフラスコ内の銀ミニワイヤ溶液に加えた。その後、Methocel(登録商標)を水と混ぜ合わせ、ビーカーの内容物に加えて、所望の組み合わせ物を形成した。
【0060】
実施例20〜43:膜のスピンコーティング
比較例C1〜C5および実施例1〜13のそれぞれに従って調製した組み合わせ物を、1,500rpmでスライドガラスにスピンコーティングした後、120℃に設定したオーブンで5分間乾燥し、実施例20〜37の生成物膜をそれぞれ形成した。
【0061】
実施例14〜19のそれぞれに従って調製した組み合わせ物を、1,000rpmでスライドガラスにスピンコーティングした後、120℃に設定したオーブンで5分間乾燥し、実施例38〜43の生成物膜をそれぞれ形成した。
【0062】
実施例44:膜特性
実施例20〜43において堆積した膜が、ヘイズ、全透過率およびシート抵抗について分析された。表2に、これらの分析結果を示す。
【0063】
ASTM D1003−11e1に準拠したHunterLab Ultra Scan XE分光光度計を用いて、表2に報告されている膜のヘイズおよび全透過率値を測定した。
【0064】
Hewlett Packard 8453UV可視分光光度計を用いて、ガラスバックグラウンドを差し引いて膜の正透過率(direct transmission)を測定した。
【0065】
表2に報告されている膜のシート抵抗値は、ASTM F84−02としてASTM Internationalによって発行された最新版のSEMI MF84−02:Test Method for Measuring Resistivity of Silicon Wafers With an In−Line Four−Point Probeに準拠した4探針装置を用いて測定した。測定はサンプルごとに複数回行い、その平均値を表2に掲げている。
【0067】
電界紡糸ミニワイヤの実施例
実施例では、IME Technologiesのデュアルノズル電界紡糸装置Model EC−DIGを使用して銀ミニワイヤを電界紡糸した。実施例で使用したノズルは、材料の流れ方向に垂直な0.4mm径の円形断面を有する内孔と、材料の流れ方向に垂直で、内孔と同心の環状断面を有し、0.6mmの内径および1.2mmの外径の外孔とを有する同軸ノズル(IME TechnologiesのEM−CAX)を使用した。材料の紡糸時、銀インクコア成分は、同軸ノズルの内孔を通して供給され、シェル成分は、同軸ノズルの外孔を通して供給された。銀インクコア成分およびシェル成分は、銀インクコア成分の体積流量VFR
core0.5μL/minおよびシェル成分の体積流量VFR
shell5μL/minを制御しながら、独立したシリンジポンプ(IMEテクノロジーズからのEP−NE1)を用いて同軸ノズルを通して供給した。実施例における電界紡糸プロセスは、20℃および25〜35%の相対湿度で温度および湿度が制御された実験室の周囲大気条件下で実行した。
【0068】
実施例において繊維収集に使用した基体は、直径が60mm、厚みが0.16〜0.19mmのスライドガラスであった。紡糸操作中、基体の垂直方向上方に紡糸ヘッドを配置して、接地電極の上部にガラスプレートを配置した。紡糸中、紡糸ヘッドに正電位を印加した。実施例において使用した電圧は、紡糸プロセスが安定状態に入ると、紡糸開始時の9kVから7kVに変更した。
【0069】
Novacentrixから入手可能なPulseforge 3100光子発生器を使用して、実施例において参照した光焼結を実行した。光子発生器には、UVから近IRまで広域スペクトルにわたって発光可能な高輝度キセノンランプが装備されている。光子発生器を350Vに設定して、連続モードで2.46J/cm
2を発生する5Hz周波数の400μsecパルスを生成する。7.62m/minの速度でコンベヤベルト上の光子発生器を通してサンプルを供給した。
【0070】
実施例21:同軸電界紡糸による銀ミニワイヤの調製
銀ミニワイヤを電界紡糸しスライドガラス基体に堆積させた。使用した銀インクコア成分は、水に分散された50nmの公称粒子径の75重量%銀ナノ粒子(CSD−95としてCabot Corporationから入手可能)を含んでいた。使用したシェル成分は、40/60重量%の水/エタノール溶液に溶解された6重量%ポリエチレンオキシド(Aldrichからの400,000g/mol)を含んでいた。銀インクコア成分とシェル成分との間の界面張力を測定すると2〜5mN/mであった。
【0071】
焼結後生成物の銀ミニワイヤを光学顕微鏡で分析し、直径が1〜5μm範囲および長さが800〜1,000μm範囲の銀ミニワイヤを観察した。
【0072】
比較例A1
使用した銀インクコア成分は、水に分散された60重量%の銀ナノ粒子を含んでいた(PFI−722インクとしてPChem Associates,Inc.から入手可能)。以下のものを含む種々のシェル成分を使用した。
水中6重量%のポリアクリル酸;
60/40重量%のエタノール/水混合物中の4重量%ポリエチレンオキシド;
60/40重量%のイソプロパノール/水混合物中の6重量%ポリエチレンオキシド;
30/20/50重量%の水/イソプロパノール/ブタノール混合物中の8重量%ポリアクリル酸;
60/40重量%のエタノール/水混合物中の4〜6重量%ポリエチレンオキシド;
60/40重量%のエタノール/水混合物中の4〜8重量%ポリアクリル酸;および
40/60重量%のエタノール/水混合物中の4〜8重量%ポリアクリル酸。
これらの系の各々における銀インクコア成分とシェル成分との間の界面張力を測定すると、0.4〜2mN/mであった。
【0073】
この銀インクコア成分と列挙したシェル成分とを組み合わせたものを用いて銀ミニワイヤを製造する試みはすべてうまくいかなかった。
【0074】
比較例A2
使用した銀インクコア成分は、水に分散された60重量%の銀ナノ粒子を含んだ(PFI−722インクとしてPChem Associates,Inc.から入手可能)。以下のものを含む種々のシェル成分を使用した。
水中6重量%のポリアクリル酸;
60/40重量%のエタノール/水混合物中の4重量%ポリエチレンオキシド;
60/40重量%のイソプロパノール/水混合物中の6重量%ポリエチレンオキシド;
30/20/50重量%の水/イソプロパノール/ブタノール混合物中の8重量%ポリアクリル酸;
60/40重量%のエタノール/水混合物中の4〜6重量%ポリエチレンオキシド;
60/40重量%のエタノール/水混合物中の4〜8重量%ポリアクリル酸;および
40/60重量%のエタノール/水混合物中の4〜8重量%ポリアクリル酸。
これらの系の各々における銀インクコア成分とシェル成分との間の界面張力を測定すると、0.4〜2mN/mであった。
【0075】
共電界紡糸プロセス(上述したもの、および実施例21において使用したもの)によって、列挙したシェル成分の各々と、個々に組み合わせてこの銀インクコア成分を用いて銀ミニワイヤを製造する試みは、すべてうまくいかなかった。