(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
【0026】
本発明の非水電解質二次電池は、負極、正極、セパレータ、および非水電解質で構成される。
【0027】
<1.負極>
本発明の非水電解質二次電池に用いる負極は、集電箔上に、少なくとも負極活物質が含まれる負極活物質層が形成されている。この負極活物質層の性能向上のために、導電助材やバインダーが含まれてもよい。
【0028】
本発明の非水電解質二次電池は、負極活物質としてチタン含有酸化物を含む。チタン含有酸化物としては、チタン酸リチウム、二酸化チタンが好ましい。中でも、材料自身の安定性が高いことから、チタン酸リチウムがより好ましく、リチウムイオンの挿入・脱離の反応における活物質の膨張収縮が小さい点から、スピネル構造のチタン酸リチウムが特に好ましい。チタン酸リチウムには、たとえばNbなどのリチウム、チタン以外の元素が微量含まれていてもよい。
【0029】
チタン含有酸化物の表面には、導電性向上、あるいは安定性向上のため、炭素材料、金属酸化物、あるいは高分子等で覆われてもよい。
【0030】
チタン含有酸化物は1種類でもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0031】
本発明の負極には導電助剤を含有してもよく、導電助材としては、特に限定されないが、金属材料、炭素材料が好ましい。金属材料の場合は、銅、およびニッケルなど、炭素材料の場合は天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、およびファーネスブラックなどが挙げられる。これら導電助材は1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
【0032】
本発明において、負極に含まれる導電助材の量は、負極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。上記範囲であれば、負極の導電性が確保される。また、後述のバインダーとの接着性が維持され、集電体との接着性が十分に得ることができる。
【0033】
本発明の負極には、活物質を集電体に結着させるため、バインダーを使用してよく、バインダーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイミドおよびそれらの誘導体からなる群からえらばれる少なくとも1種を用いることができる。バインダーは負極の作製しやすさから、非水溶媒または水に溶解または分散されていることが好ましい。非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、およびテトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
【0034】
本発明において、負極に含まれるバインダーの量は、負極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。上記範囲であれば、負極活物質と導電助材との接着性が維持され、集電体との接着性が十分に得ることができる。
【0035】
本発明の非水電解質二次電池における好ましい負極の一形態としては、負極活物質、導電助材、およびバインダーの混合物を集電体上に形成することによって作製されるが、作製方法の容易さから、上記混合物および溶媒でスラリーを作製し、得られたスラリーを集電体上に塗工した後に、溶媒を除去することによって負極を作製する方法が好ましい。
【0036】
本発明の負極に用いることのできる集電体は、銅、SUS、ニッケル、チタン、アルミニウムおよびそれらの合金が好ましい。
【0037】
集電体の厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。10μm未満では作製の観点から取り扱いが困難となり、100μmより厚い場合は経済的観点から不利になる。
【0038】
なお、集電体は、金属材料(銅、SUS、ニッケル、チタン、およびそれらの合金)の表面に負極の電位で反応しない金属を被覆したものも用いることもできる。
【0039】
本発明において、負極の厚みは、特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。10μm以下では、所望の容量を得ることが難しい場合があり、200μmより厚い場合は、所望の出力密度を得ることが難しい場合がある。
【0040】
本発明において、負極の密度は、1.0g/cm
3以上3.0g/cm
3以下であることが好ましい。1.0g/cm
3未満であれば、負極活物質、導電助材との接触が不十分となり電子伝導性が低下する場合がある。3.0g/cm
3より大きい場合は、後述の電解液が負極内に浸透しにくくなり、リチウム伝導性が低下する場合がある。負極は、所望の厚み、密度まで圧縮させてもよい。圧縮は、特に限定されないが、例えば、ロールプレス、油圧プレス等を用いておこなうことができる。電極の圧縮は、前述の正極を形成する前でも、後でもよい。
【0041】
本発明において、負極の1cm
2あたりの電気容量は、0.5mAh以上6.0mAh以下であることが好ましい。0.5mAh未満である場合は所望する容量の電池の大きさが大きくなる場合があり、一方、6.0mAhより多い場合は所望の出力密度を得ることが難しい場合がある。負極の1cm
2あたりの電気容量の算出は、負極作製後、リチウム金属を対極とした半電池を作製した後に、充放電特性を測定することによって算出できる。負極の負極1cm
2あたりの電気容量は、特に限定されないが、集電体単位面積あたりに形成させる負極の重量で制御する方法、例えば、前述の負極塗工時の塗工厚みで制御することができる。
【0042】
<2.正極>
本発明の非水電解質二次電池に用いる正極は、集電箔上に、少なくとも正極活物質を含む正極活物質層が形成されている。この正極活物質層の性能向上のために、導電助材やバインダーが含まれてもよい。
【0043】
本発明の非水電解質二次電池においては、正極活物質として、Li
1+xM
1yM
2zMn
2―x―y―zO
4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、0≦z≦0.3、M
1およびM
2は2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選択される少なくとも1種)を含む。
【0044】
前記Li
1+xM
1yM
2zMn
2―x―y―zO
4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、0≦z≦0.3、M
1およびM
2は2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選択される少なくとも1種)で表される正極活物質は、リチウムイオンの挿入・脱離の反応における活物質の膨張収縮が小さいスピネル構造であることが好ましい。
【0045】
正極活物質自身の安定性向上の効果が大きい点から、2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素は、Al、Mg、Zn、Ni、Co、Fe、Ti、Cu、Zr、SiおよびCrが好ましく、Al、Mg、Zn、Ni、TiおよびCrがより好ましく、Al、Mg、Zn、TiおよびNiが特に好ましい。
【0046】
前記Li
1+xM
1yM
2zMn
2―x―y―zO
4のxは、0≦x≦0.2である。x<0の場合は、正極活物質の容量が減少する傾向があり、一方、x>0.2の場合は炭酸リチウムなどの不純物が多く含まれる恐れがある。
【0047】
前記Li
1+xM
1yM
2zMn
2―x―y―zO
4のyは、0<y≦0.6である。y=0の場合は、正極活物質の安定性が低下する傾向があり、一方、y>0.6の場合はMの酸化物などの不純物が多く含まれる恐れがある。
【0048】
前記Li
1+xM
1yM
2zMn
2―x―y―zO
4のzは、0≦z≦0.3である。容量の減少が小さいこと、活物質自身の安定性の向上の観点から、zは、0≦z≦0.25であることがより好ましく、0≦z≦0.20であることが特に好ましい。z>0.3の場合は、正極活物質の容量が減少する傾向がある。
【0049】
本発明に用いられる正極活物質の表面には、導電性向上、あるいは安定性向上のため、炭素材料、金属酸化物、あるいは高分子等で覆われてもよい。
【0050】
本発明の正極には導電助材を含有させてもよい。導電助材としては、特に限定されないが、炭素材料が好ましい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、およびファーネスブラックなどが挙げられる。これら炭素材料は1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
【0051】
本発明の正極に含まれる導電助材の量は、正極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。上記範囲であれば、正極の導電性が確保される。また、後述のバインダーとの接着性が維持され、集電体との接着性が十分に得ることができる。
【0052】
本発明の正極にはバインダーを含有させてよい。バインダーは、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイミド、およびそれらの誘導体からなる群からえらばれる少なくとも1種を用いることができる。バインダーは正極の作製しやすさから、非水溶媒または水に溶解または分散されていることが好ましい。非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、およびテトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
【0053】
本発明の正極に含まれるバインダーの量は、正極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。上記範囲であれば、正極活物質と導電助材との接着性が維持され、集電体との接着性が十分に得ることができる。
【0054】
本発明の正極の作製方法としては、正極活物質、導電助材、およびバインダーの混合物を集電体上に塗工することによって作製する方法が挙げられるが、作製方法の容易さから、前記混合物および溶媒でスラリーを作製し、得られたスラリーを集電体上に塗工した後に、溶媒を除去することによって正極を作製する方法が好ましい。
【0055】
本発明の正極に用いる集電体は、アルミニウムおよびその合金であることが好ましい。前記アルミニウムは、正極反応雰囲気下で安定であることから、特に限定されないが、JIS規格1030、1050、1085、1N90、1N99等に代表される高純度アルミニウムであることが好ましい。
【0056】
集電体の厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。10μm未満では作製の観点から取り扱いが困難となり、100μmより厚い場合は経済的観点から不利になる。
【0057】
なお、集電体は、アルミニウム以外の金属(銅、SUS、ニッケル、チタン、およびそれらの合金)の表面にアルミニウムを被覆したものも用いることもできる。
【0058】
本発明の正極の厚みは、特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。10μm未満では所望の容量を得ることが難しい場合があり、一方、200μmより厚い場合は所望の出力密度を得ることが難しい場合がある。
【0059】
本発明の正極の密度は、1.0g/cm
3以上4.0g/cm
3以下であることが好ましい。1.0g/cm
3未満であると、正極活物質、導電助材との接触が不十分となり電子伝導性が低下する場合がある。一方、4.0g/cm
3より大きいと、電解液が正極内に浸透しにくくなり、リチウム伝導性が低下する場合がある。
【0060】
本発明の正極は、所望の厚み、密度まで圧縮させてもよい。圧縮は、特に限定されないが、例えば、ロールプレス、油圧プレス等を用いておこなうことができる。電極の圧縮は、後述の負極を形成する前でも、後でもよい。
【0061】
本発明の正極は、正極1cm
2あたりの電気容量が0.5mAh以上5.0mAh以下であることが好ましい。0.5mAh未満である場合は所望する容量の電池の大きさが大きくなる傾向があり、5.0mAhより多い場合は所望の出力密度を得ることが難しくなる傾向がある。正極1cm
2あたりの電気容量の算出は、正極作製後、リチウム金属を対極とした半電池を作製した後に、充放電特性を測定することによって算出してもよい。
【0062】
前記正極の正極1cm
2あたりの電気容量は、特に限定されないが、集電体単位面積あたりに形成させる正極の重量で制御する方法、例えば、前述のスラリー塗工時の塗工厚みで制御することができる。
【0063】
<3.セパレータ>
本発明の非水電解質二次電池に用いるセパレータは、前述の正極と負極との間に設置され、絶縁性かつ後述の非水電解質を含むことが出来る構造であればよく、例えば、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリポロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、及びそれらを2種類以上複合したものの織布、不織布、微多孔膜などが挙げられる。サイクル特性の安定性が優れることから、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリポロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、及びそれらを2種類以上複合したものの不織布であることが好ましい。
【0064】
セパレータには、各種可塑剤、酸化防止剤、難燃剤が含まれてもよいし、金属酸化物等が被覆されていてもよい。
【0065】
セパレータの厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。10μm未満の場合、正極と負極との接触する場合があり、100μmより厚い場合は電池の抵抗が高くなる場合がある。経済性、取り扱いの観点から、15μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
【0066】
<4.非水電解質>
本発明の非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、特に限定されないが、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液を高分子に含浸させたゲル電解質などを用いることができる。
【0067】
非水溶媒としては、環状の非プロトン性溶媒及び/又は鎖状の非プロトン性溶媒を含むことが好ましい。環状の非プロトン性溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、環状スルホン及び環状エーテルなどが例示される。鎖状の非プロトン性溶媒としては、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテル、及びアセトニトリルなどの一般的に非水電解質の溶媒として用いられる溶媒を用いても良い。より具体的には、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジオキソラン、プロピオン酸メチルなどを用いることができる。これら溶媒は1種類で用いてもよいし、2種類以上混合しても用いてもよいが、後述の溶質を溶解させやすさ、リチウムイオンの伝導性の高さから、2種類以上混合した溶媒を用いることが好ましい。
【0068】
2種類以上混合する場合、高温時の安定性が高く、且つ低温時のリチウム伝導性が高いことから、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、およびメチルプロピルカーボネートに例示される鎖状カーボネートのうち1種類以上、と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトンに例示される環状化合物のうち1種類以上との混合が好ましく、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、およびジエチルカーボネートに例示される鎖状カーボネートのうち1種類以上と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートに例示される環状カーボネートのうち1種類以上との混合が特に好ましい。
【0069】
また、高分子に電解液をしみこませたゲル状電解質も用いることができる。
【0070】
前記溶質は、特に限定されないが、例えば、LiClO
4、LiBF
4、LiPF
6、LiAsF
6、LiCF
3SO
3、LiBOB(Lithium Bis (Oxalato) Borate)、LiN(SO
2CF
3)
2などは溶媒に溶解しやすいことから好ましい。電解液に含まれる溶質の濃度は、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることが好ましい。0.5mol/L未満では所望のリチウムイオン伝導性が発現しない場合があり、一方、2.0mol/Lより高いと、溶質がそれ以上溶解しない場合がある。
【0071】
本発明の非水電解質には、一般式(1)、(2)、および(3)で表される化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種と、一般式(4)で表される化合物とが含まれる。
【0073】
(式(1)中のR
1は、炭素数1〜6のアルキル基を示す。MはBあるいはPであり、Bのときnは3、Pのときnは5を示す。)
【0075】
(式(2)中、R
2は、水素原子、少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜6のイソシアナトアルキルオキシ基、または炭素数6〜12のアリールオキシ基を示す。Xは少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、もしくは、少なくとも一つのエーテル結合を含む炭素数2〜6の2価の連結基を示す。)
【0077】
(式(3)中、R
3およびR
4は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、または、少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R
5は、末端に二重結合を有する炭素数2〜4のアルケニル基、または末端に三重結合を有する炭素数2〜4のアルキニル基を示す。)
【0079】
(式(4)中、R
6、R
7およびR
8は、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、または水素原子を示し、nは1または2の整数を示す。Yはスルホキシド基、スルホン基またはオギザリル基を示し、Zは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、または炭素数3〜12のアルキニル基を示す。)
本発明の非水電解質二次電池の非水電解質には、前記一般式(1)で表される化合物が含まれる。
【0081】
一般式(1)で表されるR
1は、炭素数1〜6のアルキル基である。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられ、好ましくは、あるいは炭素数1〜5のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
【0082】
一般式(1)で表されるMは、BあるいはPであり、Bのときnは3、Pのときnは5を示す。
【0084】
一般式(2)で表されるR
2は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素数2〜6のイソシアナトアルキルオキシ基、または、炭素数6〜12のアリールオキシ基を示す。ここでいうアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基およびイソシアナトアルキルオキシ基は、少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。これらの中でも、ガス発生抑止およびサイクル安定性向上の効果が得られることから、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基炭素数2〜6のイソシアナトアルキルオキシ基が好ましい。
【0085】
炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基、および、炭素数2〜6のイソシアナトアルキルオキシ基の具体的な構造は次のとおりである。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられ、炭素数2〜6のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペン−1−イル基、2−ブテン−1−イル基、3−ブテン−1−イル基、4−ペンテン−1−イル基、5−ヘキセン−1−イル基、1−プロペン−2−イル基、3−メチル−2−ブテン−1−イル基などが挙げられ、炭素数6〜12のアリールとしては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基などが挙げられ、炭素数1〜6のアルキルオキシとしては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられ、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基としては、ビニルオキシ基、アリルオキシ基などが挙げられ、炭素数2〜6のイソシアナトアルキルオキシ基としては、イソシアナトエチルオキシ基などが挙げられる。
【0086】
これらの中でも、ガス発生抑止およびサイクル安定性向上の効果が特に良好であることから、ビニル基、1−プロペン−1−イル基、あるいは1−プロペン−2−イル基が好ましい。
【0087】
一般式(2)で表されるXは少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子に置換されてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、もしくは、少なくとも一つのエーテル結合を含む炭素数2〜6の2価の連結基である。
【0088】
ガス発生抑止の効果が大きく且つサイクル安定性が良好である観点から、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルクロトネート、2−(2−イソシアナトエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−イソシアナトエトキシ)メタクリレート、2−(2−イソシアナトエトキシ)エチルクロトレートが特に好ましい。
【0090】
本発明の非水電解質二次電池に用いられる一般式(3)で表される化合物のR
3およびR
4は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、または少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R
5は、末端に二重結合を有する炭素数2〜4のアルケニル基、または末端に三重結合を有する炭素数2〜4のアルキニル基を示す。
【0091】
ガス発生抑止およびサイクル安定性向上の効果が良好であることから、R
3およびR
4は、水素原子のみ、あるいは水素原子と炭素数1〜6のアルキル基との組み合わせが好ましく、水素原子のみ、あるいは水素原子と炭素数1〜3のアルキル基との組み合わせがより好ましい。
【0092】
このとき、R
5は、末端に二重結合を有する炭素数2〜4のアルケニル基、または末端に三重結合を有する炭素数2〜4のアルキニル基のいずれでも良い。前記R
3およびR
4との組み合わせの効果が大きいことから、R
5は、末端に二重結合を有する炭素数2〜4のアルケニル基であることが好ましい。
【0093】
R
5の具体的な構造としては、アリル基、3−メチルアリル基、3,3−ジメチルアリル基、2−メチルアリル基、2,3−ジメチルアリル基、2,3,3−トリメチルアリル基、2−プロピン−1−イル基、1−メチル−2−プロピン−1−イル基、1,2−ジメチル−2−プロピン−1−イル基などが挙げられる。
【0094】
一般式(3)で表される具体的な化合物としては、例えば、3−アリルジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−(3−メチルアリル)ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−(3,3−ジメチルアリル)ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−(2−メチルアリル)ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−(2,3−ジメチルアリル)ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−(2,3,3−トリメチルアリル)ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−(2−プロピン−1−イル)ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−(1−メチル−2−プロピン−1−イル)ジヒドロフラン−2,5−ジオン、及び3−(1,2−ジメチル−2−プロピン−1−イル)ジヒドロフラン−2,5−ジオンが好ましい。
【0095】
これら化合物の中でも、ガス発生抑止およびサイクル安定性向上の効果が良好であることから、3−アリルジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−(3−メチルアリル)ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−(3,3−ジメチルアリル)ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−(2−メチルアリル)ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−(2,3−ジメチルアリル)ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−(2,3,3−トリメチルアリル)ジヒドロフラン−2,5−ジオンがより好ましい。
【0097】
本発明の一般式(4)で表される化合物のYは、負極に良好な被膜を形成できることから、スルホキシド基、スルホン基、あるいはオギザリル基である。ガス発生抑止の効果が大きいことから、オギザリル基が特に好ましい。
【0098】
本発明の一般式(4)で表される化合物のR
6、R
7、およびR
8は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、あるいは水素原子である。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられ、好ましくは、水素原子、あるいは炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子、あるいは炭素数1〜2のアルキル基である。R
6、R
7、およびR
8は、同じで有ってもよいし、違っていてもよい。
【0099】
本発明の一般式(4)で表される化合物のZは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、または炭素数3〜12のアルキニル基である。これらの中でも、一般式(1)〜(3)との組み合わせにより、ガス発生抑止の効果が大きいことから、アルキニル基が特に好ましい。
【0100】
炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6であり、より好ましく炭素数1〜4である。
【0101】
炭素数2〜12のアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基が挙げられ、好ましくは炭素数2〜6であり、より好ましく炭素数2〜4である。
【0102】
炭素数3〜12のアルキニル基としては、例えば、2−プロピニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基が挙げられ、好ましくは炭素数3〜8であり、より好ましく炭素数3〜6である。
【0103】
ガス発生抑止の効果が大きいことおよびサイクル安定性が優れることから、一般式(4)のYを中心とした場合、右側と左側との構造式が同じであるようなZであることが好ましい。
【0104】
本発明の一般式(4)で表される化合物のnは1または2である。2より大きい場合、十分な皮膜が形成されない恐れがある。
【0105】
前述の組み合わせの中でも、本発明の非水電解質二次電池に用いられる一般式(4)は、一般式(1)〜(3)との組み合わせにより、サイクル安定性の向上、及びガス発生抑止の効果が大きいことから、ジ(2−プロピニル)オギザレート〔R
6=R
7=R
8=水素原子、Y=2−プロピニル基、n=1〕、ジ(1−メチル−2−プロピニル)オギザレート〔R
6=水素原子、R
7=メチル基、R
8=水素原子、Y=1−メチル−2−プロピニル基、n=1〕、ジ(2−ブチニル)オギザレート〔R
6=メチル基、R
7=R
8=水素原子、Y=2−ブチニル基、n=1〕、ジ(3−ブチニル)オギザレート〔R
6=R
7=R
8=水素原子、Y=3−ブチニル基、n=2〕、ジ(1−メチル−2−ブチニル)オギザレート〔R
6=R
7=メチル基、R
8=水素原子、Y=1−メチル−2−ブチニル基、n=1〕、ジ(1,1−ジメチル−2−プロピニル)オギザレート〔R
6=水素原子、R
7=R
8=メチル基、Y=1,1−ジメチル−2−プロピニル基、n=1〕、ジ(1,1−ジメチル−2−ブチニル)オギザレート〔R
6=R
7=R
8=メチル基、Y=1,1−ジメチル−2−ブチニル基、n=1〕であることが特に好ましい。
【0106】
本発明の非水電解質には、一般式(1)、(2)、および(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一種と一般式(4)で表される化合物が含まれればよい。一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表される化合物の配合量は、各々、非水電解質100重量%に対して0.01〜20重量%の範囲で含まれることが好ましく、0.1〜10重量%の範囲で含まれることがより好ましい。各化合物の含有量が20重量%を超える場合、非水電解質のリチウムイオン伝導度などが変わり電池性能が低下することがあり、一方、各化合物の配合量が0.01重量%よりも少ない場合は、十分な被膜が形成されず、期待した電池特性が得られない可能性がある。
【0107】
<5.非水電解質二次電池>
本発明の非水電解質二次電池の正極および負極は、集電体の両面に同じ電極を形成させた形態であってもよく、集電体の片面に正極、一方の面に負極を形成させた形態、すなわち、バイポーラ電極であってもよい。例えば、バイポーラ電極である場合は、隣り合うバイポーラ電極の正極側と負極側との間にセパレータを配置し、各正極側と負極側とが対向した層内は、液絡を防止するため正極および負極の周辺部に絶縁材料が配置されている。
【0108】
本発明の非水電解質二次電池は、正極側と負極側との間にセパレータを配置したものを倦回したものであってもよいし、積層したものであってもよい。正極、負極、およびセパレータには、リチウムイオン伝導を担う非水電解質が含まれている。
【0109】
本発明の非水電解質二次電池における正極の電気容量と負極の電気容量との比は、下記式(5)を満たすことが好ましい。
1≦B/A≦1.2 (5)
但し、上記式(5)中、Aは正極1cm
2あたりの電気容量を示し、Bは負極1cm
2あたりの電気容量を示す。
【0110】
B/Aが1未満である場合は、過充電時に負極の電位がリチウムの析出電位になる場合があり、一方、B/Aが1.2より大きい場合は電池反応に関与しない負極活物質多いために副反応が起こる場合がある。
【0111】
本発明の非水電解質二次電池における正極と負極との面積比は、特に限定されないが、下記式(6)を満たすことが好ましい。
1≦D/C≦1.2 (6)
(但し、Cは正極の面積、Dは負極の面積を示す。)
D/Cが1未満である場合は、例えば先述のB/A=1の場合、負極の容量が正極よりも小さくなるため、過充電時に負極の電位がリチウムの析出電位になる恐れがある。一方、D/Cが1.2より大きい場合は、正極と接していない部分の負極が大きいため、電池反応に関与しない負極活物質が副反応を起こす場合がある。正極および負極の面積の制御は特に限定されないが、例えば、スラリー塗工の際、塗工幅を制御することによって行うことができる。
【0112】
本発明の非水電解質二次電池に用いるセパレータと負極との面積比は特に限定されないが、下記式(7)を満たすことが好ましい。
1≦F/E≦1.5 (7)
(但し、Eは負極の面積、Fはセパレータの面積を示す。)
F/Eが1未満である場合は、正極と負極とが接触し、1.5より大きい場合は外装に要する体積が大きくなり、電池の出力密度が低下する場合がある。
【0113】
本発明の非水電解質二次電池に用いる非水電解質の量は、特に限定されないが、電池容量1Ahあたり、0.1mL以上であることが好ましい。0.1mL未満の場合、電極反応に伴うリチウムイオンの伝導が追いつかず、所望の電池性能が発現しない場合がある。
【0114】
非水電解質は、あらかじめ正極、負極およびセパレータに含ませてもよいし、正極側と負極側との間にセパレータを配置したものを倦回、あるいは積層した後に添加してもよい。
【0115】
本発明の非水電解質二次電池は、上記積層体を倦回、あるいは複数積層した後にラミネートフィルムで外装してもよいし、角形、楕円形、円筒形、コイン形、ボタン形、シート形の金属缶で外装してもよい。外装には発生したガスを放出するための機構が備わっていてもよい。積層体の積層数は、所望の電圧値、電池容量を発現するまで積層させることができる。
【0116】
本発明の非水電解質二次電池は、複数接続することによって組電池とすることができる。本発明の組電池は、所望の大きさ、容量、電圧によって適宜直列、並列に接続することによって作製することができる。また、各電池の充電状態の確認、安全性向上のため、前記組電池に制御回路が付属されていることが好ましい。
【実施例】
【0117】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0118】
(正極の製造例1)
製造例1の正極に用いる正極活物質として、スピネル型のマンガン酸リチウム(Li
1.1Al
0.1Mn
1.8O
4)を用いた。
【0119】
この正極活物質、導電助材(アセチレンブラック)、およびバインダー(PVdF)を、それぞれ固形分濃度で100重量部、5重量部、および5重量部の混合物のスラリーを作製した。なお、バインダーは固形分濃度5wt%のNMP溶液に調整したものを使用し、後述の塗工をしやすいように、さらにNMPを加えて粘度調整した。
【0120】
このスラリーをアルミニウム箔(20μm)に塗工した後に、120℃のオーブンで乾燥させた後、さらに170℃で真空乾燥することによって正極(50cm
2)を作製した。
【0121】
正極の容量は次の充放電試験で測定した。
【0122】
前述と同様にアルミニウム箔の片面に塗工した電極を16mmΦに打ち抜き動作極、Li金属を16mmΦに打ち抜き対極とした。これらの電極を用いて、動作極(片面塗工)/セパレータ/Li金属の順に試験セル(HSセル、宝泉社製)内に積層し、非水電解質(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート=3/7vol%、LiPF
6 1mol/L)を0.15mL入れ、半電池を作製した。この半電池を25℃で一日放置した後、充放電試験装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続した。この半電池を25℃、0.4mAで定電流充電(終止電圧:4.5V)および定電流放電(終止電圧:3.5V)を5回繰り返し、5回目の結果を正極の容量とした。その結果、正極の容量は、1.0mAh/cm
2であった。
【0123】
(正極の製造例2)
製造例2の正極に用いる正極活物質として、スピネル型のマンガン酸リチウム(LiNi
1/2Mn
3/2O
4)を用いた。前述の活物質を用いたこと、および定電流充電の終止電圧を5.0Vにしたこと以外は製造例1と同様に正極を製造した。その結果、正極の容量は、1.0mAh/cm
2であった。
【0124】
(正極の製造例3)
製造例3の正極に用いる正極活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)を用いた。前述の活物質を用いたこと、および定電流充電の終止電圧を4.25V、定電流放電の終止電圧を3.0Vにしたこと以外は製造例1と同様に正極を製造した。その結果、正極の容量は、1.0mAh/cm
2であった。
【0125】
(負極の製造例)
負極活物質として、スピネル型のチタン酸リチウム(Li
4/3Ti
5/3O
4)を用いた。この負極活物質、導電助材(アセチレンブラック)、およびバインダー(PVdF)を、それぞれ固形分濃度で100重量部、5重量部、および5重量部の混合物のスラリーを作製した。なお、バインダーは固形分濃度5wt%のNMP溶液に調製したものを使用し、後述の塗工をしやすいように、さらにNMPを加えて粘度調整した。このスラリーをアルミニウム箔(20μm)に塗工した後に、120℃のオーブンで乾燥させた後、さらに170℃で真空乾燥することによって負極(50cm
2)を作製した。
【0126】
負極の容量は次の充放電試験で測定した。
【0127】
前述と同様の条件でアルミニウム箔の片面に電極を塗工し、16mmΦに打ち抜き動作極を作製した。Li金属を16mmΦに打ち抜き対極とした。これらの電極を用いて、動作極(片面塗工)/セパレータ/Li金属の順に試験セル(HSセル、宝泉社製)内に積層し、非水電解質(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート=3/7vol%、LiPF6 1mol/L)を0.15mL入れ、半電池を作製した。この半電池を25℃で一日放置した後、充放電試験装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続した。この半電池を25℃、0.4mAで定電流放電(終止電圧:1.0V)および定電流充電(終止電圧:2.0V)を5回繰り返し、5回目の結果を正極の容量とした。その結果、負極の容量は、1.2mAh/cm
2であった。
【0128】
(実施例1〜54、比較例1〜26)
非水電解質二次電池は次のとおりに作製した。
【0129】
電極は、アルミニウム箔の片面に製造例1あるいは製造例2の正極、負極の片面塗工した電極を用いた。セパレータは、セルロース系不職布(25μm、55cm
2)を用いた。最初に、前記作製した正極(片面塗工)、負極(片面塗工)、およびセパレータを、正極(片面塗工)/セパレータ/負極(片面塗工)の順に積層した。次に、両端の正極および負極にアルミニウムタブを振動溶着させた後に、袋状のアルミラミネートシートに入れた。
【0130】
非水電解質(エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=15/15/70vol%、LiPF
6 1mol/L)に、式(1)で表される化合物(化合物1A、化合物1B、化合物1C)、式(2)で表される化合物(化合物2A、化合物2B、化合物2C)、および式(3)で表される化合物(化合物3A、化合物3B、化合物3C)から選ばれる1種類と、式(4)で表される化合物(化合物4A、化合物4B、化合物4C)の1種類とを加え混合し、非水電解質を得た。化合物1A、化合物1Bおよび化合物1Cは1.0重量%、化合物2A、化合物2Bおよび化合物2Cの含有量は0.5重量%、化合物3A、化合物3Bおよび化合物3Cの含有量は1.0重量%、化合物4A、化合物4Bおよび化合物4Cの含有量は0.1重量%、となるように調製した。
【0131】
【表1】
【0132】
実施例1〜27、比較例1〜13の非水電解質二次電池は、製造例1の正極を用い、表2に示す化合物を組み合わせて添加した非水電解質を使用した。
【0133】
実施例28〜54、比較例14〜26の非水電解質二次電池は、製造例2の正極を用い、表2に示す化合物を組み合わせて添加した非水電解質を使用した。
【0134】
比較例27〜53の非水電解質二次電池は、製造例3の正極を用い、表2に示す化合物を組み合わせて添加した非水電解質を使用した。
【0135】
【表2】
【0136】
(非水電解質二次電池の評価)
実施例1〜54、比較例1〜53の非水電解質二次電池を、充放電装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続し、エージング工程を経た後にサイクル運転おこないガス発生の有無を評価した。
【0137】
エージングは、各非水電解質二次電池を満充電(実施例1〜27、および比較例1〜13、27〜53は2.7V、実施例28〜54、および比較例14〜26は3.5V)にしたのちに、60℃で168時間放置した。その後、室温(25℃)まで徐冷したのちに、発生したガスを抜いた後に、再度減圧しながら封止した。
【0138】
エージング後に、60℃、25mA定電流充電、50mA定電流放電を500回繰り返した。このときの実施例1〜27と比較例1〜13、27〜53との充電終止電圧および放電終止電圧は、それぞれ2.7Vおよび2.0Vとし、実施例28〜54と比較例14〜26との充電終止電圧および放電終止電圧は、それぞれ3.4Vおよび2.5Vとした。500回目の充放電が終了後、25℃の環境下で放冷後、セルのふくらみを目視で確認して、ガス発生の有無を確認した。また、サイクル特性の安定性は、1回目の放電容量を100としたときの、500回目の放電容量の維持率で評価した。500回目の放電容量で80%以上を良好、80%未満を不良とした。
【0139】
この結果を表3に記載した。
【0140】
【表3】
【0141】
実施例1〜54のセルにはガス発生由来のセルのふくらみ、緩みは確認されず、且つ良好なサイクル安定性が確認された。一方、比較例1〜53には、ガス発生由来のセルのふくらみ、緩みが確認され、サイクル安定性も実施例より低いことが示された。実施例1〜54は、化合物1A〜3Cのいずれか1種と化合物4A〜4Cのいずれか1種とを用いることによって、スピネル型チタン酸リチウムと、電解液との反応、あるいはスピネル型マンガン酸リチウムと、電解液との反応の双方の反応を抑止でき、一方、比較例1〜26に関しては、化合物1A〜4Cの1種類しか用いなかったために、スピネル型チタン酸リチウムと、電解液との反応、あるいはスピネル型マンガン酸リチウムと、電解液との反応のいずれか、あるいは双方の反応を抑止できなかったと推定される。また、正極活物質にコバルト酸リチウムを使用した比較例27〜53の非水電解質二次電池においては、化合物1A〜3Cのいずれか1種と化合物4A〜4Cのいずれか1種との併用による効果の優位性が示されなかった。表3に示されるとおり、比較例27〜53の非水電解質二次電池と比較して、負極活物質にリチウム含有酸化物、正極活物質にマンガン酸リチウムを使用した実施例1〜54の非水電解質二次電池に、化合物1A〜3Cのいずれか1種と化合物4A〜4Cのいずれか1種との併用が特に有効であることは明らかである。