特許第6235839号(P6235839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235839管内面の微細亀裂検査方法及び管内面の微細亀裂検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235839
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】管内面の微細亀裂検査方法及び管内面の微細亀裂検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/07 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   G01N29/07
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-188318(P2013-188318)
(22)【出願日】2013年9月11日
(65)【公開番号】特開2015-55526(P2015-55526A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】上林 正和
(72)【発明者】
【氏名】山田 健治
(72)【発明者】
【氏名】市原 太郎
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0301198(US,A1)
【文献】 特開2004−347572(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0041612(US,A1)
【文献】 特開2006−322902(JP,A)
【文献】 特開2004−301580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00−29/52
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査する管の外周面に設置された送信プローブからラム波を送信するとともに、前記管の外周面に前記送信プローブと所定の間隔を開けて設置された受信プローブから前記ラム波を受信する送受信工程と、
前記受信プローブが受信したラム波からA0モードの波のピークとS0モードの波のピークを特定するピーク特定工程と、
前記A0モードの波のピークから前記S0モードの波のピークまでの間に第3のピークがあるか否かを検出するピーク検出工程と、
前記ピーク検出工程で前記第3のピークを検出した場合に前記管の内面に微細亀裂があると判定する判定工程と、
を有し、
前記ピーク検出工程は、
受信したラム波からA0モードの波のピークを特定するA0ピーク特定工程と、
前記A0ピーク特定工程において特定されたA0モードの波のピークを基準に前記ラム波の包絡線を作成する包絡線作成工程と、
前記包絡線作成工程において作成された包絡線からS0モードの波のピークを特定するS0ピーク特定工程と、
を備えたことを特徴とする微細亀裂の検査方法。
【請求項2】
検査する管の外周面に設置された送信プローブと、
前記管の外周面に前記送信プローブと所定の間隔を開けて設置された受信プローブと、
前記送信プローブから前記受信プローブに向けてラム波を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信されたラム波を前記受信プローブから受信する受信手段と、
前記受信手段が受信したラム波からA0モードの波のピークとS0モードの波のピークを特定するピーク特定手段と、
前記ピーク特定手段が特定したA0モードの波のピークからS0モードの波のピークまで間に第3のピークがあるか否かを検出するピーク検出手段と、
前記ピーク検出手段が前記第3のピークを検出した場合に前記管の内面に微細亀裂があると判定する判定手段と、
を備え
前記ピーク特定手段は、
前記受信手段が受信したラム波からA0モードの波のピークを特定するA0ピーク特定手段と、
前記A0ピーク特定手段が特定したA0モードの波のピークを基準に前記ラム波の包絡線を作成する包絡線作成手段と、
前記包絡線作成手段が作成した包絡線からS0モードの波のピークを特定するS0ピーク特定手段と、
を備えたことを特徴とする管内面の微細亀裂検査装置。
【請求項3】
前記所定の間隔は、前記判定手段が前記A0モードの波のピークと前記S0モードの波のピークを特定可能な間隔であることを特徴とする請求項に記載の管内面の微細亀裂検査装置。
【請求項4】
前記所定の間隔は、前記管の肉厚、前記ラム波の周波数により定めることを特徴とする請求項2又は3に記載の管内面の微細亀裂検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管内面に生じた微細亀裂の検査が可能な管内面の微細亀裂検査方法及び管内面の微細亀裂検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガイド波により管の外面や内面に生じた欠陥を検査する管の欠陥検査方法が広く知られている。
例えば、管の一端部に探蝕子を設け、探蝕子からガイド波を送信するとともに、欠陥で反射した反射波を探蝕子で受信するものが知られている。この方法によれば、管の肉厚の20%以上の腐食減肉された欠陥(厚さ5mmの管では深さ1mm以上の欠陥)や、管の肉厚の50%以上の亀裂欠陥(クラック)(厚さ5mmの管では深さ2.5mm以上の欠陥)を検出できる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−10055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された欠陥検査方法では、深さ300μmの微細亀裂を検出することができない。
また、管の外周から管の中心に向けて超音波を送信するとともに、管の内周面で反射した超音波を受信するものが知られている。この方法では、微細亀裂で反射した超音波は管の内周面で反射した超音波に紛れ、微細亀裂で反射した超音波だけを抽出することができない。これにより、深さ300μmの微細亀裂を検出することはできない。
したがって、検査する管の一部を切り出して管の軸方向に切断することにより、管に微細亀裂が生じているか否かを確かめるしかなかった。
本発明は、上記実情を鑑みて、検査する管を切断しなくても管の内面に生じた微細亀裂の検出が可能な管内面の微細亀裂検査方法及び管内面の微細亀裂検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、検査する管の外周面に設置された送信プローブからラム波を送信するとともに、前記管の外周面に前記送信プローブと所定の間隔を開けて設置された受信プローブから前記ラム波を受信する送受信工程と、前記受信プローブが受信したラム波からA0モードの波のピークとS0モードの波のピークを特定するピーク特定工程と、前記A0モードの波のピークから前記S0モードの波のピークまでの間に第3のピークがあるか否かを検出するピーク検出工程と、前記ピーク検出工程で前記第3のピークを検出した場合に前記管の内面に微細亀裂があると判定する判定工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、A0モードの波のピークからS0モードの波のピークまでの間に第3のピークを検出した場合に管の内面に微細亀裂があると判定する。これにより、検査する管を切断しなくても管の内面に微細亀裂があるか否かを判定できる。
【0006】
本発明は、検査する管の外周面に設置された送信プローブと、前記管の外周面に前記送信プローブと所定の間隔を開けて設置された受信プローブと、前記送信プローブから前記受信プローブに向けてラム波を送信する送信手段と、前記送信手段から送信されたラム波を前記受信プローブから受信する受信手段と、前記受信手段が受信したラム波からA0モードの波のピークとS0モードの波のピークを特定するピーク特定手段と、前記ピーク特定手段が特定したA0モードの波のピークからS0モードの波のピークまでの間に第3のピークがあるか否かを検出するピーク検出手段と、前記ピーク検出手段が前記第3のピークを検出した場合に前記管の内面に微細亀裂があると判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、A0モードの波のピークからS0モードの波のピークまで間に第3のピークを検出した場合に管の内面に微細亀裂があると判定する。これにより、検査する管を切断しなくても管の内面に微細亀裂があるか否かを判定できる。
【0007】
本発明の一態様では、前記ピーク特定手段は、前記受信手段が受信したラム波からA0モードの波のピークを特定するA0ピーク特定手段と、前記A0ピーク特定手段が特定したA0モードの波のピークを基準に前記ラム波の包絡線を作成する包絡線作成手段と、前記包絡線作成手段が作成した包絡線からS0モードの波のピークを特定するS0ピーク特定手段と、を備えることが好ましい。
このようにすれば、A0モードの波のピークとS0モードの波のピークを簡単に検出できる。
【0008】
本発明の一態様では、前記所定の間隔は、前記判定手段が前記A0モードの波のピークと前記S0モードの波のピークを特定可能な間隔であることが好ましい。
このようにすれば、A0モードの波のピークとS0モードの波のピークとを確実に特定できる。
【0009】
本発明の一態様では、前記所定の間隔は、前記管の肉厚、前記ラム波の周波数により定めることが好ましい。
このようにすれば、管の肉厚、ラム波の周波数により、所定の間隔を定めることができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、A0モードの波のピークからS0モードの波のピークまでの間に第3のピークを検出した場合に管の内面に微細亀裂があると判定するので、検査する管を切断しなくても管の内面に微細亀裂があるか否かを判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態である管内面の微細亀裂検査装置の概要を示す模式図である。
図2図1に示した管内面の微細亀裂検査装置の制御構成を示すブロック図である。
図3】送信プローブから送信するラム波の周波数を決定するための分散曲線を示す図である。
図4】送信プローブから送信するラム波の周波数や管肉厚が変わった場合に測定に適した送信プローブから受信プローブまでの距離を示す図である。
図5図1に示した微細亀裂検査装置の制御手順を示すフローチャートである。
図6】受信手段が受信した波形を示す図であって、微細亀裂がない管の波形を示すものである。
図7】受信手段が受信した波形を示す図であって、微細亀裂がある管の波形を示すものである。
図8】サンプル管の断面を示す図である。
図9】サンプル管の検査に際して受信手段が受信した波形を示す図である。
図10】サンプル管からスケールを取り除いた状態を示す図である。
図11】サンプル管の検査に際してAモードの波のピーク及び第3のピークの変遷を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る管内面の微細亀裂検査方法及び管内面の微細亀裂検査装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。尚、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態である管内面の微細亀裂検査装置を示す概念図であり、図2は、図1に示した管内面の微細亀裂検査装置の制御構成を示すブロック図である。
図1に示すように、管内面の微細亀裂検査装置は、装置本体2、送信プローブ3、受信プローブ4を備えて構成される。装置本体2は、図2に示すように、入力手段21、設定手段22、送信手段23、受信手段24、表示手段25、判定手段26、制御手段27を備えている。
【0014】
入力手段21は、装置本体2に、各種設定値を入力し、各種指示を与えるためのもので、テンキー211、スタートキー212等の各種のキーを有している。設定手段22は、微細亀裂の検査に用いるラム波の周波数等を設定するためのもので、テンキー211等から入力された周波数を検査に用いるラム波の周波数に設定する。設定するラム波の周波数は、ラム波から分散されるA0モードとS0モードの波に十分な速度差があり、受信手段24においてA0モードとS0モードの波が特定可能なものである。送信手段23は、設定手段22に設定された周波数のラム波を生成し、送信するためのもので、送信プローブ3が接続される接続端子231を備えている。受信手段24は、送信手段23から送信されたラム波を受信するためのもので、受信プローブ4が接続される接続端子241を備えている。表示手段25は、受信手段24が受信した波を表示器251に表示するためのもので、表示器251には、時間軸を表示する横軸と振幅を表示する縦軸とを表示する。判定手段26は、管Tの内面に微細亀裂があるか否かを判定するためのもので、A0ピーク特定手段261、包絡線作成手段262、S0ピーク特定手段263、ピーク検出手段264を備えている。
【0015】
A0ピーク特定手段261は、受信手段24が受信したラム波からA0モードの波のピークPA(図6(a)参照)を特定するためのもので、受信手段24が受信したラム波のピーク、すなわち、最も大きな振幅をA0モードの波のピークPAとする。包絡線作成手段262は、受信手段24が受信したラム波の包絡線E(図6(b)参照)を作成するためのもので、A0ピーク特定手段261が特定したA0モードの波のピークPAを基準にラム波の包絡線Eを作成する。S0ピーク特定手段263は、受信手段24が受信したラム波からS0モードの波のピークを特定するためもので、包絡線作成手段262が作成した包絡線Eにおいて所定のタイミング(S0モードの波の到達が予想されるタイミング)で再度大きくなった振幅をS0モードの波のピークPS(図6(b)参照)とする。ピーク検出手段264は、A0モードの波のピークPAからS0モードの波のピークPSまでの間に第3のピークPC(図7(b)参照)があるか否かを検出するためのものである。そして、判定手段26は、図7(b)に示すように、ピーク検出手段264が第3のピークPCを検出した場合に管Tの内面に微細亀裂があると判定する一方、図6(a)に示すように、ピーク検出手段264が第3のピークを検出しない場合に管Tの内面に微細亀裂がないと判定する。
【0016】
制御手段27は、上述した入力手段21、設定手段22、送信手段23、受信手段24、表示手段25、判定手段26を統括的に制御するためのものである。具体的には、送信手段23にラム波を送信させるとともに、受信手段24に送信手段23から送信させたラム波を受信させる。また、受信手段24に受信したラム波を表示手段25に表示させる。さらに、判定手段26に微細亀裂があるか否かを検出させる。
【0017】
送信プローブ3は、送信手段23で生成されたラム波を送信するためのもので、送信手段23に備えた接続端子231に接続され、図1に示すように、検査する管Tの外周面、検査する領域の一方側に設置される。具体的には、ラム波の送信方向が管Tの中心を通る軸線Oと平行となるように設置される。
【0018】
受信プローブ4は、受信手段24にラム波を受信するためのもので、図2に示すように、受信手段24に備えた接続端子241に接続される。具体的には、図1に示すように、検査する管Tの外周面、検査する領域の他方側に、受信方向が送信プローブ3の送信方向と一致するように、かつ、送信プローブ3から所定の間隔を開けて設置する。所定の間隔(送信プローブ3と受信プローブ4の間隔)は、A0モードの波のピークPA(図6及び図7参照)とS0モードの波のピークPS(図6及び図7参照)とが特定できる間隔とする。
【0019】
上述した微細亀裂検査装置を用いて管Tの内面の微細亀裂を検査する場合には、まず、管Tを検査する者(以下、「検査者」という)が超音波肉厚計(図示せず)を用いて、検査する管Tの肉厚を計測する。これにより、検査する管Tの肉厚が特定される。次に、検査者は、送信手段23が送信するラム波の周波数、送信プローブ3と受信プローブ4との間隔(プローブ間距離)を決定する。送信手段23が送信するラム波の周波数は、図3に示す分散曲線に基づいて決定する。分散曲線は、ラム波の周波数と、ラム波から分散したA0モード、S0モードの波の速度との関係を示したものであり、A0モードとS0モードに波の速度差が生じるラム波の周波数を送信手段23が送信するラム波の周波数に決定する。また、プローブ間距離は、図4に示されたA0モードとS0モードの波の到達時間差に基づいて決定する。具体的には、A0モードとS0モードの波の到達時間差が所定時間になるように決定する。
【0020】
ここでは、図4に示すように、検査する管Tの肉厚を5mm、ラム波の周波数を1.0MHz、プローブ間距離を300mmとしたものを基本条件とし、他の肉厚では、A0モードとS0モードの波の到達時間差が基本条件と同じになるように、ラム波の周波数、プローブ間距離を決定する。
【0021】
尚、ラム波の周波数は、基本条件により定まるものに限られず、図3に示すように、検査する管Tの肉厚が5mmの場合に、ラム波の周波数を0.8〜1.2MHz、好ましくは、0.9〜1.1MHzの範囲で任意に設定可能である。また、検査する管Tの肉厚が6.5mmの場合に、ラム波の周波数を0.7〜1.2MHz、好ましくは図4に示すように、0.7〜1.0の範囲で任意に設定可能である。さらに、図3に示すように、検査する管Tの肉厚が4.5mmの場合に、ラム波の周波数を0.9〜1.2mm、好ましくは図4に示すように、1.0〜1.2MHzの範囲で任意に設定可能である。同様に、プローブ間距離は、基本条件により定まるものに限られず、A0モードとS0モードの波の到達時間差が一定以上得られるものであれば任意に設定可能である。
【0022】
次に、検査者は、送信プローブ3と受信プローブ4を検査する管Tの外周面に設置する。具体的には、送信プローブ3を検査する領域の一方側に、ラム波の送信方向が管Tの中心を通る軸線Oと平行となるように設置し、受信プローブ4を検査する領域の他方側に、受信方向が送信プローブ3の送信方向と一致するように、かつ、送信プローブ3から決定したプローブ間距離を開けて設置する。
【0023】
次に、図5に示すように、検査者は、テンキー211等を用いて決定したラム波の周波数を装置本体(設定手段22)に設定する(ステップS1:Yes)。次に、検査者は、スタートキー212等を用いて装置本体(制御手段27)に検査開始を指示する(ステップS2:Yes)。すると、装置本体(制御手段27)は、送信手段23と受信手段24に検査開始の指示を与える。制御手段27から検査開始の指示を与えられた送信手段23は、設定された所定周波数のラム波を生成し、所定長さのラム波を送信する(ステップS3)。これにより、所定周波数のラム波が送信プローブ3から受信プローブ4に向けて送信される。送信された所定周波数のラム波は、検査対象となる領域(管T)を伝播する際に分散される。一方、制御手段27から検査開始の指示を与えられた受信手段24は、ラム波の受信を開始する。これにより、受信手段24は所定長さのラム波を受信プローブ4から受信する(ステップS4)。受信手段24が受信するラム波は、検査対象となる管Tを伝播する際に分散されたもので、A0モードの波とS0モードの波で構成される。A0モードの波は、S0モードの波よりも振幅が大きくS0モードの波よりも早く受信手段24に到達し、S0モードの波は、A0モードの波よりも振幅が小さくA0モードの波よりも遅く受信手段24に到達する。
【0024】
受信手段24が所定長さのラム波を受信すると、制御手段27は、表示手段25に波形表示の指示を与えるとともに、判定手段26に微細亀裂の有無判定の指示を与える。制御手段27から波形表示の指示を与えられた表示手段25は、受信手段24が受信した所定長さのラム波(図6(a),図7(a)参照)を表示器251に表示する(ステップS5)。
【0025】
一方、制御手段27から微細亀裂の有無判定の指示を与えられた判定手段26は、まず、A0ピーク特定手段261にピーク特定の指示を与える。ピーク特定の指示が与えられたA0ピーク特定手段261は、受信手段24が受信したラム波からA0モードの波のピークPAを特定する(ステップS6)。尚、上述したように、A0モードの波は、受信手段24が受信した波の中で最も大きな振幅をA0モードの波のピークPAとする。
【0026】
A0モードの波のピークPAが特定されると、判定手段26は、包絡線作成手段262に包絡線作成の指示を与える。包絡線作成の指示が与えられた包絡線作成手段262は、A0ピーク特定手段261が特定したA0モードの波のピークPAを基準にラム波の包絡線E(図6(b)、図7(b)参照)を作成する(ステップS7)。
【0027】
包絡線Eが作成されると、判定手段26は、S0ピーク特定手段263にピーク特定の指示を与える。ピーク特定の指示が与えられたS0ピーク特定手段263は、S0モードの波のピークPSを特定する(ステップS8)。尚、上述したように、S0モードの波は、包絡線作成手段262が作成した包絡線Eにおいて所定タイミング(S0モードの波の到達が予想されるタイミング)で再度大きくなった振幅をSOモードの波のピークPSとする。
【0028】
S0モードの波のピークPSが特定されると、判定手段26は、ピーク検出手段264にピーク検出の指示を与える。ピーク検出の指示が与えられたピーク検出手段264は、A0モードの波のピークPAとS0モードの波のピークPSとの間に第3のピークPC(図7(b)参照)があるか否かを検出する(ステップS9)。
【0029】
図7に示すように、ピーク検出手段264が第3のピークPCを検出すると、判定手段26は、管Tの内面に微細亀裂があると判定する(ステップS10:Yes)。一方、図6に示すように、ピーク検出手段264が第3のピークPCを検出しないと、判定手段26は、管Tの内面に微細亀裂がないと判定する(ステップS10:NO)。
【0030】
サンプル管で上述した微細亀裂検査方法を検証する。サンプル管は、ガスボイラの配管に使われていたもので、外径が28.6mm、肉厚5.3mmでサンプル管の内面にスケールの蓄積と微細亀裂が認められる。また、サンプル管は、検証に際して軸方向に半割にする。
【0031】
また、検証に際して、ラム波の周波数を1.0MHz、プローブ間距離を300mmとする。サンプル管を半割にした状態では、図8に示すように、スケール(ポーラススケール及び緻密スケール)の蓄積と微細亀裂Cが認められる。また、微細亀裂Cの深さは、272μmである。
【0032】
まず、図8に示すように、スケールの蓄積と微細亀裂が認められる状態で、送信手段23にラム波を送信させるとともに、受信手段24にラム波を受信させる。この状態で受信手段が受信したラム波には、図9(a)に示すように、A0モードの波のピークPAとS0モードの波のピークPSとの間に第3のピークPCが認められる。
【0033】
次に、図10に示すように、歯ブラシ等でスケールを除去し、微細亀裂Cが認められる状態で、送信手段23にラム波を送信させるとともに、受信手段24にラム波を受信させる。この状態で受信手段24が受信したラム波にも、図9(b)に示すように、A0モードの波のピークPAとS0モードの波のピークPSとの間に第3のピークPCが認められる。
【0034】
次に、グラインダ等で微細亀裂を除去した状態で、送信手段23にラム波を送信させるとともに、受信手段24にラム波を受信させる。この状態で受信手段24が受信したラム波には、図9(c)に示すように、A0モードの波のピークPAとS0モードの波のピークPSとの間に第3のピークPCは認められない。
【0035】
以上により、管の内面に微細亀裂がある場合にA0モードの波のピークPAとS0モードの波のピークPSとの間に第3のピークPCが認められることが検証される。
【0036】
尚、図11に示すように、A0モードの波のピークPAの振幅は、スケールによる減衰が15%程度認められ、微細亀裂による減衰が30%程度認められる。これにより、A0モードの波のピークPAの振幅の減衰は、スケールの蓄積、微細亀裂の有無を検査する際に補助的な指標にできる。
【0037】
また、図11に示すように、第3のピークPCの振幅は、スケールによる減衰が5%程度認められる。これにより、第3のピークPCの振幅の減衰は、スケールの蓄積を検査する際に補助的な指標にできる。
【0038】
上述した本発明の実施の形態である微細亀裂検査装置は、受信手段24が受信したラム波からA0モードの波のピークPAとS0モードの波のピークPSを特定し、A0モードの波のピークPAからS0モードの波のピークPSまでの間に第3のピークPCを検出した場合に管Tの内面に微細亀裂があると判定するので、検査する管Tを切断しなくても管Tの内面に微細亀裂があるか否かを判定できる
【0039】
また、A0モードの波のピークPAを基準に作成したラム波の包絡線EからS0モードの波のピークPSを特定し、A0モードの波のピークPAからS0モードの波のピークPSまでの間に第3のピークPCがあるか否かを検出するので、A0モードの波のピークPAからS0モードの波のピークPSまでの間に第3のピークPCがあるか否かを簡単に検出できる。
【0040】
また、送信プローブ3と受信プローブ4との間隔は、A0モードの波のピークPAとS0モードの波のピークPSを特定可能な間隔であるので、A0モードの波のピークPAとS0モードの波のピークPSとを確実に特定できる。
【0041】
また、送信プローブ3と受信プローブ4との間隔は、検査する管Tの肉厚、ラム波の周波数により定めるので、管Tの肉厚、ラム波の周波数により、所定の間隔を定めることができる。
【0042】
また、本発明の実施の形態である微細亀裂の検査方法は、受信プローブ4が受信したラム波からA0モードの波のピークPAとS0モードの波のピークPSを特定し、A0モードの波のピークPAからS0モードの波のピークPSまでの間に第3のピークPCを検出した場合に管Tの内面に微細亀裂があると判定するので、検査する管Tを切断しなくても管Tの内面に微細亀裂があるか否かを判定できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上説明したように、本発明は、管を破壊することなく、管の内面の微細亀裂の有無を検出できるので、ガスプラント等のプラントを構成する各種配管の管の内面の微細亀裂の有無の検査に好適である。
【符号の説明】
【0044】
2 装置本体
21 入力手段
211 テンキー
212 スタートキー
22 設定手段
23 送信手段
231 接続端子
24 受信手段
241 接続端子
25 表示手段
251 表示器
26 判定手段
261 A0ピーク特定手段(ピーク特定手段)
262 包絡線作成手段
263 S0ピーク特定手段(ピーク特定手段)
264 ピーク検出手段
27 制御手段
3 送信プローブ
4 受信プローブ
T 管
O 軸線
C 微細亀裂
PA A0モードの波のピーク
E 包絡線
PS S0モードの波のピーク
PC 第3のピーク
図1
図2
図3
図4
図5
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