特許第6235840号(P6235840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235840
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】インクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20171113BHJP
   B41J 2/155 20060101ALI20171113BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B41J2/01 201
   B41J2/155
   B41J2/21
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-188970(P2013-188970)
(22)【出願日】2013年9月12日
(65)【公開番号】特開2015-54452(P2015-54452A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】中村 宏幸
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−056880(JP,A)
【文献】 特開2000−141709(JP,A)
【文献】 特開2007−030198(JP,A)
【文献】 特開2006−327726(JP,A)
【文献】 特開2011−206935(JP,A)
【文献】 特開2009−045800(JP,A)
【文献】 特開平02−026753(JP,A)
【文献】 特開平10−058715(JP,A)
【文献】 特開平05−293974(JP,A)
【文献】 特開2012−153005(JP,A)
【文献】 特開2005−306012(JP,A)
【文献】 特開2010−162755(JP,A)
【文献】 特開2003−048340(JP,A)
【文献】 特開2012−139996(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0090537(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する複数のノズルがノズル配列方向に沿って所定間隔で配置され、互いに異なる色のインクを前記ノズルから吐出する複数のノズル列を有する印刷部と、
前記印刷部と印刷媒体とを前記ノズル配列方向に直交する方向に相対移動させる駆動部と、
前記印刷部と印刷媒体とを相対移動させつつ、画像データに基づき前記ノズルから印刷媒体へインクを吐出して印刷するよう前記印刷部および前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記複数のノズル列のうちの少なくとも1つのノズル列が、それ以外の少なくとも1つのノズル列に対して、前記ノズルの位置が前記ノズル配列方向にずれるように配置されており、
前記制御部は、
同一画素に対応する各色のインクのドット間の前記ノズル配列方向におけるずれ量と、前記印刷部と印刷媒体との相対移動方向における同一画素に対応する各色のインクのドット間のずれ量とが各色のインクのドット間ごとに等しくなるように、前記各ノズル列からのインクの吐出タイミングを制御し、
記ノズルの位置が前記ノズル配列方向にずれている前記ノズル列を含む複数の前記ノズル列に対応する各色のインクにより形成される、所定画素数以下の幅の前記ノズル配列方向に沿った線、および所定画素数以下の幅の前記相対移動方向に沿った線における各画素に対する各色のインク吐出量を、画像データに基づく元のインク吐出量から低減することを特徴とするインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドのノズルからインクの液滴を用紙に吐出して画像を印刷するインクジェット印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
複数色のインクでカラー印刷可能なインクジェット印刷装置は、各色のインクをそれぞれ吐出する複数のインクジェットヘッドを備える。カラー印刷の際、各インクジェットヘッドのノズルから吐出される各色のインクを、用紙上に画素ごとに重ねて着弾させる。
【0004】
ところで、ライン型のインクジェット印刷装置において、2列のノズル列を有し、この2列のノズル列の主走査方向におけるノズル位置をノズルピッチの半分(半ピッチ分)だけずらしたインクジェットヘッドを用いたものがある。そして、このようなインクジェットヘッドには、2列のノズル列が互いに異なる色のインクを吐出可能なものがある。これにより、カラー印刷可能なインクジェット印刷装置において、ノズル列が1列だけのインクジェットヘッドを用いた場合より、インクジェットヘッドの数を減らすことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−162755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようなインクジェットヘッドを複数配置する場合、全インクジェットヘッドで主走査方向における各ノズル位置が一致するように配置する。そして、前述のように、各インクジェットヘッドで2列のノズル列が半ピッチ分ずれているため、隣接するノズル列間で主走査方向に互いに半ピッチ分だけ離れた位置のノズルを同一画素の形成に使用する。
【0007】
例えば、シアン(C)のインクを吐出するノズル列と、マゼンタ(M)のインクを吐出するノズル列とが、主走査方向に半ピッチ分だけずれていることがある。この場合、同一画素を形成するシアンのインクとマゼンタのインクは、主走査方向に半ピッチ分だけ互いに離れた位置の2つのノズルから吐出される。
【0008】
このため、シアンとマゼンタによる2次色の線を印刷した場合、副走査方向に沿った線が、主走査方向に沿った線よりも太くなる。特に、1画素分の幅の細線では、この太さの違いが目立ちやすい。
【0009】
また、インクジェット印刷装置では、印刷したベタ領域内にドットで埋められていない空白部分があると、ベタ領域の印刷濃度が低下し、印刷画質が低下する。上述のようなインクジェットヘッドを用いたインクジェット印刷装置でも、ベタ領域内にドットで埋められていない空白部分が生じ、印刷画質が低下することがある。
【0010】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、印刷画質の低下を抑制できるインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るインクジェット印刷装置の第1の特徴は、インクを吐出する複数のノズルがノズル配列方向に沿って所定間隔で配置され、互いに異なる色のインクを前記ノズルから吐出する複数のノズル列を有する印刷部と、前記印刷部と印刷媒体とを前記ノズル配列方向に直交する方向に相対移動させる駆動部と、前記印刷部と印刷媒体とを相対移動させつつ、画像データに基づき前記ノズルから印刷媒体へインクを吐出して印刷するよう前記印刷部および前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記複数のノズル列のうちの少なくとも1つのノズル列が、それ以外の少なくとも1つのノズル列に対して、前記ノズルの位置が前記ノズル配列方向にずれるように配置されており、前記制御部は、同一画素に対応する各色のインクのドット間の前記ノズル配列方向におけるずれ量と、前記印刷部と印刷媒体との相対移動方向における各色のインクのドット間のずれ量とが等しくなるように、前記各ノズル列からのインクの吐出タイミングを制御することにある。
【0012】
本発明に係るインクジェット印刷装置の第2の特徴は、前記制御部は、前記ノズルの位置が前記ノズル配列方向にずれている前記ノズル列を含む複数の前記ノズル列に対応する各色のインクにより形成される、所定画素数以下の幅の前記ノズル配列方向に沿った線、および所定画素数以下の幅の前記相対移動方向に沿った線における各画素に対する各色のインク吐出量を、画像データに基づく元のインク吐出量から低減することにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るインクジェット印刷装置の第1の特徴によれば、制御部は、同一画素に対応する各色のインクのドット間のノズル配列方向におけるずれ量と、印刷部と印刷媒体との相対移動方向における各色のインクのドット間のずれ量とが等しくなるように、各ノズル列からのインクの吐出タイミングを制御する。これにより、ベタ領域における空白部分を低減できる。また、ノズルの位置がノズル配列方向にずれているノズル列を含む複数のノズル列に対応する各色のインクにより形成される、ノズル配列方向に沿った線と相対移動方向に沿った線とを、同等の太さで印刷できる。この結果、印刷画質の低下を抑制できる。
【0014】
本発明に係るインクジェット印刷装置の第2の特徴によれば、制御部は、ノズルの位置がノズル配列方向にずれているノズル列を含む複数のノズル列に対応する各色のインクにより形成される、所定画素数以下の幅のノズル配列方向に沿った線、および所定画素数以下の幅の相対移動方向に沿った線における各画素に対する各色のインク吐出量を、画像データに基づく元のインク吐出量から低減する。これにより、これらの線の太さを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係るインクジェット印刷装置の構成を示すブロック図である。
図2】搬送部およびインクジェットヘッドの概略構成図である。
図3】搬送部およびインクジェットヘッドの平面図である。
図4】ヘッドモジュールの概略構成図である。
図5】細線処理のフローチャートである。
図6】細線処理のフローチャートである。
図7】細線処理のフローチャートである。
図8】実施の形態に係るインクジェット印刷装置で印刷されたベタ画像のドットイメージの一例を示す図である。
図9】ベタ画像のドットイメージの比較例を示す図である。
図10】実施の形態に係るインクジェット印刷装置においてされた細線のドットイメージの一例を示す図である。
図11】細線のドットイメージの比較例を示す図である。
図12】細線のドットイメージの他の比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0017】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット印刷装置の構成を示すブロック図である。図2は、図1に示すインクジェット印刷装置の搬送部およびインクジェットヘッドの概略構成図である。図3は、搬送部およびインクジェットヘッドの平面図である。図4は、ヘッドモジュールの概略構成図である。
【0019】
以下の説明において、図2の紙面に直交する方向をインクジェット印刷装置における前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、図2における紙面の上下左右をインクジェット印刷装置における上下左右方向とする。図2において、左から右へ向かう方向が用紙PAの搬送方向(請求項の相対移動方向に相当)である。以下の説明における上流、下流は、搬送方向における上流、下流を意味する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係るインクジェット印刷装置1は、搬送部(請求項の駆動部に相当)2と、印刷部3と、制御部4とを備える。
【0021】
搬送部2は、用紙PAを搬送する。図2に示すように、搬送部2は、搬送ベルト11と、駆動ローラ12と、従動ローラ13,14,15とを備える。
【0022】
搬送ベルト11は、用紙PAを吸着保持して搬送する。搬送ベルト11は、駆動ローラ12および従動ローラ13〜15に掛け渡される環状のベルトである。搬送ベルト11には、用紙PAを吸着保持するためのベルト穴が多数形成されている。搬送ベルト11は、ファン(図示せず)の駆動によりベルト穴に発生する吸着力により、上面に用紙PAを吸着保持する。搬送ベルト11は、図2における時計回り方向に回転することで、吸着保持した用紙PAを右方向に搬送する。
【0023】
駆動ローラ12は、搬送ベルト11を回転させる。駆動ローラ12は、図示しないモータにより駆動される。
【0024】
従動ローラ13〜15は、搬送ベルト11を介して駆動ローラ12に従動する。従動ローラ13は、駆動ローラ12と略同じ高さで、駆動ローラ12の左側に配置されている。従動ローラ14,15は、駆動ローラ12および従動ローラ13の下方において、互いに左右方向に離間して、略同じ高さに配置されている。
【0025】
印刷部3は、搬送部2により搬送される用紙PAに画像を印刷する。印刷部3は、インクジェットヘッド21A,21Bと、ヘッド駆動部22とを備える。
【0026】
インクジェットヘッド21A,21Bは、ライン型のインクジェットヘッドであり、搬送部2により搬送される用紙PAにインクを吐出する。後述するように、インクジェットヘッド21Aは、ブラック(K)およびイエロー(Y)のインクを吐出する。インクジェットヘッド21Bは、シアン(C)およびマゼンタ(M)のインクを吐出する。インクジェットヘッド21A,21Bは、上流側からこの順で、用紙PAの搬送方向(左右方向)に沿って、所定間隔を空けて配列されている。
【0027】
インクジェットヘッド21A,21Bは、それぞれ複数のヘッドモジュール31A、複数のヘッドモジュール31Bを有する。本実施の形態では、インクジェットヘッド21A,21Bは、図3に示すように、それぞれ6個のヘッドモジュール31A、6個のヘッドモジュール31Bから構成されている。なお、インクジェットヘッド21A,21B、ヘッドモジュール31A,31Bの符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0028】
インクジェットヘッド21において、6個のヘッドモジュール31は、用紙PAの搬送方向(副走査方向)に直交する前後方向(主走査方向)に沿って千鳥配置されている。すなわち、6個のヘッドモジュール31は、前後方向に沿って配列され、かつ、1つおきに左右方向における位置をずらして配置されている。
【0029】
ヘッドモジュール31は、2色のインクを吐出する。ヘッドモジュール31は、図4に示すように、2つのインクチャンバ32U,32Dと、2列のノズル列33U,33Dとを有する。ここで、図4は、左右方向に沿った同一列のヘッドモジュール31A,31Bを下側から見た図である。なお、インクチャンバ32U,32D、ノズル列33U,33Dの符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0030】
インクチャンバ32は、インクを貯留する。インクチャンバ32には、インク経路(図示せず)を介してインクが供給される。インクチャンバ32内には、ピエゾ素子(図示せず)が配置されている。ピエゾ素子の駆動により、後述するノズル34からインクが吐出される。
【0031】
ヘッドモジュール31Aのインクチャンバ32Uには、ブラックのインクが供給される。ヘッドモジュール31Aのインクチャンバ32Dには、イエローのインクが供給される。ヘッドモジュール31Bのインクチャンバ32Uには、シアンのインクが供給される。ヘッドモジュール31Bのインクチャンバ32Dには、マゼンタのインクが供給される。
【0032】
ノズル列33U,33Dは、左右方向(副走査方向)に並列して配置されている。ノズル列33は、インクを吐出する複数のノズル34からなる。ヘッドモジュール31では、1つのノズル34から1画素に対して吐出するインクの液滴数(ドロップ数)を変えることができるようになっており、ドロップ数により濃度を表現する階調印刷が行われる。
【0033】
ノズル列33において、複数のノズル34は、主走査方向(前後方向)に沿って、所定のピッチPで等間隔に配置されている。そして、上流側のノズル列33Uのノズル34と下流側のノズル列33Dのノズル34とが、ノズル配列方向である主走査方向に半ピッチ(P/2)分だけずらして配置されている。ノズル34は、ヘッドモジュール31の下面に開口している。
【0034】
ヘッドモジュール31Aの上流側のノズル列33Uのノズル34は、ヘッドモジュール31Aのインクチャンバ32Uに供給されるブラックのインクを吐出する。ヘッドモジュール31Aの下流側のノズル列33Dのノズル34は、ヘッドモジュール31Aのインクチャンバ32Dに供給されるイエローのインクを吐出する。ヘッドモジュール31Bの上流側のノズル列33Uのノズル34は、ヘッドモジュール31Bのインクチャンバ32Uに供給されるシアンのインクを吐出する。ヘッドモジュール31Bの下流側のノズル列33Dのノズル34は、ヘッドモジュール31Bのインクチャンバ32Uに供給されるマゼンタのインクを吐出する。
【0035】
ここで、ヘッドモジュール31Aとヘッドモジュール31Bとは、主走査方向における各ノズル位置が一致するように配置されている。具体的には、ヘッドモジュール31Aのノズル列33Uとヘッドモジュール31Bのノズル列33Uとは、主走査方向における各ノズル34の位置が一致している。また、ヘッドモジュール31Aのノズル列33Dとヘッドモジュール31Bのノズル列33Dとは、主走査方向における各ノズル34の位置が一致している。
【0036】
図4のようなノズル34の配置のため、インクジェット印刷装置1では、隣接するノズル列間で主走査方向に互いに半ピッチ分だけ離れた位置のノズル34を同一画素の形成に使用する。ヘッドモジュール31A,31Bにおける同一画素に対応するノズル34の組み合わせの1つを、図4において一点鎖線で囲んで示す。
【0037】
図4に示すように、ヘッドモジュール31A,31Bにおいて、同一画素に対応するノズル列33Uのノズル34とノズル列33Dのノズル34とは、主走査方向に半ピッチ分だけずれている。また、ヘッドモジュール31Aの下流側のノズル列33Dとヘッドモジュール31Bの上流側のノズル列33Uとの間で、同一画素に対応するノズル34の主走査方向における位置が半ピッチ分だけずれている。
【0038】
ヘッド駆動部22は、インクジェットヘッド21を駆動させる。具体的には、ヘッド駆動部22は、ヘッドモジュール31のインクチャンバ32内のピエゾ素子を駆動させ、ノズル34からインクを吐出させる。
【0039】
制御部4は、インクジェット印刷装置1の各部の動作を制御する。制御部4は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0040】
制御部4は、印刷時において、用紙PAを搬送させつつ、ドロップデータに基づき、インクジェットヘッド21のノズル34から用紙PAへインクを吐出して画像を印刷するよう搬送部2および印刷部3を制御する。ドロップデータは、インクジェットヘッド21によるインク吐出に対応する形式の画像データである。
【0041】
ここで、制御部4は、同一画素に対応する各色のインクのドット間の主走査方向におけるずれ量と、副走査方向における各色のインクのドット間のずれ量とが等しくなるように、各ノズル列33からのインクの吐出タイミングを制御する。ここで、ドット間のずれ量は、ドット間の中心間距離である。
【0042】
具体的には、制御部4は、同一画素に対して、ヘッドモジュール31A,31Bのノズル列33Dからそれぞれ吐出されるイエロー、マゼンタのインクが、ヘッドモジュール31A,31Bのノズル列33Uからそれぞれ吐出されるインクにより形成されるブラック、シアンのドットよりも、副走査方向に半ピッチ(P/2)分だけずれた位置に着弾してドットを形成するように、各色のインクの吐出タイミングを制御する。
【0043】
また、制御部4は、ノズル34の位置が主走査方向にずれているノズル列33を含む複数のノズル列33に対応する各色のインクにより形成される、主走査方向に沿った細線、および副走査方向に沿った細線における各画素に対する各色のインクのドロップ数(インク吐出量)を、ドロップデータに基づく元のドロップ数から低減する。ここで、細線は、1画素分の幅の線であるとする。
【0044】
例えば、シアンとマゼンタのインクにより主走査方向に沿った細線を印刷するとする。シアンのインクを吐出するヘッドモジュール31Bのノズル列33Uと、マゼンタのインクを吐出するヘッドモジュール31Bのノズル列33Dとは、ノズル34の位置が主走査方向にずれている。この場合、制御部4は、各画素に対するシアンとマゼンタのインクのドロップ数を、元のドロップ数から低減する。
【0045】
また、シアンとマゼンタのインクにより副走査方向に沿った細線を印刷するときも、制御部4は、各画素に対するシアンとマゼンタのインクのドロップ数を、元のドロップ数から低減する。
【0046】
次に、インクジェット印刷装置1の動作について説明する。
【0047】
制御部4は、印刷を行う際、ドロップデータに対して細線処理を行う。ドロップデータは、各画素に吐出する各色のインクの液滴数(ドロップ数)を示すデータである。細線処理は、ノズル34の位置が主走査方向にずれているノズル列33を含む複数のノズル列33に対応する各色のインクにより形成される、主走査方向に沿った細線、および副走査方向に沿った細線における各画素に対する各色のインクのドロップ数を、元のドロップ数から低減する処理である。
【0048】
細線処理について、図5図7のフローチャートを参照して説明する。
【0049】
まず、図5のステップS1において、制御部4は、ドロップデータにおけるライン番号を示す変数lに「1」を設定する。ここで、ドロップデータにおける1ライン目を最も上側のラインとし、ライン番号が大きいほど下側のラインであるとする。
【0050】
次いで、ステップS2において、制御部4は、ライン上における画素番号を示す変数mに「1」を設定する。ここで、ライン上における左端の画素を1画素目とし、画素番号が大きいほど右側の画素であるとする。
【0051】
次いで、ステップS3において、制御部4は、lライン目のm番目の画素である注目画素が、第1条件を満たすか否かを判断する。
【0052】
第1条件は、注目画素が低減対象横細線画素の候補であるか否かを判定するための条件である。低減対象横細線画素は、ドロップ数の低減対象となる横細線である低減対象横細線を構成する画素である。横細線は、ドロップデータにおける左右方向に沿った細線であり、印刷時に主走査方向(または副走査方向)に沿って印刷される細線である。低減対象横細線は、ノズル34の位置が主走査方向にずれているノズル列33を含む複数のノズル列33に対応する各色のインクにより印刷される横細線である。例えば、シアンとマゼンタのインクにより印刷される横細線は、低減対象横細線である。
【0053】
制御部4は、注目画素において、対応するノズル列33の主走査方向におけるノズル34の位置がずれている色を含む複数色のドロップ数が「0」ではなく、かつ、注目画素の上下に隣接する画素においてすべての色のドロップ数が「0」である場合、第1条件を満たすと判断する。ここで、注目画素の上側に隣接する画素は、(l−1)ライン目のm番目の画素である。注目画素の下側に隣接する画素は、(l+1)ライン目のm番目の画素である。
【0054】
例えば、注目画素において、少なくともシアンとマゼンタのインクのドロップ数が「0」ではなく、かつ、注目画素の上下に隣接する画素においてすべての色のドロップ数が「0」である場合、制御部4は、注目画素は第1条件を満たすと判断する。
【0055】
なお、注目画素の上側に隣接する画素がない場合、すなわちl=1である場合は、制御部4は、注目画素の上側に隣接する画素におけるすべての色のドロップ数が「0」であるとみなす。同様に、注目画素の下側に隣接する画素がない場合、すなわち注目画素が最終ライン(最も下側のライン)の画素である場合は、制御部4は、注目画素の下側に隣接する画素におけるすべての色のドロップ数が「0」であるとみなす。
【0056】
注目画素が第1条件を満たすと判断した場合(ステップS3:YES)、ステップS4において、制御部4は、注目画素とその左側に隣接する画素との間に連続性があるか否かを判断する。注目画素の左側に隣接する画素は、lライン目の(m−1)番目の画素である。制御部4は、注目画素の左側に隣接する画素も第1条件を満たし、かつ、注目画素とその左側に隣接する画素とにおいて各色のドロップ数が同じである場合、注目画素とその左側に隣接する画素との間に連続性があると判断する。
【0057】
なお、注目画素の左側に隣接する画素がない場合、すなわちm=1である場合は、制御部4は、注目画素とその左側に隣接する画素との間に連続性はないと判断する。
【0058】
注目画素とその左側に隣接する画素との間に連続性はないと判断した場合(ステップS4:NO)、ステップS5において、制御部4は、変数mが、1ラインにおける最終画素(右端の画素)であることを示すMであるか否かを判断する。m=Mであると判断した場合(ステップS5:YES)、制御部4は、ステップS12へ進む。
【0059】
m=Mではないと判断した場合(ステップS5:NO)、ステップS6において、制御部4は、注目画素を仮の低減対象横細線画素とする。この後、制御部4は、ステップS11へ進む。
【0060】
ステップS4において、注目画素とその左側に隣接する画素との間に連続性があると判断した場合(ステップS4:YES)、ステップS7において、制御部4は、注目画素が低減対象横細線画素と判定する。
【0061】
次いで、ステップS8において、制御部4は、注目画素の左側に隣接する画素が、仮の低減対象横細線画素であるか否かを判断する。
【0062】
注目画素の左側に隣接する画素が、仮の低減対象横細線画素であると判断した場合(ステップS8:YES)、ステップS9において、制御部4は、注目画素の左側に隣接する画素を、真に低減対象横細線画素であると判定する。
【0063】
次いで、ステップS10において、制御部4は、m=Mであるか否かを判断する。
【0064】
m=Mでないと判断した場合(ステップS10:NO)、ステップS11において、制御部4は、変数mに「1」を加える。この後、制御部4は、ステップS3に戻る。
【0065】
m=Mであると判断した場合(ステップS10:YES)、ステップS12において、制御部4は、変数lが、最終ライン(最も下側のライン)であることを示すLであるか否かを判断する。
【0066】
l=Lでないと判断した場合(ステップS12:NO)、ステップS13において、制御部4は、変数lに「1」を加える。この後、制御部4は、ステップS2に戻る。l=Lであると判断した場合(ステップS12:YES)、制御部4は、図7のステップS21へ進む。
【0067】
ステップS8において、注目画素の左側に隣接する画素が、仮の低減対象横細線画素でなはいと判断した場合(ステップS8:NO)、制御部4は、ステップS9を省略して、ステップS10へ進む。
【0068】
ステップS3において、注目画素が第1条件を満たさないと判断した場合(ステップS3:NO)、図6のステップS14において、制御部4は、注目画素が第2条件を満たすか否かを判断する。
【0069】
第2条件は、注目画素が低減対象縦細線画素の候補であるか否かを判定するための条件である。低減対象縦細線画素は、ドロップ数の低減対象となる縦細線である低減対象縦細線を構成する画素である。縦細線は、ドロップデータにおける上下方向に沿った細線であり、印刷時に副走査方向(または主走査方向)に沿って印刷される細線である。低減対象縦細線は、ノズル34の位置が主走査方向にずれているノズル列33を含む複数のノズル列33に対応する各色のインクにより印刷される縦細線である。例えば、シアンとマゼンタのインクにより印刷される縦細線は、低減対象縦細線である。
【0070】
制御部4は、注目画素において、対応するノズル列33の主走査方向におけるノズル34の位置がずれている色を含む複数色のドロップ数が「0」ではなく、かつ、注目画素の左右に隣接する画素においてすべての色のドロップ数が「0」である場合、第2条件を満たすと判断する。ここで、注目画素の左側に隣接する画素は、lライン目の(m−1)番目の画素である。注目画素の右側に隣接する画素は、lライン目の(m+1)番目の画素である。
【0071】
例えば、注目画素において、少なくともシアンとマゼンタのインクのドロップ数が「0」ではなく、かつ、注目画素の左右に隣接する画素においてすべての色のドロップ数が「0」である場合、制御部4は、注目画素は第2条件を満たすと判断する。
【0072】
なお、注目画素の左側に隣接する画素がない場合、すなわちm=1である場合は、制御部4は、注目画素の左側に隣接する画素におけるすべての色のドロップ数が「0」であるとみなす。同様に、注目画素の右側に隣接する画素がない場合、すなわちm=Mである場合は、制御部4は、注目画素の右側に隣接する画素におけるすべての色のドロップ数が「0」であるとみなす。
【0073】
注目画素が第2条件を満たさないと判断した場合(ステップS14:NO)、制御部4は、図5のステップS10へ進む。
【0074】
注目画素が第2条件を満たすと判断した場合(ステップS15:YES)、ステップS15において、制御部4は、注目画素とその上側に隣接する画素との間に連続性があるか否かを判断する。注目画素の上側に隣接する画素は、(l−1)ライン目のm番目の画素である。制御部4は、注目画素の上側に隣接する画素も第2条件を満たし、かつ、注目画素とその上側に隣接する画素とにおいて各色のドロップ数が同じである場合、注目画素とその上側に隣接する画素との間に連続性があると判断する。
【0075】
なお、注目画素の上側に隣接する画素がない場合、すなわちl=1である場合は、制御部4は、注目画素とその上側に隣接する画素との間に連続性はないと判断する。
【0076】
注目画素とその上側に隣接する画素との間に連続性はないと判断した場合(ステップS15:NO)、ステップS16において、制御部4は、l=Lであるか否かを判断する。l=Lであると判断した場合(ステップS16:YES)、制御部4は、ステップS10へ進む。
【0077】
l=Lではないと判断した場合(ステップS16:NO)、ステップS17において、制御部4は、注目画素を仮の低減対象縦細線画素とする。この後、制御部4は、図5のステップS10へ進む。
【0078】
ステップS15において、注目画素とその上側に隣接する画素との間に連続性があると判断した場合(ステップS15:YES)、ステップS18において、制御部4は、注目画素が低減対象縦細線画素と判定する。
【0079】
次いで、ステップS19において、制御部4は、注目画素の上側に隣接する画素が、仮の低減対象縦細線画素であるか否かを判断する。
【0080】
注目画素の上側に隣接する画素が、仮の低減対象縦細線画素であると判断した場合(ステップS19:YES)、ステップS20において、制御部4は、注目画素の上側に隣接する画素を、真に低減対象縦細線画素であると判定する。この後、制御部4は、図5のステップS10へ進む。
【0081】
ステップS12において、l=Lであると判断した場合(ステップS12:YES)、図7のステップS21において、制御部4は、低減対象横細線と低減対象縦細線とが交差する位置の、少なくともいずれか一方の細線と同じ色構成の画素があるか否かを判断する。ここで、色構成が同じであるとは、全色のドロップ数が同じであることである。
【0082】
低減対象横細線と低減対象縦細線とが交差する位置の、少なくともいずれか一方の細線と同じ色構成の画素があると判断した場合(ステップS21:YES)、ステップS22において、制御部4は、当該画素を低減対象横細線画素または低減対象縦細線画素と判定する。この後、制御部4は、ステップS23へ進む。
【0083】
低減対象横細線と低減対象縦細線とが交差する位置の、少なくともいずれか一方の細線と同じ色構成の画素がないと判断した場合(ステップS21:NO)、制御部4は、ステップS23へ進む。
【0084】
ステップS23では、制御部4は、低減対象横細線画素および低減対象縦細線画素のドロップ数を、元のドロップ数から低減する。ここで、制御部4は、低減後の各色のドロップ数により、低減前から細線の色味が変化しないように、各色のドロップ数の低減量を決定する。以上により、細線処理が終了する。
【0085】
制御部4は、細線処理が終了すると、印刷を実行する。具体的には、制御部4は、搬送部2の駆動ローラ12を回転駆動させる。これにより、搬送ベルト11が回転する。図示しない給紙部から用紙PAが給紙されると、用紙PAが搬送部2により搬送される。制御部4は、搬送部2により搬送される用紙PAに対し、細線処理後のドロップデータに基づき、インクジェットヘッド21A,21Bを駆動させてインクの液滴を吐出させる。これにより、用紙PAに画像が印刷される。
【0086】
ここで、制御部4は、同一画素に対して、ヘッドモジュール31A,31Bのノズル列33Dからそれぞれ吐出されるイエロー、マゼンタのインクが、ヘッドモジュール31A,31Bのノズル列33Uからそれぞれ吐出されるインクにより形成されるブラック、シアンのドットよりも、副走査方向に半ピッチ(P/2)分だけずれた位置に着弾してドットを形成するように、各色のインクの吐出タイミングを制御する。
【0087】
これにより、例えば、シアンとマゼンタとによりベタ画像を印刷する場合、図8に示すようにドットが形成される。図8において、マゼンタのドット41Mは、同一画素に対応するシアンのドット41Cに対して、主走査方向および副走査方向にそれぞれ半ピッチ(P/2)分だけずれた位置に形成されている。
【0088】
主走査方向のずれは、シアンのインクを吐出するヘッドモジュール31Bのノズル列33Uと、マゼンタのインクを吐出するヘッドモジュール31Bのノズル列33Dとの間で、ノズル34の位置が半ピッチ分だけずれていることによるものである。副走査方向のずれは、シアン、マゼンタのインクの吐出タイミング制御によるものである。
【0089】
本実施の形態とは異なり、同一画素に対応するシアンのインクとマゼンタのインクとが副走査方向において同じ位置に着弾するようにしてベタ画像を印刷した場合、図9のようにドット41C,41Mが形成される。この場合、図9に破線で囲んだ部分のように、ベタ領域内にドットで埋められていない空白部分が生じることがある。
【0090】
これに対し、本実施の形態のインクジェット印刷装置1では、図8のように、ドット41C,41Mの副走査方向における位置をずらすことで、ドットで埋められていない空白部分を低減できる。
【0091】
また、例えば、シアンとマゼンタとにより主走査方向に沿った細線および副走査方向に沿った細線を印刷する場合、図10に示すようにドットが形成される。図9において、マゼンタのドット51Mは、同一画素に対応するシアンのドット51Cに対して、主走査方向および副走査方向にそれぞれ半ピッチ分だけずれた位置に形成されている。
【0092】
これにより、主走査方向に沿った細線と、副走査方向に沿った細線とが同等の太さになる。また、ドット51C,51Mは、細線処理により低減されたドロップ数(インク吐出量)で形成されたものであるため、細線の太さが抑えられている。
【0093】
本実施の形態とは異なり、細線処理を行わずに、同一画素に対応するシアンのインクとマゼンタのインクとが副走査方向において同じ位置に着弾するように、主走査方向に沿った細線および副走査方向に沿った細線を印刷した場合のドットイメージを図11に示す。
【0094】
この場合、主走査方向に沿った細線の幅方向である副走査方向においては、シアンのドット61Cの位置とマゼンタのドット61Mの位置とが同じである。これに対して、副走査方向に沿った細線の幅方向である主走査方向においては、ノズル列33U,33Dにおけるノズル34の位置のずれに応じて、ドット61C,61Mの位置が半ピッチ分ずれている。このため、副走査方向に沿った細線が、主走査方向に沿った細線よりも太く(幅が広く)なる。
【0095】
また、細線処理は行わずに、同一画素に対応するシアンのインクとマゼンタのインクとが副走査方向において半ピッチ分ずれた位置に着弾するように、主走査方向に沿った細線および副走査方向に沿った細線を印刷した場合のドットイメージを図12に示す。
【0096】
この場合、主走査方向に沿った細線と副走査方向に沿った細線とで、太さを同等にできる。しかしながら、主走査方向に沿った細線と副走査方向に沿った細線とがともに、本来の1画素分の幅よりも太い線となる。
【0097】
これに対し、本実施の形態のインクジェット印刷装置1では、図10のように、主走査方向に沿った細線と副走査方向に沿った細線とが同等の太さになるとともに、これらの細線の太さが抑えられる。
【0098】
以上説明したように、インクジェット印刷装置1では、制御部4は、同一画素に対応する各色のインクのドット間の主走査方向におけるずれ量と、副走査方向における各色のインクのドット間のずれ量とが等しくなるように、各ノズル列33からのインクの吐出タイミングを制御する。これにより、ベタ領域における空白部分を低減できる。また、ノズル34の位置が主走査方向にずれているノズル列33を含む複数のノズル列33に対応する各色のインクにより形成される、主走査方向に沿った細線と副走査方向に沿った細線とを、同等の太さで印刷できる。この結果、インクジェット印刷装置1は、印刷画質の低下を抑制できる。
【0099】
また、インクジェット印刷装置1では、制御部4は、ドロップデータに対して上述した細線処理を行って印刷を実行する。これにより、ノズル34の位置が主走査方向にずれているノズル列33を含む複数のノズル列33に対応する各色のインクにより形成される、主走査方向に沿った細線および副走査方向に沿った細線の太さを抑えることができる。
【0100】
なお、細線処理において、制御部4は、印刷に使用する用紙種類に応じて、ドロップ数の低減量を調整してもよい。具体的には、インクがにじみやすい用紙種類ほど、ドロップ数を大きく低減するようにしてもよい。これにより、用紙種類に応じて適切にドロップ数を調整できる。
【0101】
上記実施の形態では、ノズル列33U,33Dが互いに主走査方向に半ピッチ分だけずれている構成としたが、ノズル列間のずれの大きさはこれに限らない。また、上記実施の形態では、2列ずつのノズル列33U,33Dが互いに主走査方向にずれている構成としたが、ノズル列の構成はこれに限らない。互いに異なる色のインクに対応する複数のノズル列のうちの少なくとも1つのノズル列が、それ以外の少なくとも1つのノズル列に対して、ノズルの位置が主走査方向にずれるように配置されているものであれば、本発明は適用可能である。
【0102】
また、上記実施の形態では、1画素分の幅の線を細線としたが、2画素以上の所定画素数以下の幅の線を細線としてもよい。
【0103】
また、細線処理を省略してもよい。
【0104】
また、上記実施の形態では、用紙を移動させつつ印刷するライン型のインクジェット印刷装置について説明したが、これに限らず、インクジェットヘッドと用紙とを相対移動させつつ印刷するインクジェット印刷装置であれば本発明を適用できる。例えば、インクジェットヘッドを移動させつつ印刷するシリアル型のインクジェット印刷装置にも本発明は適用可能である。
【0105】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 インクジェット印刷装置
2 搬送部
3 印刷部
4 制御部
21A,21B インクジェットヘッド
31A,31B ヘッドモジュール
33U,33D ノズル列
34 ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12