特許第6235843号(P6235843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235843
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20171113BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20171113BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A61K8/46
   A61Q5/02
   A61Q19/10
【請求項の数】12
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2013-192776(P2013-192776)
(22)【出願日】2013年9月18日
(65)【公開番号】特開2015-27976(P2015-27976A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2016年6月13日
(31)【優先権主張番号】特願2012-207650(P2012-207650)
(32)【優先日】2012年9月20日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-133203(P2013-133203)
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】土井 康裕
(72)【発明者】
【氏名】内山 智子
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−081935(JP,A)
【文献】 特開昭54−134711(JP,A)
【文献】 特開昭55−043138(JP,A)
【文献】 特開昭55−056196(JP,A)
【文献】 特開昭49−078706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/46
A61Q 5/02
A61Q 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)及び(B)を含有する、皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
(A)炭素数12以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩であって、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩と炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩の合計含有量が50質量%以上であり、かつスルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量が5質量%以上25質量%以下である内部オレフィンスルホン酸塩
(B)内部オレフィンスルホン酸塩(A)及びカルボン酸基を2つ以上有するアニオン性界面活性剤を除く、硫酸基を含まないアニオン性界面活性剤
【請求項2】
前記内部オレフィンスルホン酸塩(A)の炭素数が、16以上18以下である請求項1記載の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記内部オレフィンスルホン酸塩(A)中における、内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体の含有量と内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体の含有量の質量比(ヒドロキシ体/オレフィン体)が、50/50〜100/0である請求項1又は2に記載の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記内部オレフィンスルホン酸塩(A)中における、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩の含有量と炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩の含有量の質量比(炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩/炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩)が、50/50〜99/1である請求項1〜のいずれか1項に記載の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記内部オレフィンスルホン酸塩(A)中における、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量が、20質量%未満である請求項1〜のいずれか1項に記載の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項6】
成分(B)が、下記一般式(I)〜(VI)のいずれかで表されるアニオン
性界面活性剤である請求項1〜のいずれか1項に記載の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
【化1】
(式中、R1は炭素数4以上22以下のアルキル基を示し、n1は4.0以上16以下の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【化2】
(式中、R2は炭素数4以上22以下のアルキル基を示し、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【化3】
(式中、R4は炭素数4以上22以下のアルキル基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【化4】
(式中、R5は炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【化5】
(式中、R7は炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、n2は0以上3以下の数を示し、M及びM’は、それぞれ独立して、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【化6】
(式中、R8は炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【請求項7】
炭素数12以上24以下の原料内部オレフィンをスルホン化した後、中和し、次いで加水分解することにより、前記内部オレフィンスルホン酸塩(A)を得る工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物の製造方法
【請求項8】
前記スルホン化を、炭素数12以上24以下の原料内部オレフィンに対して三酸化硫黄ガスを反応させることにより行う請求項9に記載の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項9】
前記原料内部オレフィン中における二重結合が2位に存在する原料内部オレフィンの含有量が、35質量%以下である請求項7又は8に記載の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物の製造方法
【請求項10】
前記原料内部オレフィン中における二重結合が2位に存在する内部オレフィンの合計含有量が、20質量%未満である請求項7又は8に記載の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物の製造方法
【請求項11】
請求項1〜のいずれか1項に記載の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物を毛髪に適用して洗浄した後、すすぐ、毛髪の洗浄方法。
【請求項12】
請求項1〜のいずれか1項に記載の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物を皮膚表面に適用して洗浄した後、すすぐ、身体の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー、ボディシャンプー等の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤には、油などの汚れ成分の乳化力や洗浄力といった種々の機能が求められている。なかでも、皮膚又は毛髪に用いられる洗浄剤は、工業用や衣料用、住居用の洗浄剤と異なり、洗浄力だけでなく優れた泡立ち性能に加え、泡の持続性、すすぎ性及びすすぎ後や乾燥後の感触が良好であるか否かが重要視されている。特に毛髪の場合は、すすぎ時や乾燥後における指通りの良さや髪の柔らかさが求められ、皮膚の場合は、さっぱりとした洗い上がり感が付与されるような使用感が求められている。
【0003】
こうしたなか、アニオン性界面活性剤の一種でもあるオレフィンスルホン酸塩は、一般にオレフィンをガス状三酸化硫黄含有ガスと反応させてスルホン化し、その得られたスルホン酸を中和後、更に加水分解することにより得られるものであり、様々な洗浄剤に用いられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、可溶化力、浸透力、界面張力低下能を高める目的として、特定の内部オレフィンスルホン酸塩を含有する洗浄剤組成物が開示されており、シャンプーとして使用した場合は、泡立ちが良好できしみなく感触が向上することが記載されている。また、特許文献2には、洗浄力向上を目的として特定の内部オレフィンスルホン酸塩を含有する洗浄剤組成物が開示され、シャンプーなどへの応用例が記載されており、また特許文献3にも、特定の内部オレフィンスルホン酸塩を含む低曇り点を有する水性液体洗浄剤が開示されている。一方、特許文献4には、乾燥後の毛髪のなめらかさやさらさら感の向上を図る上で、オレフィンスルホン酸塩とオクタメチルテトラシロキサンやデカメチルペンタシロキサン等の低粘度疎水性シリコーン油を含有させた洗浄剤組成物が開示されており、特許文献5には、皮膚等に低刺激であり、かつ洗浄力を高め得るものとして、特定構造の高級第2級アルコールアルコキシレート硫酸塩を含有させたシャンプー組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−81935号公報
【特許文献2】米国特許第5078916号明細書
【特許文献3】米国特許第3708437号明細書
【特許文献4】特開平1−151510号公報
【特許文献5】特開2007−015940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、皮膚又は毛髪用の洗浄剤に、上記のような特定構造の高級第2級アルコールアルコキシレート硫酸塩を含有させた場合、かかる硫酸塩においてエーテル基の導入量が少ないとアルキル硫酸塩を多量に含むため充分に刺激を軽減することができず、またエーテル基の導入が多いと泡立ちが著しく低下するおそれがある。こうしたなか、刺激性の低い硫酸基を含まない界面活性剤が開発され、低刺激性と良好な洗浄性の両立を図っているが、未だ皮膚又は毛髪用の洗浄剤として充分に満足できるレベルではない。
【0007】
したがって、本発明は、良好な泡の持続性及びすすぎ性をもたらし、毛髪においてはすすぎ後の櫛通り性を高めて柔らかさを付与することができ、また皮膚においてはべたつかずにさっぱりとした使用感を付与できる皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、種々検討したところ、特定の内部オレフィンスルホン酸塩と硫酸基を含まない特定のアニオン界面活性剤とを組み合わせて用いることにより、皮膚用洗浄剤又は毛髪用洗浄剤として優れた泡の持続性及びすすぎ性を発揮しながら、すすぎ後の毛髪に良好な櫛通り性を付与しつつ柔らかさをもたらし、さらに使用後の皮膚に対してもべたつくことなくさっぱりとした使用感を付与することができる洗浄剤組成物が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、下記(A)及び(B)を含有する、皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物(以下、「本発明の洗浄剤組成物」ともいう。)を提供するものである。
(A)炭素数12以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)内部オレフィンスルホン酸塩(A)及びカルボン酸基を2つ以上有するアニオン性界面活性剤を除く、硫酸基を含まないアニオン性界面活性剤
【0010】
また、本発明は、前記本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用して洗浄した後、すすぐ、毛髪の洗浄方法(以下、「本発明の毛髪洗浄方法」ともいう。)を提供するものである。
さらに、本発明は、前記本発明の洗浄剤組成物を皮膚表面に適用して洗浄した後、すすぐ、身体の洗浄方法(以下、「本発明の皮膚洗浄方法」ともいう。)を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の洗浄剤組成物によれば、良好な泡の持続性及びすすぎの速さ(以下、すすぎ性ともいう)をもたらすとともに、毛髪に適用した際にはすすぎ時に良好な櫛通り性や柔らかさを付与することができ、また皮膚に適用した際には皮膚に対してさっぱり感を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の洗浄剤組成物は、下記(A)及び(B)を含有する。
(A)炭素数12以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)内部オレフィンスルホン酸塩(A)及びカルボン酸基を2つ以上有するアニオン性界面活性剤を除く、硫酸基を含まないアニオン性界面活性剤
【0013】
本発明の洗浄剤組成物が、優れた泡の持続性及びすすぎ性と、毛髪ではすすぎ時の櫛通り性、柔らかさ、皮膚においてはさっぱり感を付与できる理由は明らかではないが、炭素数12以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩が適度な疎水性を有するために、すすぎによる希釈領域で容易に破泡して成分(A)及び成分(B)を含む界面活性剤成分がすばやく洗い流され、キシミやべたつきの原因となる油や活性剤などが除かれることで、すすぎ時の毛髪の櫛通り性や柔らかさが向上し、皮膚のさっぱり感が向上すると推定される。
【0014】
<内部オレフィンスルホン酸塩(A)>
本発明の洗浄剤組成物は、環境に対する安定性及び低刺激性等の観点、優れた泡の持続性及びすすぎ性の向上と、毛髪においてはすすぎ時の櫛通り性、並びに皮膚においてはさっぱり感を付与する観点から、炭素数12以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩(以下、成分(A)ともいう。)を含有する。
【0015】
本発明において、内部オレフィンスルホン酸塩は、原料である内部オレフィン(二重結合をオレフィン鎖の内部に有するオレフィン)をスルホン化、中和及び加水分解することにより得られるスルホン酸塩である。なお、かかる内部オレフィンとは、二重結合の位置が炭素鎖の1位に存在する、いわゆるα−オレフィンを微量に含有する場合も含む広義の意味である。すなわち、内部オレフィンをスルホン化すると、定量的にβ−サルトンが生成し、β−サルトンの一部は、γ−サルトン、オレフィンスルホン酸へと変化し、更にこれらは中和・加水分解工程においてヒドロキシアルカンスルホン酸塩と、オレフィンスルホン酸塩へと転換する(例えば、J. Am. Oil Chem. Soc. 69, 39(1992))。ここで、得られるヒドロキシアルカンスルホン酸塩のヒドロキシ基は、アルカン鎖の内部にあり、オレフィンスルホン酸塩の二重結合はオレフィン鎖の内部にある。また、得られる生成物は、主にこれらの混合物であり、またその一部には、炭素鎖の末端にヒドロキシ基を有するヒドロキシアルカンスルホン酸塩、又は炭素鎖の末端に二重結合を有するオレフィンスルホン酸塩が微量に含まれる場合もある。本明細書では、これらの各生成物及びそれらの混合物を総称して内部オレフィンスルホン酸塩(成分(A))という。また、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体(以下、HASともいう。)、オレフィンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体(以下、IOSともいう。)という。
【0016】
成分(A)の内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数は、泡の持続性を向上させ、すすぎ時の良好な櫛通り性や柔らかさ、皮膚のさっぱり感を付与する観点から、12以上であって、好ましくは14以上であり、より好ましくは16以上である。また、成分(A)の内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数は、すすぎ性、毛髪のすすぎ時の櫛通り性、柔らかさ、皮膚のさっぱり感の観点から、24以下であって、好ましくは20以下であり、より好ましくは18以下である。また、上記の観点から、成分(A)に含有される内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数は、12以上24以下であって、好ましくは14以上20以下であり、より好ましくは16以上18以下である。これらの種々の炭素数を有するヒドロキシ体及びオレフィン体は、原料として用いる内部オレフィンに由来するものであり、上記以外の炭素数を有するヒドロキシ体及びオレフィン体が含まれていてもよい。
【0017】
成分(A)又は洗浄剤組成物中における炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩の含有量と炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩の含有量の質量比(炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩/炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩)は、洗浄力、泡質、起泡性、泡の持続性及びすすぎ性を向上させ、すすぎ時の良好な櫛通り性や柔らかさ、皮膚のさっぱり感を付与する観点から、好ましくは50/50〜99/1であり、より好ましくは60/40〜95/5であり、更に好ましくは70/30〜90/10であり、更に好ましくは75/25〜90/10であり、また更に好ましくは75/25〜85/15であり、また更に好ましくは78/22〜85/15である。
なお、前記質量比は、高速液体クロマトグラフィー質量分析計(以下、HPLC−MSと省略)により測定できる。具体的には、成分(A)又は得られる洗浄剤組成物から、HPLCにより炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩と炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩を分離し、それぞれをMSにかけることで同定でき、そのHPLC−MSピーク面積から質量比を求めることができる。
【0018】
成分(A)中における炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩と炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩の合計含有量は、洗浄力、泡質、起泡性、泡の持続性を向上させ、すすぎ時の良好な櫛通り性や柔らかさ、皮膚のさっぱり感を付与する観点から、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上であり、また更に好ましくは80質量%以上であり、またより好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上である。なお、前記合計含有量の上限は100質量%である。
【0019】
成分(A)の内部オレフィンスルホン酸塩のスルホン酸基は、前記の製法から明らかなように、内部オレフィンスルホン酸塩の炭素鎖、すなわちオレフィン鎖又はアルカン鎖の内部に存在し、その一部に炭素鎖の末端にスルホン酸基が存在するものも微量に含まれる場合もある。本発明においては、成分(A)中において、当該スルホン酸基の位置が炭素鎖の2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量が低く、より内部に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量が高いのが、起泡性の点で好ましい。なお、成分(A)中に炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩及び炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩を含有する場合、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩及び炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩の両方について、スルホン酸基の位置が炭素鎖の2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量が低い方がより好ましい。
【0020】
成分(A)中における、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、泡立ち性や泡質、すすぎ性の向上、毛髪のすすぎ時の良好な櫛通り性や柔らかさを付与する観点から、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは24質量%以下であり、更に好ましくは23質量%以下であり、更に好ましくは22質量%以下であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは20質量%未満であり、更に好ましくは19質量%以下であり、また更に好ましくは18質量%以下である。また、成分(A)中における、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、すすぎ性、毛髪のすすぎ時の櫛通り性の観点から、好ましくは17.5質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。また、成分(A)中における、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量の下限は、生産コストの低減、生産性向上の観点及び泡の持続性、毛髪のすすぎ時の柔らかさ、皮膚のさっぱり感の観点から、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは6質量%以上であり、更に好ましくは7質量%以上であり、また更に好ましくは8質量%以上である。また、成分(A)中における、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量の下限は、泡の持続性、皮膚のさっぱり感の観点から、好ましくは9質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、好ましくは12質量%以上であり、好ましくは14質量%以上であり、好ましくは16質量%以上である。さらに、成分(A)中における、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、上記の観点から、好ましくは5質量%以上25質量%以下であり、好ましくは5質量%以上24質量%以下であり、好ましくは5質量%以上23質量%以下であり、好ましくは5質量%以上22質量%以下であり、好ましくは5質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは6質量%以上20質量%未満であり、更に好ましくは7質量%以上19質量%以下であり、また更に好ましくは8質量%以上18質量%以下であり、またより好ましくは9質量%以上17.5質量%以下である。
また、成分(A)中における、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、すすぎ性、毛髪のすすぎ時の櫛通り性の観点から、好ましくは9質量%以上17.5質量%以下であり、好ましくは9質量%以上15質量%以下であり、好ましくは9質量%以上12質量%以下であり、好ましくは9質量%以上10質量%以下である。また、成分(A)中における、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、泡の持続性、皮膚のさっぱり感の観点から、好ましくは9質量%以上18質量%以下であり、好ましくは10質量%以上18質量%以下であり、好ましくは12質量%以上18質量%以下であり、好ましくは14質量%以上18質量%以下であり、好ましくは16質量%以上18質量%以下である。
なお、成分(A)中におけるスルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、核磁気共鳴スペクトル等の方法により測定することができる。具体的には、後記の実施例に記載のガスクロマトグラフィーを用いた方法により測定できる。
【0021】
また、成分(A)中における、当該スルホン酸基の位置がオレフィン鎖又はアルカン鎖の1位に存在するオレフィンスルホン酸塩の含有量は、泡立ち性や泡質、泡の持続性、すすぎ性を向上させ、毛髪のすすぎ時の良好な櫛通り性や柔らかさ、皮膚のさっぱり感を付与する観点から、好ましくは3.0質量%以下であり、より好ましくは2.5質量%以下であり、更に好ましくは2.0質量%以下であり、また更に好ましくは1.5質量%以下であり、より更に好ましくは1.0質量%以下であり、前記含有量の下限は、生産コストの低減、生産性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上である。
【0022】
さらに、泡立ち性や泡質、泡の持続性、すすぎ性を向上させ、毛髪のすすぎ時の良好な櫛通り性や柔らかさ、皮膚のさっぱり感を付与する観点から、成分(A)中における、当該スルホン酸基の位置がオレフィン鎖又はアルカン鎖の3位から内側に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上であり、更に好ましくは80質量%以上である。
【0023】
内部オレフィンスルホン酸塩は、ヒドロキシ体とオレフィン体の混合物であることが好ましい。成分(A)又は洗浄剤組成物中における内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体の含有量と内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体の含有量の質量比(ヒドロキシ体/オレフィン体)は、生産性向上と不純物低減の観点から、好ましくは50/50〜100/0であり、より好ましくは60/40〜100/0であり、更に好ましくは70/30〜100/0であり、また更に好ましくは75/25〜100/0であり、またより好ましくは75/25〜95/5である。
【0024】
成分(A)又は本発明の洗浄剤組成物中における内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体の含有量と内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体の含有量の質量比は、成分(A)又は得られる洗浄剤組成物から、HPLCによりヒドロキシ体とオレフィン体を分離した後、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0025】
前記成分(A)の含有量は、泡の持続性及びすすぎ性を向上させ、毛髪の櫛通り性及び柔らかさ、皮膚のさっぱり感を付与する観点から、本発明の洗浄剤組成物中に、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは2質量%以上であり、更に好ましくは3質量%以上であり、より更に好ましくは5質量%以上であり、泡の持続性及びすすぎ性を向上させ、毛髪の櫛通り性及び柔らかさ、皮膚のさっぱり感の観点から、本発明の洗浄剤組成物中に、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下であり、より更に好ましくは20質量%以下であり、より更に好ましくは10質量%以下であり、より更に好ましくは8質量%以下である。また、上記の観点から、前記成分(A)の含有量は、本発明の洗浄剤組成物中に、好ましくは0.1質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以上30質量%以下であり、より更に好ましくは3質量%以上20質量%以下であり、より更に好ましくは3質量%以上10質量%以下であり、より更に好ましくは5質量%以上8質量%以下である。
【0026】
内部オレフィンスルホン酸塩(A)は、炭素数12以上24以下の内部オレフィンをスルホン化した後、中和し、次いで加水分解して得ることができる。スルホン化、中和、加水分解の条件には特に制限はなく、例えば、特許第1633184号公報、特許第2625150号公報、Tenside Surf.Det.31(5)299(1994)に記載の条件を参照することができる。
【0027】
本発明において原料内部オレフィンとは、前記の如く、二重結合をオレフィン鎖の内部に有するオレフィンをいう。原料内部オレフィンの炭素数は、得られる洗浄剤組成物の泡立ち性、泡の持続性及びすすぎ性を向上させ、すすぎ時の毛髪の櫛通り性や柔らかさ、皮膚のさっぱり感の観点から、12〜24が好ましく、12〜20がより好ましく、12〜18がより好ましく、14〜18がより好ましく、16〜18が更に好ましい。使用される内部オレフィンは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0028】
原料内部オレフィン中における二重結合が2位に存在する内部オレフィンの含有量は、泡立ち性やクリーミーで洗浄しやすい泡質を得、かつすすぎ性向上、毛髪のすすぎ時の良好な櫛通り性や柔らかさを付与する観点から、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、更に好ましくは32質量%以下であり、好ましくは30質量%以下であり、好ましくは27質量%以下であり、また、すすぎ性、毛髪の櫛通り性の観点から、より好ましくは25質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下であり、また更に好ましくは20質量%未満であり、またより好ましくは19質量%以下であり、更に好ましくは18%質量以下である。また、前記含有量の下限は、生産コストの低減、生産性向上、泡の持続性、毛髪のすすぎ時の柔らかさ、皮膚のさっぱり感の観点から、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは6質量%以上であり、更に好ましくは7質量%以上であり、更に好ましくは8質量%以上であり、更に好ましくは9質量%以上であり、更に好ましくは12質量%以上であり、更に好ましくは15質量%以上であり、また、泡の持続性、皮膚のさっぱり感の観点から、更に好ましくは20質量%以上であり、更に好ましくは22質量%以上であり、更に好ましくは24質量%以上である。また、上記の観点から、好ましくは5質量%以上40質量%以下であり、好ましくは5質量%以上35質量%以下であり、好ましくは5質量%以上32質量%以下であり、好ましくは5質量%以上30質量%以下であり、好ましくは6質量%以上30質量%以下であり、好ましくは7質量%以上30質量%以下であり、好ましくは8質量%以上30質量%以下であり、好ましくは9質量%以上30質量%以下であり、好ましくは12質量%以上30質量%以下であり、好ましくは15質量%以上27質量%以下である。
また、原料内部オレフィン中における二重結合が2位に存在する内部オレフィンの含有量は、すすぎ性、毛髪の櫛通り性の観点から、好ましくは15質量%以上25質量%以下であり、好ましくは15質量%以上20質量%以下であり、好ましくは15質量%以上20質量%未満であり、好ましくは15質量%以上19質量%以下であり、好ましくは15質量%以上18質量%以下である。また、原料内部オレフィン中における二重結合が2位に存在する内部オレフィンの含有量は、泡の持続性、皮膚のさっぱり感の観点から、好ましくは20質量%以上27質量%以下であり、好ましくは22質量%以上27質量%以下であり、好ましくは24質量%以上27質量%以下である。
【0029】
また、泡立ち性や泡質、泡の持続性、すすぎ性を向上させ、毛髪のすすぎ時の良好な櫛通り性や柔らかさ、皮膚のさっぱり感を付与する観点から、原料内部オレフィン中における二重結合が1位に存在するオレフィン、いわゆるα−オレフィンの含有量は、好ましくは3.0質量%以下であり、より好ましくは2.5質量%以下であり、更に好ましくは2.0質量%以下であり、また更に好ましくは1.5質量%以下であり、より更に好ましくは1.0質量%以下であり、前記含有量の下限は、生産コストの低減、生産性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上である。
【0030】
さらに、泡立ち性や泡質、泡の持続性、すすぎ性を向上させ、毛髪のすすぎ時の良好な櫛通り性や柔らかさ、皮膚のさっぱり感を付与する観点から、原料内部オレフィン中における二重結合が3位から内側に存在する原料内部オレフィンの合計含有量は、好ましくは65質量%以上であり、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上であり、更に好ましくは80質量%以上である。
【0031】
原料内部オレフィン中における二重結合の分布は、ガスクロマトグラフ質量分析計(以下、GC−MSと省略)を用いて実施例に記載した方法により測定することができる。具体的には、ガスクロマトグラフ分析計(以下、GCと省略)により炭素鎖長及び二重結合位置の異なる各成分を正確に分離し、それぞれを質量分析計(以下、MSと省略)にかけることで、その二重結合位置を同定することができ、そのGCピーク面積から各々の割合を求めることができる。
【0032】
スルホン化反応は、原料内部オレフィン1モルに対し三酸化硫黄ガスを1.0〜1.2モル反応させることにより行うことができる。反応温度は、20〜40℃で行うことができる。
【0033】
中和は、スルホン酸基の理論値に対し1.0〜1.5モル倍量の水酸化ナトリウム、アンモニア、2−アミノエタノール等のアルカリ水溶液を反応させることにより行なわれる。
【0034】
加水分解反応は、水の存在下90〜200℃で30分〜3時間反応を行えばよい。これらの反応は、連続して行うことができる。また反応終了後は、抽出、洗浄等により精製することができる。
【0035】
なお、内部オレフィンスルホン酸塩(A)を製造するにあたり、炭素数12〜24に分布を有する原料内部オレフィンを用いてスルホン化、中和、加水分解の処理を行ってもよく、単一の炭素数を有する原料内部オレフィンを用いてスルホン化、中和、加水分解の処理を行ってもよく、また必要に応じて予め製造した異なる炭素数を有する複数種の内部オレフィンスルホン酸塩を混合してもよい。
【0036】
本発明の内部オレフィンスルホン酸塩(A)は、前述のように内部オレフィンをスルホン化、中和、加水分解することにより得られることから、当該成分(A)中には未反応の原料内部オレフィン及び無機化合物が残存する可能性がある。これらの成分の含有量は少ないほうが好ましい。
本発明の成分(A)中における原料内部オレフィンの含有量は、泡の持続性、すすぎ性を向上させ、毛髪のすすぎ時の良好な櫛通り性や柔らかさ、皮膚のさっぱり感を付与する観点から、成分(A)中に5.0質量%未満が好ましく、3.0質量%未満がより好ましく、1.5質量%未満がより好ましく、1.0質量%未満が更に好ましい。
【0037】
未反応の内部オレフィンの含有量は、後記実施例に記載の方法により測定できる。
【0038】
本発明の成分(A)中における無機化合物の含有量は、泡の持続性、すすぎ性を向上させ、毛髪のすすぎ時の良好な櫛通り性や柔らかさ、皮膚のさっぱり感を付与する観点から、成分(A)中に7.5質量%未満が好ましく、5.0質量%未満がより好ましく、3.0質量%未満が更に好ましく、2.0質量%未満が更に好ましく、1.6質量%未満がまた更に好ましい。
【0039】
ここで、無機化合物には、硫酸塩、アルカリ剤が含まれ、これらの無機化合物の含有量
は、電位差滴定で測定できる。具体的には、後記実施例に記載の方法により測定できる。
【0040】
<成分(A)及びカルボン酸基を2つ以上有するアニオン性界面活性剤を除く、硫酸基を含まないアニオン性界面活性剤(B)>
本発明の洗浄剤組成物は、泡の持続性及びすすぎ性を向上させ、毛髪の櫛通り性や柔らかさ及び皮膚にさっぱり感を付与する観点、及び皮膚刺激性を低減する観点から、前記成分(A)及びカルボン酸基を2つ以上有するアニオン性界面活性剤を除く、硫酸基を含まないアニオン性界面活性剤(以下、成分(B)ともいう。)を含有する。ここで、成分(B)としてN−アシルグルタミン酸塩等のカルボン酸基を2つ以上有するアニオン性界面活性剤を用いると、低刺激性は向上するものの、泡立ち性やすすぎ性、すすぎ後のさっぱり感が低下するため除かれる。
【0041】
成分(B)としては、泡の持続性及びすすぎ性を向上させ、毛髪の櫛通り性、柔らかさおよび皮膚のさっぱり感を付与する観点、皮膚刺激性を低減する観点から、1つのカルボン酸基を有するアニオン性界面活性剤又はスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤が好ましい。
【0042】
前記成分(B)の好ましい具体例としては、脂肪酸、下記一般式(I)のアルキルエーテル酢酸、アルキルサルコシン、アルキルグリシン、アルキルアラニン、スルホコハク酸、α−オレフィンスルホン酸、2級アルカンスルホネート、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルイセチオン酸、アルキルスルホ酢酸及びそれらの塩が挙げられる。このうち、泡立ちと低刺激性との両立の観点、並びに泡の持続性及びすすぎ性を向上させ、毛髪の櫛通り性、柔らかさおよび皮膚のさっぱり感を付与する観点から、2級アルカンスルホネート、アルキルイセチオン酸、アルキルスルホ酢酸、脂肪酸、下記一般式(I)のアルキルエーテル酢酸、アルキルサルコシン、スルホコハク酸、及びそれらの塩が
好ましく、下記一般式(I)〜(VI)のいずれかで表されるアニオン性界面活性剤であることがより好ましい。
【0043】
【化1】
(式中、R1は炭素数4以上22以下のアルキル基を示し、n1は4.0以上16以下の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【0044】
前記一般式(I)において、泡の持続性及びすすぎ性を高め、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、及び本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、R1は炭素数4以上22以下のアルキル基であり、好ましくは、8以上18以下であり、より好ましくは10以上16以下であり、更に好ましくは12以上14以下である。また、前記一般式(I)において、泡の持続性及びすすぎ性を向上させ、毛髪の櫛通り性、柔らかさおよび皮膚にさっぱり感を付与する観点、洗浄剤組成物の起泡性と低刺激性の観点から、n1は、エチレンオキシ基の平均付加モル数であって、4以上16以下の数であり、好ましくは4以上10以下の数であり、より好ましくは4.5以上10以下の数であり、更に好ましくは4.5以上6以下の数である。また、前記一般式(I)において、泡の持続性及びすすぎ性を向上させ、毛髪の櫛通り性、柔らかさおよび皮膚にさっぱり感を付与する観点、水溶性向上の観点から、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、好ましくは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、より好ましくはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、更に好ましくはアルカリ金属、更に好ましくはナトリウム又はカリウムである。
【0045】
前記一般式(I)で表される化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸カリウム、又はポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等が挙げられ、具体的な市販品としては、例えば、三洋化成工業(株)の「ビューライト」、花王(株)の「カオーアキポRLM」シリーズ、Rhodia社製の「Miracare」シリーズ等が挙げられる。
【0046】
【化2】
(式中、R2は炭素数4以上22以下のアルキル基を示し、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【0047】
前記一般式(II)において、泡の持続性及びすすぎ性を高め、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、及び本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、R2は炭素数4以上22以下のアルキル基であり、好ましくは8以上18以下であり、より好ましくは10以上16以下であり、更に好ましくは12以上14以下である。また、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、泡立ち性の観点から、好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくは水素原子である。また、前記一般式(II)において、泡の持続性及びすすぎ性を高め、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点、及び水溶性向上の観点から、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、好ましくは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、より好ましくはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、更に好ましくはアルカリ金属、更に好ましくはナトリウム又はカリウムである。
【0048】
前記一般式(II)で表される化合物としては、例えば、ココイルイセチオン酸アンモニウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、又はココイルメチルイセチオン酸ナトリウムが挙げられ、具体的な市販品としては、イノスペック社製、「イセルクスLQ-CLR」、日油(株)の「ダイヤポンCI」シリーズ、Clariant社製の「Hostapon STCI」シリーズ、BASF社製の「Jordapon CI」シリーズ等が挙げられる。
【0049】
【化3】
(式中、R4は炭素数4以上22以下のアルキル基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【0050】
前記一般式(III)において、泡の持続性及びすすぎ性を高め、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、及び本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、R4は炭素数4以上22以下のアルキル基であり、好ましくは8以上18以下であり、より好ましくは10以上16以下であり、更に好ましくは12以上14以下である。また、前記一般式(III)において、泡の持続性及びすすぎ性を高め、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点、及び水溶性向上の観点から、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、好ましくは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、より好ましくはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、更に好ましくはアルカリ金属、更に好ましくはナトリウム又はカリウムである。
【0051】
前記一般式(III)で表される化合物としては、例えば、ココスルホ酢酸ナトリウム、又はラウリルスルホ酢酸ナトリウムが挙げられ、具体的な市販品としては、日光ケミカルズ(株)、「NIKKOL LSA−F」、Stepan社製の「Lathanol LAL」が挙げられる。
【0052】
【化4】
(式中、R5は炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【0053】
前記一般式(IV)において、泡の持続性及びすすぎ性を高め、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、及び本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、R5は炭素数8以上22以下のアルキル基であり、好ましくは8以上18以下であり、より好ましくは10以上16以下であり、更に好ましくは12以上14以下である。また、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、洗浄性と水溶性の観点から、好ましくは水素原子又はメチル基、より好ましくは水素原子である。また、前記一般式(IV)において、泡の持続性及びすすぎ性を高め、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点、及び水溶性向上の観点から、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、好ましくは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、より好ましくはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、更に好ましくはアルカリ金属、更に好ましくはナトリウム又はカリウムである。
【0054】
前記一般式(IV)で表される化合物としては、例えば、ココイルサルコシンカリウム、ココイルサルコシナトリウム、ココイルサルコシントリエタノールアミン、ラウロイルサルコシンナトリウム、又はパルミトイルサルコシンナトリウム等が挙げられ、具体的な市販品としては、日光ケミカルズ(株)の「NIKKOL サルコシネート CN−30」や「CT−30」、「PN」などサルコシネートシリーズ、川研ファインケミカル(株)の「ソイポンSC」、「ソイポンSCTA」や「SLE」、「SLP」などのソイポンシリーズ、日油(株)の「フィレットC」、CRODA社の「CRODASINIC LS30」が挙げられる。
【0055】
【化5】
(式中、R7は炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、n2は0以上3以下の数を示し、M及びM’は、それぞれ独立して、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【0056】
前記一般式(V)において、泡の持続性及びすすぎ性を高め、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、及び本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、R7は炭素数8以上22以下のアルキル基であり、好ましくは8以上18以下であり、より好ましくは10以上16以下であり、更に好ましくは12以上14以下である。また、前記一般式(V)において、泡の持続性及びすすぎ性を高め、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点、及び水溶性向上の観点から、MおよびM’は、それぞれ独立して、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、好ましくは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、より好ましくはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、更に好ましくはアルカリ金属、更に好ましくはナトリウム又はカリウムである。
【0057】
前記一般式(V)で表される化合物としては、例えば、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、スルホコハク酸ラウレス2ナトリウム、又はスルホコハク酸ラウレスマグネシウムが挙げられ、具体的な市販品としては、EVONIK GOLDSCHMIDT社の「REWOPOL SBFA30B」、新日本理化(株)の「リカマイルド ES−100」、東邦化学工業(株)の「コハクールL−300」などのコハクールシリーズが挙げられる。
【0058】
【化6】
(式中、R8は炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【0059】
前記一般式(VI)において、泡の持続性及びすすぎ性を高め、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、及び本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、R8は炭素数8以上22以下のアルキル基であり、好ましくは8以上20以下であり、より好ましくは10以上18以下であり、更に好ましくは12以上16以下である。また、前記一般式(VI)において、泡の持続性及びすすぎ性を高め、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点、及び水溶性向上の観点から、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、好ましくは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、より好ましくはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムであり、更に好ましくはアルカリ金属、更に好ましくはナトリウム又はカリウムである。
【0060】
前記一般式(VI)で表される化合物としては、例えば、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、又はラウリン酸カリウムが挙げられ、具体的な市販品としては、花王(株)の「ルナック」のシリーズ、「プライオリーB100」、日油(株)の「NAA−122」が挙げられる。
【0061】
前記成分(B)の含有量は、低刺激性の観点、泡の持続性の観点、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、及び本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、本発明の洗浄剤組成物中に、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、2質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましい。また、本発明の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物による泡の持続性及びすすぎ性を向上させ、すすぎ時の毛髪の柔らかさ、皮膚のさっぱり感を付与する観点から、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。また、上記の観点から、0.01〜30質量%が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.5〜15質量%が更に好ましく、2〜10質量%がより好ましく、4〜8質量%が更に好ましい。
【0062】
また、前記成分(A)の含有量と前記成分(B)の含有量の質量比[成分(A)/成分(B)]は、泡の持続性及びすすぎ性を向上させ、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、及び本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、好ましくは0.01〜100であり、より好ましくは0.05〜20であり、更に好ましくは0.1〜10であり、より更に好ましくは0.2〜6であり、更に好ましくは0.3〜6であり、より更に好ましくは0.5〜6である。
【0063】
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記成分(A)及び成分(B)以外の界面活性剤(以下、成分(C)ともいう。)を含有することができる。
【0064】
前記成分(A)及び成分(B)以外の界面活性剤としては、通常、医薬品、医薬部外品、化粧料、トイレタリー、雑貨等で用いられる界面活性剤であればいずれも用いることができ、具体的には、前記成分(A)及び成分(B)以外のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤が挙げられる。なかでも、洗浄性、起泡性及び泡質向上の観点から、前記成分(A)及び成分(B)以外の界面活性剤は、前記成分(A)及び成分(B)以外のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤であることが好ましい。
【0065】
前記成分(A)及び前記成分(B)以外のアニオン性界面活性剤としては、泡立ち性や洗浄力の観点から、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル塩、アシルグルタミン酸塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体等のアミノ酸塩が挙げられるが、低刺激性をより高める観点から、前記リン酸エステル塩又はアミノ酸塩が好ましく、アミノ酸塩がより好ましい。
【0066】
また、前記成分(A)及び前記成分(B)以外のアニオン性界面活性剤は、洗浄性、起泡性及び泡質の観点、泡の持続性、すすぎ性、並びに本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際に櫛通り性や柔らかさを付与する観点、及び本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有することが好ましく、炭素数10〜16のアルキル基又はアルケニル基を有することがより好ましい。
【0067】
なお、低刺激性をより高める観点から、前記成分(A)及び前記成分(B)以外のアニオン性界面活性剤のうち、前記硫酸エステル塩等のように硫酸基を含むアニオン性界面活性剤の含有量を低減するのが好ましい。前記硫酸基を含むアニオン性界面活性剤の含有量は、良好な洗浄性、起泡性及び泡質を確保しつつ低刺激性の向上を図る観点から、本発明の洗浄剤組成物中に、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下であり、不可避的に混入する場合を除き、硫酸基を含むアニオン性界面活性剤を含有しないのが好ましい。
【0068】
前記ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油等のポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤と、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型ノニオン性界面活性剤及び脂肪酸アルカノールアミドが挙げられる。
【0069】
前記両性界面活性剤としては、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤及びアルキルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド型界面活性剤等が挙げられる。
なかでも、本発明の洗浄剤組成物の洗浄性及び洗浄時の泡量、泡質の観点、並びに本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際に櫛通り性や柔らかさを付与する観点、及び本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、イミダゾリン系ベタイン、スルホベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましく、具体的には、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルカルボメトキシメチルヒドロキシイミダゾリウムベタイン、ジメチルアミノ酢酸ベタイン又はラウリルヒドロキシスルホベタインがより好ましい。
【0070】
前記陽イオン性界面活性剤としては、下記一般式(1)で表される3級アミンの鉱酸又は有機酸の塩、及び下記一般式(2)で表される四級アンモニウム塩型界面活性剤が挙げられる。
【0071】
【化7】
【0072】
(式中、R9は、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数6〜28の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R10は、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数1〜28の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルカノール基を示し、R11は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルカノール基を示す。)
【0073】
一般式(1)において、R9の炭素数は、泡の持続性及びすすぎ性を向上させ、毛髪の櫛通り性、柔らかさおよび皮膚のさっぱり感を付与する観点、皮膚刺激性を低減する観点から、12〜28が好ましく、14〜25がより好ましく、16〜25が更に好ましい。R10の炭素数は、同様の観点から、好ましくは12〜28であり、より好ましくは14〜25であり、更に好ましくは16〜25であり、又はメチル基、エチル基、又はヒドロキシルエチル基が好ましい。R11は、同様の観点から、メチル基、エチル基、又はヒドロキシルエチル基が好ましい。
【0074】
一般式(1)で表される3級アミンと塩を形成する鉱酸又は有機酸は特に限定されないが、界面活性剤の分散安定性の観点から、ハロゲン化水素、硫酸、酢酸、クエン酸、乳酸、グルタミン酸及び炭素数1〜3のアルキル硫酸が好ましく、ハロゲン化水素としては、化学的安定性の観点から塩化水素が好ましい。
【0075】
【化8】
【0076】
(式中、R12は、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数6〜28の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R13は、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数1〜28の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルカノール基を示し、R14及びR15は、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Z-は、アンモニウム塩の対イオンであるアニオン性基を示す。)
【0077】
一般式(2)において、R12の好ましい態様は、泡の持続性、すすぎ性を向上させ、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際に櫛通り性や柔らかさを付与する観点及び本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、一般式(1)におけるR9の好ましい態様と同じである。同様の観点から、R13の好ましい態様は、一般式(1)におけるR10の好ましい態様と同じである。また、同様の観点から、R14及びR15は、メチル基、エチル基が好ましい。
【0078】
-はアニオン性基であれば特に限定されない。その具体例としてはアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、アルキルカルボキシレートイオン、及びハロゲン化物イオン等が挙げられる。これらの中では、製造の容易さ及び入手性の観点から、ハロゲン化物イオンが好ましい。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンが挙げられるが、化学的安定性の観点から、塩化物イオン、臭化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
【0079】
本発明の洗浄剤組成物における成分(C)の含有量は、すすぎ性を向上させ、本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、及び本発明の洗浄剤組成物を身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、本発明の洗浄剤組成物中に、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下であり、より更に好ましくは15質量%以下であり、より更に好ましくは10質量%以下であり、より更に好ましくは5質量%以下である。また、前記成分(C)の含有量は、洗浄剤組成物の外観や安定性の向上、泡立ち、泡質及び泡の持続性の向上の観点から、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上である。
【0080】
また、前記成分(A)の含有量と前記成分(C)の含有量の質量比[成分(A)/成分(C)]は、本発明の洗浄剤組成物で処理した際の泡の持続性及びすすぎ性を向上させる観点、並びに本発明の洗浄剤組成物を毛髪に適用した際にすすぎ時の毛髪の櫛通り性を良好にし、柔らかさを付与する観点、及び身体に適用した際に皮膚にさっぱり感を付与する観点から、好ましくは1000〜0.1であり、より好ましくは100〜1であり、更に好ましくは50〜2であり、より更に好ましくは20〜3である。
【0081】
<その他の成分>
【0082】
本発明の洗浄剤組成物は、前記成分以外に、成分(A)を製造する際における媒体ともなり得る水、減粘剤、多価アルコール類、防腐剤、還元剤のほか、通常の化粧品原料として用いられる他の成分を含有することができる。このような成分としては、感触向上剤、増粘剤、香料、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、キレート剤、酸化防止剤、着色剤、防腐剤、pH調整剤、粘度調整剤、パール光沢剤、湿潤剤等が挙げられる。
【0083】
<皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物の製造方法>
本発明の洗浄剤組成物の製造方法には特に制限はなく、常法により製造することができる。具体的には、例えば、液状毛髪用シャンプーの場合は、水、前記成分(A)、前記成分(B)、必要に応じて前記成分(C)を加温し、均一混合する。前記成分(A)は、必要に応じて、予め水に分散又は溶解させた後に添加してもよい。前記成分(A)を界面活性剤水溶液に添加後、均一溶解又は分散後、冷却し、必要に応じて、パール化剤、pH調整剤、香料、色素等を加え調製することもできる。
【0084】
また、本発明の洗浄剤組成物の剤型も特に制限されず、液体状、泡状、ペースト状、クリーム状、固形状、粉末状等、任意の剤型とすることができるが、液体状、ペースト状又はクリーム状とすることが好ましく、液体状とすることがより好ましい。液体状とする場合には、液体媒体として水の他、ポリエチレングリコール、エタノール等を用いるのが好ましく、水の含有量は、本発明の洗浄剤組成物中に、10質量%以上95質量%以下が好ましい。
【0085】
<用途、使用方法>
本発明の洗浄剤組成物は、優れた泡の持続性及びすすぎ性と、すすぎ時の毛髪の櫛通り性や柔らかさ、皮膚のさっぱり感をもたらすことができ、毛髪用洗浄剤組成物又は皮膚用洗浄剤組成物として好適に用いることができる。毛髪用洗浄剤組成物の具体例としては、ヘアシャンプーが挙げられる。皮膚用洗浄剤組成物の具体例としては、ボディシャンプー、洗顔料、メイククリアジェル、又はハンドソープが挙げられる。
【0086】
さらに本発明の洗浄剤は、優れた泡の持続性及びすすぎ性と、すすぎ時の毛髪の櫛通り性や柔らかさ、皮膚のさっぱり感をもたらすことができるため、前記本発明の皮膚又は毛髪用洗浄剤を毛髪に適用して洗浄した後、すすぐ毛髪の洗浄方法も提供される。また、前記本発明の洗浄剤を皮膚表面に適用して洗浄して、すすぐ身体の洗浄方法も提供される。なお、本発明の洗浄剤の皮膚又は毛髪への適用方法、洗浄方法、及びすすぎ方法には、特に制限はなく、種々の方法が適用されうる。
【0087】
上述した実施態様に関し、本発明はさらに以下の皮膚又は毛髪用洗浄剤、及びかかる皮膚又は毛髪用洗浄剤を用いた毛髪の洗浄方法、及び身体の洗浄方法を開示する。
[1]下記(A)及び(B)を含有する、皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
(A)炭素数12以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩を含有する内部オレフィンスルホン酸塩組成物
(B)内部オレフィンスルホン酸塩組成物(A)及びカルボン酸基を2つ以上有するアニオン性界面活性剤を除く、硫酸基を含まないアニオン性界面活性剤
[2]内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数は、好ましくは14以上であり、より好ましくは16以上であり、好ましくは20以下であり、より好ましくは18以下である上記[1]の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[3]成分(A)に含有される炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩の含有量と炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩の含有量の質量比(炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩/炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩)は、好ましくは50/50〜99/1であり、より好ましくは60/40〜95/5であり、更に好ましくは70/30〜90/10であり、更に好ましくは75/25〜90/10であり、また更に好ましくは75/25〜85/15であり、また更に好ましくは78/22〜85/15である上記[1]又は[2]の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[4]成分(A)中における炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩と炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩の合計含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上であり、より更に好ましくは80質量%以上であり、また更に好ましくは90質量%以上であり、またより好ましくは95質量%以上である上記[1]〜[3]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
【0088】
[5]成分(A)中におけるスルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは24質量%以下であり、更に好ましくは23質量%以下であり、また更に好ましくは22質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下であり、また更に好ましくは20質量%未満であり、また更に好ましくは19質量%以下であり、また更に好ましくは18質量%以下である上記[1]〜[4]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[6]成分(A)中におけるスルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、好ましくは5質量%以上25質量%以下であり、好ましくは5質量%以上24質量%以下であり、好ましくは5質量%以上23質量%以下であり、好ましくは5質量%以上22質量%以下であり、好ましくは5質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは6質量%以上20質量%未満であり、更に好ましくは7質量%以上19質量%以下であり、また更に好ましくは8質量%以上18質量%以下であり、またより好ましくは9質量%以上17.5質量%以下である上記[1]〜[5]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[7]成分(A)中におけるスルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、好ましくは9質量%以上17.5質量%以下であり、好ましくは9質量%以上15質量%以下であり、好ましくは9質量%以上12質量%以下であり、好ましくは9質量%以上10質量%以下である上記[1]〜[6]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[8]成分(A)中におけるスルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、好ましくは9質量%以上18質量%以下であり、好ましくは10質量%以上18質量%以下であり、好ましくは12質量%以上18質量%以下であり、好ましくは14質量%以上18質量%以下であり、好ましくは16質量%以上18質量%以下である上記[1]〜[7]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[9]成分(A)中におけるスルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは6質量%以上であり、更に好ましくは7質量%以上であり、更に好ましくは8質量%以上であり、好ましくは9質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、好ましくは12質量%以上であり、好ましくは14質量%以上であり、好ましくは16質量%以上である上記[1]〜[8]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[10]成分(A)中におけるスルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは20質量%未満であり、更に好ましくは19質量%以下であり、また更に好ましくは18質量%未満であり、またより好ましくは17.5質量%以下であり、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは6質量%以上であり、更に好ましくは7質量%以上であり、また更に好ましくは8質量%以上であり、またより好ましくは9質量%以上である上記[1]〜[9]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
【0089】
[11]成分(A)中における、スルホン酸基の位置がオレフィン鎖又はアルカン鎖の1位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、好ましくは3.0質量%以下であり、より好ましくは2.5質量%以下であり、更に好ましくは2.0質量%以下であり、また更に好ましくは1.5質量%以下であり、より更に好ましくは1.0質量%以下であり、好ましくは0.01質量%以上である上記[1]〜[10]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[12]成分(A)中における内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体の含有量と内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体の含有量の質量比(ヒドロキシ体/オレフィン体)は、好ましくは50/50〜100/0であり、より好ましくは60/40〜100/0であり、更に好ましくは70/30〜100/0であり、また更に好ましくは75/25〜100/0であり、またより好ましくは75/25〜95/5である上記[1]〜[11]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤。
[13]原料内部オレフィンをスルホン化し、中和し、加水分解して、成分(A)を得る場合、原料内部オレフィン中における二重結合が2位に存在する内部オレフィンの含有量は、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、更に好ましくは32質量%以下であり、また更に好ましくは30質量%以下であり、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは6質量%以上であり、更に好ましくは7質量%以上であり、更に好ましくは8質量%以上であり、更に好ましくは9質量%以上であり、更に好ましくは12質量%以上であり、更に好ましくは15質量%以上である上記[1]〜[12]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[14]原料内部オレフィンをスルホン化し、中和し、加水分解して、成分(A)を得る場合、原料内部オレフィン中における二重結合が2位に存在する内部オレフィンの含有量は、好ましくは5質量%以上40質量%以下であり、好ましくは5質量%以上35質量%以下であり、好ましくは5質量%以上32質量%以下であり、好ましくは5質量%以上30質量%以下であり、好ましくは6質量%以上30質量%以下であり、好ましくは7質量%以上30質量%以下であり、好ましくは8質量%以上30質量%以下であり、好ましくは9質量%以上30質量%以下であり、好ましくは12質量%以上30質量%以下であり、好ましくは15質量%以上27質量%以下である上記[1]〜[13]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤。
[15]原料内部オレフィンをスルホン化し、中和し、加水分解して、成分(A)を得る場合、原料内部オレフィン中における二重結合が2位に存在する内部オレフィンの含有量は、好ましくは15質量%以上25質量%以下であり、好ましくは15質量%以上20質量%以下であり、好ましくは15質量%以上20質量%未満であり、好ましくは15質量%以上19質量%以下であり、好ましくは15質量%以上18質量%以下である上記[1]〜[14]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤。
[16]原料内部オレフィンをスルホン化し、中和し、加水分解して、成分(A)を得る場合、原料内部オレフィン中における二重結合が2位に存在する内部オレフィンの含有量は、好ましくは20質量%以上27質量%以下であり、好ましくは22質量%以上27質量%以下であり、好ましくは24質量%以上27質量%以下である上記[1]〜[15]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤。
【0090】
[17]洗浄剤組成物中における、成分(A)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは2質量%以上であり、より更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下であり、より更に好ましくは20質量%以下である上記[1]〜[16]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
【0091】
[18]成分(A)中における原料内部オレフィンの含有量が、成分(A)中に好ましくは5.0質量%未満であり、より好ましくは3.0質量%未満であり、更に好ましくは1.5質量%未満であり、更に好ましくは1.0質量%未満である上記[1]〜[17]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[19]成分(A)中における無機化合物の含有量が、成分(A)中に好ましくは7.5質量%未満であり、より好ましくは5.0質量%未満であり、更に好ましくは3.0質量%未満であり、更に好ましくは2.0質量%未満であり、また更に好ましくは1.6質量%未満である上記[1]〜[18]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[20]成分(B)は、好ましくは1つのカルボン酸基を有するアニオン性界面活性剤又はスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤であり、より好ましくは脂肪酸、一般式(I)のアルキルエーテル酢酸、アルキルサルコシン、アルキルグリシン、アルキルアラニン、スルホコハク酸、α−オレフィンスルホン酸、2級アルカンスルホネート、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルイセチオン酸、アルキルスルホ酢酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは2級アルカンスルホネート、アルキルイセチオン酸、アルキルスルホ酢酸、脂肪酸、一般式(I)のアルキルエーテル酢酸、アルキルサルコシン、スルホコハク酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上である上記[1]〜[19]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
【0092】
[21]成分(B)は、好ましくは下記一般式(I)〜(VI)のいずれかで表されるアニオン性界面活性剤である上記[1]〜[20]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
【化9】
(式中、R1は炭素数4以上22以下のアルキル基を示し、n1は4.0以上16以下の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【化10】
(式中、R2は炭素数4以上22以下のアルキル基を示し、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【化11】
(式中、R4は炭素数4以上22以下のアルキル基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【化12】
(式中、R5は炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【化13】
(式中、R7は炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、n2は0以上3以下の数を示し、M及びM’は、それぞれ独立して、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【化14】
(式中、R8は炭素数8以上22以下のアルキル基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【0093】
[22]成分(B)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上であり、0.05質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、2質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましく、好ましくは30質量%以下であり、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい上記[1]〜[21]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[23]成分(A)の含有量と成分(B)の含有量の質量比[成分(A)/成分(B)]は、好ましくは0.01〜100であり、より好ましくは0.05〜20であり、更に好ましくは0.1〜10であり、また更に好ましくは0.2〜6であり、更に好ましくは0.3〜6であり、より更に好ましくは0.5〜6である上記[1]〜[22]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
【0094】
[24]さらに成分(A)及び成分(B)以外の界面活性剤(C)を含有する上記[1]〜[23]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[25]成分(C)は、好ましくは成分(A)及び成分(B)以外のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤である上記[24]の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[26]成分(A)及び前記成分(B)以外のアニオン性界面活性剤は、好ましくは硫酸エステル塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸エステル塩及びアミノ酸塩から選ばれる1種又は2種以上である上記[25]の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[27]成分(C)のうち、硫酸基を含むアニオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下であり、また不可避的に混入する場合を除き、硫酸基を含むアニオン性界面活性剤を含有しない上記[24]〜[26]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[28]成分(C)の含有量は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下であり、また更に好ましくは15質量%以下であり、また更に好ましくは10質量%以下であり、より更に好ましくは5質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは2質量%以上である上記[24]〜[27]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
[29]成分(A)の含有量と成分(C)の含有量の質量比[成分(A)/成分(C)]は、好ましくは1000〜0.1であり、より好ましくは100〜1であり、更に好ましくは50〜2であり、より更に好ましくは20〜3である上記[24]〜[28]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物。
【0095】
[30]上記[1]〜[29]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物を毛髪に適用して洗浄した後、すすぐ、毛髪の洗浄方法。
[31]上記[1]〜[29]いずれか1の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物を皮膚表面に適用して洗浄した後、すすぐ、身体の洗浄方法。
【実施例】
【0096】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、以下の実施例及び比較例において、特記しない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。また、各種物性の測定法は以下のとおりである。
(1)測定条件
(i)原料内部オレフィンの二重結合位置の測定方法
原料内部オレフィンの二重結合位置は、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと省略)により測定した。具体的には、内部オレフィンに対しジメチルジスルフィドを反応させることでジチオ化誘導体とした後、各成分をGCで分離した。結果、それぞれのピーク面積より内部オレフィンの二重結合位置を求めた。
尚、測定に使用した装置および分析条件は次の通りである。GC装置(商品名:HP6890,HEWLETT PACKARD社製)、カラム(商品名:Ultra−Alloy−1HTキャピラリーカラム30m×250μm×0.15μm,フロンティア・ラボ株式会社製)、検出器(水素炎イオン検出器(FID))、インジェクション温度300℃、ディテクター温度350℃、He流量4.6mL/分
【0097】
(ii)ヒドロキシ体/オレフィン体の質量比の測定方法
内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体/オレフィン体の質量比は、HPLC−MSにより測定した。具体的には、HPLCによりヒドロキシ体とオレフィン体を分離し、それぞれをMSにかけることで同定した。結果、そのHPLC-MSピーク面積から各々の割合を求めた。
尚、測定に使用した装置および条件は次の通りである。HPLC装置(商品名:アジレントテクノロジー1100、アジレントテクノロジー社製)、カラム(商品名:L−columnODS4.6×150mm、一般財団法人化学物質評価研究機構製)、サンプル調製(メタノールで1000倍希釈)、溶離液A(10mM酢酸アンモニウム添加水)、溶離液B(10mM酢酸アンモニウム添加メタノール)、グラジェント(0分(A/B=30/70%)→10分(30/70%)→55分(0/100%)→65分(0/100%)→66分(30/70%)→75分(30/70%))、MS装置(商品名:アジレントテクノロジー1100MS SL(G1946D)),MS検出(陰イオン検出 m/z60−1600、UV240nm)
【0098】
(iii)原料内部オレフィンの含有量の測定方法
内部オレフィンスルホン酸塩の原料内部オレフィンの含有量は、GCにより測定した。具体的には、内部オレフィンスルホン酸塩水溶液にエタノールと石油エーテルを添加した後、抽出し石油エーテル相にオレフィンを得た。結果、そのGCピーク面積からオレフィン量を定量した。尚、測定に使用した装置および分析条件は次の通りである。GC装置(商品名:アジレントテクノロジー6850,アジレントテクノロジー社製)、カラム(商品名:Ultra−Alloy−1HTキャピラリーカラム15m×250μm×0.15μm,フロンティア・ラボ株式会社製)、検出器(水素炎イオン検出器(FID))、インジェクション温度300℃、ディテクター温度350℃、He流量3.8mL/分
【0099】
(iv)無機化合物の含有量の測定方法
無機化合物の含有量は、電位差滴定や中和滴定により測定した。具体的には、Na2SO4の含有量は、硫酸根(SO42-)を電位差滴定によって求めることで定量した。また、NaOHの含有量は、希塩酸で中和滴定することで定量した。
【0100】
(v)パラフィン成分の含有量の測定方法
パラフィン成分の含有量は、GCにより測定した。具体的には、内部オレフィンスルホン酸塩水溶液にエタノールと石油エーテルを添加した後、抽出し、石油エーテル相にパラフィンを得た。結果、そのGCピーク面積からパラフィン量を定量した。尚、測定に使用した装置および分析条件は原料内部オレフィンの含有量の測定と同様である。
【0101】
(vi)スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量の測定方法
スルホン酸基の結合位置は、GCにより測定した。具体的には、得られた内部オレフィンスルホン酸塩(A)に対しトリメチルシリルジアゾメタンを反応させることでメチルエステル化誘導体とした後、各成分をGCで分離した。それぞれのピーク面積比を質量比として、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量を算出した。
尚、測定に使用した装置および分析条件は次の通りである。GC装置(商品名:アジレントテクノロジー6850,アジレントテクノロジー社製)、カラム(商品名:HP−1キャピラリーカラム30m×320μm×0.25μm,アジレントテクノロジー社製)、検出器(水素炎イオン検出器(FID))、インジェクション温度300℃、ディテクター温度300℃、He流量1.0mL/min.、オーブン(60℃(0min.)→10℃/min.→300℃(10min.)。
【0102】
(2)内部オレフィンの製造
[製造例A]
攪拌装置付きフラスコに1−オクタデカノール(製品名:カルコール8098、花王株式会社製)7000g(25.9モル)、固体酸触媒としてγ―アルミナ(STREM Chemicals,Inc社)1050g(原料アルコールに対して15wt%)を仕込み、攪拌下、285℃にて系内に窒素(7000mL/分)を流通させながら13時間、反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%、C18内部オレフィン純度は98.5%であった。得られた粗内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、148−158℃/0.5mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の炭素数18の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布は、C1位0.7質量%、C2位16.9質量%、C3位15.9質量%、C4位16.0質量%、C5位14.7質量%、C6位11.2質量%、C7位10.2質量%,C8、9位の合計が14.6質量%であった。
【0103】
[製造例B]
攪拌装置付きフラスコに1−ヘキサデカノール(製品名:カルコール6098、花王株式会社製)7000g(28.9モル)、固体酸触媒としてγ―アルミナ(STREM Chemicals,Inc社)700g(原料アルコールに対して10質量%)を仕込み、攪拌下、280℃にて系内に窒素(7000mL/分)を流通させながら5時間、反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%、C16内部オレフィン純度は99.7%であった。得られた粗内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、136〜160℃/4.0mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の炭素数16の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布は、C1位0.5質量%、C2位16.5質量%、C3位15.4質量%、C4位16.4質量%、C5位17.2質量%、C6位14.2質量%、C7、8位の合計が19.8質量%であった。
【0104】
[製造例C]
攪拌装置付きフラスコに1−ヘキサデカノール(製品名:カルコール6098、花王株式会社製)7000g(28.9モル)、固体酸触媒としてγ―アルミナ(STREM Chemicals,Inc社)700g(原料アルコールに対して10wt%)を仕込み、攪拌下、280℃にて系内に窒素(7000mL/分)を流通させながら3時間、反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%、C16内部オレフィン純度は99.6%であった。得られた粗内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、136〜160℃/4.0mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の炭素数16の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布は、C1位1.8質量%、C2位30.4質量%、C3位23.9質量%、C4位16.8質量%、C5位12.0質量%、C6位7.4質量%、C7、8位の合計が7.8質量%であった。
【0105】
[製造例D]
攪拌装置付きフラスコに1−オクタデカノール(製品名:カルコール8098、花王株式会社製)7000g(25.9モル)、固体酸触媒としてγ―アルミナ(STREM Chemicals,Inc社)700g(原料アルコールに対して10wt%)を仕込み、攪拌下、280℃にて系内に窒素(7000mL/分)を流通させながら10時間、反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%、C18内部オレフィン純度は98.2%であった。得られた粗内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、内温148〜158℃/0.5mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の炭素数18の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布は、C1位0.8質量%、C2位31.3質量%、C3位22.9質量%、C4位15.5質量%、C5位10.8質量%、C6位7.2質量%、C7位5.3質量%,C8、9位の合計が6.2質量%であった。
【0106】
[製造例E]
製造例Cと同様の方法にて反応時間を調整することで、オレフィン純度100%の炭素数16の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布は、C1位0.8質量%、C2位26.8質量%、C3位22.6質量%、C4位18.2質量%、C5位16.5質量%、C6位8.5質量%、C7、8位の合計が6.6質量%であった。
【0107】
[製造例F]
製造例Dと同様の方法にて反応時間を調整することで、オレフィン純度100%の炭素数18の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布は、C1位0.3質量%、C2位19.0質量%、C3位17.6質量%、C4位17.4質量%、C5位14.9質量%、C6位12.3質量%、C7位8.8質量%、C8、9位の合計が9.8質量%)であった。
【0108】
[製造例G]
製造例Eで得られた炭素数16の内部オレフィン11.9kgと、製造例Fで得られた炭素数18の内部オレフィン3.1kgとを混合することで炭素数16/18(質量比79.4/20.6)の内部オレフィン15.0kgを得た。この内部オレフィンの二重結合分布は、C1位0.7質量%、C2位25.2質量%、C3位21.6質量%、C4位18.0質量%、C5位16.2質量%、C6位9.3質量%、C7位4.4質量%、C8位3.6質量%、C9位1.0質量%であった。
【0109】
[製造例H]
製造例Cと同様の方法にて反応時間を調整することで、オレフィン純度100%の炭素数16の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布は、C1位0.5質量%、C2位30.1質量%、C3位25.5質量%、C4位18.9質量%、C5位11.1質量%、C6位7.0質量%、C7、8位の合計が7.0質量%であった。
【0110】
[製造例I]
製造例Dと同様の方法にて反応時間を調整することで、オレフィン純度100%の炭素数18の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布は、C1位0.5質量%、C2位25.0質量%、C3位22.8質量%、C4位19.1質量%、C5位14.0質量%、C6位7.4質量%、C7位5.4質量%、C8、9位の合計が5.8質量%であった。
【0111】
[製造例J]
攪拌装置付きフラスコに1−テトラデセン(製品名:リニアレン14、出光興産株式会社製)6000g(30.6モル)、固体酸触媒としてβ-ゼオライト(Zeolyst社)173g(原料1−テトラデセンに対して2.9wt%)を仕込み、攪拌下、120℃にて系内に窒素(200mL/分)を流通させながら21時間、反応を行った。反応終了後におけるα-オレフィンの内部異性化率は99.0%、C14内部オレフィン純度は91.1%であった。得られた粗内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、130〜136℃/12.8−13.5mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の炭素数14の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布は、C1位1.3質量%、C2位31.8質量%、C3位23.8質量%、C4位21.0質量%、C5位8.6質量%、C6、7位の合計が13.6質量%であった。
【0112】
[製造例K]
攪拌装置付きフラスコに1−ドデセン(製品名:リニアレン12、出光興産株式会社製)6000g(35.6モル)、固体酸触媒としてβ-ゼオライト(Zeolyst社)180g(原料1−ドデセンに対して3.0wt%)を仕込み、攪拌下、120℃にて系内に窒素(200mL/分)を流通させながら12.5時間、反応を行った。反応終了後におけるα-オレフィンの内部異性化率は98.4%、C12内部オレフィン純度は92.1%であった。得られた粗内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、134〜138℃/75.0−78.8mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の炭素数12の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布は、C1位0.5質量%、C2位33.1質量%、C3位23.7質量%、C4位21.2質量%、C5位15.0質量%、C6位6.8質量%であった。
【0113】
(3)内部オレフィンスルホン酸塩の製造
<製造例1>
製造例Cで製造した炭素数16の内部オレフィンを、薄膜式スルホン化反応器(内径14mmφ、長さ4m)を使用してSO3濃度2.8容量%の三酸化硫黄ガス、反応器外部ジャケットに20℃の冷却水を通液することでスルホン化反応を行った。尚、SO3/内部オレフィン反応モル比は1.09に設定した。
得られたスルホン化物を、理論酸価(AV)に対し1.2モル倍になるよう水酸化ナトリウムを添加したアルカリ水溶液へ添加し、攪拌しながら30℃, 1時間中和した。中和物をオートクレーブ中で160℃, 1時間加熱することで加水分解を行い、C16内部オレフィンスルホン酸ナトリウム粗生成物を得た。
得られた粗生成物300gを分液漏斗に移し、エタノール300mLを加えた後、1回あたり石油エーテル300mLを加えて油溶性の不純物を抽出除去した。この際、エタノールの添加により油水界面に析出した無機化合物(主成分は芒硝)も、油水分離操作により水相から分離除去し、この操作を3回おこなった。水相側を蒸発乾固して、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(1)を得た。原料内部オレフィンの含有量は100ppm未満(GC検出下限未満)、無機化合物は1.9質量%であった。これらの結果を表1に示す。
【0114】
<製造例2>
製造例Dで製造した炭素数18の内部オレフィンを用いた以外は、製造例1と同様の条件で、炭素数18の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(2)を得た。原料内部オレフィンの含有量は100ppm未満(GC検出下限未満)、無機化合物は0.9質量%であった。これらの結果を表1に示す。
【0115】
<製造例3>
製造例Bで製造した炭素数16の内部オレフィンを用いた以外は、製造例1と同様の条件で、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(3)を得た。原料内部オレフィンの含有量は100ppm未満(GC検出下限未満)、無機化合物は1.3質量%であった。これらの結果を表1に示す。
【0116】
<製造例4>
製造例Aで製造した炭素数18の内部オレフィンを用いた以外は、製造例1と同様の条件で、炭素数18の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(4)を得た。原料内部オレフィンの含有量は100ppm未満(GC検出下限未満)、無機化合物は1.7質量%であった。これらの結果を表1に示す。
【0117】
<製造例5>
製造例Gで製造した炭素数16/18の内部オレフィン(二重結合が2位に存在する内部オレフィンの含有量が25.2質量%)を出発原料とし、製造例1と同様の条件で、炭素数16/18の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(5)を得た。得られた内部オレフィンスルホン酸ナトリウム中のヒドロキシ体(ヒドロキシアルカンスルホン酸ナトリウム)/オレフィン体(オレフィンスルホン酸ナトリウム)の質量比は87/13であった。また、得られた内部オレフィンスルホン酸ナトリウム中に含有される原料内部オレフィンの含有量は100ppm未満(GC検出下限未満)、無機化合物は0.5質量%であった。
【0118】
<製造例6>
製造例Hで製造した炭素数16の内部オレフィンを用いた以外は、製造例1と同様の条件で、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(6)を得た。原料内部オレフィンの含有量は100ppm未満(GC検出下限未満)、無機化合物は0.2質量%であった。これらの結果を表1に示す。
【0119】
<製造例7>
製造例Iで製造した炭素数18の内部オレフィンを用いた以外は、製造例1と同様の条件で、炭素数18の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(7)を得た。原料内部オレフィンの含有量は100ppm未満(GC検出下限未満)、無機化合物は0.1質量%であった。これらの結果を表1に示す。
【0120】
<製造例8>
製造例Jで製造した炭素数14の内部オレフィンを用いた以外は、製造例1と同様の条件で、炭素数14の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(8)を得た。原料内部オレフィンの含有量は100ppm未満(GC検出下限未満)、無機化合物は0.5質量%であった。これらの結果を表1に示す。
【0121】
<製造例9>
製造例Kで製造した炭素数12の内部オレフィンを用いた以外は、製造例1と同様の条件で、炭素数12の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(9)を得た。原料内部オレフィンの含有量は100ppm未満(GC検出下限未満)、無機化合物は0.2質量%であった。これらの結果を表1に示す。
【0122】
【表1】
【0123】
(4)洗浄剤組成物の調製
表1に示す内部オレフィンスルホン酸塩を用いて、表2〜4に示す組成の毛髪又は皮膚洗浄剤組成物を常法により調製した。具体的には、成分(A)、成分(B)、及び適量の水、必要に応じて成分(C)をビーカーに取り、60℃に加温して混合し、室温まで冷却した後、水分を補充し、pH調整剤(50%クエン酸水溶液、もしくは10%水酸化ナトリウム水溶液)でpHを6に調整して、各洗浄剤組成物を得た。
【0124】
(5)毛髪洗浄評価
下記の各成分をビーカーに取り、80℃に加温後、混合し、均一に溶解したことを確認した後、冷却して、プレーンシャンプーを得た。また、下記組成中の塩化オクタデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム及びステアリルアルコールをビーカー(A)に入れ、80℃に加温して融解させた。一方、別のビーカー(B)に精製水およびメチルパラベンをビーカーに取り、攪拌しながら80℃に加温し、均一に溶解したことを確認した。その後、ビーカー(B)を80℃で攪拌しながら、ビーカー(A)中の混合液を加え、30分乳化を行い、加熱を中止し、室温まで冷却して、プレーンリンスを得た。
得られたプレーンシャンプーで毛束(ブリーチ、ヘアカラーなどの処理をしていない日本人毛、約20cm、15g)を洗浄後、得られたプレーンリンスを塗布し、1分間なじました後にすすぎ、評価用トレスを得た。
【0125】
(プレーンシャンプーの組成)
(成分) (質量%)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na 11.3
(エマールE−27C(花王株式会社製、有効分27質量%)として42.0%)
ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミド 3.0
(アミノーン C−11S(花王株式会社製))
クエン酸 0.2
メチルパラベン 0.3
精製水 バランス
計 100.0
【0126】
(プレーンリンスの組成)
(成分) (質量%)
塩化オクタデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム 3.0
(コータミンE−80K(花王株式会社製、有効分45質量%)として6.7%)
ステアリルアルコール(カルコール8098(花王株式会社製))6.0
メチルパラベン 0.3
精製水 バランス
計 100.0
【0127】
得られた評価用トレスを各洗浄剤組成物で洗浄し、5人の専門パネラーが、以下に示す評価基準、評価方法により、洗浄後のすすぎの速さ、すすぎ時の毛髪の櫛通り性、柔らかさの評価を行った。
また、皮脂汚れなどの油成分が存在した場合の泡持ち(持続性)を評価するために、モデル皮脂(0.05mL)を毛髪に塗布して洗浄し、洗浄時の泡の持続性の評価を行った。モデル皮脂はトリオレイン/ラノリン=4/1質量%を40℃にて均一混合して調製した。
結果を表2〜3に示す。
【0128】
(評価基準・評価方法)
・すすぎの速さ
5:すすぎが非常に速い
4:すすぎが速い
3:普通のすすぎの速さ(比較例1と同等)
2:すすぎが遅い
1:すすぎが非常に遅い
【0129】
・櫛通り性
5:櫛通りが非常に良い
4:櫛通りが良い
3:櫛通りが普通(比較例7と同等)
2:櫛通りが悪い
1:櫛通りが非常に悪い
【0130】
・髪の柔らかさ
5:非常に柔らかい
4:やや柔らかい
3:普通(比較例7と同等)
2:やや硬い
1:非常に硬い
【0131】
・泡の持続性
5:泡の持続性が非常によい(洗浄中に泡量の低下が感じられない)
4:泡の持続性がよい(泡量の低下が少ない)
3:普通(比較例7と同等)
2:泡の持続性が悪い(泡量の低下が著しい)
1:泡が持続しない(洗浄中に消泡する)
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
(6)皮膚洗浄評価
5人の専門パネラーが各洗浄剤組成物で手洗いを行い、以下に示す評価基準、評価方法により、洗浄後のすすぎの速さ、タオルドライ後の皮膚のさっぱり感、及び泡の持続性の評価を行った。なお、すすぎの速さは毛髪と同じ基準で行った。また、泡の持続性は、モデル皮脂を手に塗布し、毛髪と同じ基準で行った。結果を表4に示す。
・さっぱり感
5:非常にさっぱりする
4:さっぱりする
3:普通(比較例7と同等)
2:さっぱりしない
1:全くさっぱりせず、べたつきを感じる
【0135】
【表4】
【0136】
実施例63及び比較例8(ヘアシャンプー)
表5に示す組成のヘアシャンプーを実施例1と同様に製造し、実施例1と同様にして評価した。結果を表5に示す。
【0137】
【表5】
【0138】
実施例64及び比較例9(ヘアシャンプー)
表6に示す組成のヘアシャンプーを実施例1と同様に製造し、実施例1と同様にして評価した。結果を表6に示す。
【0139】
【表6】
【0140】
実施例65(ヘアシャンプー)
下記組成のヘアシャンプーを実施例1と同様に製造し、実施例1と同様にして評価した。

(成分) (質量%)
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(3) 8.0
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(4) 2.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 1.4
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 0.6
ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム *1 3.8
エチレングリコールジステアレート *2 1.0
香料,安息香酸ナトリウム 適量
精製水 バランス
計 100.0

*1:花王株式会社製、カオーアキポRLM−45NV(有効分23.5%)を16.2%添加
*2:花王株式会社製、パールコンセントレートFC−1(有効分20%)を5%添加
【0141】
このヘアシャンプーは、すすぎ性に優れ、すすぎ時の櫛通り性、髪の柔らかさに優れた使用感を有していた。
【0142】
実施例66(ヘアシャンプー)
下記組成のヘアシャンプーを実施例1と同様に製造し、実施例1と同様にして評価した。

(成分) (質量%)
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(3) 6.0
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(4) 1.5
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン*1 1.1
ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド 1.5
ラウリルメチルイセチオン酸ナトリウム *2 6.0
香料,メチルパラベン 適量
精製水 バランス
計 100.0

*1:花王株式会社製、アンヒトール20BS(有効分30%)を3.8%添加
*2:イノスペック社製、イセルクスLQ-CLR(有効分30%)を20%添加
【0143】
このヘアシャンプーは、すすぎ性に優れ、すすぎ時の櫛通り性、髪の柔らかさが良好な使用感を有していた。
【0144】
実施例67(ヘアシャンプー)
下記組成のヘアシャンプーを実施例1と同様に製造し、実施例1と同様にして評価した。

(成分) (質量%)
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(3) 6.0
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(4) 1.5
α−オレフィンスルホン酸ナトリウム *1 5.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 3.0
ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド *2 2.0
ラウリン酸 *3 0.5
香料,安息香酸ナトリウム 適量
精製水 バランス
計 100.0

*1:ライオン株式会社製、リポランLB−440(有効分36%)13.9%添加
*2:花王株式会社製、アミノーンC−11S
*3:花王株式会社製、ルナックL−98
【0145】
このヘアシャンプーは、すすぎ性に優れ、すすぎ時の櫛通り性、髪の柔らかさが良好な使用感を有していた。
【0146】
実施例68(ヘアシャンプー)
下記組成のヘアシャンプーを実施例1と同様に製造し、実施例1と同様にして評価した。

(成分) (質量%)
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(3) 10.0
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(4) 2.5
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン *1 0.75
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 2.0
塩化オクタデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム*2 0.3
スルホコハク酸ナトリウム *3 3.0
香料,安息香酸ナトリウム、乳酸(pH調整剤) 適量
精製水 バランス
計 100.0

*1:花王株式会社製、アンヒトール55AB(有効分30%)を2.5%添加
*2:花王株式会社製、コータミンEー80K(有効分45%)を0.67%添加
*3:東邦化学工業株式会社製、コハクールL−400(有効分30%)を10.0%添加
【0147】
このヘアシャンプーは、すすぎ性に優れ、すすぎ時の櫛通り性、髪の柔らかさが良好な使用感を有していた。
【0148】
実施例69(洗顔料)
下記組成の洗顔料を実施例1と同様に製造し、実施例39の皮膚用洗浄剤組成物の評価と同様にして評価した。

(成分) (質量%)
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(3) 10.0
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(4) 2.5
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 2.0
ヤシ油脂肪酸 *1 3.0
コカミドプロピルベタイン 5.0
pH調製剤 適量
精製水 バランス
計 100.0

*1:花王株式会社製、商品名;ルナックL−55
【0149】
この洗顔料は、すすぎ性に優れ、タオルドライ後のさっぱり感に優れた使用感を有していた。
【0150】
実施例70(ボディシャンプー)
下記組成のボディシャンプーを実施例1と同様に製造し、実施例39の皮膚用洗浄剤組成物評価と同様にして評価した。

(成分) (質量%)
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(3) 10.0
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(4) 2.5
ラウリン酸 *1 6.5
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 2.0
グリセリン 3.0
香料,メチルパラベン 適量
精製水 バランス
計 100.0

*1:花王株式会社製、プライオリーB−100(有効分35%)を17.14%添加
【0151】
このボディシャンプーは、すすぎ性に優れ、タオルドライ後のさっぱり感に優れた使用感を有していた。
【0152】
実施例71(ハンドソープ)
下記組成のハンドソープを実施例1と同様に製造し、実施例39の皮膚用洗浄剤組成物の評価と同様にして評価した。

(成分) (質量%)
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(3) 8.0
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(4) 2.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン *1 3.0
グリセリン 3.0
ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム *2 6.0
香料、メチルパラベン 適量
精製水 バランス
計 100.0

*1:花王株式会社製、アンヒトール55AB(有効分30%)を10.0%添加
*2:花王株式会社製、カオーアキポRLM−45NV(有効分23.5%)を25.6%添加
【0153】
このハンドソープは、すすぎ性に優れ、タオルドライ後のさっぱり感に優れた使用感を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物は、ヘアシャンプー、ボディシャンプー、洗顔料、メイククリアジェル、ハンドソープ等の分野で好適に利用することができ、さらに刺激に敏感な犬、猫などの動物用にも好適である。