(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
鉄道等の車両の内部には、広告紙等の面状の広告部材を掲示するための手段(以降、「広告紙掲示手段」)が設置されている。広告紙掲示手段には、広告吊りやポスターレール等のように広告紙をつり下げるタイプと、広告枠のように広告紙を内部に収容するタイプとがある。広告紙を設置掲示する場所に適したタイプの広告紙掲示手段が採用される。例えば、車両の天井の中央(車体中央)部には広告吊りが用いられ、車体の天井の側(側小天井部)にはポスターレールが用いられる。天井部以外の車両の内壁(例えば、側壁、及び車両長手方向の端部の壁)には、広告枠(額縁)が用いられる。
【0003】
図9及び
図10に、鉄道車両の車室の内壁に取り付けられる従来の広告枠の一例を示す。
図9に見て取れるように、広告枠Fcは、アルミニウム押し出し材などで作成された縦枠Fpr及びFplと、横枠Flu及びFllとを含む。縦枠Fpr及びFplと、横枠Flu及びFllとは、連結されている。縦枠Fpr及びFplと横枠Flu及びFllとによって規定される広告枠Fcの枠内に、面状の広告部材である広告紙Pcが保持されて掲示される。広告枠Fcは、ねじなどの締結手段(不図示)によって、内壁Wに取り付けられる。横枠Flu及びFllの延在する方向を横方向Dlと呼び、縦枠Fpr及びFplの延在する方向を縦方向Dpと呼ぶ。
【0004】
図10に、横方向Dl方向に見た広告枠Fcの側面を示す。縦枠Fprの端面には、縦枠Fprの略全長にわたって縦方向Dpに延在するスリットScが形成されている。広告紙Pcは、上述したように、広告枠Fcの枠内に形成された空間内に配置される。スリットScは、広告枠Fcの外部の空間と広告紙Pcが配置される枠内の空間とを連通している。スリットScの縦方向Dpの長さは、保持される広告紙Pcの縦方向の長さより所定の長さだけ大きく設定される。
【0005】
広告枠Fcに対する広告紙Pcの取り付けは、以下の手順で行われる。まず、広告紙Pcの横方向の端部の近傍を持って、広告枠Fcの外部から、端部を縦枠FprのスリットScに挿入する。その後、端部をスリットScに挿入した状態で広告紙Pcを持ち替えて、広告紙Pcを縦枠Fpl(
図9)に向かって移動させる。つまり、広告紙Pcを広告枠Fcの外周縁で規定される面外からスリットScを介して枠内に挿入し、その後広告紙Pcを広告枠Fcの枠内で横方向の全長にわたってスライドさせる。なお、広告紙Pcを枠内に移動させるためには、持ち替えた後で、広告紙PcのスリットScを通過した部分を持つなり指の腹の摩擦を利用して押すなりする。スライド中は、広告紙PcとスリットScとの位置関係を一定に保って、滑らかな挿入を行うことによって、広告紙Pcを傷めずに広告枠Fcに取り付けることができる。
【0006】
広告枠Fcから広告紙Pcを取り外す際には、まず、指の腹の摩擦を利用して広告枠Fcの枠内に保持されている広告紙Pcの端部をスリットScを介して広告枠Fcの外部に引き出す必要がある。そして、縦枠FprのスリットScから露出した広告紙の端部をつかんで、広告紙Pcを広告枠Fcの外部に向けて横方向Dlの全長に渡ってスライドさせることにより、広告紙Pcを広告枠Fcから取り外す。このように、取り付け時と同様に、広告紙PcとスリットScとの位置関係を一定に保って、滑らかな引き出しを行うことによって、広告紙Pcを傷めずに広告枠Fcから取り外すことができる。
【0007】
なお、広告紙Pcの取り付け及び取り外しに用いられるスリットScは、横枠Fluの端面に形成してもよい。その場合、スリットは横方向Dlに延在するように形成される。スリットの横方向Dlの長さは、保持される広告紙Pcの横方向の長さより所定の長さだけ大きく設定される。縦枠FprにスリットScを設けた場合に比べて、広告紙Pcの長手方向に関して、スリットScとの位置関係を一定に保って、滑らかな挿入を行う必要がある。
【0008】
図11に、特許文献1に提案されている、車両内の壁部に取り付けられる額縁の一部を示す。特許文献1に提案されている額縁100は、基本的に上述の広告枠Fc(
図9、
図10)と同様の構成を有する。具体的には、額縁100は、上下横枠1、2及び左右縦枠3、4(不図示)を含む額縁本体5を備える。片方の縦枠3の外端面に、額縁本体5に広告部材(表示用紙6と透明板7との重ね合わせ体F)を挿入するための挿入溝9(スリットScに相当)が形成されている。額縁100はさらに、重ね合わせ体Fが挿入溝9から引き出されるのを阻止するための引き出し阻止手段10を備える。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、及び
図8を参照して、本発明の実施の形態に係る広告枠について説明する。本発明に係る広告枠は、鉄道車両の車室の内壁(例えば、側壁、車両長手方向の端部の壁、側壁と天井とが連続する湾曲部)に取り付けられて、面状の広告部材の掲示に用いられる。本発明に係る広告枠は、広告部材を部分的に当接する状態で枠内に保持できるように構成されている。
【0019】
本実施の形態においては、面状の広告部材の一例として紙製の広告紙が用いられる。本実施の形態においては、広告枠は、一般的な矩形状を有する広告紙の掲示用に構成されている。先ず
図1〜
図5を参照して、本実施の形態に係る広告枠Fの構成について説明する。次に
図6を参照して広告枠Fに広告紙を取り付ける手順について説明した後、
図5〜
図7を参照して広告枠Fによる広告紙の保持及び広告枠Fからの広告紙の取り外しについて説明する。その後、
図8を参照して、本発明の実施の形態の変形例に係る広告枠Faについて説明する。
【0020】
図1及び
図2に、広告紙(
図6)の掲示面側及び掲示面の反対側から見た広告枠Fをそれぞれ示す。広告枠Fは、広告紙の上下端と背面とに当接した状態で広告紙を全体的に保持する主保持部Mと、広告紙の上下端部に当接して広告紙を部分的に保持する補助保持部Aとに大別される。
【0021】
図1及び
図2に示すように、主保持部Mは、裏板Pbと上枠Fuと下枠Flとを含む。裏板Pbは好ましくは、掲示する広告紙の形状に沿うと共に所定だけ小さな形状を有すると共に、第1の主面St(
図1)と、第1の主面Stに所定距離だけ離れて対向する第2の主面Sb(
図2)とにより規定される平板状の部材である。広告枠Fは、裏板Pbの第2の主面Sbが鉄道車両の車室の内壁に対向するように車両に取り付けられる。なお、広告紙は、その背面が第1の主面Stに当接するように掲示される。以降必要に応じて、第1の主面Stを掲示面Stと呼ぶ。上枠Fu及び下枠Flの延在する方向を横方向Dlと呼び、上枠Fuと下枠Flとが対向する方向を縦方向Dpと呼ぶ。
【0022】
図1に見て取れるように、裏板Pbの周辺部には、広告枠Fの車両への取り付けに用いられる取付穴Hが複数設けられている。本例においては、上枠Fuの近傍に横方向Dlに同一線上に3つの取付穴Hが形成されている。同様に、下枠Flの近傍に横方向Dlに同一線上に3つの取付穴Hが形成されている。
【0023】
図2に見て取れるように、裏板Pbの第2の主面Sbには、横方向Dl方向に延在する2条を一組とする帯状に形成されたスペーサーSpが、上下に2組設けられている。一組のスペーサーSpの間には、上述の3つの取付穴Hが形成されている。
【0024】
裏板Pbは、その上端部と下端部で、上枠Fuと下枠Flとが、それぞれ横方向Dlに一体的に延在している。
【0025】
図3に、主保持部Mを縦方向Dpに切った断面を示す。広告枠Fは取付穴Hに挿入されたねじなどの締結手段(不図示)によって、二点鎖線Wで示す車両の内壁面(以降、「取り付け面W」)に取り付けられている。なお、上枠Fu、スペーサーSp、及び下枠Flは同時に、取り付け面Wに当接するように、広告枠Fは以下に述べるように構成されている。
【0026】
上枠Fuは、前面サッシFuv、頂面サッシFuh、及び背面サッシFusを含む。背面サッシFusは裏板Pbの主面StまたはSbに対して、所定の角度θuをなして掲示面Stから離反する、つまり第2の主面Sb側に延在している。頂面サッシFuhは、背面サッシFusの端部より、掲示面St側に向かって(好ましくは、主面StまたはSbに対して垂直方向に)延在している。前面サッシFuvは、頂面サッシFuhの端部から第1の主面Stに対して略平行に延在する。
【0027】
背面サッシFus、頂面サッシFuh、及び前面サッシFuvによって、斜辺を背面サッシFusと共有する2つの直角三角形が結合されて、上方に向かって広がる有段の逆三角形状断面を有して横方向Dlに延在する空間S1が規定されている。なお、空間S1を規定する背面サッシFus、頂面サッシFuh、及び前面サッシFuvのそれぞれの面を内面と呼ぶ。背面サッシFusの内面と頂面サッシFuhの内面との連結部を空間S1の底部と呼ぶ。
【0028】
図4を参照して、前面サッシFuvの構成について詳述する。同図に示すように、前面サッシFuvは、空間S1の逆三角形の底辺を規定する前面サッシFuvの内面と外面との距離、つまり厚さの異なる第1の上枠垂直部材Fuvaと第2の上枠垂直部材Fuvbとが一体的に連結されて構成されている。上枠垂直部材Fuvaの内面Saと、上枠垂直部材Fuvaの下端面Salと、上枠垂直部材Fuvbの内面Svとが、空間S1の有段形状を形成している。上枠垂直部材Fuvaの厚さTa(上枠垂直部材Fuvaの内面Saと前面サッシFuvの外面との距離)は、上枠垂直部材Fuvbの厚さTb(上枠垂直部材Fuvbの内面Svと前面サッシFuvの外面との距離)より大きい。つまり、上枠垂直部材Fuvaの内面Saと裏板Pbの第1の主面Stとの距離は、上枠垂直部材Fuvbの内面Svと第1の主面Stとの距離より小さい。
【0029】
上枠垂直部材Fuvaの内面Saは、裏板Pbの第1の主面Stと共通平面上にあることが好ましい。上枠垂直部材Fuvbの内面Svは第1の主面Stから所定の距離Lだけ離間した平行な平面上にあることが好ましい。この距離Lは、保持される広告紙の厚さTp(
図6(a)参照)より所定の長さだけ大きく設定される。なお、上枠垂直部材Fuvaの内面Saが第1の主面Stと共通平面上にあるとき、距離Lは、上枠垂直部材Fuvaと上枠垂直部材Fuvbの内面の段差に等しい。従って、空間S1の内で、上枠垂直部材Fuvaの内面Sa及び上枠垂直部材Fuvbの内面Svによって、空間S1中に、第1の空間S1aと第2の空間S1bがそれぞれ規定される。上枠垂直部材Fuvbの内面Svから空間S1の底部までの距離Ls1を空間S1の深さと呼び、上枠垂直部材Fuvaの内面Saから空間S1の底部までの距離Ls1aを第1の空間S1aの深さと呼ぶ。
【0030】
図3に戻って、下枠Flの構成について説明する。下枠Flは、前面サッシFlv、頂面サッシFlh1及びFlh2、並びに背面サッシFlsを含む。背面サッシFlsは裏板Pbの主面StまたはSbに対して、所定の角度θlをなして掲示面Stから離反する、つまり第2の主面Sb側に延在している。頂面サッシFlh1は、背面サッシFlsの端部より、掲示面St側に向かって(好ましくは、主面StまたはSbに対して垂直方向に)延在している。前面サッシFlvは、頂面サッシFlh1の端部から第1の主面Stに対して略平行に延在する。頂面サッシFlh2は、前面サッシFlvの下端部から頂面サッシFlh1に対して略平行に延在する。背面サッシFls、頂面サッシFlh1、及び前面サッシFlvによって、横方向Dlに延在する空間S2が規定されている。なお、空間S2を規定する背面サッシFls、頂面サッシFlh1、及び前面サッシFlvのそれぞれの面を内面と呼ぶ。背面サッシFlsの内面と頂面サッシFlh1の内面との連結部を空間S2の底部と呼ぶ。前面サッシFlvの内面から空間S2の底部までの距離Ls2を空間S2の深さと呼ぶ。
【0031】
前面サッシFlvの内面は第1の主面Stから所定の距離L’だけ離間した平行な平面上にあることが好ましい。この距離L’は、上述の距離L(上枠垂直部材Fuvbの内面Svと第1の主面Stとの間の距離)と等しいことが好ましい。
【0032】
図3に見て取れるように、背面サッシFus(上枠Fu)、スペーサーSp及びSp、並びに頂面サッシFlh2(下枠Fl)の後端部(
図3において左端部)が同時に取り付け面Wに当接するように構成されている。下枠Flの背面サッシFlsの後端部は、取り付け面Wから距離Lwだけ離間している。下枠Flは、空間S2の深さ(距離Ls2)が、上枠Fuにおける空間S1の深さ(距離Ls1)より距離Lwだけ浅く構成されている。つまり、空間S2の深さは空間S1の深さより浅く構成されている。なお、後程、
図6を参照して詳述するように、上枠Fuを広告紙Pの上端部の保持に使用される第1の保持部H1と呼び、下枠Flを広告紙Pの下端部の保持に使用される第2の保持部H2と呼ぶ。第1の保持部H1は広告紙Pの上端部を収容する第1の保持手段(空間S1)を有し、第2の保持部H2は広告紙Pの下端部を収容する第2の保持手段(空間S2)を有する。
【0033】
次に、
図1、
図2、及び
図5を参照して、補助保持部Aについて説明する。
図1及び
図2に見て取れるように、補助保持部Aは、基本的に主保持部Mから裏板Pbが一部Pbrを残して除去されている。補助保持部Aに含まれる裏板Pbの一部Pbrは、補助保持部Aの主保持部Mに対する取り付け強度を確保するために残されている。
【0034】
図5に、
図1における補助保持部Aを縦方向Dpに切った断面を示す。同図において、広告枠Fに保持される広告紙Pが二点鎖線で示されている。補助保持部Aは、上枠Fuと裏板Pbの一部Pbrとが広告紙Pの上端部に当接すると共に下枠Flと裏板Pbの一部Pbrとが広告紙Pの下端部に当接することによって、広告紙Pを部分的に保持する。
図5に見て取れるように、広告紙Pの背面と取り付け面W(車両の内壁面)との間には、二点鎖線で示す空間SAが形成されている。空間SAについては、後程、広告枠Fからの広告紙Pの取り外しについて述べる際に説明する。
【0035】
次に
図6を参照して、広告枠Fに広告紙Pを取り付ける方法について具体的に述べる。取り付けに際して、広告紙Pは、まず作業者によって広告枠Fの第1の主面Stに対向する前方の空間に配置される。そして、広告紙Pの上端部が斜め上方に移動されると共に下端部が斜め下方に移動されて、空間S1(第2の空間S1bから第1の空間S1a)及び空間S2(
図3)にそれぞれ挿入される。その後に、上端部が第1の空間S1aから第2の空間S1b中に移動して第2の空間S1bに嵌入することで、広告紙Pは第1の保持部H1及び第2の保持部H2によって広告枠Fに保持される。
【0036】
広告枠Fに対する広告紙Pの取り付けは、従来の広告枠Fc(
図9〜
図11)に対する広告紙Pcの取り付けとは異なり、広告枠Fの前方から上述の空間S1及びS2(
図3)に広告紙Pの上端部及び下端部をそれぞれ挿入することにより行われる。広告紙Pは、所定の厚さTpを有する厚手の紙である(Tp<L(
図4))。広告紙Pは、ある程度の腰の強さと可撓性とを有する。
【0037】
図6においては、広告紙Pの取り付け作業が(a)、(b)、及び(c)の3つの段階に分けて示されている。先ず、第1段階において、
図6(a)に示すように、第1の主面Stの前方空間に配置された広告紙Pの上端部を斜め上方に位置する広告枠Fの第1の保持部H1(空間S1:第2の空間S1bから第1の空間S1a(
図4))に挿入する。具体的には、矢印Diで示すように、広告紙Pの上端部を斜め上方に(好ましくは、背面サッシFusの内面に沿って)移動させて、第1の保持部H1に挿入する。背面サッシFusが裏板Pbの主面StまたはSbに対してなす角度θu(
図3)は、広告紙Pの上端部の第1の保持部H1への挿入しやすさや広告紙Pの可撓性を考慮して決められる。角度θuは、0°以上かつ90°以下であることが好ましい。
【0038】
広告紙Pは、上端部が頂面サッシFuhの内面に当接するまで第1の保持部H1(空間S1)に挿入される。このとき、広告紙Pの上端部は、空間S1中の第1の空間S1a内に位置する。
【0039】
第2段階において、
図6(b)に示すように、広告紙Pの上端部が第1の保持部H1(空間S1)に挿入された状態で、広告紙Pを湾曲させて(たわませて)広告紙Pの下端部を掲示面Stに接触させる。このとき、湾曲させられた広告紙Pの上端部の近傍部分は、空間S1において上枠垂直部材Fuvaの内面Saが上枠垂直部材Fuvbの内面Svに対してなす段(
図4)に当接する。その後、同図において矢印Ddで示すように、広告紙Pの下端部を掲示面Stに沿って下方に(第2の保持部H2に向かって)移動させる。
【0040】
広告紙Pの下端部の下方への移動につれて、広告紙Pの上端部は空間S1の内部で下方に向かって(第1の空間S1aから第2の空間S1bに向かって)移動する。広告紙Pの上端部は上述の段に当接しながら空間S1内を移動するため、広告紙Pの上端部の第1の保持部H1からの不用意な抜け出しが防止される。これには、空間S1(第1の空間S1a)が、空間S2より深く、開口が小さいことが寄与している。
【0041】
第3段階において、広告紙Pの下端部が斜め下方に位置する第2の保持部H2(空間S2)に挿入される。この状態で取り付け作業者が手を離すと、湾曲させられていた広告紙Pは、
図6(c)に示すようにまっすぐな状態に戻ると共にその下端部が頂面サッシFlh1の内面に当接する。背面サッシFlsが裏板Pbの主面StまたはSbに対してなす角度θl(
図3)は、上述の距離Lwと併せて、広告紙Pの下端部を第2の保持部H2に挿入した時に、上端部が第1の保持部H1から抜け出さないように、設定される。
【0042】
上述の3つの段階を経て広告枠Fに取り付けられた広告紙Pは、背面が掲示面Stに当接すると共に、上端部及び下端部がそれぞれ第1の保持部H1及び第2の保持部H2に挿入された状態で広告枠Fに保持される。広告紙Pの下端部は、頂面サッシFlh1の内面に当接すると共に前面サッシFlvの内面に当接している。広告紙Pの上端部は、前面サッシFuvの上枠垂直部材Fuvbの内面Svに当接している。つまり、広告紙Pは、上端部が空間S1中の第2の空間S1b内に位置する状態で広告枠Fに保持される。
【0043】
広告紙Pの上端部は、第1の空間S1aに一時的に挿入/収容され、下端部の空間S2への挿入後に第2の空間S1b内に位置する。つまり、上枠垂直部材Fuvaは広告紙Pの取り付け・取り外しの際に一時的に必要な第1の空間S1a(第1の収容手段)を規定する手段であり、上枠垂直部材Fuvbは広告紙Pの取り付けと保持とに必要な第2の空間S1b(第2の収容手段)を規定する手段である。なお、広告紙Pの広告枠Fへの取り付けは、先に下端部を第2の保持部H2に挿入し、その後上端部を第1の保持部H1に挿入しても良い。
【0044】
なお、第2の空間S1bを上方に拡張することによって第1の空間S1aを不要とできる。具体的には、角度θu(
図4)を0°に設置すると共に、上枠垂直部材Fuvaを廃して上枠垂直部材Fuvbを頂面サッシFuhまで延長させることによって、第1の主面Stとの間隔が距離Lの空間を空間S1(S1b)として形成できる。つまり、広告紙Pを一時的に収容する空間と、保持する空間とが上下に形成される。
【0045】
次に
図5及び
図6を参照して、広告枠Fからの広告紙Pの取り外しについて説明する。上述の取り付け作業を逆に行えば、広告紙Pを広告枠Fから楽に取り外すことができる。具体的には、広告紙Pを湾曲させながら広告紙Pの下端部を第2の保持部H2(空間S2)から引き出し、その後広告紙Pの上端部を第1の保持部H1から引き出すことにより、広告紙Pを広告枠Fから取り外せる。
【0046】
上述したように、補助保持部Aにおいて、広告紙Pの背面と取り付け面W(車両の内壁面)との間には空間SA(
図5)が形成されている。広告紙Pの下端部を第2の保持部H2から引き出す際に、空間SAに指を差し込んで広告紙Pの裏面に指を掛けると広告紙Pを保持部H1及びH2から容易に引き出すことができる。
【0047】
このように、腕を上方手前方向に動かして広告紙Pの下端部を引き出した後に、腕を下方手前方向に引くと、一連の滑らかな動作で広告紙Pを傷めること無く広告枠Fから取り外すことができる。なお、動作の滑らかさは劣るが上下端を引き出す順番を逆にしてもよい。さらに、広告紙Pを傷めてもよい場合には、空間SAから差し込んだ指を手前に引くというより少ない動作でさらに効率よく、広告紙Pを取り外すことができる。
【0048】
上述のように、広告枠Fに対する広告紙Pの取り付け及び取り外しは、広告枠Fの前方から、概ね広告枠Fの外周縁で規定される面外で第1の主面Stの前方に形成される空間内で広告紙Pを第1の主面Stに向かって移動させることにより行える。本発明に係る広告枠においては、上述の従来の広告枠Fcにおけるように、取り付けに際して縦枠或いは横枠に形成された細長いスリットScに広告紙Pcを広告枠Fcの面外から挿入させ且つ広告紙Pcの全長或いは全幅に渡ってスライドさせる必要がない。また取り外しに際しても、従来の広告枠Fcにおけるように、縦枠或いは横枠の細長いスリットScを介して、広告枠Fcの面内から面外に引き出す必要がない。
【0049】
空間S1及びS2は、上述のように、開口から底部に向かって広がる三角形状の断面を有する。広告紙Pの上下端部の空間S1及びS2への挿入は、広告紙全体の従来の広告枠Fcのスリットへの挿入に比して、挿入時の位置決め及び姿勢の自由度が高く、作業をより容易に行える。広告枠Fに対する取り付け及び取り外しの際に広告紙Pをたわませる必要はあるものの、従来の広告枠Fcの周囲に設備品が取り付けられている場合に要求される広告紙Pcの湾曲(広告紙Pcを曲げながらスリットScに挿入して、広告紙Pc全体をスリットScに挿通させる必要がある)に比してたわませる度合いが小さい。
【0050】
つまり、広告枠Fの取り付け場所は、広告枠Fの前方に広告枠Fの外周縁で規定される程度の空間が確保できる場所であればよい。従来の広告枠Fcでは広告紙の取り付け及び取り外しに支障をきたす場所、例えば広告枠の周囲に設備品が取り付けられている場所にも広告枠Fは適用できる。このように、広告枠Fは周囲に異物があるような場所に取り付けが可能であると共に、作業者の広告紙Pの取り付け及び取り外しの作業負荷を低減できる。
【0051】
次に
図7を参照して、厚手の広告紙P(
図6)に代えて、薄手の広告紙P’と保護用樹脂板PPとが広告枠Fに保持された状態について説明する。広告紙P’の厚さは広告紙Pの厚さTp(
図6(a))より小さく、広告紙P’は広告紙Pに比して変形しやすい。保護用樹脂板PPは、広告紙P’の保護及び形状保持のために、広告紙P’の表面に対向するように配置される透明な樹脂製の板材である。同図に見て取れるように、広告紙P’と保護用樹脂板PPとは、それぞれの上端部が第1の保持部H1に、それぞれの下端部が第2の保持部H2に挿入された状態で広告枠Fに保持される。
【0052】
広告紙P’と保護用樹脂板PPとの広告枠Fに対する取り付け及び取り外しは、
図5及び
図6を参照して説明した広告紙Pの広告枠Fに対する取り付け及び取り外しと同様に行われる。広告紙P’の表面に対向するように保護用樹脂板PPを配置した状態で、広告紙P’と保護用樹脂板PPとを一括して広告枠Fに取り付けることができる。なお、先ず広告紙P’を取り付けた後に、保護用樹脂板PPを取り付けることもできる。
【0053】
次に
図8を参照して、本発明の実施の形態の変形例に係る広告枠について説明する。広告枠Faは、上枠Fu(
図3、
図4)が上枠Fuaに置き換えられる点を除いて上述の広告枠F(
図1〜
図7)と同様に構成されている。以降、上枠Fuaに関して重点的に述べる。
【0054】
上枠Fuaは、前面サッシFuv(
図3、
図4)が前面サッシFuv’に置き換えられる、より具体的には上枠垂直部材Fuva(
図4)が上枠垂直部材Fuva’に置き換えられる点を除いて上述の上枠Fuと同様に構成されている。上枠垂直部材Fuvaの下端面Sal(
図4)が頂面サッシFuhの内面に略平行に延在しているのに対し、上枠垂直部材Fuva’の下端面Sal’は内面Sa(
図4)側の端部から上枠垂直部材Fuvbとの連結部に向かって頂面サッシFuhの内面に近づくように傾斜している。
【0055】
広告枠Faの上枠Fuaに保持された広告紙Pの上端部が背面サッシFusに向かって傾いても、広告紙Pの上端部が背面サッシFusに当接する前に上枠垂直部材Fuva’の傾斜した下端面Sal’に当接する。下端面Sal’が広告紙Pの上端部を受け止めることにより、広告紙Pの掲示中の位置ずれや変形が防止される。