特許第6235868号(P6235868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235868
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】情報収集システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20171113BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G06Q50/04
   G05B19/418 Z
【請求項の数】3
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-227113(P2013-227113)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-88028(P2015-88028A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年9月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511016877
【氏名又は名称】株式会社smart−FOA
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】奧 雅春
【審査官】 毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−118950(JP,A)
【文献】 特開2012−234496(JP,A)
【文献】 特開2007−110238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場データを発生させるデータ発生装置と前記現場データの補足情報を記憶するデータベースとネットワークを介して接続され、所望の種類の現場データ及び前記補足情報を収集する情報収集システムであって、
収集する現場データの種類情報と前記補足情報の種類情報とを関連付けて記憶する辞書記憶手段と、
前記データ発生装置のIPアドレス、ポート番号、又は前記データ発生装置と接続するケーブルの接続口と対応付けてメモリ上に確保されたメモリ領域であって第1のタグにより識別され、対応のデータ発生装置が出力した現場データを記憶する現場データ管理領域と、
前記補足情報の属性値と対応付けてメモリ上に確保されたメモリ領域であって、第2のタグにより識別され、対応の属性値を有する前記補足情報を記憶する補足情報管理領域と、
前記現場データの種類情報と前記第1のタグとの関連、及び前記補足情報の前記種類情報と前記第2のタグとの関連を記憶する関連記憶手段と、
前記辞書記憶手段が記憶する前記現場データの種類情報に応じた前記第1のタグを特定し、特定した前記第1のタグで識別される前記現場データ管理領域から現場データを収集し、且つ、前記辞書記憶手段が記憶する前記補足情報の種類情報に応じた前記第2のタグを特定し、特定した前記第2のタグで識別される前記補足情報管理領域に記憶された補足情報を収集する収集手段と、
前記収集手段が収集した前記現場データと前記補足情報とを一つのデータセットに纏めたイベント情報を生成するイベント生成手段と、
を備えること、
を特徴とする情報収集システム。
【請求項2】
一つの前記現場データ管理領域には、複数の現場データが記憶され、
前記収集手段は、
前記辞書記憶手段が記憶する所定の種類情報に応じて、前記一つの現場データ管理領域に記憶された複数の現場データに基づいて、それら現場データとは別種の現場データを生成する情報加工手段を有し、
前記所定の種類情報に応じて、前記情報加工手段で生成した前記別種の現場データを収集すること、
を特徴とする請求項1に記載の情報収集システム。
【請求項3】
前記関連記憶手段は、加工を経て前記現場データを収集するか否かを示すパス情報と前記種類情報とを関連付けて記憶し、
前記生成手段は、前記パス情報に応じて前記情報加工手段を作動させること、
を特徴とする請求項記載の情報収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場やオフィス等で発生する現場データを収集する情報収集システムに関する。
【0002】
工場やオフィス等においては、各種の設備が稼働しており、それら設備がエラー情報やステータス情報等の設備、作業、又は材料に対する観測結果を示す現場データを出力する。現場データは、工場やオフィスの稼働管理、製品の品質管理、経営管理等に寄与する貴重な情報である。しかしながら、設備から直接出力されるイベント情報は、コード若しくは単なる観測数値、及び発生場所や発生日時等の直接的な意味以外には、2次的、3次的な意味を有していない。そのため、従来は、現場レベルで得られた情報を管理や経営レベルに至るまでの間に各層で順次解釈し直し、イベント情報を2次的、3次的な意味を持つ情報に変化させていくことで、各レベルにおいてイベント情報を活用していた。
【0003】
そこで、出願人は、特開2012−234496号公報のように、日々膨大に発生する現場データからイベント情報を自動で生成することのできる情報収集システムを提唱している。
【0004】
この情報収集システムは、現場データに付加する各補足情報の種類を定義するモデルが収容された辞書を記憶しておく。また、各種各内容の補足情報が記憶されたデータベースを用意しておく。
【0005】
そして、辞書に従って、データベースから各補足情報を検索し、検索された各補足情報を現場データに追加してイベント情報を再構成する。検索においては、再構成されたイベント情報に含まれる現場データ及び追加された各補足情報のうちの各種組み合わせを検索キーとして他の種類の補足情報を検索する。再構成においては、順次検索された前記補足情報を前記イベント情報に順次追加していく。
【0006】
更に、イベント情報の収集を依頼する依頼端末から、イベント情報に含める補足情報の各種類を指定した収集条件情報を取得し、再構成したイベント情報から収集条件情報に従って補足情報を抽出して新たなイベント情報を再構成する。
【0007】
これにより、依頼端末を操作する利用者側からは、必要とする内容が直接的かつ分かりやすく記述されたイベント情報が発生しているように見え、解釈の作業を要することなく、そのイベント情報の到達の時点で、イベント情報の持つ2次的、3次的な意味内容を理解することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−234496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
昨今では、情報収集システムにとって未知の種類、フォーマット、及び構造様式のデータが頻発している。そのため、昨今ではネットワーク上で発生するビッグデータの取り扱いについて注目を集めているが、そのビッグデータを如何に収集するかが課題となっていた。
【0010】
すなわち、従来の情報収集システムでは、データ側に其の種類、フォーマット、及び構造様式の判別子を付与し、システム側で其のデータが取り扱い対象となるように定義しておかなければ、そのデータの取り扱いは困難であった。予め全てのデータについて定義しておくことは現実的ではないからである。また、未知のデータが発生する度に情報収集システム側で取り扱うように再設計することも現実的ではない。
【0011】
例えば、工場において、センサが変更されれば、そのセンサが出力する現場データを情報収集システムで取り扱えるようにシステム設計を変更しなければならない。そのようなシステム設計の変更は、工場のレイアウト変更及び情報収集者の収集方法を拘束することとなり、センサの変更1つに多大な労力を生じさせてしまう。
【0012】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、情報収集システムにとって未知のデータが発生しても、また未知のデータの収集を要求されても、そのデータの実体を考慮することなく容易に取り扱うことのできる情報収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る情報収集システムは、現場データを発生させるデータ発生装置と前記現場データの補足情報を記憶するデータベースとネットワークを介して接続され、所望の種類の現場データ及び前記補足情報を収集する情報収集システムであって、収集する現場データの種類情報と前記補足情報の種類情報とを関連付けて記憶する辞書記憶手段と、前記データ発生装置のIPアドレス、ポート番号、又は前記データ発生装置と接続するケーブルの接続口と対応付けてメモリ上に確保されたメモリ領域であって第1のタグにより識別され、対応のデータ発生装置が出力した現場データを記憶する現場データ管理領域と、前記補足情報の属性値と対応付けてメモリ上に確保されたメモリ領域であって、第2のタグにより識別され、対応の属性値を有する前記補足情報を記憶する補足情報管理領域と、前記現場データの種類情報と前記第1のタグとの関連、及び前記補足情報の前記種類情報と前記第2のタグとの関連を記憶する関連記憶手段と、前記辞書記憶手段が記憶する前記現場データの種類情報に応じた前記第1のタグを特定し、特定した前記第1のタグで識別される前記現場データ管理領域から現場データを収集し、且つ、前記辞書記憶手段が記憶する前記補足情報の種類情報に応じた前記第2のタグを特定し、特定した前記第2のタグで識別される前記補足情報管理領域に記憶された補足情報を収集する収集手段と、前記収集手段が収集した前記現場データと前記補足情報とを一つのデータセットに纏めたイベント情報を生成するイベント生成手段と、を備えること、を特徴とする。
【0014】
前記現場データの補足情報を記憶するデータベースと前記ネットワークを介して接続され、前記補足情報の属性値と対応付けてメモリ上に確保されるとともに、タグにより識別され、対応の属性値を有する前記補足情報を記憶する補足情報管理領域と、を更に備え、前記辞書記憶手段は、前記現場データの種類情報と前記補足情報の種類情報を関連付けて記憶し、前記関連記憶手段は、前記補足情報の前記種類情報と前記タグとの関連を更に記憶し、前記収集手段は、前記辞書記憶手段が記憶する前記補足情報の種類情報に応じた前記タグを特定し、特定した前記タグで識別される前記補足情報管理領域に記憶された補足情報を収集すること、ようにしてもよい。
【0015】
前記収集手段が収集した前記現場データと前記補足情報とを一つのデータセットに纏めたイベント情報を生成するイベント生成手段を更に備えるようにしてもよい。
【0016】
一つの前記現場データ管理領域には、複数の現場データが記憶され、前記収集手段は、前記辞書記憶手段が記憶する所定の種類情報に応じて、前記一つの現場データ管理領域に記憶された複数の現場データに基づいて、それら現場データとは別種の現場データを生成する情報加工手段を有し、前記所定の種類情報に応じて、前記情報加工手段で生成した前記別種の現場データを収集するようにしてもよい。
【0017】
前記関連記憶手段は、加工を経て前記現場データを収集するか否かを示すパス情報と前記種類情報とを関連付けて記憶し、前記生成手段は、前記パス情報に応じて前記情報加工手段を作動させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、データの種類、フォーマット、構造様式といった実体について判別することなく、すなわち実体判別のためのプログラム設計は不要のまま、殆どあらゆるデータを統一的に扱うことが現実的に可能となり、ビッグデータの取り扱いに長けたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態に係る情報収集システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。
図2】イベント情報を示す概念図である。
図3】第1の実施形態に係る辞書データを示す模式図である。
図4】第1の実施形態に係る情報収集システムの詳細構成を示すブロック図である。
図5】辞書編集装置の構成を示すブロック図である。
図6】第1の実施形態に係る収集装置の構成を示すブロック図である。
図7】第1の実施形態に係る手引を示す模式図である。
図8】第1の実施形態に係る情報収集システムの現場データの管理先決定を示すフローチャートである。
図9】第1の実施形態に係る情報収集システムの補足情報の管理先決定を示すフローチャートである。
図10】第1の実施形態に係る情報収集システムのイベント情報の生成動作を示すフローチャートである。
図11】第1の実施形態に係る情報収集システムの第1の作用を示す模式図である。
図12】第1の実施形態に係る情報収集システムの第2の作用を示す模式図である。
図13】第2の実施形態に係る情報収集システムの収集装置を示す構成図である。
図14】第2の実施形態に係る手引を示す模式図である。
図15】第2の実施形態に係る情報収集システムのイベント情報の生成動作を示すフローチャートである。
図16】第2の実施形態に係る情報収集システムの作用を示す模式図である。
図17】第3の実施形態に係る辞書データの模式図である。
図18】第3の実施形態に係る情報収集システムの補足情報の検索動作を示すフローチャートである。
図19】第3の実施形態に係る情報収集システムの作用を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
(概略構成)
以下、本発明に係る情報収集システムの第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る情報収集システム1を含むネットワーク構成を示すブロック図である。情報収集システム1はネットワークNに接続している。ネットワークNには1以上のデータ発生装置2とデータベース3が更に接続している。
【0021】
情報収集システム1、データ発生装置2及びデータベース3は、コンピュータを含み構成され、演算制御装置(CPU)、主記憶装置(RAM)、OS及びアプリケーションが記憶された外部記憶装置(HDD等)、及びネットワークアダプタを備えている。
【0022】
この情報収集システム1は、ネットワークNに接続されたサーバやルータといった単一のコンピュータ又は複数台のコンピュータ要素の連携により構成される。データベース3は、情報収集システム1と一体又はネットワークN上に分散した別個のコンピュータ要素である。データ発生装置2は、工場やオフィスで稼動するFA等の設備を監視する機能を有するデバイスであり、例えば、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、BCR、RFID、Pane CON、モバイル端末、ウェブカメラ、及び各種のセンサである。
【0023】
ネットワークNは、電気信号に変換されたデータやコマンドを送受信する通信インフラであり、IEEE802.3等の有線通信プロトコルや、IEEE802.11で規定される無線通信プロトコル、その他のプロトコルに準拠している。例えば、有線LAN網、無線LAN網、インターネット網、若しくは専用回線等の通信回線、又はこれらの複合である。
【0024】
ネットワークNにおいて、データ発生装置2は、現場データ100を発生させる。現場データ100は、データ発生装置2が監視対象とする設備の観測結果であり、エラー情報やステータス情報等である。現場データ100は、データ発生装置2による各種事象の検知又は定期的な観測により生成され、画像データ、音声データ、文字列データ等のデータ発生装置2に依存する各種のフォーマット形式を有し、またデータ発生装置2に依存する圧縮形式等の各種の表現様式を有する。
【0025】
この現場データ100は、ユーザ入力される場合もある。モバイル端末がネットワークNに接続され、当該モバイル端末をユーザインターフェースとして用いて、現場データ100が入力される。
【0026】
データ発生装置2は、情報収集システム1のIPアドレス及び情報収集アプリケーションのポート番号を含むTCPやIPのヘッダを現場データ100に付加し、ネットワークNに送出する。送出タイミングは、イベント発生時であり、或いはシステムの利用を想定して一日間隔等の所定期間毎である。
【0027】
情報収集システム1は、現場データ100からイベント情報400を生成する。イベント情報400は、図2に示すように、現場データ100と各種の補足情報200を1つのデータセットに纏めることで生成される。このイベント情報400には、現場データ100の種類及び内容に応じた補足情報200が加えられる。イベント情報400は、これらデータを一繋ぎにした可変長データであり、例えばXML言語により記述される。
【0028】
補足情報200は、現場データ100の発生というイベントの背景情報を主内容とする。背景情報とは、イベントを組織の各階層で解析及び評価するために必要な情報であり、現場データ100の発生を招いた原因を直接的又は間接的に示し、現場データ100と相俟って現場データ100の内容のみでは導くことのできない意味内容をイベント情報400に付与する。例えば、補足情報200は、現場データ100の加工に必要な加工支援材料、現場データ100の比較対象となる比較対象材料、解析に影響を与える解析支援材料、解析結果の評価に影響を与える評価支援材料を示す。
【0029】
また、この情報収集システム1は辞書データ300を予め備えている。図3に示すように、辞書データ300は、イベント情報400の各種モデル310を記録している。各モデル310には、種類情報320が列挙されている。種類情報320は、イベント情報400に含有させる情報の種類を示す。情報収集システム1は、一つのモデル310に列挙された種類情報320に対応する現場データ100又は補足情報200を一つのイベント情報400に纏めていく。
【0030】
但し、現場データ100や補足情報200は、その発生時点において内容を示すデータのみで、データ名や情報の種類を示す識別が付与されていない場合がある。そこで、情報処理システム1は、現場データ100や補足情報200を情報の出所に応じて区分けしたメモリ領域に保存し、そのメモリ領域をタグで特定しておき、一方で種類情報320とタグとの関係を予め記憶しておくことで、辞書データ300に示される種類情報320に適合した現場データ100及び補足情報200をそれらの情報の種類について無関心のまま探索する。すなわち、情報の種類についての判別はしない。
【0031】
(詳細構成)
図4は、この情報収集システム1の詳細構成を示すブロック図である。情報収集システム1は、辞書編集装置1aと収集装置1bで構成される。辞書編集装置1aは、辞書データ300を編集可能に記憶しており、イベント情報400の収集を要求するコンピュータ端末からアクセス可能となっている。収集装置1bは、現場データ100及び補足情報200を情報の出所に応じてストックしておき、このストックからイベント情報400を生成する。イベント情報400の生成の際、収集装置1bは、辞書編集装置1bの辞書データ300をコピーして使用する。
【0032】
すなわち、辞書編集装置1aは、図5に示すように、辞書データ記憶部30と編集部31を備える。また、収集装置1bは、図6に示すように、テンポラリメモリ10、管理領域11、管理先決定部12、情報取得部13、メモリマップ14、エレメントバッファメモリ15、辞書データ記憶部16、収集制御部17、手引記憶部18、及びイベント生成部19を備える。
【0033】
辞書編集装置1aにおいて、辞書データ記憶部30は、主にメモリで構成され、辞書データ300を記憶している。編集部31は、主にCPUとネットワークアダプタで構成され、収集要求者のコンピュータ端末から編集リクエストを受信し、編集リクエストに従って辞書データ300を編集する。編集部31は、モデル310の追加、削除、モデル310に列挙する種類情報320の追加、削除の編集リクエストを受信する。
【0034】
収集装置1bにおいて、テンポラリメモリ10は、データ発生装置2が発生させた現場データ100のキュー、及びデータベース3に蓄積された補足情報200のキューであり、タグ510で特定された管理領域11への移動を待つためのメモリ領域である。
【0035】
各管理領域11は、タグ510で特定されたメモリ領域であり、データ発生装置2ごと、及び補足情報200の種類を示す属性値ごとに予め確保される。補足情報200の種類を示す属性値は、データベース3上で定義されている。
【0036】
管理先決定部12は、CPUを含み構成され、テンポラリメモリ10に記憶されている現場データ100及び補足情報200を各管理領域11に仕分ける。例えば、管理先決定部12は、現場データ100の出所をヘッダ等に付加された送信元IPアドレスやポート番号により特定し、或いはケーブルの接続口により特定する。そして、管理先決定部12は、その情報の出所に応じた管理領域11に現場データ100を記憶させる。
【0037】
また、例えば、管理先決定部12は、データベース3から補足情報200をリトリーブする際に、その補足情報200の出所を情報の種類を示す属性値により特定し、その情報の出所に応じた管理領域11に補足情報200を記憶させる。
【0038】
辞書データ記憶部16は、メモリを含み構成され、辞書データ300を記憶する。この辞書データ300は、辞書編集装置1bで予め編集されて保持されている。収集装置1aは、辞書編集装置1bの辞書データ300を辞書データ記憶部16にコピーしておく。
【0039】
収集制御部17は、CPUを含み構成され、現場データ100と補足情報200の収集先を決定する。収集制御部17は、辞書データ300と手引記憶部18に記憶されている手引500を参照することで収集先を決定する。そして、収集制御部17は、情報取得部13を介して現場データ100及び補足情報200を取得する。取得タイミングは、現場データ100の管理領域11の何れかに変化が生じたタイミング、或いは定期的なタイミングである。変化が生じたタイミングは、例えば、管理領域11の何れかに新たな現場データ100が仕分けられたタイミングである。
【0040】
辞書データ300からは、取得すべき情報の種類が特定される。収集制御部17は、モデル310に列挙されている種類情報320を順次読み出し、種類情報320と手引500とを照らし合わせて、種類情報320と関連付けられたタグ510を特定する。
【0041】
手引500は、メモリを含み構成される手引記憶部18に記憶されている。この手引500は、図7に示すように、種類情報320とタグ510とを1対1で関連づけたデータベースである。収集制御部17は、辞書データ300で特定した種類情報320と関連づけられたタグ510を手引500から特定し、特定したタグ510を情報取得部13に渡し、情報取得部13からの応答として現場データ100又は補足情報200を受け取る。
【0042】
情報取得部13は、CPUを含み構成され、収集制御部17の制御下でデータの取得を実行する。すなわち、情報取得部13は、収集制御部17から受け取ったタグ510で特定される管理領域11から、現場データ100又は補足情報200を読み出し、収集制御部17へ渡す。この情報取得部13は、現場データ100又は補足情報200を読み出す際にメモリマップ14を参照する。メモリマップ14には、タグ510と其のタグ510で特定される管理領域11のメモリアドレスとが1対1で関連づけられて記憶されている。
【0043】
エレメントバッファメモリ15は、メモリを含み構成され、収集制御部17と情報取得部13によって取得された現場データ100及び補足情報200を記憶する。辞書データ300において同じモデル310を出発点としてエレメントバッファメモリ15に記憶された現場データ100及び補足情報200は、同じフォルダに纏められて記憶される。
【0044】
イベント生成部19は、CPUを含み構成され、エレメントバッファメモリ15の現場データ100及び補足情報200からイベント情報400を生成する。イベント生成部19は、同じフォルダに記憶された現場データ100及び補足情報200を1つのイベント情報400に纏める。具体的には、イベント生成部19は、同じフォルダに記憶された現場データ100及び補足情報200を一繋ぎのデータセットに編集し、そのデータセットをイベント情報400とする。
【0045】
(動作)
この情報収集システム1の動作について図8乃至10に基づき詳細に説明する。図8は、現場データ100の管理先決定動作を示すフローチャートである。図9は、補足情報200の管理先決定動作を示すフローチャートである。図10は、ストックされた現場データ100及び補足情報200からイベント情報400を生成する動作を示すフローチャートである。
【0046】
(現場データ100の管理先決定)
図8に示すように、データ発生装置2で現場データ100が発生すると(ステップS01)、データ発生装置2は、情報収集システム1に宛てて現場データ100を送信する(ステップS02)。情報収集システム1は、受信した現場データ100をテンポラリメモリ10にエンキューする(ステップS03)。
【0047】
管理先決定部12は、定期的或いは即時にテンポラリメモリ10から現場データ100をデキューすると(ステップS04)、現場データ100の情報の出所を特定し(ステップS05)、情報の出所に応じた管理領域11にデキューした現場データ100を記憶させる(ステップS06)。
【0048】
情報の出所は、例えば、現場データ100に付加された送信元アドレスやポート番号やソケット、或いはケーブルの接続口等により特定される。管理領域11は、送信元アドレス、ポート番号、ソケット、或いはケーブルの接続口で区別される。管理先決定部12は、送信元アドレス、ポート番号、ソケット、或いはケーブルの接続口に応じた管理領域11に現場データ100を記憶する。
【0049】
つまり、管理先決定部12は、現場データ100の情報の出所のみを認識し、現場データ100が温度を示すか外観を示すかといった情報の種類、画像データであるかテキストデータであるか音声データであるかといったフォーマットの種類、画像データの圧縮形式といった構造の様式等については無関心のまま、全ての現場データ100を単なるデータの塊として処理する。換言すれば、あらゆる現場データ100を単なるデータの塊として扱うことで、あらゆる現場データ100の扱いを可能としている。
【0050】
(補足情報200の管理先決定)
図9に示すように、データベース3に補足情報200が新規に登録されると(ステップS11)、データベース3からは其の新規に登録された補足情報200が種類情報320を示す属性値とともに、テンポラリメモリ10にエンキューされる(ステップS12)。補足情報200のエンキューは、登録に応答して即時のタイミングで行ってもよいし、定期的にまとめて行うようにしてもよい。
【0051】
管理先決定部12は、テンポラリメモリ10から補足情報200をデキューすると(ステップS13)、補足情報200の情報の種類を特定し(ステップS14)、種類情報320に応じた管理領域11にデキューした補足情報200を記憶させる(ステップS15)。種類情報320は、例えば、補足情報200に付加されたデータベース3上の属性値により特定される。管理領域11は、この属性値で区別される。管理先決定部12は、属性値に応じた管理領域11に補足情報200を記憶する。
【0052】
(イベント情報400の生成)
図10に示すように、収集制御部17は、辞書データ記憶部16に記憶されている辞書データ300からイベント情報400のモデル310を読み出す(ステップS31)。モデル310を読み出し後、収集制御部17は、モデル310に対応したフォルダをエレメントバッファメモリ15に作成する(ステップS32)。辞書データ300に掲載されている全てのモデル310を順次読み出してイベント情報400の生成に用いてもよいし、他の収集要求者のコンピュータ端末からリクエストに応じたモデル310を読み出してイベント情報400の生成に用いてもよい。
【0053】
ステップS31及びS32に基づく前処理の終了後、収集制御部17は、読み出したモデル310から第N番目の種類情報320を読み出す(ステップS33)。尚、イベント情報400の生成処理においては初期化処理としてN=1とされる。N番目とはモデル310のヘッダから数えた順列に準じる。
【0054】
そして、収集制御部17は、手引記憶部18の手引500を参照し、読み出した種類情報320に関連付けられたタグ510を特定する(ステップS34)。収集制御部17は、特定したタグ510を情報取得部13に渡す(ステップS35)。情報取得部13は、タグ510を受け取ると、メモリマップ14を参照し(ステップS36)、受け取ったタグ510で特定された管理領域11からデータを読み出す(ステップS37)。読み出したデータは、収集制御部17に渡す(ステップS38)。この読み出されたデータは、管理領域11に応じ、何れかのデータ発生装置2で発生した現場データ100、或いは何れかの補足情報200である。
【0055】
収集制御部17は、情報取得部13からデータを受け取ると、エレメントバッファメモリ15内に用意したフォルダにデータを記憶させる(ステップS39)。収集制御部11は、N=N+1とし(ステップS40)、モデル310に第N番目の種類情報320が存在すれば(ステップS41,Yes)、ステップS33に戻り、検索を繰り返す。
【0056】
一方、全ての種類情報320についての検索が終了していれば(ステップS41,No)、検索処理は終了する。検索処理が終了すると、イベント生成部19は、フォルダに記憶されているデータ、すなわち現場データ100と補足情報200を読み出し(ステップS42)、同じデータセットに纏めてイベント情報400を作成していく(ステップS43)。
【0057】
このように、収集制御部17及びイベント生成部19は、各管理領域11に記憶されているデータに関し、そのデータの種類、フォーマットの種類、様式等の実体を認識しないまま、区別なく処理するが、結果的にモデル510の種別情報320に応じた種類のデータがイベント情報400に揃うこととなる。
【0058】
(作用)
この情報収集システム1では、管理先決定部12側は、現場データ100や補足情報200の存在場所を認識するものの、その実体について関知しない。収集制御部17及びイベント生成部19側では、情報の種類は意識するものの、その情報の種類に対応する現場データ100や補足情報200の存在場所や実体は関知しない。すなわち、この情報収集システム1では、いずれもデータの実体について無関心のままイベント情報400に纏めている。
【0059】
換言すれば、情報収集システム1は、如何なる実体を有する現場データ100や補足情報200であろうとも、それらデータの実体を判別する必要なく取り扱うことができ、辞書データ300のモデル通りに集められたイベント情報400が作成可能となる。また現場データ100や補足情報200を統一的に扱うことができる。
【0060】
具体的には、図11に示すように、ネットワークNには、温度センサと騒音センサとカメラの各データ発生装置2が接続されている。温度センサは、現場データ100として、コンベアの表面温度の数値データを出力する。騒音センサは、現場データ100として、コンベアの騒音を収録した音声データを出力する。カメラは、現場データ100として、コンベアを流れる部品の画像データを出力する。
【0061】
温度センサが出力した現場データ100は、テンポラリメモリ10にてエンキューされ、管理先決定部12により、温度センサと1対1で対応する「A」という管理領域11に移される。騒音センサが出力した現場データ100は、テンポラリメモリ10にてエンキューされ、管理先決定部12により、騒音センサと1対1で対応する「B」という管理領域11に移される。また、カメラが出力した現場データ100は、テンポラリメモリ10にてエンキューされ、管理先決定部12により、カメラと1対1で対応する「C」という管理領域11に移される。
【0062】
また、例えば、データベース3には、数値範囲を示す文字列データが記憶されている。この文字列データは正常温度範囲を属性値として記憶されている。また、データベース3には、「プラスマイナス5℃程度の範囲外であれば歩留まりに影響なし」を示すテキストデータが記憶されている。このテキストデータはコメントを属性値として記憶されている。
【0063】
この正常温度範囲の補足情報200とコメントの補足情報200は、テンポラリメモリ10にてエンキューされる。そして、管理先決定部12は、正常温度範囲の属性値と1対1で対応する「D」という管理領域11に正常温度範囲の補足情報200を移す。管理先決定部12は、コメントの属性値と1対1で対応する「E」という管理領域11にコメントの補足情報200を移す。
【0064】
一方、辞書データ300には、情報の出所や存在場所や実体は記述されず、種類情報320のみが列挙され、例えば、一つのモデル310に温度と正常温度範囲とコメントを示す種類情報320が列挙されている。
【0065】
また、手引500には、「温度」という種類情報320に対して「A」というタグ510が関連づけられ、「正常温度範囲」という種類情報320に対して「D」というタグ510が関連づけられ、「コメント」という種類情報320に対して「E」というタグ510が関連づけられている。
【0066】
この場合、収集制御部17は、辞書データ300から「温度」という種類情報320を読みだし、手引500を参照して「A」というタグ510を特定し、情報取得部13に渡す。情報取得部13は、「A」というタグ510を受け取り、メモリマップ14を参照して「A」というタグ510で特定される管理領域11からデータを取り出し、収集制御部17に渡す。情報収集システム1は、温度センサから出力されたコンベアの表面温度を示す数値データを取得することとなるが、この取り出されたデータの実体については無関心で行っている。
【0067】
次に、収集制御部17は、辞書データ300から「正常温度範囲」という種類情報320を読みだし、手引500を参照して「D」というタグ510を特定し、情報取得部13に渡す。情報取得部13は、「D」というタグ510を受け取り、メモリマップ14を参照して「D」というタグ510で特定される管理領域11からデータを取り出し、収集制御部17に渡す。この取り出されたデータは、データベース3に正常温度範囲を属性値として記憶されている数値範囲の文字列データである。
【0068】
更に、収集制御部17は、辞書データ300から「コメント」という種類情報320を読みだし、手引500を参照して「E」というタグ510を特定し、情報取得部13に渡す。情報取得部13は、「E」というタグ510を受け取り、メモリマップ14を参照して「E」というタグ510で特定される管理領域11からデータを取り出し、収集制御部17に渡す。この取り出されたデータは、データベース3にコメントを属性値として記憶されているテキストデータである。
【0069】
収集制御部17は渡された各データをエレメントバッファメモリ15内の同じフォルダに記憶させる。すなわち、「コンベアの表面温度」を示す数値データと、「正常温度範囲」を示す数値範囲の文字列データと、「コメント」を示すテキストデータが同じフォルダに記憶される。そして、イベント生成部19は、同じフォルダに記憶された各データを1つのデータセットに纏めてイベント情報400を生成する。このイベント情報400には、「コンベアの表面温度」を示す現場データ100と、この現場データ100を補足する「正常温度範囲」を示す数値範囲の補足情報200と、「プラスマイナス5℃程度の範囲外であれば歩留まりに影響なし」を示すコメントの補足情報200が纏められることとなる。
【0070】
更に、図12に示すように、現場において、数値データを出力する温度センサから温度分布の画像データを出力する赤外線カメラに変更されたものとする。この変更後も変更前と同じように、この画像データはテンポラリメモリ11を介して「A」というタグ510で特定される管理領域11に記憶される。
【0071】
このとき、辞書データ300のモデル310に列挙されている「温度」という種類情報320に対して、手引500が参照されて「A」というタグ510で特定される管理領域11からデータが取得されることとなる。
【0072】
従って、現場において温度センサが取り外され、代わりに赤外線カメラに変更されたとしても、そのデータのフォーマットが数値データから画像データに変更されたとしても、情報収集システム1は何らのプログラム修正を必要とすることなく、この画像データを取り扱い、温度に関する現場データGをイベント情報400に纏めることとなる。
【0073】
(効果)
以上のように、情報収集システム1は、収集する現場データ100の種類情報320を記憶する辞書記憶手段を有している。また、データ発生装置2と対応付けてメモリ上に確保されるとともに、対応のデータ発生装置2が出力した現場データを記憶する管理領域11を有している。そして、情報収集システム1は、現場データ100の収集手段を有し、この収集手段は、辞書記憶手段が記憶する種類情報320に応じて管理領域11を特定し、特定した管理領域11に記憶された現場データ100を収集する。辞書記憶手段は、第1の実施形態において辞書データ記憶部16である。収集手段は、第1の実施形態において収集制御部17及び情報取得部13である。
【0074】
これにより、この情報収集システム1では、現場データ100の実体について判別することなく、種類情報320に適合する現場データ100を収集することが可能となる。すなわち、現場データ100の情報の種類が何であろうと、現場データ100のフォーマットが何であろうと、現場データ100の構造様式が何であろうと、現場データ100の実体判別のためのプログラム設計は不要となる。そのため、情報収集システム1は、あらゆるデータを統一的に扱うことが現実的に可能となる。
【0075】
また、情報収集システム1は、種類情報320と管理領域11との関連を記憶する関連記憶手段を備え、収集手段は、辞書記憶手段が記憶する種類情報320に関連する管理領域11から現場データ100を収集するようにした。関連記憶手段は、第1の実施形態において手引記憶部18に相当する。種類情報320と管理領域11との関連は、管理領域11はタグ510により識別しておき、種類情報320と管理領域11を識別するタグ510とを関連付けて記憶するようにしてもよい。
【0076】
これにより、未知の現場データ100が発生しても、また現場データ100の情報の種類、フォーマット、構造様式が変更されても、種類情報320と管理領域11との関連を追加及び修正するだけで、情報収集システム1側では引き続き収集が可能となり、ビッグデータの扱いに長けたものとなる。
【0077】
また、情報収集システム1は、補足情報200を記憶するデータベース2とネットワークNを介して接続される。この情報収集システム1は、補足情報200の属性値と対応付けてメモリ上に確保されるとともに、対応の属性値を有する補足情報200を記憶する管理領域11を更に備える。辞書記憶手段は、現場データ100の種類情報320と補足情報200の種類情報320を関連付けて記憶しておく。収集手段は、辞書記憶手段が記憶する補足情報200の種類情報320に応じて管理領域11を特定し、特定した管理領域11に記憶された補足情報200を収集する。
【0078】
これにより、現場データ100と補足情報200さえも統一的に扱うことが可能となり、多くのデータの実体判別のためのプログラム設計が不要となるため、未知のデータの発生やデータの種類の増減に対しても容易に対応することが可能となる。
【0079】
更に、情報収集システム1は、収集手段が収集した現場データ100と補足情報200とを一つのデータセットに纏めたイベント情報400を生成するイベント生成部19を更に備える。これにより、イベント情報400というビッグデータの持つ2次的、3次的な意味内容も即時に理解することができる。
【0080】
(第2の実施形態)
(構成)
第2の実施形態に係る情報収集システム1について図面を参照しつつ詳細に説明する。第1の実施形態と同一の構成及び同一の機能については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図13は、第2の実施形態に係る情報収集システム1の収集装置1bを示す構成図である。図14は、手引500を示す模式図である。尚、図13では収集装置1bの一部構成を省略している。
【0081】
図13に示すように、この情報収集システム1において、情報加工部13aとテンプレート記憶部13bを備えている。テンプレート記憶部13bは、メモリを主に含み構成され、テンプレート600を記憶している。テンプレート600は、現場データ100の加工方法をコンピュータ処理可能な形式で記述している。例えば、テンプレート記憶部13bには、平均を取る計算式が記述された計算テンプレート600、温度を示す数値データを摂氏に換算する計算式が記述された摂氏換算テンプレート600等が記憶されている。情報加工部13aは、CPUを主に含み構成され、テンプレート記憶部13bに記憶されているテンプレート600を選択し、そのテンプレート600に従って管理領域11に記憶されている現場データ100を加工する。
【0082】
例えば、計算テンプレート600に従って、情報加工部13aは、情報取得部13が受け取ったタグ510が特定する管理領域11に記憶されている複数の現場データ100の平均を取る。情報取得部13は、情報加工部13aが計算した平均値を現場データ100として収集制御部17に渡す。
【0083】
また、例えば、摂氏換算テンプレート600に従って、情報加工部13aは、情報取得部13が受け取ったタグ510が特定する管理領域11に記憶されている現場データ100を摂氏に換算する。情報取得部13は、情報加工部13aが計算した摂氏で表される温度データを現場データ100として収集制御部17に渡す。
【0084】
図14に示すように、手引500には、種類情報320に関連付けられてタグ510とパス情報700とテンプレート情報610が関連づけられている。パス情報700は、情報取得部13の情報取得方法を示す。テンプレート情報610は、テンプレート600を特定する。収集制御部17は、データの収集先に加えて収集方法を指示すべく、タグ510に加えてパス情報700とテンプレート情報610を情報取得部13に渡す。
【0085】
パス情報700の一つは、第1の実施形態のように現場データ100や補足情報200を加工せずに収集制御部17に渡す加工不要の収集方法を示す。このパス情報700には、テンプレート情報610は関連づけられない。パス情報700の他の一つは、テンプレート情報610で特定されたテンプレート600に従って加工された現場データ100や補足情報200を収集制御部17に渡す加工要の収集方法を示す。
【0086】
尚、平均等のように複数の現場データ100や補足情報200を必要とする場合、1つの管理領域11に対して一定数の現場データ100や補足情報200をストックしておき、ストックされた現場データ100や補足情報200を用いるようにすればよい。ストックの方法としては、最古の情報を最新の情報に更新するようにすればよい。
【0087】
(動作)
図15は、この情報収集システム1のイベント情報400の生成動作を示すフローチャートである。図15に示すように、収集制御部17は、辞書データ記憶部16に記憶されている辞書データ300からイベント情報400のモデル310を読み出す(ステップS51)。
【0088】
モデル310を読み出すと、収集制御部17は、モデル310に対応したフォルダをエレメントバッファメモリ15に作成しておく(ステップS52)。そして、収集制御部17は、モデル310から第N番目の種類情報320を読み出す(ステップS53)。
【0089】
種類情報320を読み出すと、収集制御部17は、手引記憶部18の手引500を参照し、読み出した種類情報320に関連付けられたタグ510とパス情報700とテンプレート情報610を特定し(ステップS54)、それらを情報取得部13に渡す(ステップS55)。存在しないテンプレート情報610は送信しない。パス情報700が加工不要を示す場合には、テンプレート情報610は「Null」である。
【0090】
情報取得部13は、加工不要を示すパス情報700が渡されると(ステップS56,Yes)、メモリマップ14を参照し(ステップS57)、タグ510で特定されている管理領域11から最新のデータを読み出し(ステップS58)、収集制御部17に渡す(ステップS59)。
【0091】
一方、情報取得部13に加工要を示すパス情報700が渡されると(ステップS56でNo及びステップS60でYes)、情報加工部13aは、テンプレート情報610で特定されるテンプレート600をテンプレート記憶部13bから読み出す(ステップS61)。また、情報取得部13は、メモリマップ14を参照し(ステップS62)、タグ510で特定されている管理領域11からデータを読み出す(ステップS63)。そして、情報加工部13aは、読み出されたデータをテンプレート600に従って処理し(ステップS64)、処理後のデータを収集制御部17に渡す(ステップS65)。
【0092】
収集制御部17は、情報取得部13からデータを受け取ると、フォルダにデータを記憶させる(ステップS66)。収集制御部11は、N=N+1とし(ステップS67)、モデル310に第N番目の種類情報320が存在すれば(ステップS68,Yes)、ステップS53に戻り、検索を繰り返す。一方、全ての種類情報320についての検索が終了していれば(ステップS68,No)、検索処理は終了する。
【0093】
検索処理が終了すると、イベント生成部19は、フォルダに記憶されているデータ、すなわち現場データ100と補足情報200を読み出し(ステップS69)、一つのイベント情報400に追加していく(ステップS70)。
【0094】
(作用)
図16に示すように、辞書データ300には、「コンベア表面の平均温度」を示す種類情報320が含まれている。この種類情報320は、例えば、コンベア表面の平均温度を出力するデータ発生装置2の不存在を意識せずに情報要求者が辞書データ300を編集してモデル310に盛り込んだものである。但し、タグ「A」で特定される管理領域11には、温度センサであるデータ発生装置2から出力された現場データ100が2以上の一定数分だけストックされている。
【0095】
収集制御部17は、「コンベア表面の平均温度」を示す種類情報320をモデル310から読み出すと、手引500を参照して「A」というタグ510、加工要を示すパス情報700、及び平均値の計算式を含むテンプレート600のテンプレート情報610を組として取得し、情報取得部13に渡す。
【0096】
加工要を示すパス情報700が情報取得部13に渡されると、情報加工部13aは、テンプレート情報610で特定されるテンプレート600に記述される計算式に従って、「A」というタグ510で特定される管理領域11に記憶されている全て現場データ100から平均値を演算する。そして、情報取得部13は、この平均値を現場データ100として収集制御部17に渡す。
【0097】
(効果)
このように、この情報収集システム1では、一つの管理領域11には、複数の現場データ100が記憶される。そして、辞書記憶手段が記憶する所定の種類情報320に応じて、一つの管理領域11に記憶された複数の現場データ100に基づいて、それら現場データ100とは別種の現場データ100を生成する情報加工部13aを有するようにした。
【0098】
これにより、コンベア表面の平均温度といった加工処理を経なければ存在しないデータであっても、またデータのフォーマットや様式や存在場所等が未定であっても取り扱い可能となる。特に、辞書データ300の編集やデータ発生装置2の設置といった場面において、適当なデータが不存在であることの配慮を低減できる。
【0099】
また、情報加工部13aの情報加工方法を記したテンプレート600を記憶するテンプレート記憶部13bを更に備え、関連記憶手段は、種類情報320と管理領域11とテンプレート600の関連を記憶するようにした。これにより、不存在のデータを要求されても、システム全体を修正することなく、手引500とテンプレート600の用意のみで取り扱い可能となり、適当なデータが不存在であることの配慮を更に低減できる。
【0100】
関連記憶手段は、加工を経て現場データ100を収集するか否かを示すパス情報700と種類情報320とを関連付けて記憶し、パス情報700に応じて情報加工部13aを作動させるようにすれば、情報取得部13の設計において、不存在のデータに対する修正ではなく、プログラムの追加で対処できるので、実効性に富む。
【0101】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る情報収集システム1について図面を参照しつつ詳細に説明する。第1又は第2の実施形態と同一の構成及び同一の機能については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0102】
図17は、第3の実施形態に係る辞書データ300を示す模式図である。この辞書データ300の各モデル310には、各種類情報320に検索クエリ情報330が関連づけられている。検索クエリ情報330は、補足情報200を検索する際の検索キーと検索方法を示す。特に、検索クエリ情報330は、イベント情報400に纏められるためにエレメントバッファメモリ15に移された現場データ100や補足情報200を検索キーとして特定している。
【0103】
すなわち、第3の実施形態に係る情報収集システム1は、補足情報200の検索において、イベント情報400に含まれる現場データ100の内容や、既に付加されている補足情報200の内容を検索キーとする。換言すると、イベント情報400には、現場データ100を補足する各種の情報が順次追加されるとともに、他の補足情報200を検索するための各種の検索キーが順次追加されていく。
【0104】
図18は、この情報収集システム1の補足情報200の検索動作を示すフローチャートである。図18に示すように、収集制御部17は、辞書データ300のモデル310から種類情報320と検索クエリ情報330を読み出す(ステップS81)。
【0105】
種類情報320と検索クエリ情報330を読み出すと、収集制御部17は、手引記憶部18の手引500を参照し、読み出した種類情報320に対応付けられたタグ510を特定する(ステップS82)。また、収集制御部17は、検索クエリ情報330を参照してエレメントバッファメモリ15から検索キーに該当する現場データ100又は補足情報200を読み出す(ステップS83)。
【0106】
そして、収集制御部17は、特定したタグ510と現場データ100又は補足情報200を情報取得部13に渡す(ステップS84)。情報取得部13は、タグ510を受け取ると、メモリマップ14を参照して、受け取ったタグ510で特定される管理領域11を特定する(ステップS85)。管理領域11が特定されると、情報取得部13は、受け取った現場データ100や補足情報200を検索キーとして、特定された管理領域11内を検索する(ステップS86)。
【0107】
該当の補足情報200が検出されると、情報取得部13は、該当の補足情報200を収集制御部17に渡す(ステップS87)。収集制御部17は、受け取った補足情報200をエレメントバッファメモリ15内に用意したフォルダにデータを記憶させる(ステップS88)。
【0108】
(作用)
図19に示すように、辞書データ300で参照されるモデル310には、コンベアの表面温度と正常温度範囲とコメントを示す種類情報320が列挙され、コメントを示す種類情報320には、コンベアの表面温度と正常範囲温度のアンド検索を表す検索クエリ情報330が関連付けられているものとする。そして、コンベアの表面温度を示す種類情報320に対して「74℃」を示す現場データ100が取得され、正常温度範囲を示す種類情報320に対して「40〜70℃」の数値範囲を示す補足情報200が取得されたものとする。
【0109】
また、手引500には、コメントを示す種類情報320に対して「F」のタグ510が関連付けられ、「F」のタグ510で特定される管理領域11には、「プラスマイナス5℃超は異常であり緊急対処要」、「プラスマイナス5℃以内は製品に影響はでていない。将来的な調整課題」、及び「正常」を示す各補足情報200がストックされているものとする。
【0110】
この場合、収集制御部17は、辞書データ300からコメントを示す種類情報320を読み出すと、手引500で当該種類情報320に関連付けられた「F」のタグ510、及びコメントを示す種類情報320に関連付けられた検索クエリ情報330に従ってエレメントバッファメモリ15から読み出した「74℃」を示す現場データ100と「40〜70℃」の数値範囲を示す補足情報200を情報取得部13に渡す。
【0111】
情報取得部13は、「F」のタグ510で特定される管理領域11を対象にして、「74℃」を示す現場データ100と「40〜70℃」の数値範囲を示す補足情報200を検索キーとする検索を実行する。この検索では、3種類の補足情報200のうち、「プラスマイナス5℃以内は製品に影響はでていない。将来的な調整課題」の補足情報200が該当し、情報取得部13は当該補足情報200を読み出して収集制御部17に渡す。
【0112】
収集制御部17は、「プラスマイナス5℃以内は製品に影響はでていない。将来的な調整課題」の補足情報200を、「74℃」を示す現場データ100と「40〜70℃」の数値範囲を示す補足情報200が格納されたフォルダに格納する。
【0113】
そして、イベント生成部19は、コンベアの表面温度が「74℃」を示す現場データ100、正常温度範囲が「40〜70℃」の数値範囲を示す補足情報200、及び「プラスマイナス5℃以内は製品に影響はでていない。将来的な調整課題」というコメントを示す補足情報200を、同じデータセットに纏めてイベント情報400を作成する。
【0114】
尚、検索手法としては、アンド検索に限らず、各種の手法を用いることができる。例えば、あいまい検索等を用いてもよい。あいまい検索は、セマンティック検索とも呼ばれ、検索キーの持つ意味内容から検索を行う手法である。
【0115】
(効果)
このように、この情報収集システム1では、現場データ100及び補足情報200を記憶するエレメントバッファメモリ15を更に備え、エレメントバッファメモリ15に記憶された現場データ100及び補足情報200を検索キーとして、イベント情報400に含ませる他の種類の補足情報200を収集するようにした。このエレメントバッファメモリ15への一時記憶という方式により、イベント情報400に逐次追加する方式よりも検索キーの収集が容易となる。
【符号の説明】
【0116】
1 情報収集システム
1a 辞書編集装置
1b 収集装置
2 データ発生装置
3 データベース
10 テンポラリメモリ
11 管理領域
12 管理先決定部
13 情報取得部
13a 情報加工部
13b テンプレート記憶部
14 メモリマップ
15 エレメントバッファメモリ
16 辞書データ記憶部
17 収集制御部
18 手引記憶部
19 イベント生成部
30 辞書データ記憶部
31 編集部
100 現場データ
200 補足情報
300 辞書データ
310 モデル
320 種類情報
330 検索クエリ情報
400 イベント情報
500 手引
510 タグ
600 テンプレート
610 テンプレート情報
700 パス情報
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19