特許第6235877号(P6235877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235877
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】金属調加飾部品
(51)【国際特許分類】
   B44C 1/24 20060101AFI20171113BHJP
   G01D 13/04 20060101ALI20171113BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20171113BHJP
   G09F 7/16 20060101ALN20171113BHJP
【FI】
   B44C1/24
   G01D13/04 Z
   B60K35/00 Z
   !G09F7/16 D
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-241200(P2013-241200)
(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公開番号】特開2015-100933(P2015-100933A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100192474
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 健次
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】藤田 順雄
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−033427(JP,A)
【文献】 特開平09−090059(JP,A)
【文献】 特開昭53−113614(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0095224(US,A1)
【文献】 特開2014−177090(JP,A)
【文献】 特開2013−228369(JP,A)
【文献】 特開平08−174007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 1/24
B60K 35/00
G01D 13/04
G09F 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂により成形される基板本体と、前記基板本体の表面に被着される金属薄膜と、を備えた金属調加飾部品であって、
前記金属薄膜は、
その表面形状から第1カットオフ値=250μmで得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅と平均長さである波長の比率で捉えられ前記振幅を1とした場合の前記波長の比率が1:600以上となる大きなうねりと、
前記表面形状から第2カットオフ値=80μmで得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅と平均長さである波長の比率で捉えられ前記振幅を1とした場合の前記波長の比率が1:200以上となる小さなうねりと、を有することを特徴とする金属調加飾部品。
【請求項2】
請求項1に記載の金属調加飾部品であって、
前記基板本体がリング形状に形成され、前記金属薄膜の表面が、前記基板本体に形成される面取り部の円周全域であることを特徴とする金属調加飾部品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の金属調加飾部品であって、
前記合成樹脂が、成型金型の成形面の形状を正確に転写することができる高い転写性を有することを特徴とする金属調加飾部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属調加飾部品に関する。
【背景技術】
【0002】
熱、振動等による使用環境条件が過酷な例えば車両用計器に用いられる文字板には、ステンレスやアルミニウムなどの金属により製造されることで、車両用計器に金属感、高級感或いは装飾性を持たせるようにしたものが知られている(特許文献1等参照)。
ところが、金属からなる文字板は、金属板を一枚一枚、機械加工する必要があり、均一な品質を得ることが難しく、製造コストの点でも問題がある。また、金属であるために重量が重く、特に車両では軽量化に不利となる。
【0003】
そこで、アクリル樹脂等の合成樹脂から成型加工により形成した基板の表面側に、アルミ蒸着等により金属層を形成することにより、基板に金属質感を付与して視認者に高級感を感じさせる目盛リング(金属調加飾部品)を用いた車両用計器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−241565号公報
【特許文献2】特開2007−232403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2の車両用計器における目盛リングのように、合成樹脂製の基板表面に金属層を形成した金属調加飾部品では、実際の金属感を再現することが難しかった。この様に、金属調加飾部品である目盛リングに実際の金属感が再現できない理由には、円環状の目盛リングの外側に形成される面取り部の見栄えの悪さが挙げられる。即ち、合成樹脂製の基板表面に金属層を形成した金属調加飾部品の場合、面取り部の表面のうねりにより、本物の金属切削品よりも大きな反射像の歪みが発生する。これにより、金属切削加工特有のシャープ感が低下し、視認者は、これが本物の金属ではなく、樹脂成形による偽物だと認識してしまう。一方で、合成樹脂製の基板の面取り部に、手作業による仕上げ加工を加えれば、反射像の歪みは改善されるが、反射像の歪みを捉えるためのパラメータが明確でなく、均一な品質を得る点、製造コストの点では依然問題が残っている。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、樹脂成形品でありながら本物の金属を切削して製造されたような見栄えを均一な品質で得ることができ、低コスト化及び軽量化が達成できる金属調加飾部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 合成樹脂により成形される基板本体と、前記基板本体の表面に被着される金属薄膜と、を備えた金属調加飾部品であって、前記金属薄膜は、その表面形状から第1カットオフ値=250μmで得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmの比率で捉えられ前記振幅Wcを1とした場合の前記波長Wsmの比率が1:600以上となる大きなうねりと、前記表面形状から第2カットオフ値=80μmで得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmの比率で捉えられ前記振幅Wcを1とした場合の前記波長Wsmの比率が1:200以上となる小さなうねりと、を有することを特徴とする金属調加飾部品。
【0008】
上記(1)の構成の金属調加飾部品によれば、基板本体の表面に被着された金属薄膜の表面における反射像の歪みを捉えるためのパラメータとして、その表面形状から第1カットオフ値(例えば、250μm)及び第2カットオフ値(例えば、80μm)で得られたうねり曲線におけるねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmとを測定し、振幅Wcと波長Wsmの比率を算出することで、反射像の歪みが改善された金属調加飾部品を容易に得ることができる。
即ち、金属薄膜の表面における大きなうねりの振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:600以上となり、小さなうねりの振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:200以上となることにより、本物の金属を切削して製造したような見栄えの金属調加飾部品が、樹脂成形と金属薄膜コーティングによって容易に実現される。
【0009】
(2) 上記(1)の構成の金属調加飾部品であって、前記基板本体がリング形状に形成され、前記金属薄膜の表面が、前記基板本体に形成される面取り部の円周全域であることを特徴とする金属調加飾部品。
【0010】
上記(2)の構成の金属調加飾部品によれば、金属調の判断対象となる基板本体における金属薄膜の表面が、リング状の基板本体の外側に形成される面取り部であり、その円周全域における360度のどの方向から面取り部を見ても、あたかも本物の金属を切削して製造されたような見栄えとなる。
【0011】
(3) 上記(1)または(2)の構成の金属調加飾部品であって、前記合成樹脂が、成型金型の成形面の形状を正確に転写することができる高い転写性を有することを特徴とする金属調加飾部品。
【0012】
上記(3)の構成の金属調加飾部品によれば、基板本体を成形する合成樹脂として、流動性がよく転写性の高いものが用いられることで、成形金型の成型面の形状が忠実に基板本体の表面に転写可能となる。これにより、成形金型の成形面には存在しないうねりが基板本体の表面に出現することが抑制される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る金属調加飾部品によれば、樹脂成形品でありながら本物の金属を切削して製造されたような見栄えを均一な品質で得ることができ、低コスト化及び軽量化を達成できる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る金属調加飾部品の一部分を切り欠いた全体斜視図及び要部拡大図である。
図2】(a)は光沢反射像が金属調と判定される基準を説明する図、(b)は光沢反射像が金属調と判定されない基準を説明する図である。
図3】従来の金属調加飾部品における面取り部の反射像の歪みの原因を示した模式図である。
図4図1に示した金属調加飾部品の面取り部に発生するうねり波形を説明する図である。
図5】うねり曲線の平均高さを求めるための説明図である。
図6】うねり曲線の平均長さを求めるための説明図である。
図7】うねりが緩やかになった時を説明する図である。
図8】(a)は図3の面取り部における線分A−B上をレーザー顕微鏡で測定した表面形状を説明する図、(b)は(a)の表面形状を第2カットオフ値(80μm)でフィルタリングしたうねり波形を説明する図、(c)は(a)の表面形状を第1カットオフ値(250μm)でフィルタリングしたうねり波形を説明する図である。
図9】(a)は図1に示した金属調加飾部品の面取り部の表面形状を第2カットオフ値(80μm)でフィルタリングしたうねり波形を説明する図、(b)は面取り部の表面形状を第1カットオフ値(250μm)でフィルタリングしたうねり波形を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態に係る金属調加飾部品としては、例えば金属調のスピードメータに用いられる加飾用金属調リング11を例に説明するが、本発明に係る金属調加飾部品は、その他の車両用計器の部品に用いられてもよい。この加飾用金属調リング11は、合成樹脂を成形金型によって一体成形して得られている。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の加飾用金属調リング11は、合成樹脂により成形される基板本体20と、基板本体20の表面に被着される金属薄膜22と、を備える。金属薄膜22は、その表面に後述する大きなうねりと、小さなうねりと、を有している。
【0018】
加飾用金属調リング11には、円周方向に沿う文字表示領域13が形成される。文字表示領域13には、スピード値を表す「0」、「20」、「40」等の文字部15が円周方向に所定の間隔で配置されている。文字表示領域13には、加飾用金属調リング11の円環状の中心を同心円とするヘアライン19が形成されている。
【0019】
更に、加飾用金属調リング11の文字表示領域13の外側には、面取り部17が形成されている。面取り部17は、文字表示領域13の外縁部に面取り状に形成された円周方向に沿う傾斜環状面である。本実施形態の加飾用金属調リング11では、この面取り部17の表面における金属薄膜22の表面形状を特徴とする。
加飾用金属調リング11は、合成樹脂により基板本体20を所定に形状に一体成形した後、表面にスパッタリングによって金属薄膜22が被着される。被着される金属薄膜22には、金属調に好適なアルミ、ステンレス、チタン等の他、種々の金属を用いることができる。これにより、面取り部17を含む基板本体20の表面は、鏡面に仕上げられる。勿論、基板本体20の表面に被着される金属薄膜22は、スパッタリングに限らず、蒸着、メッキ、塗装などにより被着することもできる。
【0020】
金属薄膜22が被着される基板本体20の表面は、成形金型の成形面における表面形状が転写されるため、完全に平坦な面ではなく、大きなうねりと、小さなうねりが存在する。
大きなうねりは、金属薄膜22による鏡面の反射像に歪みを生じさせる相関関係を有する。そこで、本実施形態に係る大きなうねりは、金属薄膜22の表面形状から第1カットオフ値(例えば、250μm)で得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmの比率で捉えられる。そして、この大きなうねりが、振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:600以上となるように面取り部17の表面が形成されている。
【0021】
また、小さなうねりは、金属薄膜22による鏡面の反射像の輪郭をぼやけさせる相関関係を有する。そこで、本実施形態に係る小さなうねりは、金属薄膜22の表面形状から第1カットオフ値よりも小さい第2カットオフ値(例えば、80μm)で得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmの比率で捉えられる。そして、この小さなうねりが、振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:200以上となるように面取り部17の表面が形成されている。
【0022】
そして、本実施形態の加飾用金属調リング11は、基板本体20がリング形状に形成され、金属薄膜22の表面が、基板本体20に形成される面取り部17の円周全域とされている。
【0023】
加飾用金属調リング11の基板本体20を一体成形する合成樹脂には、流動性がよく転写性に優れるものが使用される。転写性に優れた合成樹脂としては、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP)等の熱可塑性プラスチックを好適に用いることができる。これにより、基板本体20を成形する合成樹脂は、成形金型の成形面に形成されている小さいうねり及び大きいうねりを、基板本体20の面取り部17の表面に忠実に転写することができる。
【0024】
次に、上記構成を有する加飾用金属調リング11の作用を説明する。
本実施形態に係る加飾用金属調リング11によれば、基板本体20における面取り部17の表面に被着された金属薄膜22の表面における反射像の歪みを捉えるためのパラメータとして、その表面形状から第1カットオフ値(例えば、250μm)及び第2カットオフ値(例えば、80μm)で得られたうねり曲線におけるねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmとを測定し、振幅Wcと波長Wsmの比率を算出することで、反射像の歪みが改善された加飾用金属調リング11を容易に得ることができる。
即ち、金属薄膜22の表面における大きなうねりが、振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:600以上となり、小さなうねりが、振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:200以上となることにより、本物の金属を切削して製造したような見栄えの加飾用金属調リング11が、樹脂成形と金属薄膜コーティングによって容易に実現される。
【0025】
更に、上述した大きなうねりの振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:600以上となり、小さなうねりの振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:200以上となると、面取り部17の表面に被着された金属薄膜22の表面が、本物の金属を切削して製造したような見栄えを得ることができることを見出した点について説明する。
【0026】
先ず、面取り部17の表面形状から得られたうねりの波形をフラットに近づけ、目視で反射像の歪みが無いと認識される条件を設定した。本実施形態において、金属薄膜22の表面に歪みが無いと認識される条件は、面取り部17の表面における光沢反射像Sの輪郭Lが直線であること、または図2に示すような2次曲線の場合は光沢反射像Sの輪郭Lの半径Rが、面取り部17の幅Wの4倍以上(R≧4W)となることである。
【0027】
次に、金属薄膜22の表面における反射像のゆがみの原因は、面取り部17の表面の2種類のうねりによると仮説した。1つは、反射像の歪みの原因となる大きなうねり。もう1つは、反射像の不明瞭な輪郭の原因となる小さなうねりである。
即ち、図4に示すように、面取り部17の表面に発生するうねり波形をイメージし、振幅Wcと波長Wsmをうねりの波形を捉えるためのパラメータとした。振幅Wcとは、図5に示すうねり曲線の平均高さ(下記式1参照)である。波長Wsmとは、図6に示すうねり曲線の平均長さ(下記式2参照)である。これらは、それぞれレーザー顕微鏡を使用することにより測定が可能となる。そして、うねり曲線の平滑さを示す指標として、振幅Wcと波長Wsmを比で表すこととした。具体的には、振幅Wcを1とした時の波長Wsmの数値を比率で示す。
【0028】
【数1】
(式1)
(式中、mは自然数を示す。)
【0029】
【数2】
(式2)
(式中、mは自然数を示す。)
【0030】
従って、金属薄膜22の表面における反射像の歪みを低減させるには、図7に示すように、大きなうねりと小さなうねりを緩やかな波形にする必要のあることがわかる。このため、本実施形態に係る加飾用金属調リング11の構成では、うねりが緩やかとなることをイメージして面取り部17の表面を形成した。この時のうねりの振幅Wcと波長Wsmの関係は、Wc≪Wsmとなる。なお、加飾用金属調リング11の面取り部17の表面をこのような表面状態とするのには、成形金型の加工時において熱変形の少ない切削工具を用いて成形面を形成する必要があることがわかった。
【0031】
図3は従来製品の光沢反射像Sを模式的に示している。図3中、光沢反射像Sの輪郭L(太線)の大きなうねりが光沢反射像Sの歪みとなる。また、図3中、光沢反射像Sの小さなうねりM(網点部)が曖昧な輪郭Lとなる。この従来製品の面取り部17では、本物の金属切削品よりも大きな光沢反射像Sの歪みが発生しており、本物の金属ではな<、樹脂成形による偽物だと認識されてしまう。本物の金属切削品の場合、このような歪みは生じない。即ち、本来ならば、真っ直ぐに映り込むはずの光沢反射像Sの形が歪み、輪郭Lが曖昧になっている。これは、面取り部17の表面におけるうねりに起因する。
【0032】
図8の(a)は、図3に示した従来製品の面取り部17における線分A−B上をレーザー顕微鏡で測定した結果を図示したものである。なお、図8の(b)は面取り部17の表面形状を第2カットオフ値(80μm)でフィルタリングしたうねり波形を示し、図8の(c)は面取り部17の表面形状を第1カットオフ値(250μm)でフィルタリングしたうねり波形を示す。
この時の振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が、第2カットオフ値=80μmで、Wc:Wsm=1:60、第1カットオフ値=250μmで、Wc:Wsm=1:128であった。
【0033】
一方、熱変形の少ない切削工具を用いて成形面が形成された成形金型により基板本体20を一体成形し、この基板本体20の表面に金属薄膜22を被着させた本実施形態の加飾用金属調リング11における面取り部17は、目視で歪みが認識できない程度になった。これは、上述の目視で反射像の歪みが無いと認識される条件(光沢反射像Sの輪郭Lが直線であること、または2次曲線の場合は光沢反射像Sの輪郭Lの半径Rが、面取り部17の幅Wの4倍以上となること。)を満足するものである。
【0034】
このような本実施形態の加飾用金属調リング11における面取り部17のうねりを測定した。図9の(a)は面取り部17の表面形状を第2カットオフ値(80μm)でフィルタリングしたうねり波形を示し、図9の(b)は面取り部17の表面形状を第1カットオフ値(250μm)でフィルタリングしたうねり波形を示す。この時のうねりの振幅Wcと波長Wsmの比率は、第2カットオフ値=80μmの小さなうねりではWc:Wsm=1:215以上であり、第1カットオフ値=250μmの大きなうねりではWc:Wsm=1:644以上であった。なお、本実施形態の加飾用金属調リング11における構成では、これら数値を、10の整数乗で端数処理したWc:Wsm=1:200以上、Wc:Wsm=1:600以上とした。
【0035】
更に、本実施形態の加飾用金属調リング11によれば、金属調の判断対象となる基板本体20における金属薄膜22の表面が、リング状の基板本体20の外側に形成される面取り部17であり、その円周全域における360度のどの方向から面取り部17を見ても、あたかも本物の金属を切削して製造されたような見栄えとなる。
【0036】
更に、本実施形態の加飾用金属調リング11では、基板本体20を成形する合成樹脂として、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP)等の流動性がよく転写性の高いものが用いられることで、成形金型の成型面の形状が忠実に基板本体20の表面に転写可能となる。これにより、成形金型の成形面には存在しないうねりが基板本体20の表面に出現することが抑制され、均一な品質が得られる。
【0037】
ここで、上述した本発明に係る金属調加飾部品の実施形態の特徴をそれぞれ以下に簡潔に纏めて列記する。
[1] 合成樹脂により成形される基板本体20と、前記基板本体20の表面に被着される金属薄膜22と、を備えた金属調加飾部品(加飾用金属調リング)11であって、前記金属薄膜22は、その表面形状から第1カットオフ値で得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmの比率で捉えられ前記振幅Wcを1とした場合の前記波長Wsmの比率が1:600以上となる大きなうねりと、前記表面形状から第1カットオフ値よりも小さい第2カットオフ値で得られたうねり曲線において、うねり波形の平均高さである振幅Wcと平均長さである波長Wsmの比率で捉えられ前記振幅Wcを1とした場合の前記波長Wsmの比率が1:200以上となる小さなうねりと、を有することを特徴とする金属調加飾部品(加飾用金属調リング)11。
[2] 上記[1]の構成の金属調加飾部品(加飾用金属調リング)11であって、前記基板本体20がリング形状に形成され、前記金属薄膜22の表面が、前記基板本体20に形成される面取り部17の円周全域であることを特徴とする金属調加飾部品(加飾用金属調リング)11。
[3] 上記[1]または[2]の構成の金属調加飾部品(加飾用金属調リング)11であって、前記合成樹脂が、成型金型の成形面の形状を正確に転写することができる高い転写性を有することを特徴とする金属調加飾部品(加飾用金属調リング)11。
【実施例】
【0038】
次に、異なるうねり波形を有する加飾用金属調リング11の複数のサンプルを製造し、金属調の見栄えを備えるか否かの判定を行った実施例を説明する。
[サンプル種別]
サンプル1:従来切削工具で成形面を作成した成形金型を使用してポリカーボネート樹脂により基板本体20を一体成形し、アンダーコートを設けた表面にスパッタリングによってアルミの金属薄膜22を被着させた後、スモーククリア色のトップコートを施した。
サンプル2:スモーククリア色のトップコートに代えて、無色のトップコートを施した以外は、サンプル1と同様。
サンプル3:ダイヤモンドバイトで成形面を作成した成形金型を使用してアクリル樹脂により基板本体20を一体成形し、アンダーコートを設けた表面にスパッタリングによってアルミの金属薄膜22を被着させ、トップコートは廃止した。
サンプル4:シクロオレフィンポリマー樹脂により基板本体20を一体成形した以外は、サンプル3と同様。
サンプル5:アルミ合金から基板本体20と同形状の金属リングを削出した。
【0039】
[判定方法]
各サンプルの表面形状をレーザー顕微鏡で測定し、第2カットオフ値=80μmでフィルタリングした小さなうねりのうねり波形における振幅Wcと波長Wsmの比率を算出し、第1カットオフ値=250μmでフィルタリングした大きなうねりのうねり波形における振幅Wcと波長Wsmの比率を算出した。
また、金属薄膜22が被着された加飾用金属調リング11の面取り部17を目視観察して、光沢反射像Sの歪みの有無を評価した。目視観察の光源としては、四角形のLEDを使用した。光沢反射像Sは、面取り部17の平面に対し、垂直方向の視線にて観察した。これらの結果を下記表1に示す。
【0040】
[歪みの評価基準]
歪みが無いと認識される条件は、面取り部17の表面に現れる光沢反射像Sの輪郭Lが直線であること、または2次曲線の場合は光沢反射像Sの輪郭Lの半径Rが、面取り部17の幅Wの4倍以上(R≧4W)となることとし、この条件を満たす場合を「○」、この条件から外れる場合を「×」とした。
【0041】
【表1】


表1から判るように、第1カットオフ値=250μmでフィルタリングした大きなうねりは振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:約600以上、第2カットオフ値=80μmでフィルタリングした小さなうねりは振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:約200以上のサンプル3,4では、光沢反射像Sの歪みがないと判定された。なお、サンプル2のように、小さなうねりは振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:約200以上であっても、大きなうねりが振幅Wcを1とした場合の波長Wsmの比率が1:600以下の場合は、光沢反射像Sの歪みが生じた。また、サンプル3のように、熱変形の少ない切削工具であるダイヤモンドバイトで成形面を作成した成形金型を用いることで、面取り部17のうねりが低減されることが確認された。
【0042】
従って、本実施形態に係る加飾用金属調リング11によれば、樹脂成形品でありながら本物の金属を切削して製造されたような見栄えを均一な品質で得ることができ、その結果、低コスト化及び軽量化を達成できる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0043】
11…加飾用金属調リング(金属調加飾部品)
17…面取り部
20…基板本体
22…金属薄膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9