(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FOUPは、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials Institute)規格に基づいて製造されており、FOUPの高さは、一定の寸法となっている。一方で、半導体ウエハ処理装置に関しては、特定の規格が定まっておらず、半導体ウエハ処理装置の高さは任意に設定されている。そのため、半導体ウエハ処理装置の仕様によっては、アーム昇降機構の昇降量が足りなくて、特許文献1に記載の産業用ロボットをそのままEFEMで使用することができない場合がある。
【0005】
この場合、本体部の内部に配置されるアーム昇降機構の構成を変更して、アーム昇降機構の昇降量を大きくすれば良い。しかしながら、アーム昇降機構の昇降量を大きくする場合、本体部全体の構成を見直さなければならないおそれがあり、産業用ロボットの設計が煩雑になる。また、アーム昇降機構の昇降量を大きくする場合には、半導体ウエハ処理装置の高さに応じてアーム昇降機構の昇降量の異なる複数種類の産業用ロボットを製造する必要が生じるため、産業用ロボットの製造コストが嵩むおそれがある。
【0006】
一方で、本体部の内部に配置されるアーム昇降機構の昇降量が足りない場合に、特許文献1に記載の産業用ロボットそのものを昇降させる昇降機構を産業用ロボットの外部に設ければ、上述の問題を解消することはできる。この場合、産業用ロボットを上下方向へ駆動するための昇降機構の駆動部や、産業用ロボットを上下方向へ案内するための昇降機構のガイド部を筺体の内部に収容すれば、この駆動部やガイド部から発生する塵埃がEFEMの内部へ流出するのを抑制することは可能になる。しかしながら、昇降機構の駆動部やガイド部が筺体の内部に収容されても、駆動部やガイド部から発生する塵埃が産業用ロボットと昇降機構との連結部分からEFEMの内部に流出して、EFEMの内部のクリーン度を確保できなくなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、EFEMの一部を構成する産業用ロボットにおいて、ロボット本体を昇降させる昇降機構がロボット本体の外部に配置されていても、昇降機構の駆動部やガイド部から発生する塵埃が、ロボット本体と昇降機構との連結部分からEFEMの内部に流出するのを効果的に抑制することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、EFEMの一部を構成するとともにFOUPと半導体ウエハ処理装置との間で半導体ウエハを搬送する産業用ロボットにおいて、ロボット本体と、ロボット本体の外部に配置されロボット本体を昇降させる昇降機構とを備え、ロボット本体は、半導体ウエハが搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部と、アームを昇降させるアーム昇降機構とを備え、昇降機構は、上下方向へロボット本体を駆動するための駆動部と、上下方向へロボット本体を案内するための
2本のガイドレールと、
2本のガイドレール
のそれぞれに係合して上下方向へスライドするガイドブロックと、駆動部、ガイドレールおよびガイドブロックが収容される筺体と、筺体の外部に配置されるロボット本体とガイドブロックとを連結するための
2個の連結部材と
、筺体の内部に配置され2個の連結部材を繋ぐ接続部材と、筺体に取り付けられ筺体の内部の空気をEFEMの外部へ排出する2個の排気ファンとを備え、筺体は、ガイドブロックと本体部との間に配置される平板状のカバーを備え、カバーには、上下方向に細長いスリット状の貫通孔が、連結部材の上下方向への移動が可能となるように形成され、連結部材には、貫通孔に配置される貫通孔通過部が形成され、カバーの厚み方向と上下方向とに直交する貫通孔の幅方向における貫通孔通過部の幅および貫通孔の幅は、貫通孔の幅方向におけるガイドブロックの幅よりも狭くなって
おり、2本のガイドレールは、貫通孔の幅方向において、所定の間隔をあけた状態で配置され、駆動部は、駆動源となるモータと、モータの動力で回転するボールネジと、ボールネジに螺合するナット部材とを備えるとともに、貫通孔の幅方向において、2本のガイドレールの間に配置され、モータとボールネジとは、貫通孔の幅方向で隣接配置され、2個の排気ファンのうちの一方の排気ファンは、カバーの厚み方向でモータに隣接配置され、他方の排気ファンは、カバーの厚み方向でボールネジに隣接配置され、2個の連結部材のそれぞれは、2本のガイドレールのそれぞれに係合するガイドブロックに固定され、2個の連結部材のうちの一方の連結部材にナット部材が固定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の産業用ロボットでは、昇降機構の一部を構成する駆動部とガイドレールとガイドブロックとが筺体に収容されている。また、本発明では、ガイドブロックとロボット本体の本体部との間に、筺体の一部を構成する平板状のカバーが配置され、このカバーに、上下方向に細長いスリット状の貫通孔が形成されている。さらに、本発明では、ロボット本体とガイドブロックとを連結するための連結部材に、貫通孔に配置される貫通孔通過部が形成され、貫通孔の幅方向における貫通孔通過部の幅および貫通孔の幅が、貫通孔の幅方向におけるガイドブロックの幅よりも狭くなっている。そのため、本発明では、カバーの貫通孔にガイドブロックが配置される場合と比較して、貫通孔の幅を狭くすることができる。したがって、本発明では、ロボット本体を昇降させる昇降機構がロボット本体の外部に配置されていても、昇降機構の駆動部やガイド部から発生する塵埃が、ロボット本体と昇降機構との連結部分からEFEMの内部に流出するのを効果的に抑制することが可能になる。
また、本発明では、昇降機構は、筺体に取り付けられ筺体の内部の空気をEFEMの外部へ排出する排気ファンを備えているため、昇降機構の駆動部やガイド部から発生する塵埃が、ロボット本体と昇降機構との連結部分からEFEMの内部に流出するのをより効果的に抑制することが可能になる。
【0010】
本発明において、本体部は、上下方向から見たときの形状が略長方形状または略正方形状となるように形成され、昇降機構は、筺体の外部に配置され本体部の1つの側面が固定される固定部材を備え、貫通孔通過部の先端に固定部材が固定されていることが好ましい。このように構成すると、平面状に形成されるロボット本体の側面と筺体の外部に配置される固定部材とを用いてロボット本体と昇降機構とを連結することができるため、ロボット本体と昇降機構とを容易に連結することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明では、EFEMの一部を構成する産業用ロボットにおいて、ロボット本体を昇降させる昇降機構がロボット本体の外部に配置されていても、昇降機構の駆動部やガイド部から発生する塵埃が、ロボット本体と昇降機構との連結部分からEFEMの内部に流出するのを効果的に抑制することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の斜視図である。
図2は、
図1に示す産業用ロボット1の、ロボット本体3およびアーム16が上昇するとともにアーム16が伸びている状態の斜視図である。
図3は、
図1に示す産業用ロボット1が使用される半導体製造システム5の概略平面図である。
【0017】
本形態の産業用ロボット1は、半導体ウエハ2(
図3参照)を搬送するための水平多関節ロボットである。この産業用ロボット1は、ロボット本体3と、ロボット本体3を昇降させる昇降機構4とから構成されている。以下の説明では、産業用ロボット1を「ロボット1」とし、半導体ウエハ2を「ウエハ2」とする。また、以下の説明では、上下方向に直交する
図1等のX方向を「左右方向」とし、上下方向および左右方向に直交するY方向を「前後方向」とするとともに、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側とする。
【0018】
図3に示すように、ロボット1は、半導体製造システム5に組み込まれて使用される。この半導体製造システム5は、EFEM6と、ウエハ2に対して所定の処理を行う半導体ウエハ処理装置7とを備えている。EFEM6は、半導体ウエハ処理装置7の前側に配置されている。ロボット1は、EFEM6の一部を構成している。また、EFEM6は、FOUP8を開閉する複数のロードポート9と、ロボット1が収容される筺体10とを備えている。筺体10は、左右方向に細長い直方体の箱状に形成されている。筺体10の前面および後面は、上下方向と左右方向とから構成される平面に平行になっている。筺体10の内部は、清浄空間となっている。すなわち、EFEM6の内部は、清浄空間となっており、EFEM6の内部では所定のクリーン度が確保されている。
【0019】
FOUP8は、SEMI規格に基づいて製造されており、FOUP8には、25枚または13枚のウエハ2が収容可能となっている。ロードポート9は、筺体10の前側に配置されている。本形態のEFEM6は、左右方向に所定のピッチで配列される4個のロードポート9を備えており、EFEM6では、4個のFOUP8が左右方向に所定のピッチで配列される。ロボット1は、4個のFOUP8と半導体ウエハ処理装置7との間でウエハ2を搬送する。
【0020】
(ロボット本体の構成)
図4は、
図1に示すロボット本体3の側面図である。
【0021】
ロボット本体3は、ウエハ2が搭載される2個のハンド14、15と、ハンド14、15が先端側に回動可能に連結されるアーム16と、アーム16の基端側が回動可能に連結される本体部17とを備えている。アーム16は、その基端側が本体部17に回動可能に連結される第1アーム部18と、第1アーム部18の先端側にその基端側が回動可能に連結される第2アーム部19と、第2アーム部19の先端側にその基端側が回動可能に連結される第3アーム部20とから構成されている。すなわち、アーム16は、互いに相対回動可能に連結される3個のアーム部を備えている。第1アーム部18、第2アーム部19および第3アーム部20は、中空状に形成されている。また、本形態では、第1アーム部18の長さと、第2アーム部19の長さと、第3アーム部20の長さとが等しくなっている。本体部17と第1アーム部18と第2アーム部19と第3アーム部20とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。
【0022】
ハンド14、15は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されており、二股状になっているハンド14、15の先端部にウエハ2が搭載される。ハンド14、15の基端側は、第3アーム部20の先端側に回動可能に連結されている。ハンド14、15は、上下方向で重なるように配置されている。具体的には、ハンド14が上側に配置され、ハンド15が下側に配置されている。また、ハンド14、15は、第3アーム部20よりも上側に配置されている。
【0023】
なお、
図3では、ハンド15の図示を省略している。また、本形態のロボット1の動作時には、ハンド14とハンド15とが上下方向で重なる場合もあるが、ほとんどの場合、ハンド14とハンド15とは、上下方向で重なっていない。たとえば、
図3の二点鎖線で示すように、ハンド14がFOUP8の中へ入り込んでいるときには、ハンド15は、本体部17側へ回転しており、FOUP8の中に入っていない。このときのハンド14に対するハンド15の回転角度は、たとえば、120°〜150°である。
【0024】
本体部17は、筺体21と、第1アーム部18の基端側が回動可能に連結される柱状部材22(
図2参照)とを備えている。筺体21は、上下方向に細長い略直方体状に形成されており、上下方向から見たときの筺体21の形状は、略長方形状または略正方形状となっている。また、筺体21の前面および後面は、上下方向と左右方向とから構成される平面に平行になっており、筺体21の左右の両側面は、上下方向と前後方向とから構成される平面に平行になっている。すなわち、本体部17は、上下方向から見たときの形状が略長方形状または略正方形状となる上下方向に細長い略直方体状に形成されている。また、本体部17の前面および後面は、上下方向と左右方向とから構成される平面に平行になっており、本体部17の左右の両側面は、上下方向と前後方向とから構成される平面に平行になっている。
【0025】
柱状部材22は、上下方向の細長い柱状に形成されている。筺体21の内部には、柱状部材22を昇降させるアーム昇降機構(図示省略)が収納されている。すなわち、筺体21の内部には、本体部17に対して第1アーム部18を昇降させる(すなわち、アーム16を昇降させる)アーム昇降機構が収納されている。このアーム昇降機構は、たとえば、上下方向を軸方向として配置されるボールネジ、このボールネジに係合するナット部材、および、ボールネジを回転させるモータ等によって構成されている。アーム昇降機構は、
図1に示すように、柱状部材22が筺体21に収容される位置と、
図2に示すように、柱状部材22が筺体21から上側に突出する位置との間で、柱状部材22を昇降させる。すなわち、アーム昇降機構は、柱状部材22が筺体21に収容される位置と、柱状部材22が筺体21から上側に突出する位置との間で、アーム16を昇降させる。
【0026】
柱状部材22は、筺体21の前端側に配置されている。第1アーム部18の基端側は、柱状部材22の上端に回動可能に連結されている。すなわち、
図3に示すように、上下方向から見たときに、本体部17に対する第1アーム部18の回動中心(すなわち、アーム16の基端側の回動中心)C1は、本体部17の中心よりも前側(FOUP8側)に配置されている。また、左右方向において、柱状部材22は、筺体21の中心位置に配置されている。
【0027】
図1、
図4に示すように、アーム16が縮んで、第1アーム部18と第2アーム部19と第3アーム部20とハンド14、15とが上下方向で重なっている状態が、ロボット1の待機状態となる。この待機状態においては、アーム16およびハンド14、15の一部が本体部17よりも後ろ側へ突出している。
【0028】
また、ロボット本体3は、第1アーム部18および第2アーム部19を回動させて第1アーム部18と第2アーム部19とからなるアーム16の一部を伸縮させるアーム部駆動機構と、第3アーム部20を回転駆動する第3アーム駆動機構と、ハンド14を回転駆動する第1ハンド駆動機構と、ハンド15を回転駆動する第2ハンド駆動機構とを備えている。
【0029】
アーム部駆動機構は、
図4に示すように、駆動源となるモータ25と、モータ25の動力を減速して第1アーム部18に伝達するための減速機26と、モータ25の動力を減速して第2アーム部19に伝達するための減速機27とを備えている。モータ25は、筺体21の内部に配置されている。減速機26は、本体部17と第1アーム部18とを繋ぐ関節部を構成している。減速機27は、第1アーム部18と第2アーム部19とを繋ぐ関節部を構成している。減速機26、27は、たとえば、波動歯車装置であるハーモニックドライブ(登録商標)である。上述の特許文献1に記載された産業用ロボットと同様に、モータ25と減速機26とは、図示を省略するプーリおよびベルトを介して連結され、モータ25と減速機27とは、図示を省略するプーリおよびベルトを介して連結されている。
【0030】
第3アーム部駆動機構は、
図4に示すように、駆動源となるモータ28と、モータ28の動力を減速して第3アーム部20に伝達するための減速機29とを備えている。モータ28は、第2アーム部19の先端側の内部に配置されている。減速機29は、第2アーム部19と第3アーム部20とを繋ぐ関節部を構成している。減速機29は、たとえば、ハーモニックドライブ(登録商標)である。モータ28と減速機29とは、たとえば、図示を省略する歯車列を介して連結されている。
【0031】
第1ハンド駆動機構は、
図4に示すように、駆動源となるモータ30と、モータ30の動力を減速してハンド14に伝達するための減速機31とを備えている。第2ハンド駆動機構は、第1ハンド駆動機構と同様に、駆動源となるモータ32と、モータ32の動力を減速してハンド15に伝達するための減速機33とを備えている。モータ30、32および減速機31、33は、第3アーム部20の内部に配置されている。減速機31、33は、たとえば、ハーモニックドライブ(登録商標)である。上述の特許文献1に記載された産業用ロボットと同様に、減速機31は、モータ30の出力軸に取り付けられ、減速機33は、モータ32の出力軸に取り付けられている。また、ハンド14と減速機31とは、図示を省略するプーリおよびベルトを介して連結され、ハンド15と減速機33とは、図示を省略するプーリおよびベルトを介して連結されている。
【0032】
本形態のロボット本体3は、ロボット本体3単体でもFOUP8に対するウエハ2の出し入れが可能となっている。すなわち、昇降機構4が取り付けられていない状態のロボット本体3でも、柱状部材22を昇降させ、第1アーム部18、第2アーム部19および第3アーム部20を回動させてアーム16を伸縮させるとともに、ハンド14、15を回転させることで、FOUP8に対するウエハ2の出し入れが可能となっている。
【0033】
(昇降機構の構成)
図5は、
図1に示す昇降機構4の斜視図である。
図6は、
図5に示す昇降機構4の構成を正面側から説明するための図である。
図7は、
図5に示す昇降機構4の構成を上側から説明するための図である。
図8(A)は、
図7のE部の拡大図であり、
図8(B)は、
図7のF部の拡大図である。
【0034】
昇降機構4は、ロボット本体3と別体で形成され、ロボット本体3の外部に配置されている。また、昇降機構4は、筺体10の底面部に固定されている。この昇降機構4は、上下方向へロボット本体3を駆動するための駆動部36と、上下方向へロボット本体3を案内するための2本のガイドレール37と、2本のガイドレール37に係合して上下方向へスライドするガイドブロック38と、駆動部36、ガイドレール37およびガイドブロック38が収容される筺体39と、筺体39の外部に配置されるロボット本体3とガイドブロック38とを連結するための2個の連結部材40と、筺体39の外部に配置されロボット本体3が固定される固定部材41と、筺体39の内部の空気をEFEM6の外部(すなわち、筺体10の外部)へ排出するための2個の排気ファン42(
図7参照)とを備えている。
【0035】
筺体39は、全体として上下方向に長い略直方体状に形成されている。この筺体39は、筺体39の上面を構成する上面部39aと、筺体39の底面を構成する底面部39bと、筺体39の左右の側面を構成する側面部39cと、筺体39の前面を構成する前面部39dと、筺体39の後面を構成する後面部39eとから構成されている。
【0036】
上面部39aおよび底面部39bは、上下方向を厚み方向とする略長方形の平板状に形成されている。前面部39dおよび後面部39eは、前後方向を厚み方向とするとともに上下方向を長手方向とする略長方形の平板状に形成されている。側面部39cは、左右方向を厚み方向とする台形の平板状に形成されている。側面部39cの上端面および下端面は、上下方向に直交し、側面部39cの後端面は、前後方向に直交している。また、側面部39cの前端面は、下側に向かうにしたがって、前側へ広がるように傾斜する傾斜面となっている。
【0037】
側面部39cの上端面には、上面部39aの下面が当接し、側面部39cの後端面には、後面部39eの前面が当接している。側面部39cの左右方向の内側面の下端側には、底面部39bの左右方向の外側面が当接している。前面部39dの上端面には、上面部39aの下面が当接し、前面部39dの下端面には、底面部39bの上面が当接している。また、上面部39aの前端面および底面部39bの前端面と、前面部39dの前面とが略一致している。前面部39dの左右の両端面には、側面部39cの左右方向の内側面が当接している。側面部39cの前端側は、前面部39dよりも前側に突出する突出部39fとなっている。
【0038】
前面部39dには、上下方向に細長いスリット状の貫通孔39gが形成されている。貫通孔39gは、連結部材40の上下方向への移動が可能となるように、上下方向における前面部39dの略全域に形成されている。また、前面部39dには、左右方向に所定の間隔をあけた状態で、2個の貫通孔39gが形成されている。本形態では、左右方向は、貫通孔39gの幅方向である。
【0039】
駆動部36は、駆動源となるモータ45と、モータ45の動力で回転するボールネジ46と、ボールネジ46に螺合するナット部材47とを備えている。モータ45は、底面部39bの上面に固定される保持部材48に固定されており、筺体39の内部の下端側に配置されている。また、モータ45は、その出力軸が下側へ突出するように保持部材48に固定されている。モータ45の出力軸には、プーリ49が固定されている。ボールネジ46は、上下方向を軸方向として配置されている。ボールネジ46の下端側は、筺体39の内部の下端側に配置される軸受50に回転可能に支持されている。軸受50は、保持部材48に取り付けられている。ボールネジ46の下端側には、プーリ51が固定されている。プーリ49とプーリ51とには、ベルト52が架け渡されている。ナット部材47は、後述のように、2個の連結部材40のうちの一方の連結部材40に固定されている。
【0040】
ガイドレール37は、側面部39cの左右方向の内側面から左右方向の内側に向かって突出するレール取付部39hに固定されている。すなわち、2本のガイドレール37は、左右方向において所定の間隔をあけた状態で配置されている。左右方向において、2本のガイドレール37の間には、駆動部36が配置されている。ガイドレール37は、上下方向を長手方向としてレール取付部39hに固定されている。また、ガイドレール37は、レール取付部39hの前面に固定されている。ガイドブロック38は、ガイドレール37の前面側に係合している。
【0041】
連結部材40は、上下方向に長い略直方体のブロック状に形成されている。連結部材40の左右方向の外側部分は、ガイドブロック38に固定されるブロック固定部40aとなっている。ブロック固定部40aは、ガイドブロック38の前面に固定されている。具体的には、ブロック固定部40aは、ガイドブロック38の前面とブロック固定部40aの後面とが当接した状態で、ガイドブロック38の前面に固定されている。すなわち、2個の連結部材40のそれぞれは、2本のガイドレール37のそれぞれに係合するガイドブロック38に固定されている。
【0042】
2個の連結部材40は、平板状に形成される接続部材54によって接続されている。接続部材54は、筺体39の内部に配置されている。また、接続部材54の左右両端側は、連結部材40の左右方向の内側部分の前面に固定されている。2個の連結部材40のうちの一方の連結部材40には、ナット部材47が固定されている。本形態では、モータ45の右側にボールネジ46およびナット部材47が配置されており、右側に配置される連結部材40の左端面にナット部材47が固定されている。
【0043】
連結部材40の左右方向の内側部分には、前後方向で貫通孔39gを通過するように貫通孔39gに配置される貫通孔通過部40bが形成されている。貫通孔通過部40bは、ブロック固定部40aから前側に突出するように形成されている。また、貫通孔通過部40bは、上下方向における連結部材40の全域に形成されるとともに、上下方向に細長い略直方体状に形成されている。貫通孔通過部40bの先端側(前端側)は、前面部39dよりも前側に突出している。すなわち、連結部材40の、貫通孔通過部40bの先端側を除いた部分は、筺体39の内部に収容されている。貫通孔通過部40bの先端面(前端面)は、前後方向に直交する平面状に形成されている。
【0044】
図8に示すように、左右方向における貫通孔通過部40bの幅H1は、左右方向におけるガイドブロック38の幅H2よりも狭くなっている。また、左右方向における貫通孔39gの幅H3は、ガイドブロック38の幅H2よりも狭くなっている。
【0045】
固定部材41は、前後方向を厚み方向とする平板状に形成されている。この固定部材41は、前面部39dの前側に配置されている。また、固定部材41は、左右方向において、2個の突出部39fの間に配置されている。固定部材41は、貫通孔通過部40bの先端面に固定されている。具体的には、固定部材41は、貫通孔通過部40bの前端面と固定部材41の後面とが当接した状態で、貫通孔通過部40bの前端面に固定されている。
【0046】
ロボット本体3は、固定部材41の前面に固定されている。具体的には、本体部17の1つの側面である筺体21の後面が固定部材41の前面に固定されている。すなわち、昇降機構4には、本体部17の後面が取り付けられており、昇降機構4は、本体部17の後ろ側に配置されている。また、本体部17の後面側の一部分は、左右方向において、2個の突出部39fの間に配置されている。本形態の前面部39dは、ガイドブロック38と本体部17との間に配置されるカバーである。
【0047】
図3に示すように、昇降機構4は、上下方向から見たときに、本体部17に対する第1アーム部18の回動領域内に収まっている。すなわち、昇降機構4は、上下方向から見たときに、第1アーム部18の回動中心C1を中心にして第1アーム部18が回動したときの第1アーム部18の先端の軌跡(具体的には、円弧状の軌跡)Rの内周側に収まっている。
【0048】
排気ファン42は、筺体39の底面部39bの上面に取り付けられている。また、排気ファン42は、駆動部36の後ろ側に配置されている。2個の排気ファン42は、左右方向で隣接配置されている。底面部39bには、排気ファン42が排出する空気が通過する貫通孔が形成されている。また、筺体10の底面部の、昇降機構4が固定される部分にも、排気ファン42が排出する空気が通過する貫通孔が形成されている。そのため、筺体39の内部の空気は、排気ファン42によってEFEM6の外部へ排出される。
【0049】
本形態では、FOUP8と半導体ウエハ処理装置7との間でウエハ2を搬送する際に、必要に応じて、ロボット本体3が昇降機構4の筺体39に対して昇降する。
【0050】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、昇降機構4を構成する駆動部36とガイドレール37とガイドブロック38とが筺体39に収容されている。また、本形態では、ガイドブロック38と本体部17との間に、平板状の前面部39dが配置され、この前面部39dに、上下方向に細長いスリット状の貫通孔39gが形成されている。さらに、本形態では、ロボット本体3とガイドブロック38とを連結するための連結部材40に貫通孔通過部40bが形成され、左右方向における貫通孔通過部40bの幅H1および貫通孔39gの幅H3が、左右方向におけるガイドブロック38の幅H2よりも狭くなっている。そのため、本形態では、貫通孔39gにガイドブロック38が配置される場合と比較して、貫通孔39gの幅を狭くすることができる。したがって、本形態では、ロボット本体3を昇降させる昇降機構4がロボット本体3の外部に配置されていても、駆動部36やガイドレール37、ガイドブロック38から発生する塵埃が、ロボット本体3と昇降機構4との連結部分からEFEM6の内部に流出するのを効果的に抑制することが可能になる。
【0051】
また、本形態では、筺体39の内部の空気をEFEM6の外部へ排出する排気ファン42が筺体39に取り付けられているため、駆動部36やガイドレール37、ガイドブロック38から発生する塵埃が、ロボット本体3と昇降機構4との連結部分からEFEM6の内部に流出するのをより効果的に抑制することが可能になる。
【0052】
本形態では、筺体39の外部に配置される固定部材41に本体部17の筺体21の後面が固定されている。すなわち、本形態では、筺体39の外部に配置される平板状の固定部材41と平面状に形成される筺体21の後面とを用いて、ロボット本体3と昇降機構4とを連結している。そのため、本形態では、ロボット本体3と昇降機構4とを容易に連結することが可能になる。
【0053】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0054】
上述した形態では、連結部材40の貫通孔通過部40bに固定部材41が固定され、固定部材41にロボット本体3が固定されている。この他にもたとえば、貫通孔通過部40bにロボット本体3が直接、固定されても良い。また、上述した形態では、本体部17は、上下方向に細長い略直方体状に形成されているが、本体部17は、略円柱状に形成されても良い。また、本体部17は、上下方向から見たときの形状が略六角形状や略八角形状となる多角柱状に形成されても良い。また、上述した形態では、ナット部材47は、2個の連結部材40のうちの一方の連結部材40に固定されているが、ナット部材47は、接続部材54に固定されても良い。
【0055】
上述した形態では、第3アーム部20の先端側に2個のハンド14、15が取り付けられているが、第3アーム部20の先端側に1個のハンドが取り付けられても良い。また、上述した形態では、アーム16は、第1アーム部18、第2アーム部19および第3アーム部20の3個のアーム部によって構成されているが、アーム16は、2個のアーム部によって構成されても良いし、4個以上のアーム部によって構成されても良い。
【0056】
上述した形態では、半導体製造システム5において、半導体ウエハ処理装置7は、EFEM6の後ろ側に配置されている。この他にもたとえば、半導体ウエハ処理装置7は、EFEM6の右側、左側または左右の両側に配置されても良い。たとえば、
図3の二点鎖線で示すように、EFEM6の右側に半導体ウエハ処理装置7が配置されても良い。