特許第6235882号(P6235882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235882
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ガセット袋容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/10 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   B65D33/10
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-247359(P2013-247359)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-105103(P2015-105103A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100107205
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 秀一
(72)【発明者】
【氏名】大西 洋
(72)【発明者】
【氏名】網田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 実智昭
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第08231029(US,B2)
【文献】 特開2001−206391(JP,A)
【文献】 特開2001−278339(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3179010(JP,U)
【文献】 特開2006−341876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00−33/38
B65D 75/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後一対の正面フィルムと、これらの正面フィルムの内側にV字状に折り込み可能な左右一対の側面フィルムとを備え、一枚又は複数枚のフィルム材料から形成されるガセット袋に内容物が収容されて、上面部と底面部と前後一対の正面部と左右一対の側面部とを含む立体形状に形成されるガセット袋容器であって、
前記上面部は、前後一対の前記正面フィルムの前記正面部よりも上方部分を各々上面側に折り曲げた上面形成部によって形成されると共に、前記上面部には、中央部分を横断して、前後一対の前記正面フィルムの前記上方部分による、前記上面形成部から更に上方に延設する部分を向い合せて接合した上面封止接合部が形成されており、
前記上面封止接合部には、上面側把持用開口が開口形成されており、
前後一対の前記正面フィルムのうちの一方の正面フィルムにおける、一方の前記正面部よりも上方部分の前記上面形成部となる領域に、前記上面封止接合部の前記上面形成部との連接基端部よりも一方の前記正面部側に配置されて、内容物の流出口部材が取り付けられていると共に、前後一対の前記正面フィルムのうちの他方の正面フィルムによる他方の前記正面部から外側に張り出して、把持用係止部が設けられているガセット袋容器。
【請求項2】
前記上面封止接合部に開口形成された前記上面側把持用開口と、他方の前記正面部に設けられた前記把持用係止部とは、これらを片手で同時に把持できるように形成されている請求項1記載のガセット袋容器。
【請求項3】
前記上面封止接合部は、前記上面部の中央部分に、前記上面形成部から、各々の前記上面形成部よりも長い長さで延設して形成されていると共に、前記上面封止接合部には、前記上面側把持用開口が、各々の前記上面形成部の長さを超えて、開口形成されている請求項1又は2記載のガセット袋容器。
【請求項4】
前記把持用係止部は、前記正面フィルムによる他方の前記正面部における中間部分にたるみ部を設けて、該たるみ部を重ね合せて接合することで外側に張り出させて形成した張出し把持片に、正面側把持用開口を開口形成したものとなっている請求項1〜3のいずれか1項記載のガセット袋容器。
【請求項5】
前記上面側把持用開口は、前記上面封止接合部を挟んだ前記流出口部材とは反対側から、前記流出口部材を視認可能な大きさで開口形成されている請求項1〜4のいずれか1項記載のガセット袋容器。
【請求項6】
仕様の説明が、前記把持用係止部が設けられている他方の前記正面部側に記載されている請求項1〜5記載のガセット袋容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガセット袋容器に関し、特に、前後一対の正面フィルムと、これらの正面フィルムの内側にV字状に折り込み可能な左右一対の側面フィルムとを備えるガセット袋に内容物が収容されて形成されるガセット袋容器に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製のフィルム材料を用いたガセット袋は、前後一対の正面フィルムと、これらの正面フィルムの内側にV字状に折り込み可能な左右一対の側面フィルムとからなるものである。ガセット袋は、内容物を収容する前の状態では、平面状に折り畳んでおくことができる一方で、内容物を収容すると内容積が大きくなって、多量の内容物を収容できることから、特に液状や粉粒状等の、流動性を有する内容物を収容するため袋容器として広く用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
また、ガセット袋は、内容物を収容した状態では、上面部と底面部と前後一対の正面部と左右一対の側面部とを含む略立体形状に形成されるようになっており、上面部は、前後一対の正面フィルムの正面部よりも上方部分を上面側に折り曲げ、上端縁部を向い合せて上面封止接合部として接合することによって形成される。この際に、左右一対の側面フィルムの側面部よりも上方部分は、上端縁部が谷折りされて上面封止接合部の内側に挟み込まれた状態で正面フィルムに接合されると共に、上端縁部よりも下部の部分は、まち部として一対の正面フィルムによる上面部の下側に重ねて折り込まれるようになっている。底面部もまた、前後一対の正面フィルムの正面部よりも下方部分を底面側に折り曲げ、下端縁部を向い合せて底面封止接合部として接合することによって形成できるようになっている。この際に、左右一対の側面フィルムの側面部よりも下方部分は、下端縁部が谷折りされて底面封止接合部の内側に挟み込まれた状態で正面フィルムに接合されると共に、下端縁部よりも上部の部分は、まち部として一対の正面フィルムによる底面部の上側に重ねて折り込むことができるようになっている。
【0004】
ガセット袋の内部に内容物を収容した従来のガセット袋容器では、例えば上面封止接合部の一方の端部を、上面部の下側に折り込まれた部分の側面フィルムと共に、切断除去することで流出口を形成したり(例えば、特許文献1参照)、上面封止接合部の一方の端部における一対の正面フィルムや側面フィルムの上端縁部の接合状態を開放することで流出口を形成して(例えば、特許文献2参照)、内容物を流出させるようになっている。また、これらのガセット袋容器では、流出口が形成された一方の側面部の側に袋容器を傾倒させ易いように、他方の側面部やこれの近傍部分に、取っ手部を設けたものも開発されている。さらに、特許文献1には、上面封止接合部の中央部分に流出口部材を取り付けると共に、一方の正面部に取っ手部を設けたものも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−206391号公報
【特許文献2】特表2010−527857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、近年、好ましくは詰め替え用の内容物を収容する袋容器として、例えば2〜3L以上の容量の大きな袋容器の開発が望まれている。このような容量の大きな袋容器をガセット袋を用いて形成する場合に、上記従来のガセット袋容器では、取っ手部を把持した手とは反対側の手を、可撓性を備える変形し易いフィルム材料からなる底部または胴部などに、押し当てたり押し付けたりして支えながら、内容物を流出させる必要があるため、袋容器が不安定になって、所定の箇所に流出させる際の操作性に劣ることになる。また、特に底部を片方の手で支えながら操作する場合、ガセット袋容器は床などに自立して保管されているため、その床と接触している底部に手を接触させることは衛生的でない。
【0007】
本発明は、例えば2〜3L以上の内容物を収容した場合でも、内容物を所定の箇所に流出させる際の操作性を効果的に向上させるとともに、衛生的に操作することのできるガセット袋容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前後一対の正面フィルムと、これらの正面フィルムの内側にV字状に折り込み可能な左右一対の側面フィルムとを備え、一枚又は複数枚のフィルム材料から形成されるガセット袋に内容物が収容されて、上面部と底面部と前後一対の正面部と左右一対の側面部とを含む立体形状に形成されるガセット袋容器であって、前記上面部は、前後一対の前記正面フィルムの前記正面部よりも上方部分を各々上面側に折り曲げた上面形成部によって形成されると共に、前記上面部には、中央部分を横断して、前後一対の前記正面フィルムの前記上方部分による、前記上面形成部から更に上方に延設する部分を向い合せて接合した上面封止接合部が形成されており、前記上面封止接合部には、上面側把持用開口が開口形成されており、前記上面部における前記正面フィルムの一方の前記正面部よりも上方部分による前記上面形成部に、内容物の流出口部材が取り付けられていると共に、前記正面フィルムによる他方の前記正面部には、当該正面部から外側に張り出して、把持用係止部が設けられているガセット袋容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガセット袋容器によれば、例えば2〜3L以上の内容物を収容した場合でも、内容物を所定の箇所に流出させる際の操作性を効果的に向上させるとともに、衛生的に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の好ましい一実施形態に係るガセット袋容器の、(a)は斜め前方から見た略示斜視図、(b)は斜め後方から見た略示斜視図である。
図2】本発明の好ましい一実施形態に係るガセット袋容器の、好ましい使用形態を説明する略示斜視図である。
図3】本発明の好ましい一実施形態に係るガセット袋容器の、好ましい他の使用形態を説明する略示斜視図である。
図4】本発明の好ましい一実施形態に係るガセット袋容器の、好ましいさらに他の使用形態を説明する略示斜視図である。
図5】ガセット袋容器の他の形態を例示する斜め後方から見た略示斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1(a)、(b)に示す本発明の好ましい一実施形態に係るガセット袋容器10は、可撓性を備える合成樹脂製のフィルム材料を用いて形成され、内容物として、例えば液状のボディーソープを2〜3L以上収容した、容量の大きな詰め替え用の袋容器となっている。本実施形態のガセット袋容器10、上面部14に取り付けられた流出口部材20から内容物を流出させて、被詰め替え容器(図示せず)に繰り返し詰め替えできるようになっている。また、内容液を安定した状態で被詰め替え容器に向けて流出させて、詰め替え時の操作性を向上できるようになっているとともに、衛生的に操作できるようになっている。
【0012】
そして、本実施形態のガセット袋容器10は、前後一対の正面フィルム11と、これらの正面フィルム11の内側にV字状に折り込み可能な左右一対の側面フィルム12とを備え、一枚又は複数枚のフィルム材料11,12から形成されるガセット袋13に、内容物として例えばボディーソープが収容されて、上面部14と底面部15と前後一対の正面部16a,16bと左右一対の側面部17a,17bとを含む立体形状に形成される袋容器である。上面部14は、前後一対の正面フィルム11の正面部16a,16bよりも上方部分11aを上面側に折り曲げた上面形成部11bによって形成されると共に、上面部14には、中央部分を横断して、前後一対の正面フィルム11の上方部分11aによる、上面形成部11bから更に上方に延設する部分(上方形成部)11cを向い合せて接合した上面封止接合部18が形成されている。左右一対の側面フィルム12の側面部17a,17bよりも上方部分12aは、上部12cが谷折りされて上面封止接合部18の内側に挟み込まれて正面フィルム11に接合されている。左右一対の側面フィルム12の上方部分12aの接合は、上面封止接合部18の全面においてなされていても良く、一部においてなされていても良い。接合された上部12cよりも下部の部分12bは、まち部として一対の正面フィルム11の上面形成部11bの下側に折り込まれている。上面封止接合部18には、上面側把持用開口19が開口形成されている。上面部14における正面フィルム11の一方の正面部16aよりも上方部分11aによる上面形成部11bに、内容物の流出口部材20が取り付けられていると共に、正面フィルム11による他方の正面部16bには、当該正面部16bから外側に張り出して、把持用係止部21が設けられている。
【0013】
また、本実施形態では、上面封止接合部18に開口形成された上面側把持用開口19と、他方の正面部16bに設けられた把持用係止部21とは、これらを片手で同時に把持できるように形成されている(図3参照)。
【0014】
さらに、本実施形態では、把持用係止部21は、正面フィルム11による他方の正面部16bにおける中間部分にたるみ部を設けて、このたるみ部を重ね合せて接合することで外側に張り出させて形成した張出し把持片22に、正面側把持用開口23を開口形成したものとなっている。
【0015】
本実施形態では、ガセット袋容器10を構成するガセット袋13は、可撓性を備える一枚又は複数枚の合成樹脂製のフィルム材料からなる。このようなフィルム材料としては、好ましくは最内層がシーラント層となっている、ポリエステルやポリエチレン等によるフィルム層を含む、公知の各種の多層フィルムを用いることができる。ガセット袋13は、これらのフィルム材料を、公知の方法によって周縁部を接合したり、折れ癖線を設けたりすることによって、前後一対の正面フィルム11と、これらの正面フィルム11の内側にV字状に折り込み可能な左右一対の側面フィルム12とを含む袋として、好ましくは平面状に折り畳んだ状態で、容易に形成することができる。
【0016】
また、ガセット袋13は、例えば平面状に折り畳まれた状態から、正面フィルム11の内側にV字状に折り込まれた側面フィルム12の折り込み状態を開放すると共に、略矩形平面形状の底面部15を形成することによって、略矩形の中空断面形状を有する内容積の大きな収容部を内側に備える、立体形状の袋とすることができる。
【0017】
ここで、ガセット袋13(ガセット袋容器10)の底面部15は、例えば前後一対の正面フィルム11の正面部16a,16bよりも下方部分を底面側に折り曲げ、下端縁部を向い合せて底面封止接合部として接合すると共に、左右一対の側面フィルム12の側面部17a,17bよりも下方部分を、下端縁部を谷折りして底面封止接合部の内側に挟み込んだ状態で正面フィルム11の下端縁部に接合し、下端縁部よりも上部の部分は、まち部として一対の正面フィルム11の下方延設部分の上側に重ねて折り込むことによって形成することができる。また、底面部15は、前後一対の正面フィルム11の正面部16a,16bよりも下方部分を底面側に折り曲げると共に、左右一対の側面フィルム12の側面部17a,17bよりも下方部分を底面側に折り曲げて、これらを重ね合わせた状態で相互に接合することによって形成することもできる。
【0018】
また、本実施形態では、ガセット袋13を形成する一方の正面フィルム11における、一方の正面部16aよりも上方部分11aの上面形成部11bとなる領域に、流出口部材20が取り付けられている。流出口部材20は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂からなる、外周面に雄ネジ部が形成された円筒形状の成形品である。流出口部材20は、例えば基端部分の外周面から径方向外側に張り出して設けられた円環状の接合フランジ部を、上面形成部11bとなる領域の正面フィルム11に形成された、取付け開口の開口縁部分に袋の内側から密着させて接合することによって、取付け開口から外側に突出させた状態で、容易にガセット袋13に取り付けることができる。流出口部材20には、キャッブ部材(図示せず)が着脱可能に装着されて、先端の流出口を開閉できるようになっている。
【0019】
さらに、本実施形態では、ガセット袋13を形成する他方の正面フィルム11による、他方の正面部16bの好ましくは上下の端部を除く中間部分に、当該他方の正面部16bから外側に張り出して、把持用係止部21が設けられている。把持用係止部21は、本実施形態では、他方の正面部16bの中間部分にたるみ部を設けて、このたるみ部を二重に重ね合せて接合することで張出し把持片22を形成し、この張出し把持片22に、正面側把持用開口23を形成することによって設けられている。すなわち、他方の正面部16bを形成する他方の正面フィルム11を、一方の正面部16aを形成する一方の正面フィルム11よりも長く裁断すると共に、他方の正面フィルム11の一方の正面フィルム11よりも長くなった分を、他方の正面部16bの中間部分となる領域でたるみ部としてたるませる。このたるみ部を二重に重ね合せ、内面同志をシール接合する。これによって、張出し把持片22を、底面部15と略平行に延設させると共に、他方の正面部16bから外側に張り出させた状態で、容易に設けることができる。この張出し把持片22に、正面側把持用開口23を、例えば扁平な楕円形状にくり抜いて開口させることによって、把持用係止部21を、他方の正面部16bの中間部分に容易に形成することができる。
【0020】
なお、把持用係止部21は、他方の正面部16bにたるみ部を設けて形成した張出し把持片22に、正面側把持用開口23を開口させたものである必要は必ずしもなく、例えば正面フィルム11とは別部材として形成された、正面側把持用開口を備える張出し把持片を、他方の正面部16bの中間部分に接合することによって設けることもできる。また、例えば帯状や紐状の線状部材の両端部を他方の正面部16bの中間部分に接合することによって、これらの線状部材を把持用係止部21として用いることもできる。
【0021】
本実施形態では、流出口部材20がガセット袋13に予め取り付けられていることから、内容物であるボデ−ソープをガセット袋13の内部に収容するのに先立って、上面部14を設けることで、上面部14と底面部15と前後一対の正面部16a,16bと左右一対の側面部17a,17bとを含む、図1(a)、(b)に示すような、中空の立体形状のガセット袋容器10が形成される。
【0022】
ここで、上面部14は、一対の正面フィルム11の正面部16a,16bよりも上方部分11aを上面側に折り曲げた上面形成部11bによって、平坦な形状に形成できる他、図1(a),(b)のように、上面封止接合部18が横断する中央部分を突出させた、切妻屋根状に形成することもできる。底面部15もまた、底面封止接合部が横断する中央部分を突出させた、切妻屋根状に形成することができる。これらによって、ガセット13は、立体形状として、好ましくは略6面体形状の他、略7面体形状や略8面体形状等となるように形成することもできる。

【0023】
ガセット袋容器10の上面部14を形成するには、上述のように、前後一対の正面フィルム11の正面部16a,16bよりも上方部分11aによる上面形成部11bを、上面側に折り曲げると共に、前後一対の正面フィルム11の上方部分11aによる、上面形成部11bから更に上方に延設する部分11cを向い合せて接合することによって、上面部14の中央部分を横断させて上面封止接合部18を形成する。また、左右一対の側面フィルム12の側面部17a,17bよりも上方部分12aは、これの上部12cを谷折りして上面封止接合部18の内側に挟み込んだ状態で正面フィルム11に接合すると共に、接合された上部12cよりも下部の部分12bは、まち部として一対の正面フィルム11の上面形成部11bの下側に折り込んだ状態とする。
【0024】
これらによって、上面部14が、ガセット袋容器10の上面を覆うように封止して形成されると共に、上面部14の前後方向の中央部分を左右方向に延設して、上面封止接合部18が形成される。上面封止接合部18は、左右一対の側面フィルム12の側面部17a,17bよりも上方部分12aの上部12cを谷折りして内側に挟み込んだ状態で、前後一対の正面フィルム11の正面部16a,16bよりも上方部分11aにおける、上面形成部11bから更に上方に延設する部分11cを向い合せて接合することによって、外側に張り出して、略矩形形状を備えるように設けられている。この上面封止接合部18には、上面側把持用開口19が、例えば上面封止接合部18をくり抜いて開口させることによって形成されている。
【0025】
本実施形態では、上面封止接合部18は、上面部14の中央部分に、上面形成部11bから、好ましくは各々の上面形成部11bの長さL1よりも長い長さで延設して形成されていると共に、この上面封止接合部18には、上面側把持用開口19が、好ましくは各々の上面形成部11bの長さL1を超えて、開口形成されている。これによって上面側把持用開口19は、上面部14の中央部分から、上面形成部11bの長さL1を超える高さ領域を含んで開口形成されることになる。
【0026】
これらによって、流出口部材20が下方を向くようにガセット袋容器10を傾倒させて内容物を流出させる際に、図3に示すように、上面封止接合部18や上面側把持用開口19が、他方の正面フィルム11側の上面形成部11bによる上面部14と、他方の正面部16bとの角部を超えて、他方の正面部16bの側に配置されることになるので、上面側把持用開口19と、他方の正面部16bに設けられた把持用係止部21とを、片手で同時に把持し易くなる。
【0027】
また、本実施形態では、上面側把持用開口19は、上面封止接合部18の上面形成部11bとの連接基端部から、上面封止接合部18の先端縁部に向けて、略半長円形状の広い開口面積となるように形成されている。これによって、上面側把持用開口19は、上面封止接合部18を挟んだ流出口部材20とは反対側から、流出口部材20を視認可能な大きさで開口形成されることになる。
【0028】
本実施形態では、上述のようにして内容物を収容していない空の状態で立体形状に形成されたガセット袋容器10に、流出口部材20を介して、内容物である詰め替え用のボディーソープを充填収容した後に、流出口部材20にキャップ部材を装着して流出口を閉塞することによって、当該ガセット袋容器10が製品化される。また、好ましくは把持用係止部21が設けられている他方の正面部16b側に、仕様の説明が記載されている。
【0029】
そして、ガセット袋容器10を購入した使用者は、例えば詰め替え用のボディーソープを、被詰め替え容器に向けて流出させることで詰め替える際に、好ましくは図2に示すように、上面側把持用開口19を介して一方の手で上面封止接合部18を把持すると共に、正面側把持用開口23を介して他方の手で把持用係止部21を把持しながら、ガセット袋容器10を傾倒させる。これによって、安定した状態で、所定の箇所である例えば被詰め替え容器の口首部に向けて、ボディーソープを流出させることが可能になる。この場合に、上面側把持用開口19が、上面封止接合部18を挟んだ流出口部材20とは反対側から、流出口部材20を視認可能な大きさで形成されているので、流出口部材20から被詰め替え容器への内容物の流出状況を、上面側把持用開口19を介して確認しながら、効率良く詰め替え作業を行うことが可能になる。
【0030】
また、本実施形態では、ガセット袋容器10に収容された内容物が少なくなってきたら、例えば図3に示すように、上面封止接合部18に開口形成された上面側把持用開口19と、他方の正面部11bに設けられた把持用係止部21の正面側把持用開口23とに指を係止して、これらを片手で同時に把持した状態で、ガセット袋容器10を傾倒させながら、安定した状態で、所定の箇所である例えば被詰め替え容器の口首部に向けて、ボディーソープを流出させることが可能になる。
【0031】
さらに、例えば上面封止接合部18や把持用係止部21をより長く形成すると共に、上面側把持用開口19や正面側把持用開口23をより大きく形成することによって、図4に示すように、把持用係止部21の正面側把持用開口23に上面封止接合部18をくぐらせた状態で、上面側把持用開口19を介して一方の手で上面封止接合部18を把持することで、ガセット袋容器10を片手で傾倒させながら、安定した状態で、所定の箇所である例えば被詰め替え容器の口首部に向けて、ボディーソープを流出させることが可能になる。
【0032】
これらによって、本実施形態のガセット袋容器10によれば、例えば2〜3L以上の内容物を収容した場合でも、内容物を所定の箇所に流出させる際の操作性を、効果的に向上させることが可能になる。また、本実施形態のガセット袋容器10によれば、上述のように、底面部15に直接手を触れて支えることなどを不要にして、手を底面部15に接触させることなく、衛生的に操作することが可能になる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、上面封止接合部は、上面形成部から上面形成部よりも長い長さで設けられている必要は必ずしも無く、上面側把持用開口は、上面封止接合部を挟んだ流出口部材とは反対側から、流出口部材を視認可能な大きさで形成されている必要は必ずしも無い。また、ガセット袋容器は、例えば2〜3L以上の内容物を収容するものである必要は必ずしも無く、2Lよりも少ない内容物を収容するものであっても良い。ガセット袋容器には、ボディーソープの他、液体洗剤、化粧品、食品、医薬品等の、流動性を有する液状や粉粒状の種々の内容物を収容することができる。内容物は、詰め替え用の内容物である必要は必ずしも無い。他方の正面部16bに設けられる把持用係止部21は、例えば図5に示すように、他方の正面部16bの下端部分から外側に張り出して設けることもできる。これによって、図2に示すような、一方の手で上面封止接合部18を把持すると共に、他方の手で把持用係止部21を把持しながら、ガセット袋容器10から内容物を所定の箇所に向けて流出させる操作を、さらに安定した状態で行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0034】
10 ガセット袋容器
11 正面フィルム
11a 上方部分
11b 上面形成部
11c 上方形成部
12 側面フィルム
12a 上方部分
12b 接合された上部よりも下部の部分
12c 接合された上部
13 ガセット袋
14 上面部
15 底面部
16a 一方の正面部
16b 他方の正面部
17a,17b 側面部
18 上面封止接合部
19 上面側把持用開口
20 流出口部材
21 把持用係止部
22 張出し把持片
23 正面側把持用開口
図1
図2
図3
図4
図5