(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[画像形成システム]
以下、図示の好適な実施の形態に従って本発明を詳述する。本発明は
図1に示すように画像形成装置Aで画像形成されたシートを綴じ処理、折り処理、その他の後処理を処すシート後処理装置B及びこれを備えた画像形成システムに係わる。
【0013】
画像形成装置Aは、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置、印刷装置などの画像読み取りまたは外部から転送された画像データに基づいてシート上に画像を形成する。つまり画像形成装置Aは、コンピュータネットワークの出力端末、複写機システム、ファクシミリシステムなどの画像形成部として構成され、システム内の画像読取部で読み取ったデータに基づいてシート上に画像形成する構成(スタンドアロン構成)と、コンピュータネットワーク内で作成、あるいは画像読取りされたれた画像データに基づいてシート上に画像を形成する構成(ネットワーク構成)をいずれかの構成を採用する。ネットワーク構成を示す
図1に従って画像形成装置A、シート後処理装置Bの順に説明する。
【0014】
[画像形成装置]
図1に示す画像形成システムにおける画像形成装置Aを説明する。図示の画像形成装置Aは静電式印刷機構を示し、画像形成ユニットA1とスキャナユニットA2とフィーダユニットA3で構成されている。装置ハウジング1には設置面(例えば床面)に設置する据付脚25が設けられている。また装置ハウジング内部には、給紙部2と画像形成部3と排紙部4とデータ処理部5が内蔵されている。
【0015】
給紙部2は、画像形成する複数サイズのシートを収納するカセット機構2a〜2cで構成され、本体制御部90から指定されたサイズのシートを給紙経路6に繰り出す。このため装置ハウジング1には複数のカセット2a〜2cが着脱可能に配置され、各カセットには内部のシートを1枚ずつ分離する分離機構と、シートを繰り出す給紙機構が内蔵されている。給紙経路6には、複数のカセット2a〜2cから供給されるシートを下流側に給送する搬送ローラ7と、経路端部には各シートを先端揃えするレジストローラ対8が設けられている。
【0016】
尚上述の給紙経路6には、大容量カセット2dと手差しトレイ2eが連結してあり、大容量カセット2dは大量に消費するサイズのシートを収納するオプションユニットで構成され、手差しトレイ2eは、分離給送が困難な厚紙シート、コーティングシート、フィルムシートなどの特殊シートを供給可能に構成する。
【0017】
画像形成部3は、静電印刷機構を一例として示し、感光体9(ドラム、ベルト)と、この感光体に光学ビームを発光する発光器10と、現像器11(ディベロッパー)と、クリーナ(不図示)が回転する感光体の周囲に配置されている。図示のものはモノクロ印刷機構を示し、感光ドラム9に発光器で光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器11でトナーインクを付着する。
【0018】
そして感光体9に画像形成するタイミングに合わせて給紙経路6からシートを画像形成部3に送り転写チャージャ12でシート上に画像を転写し、排紙経路14に配置されている定着ユニット(ローラ)13で定着する。排紙経路14には排紙ローラ15と、排紙口16が配置され、後述するシート後処理装置Bにシートを搬送する。
【0019】
上述のスキャナユニットA2は、画像原稿を載置するプラテン17と、プラテンに沿って往復動するキャリッジ18と、キャリッジに搭載された光源と、プラテン上の原稿からの反射光を光電変換手段19に案内する縮小光学系20(ミラー、レンズの組み合わせ)で構成されている。図示21は第2プラテン(走行プラテン)であり、フィーダユニットA3から送られたシートを上述のキャリッジ18と縮小光学系20で画像読み取りする。光電変換手段19は光電変換したが画像データを電気的に画像形成部3に転送する。
【0020】
フィーダユニットA3は給紙トレイ22と、給紙トレイから送り出したシートを走行プラテン21に案内する給紙経路23と、プラテンで画像読取された原稿を収納する排紙トレイ24で構成されている。
【0021】
画像形成装置Aは、上述の機構に限らず、オフセット印刷機構、インクジェット印刷機構、インクリボン転写印刷機構(熱転写リボン印刷、昇華型リボン印刷など)の印刷機構が採用可能である。
【0022】
[シート後処理装置]
シート後処理装置Bは、画像形成装置Aの排紙口16から搬出されたシートを後処理する装置として、(1)画像形成されたシートを積載収容する機能(第1、第3処理部B1,B3;プリントアウトモード)と、(2)画像形成されたシートを部分け収納する機能(第3処理部B3;ジョグ仕分モード)と、(3)画像形成されたシートを部揃え集積して綴じ処理する機能(第1処理部B1;綴じ処理モード)と、(4)画像形成されたシートを部揃えして綴じ処理した後に折り処理して製本仕上げする機能(第2処理部B2;製本処理モード)とを備える。
【0023】
なお、本発明にあってシート後処理装置Bは上述の全ての機能を備える必要はなく、装置仕様(設計仕様)に応じて適宜構成すると良い。この場合にもシートを部揃え集積する処理部(第1処理部B1)と、この処理部に処理枚数に関して処理能力の高い第1の綴じ手段(後述する針綴じユニット47)と、第1の綴じ手段よりも処理枚数に関して処理能力の低い第2の綴じ手段(後述する針なし綴じユニット51)を備え、選択された綴じ手段で綴じ処理した後に収納するスタック構成は必要としている。
【0024】
図2には、シート後処理装置Bの詳細構成を示す。シート後処理装置Bは画像形成装置Aの排紙口16に連なる搬入口26と、この搬入口から搬入したシートを後処理した後に収納部(後述の第1スタックトレイ49、第2スタックトレイ61、第3スタックトレイ71)に収納する。図示の装置はシート搬入経路28に送られたシートを、第1処理部B1から第1スタックトレイ49
(以下「第1トレイ」と云う)に、第2処理部B2から第2スタックトレイ61
(以下「第2トレイ」と云う)に、第3処理部B3から第3スタックトレイ71(以下「第3トレイ」と云う)に移送する。
【0025】
第1処理部B1は、シート搬入経路28の経路出口(排紙口)35に配置され、順次送られたシートを部揃え集積して綴じ処理したのちに第1スタックトレイ(第1収納部)49に収納する。第2処理部B2は、シート搬入経路28から分岐した経路出口62(後述の第2スイッチバックパス端)に配置され、順次送られるシートを部揃え集積して綴じ処理した後に折り処理して第2スタックトレイ(第2収納部)61に収納する。第3処理部B3は、シート搬入経路28に組み込まれ、搬送するシートを直交方向に所定量オフセットさせて区分けした後に第3スタックトレイ(第3収納部)71に収納する。
以下、各構成について詳述する。
【0026】
「装置ハウジング」
図2に示すように、シート後処理装置Bは装置ハウジング27と、この装置ハウジング内部に内蔵され、搬入口26と排紙口35を有するシート搬入経路28と、この経路から送られたシートを後処理する第1処理部B1と第2処理部B2と、第3処理部B3と、各処理部から送られたシートを収納する第1、第2、第3トレイ49,61,71を備えている。図示の装置ハウジング27は上流側に位置する画像形成装置Aのハウジング1と略同一高さ寸法に配置され、設置面から画像形成装置Aの排紙口16とシート後処理装置Bの搬入口26が連結される。
【0027】
「シート搬入経路」
シート搬入経路28は、装置ハウジング27を略水平方向に横断する直線経路で構成され、画像形成装置Aの排紙口(本体排紙口)16と連なる搬入口26と、この搬入口から装置を横断して反対側に位置する排紙口35を備えている。このシート搬入経路28には、搬入口26から排紙口35に向けてシートを搬送する搬送ローラ29(ローラ、ベルトなどのシート搬送手段)と、排紙口35に配置された排紙ローラ36(ベルトであっても良い)と、経路に搬入するシートの先後端を検出する入口センサS1と、経路排紙口でシートの先後端を検出する排紙センサS2が配置されている。
【0028】
上述のシート搬入経路28は搬入口26からシートを第1処理部B1と第2処理部B2に振り分けて移送するように連結され、経路排紙方向の上流側に第2処理部B2が、下流側に第1処理部B1が連結されている。略直線形状のシート搬入経路28は、搬入口26からのシートを、第2処理部B2に向けて移送するように経路分岐され、次いで経路排紙口35の下流側に配置されている第1処理部B1に案内する経路構成となっている。
【0029】
また上述のシート搬入経路28には、第1、第2処理部B1、B2で後処理を施さないシートを第3トレイ71に案内する第3排紙パス(プリントアウト排紙パス)30が連結され、第3トレイ(オーバフロートレイ)71にシートを案内するように構成されている。このシート搬入経路28には第3処理部B3が内蔵され、この処理部は経路を搬送するシートを排紙直交方向にオフセットさせて区分けするジョグ仕分けする。つまりシート搬入経路28には第3処理部B3が内蔵され、この処理部でジョグ仕分けされたシートは第3トレイ71に収納される。
【0030】
上記シート搬入経路28には、
図2に示すように搬入口26から下流側に、「第3排紙パス30」「第2排紙パス32」「第1排紙パス31」の順に配置され、図示位置に第1経路切換え手段33と第2経路切換手段34が配置されている。また、第2排紙パス32と第1排紙パス31は、シート搬送方向を反転して各処理部に案内するスイッチバックパスで構成されている。
【0031】
上記第3排紙パス30は搬入口26から送られたシートを第3トレイに案内し、第2排紙パス32は搬入口26から送られたシートを第2トレイ61に案内し、第1排紙パス31は搬入口26かられたシートを第1トレイ49に案内する。そして第3トレイ71に案内されるシートは搬入経路中の第3処理部B3でジョグ仕分け処理され、第2トレイ61に案内されるシートは第2処理部B2で製本処理され、第1トレイ49に案内されるシートは、第1処理部B1で綴じ処理が施される。
【0032】
上記第1経路切換え手段33は、シート搬送方向を変更するフラッパガイドで構成され、図示しない駆動手段(電磁ソレノイド、ミニモータなど)に連結されている。この切換え手段33で搬入口26からのシートを第3排紙パス30に案内するか、第1、第2排紙パス31、32に案内するのかを選定する。上記第2経路切換え手段34は、搬入口26から送られたシートを第2処理部B2に案内するか、その下流側の第1処理部B1に案内するか選定する。第2経路切換え手段34にも図示しない駆動手段が連結されている。またシート搬入経路28には、搬入されたシートにパンチ穴を穿孔するパンチユニット50が配置されている。
【0033】
「第1処理部」
第1処理部B1は、シート搬入経路28の下流側に配置され排紙口35から送られたシートを部揃え集積する処理トレイ37と、集積されたシート束を綴じ処理する綴じ処理機構で構成される。
図2に示すように、シート搬入経路28の排紙口35には段差を形成してその下方に処理トレイ37が配置され、排紙口35と処理トレイとの間には排紙口から搬送方向を反転させてシートをトレイ上に案内する第1排紙パス(スイッチバックパス)31が形成されている。
【0034】
上記排紙口35と処理トレイ37との間には、シートを排紙口からトレイ上に搬入するシート搬入機構が、処理トレイ37には所定の綴位置にシートを位置決めされる位置決め機構と、綴じ処理したシート束を下流側の第1トレイ49に搬出するシート束搬出機構が配置されている。各構成については後述する。
【0035】
なお、
図2に示す処理トレイ37は、下流側の第1トレイ49との間で排紙口35から送られたシートをブリッジ支持している。つまり排紙口35から送られたシートは、その先端部を下流側の第1トレイ49の最上シートの上に、後端部を処理トレイ37上に、ブリッジして支持するように構成されている。
【0036】
「第2処理部」
上述のシート搬入経路28には、第1排紙パス(第1スイッチバックパス)31の上流側に第2排紙パス(第2スイッチバックパス)32が分岐して連結され、この排紙パスからシートを第2処理部B2に案内する。第2処理部B2はシート搬入経路28から送られたシートを部揃え集積して、中央部を綴じ処理して内折り処理する(以下「マガジン仕上げ」と云う)。そしてこの第2処理部B2の下流側には第2トレイ61が配置され、製本処理されたシート束を収納する。
【0037】
上記第2処理部B2は、シートを束状に集積するガイド部材66と、このガイド部材上の所定位置にシートを位置決めする規制ストッパ67(図示のものは先端規制ストッパ)と、このストッパで位置決めされたシートの中央部を綴じ処理するステープル装置63(中綴じステープルユニット)と、綴じ処理後にシート束を中央部で折り合わせる折り処理機構(折りロール対64と折りブレード65)で構成されている。
【0038】
上記中綴じステープルユニット63は、特開2008−184324号公報、特開2009−051644号公報などに開示されているように、ヘッドユニットとアンビルユニットでシート束を挟んだ状態でシート中央部(線)に沿って位置移動させて綴じ処理する機構を採用する。また、折り処理機構は、
図2に示すように互いに圧接した折りロール対64にシート束の折り目を折りブレード65で挿入してロール対の転動で折り合わせる構成を採用する。かかる機構も特開2008−184324号公報、特開2009−051644号公報などに開示されている。
【0039】
図示の第1処理部B1及び、シート搬入経路28は略水平方向に配置され、第2処理部B2にシートを案内する第2排紙パス32は鉛直方向に配置され、シートを部揃え集積するガイド部材66は略鉛直方向に配置されている。このように装置ハウジング27を横断する方向にシート搬入経路28を配置し、処理経路(部)32,B2を鉛直方向に配置することによって装置のスリム化が可能となる。
【0040】
上記第2処理部B2の下流側には第2トレイ61が配置され、マガジン状に折り合わされたシート束を収納する。図示の第2トレイ61は第1トレイ49の下方に配置されている。これは第1トレイ49の使用頻度が第2トレイ61の使用頻度より高い装置仕様である関係でトレイ上のシートを取り出し易い高さ位置を第1トレイ49に設定している。
【0041】
「第3処理部」
前記シート搬入経路28には、上記第1排紙パス31、第2排紙パス32の上流側に第3排紙パス30が形成され、搬入口26からシートを第3トレイ71に案内する。そして、搬入口26から第3トレイ71にシートを案内する経路中(搬入経路又は第3排紙パス)に、搬送するシートを直交方向に所定量オフセットさせるローラシフト機構 (不図示)が配置されている。
【0042】
そして搬入口26からシートを部毎に区分けするように第3トレイ71に搬出するシートの直交方向姿勢を位置ズレ(オフセット)させてトレイ上に収納する。このジョグ仕分け機構は種々の機構が知られているのでその説明を省略する。
【0043】
「第1処理部の構成」
上述の第1処理部B1のシート搬入機構、シート位置決め機構、綴じ処理機構、シート束搬出機構の各構成について説明する。
【0044】
「シート搬入機構」
図3に示すように排紙口35と処理トレイ37との間には、排紙口からシートを排紙方向と排紙反対方向にスイッチバック搬送する反転搬送機構41、42と、シートをトレイ側に案内するガイド機構(シートガイド部材)44と、シートを先端規制手段に案内する掻き込み回転体46が配置されている。
【0045】
反転搬送機構は、処理トレイ上に搬入するシートと係合する作動位置と離間した待機位置との間で上下動する昇降ローラ41と、シートを排紙反対方向に移送するパドル回転体42で構成され、この昇降ローラ41とパドル回転体42は揺動ブラケット43に取り付けられている。
【0046】
装置フレーム27aに回転軸36x(図示のものは排紙ローラ軸)を中心に揺動可能に揺動ブラケット43が配置され、このブラケットに昇降ローラ41とパドル回転体42の回転軸が軸受支持されている。そして揺動ブラケット43には図示ない昇降モータが連結され、マウントされている昇降ローラ41とパドル回転体42をシートと係合する作動位置とシートから離間した待機位置との間で上下動する。
【0047】
また昇降ローラ41をパドル回転体42には図示ない駆動モータが連結され、昇降ローラ41は正逆転方向に、パドル回転体42は逆転方向(排紙反対方向)に回転するように駆動が伝達されている。また処理トレイ37には、上記昇降ローラ41と互いに圧接する従動ローラ48が配置され、シートを単シート若しくは束状シートをニップして下流側に搬出する。
【0048】
上記昇降ローラ41と後述する掻き込み回転体46との間には、処理トレイ上に搬入されたシートの後端を規制手段38に向けて案内するガイド機構が配置され、図示のものは
図3点線状態から実線状態に上下動するシートガイド部材44で構成され、このガイド部材44は排紙口35からシートが搬出されるときには点線位置に退避し、シート後端が排紙口35を通過した後にシート後端を処理トレイ上に案内する。このためシートガイド部材44には図示ない駆動機構が連結され、排紙口35から処理トレイ上にシート後端を案内するタイミングに応じて上下動する。
【0049】
「シート位置決め機構」
上記処理トレイ37には、所定の綴位置にシートを位置決めする位置決め機構38、39が配置され、図示のものはシート後端を突き当て規制するシート端規制手段38と、シート側縁を基準(センタ基準、片側サイド基準)位置に位置決めする側縁整合手段39で構成されている。
【0050】
シート端規制手段38は
図3に示すようにシート後端を突き当て規制するストッパ部材で構成されている。また側縁整合部材39は
図5に従って後述するが、図示の装置はシート搬入経路28からシートがセンター基準で排紙され、綴じモードに応じて同一のセンター基準で位置決めするか、片側サイド基準で位置決めする。
【0051】
「側縁整合手段」
側縁整合板39F、39Rは
図5に示すように処理トレイ37の紙載面37aから上方に突出し、シートの側縁と係合する規制面39xを有し、左右一対互いに対向するように配置する。そしてこの一対の側縁整合手段39を所定ストロークで往復動可能に処理トレイ37に配置する。このストロークは、最大サイズシートと最小サイズシートのサイズ差および整合した後のシート束を左右いずれかの方向に位置移動(オフセット搬送)するオフセット量によって設定する。
【0052】
つまり、左右の側縁整合手段39F,39Rの移動ストロークは、異なるサイズシートを整合するための移動量と、整合後のシート束のオフセット量で設定されている。なお、側縁整合板39F,39Rのオフセット移動は、コーナ綴じのときにはセンター基準で搬出されたシートを右コーナ綴じのときには右側に、左コーナ綴じのときには左側に所定量移動する。このオフセット移動は、処理トレイ37にシートが搬入された都度(搬入シート毎に)一枚ずつ実行する時と、シートを束状に整合した後に綴じ処理するために束毎移動するいずれかの方法を採用する。
【0053】
このため側縁整合手段39は、
図5に示すように、右側縁整合部材39F(装置フロント側)と左側縁整合部材39R(装置リア側)で構成され、両側縁整合部材には、シート側端と係合する規制面39xが互いに接近方向又は離間方向に移動するように処理トレイ37に支持されている。処理トレイ37には表裏を貫通するスリット溝(不図示)が設けられ、このスリットからトレイ上面にシート側縁と係合する規制面39xを有する側縁整合手段39が摺動可能に嵌合されている。
【0054】
各側縁整合部材39F,39Rはトレイ背面側で複数のガイドコロ80(レール部材であっても良い)で摺動可能に支持され、ラック81が一体形成されている。左右のラック81にはピニオン82を介して整合モータM1,M2が連結されている。この左右の整合モータM1,M2はステッピングモータで構成され、図示しないポジションセンサで左右の側縁整合部材39F,39Rを位置検出し、その検出値を基準に各整合部材を左右いずれの方向にも、指定された移動量で位置移動できるように構成されている。
【0055】
なお、図示のラック−ピニオン機構によることなく、各側縁整合部材39F,39Rをタイミングベルトに固定し、このベルトを左右往復動させるモータにプーリで連結する構成を採用することも可能である。
【0056】
このような構成で後述する制御手段95は、画像形成装置Aなどから提供されるシートサイズ情報に基づいて左右の側縁整合部材39F,39Rを所定の待機位置(シートの幅サイズ+α位置)に待機させる。そして「マルチ綴じ」のときには、処理トレイ37上にシートを搬入し、シート端が後端規制手段38に突き当たったタイミングで整合動作を開始する。この整合動作は左右の整合モータM1,M2を同一量ずつ反対方向(接近方向)に回転する。
【0057】
すると処理トレイ37に搬入されたシートはシートセンタを基準に位置決めされ束状に積み重ねられる。このシートの搬入動作と整合動作の繰り返しでシートは処理トレイ37上に束状に部揃え集積される。このとき異なるサイズのシートは、センター基準で位置決めされる。また「コーナ綴じ」のときには、処理トレイ37上にシートを搬入し、シート端が後端規制手段38に突き当たったタイミングで整合動作開始する。この整合動作は綴位置側の整合板と、綴位置の反対側の整合板の移動量を異ならせる。そしてあらかじめ設定された綴位置にシートコーナが位置するように移動量を設定する。
【0058】
「綴じ処理機構」
処理トレイ37には、紙載面37a上に集積したシート束を綴じ処理する綴じ処理機構47、60が配置されている。処理トレイ37はその紙載面37aに位置決め機構(シート端規制手段38と側縁整合手段39)で、所定の綴位置に位置決めされる。綴じ処理機構47,51は、シート束をステープル針で針綴じする第1綴じユニット47(第1綴じ手段;「ステープルユニット」以下同様)と、針なし綴じする第2綴じユニット51(第2綴じ手段;「エコ綴じユニット」以下同様)が選択的に綴位置に配置されるように構成されている。
【0059】
図2に示すように処理トレイ37には排紙口35から搬入されたシート後端部を綴じ処理する綴じ処理機構47,51が配置され、この綴じ機構は
図4に示すように処理トレイ37の紙載面37aの後端部に沿って位置移動可能なステープルユニット(第1綴じユニット)47とエコ綴じユニット(第2綴じユニット)51で構成されている。
【0060】
図4には、処理トレイ上に配置されたステープルユニット(第1綴じユニット)47、エコ綴じユニット(第2綴じユニット)51を示す。図示の装置は図面上左側に位置するシートコーナに綴位置Cp1が設定してある。この綴位置Cp1に第1綴じユニット47と第2綴じユニット51が相反的に位置移動する。
【0061】
このため第1綴じユニット47は装置フレーム27bに形成された第1走行レール53と第2走行レール54に沿って所定ストロークSL1で移動し、同様に第2綴じユニット51は装置フレーム57に配置された第1ガイドロッド56aと第2ガイドロッド56b(
図10参照)に沿ってストロークSL2で移動するように配置されている。
【0062】
図5は、処理トレイ37に搬入されたシートと、第1、第2綴じユニット47,51の移動ストロークを示す。処理トレイ37には異なるサイズのシートが最大サイズシートから最小サイズシートまでがセンター基準で搬入される。このシートを左右一対の側縁整合部材39F,39Rがシートの綴じ側縁(図示のものは左側縁)を基準に(異なるサイズのシートが一致するように)整合する。このため左右の整合部材39F,39Rはそれぞれ異なる駆動モータM1,M2に連結され、後述する制御手段95はシートサイズに応じて左右の整合部材39F,39Rの移動量を設定する。
【0063】
なお後述する制御手段95は、シートコーナを綴じ処理する以外の綴じ処理、例えば後述するマルチ綴じモードのときにはセンター基準でシートを整合する。この場合には左右の整合部材39F,39Rは待機位置から同一量ずつシートセンタ寄りに位置移動することによってシートを綴位置に位置決めする。
【0064】
図5に従って説明すると、第1綴じユニット47は、待機位置Wp1(第1待機位置)と綴位置Cp1の間の第1ストロークSL1で、第2綴じユニット51は待機位置Wp2(第2待機位置)と綴位置Cp1との間の第2ストロークSL2で移動する。つまり第1綴じユニット47は走行レール53,54(ガイド溝、ガイドロッドなど)に沿って待機位置Wp1と綴位置Cp1との間で往復動し、第2綴じユニット51はガイドロッド56a、56b(ガイド溝であっても良い)に沿って待機位置Wp2と綴位置Cp1との間で往復動する。
【0065】
そして綴位置Cp1はシートコーナに設定(以下「設定綴位置」と云う)され、この位置に対し第1待機位置Wp1と第2待機位置Wp2は次の関係が成立するようにしてある。
(1)設定綴位置Cp1を挟んで第1待機位置Wp1と第2待機位置Wp2が反対側に位置するように設定する。
(2)第1待機位置Wp1は処理トレイ上で綴じ処理する最大サイズシートの外側か、若しくは処理トレイ上で設定綴位置Cp1から最も離れた綴じ処理位置(後述するマルチ綴位置Maまたはマニュアル綴位置Mp;最大遠隔綴位置)の何れかに設定する。
(3)第2待機位置Wp2は、設定綴位置に整合するシート側縁の外側(紙載面のシート載置エリア外)に設定する。
(4)第1待機位置Wp1と設定綴位置Cp1との間の第1ストローク長SL1は、第2待機位置Wp2と設定綴位置Cp1との間の第2ストローク長SL2より大きく(長く)が設定する。
【0066】
このように設定綴位置Cp1に対して第1待機位置Wp1と第2待機位置Wp2を反対側に設定することにより一方のユニットが接近するときには他方のユニットは離れる方向に移動する(相反的退避接近動作)。またSL1>SL2に設定することによって第1綴じユニット47の綴じ処理位置(後述するマルチ綴位置Ma)を比較的自由に設定することが可能である。これに対し第2綴じユニット51は予め設定した綴位置でのみ綴じ処理する。これによって第1、第2綴じユニット47,51の総移動ストローク長を小さく設定することができ、装置を小型化することができる。
【0067】
そして後述する制御手段95は、第1綴じユニット47が設定綴位置Cp1のときには第2綴じユニットは待機位置Wp2に、第2綴じユニット51が設定綴位置Cp1のときには第1綴じユニットは待機位置Wp1に位置するように両ユニットを相反的に位置移動させる。つまり、一方の綴じユニットによりシートを綴じる際、他方の綴じユニットの位置を、処理トレイ37に搬入されたシート(一方の綴じユニットにより綴じられるシート)のシート搬入エリアの外部(外側)即ち処理トレイ37上のシート外部(一方の綴じユニットにより綴じられるシートが他方の綴じユニットの開口部に進入していない状態)に設定する。このような構成により、第1綴じユニット47が綴じ処理を施す際に、第2綴じユニット51の開口部がシート束に干渉して、シート束の姿勢を崩すことがない。更に、第1綴じユニット47が綴じ処理を施すシートの枚数が、処理能力の低い第2綴じユニット51の綴じ処理能力によって制限されることがない。
【0068】
第1、第2綴じユニット47,51の相反的位置移動は、(1)それぞれ独立した駆動モータで移動ストロークに応じて回転量を異ならせるか、(2)同一の駆動源で第1綴じユニット47と第2綴じユニット51との移動量異ならせるかいずれかの方法を採用する。
【0069】
図6には、第1綴じユニット47と第2綴じユニット51を同一の駆動源で移動量を異ならせる形態を示す。装置フレーム27bには第1ユニットの移動領域(
図6左右方向)に沿って左右一対のプーリ58a、58bが配置され、両プーリ間にタイミングベルト59(歯付ベルト)が架け渡してあり、一方のプーリ58aに駆動モータM3(ステッピングモータ)が連結してある。
【0070】
そして、他方のプーリ58bには差動手段(伝動手段)74を介して伝動ピニオン75が連結され、このピニオンに第2綴じユニット51のフレームに固定されたラック76が噛合している。そして差動手段74は、第1、第2ストロークSL1,SL2のストローク差に適合する伝動比の歯車機構(下記の第1実施形態)か、滑りクラッチ機構(下記の第2実施形態)か、この両機構の組み合わせで構成されている。
【0071】
「差動手段の第1実施形態」
図7は、差動手段74の第1実施形態を示し、
図6に斜視構成を示す伝動機構で駆動モータM3が所定回転するとき、その回転量で第1綴じユニット47は第1ストロークSL1で往復直線動し、第2綴じユニット51は第2ストロークSL2で往復直線動するように伝動比率が異ならせてある。
【0072】
例えば、図示の装置は第1ストローク長SL1に対して、第2ストローク長SL2を5分の1に設定している関係で、駆動モータM3に連結されている歯車G1の歯数比と、歯車G2を介してラックと噛合する歯車G3の歯数比を5倍に設定してある。
図7(b)には、駆動モータM3に連結したプーリ(従動側プーリ)58bに、伝動歯車G1が設けられ、この歯車に従動する歯車G2がラック76と、噛合させた歯車G3と同軸で一体的に回転するように連結されている。そして歯車G1と歯車G2、G3歯数比は第1、第2ストローク長SL1、SL2のストローク比と一致するように設定している。
【0073】
従って駆動モータM3を所定量回転すると第1綴じユニット47は第1ストロークSL1間を移動し、これと同時に第2綴じユニットは第2ストロークSL2間を移動する。その移動方向は同一方向に設定してある。
【0074】
「差動手段の第2実施形態」
図6に斜視構成を示すように駆動モータM3に第1綴じユニット47のタイミングベルト59が連結されている。このとき前述したように第1綴じユニット47の移動ストロークSL1は第2綴じユニット51の移動ストロークSL2より長く設定されている。そこで
図8に示す差動手段77は、移動距離の短い第2綴じユニット51の伝動手段には滑りクラッチ手段78が配置してある。
【0075】
図8(a)は、滑りクラッチ機構の一例を示す。駆動モータM3に連結され、第1綴じユニット47を往復動するタイミングベルト59のプーリ軸58xと一体に伝動歯車G4が設けてあり、この歯車と噛合する歯車G5が伝動回転軸79に一体に取り付けられている。そしてこの伝動回転軸79には、その外周に伝動ピニオンG6が回転可能に遊嵌されている。この伝動ピニオンG6に第2綴じユニット51に固定したラック76が噛合するように連結してある。
【0076】
このように駆動モータM3に連結された伝動回転軸79と、この回転軸に遊嵌された伝動ピニオンG6との間にはクラッチバネ73が伝動ピニオンG6に伝達される負荷トルクが所定値を超えるときには伝動回転軸79と伝動ピニオンG6との間に滑り運動が生ずるように設けられている。
【0077】
図8(b)(c)(d)に示すように、クラッチバネ73の自由端73a、73bは伝動ピニオンG6側に設けた突起G6a、G6bと係合するようになっている。そしてクラッチバネ73と伝動回転軸79とは摩擦係合されている。その摩擦関係は、伝動ピニオンG6の負荷トルクが所定値を超えるときにはバネが弛緩して伝動回転軸79と伝動ピニオンG6との間に滑りが生し、負荷トルクが所定値以下のときには
図8(b)の状態で回転が伝達される。そして第2綴じユニット51に作用する負荷トルクが所定値を超えるときには、
図8(c)(d)の矢印方向の回転のとき伝動回転軸79と伝動ピニオンG6との間に滑りが生ずる。
【0078】
このような構成において駆動モータM3の回転で第1綴じユニット47を設定綴位置Cp1から待機位置Wp1に移動すると、クラッチバネ73は
図8(b)の状態で第2綴じユニット51を連動させて待機位置Wp2から設定綴位置Cp1に向けて移動する。そして第2綴じユニット51が設定綴位置Cp1に到達して、係止ストッパ(不図示)に突き当たると伝動ピニオンG6には無限大に近い負荷トルクが作用する。この負荷トルクの超過でクラッチバネ73は伝動回転軸79との間に間隙(ギャップ)を形成して滑り運動する。そしてその後の駆動モータM3の回転で第1綴じユニット47は待機位置Wp1に向けて移動する。
【0079】
このクラッチバネ73による伝動回転と滑り回転は、第1綴じユニット47を待機位置Wp1から設定綴位置Cp1に移動するとき(モータの反対方向回転)にも同一の連動作用を行う。このように第1綴じユニット47は、駆動モータM3の正逆回転で第1ストロークSL1間を往復動し、その移動初期時に第2綴じユニット51を連動させて第2ストロークSL2間を往復動させ、その後は駆動モータM3の回転は第1綴じユニット47のみに伝達される。
【0080】
「ステープルユニットの移動機構」
図3に示すように、装置フレーム(シャーシフレーム)27bに、ステープルユニット47が所定ストロークで移動可能にマウントされている。装置フレーム27bには、第1走行レール53と第2走行レール54が配置されている。第1走行レール53には走行レール面53xが、第2走行レール54には走行カム面54xが形成され、この走行レール面53xと走行カム面54xが互いに協同してステープルユニット47(以下この項では「移動ユニット」という)を所定ストロークで往復動可能に支持し、同時にその角度姿勢を制御している。
【0081】
上記第1走行レール53と第2走行レール54は、移動ユニットの移動範囲で往復動するようにレール面53xと走行カム面54xが形成されている(
図5参照)。移動ユニット47(ステープルユニット)には、駆動モータ(走行モータ)M3に連結されたタイミングベルト59が固定されている。このタイミングベルト59は装置フレーム27bに軸支した一対のプーリ58a、58bに巻回され、プーリの一方に駆動モータM3が連結されている。従って、駆動モータM3の正逆転でステープルユニット47はストロークSL1で往復動することとなる。
【0082】
上記走行レール面53xと走行カム面54xは、互いに平行な平行間隔部(スパンI1)と、狭い首振り間隔部(スパンI2)と、更に狭い間隔の首振り間隔部(スパンI3)に間隔が形成されている。そして、スパンI1>スパンI2>スパンI3の関係に構成されている。スパンI1ではユニットはシート後端縁と平行な姿勢に、スパンI2ではユニットは左右何れかに傾斜した姿勢で、スパンI3ではユニットは更に傾斜した角度姿勢となるように首振り角度変更する。
【0083】
上記移動ユニット47は、上記第1、第2走行レール53,54に次のように係合している。
図3に示すように、移動ユニット47には、走行レール面53xと係合する第1転動コロ83(レール嵌合部材)と、走行カム面54xと係合する第2転動コロ84(カムフォロア部材)が設けられている。これと共に移動ユニット47にはフレーム27bのサポート(支持)面と係合する滑動コロ85(図示のものは2箇所にボール形状の滑動コロ85a、85bが形成されている)。また、移動ユニット47には底枠部フレームの底面と係合するガイドコロ86が形成してあり底枠フレーム27bから移動ユニット47が浮上するのを防止している。
【0084】
以上の構成から移動ユニット47は底枠フレーム27bに滑動コロ85とガイドコロ86で移動可能に支持されている。これと共に第1転動コロ83は走行レール面53xに、第2転動コロ84は走行カム面54xに沿って回転しながらレール面53xとカム面54xに倣って走行移動する。
【0085】
そこで走行レール面53xとカム面54xとの間隔は、平行間隔部(スパンI1)が前述のマルチ綴位置Ma1、Ma2と、マニュアル綴位置Mpに形成されている。このスパンI1では
図4に示すように移動ユニット47は首振りすることなくシート端縁と直交する姿勢で保持されている。従ってマルチ綴位置とマニュアル綴位置ではシート束はシート端縁と平行なステープル針で綴じ処理される。
【0086】
また、走行レール面53xとカム面54xとの間隔は、首振り間隔(スパンI2)が、右コーナ綴位置Cp2と、左コーナ綴位置Cp1に形成されている。そして移動ユニット47は
図4に示すように、右傾き角度姿勢(例えば右45度傾き)と、左傾き角度姿勢(例えば左45度傾き)に傾斜した姿勢で保持されている。
【0087】
また、走行レール面53xとカム面54xとの間隔は、首振り間隔(スパンI3)が、針装填位置に形成されている。このスパンI3はスパンI2より短い間隔に形成され、この状態で移動ユニット47は
図4に示すように右傾き角度姿勢(例えば60度傾き)に保持されている。なお針装填位置で移動ユニット47を角度変更したのは、ユニットに針カートリッジ52を装着する角度方向にユニット姿勢を一致させるためであり、外装ケーシングに配置する開閉カバーとの関係で角度設定する。
【0088】
以上の走行レール面53xと走行カム面54xで移動ユニットの角度姿勢を偏向する際に、移動長さを短くするために、第2の走行カム面を設けるか、ストッパカム面を設けて走行カム面と協調して角度偏向することがレイアウトのコンパクト性から好ましい。
【0089】
図示するストッパカム面について説明する。
図4に示すように底枠フレーム27bには装置フロント側の右コーナ綴位置Cp2と、マニュアル綴位置Mpでユニット姿勢を変更するために移動ユニットの一部(図示のものは滑動コロ85)と係合するストッパ面27c、27dが図示位置に配置してある。これによって針装填位置で傾斜しているユニットを、マニュアル綴位置Mpで傾斜を矯正する必要があるが、前述のカム面とレール面のみで角度変更することは移動ストロークが冗長となる。
【0090】
そこでストッパ面27cで移動ユニット47を係止した状態でマニュアル綴じ側に進めるとユニットは傾斜した状態から元の状態に戻る。またこの移動ユニット47をマニュアル綴位置から反対方向に復帰動させるときには、ストッパ面27dがユニットを(強制的に)傾斜させてコーナ綴位置に向ける。
【0091】
「ステープルユニットの構成」
上述のステープルユニット(第1綴じユニット)について、その構成を
図9(a)に従って説明する。ステープルユニット47はシート後処理装置Bとは別にユニット構成されている。ボックス形状のユニットフレーム47aと、このフレームに揺動可能に軸支持されたドライブカム47dと、このドライブカムを回動する駆動モータM4がユニットフレーム47aにマウントされている。
【0092】
そしてドライブカム47dには、ステープルヘッド47bとアンビル部材47cが綴位置に対向配置され、ステープルヘッド47bはドライブカム47dに付勢スプリング(不図示)で上方の待機位置から下方のステープル位置(アンビル部材)に上下動する。そしてユニットフレームには針カートリッジ52が着脱可能に装着されている。
【0093】
針カートリッジ52には直線状のブランク針が収納され、針送り機構でステープルヘッド47bに針を供給する。ステープルヘッド部47bには、内部に直線針をコ字状に折り曲げるフォーマ部材と、折り曲げられた針をシート束に圧入するドライバーが内蔵されている。このような構成により駆動モータM4でドライブカム47dを回転し、付勢スプリングに蓄勢する。そして、回転角度が所定角度に達するとステープルヘッド部47bは勢いよくアンビル部材47c側に下降する。この動作でステープル針はコ字状に折り曲げられた後にドライバーでシート束に刺入する。そしてその先端はアンビル部材47cで折り曲げられステープル綴じされる。
【0094】
また、針カートリッジ52とステープルヘッド47bとの間には針送り機構が内蔵されこの針送り部には針なしを検出するセンサ(エンプティセンサ)が配置されている。またはユニットフレーム47aには、針カートリッジ52が挿入されているか否かを検出するカートリッジセンサ(不図示)の配置されている。
【0095】
図示の針カートリッジ52は、ボックス形状のカートリッジに帯状に連結したステープル針を積層状に積み重ねて収納する構造と、ロール状に収納する構造が採用されている。またユニットフレーム47aには、上述の各センサを制御する回路と駆動モータM4を制御する回路基盤が設けられ、針カートリッジ52が収納されていないとき、ステープル針がエンプティのときには、警告信号を発するようになっている。またこのステープル制御回路は、ステープル針信号でステープル動作を実行するように駆動モータM4を制御し、ステープルヘッドが待機位置からアンビル位置に移動して、再び待機位置に復帰したときに「動作終了信号」を発信するように構成されている。
【0096】
「針なし綴じユニットの構成」
上述の第2綴じユニット(針なし綴じユニット)51についてその構成を
図9(b)に従って説明する。シート束を金属針を用いないで綴じ処理する針なし綴じ手段としては、互いに噛み合う凹凸面を有する加圧部材でシート束を表裏から挟圧して紙葉相互を結束する手段(プレスバインド綴じ装置)と、シート束にスリット状切り込みを形成して紙葉相互を折り合わせて結束する手段(切込折り綴じ装置;特開2011−256008号公報参照)と、植物性の樹脂紐で綴じ合わせる手段(樹脂紐結束装置)などが知られている。これらの綴じ方法は金属針を使用することなく、シート束を利用して結束していることからエコ綴じ結束方法として知られている。以下その一例としてプレスバインド機構について説明する。
【0097】
プレスバインド機構としては互いに圧接離間自在の加圧面51b、51cに凹凸面を形成してシート束を表裏から挟圧することによって紙葉相互間を変形させて結束する。
図9(b)にはプレスバインドユニット51を示し、ベースフレーム部材51aに可動フレーム部材51dを揺動可能に軸支持し、支軸51xで両フレームは圧接離間可能に揺動する。可動フレーム部材51dにはフォロワーコロ60が配置され、このフォロアコロはベースフレーム部材51aに配置されているドライブカム68が係合している。
【0098】
上記ドライブカム68にはベースフレーム部材51aに配置した駆動モータM5が減速機構を介して連結され、モータの回転でドライブカム68が回転し、そのカム面(図示のものは偏心カム)で可動フレーム部材51dを揺動させるように構成されている。
【0099】
そしてベースフレーム部材51aには下部加圧面51cが、可動フレーム部材51dには上部材加圧面51bがそれぞれ対向する位置に配置されている。このベースフレーム部材51aと可動フレーム部材51dの間には図示しないが付勢スプリングが配置され、両加圧面が離間する方向に付勢されている。
【0100】
上記上部加圧面51bと下部加圧面51cは
図8(b)中に示す拡大図のように一方に突起条が、他方にはこれと適合する凹陥溝が形成されている。この突起条と凹陥溝は所定長さの畝(リブ)形状に形成されている。従って上部加圧面51bと下部加圧面51cで挟圧されたシート束は波板形状に変形して密着することとなる。上記ベースフレーム部材51a(ユニットフレーム)には図示しないポジションセンサが配置され、上下加圧面51b、51cが加圧位置か離間位置にあるか否かを検出するように構成されている。
【0101】
このように構成されたプレスバインドユニット(エコ綴じユニット;第2綴じユニット)51は、装置フレーム57に配置された第1、第2ガイドロッド56a、56b(溝であっても良い)に移動可能に配置され、前述したように処理トレイ37上に集積されたシートの設定綴位置Cp1と第2待機位置Wpとの間で往復動する。
【0102】
「シート束搬出機構」
上述の処理トレイ37には綴じ処理したシート束を下流側の第1トレイ49に向けて搬出するシート束搬出機構が配置されている。シート束を下流側に搬送する手段としては、互いに圧接するローラ対で搬送する方法(搬出ローラ手段)と、トレイ面に沿って上流側から下流側に移動する押出部材でシート後端を押し出すコンベア手段が知られている。図示の装置はその両手段を採用している。
【0103】
図10にシート束搬出機構示し、処理トレイ37に沿って上流側に位置する綴位置(処理位置)から下流側のスタックトレイ(第1トレイ)49に移送する押出突起38と、押出突起を移動するコンベアベルト38vと、その駆動モータM6でコンベア手段が構成されている。処理トレイ37にはその搬出口(紙載面37aと第1トレイ49の境界)に従動ローラ48が配置され、この従動ローラに圧接する昇降ローラ41が前述した構成で対向配置され、この従動ローラ48と昇降ローラ41とで搬出ローラ手段を構成している。
【0104】
従って、処理トレイ37にはシート束を上流側から下流側に押し出すように移送するコンベア手段38、38vと、シート束をニップして搬出する搬出ローラ手段48,41が配置されていることとなる。
図10(a)はシート束が処理トレイ上の綴位置に位置する状態を示し、このときコンベア手段38、38vと搬出ローラ手段48,41は作動状態に置かれている。同図(b)は、シート束を処理位置から下流側に移送する途中の状態を示し、シート束は押出突起38の位置移動と、搬出ローラ手段48,41の回転で下流側に送られる。同図(c)は、シート束を下流側の第1トレイ49に搬出する直前の状態を示し、処理トレイ上でシート束は、搬出ローラ手段48,41の回転で下流側に徐々に(低速で)送られる。このとき押出突起38は図示位置に待機し、初期位置に復帰(後退移動)する。
【0105】
「折ロール手段の構成」
上述の第2処理部B2の下流側に配置された折り位置Yにはシート束を折り合わせる折りロール手段64とこの折りロール手段のニップ位置にシート束を挿入する折りブレード65が備えられている。
【0106】
上記一対の折ロール64a、64bはゴムローラなどの比較的摩擦係数の大きい材料で形成されている。これはゴムなどの軟質材によってシートを折曲げながら回転方向に移送する為であり、ゴム質材をライニング加工することによって形成しても良い。
【0107】
この一対の折ロール64a、64bはガイド部材66の湾曲又は屈曲した突出側に位置し、ガイド部材に支持されたシート束を挟んで対向する位置にナイフエッジを有する折りブレード65が設けられている。
【0108】
「シート束折り仕上げモード」
このモードでは画像形成装置Aはシート上に画像形成し、シート後処理装置Bで冊子状に仕上げる。シート搬入経路28に送られたシートは排紙ローラ36に導かれ、そこで制御CPU95はシートセンサS1でシート後端を検出した信号を基準にシート後端が経路切換片を通過したタイミングで排紙ローラ36を停止する。そして排紙ローラ36を逆転させる。するとシート搬入経路28に進入したシートは搬送方向を反転され、経路切換片から第2排紙パス32に導かれる。そしてこの経路に配置された搬送ローラでガイド部材66に案内される。
【0109】
第2排紙パス32からガイド部材66にシートが搬入されるタイミングで制御CPU95は規制ストッパ67を位置移動する。するとシートはその全体がガイド部材66に支持される。
【0110】
そこで制御CPU95はジョブ終了信号を受けると規制ストッパ67を移動し、シート中央を綴位置に位置決めセットする。そして制御CPU95は中綴じステープル装置63を動作させ、シート中央の1個所又は複数個所をステープル綴じする。この動作の完了信号で制御CPU95は規制ストッパ67を移動し、シート中央を折り位置Yに位置決めセットし、シート束に折り処理を施した後にこのシート束を第2スタックトレイ61に搬出する。
【0111】
[制御構成の説明]
図11に従って
図1の画像形成システムにおける制御構成について説明する。
図11に示す画像形成システムは、画像形成装置Aの制御部90(以下「本体制御部」という)とシート後処理装置Bの制御部95(以下「綴じ処理制御部」という)を備えている。本体制御部90は印字制御部91と給紙制御部92と入力部93(コントロールパネル)を備えている。
【0112】
そして入力部93(コントロールパネル)から「画像形成モード」と「後処理モード」の設定を行う。画像形成モードはカラー・モノクロ印刷、両面・片面印刷などのモード設定と、シートサイズ、シート紙質、プリントアウト部数、拡大・縮小印刷、などの画像形成条件を設定する。また「後処理モード」は、例えば「プリントアウトモード」「ステープル綴じ処理モード」「エコ綴じ処理モード」「ジョグ仕分けモード」などに設定する。なお図示の装置には「マニュアル綴じモード」が設けられ、このモードは画像形成装置Aの本体制御部90とは別にオフラインでシート束の綴じ処理動作を実行する。
【0113】
また、本体制御部90は綴じ処理制御部95に後処理モードとシート枚数、部数情報及び画像形成するシートの紙厚さ情報などをデータ転送する。これと同時に本体制御部90は画像形成を終了する都度、ジョブ終了信号を綴じ処理制御部75に転送する。
【0114】
上述の後処理モードについて説明すると、上記「プリントアウトモード」は、排紙口35からのシートを、綴じ処理することなく処理トレイ37を介してスタックトレイ49に収容する。この場合にはシートを処理トレイ37に重ね合わせて集積し、本体制御部90からのジョグ終了信号で集積後のシート束をスタックトレイ49に搬出する。
【0115】
上記「ステープル綴じ処理モード」は、排紙口35からのシートを処理トレイ上に集積して部揃えし、このシート束を綴じ処理した後にスタックトレイ49に収容する。この場合には画像形成されるシートは原則として同一紙厚さで同一サイズのシートにオペレータによって指定される。このステープル綴じ処理モードは、「マルチ綴じ」「右コーナ綴じ」「左コーナ綴じ」のいずれかが選択され指定される。各綴じ位置については前述した通りである。
【0116】
上記「ジョグ仕分けモード」は、画像形成装置Aで画像形成されたシートをオフセットさせて集積するグループと、オフセットさせることなく集積するグループとに区分けられ、スタックトレイには交互にオフセットされたシート束とオフセットされないシート束が積み上げられる。
【0117】
「マニュアル綴じモード」
外装ケーシングには装置フロント側に、オペレータが綴じ処理するシート束をセットする手差しセット部が設けられている。この手差しセット部のセット面には、セットされたシート束を検出するセンサが配置され、このセンサからの信号で後述する綴じ処理制御部95は、ステープラユニット47をマニュアル綴じ位置に位置移動する。そしてオペレータが作動スイッチを押下すると、綴じ処理を実行するように構成されている。
【0118】
従ってこのマニュアル綴じモードは綴じ処理制御部95と本体制御部90とはオフラインで制御される。ただし、マニュアル綴じモードとステープル綴じモードが同時に実行するときには、いずれか一方が優先するようにモード設定されている。
【0119】
[綴じ処理制御部]
綴じ処理制御部95は、画像形成制御部90で設定された後処理モードに応じてシート後処理装置Bを動作させる。図示の綴じ処理制御部95は制御CPU(以下単に制御手段という)で構成されている。制御CPU95には、ROM96とRAM97が連結され、ROM96に記憶された制御プログラムとRAM97に記憶された制御データで後述する排紙動作を実行する。このため、制御CPU95には前述したすべての駆動モータの駆動回路に連結され、各モータを起動、停止および正逆転制御する。
【0120】
[排紙動作モード]
画像形成装置Aの制御部(本体制御部)90では画像形成条件と同時に画像形成したシートの後処理(仕上げ処理)モードを設定する。図示の装置は「ステープル綴じモード」と「エコ綴じモード」と「ジョグ仕分けモード」と「製本仕上げモード」と「プリントアウトモード」と「割込みモード」と「マニュアル綴じモード」に設定される。以下各モードの動作について説明する。
【0121】
図12は、第1処理部B1の処理トレイ37に集積されたシート束にステープル綴じ若しくはエコ綴じして下流側の第1トレイ49に収納する動作フローの説明図である。
図13は、シートを部毎にジョグ区分けする排紙モードの説明図であり、第3処理部(シート搬入経路)B3のジョグ機構(ローラシフト機構;不図示)で排紙直交方向にオフセットした後に下流側の第3トレイ71に収納する動作フローの説明図である。
図14は、第2処理部B2でシートを製本仕上げする製本処理排紙モードの説明図である。
【0122】
「第1処理部におけるステープル綴じモードとエコ綴じモード」
図12に従って説明すると、画像形成装置Aのコントロールパネル93などで後処理モードの設定が行われる(St01)。シート後処理装置の制御手段95は、後処理モード設定情報に基づいて、ステープル綴じ処理が指定されたときには綴じユニットを移動する(St04)。またエコ綴じ処理が否定されたときにも綴じユニットを移動する(St05)。
【0123】
ステープル綴じ処理をときには第1綴じユニット47を設定綴位置Cp1に移動し、第2綴じユニットを第2待機位置Wp2に移動する。なおこのユニット位置がホームポジションとして設定されているときには、各ユニットがホームか否かを確認して移動する。
【0124】
次に、画像形成装置Aは画像を形成し、そのシートを排出する(St07,St08)。シート後処理装置Bは、搬入口26に送られた画像形成シートを受け入れ、下流側に搬送する(St09)。なおこのときパンチ処理が指定(St10)されているときには制御手段95は、シートを穿孔位置で一時的に停止(St11)する。そして、パンチユニット50を排紙直交方向に移動し、シートの側端縁をセンサで検出して所定の穿孔位置を割り出した後にパンチユニット50を停止して穿孔動作を実行する(St13)
【0125】
なお、パンチ処理が指定されていないときには制御手段95は搬入口側シートを受け入れ、経路排紙口に搬送する。そして処理トレイ37に搬入し位置決め手段で所定位置に位置決めする(St15)。制御手段95は排紙口35に送られたシートを処理トレイ37の紙載面上に積み重ねて収納する(St07〜St15)。そして画像形成装置Aからジョグ終了信号を受信する(St16)と、制御手段95は第1綴じユニット47又は第2綴じユニット51に綴じ処理指示信号を発信する。すると第1綴じユニット47又は第2綴じユニット51は綴じ処理を実行する(St17)。
【0126】
制御手段95は第1(又は第2)綴じユニット47、51から綴じ処理終了信号を受信すると、シート束搬出手段で綴じ処理されたシート束を下流側の第1トレイ49に収納する(St18)。そして第1トレイ49に配置され紙面レベルの検出センサ(不図示)で積載高さを検出し、所定角度超えるときには第1トレイ49を繰り下げる(St20)。次いで制御手段95は、次ジョブがあるか否かを判断し(St21)、動作を完了する。
【0127】
図13に従ってジョグ仕分け排紙モードを説明する。制御手段95はシート搬入経28路の搬入口26に送られたシートを、パンチ処理が指定されているときには、シートを穿孔位置で一時的に停止(St25)する。そして、パンチユニット50を排紙直交方向に移動し、シートの側端縁をセンサで検出して所定の穿孔位置を割り出した後にパンチユニット50を停止して穿孔動作を実行する(St27)
【0128】
次いで制御手段95は、シートを第3排紙パス30から第3トレイ71に搬出するためにローラユニットを排紙方向に回転する(St30)。そしてシートは偶数ページのときにはローラユニットを停止(St33)し、シートをニップした状態で排紙直交方向にあらかじめ設定されたオフセット量だけ位置移動する(St34)。その後制御手段95は再びローラユニットを排紙方向に回転(St35)する。このとき、第1経路切換え手段33はシートを搬入口26から第3排紙パス30に、案内する方向にシフトされ、シートは第3トレイ71に集積される(St36)。
【0129】
図14に従って製本処理排紙モードについて説明する。前述と同様に画像形成されたシートは、シート搬入経路28に導かれる。このシートは搬入口26から第2処理部B2に案内され、先端規制ストッパ67に突き当て規制される。このとき制御手段95は予めシートの排紙方向サイズを画像形成装置Aから情報受信して先端規制ストッパ67の位置を設定してある。
【0130】
第2処理部B2に集積されたシートは、画像形成装置Aからのジョブ終了信号で綴じユニット(中綴じユニット)をシート中央部に移動して綴じ処理する。1箇所または2箇所など綴じ処理が完了した段階でシート束を折位置に移動し、折りロール64を回転する。折りブレード65を折り方向に進入させ所定量折りローラ64を回転した段階で折りブレード65を後退させる。すると折り処理シートは下流側の排紙ローラ69で排紙方向に送り出され第2トレイ61に収納される。
【0131】
本実施例は、処理枚数において綴じ処理能力の異なるステープラユニット(第1綴じユニット)47とエコ綴じ手段(第2綴じユニット)51とを備えたシート後処理装置Bを用いて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、処理枚数において綴じ処理能力が等しい複数の綴じ処理ユニットを備えたシート後処理装置においても適用できる。
【0132】
本実施例は、針を用いてシート束に綴じ処理を施すステープラユニットと針を使用せずにシート束に綴じ処理を施すエコ綴じ手段(第2綴じユニット)とを備えたシート後処理装置を用いて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、綴じ処理可能なシート枚数が異なる2つ以上のステープラユニットを備えたシート後処理装置にも適用できる。