特許第6235904号(P6235904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235904フィルタシステムを有するストーマパウチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235904
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】フィルタシステムを有するストーマパウチ
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/441 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   A61F5/441
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-531905(P2013-531905)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公表番号】特表2013-538654(P2013-538654A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011054177
(87)【国際公開番号】WO2012044910
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年9月29日
【審判番号】不服2016-13588(P2016-13588/J1)
【審判請求日】2016年9月9日
(31)【優先権主張番号】13/248,704
(32)【優先日】2011年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/388,331
(32)【優先日】2010年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509146126
【氏名又は名称】コンバテック・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONVATEC TECHNOLOGIES INC
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(72)【発明者】
【氏名】マーク・レスコ
(72)【発明者】
【氏名】ミンリャン・ローレンス・ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・オーバーホルツァー
【合議体】
【審判長】 高木 彰
【審判官】 五閑 統一郎
【審判官】 関谷 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−19154(JP,A)
【文献】 特公昭61−21414(JP,B2)
【文献】 特表2006−526432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F5/441
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的にその周囲に沿って相互に密着された2つの対向するパネルを備え、
上記2つの対向するパネルは、排泄物をとらえるためのパウチを形成し、
上記2つの対向するパネルの一方は、ストーマから排出される排泄物を上記パウチ内に捕らえられるように、上記ストーマの周囲に配置するためのストーマ開口部を有し、
上記パウチは、上記排泄物からの悪臭ガスの脱臭のためのフィルタと、上記脱臭されたガスを大気中に排出するための開口部とを有し、
上記フィルタを保護するため、かつ、上記パウチ内のガス集積による上記パウチの膨張を防止するために、少なくとも部分的に上記フィルタを覆って、上記2つの対向するパネルの間にあるプリーツ式中央パネルを備えるオストミー器具。
【請求項2】
上記プリーツ式中央パネルが、上記フィルタへのガスの通過を容易にするための開口部を維持するよう適切に折られている請求項1に記載のオストミーパウチ。
【請求項3】
請求項1に記載のオストミー器具において、
上記フィルタと上記プリーツ式中央パネルとの間に連続気泡フォームを備えるオストミー器具。
【請求項4】
請求項1に記載のオストミー器具において、
上記フィルタが、軸流タイプのフィルタまたはストリップフィルタであるオストミー器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オストミー器具、より詳細にはフィルタを有するストーマパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
オストミー器具に関しては、ガス管理および除臭が極めて重要な問題である。各種フィルタの設計は発展してきてはいるが、オストメイトの間では依然としてより高性能なフィルタに対するニーズがある。現在市販されているほとんどのストーマフィルタは、短時間、多くの場合は1日未満しか機能しない。主な不満は、漏れ、膨張を引き起こす目詰まり、不十分な脱臭、および使用時間の低下である。市販のフィルタが機能しなくなると、フィルタからパウチ外へ便が漏れてしまう可能性がある。現在ほとんどのフィルタの設計では、酵素および化学物質の存在下で、フィルタを排泄物の漏れから保護するために疎油性の膜が利用されている。しかし、疎油性膜の有無を問わず市販のストーマパウチでは、目詰まりの問題に関して多くのオストメイトが望むような効果的な対策が取られていない。また、フィルタの疎油および疎水性能を向上させるために多重の膜を利用するストーマパウチもあるが、この設計では空気流抵抗が大幅に増加してしまう。
【0003】
市販のストーマフィルタは、フィルタの厚みを直接流れる、または軸方向に流れるのではなく、比較的平坦なフィルタの面に沿ってガスが流れる半径流式に基づくものがほとんどである。このような半径方向または平面的な流れのタイプのものは、ガスと活性炭との反応時間を増加させるために使用されている。軸流タイプのフィルタは、脱臭効果、空気流要件およびフィルタの外形のバランスを取ることが困難であるため製造が難しい。しかし、脱臭性能を犠牲にすることなく比較的小型なフィルタを使用することが可能な軸流フィルタが望ましい。小型なフィルタでは、フィルタをパウチのシームに可能な限り近く配置することが可能になり、これによってフィルタの面が直接ストーマの開口部の前にあるのではなくフィルタが目詰まりを起こす傾向が低下させられるため、フィルタのサイズは小型なものが好ましい。
【0004】
したがって、目詰まりに対する耐性を向上させるため、改良されたフィルタシステムが必要とされている。さらに、フィルタ外形を最小化し、小型のフィルタを可能にするために軸流フィルタが必要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明のフィルタ設計の一態様は、新たに開発されたプリーツ式の中央パネル設計を使用して目詰まり耐性を向上させることである。この設計は、パウチの前面パネルのフィルタと、ストーマから排出される排泄物にフィルタが直接さらされることを防止するための薄膜からなる中央パネルとを含む。中央パネルは、意図的に中央パネル内に形成される少なくとも1つ、好適には2つのプリーツを有する。これらのプリーツにより、排泄物の大部分がフィルタに到達してこれを汚すことを回避しつつ、ガスがストーマ領域からフィルタ領域へ移動することが可能になる。このプリーツがないと中央パネルは、パウチの前面パネルを詰まらせる、または密閉してしまう傾向があり、ガスがフィルタへ到達せず、これによりパウチの膨張が生じてしまう。選択的に、プリーツを通過し得る便をさらに減らすために、フィルタの面とプリーツとの間に連続気泡フォームを追加することが可能である。
【0006】
本発明の別の態様は、軸方向の空気流のために設計されたフィルタの採用である。プリーツ状の設計により、薄い形状を有する小型フィルタを使用することが可能になる。ストリップフィルタおよび軸流フィルタはいずれも、目詰まりに対する耐性を向上させるためにプリーツ式中央パネル設計と組み合わせることが可能である。
【0007】
本発明の別の態様は、フィルタの周囲が臭気バリア膜で巻かれるストリップフィルタの設計である。このような設計により、空気流抵抗を著しく増加させることなく、フィルタの脱臭性能を最大化することが可能になる。
【0008】
フィルタ処理されるパウチの利用実態およびその目詰まりに対する耐性を再現するための試験方法が考案された。試験は、特別に設計された傾斜台試験リグ上で実施された。試験リグは、試験用のフィルタ処理されるパウチを垂直位置に保持し、一定の時間間隔でこれを水平位置へ傾斜させるよう設計された。傾斜台試験リグはまた、身体から生じるガスをシミュレーションするため、フィルタ処理される試験用パウチ内に空気を噴射する手段も備える。フィルタシステムを目詰まりの観点からも試すために、フィルタを有する試験用パウチは、フェクロンと称される擬似排泄物でも満たされる。これは市販されているものであり、固形物1対水3で所望の粘度に混ぜられる。試験の実施の際は、フィルタシステムは各位置で擬似排泄物および擬似ガスに10分間隔でさらされる。この傾斜台試験の間、パウチは垂直および水平位置の間を連続的に循環する。各サイクルの間、試験用パウチにはそれぞれ10分毎に約300ccの空気が5秒間の充填時間で噴射される。フィルタが目詰まりを起こしていない場合は、試験用パウチは、フィルタシステムから空気を放出することにより正常に収縮する。すべてのパウチにおいてパウチ内から空気を放出することができなくなる、すなわちパウチの膨張が生じるまで試験を行う。フィルタ不具合の基準は、傾斜台サイクルにおいて連続して3サイクルの間、試験用のフィルタ処理されるパウチが収縮できず完全に膨張した状態のままになることである。膨張が生じると、擬似排泄物はフィルタを詰まらせ、フィルタシステムはもはや空気を放出することができなくなる。
【0009】
多数の市販のフィルタシステムに関して評価を行った。プリーツ有/無それぞれの各種パウチ設計についての結果を表1に示す。試験により、プリーツ式中央パネル・フィルタシステムはフィルタの寿命を約300分までへと倍増させることが明らかになった。これはフィルタの目詰まりが起きるまでの時間である。また試験により、プリーツ式中央パネル・フィルタシステムはフォームと共に使用するとフィルタの寿命を約600分までと3倍に増加させることも明らかになった。プリーツ有/無それぞれの各種パウチ設計についての結果を表1に示す。フィルタシステム内のフォームの有/無に関しても目詰まりに対する耐性を比較した。


















(表1)傾斜台により試験した目詰まりまでの時間によるフィルタ寿命
【表1】
【0010】
軸流フィルタに対する半径流フィルタの物理的寸法を表2に示す。表3は、同じ軸流フィルタおよび半径流フィルタの多様な相対湿度および異なるキャリアガスにおけるHS脱臭結果のまとめである。表4は、表3による結果のグラフである。表3および4に示されるように、軸流フィルタの方が、活性炭層が薄く、表面積が小さいにもかかわらず、HS脱臭において半径流フィルタより性能が優れている。
(表2) 軸流フィルタと半径流フィルタの物理的寸法
【表2】








(表3) HS脱臭の破過時間および背圧
【表3】
(表4) HS脱臭における相対湿度の影響 空気中の破過時間
【表4】
【0011】
表5は、15mm×33mmの長方形のストリップフィルタと、直径25.4mmの円形フィルタのHS脱臭結果のまとめである。全体の表面積および活性炭の厚さはほぼ同じであるのにもかかわらず、実質的な流れ距離の増大のため、ストリップフィルタの方が脱臭時間が大幅に長くなっている。この実施例では、実質的な流れ距離はほぼ33%長く、その結果、HS脱臭時間が長くなる。










(表5) ストリップフィルタと円形フィルタのHS脱臭時間
【表5】
【0012】
本発明は以下を含む。
1.目詰まりに対する耐性を向上させるプリーツ式中央パネル。目詰まり耐性をさらに向上させるために連続気泡フォームが追加されることが可能である。フォーム有りおよびフォーム無しのプリーツ式設計は、円形またはストリップ、半径流または軸流の、すべてのタイプのフィルタに使用可能である。フォーム有りおよびフォーム無しのプリーツ式設計は、ドレインパウチ、クローズパウチいずれにも使用可能である。
2.軸流フィルタより活性炭層が薄く表面積が小さいにもかかわらず、同等のまたはより優れた脱臭時間を有する軸流フィルタ。
3.概ね同等の厚さおよび表面積を有する円形フィルタに比べて、実質的な流れ距離が向上する結果として、同等のまたはより優れた脱臭時間を有するストリップフィルタ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るオストミー器具の背面図である。
図2図1の線A−Aに沿った断面図である。
図3図1の線D−Dに沿った断面図である(明確にするためストーマフランジおよびフィルタは図示しない)。
図4図1のオストミー器具の正面図である(明確にするためストーマフランジは図示しない)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、クローズ式ストーマパウチ18の外縁16を形成するためにパネルの周囲で共に密閉される前面パネル12と後面パネル14とを有するオストミー器具10(図1〜4)である。後面パネル14はストーマ開口部20を含み、ストーマ開口部20がストーマを包囲してストーマパウチが身体に適切に設置されている際にはこのストーマ開口部を通って排泄物が排出される。ストーマパウチ18は、典型的には溶接により前面パネル12に取り付けられるフィルタアセンブリ22を含む。後面パネル14は、フィルタアセンブリ22により脱臭される排泄物の臭いを大気中へと通すことを可能に、かつ容易にするための開口部を含む。
【0015】
ストーマパウチ18はさらに、前面パネル12と後面パネル14との間にあるプリーツ状の中央パネル28を含む。このプリーツ式中央パネル28は、ストーマパウチ18の外縁16に取り付けられる縁部30を含む。プリーツ式中央パネル28は、前面パネル12の内面に断続的34に取り付けられる部分的に自由である縁部分32を有する。このプリーツ式中央パネル28は、予め寸法決めされており、パウチ18内で折り目、ひだ、またはプリーツ36の形で余分材料を生じさせるよう前面パネル12に取り付けられる。プリーツ36は、パウチ内に入ったガスによるパウチ18の膨張を防止しつつ、悪臭ガスが脱臭のためフィルタアセンブリ22に到達することを可能にする。
【0016】
プリーツ式中央パネル28は部分的に、ストーマパウチの上端部36から下方へ延伸して、少なくとも部分的、好適には全体的に、ストーマ開口部20からパウチ18に入る汚物からフィルタアセンブリ22を覆うとともに保護する。プリーツ36は一部には、前面パネル12に縁部分32を固定するスポット溶接38により形成される。プリーツ式中央パネル28は下縁部40を有する。プリーツ式中央パネル28は好適には、前面パネル12および後面パネル14に使用される標準的なストーマパウチ材料と同じ材料からなる。
【0017】
特許請求の範囲に定義される発明の範囲内においては、好適な実施形態に対する変形および変更を行うことが可能である
図1
図2
図3
図4