【課題を解決するための手段】
【0017】
第一の態様によれば、本発明は、少なくとも活性材料のコーティングが塗布されている多孔性高分子材料を備えたバッテリー電極を提供する。
【0018】
本明細書全体にわたって、用語「活性材料」は、充電状態と放電状態との間を遷移可能な材料のことを言及するために用いられる。材料が耐えられる充放電遷移(または周期)が多いほど、その材料の安定性が高くなる。
【0019】
実施形態によっては、コーティングがバッテリー電極活性材料である場合もある。実施形態によっては、この活性材料は適切な導電性を有している場合もある。他の実施形態では、この活性材料は低い導電性を有している場合もある。
【0020】
実施形態によっては、コーティングは、バッテリー材料として本質的に不活性な導電性材料と、活性材料との両方を備えている場合もある。さらなる実施形態では、導電性材料は連続的なものである場合もある。
【0021】
バッテリー電極はアノードとして用いられてもよい。また、バッテリー電極はカソードとして用いられてもよい。
【0022】
一実施形態では、コーティングが高分子材料に塗布された後、高分子材料が部分的に取り除かれてもよいしまたは完全に取り除かれてもよい。この実施形態では、高分子材料は、活性材料をコーティングした後のいずれの段階において取り除かれてもよい。高分子材料は、当業者にとって適切であると知られているいかなるプロセスを用いて取り除かれてもよい。
【0023】
実施形態によっては、バッテリー電極は、基材層をさらに含んでいてもよい。基材層は金属層であってもよい。
【0024】
実施形態によっては、導電性材料層を構成するコーティングが多孔性高分子材料に塗布されている場合もある。次いで、1つ以上のバッテリー電極材料を導電性材料層に塗布してバッテリー電極が形成されてもよい。
【0025】
多孔性高分子材料に塗布されるコーティングは、連続的なコーティングであってもよいし、不連続なコーティングであってもよい。不連続なコーティングとは、多孔性高分子材料上にまたは高分子材料内に離れてコーティング材料が配置される2つ以上の領域が存在するコーティングのことである。不連続なコーティングは粒子で構成されていてもよい。
【0026】
コーティングは、多孔性高分子材料の厚み方向に延びてもよい。他の実施形態では、コーティングは、多孔性高分子材料の厚み方向に部分的にしか延びていない場合もあれば、多孔性高分子材料の中へ途中までしか延びていない場合もある。
【0027】
実施形態によっては、多孔性高分子材料は、0.1m
2/cm
3を超える比表面積、さらに好ましくは0.2m
2/cm
3を超える比表面積、さらに好ましくは1m
2/cm
3を超える比表面積、さらに好ましくは4m
2/cm
3を超える比表面積、さらに好ましくは10m
2/cm
3を超える比表面積、さらに好ましくは50m
2/cm
3を超える比表面積を有している。これらの比表面積は、多孔性高分子材料をコーティングする前に測定される。一般的により大きな表面積はより微細な構造から得られるが、より微細な構造はコーティングの形成がより困難になる。
【0028】
実施形態によっては、多孔性高分子構造体は非導電性の構造体である。非導電性とは、構造体自体が導電性を実質的にまったく有していないか、または非常に低い導電性を有していることを意味する。これらの実施形態では、基板自体がほとんどまたはまったく導電性を提供しないので、コーティングが十分な導電性を提供しなければならない。これらの実施形態のうちのいくつかでは、非導電性構造体は、複雑な細孔構造、または大きな表面積、またはそれら両方を有している場合もある。このような実施形態おいて、コーティングの導電性の必要性と複雑な細孔構造および大きな表面積とを組み合わせることは非常に困難である。驚いたことに、本発明では、発明者らは、曲がりくねった細孔構造を有している非導電性の多孔性高分子基板上にコーティングを塗布することによりバッテリー電極特性を実現することが可能であることを見出した。また、曲がりくねった細孔構造および大きな表面積を有している非電導性の多孔性高分子基板上にコーティングを塗布することによりバッテリー電極を実現することも可能である。
【0029】
実施形態によっては、多孔性高分子内の細孔構造が複雑な場合もある。複雑な細孔構造とは、細孔が捻れおよび曲がりを有していたり、曲がりくねった経路を通ったり、および/または広範囲のサイズを有したりすることを意味する。そのような細孔構造は、アクセスが非常に困難な場合があるため、直線状の規則正しい細孔を有する単純な細孔構造と比較してコーティングを堆積させることが困難であるのが一般的である。
【0030】
実施形態によっては、活性コーティングを備えた多孔性高分子材料は、複雑な細孔構造と、0.1m
2/cm
3を超える比表面積、さらに好ましくは0.2m
2/cm
3を超える比表面積、さらに好ましくは1m
2/cm
3を超える比表面積、さらに好ましくは4m
2/cm
3を超える比表面積、さらに好ましくは10m
2/cm
3を超える比表面積、さらに好ましくは50m
2/cm
3を超える比表面積とを有している場合もある。これらの比表面積は、多孔性高分子材料をコーティングする前に測定される。
【0031】
適切な枠組みを生成するいかなる多孔性高分子材料が用いられてもよい。適切な多孔性高分子基板の例としては、紙、ろ紙およびフィルタ膜が挙げられる。コーティングは、自立するシートの厚み方向全体にわたって有機材料のシートをコートするようにして行われてもよい。それに代えて、シートの厚みがバッテリー電極にとって望ましい厚みよりも大きい場合、コーティングは、シートに途中までしか浸透しないように塗布されてもよい。有機材料を除去することにより、所望の厚さに塗布された材料が残る。
【0032】
それに代えて、フィルムまたは有機的な枠組みが基板上のフィルムとして提供されてもよい。すなわち、有機的な枠組みは自立しない。この実施形態では、多孔性材料には、(コーティングの前または後に)それに適用されるバッキング層を有してもよい。バッキング層は多孔性材料をさらに支持するものになるだろう。バッキング層は導電性材料であってもよい。バッキング層は金属層であってもよい。
【0033】
多孔性高分子材料は多孔性フィルタ膜材料であってもよい。これらは、セルロース(たとえば、紙フィルタ)、硝酸セルロース、酢酸セルロース、混合セルロースエステル、ナイロン、PTFE(テフロン(登録商標))、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアミド、ビニルポリマーおよびポリカーボネートを含むさまざまな高分子から形成されてもよい。多孔性フィルタ膜材料は、ある範囲の細孔のタイプおよびサイズで利用可能である。通常、細孔のサイズは、多孔性フィルタ膜材料を通過することができる粒子の最大粒径により規定される。たとえば、ある膜タイプは0.1μm〜10μmの孔径の範囲で規定されたものが利用可能である。トラックエッチングされたフィルタ膜(tracked−etched filter membrane、典型的にはポリカーボネート)は直線状のシリンダ形状の細孔を有している。しかしながら、ほとんどの膜は、もっと複雑でかつ不規則な細孔構造を有している。これらには、セルロース系フィルタ膜や、なんらかのナイロンフィルター膜、PTFEフィルタ膜、PESフィルタ膜が含まれる。
【0034】
多孔性高分子材料は、広範囲の厚み、たとえば数μmから数百μmまでの厚み、またはミリメートル範囲までの厚みを持っていてもよい、好ましくは、厚みは、個々の用途に有利となるように選択される。
【0035】
実施形態によっては、多孔性高分子材料に塗布されるコーティングは薄いコーティングである場合もある。たとえば、この薄いコーティングは、500nm未満の厚み、好ましくは200nm未満の厚み、さらに好ましくは100nm未満の厚み、さらに好ましくは50nm未満の厚み、または20nm未満の厚みであってもよい。最適な厚みはバッテリーのタイプまたは用途に応じて異なってもよい。たとえば、コーティングの厚みが小さいほど、厚いコーティングと比較して、充放電速度が大きくなるが、エネルギー容量は小さくなる。このことは、用途によっては望ましい場合もある。他の用途では、エネルギー容量がより大きな相対的重要度を有しうるので、より厚いコーティングが望ましくなる場合もある。
【0036】
コーティングは複合材料であってもよい。複合材料は、単一の複合材料層であってもよい。また、コーティングは複数の複合材料層を有していてもよい。また、コーティングは、第一の材料からなる第一の層と、異なる材料からなる第二の層とを有していてもよい。
【0037】
実施形態によっては、コーティングは、活性材料と、さらなる導電性材料とを有している場合もある。さらなる導電性材料は多孔性高分子材料へ塗布され、活性材料がさらなる導電性材料へ塗布されてもよい。
【0038】
実施形態によっては、コーティングは、当該コーティング内の何らかの活性材料または何らかの導電性材料に加え、本質的に不活性な非導電性材料を有している場合もある。
【0039】
実施形態によっては、コーティングは、薄い導電性材料層と、当該薄い導電性材料層に塗布される少なくとも活性材料からなる他の層とを有している場合もある。
【0040】
実施形態によっては、コーティングは積層構造を有している場合もある。
【0041】
実施形態によっては、コーティングは、それが塗布される表面層を有している場合もある。表面層はキャッピング層であってもよい。
【0042】
実施形態によっては、コーティングは合金を含んでいる場合もある。
【0043】
実施形態によっては、コーティングは多相材料である場合もある。
【0044】
本発明では、個々のバッテリー用途に応じて、活性材料および導電性材料を適切に組み合わせたものを含む、いかなる適切なコーティング材料が用いられてもよい。
【0045】
リチウムイオンバッテリー用のアノード材料には錫系材料が含まれる。錫系材料には、銅、ニッケル、コバルト、アンチモンなど、およびこれらを組み合わせたものを含む他の金属と錫との合金および混合物が含まれる。また、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化銅、酸化スズ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、チタン酸リチウムなど、およびこれらを組み合わせたもの如き金属酸化物が用いられてもよい。炭素および他のアノード材料と炭素との混合物が用いられてもよい。リチウム金属およびシリコンを含む材料が用いられてもよい。
【0046】
リチウムイオンバッテリー用のカソード材料も本発明で用いうる適切な材料である。酸化マンガンリチウム、コバルト酸リチウム、リチウムリン酸鉄など、およびこれらの混合物の如き一般材料が本発明の方法において用いられてもよい。
【0047】
ニッケル系カソード材料が、ニッケル/金属水素化物バッテリー、ニッケル/亜鉛バッテリーおよびニッケル/鉄バッテリーを含む一連のニッケル系バッテリーに用いられてもよい。これらのカソード材料は、酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、およびこれらの混合物である。
【0048】
実施形態によっては、コーティング内に炭素が存在している場合もある。炭素は、活性材料であってもよいしまたは導電性材料として用いられてもよく、さらに、不必要な表面反応から表面を保護することもできる。したがって、炭素は表面のコーティングとして存在してもよい。また、炭素は、他の1つ以上の活性材料と組み合せられた複合構造体における1つの相であってもよい。また、炭素は、他の導電体と組み合わせられてもよい。炭素は、多孔性高分子基板上に直接コートされてもよい。
【0049】
上述のように、本発明の好ましい実施形態では、コーティングは薄いコーティングである。活性材料の薄いコーティングにより、速度特性(rate characteristic)が向上する。とくに好ましい実施形態では、活性材料の薄いコーティングが容量を向上させるために大きな表面積を有する基板上に設けられる。さらに好ましい実施形態では、良好な導電性を与えかつ重量および体積を最小限に抑える薄い導電層が設けられている。
【0050】
本発明では、広範囲のコーティング構造が用いられている。たとえば、まず導電性コーティングが基板に塗布され、次いでバッテリー電極活性材料がこの導電性コーティング上に塗布される。実施形態によっては、コーティングはより複雑な複合材料である場合もある。たとえば、導電性材料および活性材料層の複数層が塗布されてもよい。コーティングは、導電性材料および活性材料が複雑に混ざっている複合材料であってもよい。たとえば、銅、錫などの異なる金属の混合物は、一の金属または合金を介した導電性網と、他の金属または合金を介した活性材料とを提供することができる。複合材料は、1つ以上の異なる材料により取り囲まれる活性材料のより多くの等軸領域により構成されてもよい。
【0051】
他の実施形態では、コーティングは、1つ以上の活性材料を含んでいる場合もあれば、複数の異なる充放電反応を有する活性材料を含んでいる場合もある。このような材料の場合には、サイクリックボルタンメトリー(CV)スキャン結果に複数の充放電ピークが現れる。
【0052】
実施形態によっては、活性材料が金属合金である場合もある。合金は、真性合金、すなわち2つ以上の異なる金属の均質な単相混合物であってもよい。それに代えて、合金は、複数の材料領域が異なる組成を有する2つ以上の異なる金属の混合物であってもよい。たとえば、銅、アンチモン、コバルト、ニッケルおよびこれらの混合物と錫とのさまざまな合金が、リチウムイオン電池用のアノード材料として調査されている。さらなる実施形態では、異なる組成を有する分離した領域で構成される初期コーティングを熱処理することにより合金構造が形成されてもよい。熱処理により、このような領域を部分的にまたは完全に均質化して合金を形成することができる。
【0053】
実施形態によっては、コーティングの構造がバッテリー材料に対してより大きな周期的安定性を与える場合もある。たとえば、不安定になる傾向のあるバッテリー材料をナノメーターサイズの領域の中に閉じこめることによって、安定性が増強される場合もある。ナノメーターサイズの領域は、導電性材料によりまたは異なる材料により取り囲まれてもよい。たとえば、リチウムイオンバッテリー用の錫系アノードの場合、複数の錫層が、炭素層、銅層、ニッケル層、またはこれらを組み合わせたものもしくは混合したものにより分離されてもよい。それに代えて、錫の層ではなくて錫の領域、たとえば球状の領域がそのような層によって分離されてもよい。
【0054】
さらなる実施形態では、コーティングは、電解質との反応のような反応に対する抵抗を改善することによりさらに安定性を向上させる1つ以上の表面層を有している場合もある。これらの反応は、しばしば表面電解質界面層(surface electrolyte interphase layer)と呼ばれる表面層を生じうる。たとえば、リチウムイオンバッテリーにおいて、電解質との表面反応を最小限に抑えるために炭素コーティングまたは高分子コーティングが用いられてもよい。金属(たとえば銅、ニッケル)のコーティングが用いられてもよい。複数の表面層または複合表面層が用いられてもよい。
【0055】
他の実施形態では、まずコーティングが、堆積され、次に活性材料を形成するまたは活性材料の存在量を増加させるためのなんらかの方法で反応される場合もある。たとえば、ニッケルコーティングが堆積され、次いでこのコーティングの少なくとも一部が酸化され、酸化ニッケル材料、オキシ水酸化ニッケル材料、水酸化ニッケル材料、またはこれらの混合物が形成される。
【0056】
さらなる実施形態では、コーティングが細孔を有していてもよい。このような細孔により、表面積が増大し、水溶液からのイオンの進入を容易にすることが可能となる。
【0057】
実施形態によっては、コーティングが基板全体にわたって均一とはなっていない場合もある。たとえば、基板全体にわたって、コーティングの構造、組成および/または厚みが変わる場合もある。好ましくは、コーティングは基板全体にわたって良好な導電性網を提供する。たとえば、導電性材料が基板全体を覆っているものの(その厚みは実質的に均一であってもよいし均一でなくてもよい)、活性材料は導電性材料がコートされた基板全体を覆っていなくともよい。たとえば、活性材料が、多孔性高分子膜の一方の面から内側に向かって延びているものの、完全には貫通していなくてもよい。したがって、膜の一方側の面は導電性材料のみのままである。このことは、電極への電気接続を形成するために有利な場合がある。
【0058】
さまざまな方法を用いてバッテリー電極コーティングを提供することができる。たとえば、電解堆積法、無電解堆積法、ゾルゲル法、電解沈殿法(たとえば、Ni(OH)
2の電解堆積は、まず硝酸イオンの電解還元により局所的にpHを上げてNi(OH)
2を沈殿させることにより生じると考えられている)または電気泳動堆積法が用いられてもよい。次いで、この構造体は材料の品質を向上させるための処理が施されるようになっていてもよい。たとえば、酸化マンガンリチウムの如きカソード材料が提供される場合、この材料は、酸化マンガンリチウムの結晶品質を向上させるための熱処理がなされてもよい。この構造体は、このような処理に本質的に耐えられる必要がある。
【0059】
一実施形態では、コートされた有機材料が、フィルタ膜上に薄い導電性材料のコーティングを塗布することにより提供される。このような材料の具体例は米国特許出願番号第2009905532号に記載されている。薄いコーティングは原子層堆積法と呼ばれる方法を用いてなされてもよい。この方法は膜の厚み方向に均一なコーティングを形成する。
【0060】
他の実施形態では、コーティングは、本発明者らの同時係争中のオーストラリア仮特許出願番号第2012900378号に記載の方法によりなされてもよい。当該特許の全内容物は、ここで相互参照することにより援用されるものとする。
【0061】
当業者に公知となっているコーティングをなすための他の方法も、本発明での使用に適している場合もある。
【0062】
バッテリーには、薄いコーティングのみを有した導電性の良好な多孔性材料が有利である場合がある。というのは、重量が最小限に抑えられ、高いエネルギー密度(単位kg当たりのWh)および高い電力密度が達成されうるからである。これらの実施形態では、バッテリー電極として機能するためには通常少なくとも1つの活性材料を含むコーティングがさらに必要となる。
【0063】
これらの実施形態では、バッテリー電極として機能するためには少なくとも1つの活性材料を含むコーティングがさらに必要となる。
【0064】
実施形態によっては、コーティング内の炭素は、まず適切な高分子を多孔性高分子基板上に堆積させるかなんらかの材料で既にコートされている多孔性高分子基板上に堆積することにより塗布されてもよいし、多孔性高分子基板上に他の材料と同時に堆積させるかコートされた多孔性高分子基板上に他の材料とともに同時に堆積させてもよい。次いで、この高分子は、炭素を形成するための適切な熱処理により部分的に熱分解されてもよい。高分子はいかなる適切な方法で塗布されてもよい。たとえば、高分子は、電解堆積法により塗布されてもよいし、多孔性高分子に高分子を含んでいる溶液を含浸させた後、乾燥、熱分解することにより塗布されてもよいし、蒸気から吸着もしくは縮合により塗布されてもよいし、または溶液からの化学吸着により塗布されてもよい。高分子および高分子−金属複合体の電解堆積法の具体例は次の引用文献に記載されている。
【0065】
チパラら(Chipara et al)、「ポリピロール−Feナノ複合材料の電着および磁気特性(Electrodeposition and Magnetic Properties of Polypyrrole−Fe Nanocomposites)」、材料学会報61(Materials Letters61)、ページ2412、2007年;フジタら (Fujita et al)、「メタル高分子共同電析方法によるメタル−高分子複合フィルムの作製(Preparation of Metal−PolymerComposite Films by the Metal Polymer co−electrodeposition Method)」、IEEE磁気学会(IEEE Transacttion on Magnetics)、44巻、2008年11月;および ジアソンら(Jiasong et al)、「炭素繊維上への高分子の電解堆積法(Electrodeposition of Polymers on Carbon Fibers)」、高分子通信(Polymer Communicatin)、2号、ページ1983。
【0066】
化学吸着プロセスの一例は、polyDADMACおよびPSSの如く逆に帯電した高分子電解質の連続吸着である。このような積層化の一例は次の文献に記載されている。
【0067】
チャンら(Zhang et al)、「金クラスターの電気化学的堆積用のマトリックスとしての高分子電解質多層構造:超疎水性表面に向けて(Polyelectrolyte Multilayer as Matrix for Electrochemical Deposition of Gold Cluster: Toward Super−Hydrophobic Surface)」、米国化学学会誌(J.American Chemical Society)、126、ページ3064〜3065、2004年。
【0068】
多孔性高分子基板自体も少なくとも部分的に熱分解され炭素を提供しうる。
【0069】
実施形態によっては、コーティングを反応させて活性材料を形成するまたは活性材料の存在量を増加させるようになっている場合もある。このことは、溶液中での化学反応、気体蒸気との反応、または陽極酸化(anodisation)の如き電気化学反応により達成することが可能である。また、これらの組み合わせが用いられてもよい。
【0070】
実施形態によっては、とくにコーティングに細孔を形成するための方法が用いられる場合もある。たとえば、高電流で電解堆積を行うと、堆積中に泡が生じて多孔性のコーティングを形成することができる。液晶および組み立てられたミセル構造体の如き界面活性剤系テンプレートを含むさまざまな有機系テンプレートの中へ電解堆積し、その後有機系テンプレートを除去することにより細孔を形成する方法も用いることができる。有機系テンプレートを熱分解する場合、この除去により炭素が残る場合もある。
【0071】
他の実施形態では、炭素のうちの少なくとも一部は高分子基板自体を熱分解することにより生じうる。
【0072】
第二の態様によれば、本発明は、本発明の第一の態様にかかるバッテリー電極を作製する方法も含む。
【0073】
第三の態様によれば、本発明は、本発明の第一の態様にかかる少なくとも1つのバッテリー電極を備えたバッテリーに関するものである。一実施形態では、バッテリーは、本発明の第一の態様にかかるアノードと、本発明の第一の態様にかかるカソードとを有していてもよい。