(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235909
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】放電ランプ
(51)【国際特許分類】
H01J 61/073 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
H01J61/073 B
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-3553(P2014-3553)
(22)【出願日】2014年1月10日
(65)【公開番号】特開2015-133210(P2015-133210A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】早川 壮則
【審査官】
右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−006246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 61/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電管と、
前記放電管内に配置される一対の電極とを備え、
少なくとも一方の電極が、凹部を形成した有底筒状胴体部材と、前記凹部に嵌る柱状突出部を形成し、前記胴体部材と接合する蓋部材とを有し、
伝熱体が、前記胴体部材と前記蓋部材との接合によって電極内部に形成された筒状の密閉空間に封入され、
前記密閉空間の突出部表面付近での径が、前記密閉空間の中間部の径よりも小さいことを特徴とする放電ランプ。
【請求項2】
前記密閉空間が、少なくとも中間部から後端部に向けて先細くなっていることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
【請求項3】
放電管と、
前記放電管内に配置される一対の電極とを備え、
少なくとも一方の電極が、凹部を形成した有底筒状胴体部材と、前記凹部に嵌る突出部を形成し、前記胴体部材と接合する蓋部材とを有し、
伝熱体が、前記胴体部材と前記蓋部材との接合によって電極内部に形成された筒状の密閉空間に封入され、
前記密閉空間の蓋部材側後端部における径が、前記密閉空間の中間部の径よりも小さく、
前記密閉空間の径が、凹部底面側先端部から後端部に向けて小さくなることを特徴とする放電ランプ。
【請求項4】
前記胴体部材の肉厚が、電極軸方向に沿って略一定であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の放電ランプ。
【請求項5】
放電管と、
前記放電管内に配置される一対の電極とを備え、
少なくとも一方の電極が、凹部を形成した有底筒状胴体部材と、前記凹部に嵌る突出部を形成し、前記胴体部材と接合する蓋部材とを有し、
伝熱体が、前記胴体部材と前記蓋部材との接合によって電極内部に形成された筒状の密閉空間に封入され、
前記密閉空間の蓋部材側後端部における径が、前記密閉空間の中間部の径よりも小さく、
前記突出部の直径DTと、前記突出部に対向する前記胴体部材の後端部内径GSとが、DT/GS≧0.5を満たし、且つ、前記胴体部材の後端部内径DMと中間部内径DNとが、DM/DN≧0.5を満たすことを特徴とする放電ランプ。
【請求項6】
放電管と、
前記放電管内に配置される一対の電極とを備え、
少なくとも一方の電極が、凹部を形成した有底筒状胴体部材と、前記凹部に嵌る突出部を形成し、前記胴体部材と接合する蓋部材とを有し、
伝熱体が、前記胴体部材と前記蓋部材との接合によって電極内部に形成された筒状の密閉空間に封入され、
前記密閉空間の蓋部材側後端部における径が、前記密閉空間の中間部の径よりも小さく、
前記密閉空間の後端部において、突起部が凹部内面周方向に沿って形成されていることを特徴とする放電ランプ。
【請求項7】
放電管と、
前記放電管内に配置される一対の電極とを備え、
少なくとも一方の電極が、凹部を形成した有底筒状胴体部材と、前記凹部に嵌る突出部を形成し、前記胴体部材と接合する蓋部材とを有し、
伝熱体が、前記胴体部材と前記蓋部材との接合によって電極内部に形成された筒状の密閉空間に封入され、
前記密閉空間の蓋部材側後端部における径が、前記密閉空間の中間部の径よりも小さく、
前記突出部が柱状であり、
ランプ消灯後、前記密閉空間の後端部付近において、伝熱体が凹部内面周方向に沿って環状に凝固することを特徴とする放電ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置等に利用される放電ランプに関し、特に、電極内部に形成された密閉空間に伝熱体を封入する電極構造に関する。
【背景技術】
【0002】
放電ランプでは、電極内部に密閉空間を形成し、冷却機能をもつ金属を封入した電極が知られている(例えば、特許文献1参照)。そこでは、銀など、熱伝導率が高く、比較的融点の低い金属から成る伝熱体が、陽極内部に封入される。ランプ点灯によって電極温度が上昇すると、伝熱体が溶融し、液化する。これによって、密閉空間内に熱対流が生じ、電極先端部の熱が反対側の電極支持棒側へ輸送される。
【0003】
電極内部に密閉空間を形成する場合、凹部を形成した有底円筒状胴体部材と、円柱状突起部を備えた蓋部材とを用意し、胴体部材の凹部に蓋部分の突出部を嵌めこみ、凹部端面と蓋部材とを接合させることによって密閉空間を形成する。接合方式としては、SPSなど固相接合が適用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−221582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓋部材と胴体部材を接合すると、その接合部分において隙間が生じる。ランプ点灯中、伝熱体がその隙間に入り込むと、ランプ点灯/消灯に伴って伝熱体が凝固、溶融を繰り返すと、凝固、溶融による応力が接合部分にかかり、接合部のクラック発生、しいては電極破損の恐れが生じる。
【0006】
したがって、伝熱体を電極内部に封入する電極において、伝熱体による電極接合部分へのダメージを抑えることが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の放電ランプは、放電管と、放電管内に配置される一対の電極とを備え、少なくとも一方の電極が、凹部を形成した部材(ここでは、胴体部材という)と、前記凹部に嵌る突出部を形成し、前記胴体部材と接合する部材(ここでは、蓋部材という)とを備え、伝熱体が、前記胴体部材と前記蓋部材との接合によって電極内部に形成された筒状の密閉空間に封入される。
【0008】
胴体部材は、電極先端面、電極先端部と一体的であってよく、電極先端部と接合されていてもよい。凹部は、伝熱体の熱対流を生じさせる柱状空間を形成すればよく、筒状に形成することが可能である。例えば、胴体部材に同軸的な断面円状の内部空間が形成される。蓋部材は、例えば、電極支持棒と接合する。接合については、例えば固相接合が適用可能である。
【0009】
本発明では、密閉空間の蓋部材側後端部における径/直径が、前記密閉空間の中間部の径/直径よりも小さい。すなわち、蓋部材側後端部における断面積サイズが、密閉空間の中間部の断面積サイズよりも小さい。ただし、蓋部材側後端部は、蓋部材突出部表面あるいはその付近の位置を表す。また、中間部は、密閉空間の電極軸方向幅の中間位置付近を表す。
【0010】
このように突出部を設けて凹部を被せて凹部端面と蓋部材を接合させる電極構造において、内部密閉空間の径を先端側で大きくすることにより、伝熱体が下方へ流れやすくなり、隙間付近での淀みが抑えられる。その結果、隙間に入り込もうとする伝熱体の強い流れが発生せず、ランプ消灯、点灯に伴う隙間に入り込んだ伝熱体の凝固、溶融によってかかる応力が低減し、クラックの発生、電極破損を防ぐことができる。
【0011】
伝熱体の淀みを効果的に抑えることを考慮すれば、突出部の直径DTと、前記突出部に対向する前記胴体部材の後端部内径GSとが、DT/GS≧0.5を満たし、且つ、前記胴体部材の後端部内径DMと中間部内径DNとが、DM/DN≧0.5を満たすように構成するのが良い。
【0012】
密閉空間の空間形状は様々な形状が可能であり、少なくとも中間部から後端部に向けて先細くなるように構成することが可能である。凹部側面が滑らかになることによって、伝熱体がスムーズに下方へ流れていく。
【0013】
例えば、密閉空間の径が、凹部底面側先端部から後端部に向けて小さくなるように構成することができる。先端部側から縮径することによって、伝熱体の対流がスムーズになり、淀みを抑えられる。
【0014】
胴体部材の外径については、電極軸方向に略一定にしてもよく、あるいは内径に合わせて変化させてもよい。たとえば、胴体部材の肉厚を、電極軸方向に沿って略一定に構成することが可能である。ランプ点灯中凹部の中間部、先端部付近側面が伝熱体によって削られても、十分な肉厚によって電極強度が維持される。
【0015】
密閉空間の後端部において、突起部を凹部内面周方向に沿って形成することが可能である。また、突出部を柱状にして突出部側面と凹部側面との隙間を電極軸方向に沿って略一定にすることにより、ランプ消灯後、前記密閉空間の後端部付近において、伝熱体を凹部内面周方向に沿って環状に凝固させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、伝熱体を封入した電極において、ランプ点灯中も電極強度を安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態であるショートアーク型放電ランプを模式的に示した平面図である。
【
図3】第2の実施形態における陽極の概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1は、第1の実施形態であるショートアーク型放電ランプを模式的に示した平面図である。
【0020】
ショートアーク型放電ランプ10は、パターン形成する露光装置(図示せず)の光源などに使用可能な放電ランプであり、透明な石英ガラス製の放電管(発光管)12を備える。放電管12には、陰極20、陽極30が所定間隔をもって対向配置される。
【0021】
放電管12の両側には、対向するように石英ガラス製の封止管13A、13Bが放電管12と一体的に設けられており、封止管13A、13Bの両端は、口金19A、19Bによって塞がれている。放電ランプ10は、陽極30が上側、陰極20が下側となるように鉛直方向に沿って配置されている。
【0022】
封止管13A、13Bの内部には、金属製の陰極20、陽極30を支持する導電性の電極支持棒17A、17Bが配設され、金属リング(図示せず)、モリブデンなどの金属箔16A、16Bを介して導電性のリード棒15A、15Bにそれぞれ接続される。封止管13A、13Bは、封止管13A、13B内に設けられるガラス管(図示せず)と溶着しており、これによって、水銀、および希ガスが封入された放電空間DSが封止される。
【0023】
リード棒15A、15Bは外部の電源部(図示せず)に接続されており、リード棒15A、15B、金属箔16A、16B、そして電極支持棒17A、17Bを介して陰極20、陽極30の間に電圧が印加される。放電ランプ10に電力が供給されると、電極間でアーク放電が発生し、水銀による輝線(紫外光)が放射される。
【0025】
陽極30は、金属部材(以下、胴体部材という)32と、電極支持棒17Bと接合する金属部材(以下、蓋部材という)36から構成されている。胴体部材32は、電極軸(ランプ軸)Eの垂直方向に沿った電極先端面34Sを有する円錐台形状の先端部34と一体的に繋がり、電極軸Eを中心として円筒状凹部33が形成された肉厚の有底筒状部材である。
【0026】
蓋部材36は、凹部33と嵌合する円柱状突出部46を備え、胴体部材32の端面32Tと蓋部材36の突出部周囲の端面36Tが接合して凹部33を覆い、密閉する。これにより、陽極内部に筒状の密閉空間50が形成される。タングステンなどを主成分とする胴体部材32および蓋部材36は、同軸的配置であり、密閉空間50の空間領域は、電極軸Eを中心に対称的である。
【0027】
このような密閉空間50を内部に形成した陽極30は、放電プラズマ焼結(SPS)方式に従う固相接合によってここでは成形されている。突出部46のサイズ(直径)DTは、凹部33の直径GSよりも僅かに小さく、突出部46と凹部33との間に微小な隙間CSが凹部33の側面50Dと突出部側面46Jとの間で周方向全体に渡って形成されている。
【0028】
密閉空間50には、胴体部材32、蓋部材36よりも融点の低い金属(銀など)から成る、あるいはそれを主成分とする伝熱体Mが封入されている。ランプ点灯中、電極先端部34が加熱されることによって伝熱体Mが溶融する。胴体部材32、蓋部材36は、ランプ点灯中の密閉空間底面50B付近の温度(約1800℃)よりも融点が高い。
【0029】
溶融した伝熱体Mは、密閉空間50内で対流し、電極先端部34の熱が電極軸Eに沿って蓋部材36側へ輸送される。本実施形態では、伝熱体Mがほとんどすべて溶融すると、密閉空間50内部を伝熱体Mが略占有し、突出部表面/先端面46Sにまで液面が達する。
【0030】
伝熱体Mの対流が生じると、電極先端部の熱は、電極軸Eに沿って輸送され、先端部34の温度上昇が抑えられる。上昇した伝熱体Mは、径方向外側に沿って凹部側面50Dへ進み、電極先端側下方に流れていく。そして、底面50B付近では電極軸E方向に流れ、再び上昇する。このような対流により、陽極30はランプ点灯中冷却される。
【0031】
伝熱体Mの流れの方向に基づいて密閉空間50を電極軸Eの方向に関して3つの空間領域L1、L2、L3に区分すると、領域L1では、電極軸Eの方向(径方向内側)へ向かう流れが支配的であり、領域L2では、電極軸Eに沿った流れが支配的であり、領域L3では、密閉空間50の側面(径方向外側)へ向かう流れが支配的である。
【0032】
胴体部材32は、その外径DZが電極軸Eに沿って一定である一方、内径は電極軸Eに沿って電極先端部から離れるほど小さくなり、密閉空間50は、電極軸Eに沿って先細くなっている。具体的には、凹部33の内径が密閉空間底面50Bから後端部となる突出部表面46Sまで滑らかかつ緩やかに減少している。密閉空間50のサイズ/径については、突出部表面46S付近の後端部の方が、中間領域L2に当たる密閉空間中間部よりも小さい。
【0033】
ただし、密閉空間50の領域は、突出部表面46Sから底面50Bまでの空間領域によって規定されており、ここでは微小な隙間CSを考慮していない。そして、密閉空間50の端部は、突出部表面46Sに沿った位置もしくはその付近の位置を表す。
【0034】
このようなテーパー状密閉空間50を形成することにより、ランプ点灯中、電極軸Eに沿って上昇した伝熱体Mは、凹部側面50Dに沿って下方へ流れやすくなり、隙間CS付近での淀みが抑えられる。その結果、隙間CSに入り込もうとする伝熱体Mの強い流れが発生せず、ランプ消灯、点灯に伴う隙間CSに入り込んだ伝熱体Mの凝固、溶融によってかかる応力が低減し、接合面J付近でのクラックの発生、電極破損を防ぐことができる。
【0035】
そして、伝熱体Mの対流がスムーズになることによって流速が上がり、熱輸送効果が向上して電極先端部温度を効果的に冷却することができる。特に、突出部表面/先端面46Sから底面50Bまで凹部33が滑らかなテーパー形状であるため、伝熱体Mが中間部の領域L2において淀むことなく密閉空間側面に沿って底面50Bにまで到達し、電極破損の防止、熱輸送効果の向上が実現される。
【0036】
このように本実施形態によれば、伝熱体Mを入れた凹部33を形成した胴体部材32と、凹部33に嵌る突出部46を設けた蓋部材36とを固相接合させることで陽極30を成形する。そして、密閉空間50は電極先端部から後端部に向かって先細くなるように凹部33が形成されており、突出部表面46S付近での径DMは、中間部での径DNよりも小さい。
【0037】
なお、滑らかなテーパー形状の代わりに、段階的に段差をもって先細くなるようにしてもよい。中間領域L2、後端部領域L3における凹部33の内径比を規定することによって、同様の電極破損防止、熱輸送効率の向上を実現することができる。具体的には、後端部領域L3における凹部直径DMと、中間領域L2における凹部直径DNとの比DM/DNが0.5より小さい場合、凹部の先端部に向けた内径拡大が急激となり、伝熱体がスムーズに電極先端部へ移動しなくなる。したがって、DM/DN≧0.5となるのが望ましい。
【0038】
また、蓋部材36の突出部46の直径DTを、凹部33の後端部におけるサイズ(直径)GSと略等しくする代わりに、突出部46のサイズDTをより小さく規定することも可能である。隙間CSの空間領域がある程度大きくなっても、中間領域L2における凹部直径DNと端部直径との比DM/DNをより小さくする、すなわち、中間領域L2の直径DNを相対的により大きくすることにより、密閉空間端部付近での伝熱体Mの淀みが効果的に抑えられる。
【0039】
この場合、突出部表面46Sの直径DTが、凹部33の端部における直径GSの半分より小さいと、隙間CSが過度に大きくなり、淀みが顕著となる。したがって、DT/GS≧0.5(GS>DT)であることが望ましい。ただし、上述したDM/DNの条件を満たすものとする。
【0040】
次に、
図3を用いて、第2の実施形態である放電ランプについて説明する。第2の実施形態では、胴体部材の肉厚が一定であり、また、ランプ消灯時、伝熱体が集積物として密閉空間端部に形成される。それ以外の構成については、第1の実施形態と実質的に同じである。
【0041】
図3は、第2の実施形態である放電ランプにおける陽極の概略的断面図である。
【0042】
陽極130は、胴体部材132、突出部146を備えた蓋部材136から構成されており、凹部133は、電極先端部から後端部に向けて先細くなっている。したがって、凹部133の後端部における内径DMは、中間領域における内径DNよりも小さい。さらに、胴体部材132は、電極先端部から後端部に向けて先細くなっており、胴体部材132の肉厚tは、電極軸Eに沿ってほぼ一定である。
【0043】
胴体部材132の肉厚tが一定であることにより、伝熱体Mの対流によって凹部133の側面が削られて拡径する状況になっても、中間領域L2、先端領域L1における肉厚が十分確保されているため、伝熱体Mの対流による電極先端部における強度低下を防ぐことができる。
【0044】
一方、ランプ消灯後、伝熱体が凝固する過程において、密閉空間150の後端部付近の領域Rに比較的温度の低い伝熱体が集積し、凹部133の側面周方向に沿って環状に凝固した伝熱体が、側面からの突起する形で集積物90となって形成される。
【0045】
このような集積物90は、蓋部材136の突出部146が柱状、すなわち突出部表面146Sの端部が
図3に示すように直角であることによって生じる。また、直角でなくても、テーパー角にすることによって生じる。ランプが再び点灯すると集積物90は一部溶融するが、比較的温度が低い後端部領域L3に形成されるため、集積物90は凹部側面状で維持される。陽極130の外表面に放熱機能を有するレーザー溝を形成し、温度を制御してもよい。集積物90付近での凹部133の内径DM1は、後端部内径DMよりもさらに小さい。
【0046】
集積物90が形成されることにより、ランプ点灯中、伝熱体Mが隙間CSの方向へ進もうとする伝熱体Mの流れが抑えられる。したがって、隙間CSに伝熱体Mが入り込むのを抑制し、隙間CSを起点とした電極破損を防ぐことができる。
【0047】
なお、密閉空間の端部、すなわち突出部表面より2mm以上離して集積物が形成されるように、突出部を含めた蓋部材の形状、隙間CSのサイズなどを規定するのが望ましい。これは、集積物が密閉空間端部に近すぎると、伝熱体の凝固、溶融に伴う応力が接合部に影響するためである。また、伝熱体Mがほぼ全部溶融した時の液面が、突出部表面146Sから突起物のある位置まで所定間隔離れるように、伝熱体Mを封入してもよい。
【0048】
また、突起物による対流効果を確実なものにするため、伝熱体ではなく、切削加工、溶接などによって突起物を形成してもよい。この場合、断面三角形以外の形状にすることも可能である。また、伝熱体による集積物が形成されないような密閉空間を構成してもよい。
【0049】
第1、第2の実施形態では陽極において密閉空間を形成したが、陰極においても同様に構成することが可能である。また、固相接合以外の接合方法によって電極を成形してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 放電ランプ
30 陽極
32 胴体部材
33 凹部
36 蓋部材
46 突出部
50 密閉空間
M 伝熱体