【実施例1】
【0013】
実施例1に係る棚板連結装置につき、
図1から
図8を参照して説明する。以下、
図1の画面左側を棚板連結装置が適用された書架の正面側(前方側)とし、書架の正面視左右側を左右側として説明する。
【0014】
図1の符号1は、棚板連結装置であり、書架2(収容棚)は、棚板連結装置1が適用されたものである。尚、本実施例の棚板連結装置1は、書架2の上端に配置される天板部7を構成する左右の第1板材8及び第2板材9を連結する際に用いられるものとして説明する。
【0015】
図1に示されるように、書架2は、床面から立設し左右方向に離間して複数配置される支柱3,3,…(立設体)と、支柱3,3,…の上端及び下端を繋ぐ横杆部材4,4,…と、支柱3,3,…の前後面に複数設けられた棚部5,5,…と、左右両端に配置された支柱3,3の外側に取付けられた側板6,6と、書架2よりも上方に突出した両側板6,6の上端部の間に配置された天板部7と、を備えている。この棚部5,5,…は、本実施例において左右に2列で上下に複数段設けられており、多数の書籍が収容可能と成っている。尚、以下、書架2の前面側の態様について主に説明し、書架2の後面側の説明を省略する。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、支柱3の前後面には、上下に複数設けられる係合孔3a,3a,…が設けられている。また、棚部5は、支柱3の係合孔3aに係合可能なフック10,10,…を備えたブラケット部材11,11と、ブラケット部材11,11の間に配置される棚板12とから成る。このブラケット部材11のフック10,10,…を適宜選択した支柱3の係合孔3a,3a,…に係合させることで任意の高さに棚部5を形成できるようになっている。
【0017】
図2に示されるように、書架2の側板6,6は、上下に延びる嵌合溝6a,6a(片方のみ図示)をそれぞれ有し、嵌合溝6a,6aを支柱3,3に嵌合させた状態で、図示しないボルト等により支柱3,3に固定されるようになっている。また、天板部7は、左右の第1板材8及び第2板材9とからなり、第1板材8及び第2板材9の対向する面8a,9a同士が、中央に配置された支柱3の上端部で当接するように配置される。
【0018】
図2に示されるように、天板部7の第1板材8及び第2板材9は、棚板連結装置1により接続されて中央の支柱3に接続固定されている。この棚板連結装置1は、第1板材8及び第2板材9の当接部に配され、第1板材8を中央の支柱3に接続する第1ブラケット15と、第2板材9を中央の支柱3に接続する第2ブラケット16と、備えている。また、天板部7の右端部、即ち第1板材8の右端部は、第2ブラケット16により右側の支柱3に接続固定されており、天板部7の左端部、即ち第2板材9の左端部は、第1ブラケット15により左側の支柱3に接続固定されている。このように、天板部7の両端部は、棚板連結装置1を構成する第1ブラケット15及び第2ブラケット16を流用して固定することができ、汎用性が高くなっている。
【0019】
先ず、第1ブラケット15について説明する。
図3(a)に示されるように、第1ブラケット15は、金属製の平板の所定箇所に前後両端から中央部に向けて延びた切欠き155,155を形成し、その金属製平板を折り曲げることにより正面視L字状に形成されている。この第1ブラケット15は、垂直に延びる垂直片151と、垂直片151の上端から右側に延びる右方水平片152と、垂直片151の後端に設けられるフック153,153と、垂直片151及び右方水平片152の間に介在する角部154と、を備えており、
図3(b)に示されるように、切欠き155は、A−A断面視で垂直片151の上端面151aから右方水平片152方向に延びるように配置されている。つまり、第1ブラケット15の角部154は、垂直片151の上端面151aから上方に延びる部位と、右方水平片152の基端部152bと、から成る。また、この右方水平片152は、前後両端部に上下に貫通する孔部152a,152aを有している。
【0020】
次に、第2ブラケット16について説明する。
図4に示されるように、第2ブラケット16は、金属製の平板の前後両端を残して上方から切欠き165を形成し、その金属製平板を折り曲げることにより正面視L字状に形成されている。この第2ブラケット16は、垂直に延びる垂直片161と、垂直片161の前後上端から左側に延びる左方水平片162,162と、垂直片161の後端に設けられるフック163,163と、垂直片161及び左方水平片162,162の間に介在する角部164,164と、を備えている。左方水平片162,162は、切欠き165を形成時に前記金属製平板の前後に残された部位であり、左方水平片162,162間の間隔が切欠き165となっている。この切欠き165は、第1ブラケット15の角部154の前後方向の長さ寸法と、略同一の寸法となっている。また、左方水平片162,162は、上下に貫通する孔部162a,162aをそれぞれ有している。
【0021】
続いて、第1ブラケット15及び第2ブラケット16の連結方法について
図5及び
図6を用いて説明する。
図5に示されるように、第1ブラケット15に対して、第2ブラケット16を傾斜させる。そして、傾斜した第2ブラケット16の左方水平片162,162を、第1ブラケット15の右斜め下方から第1ブラケット15の切欠き155,155に向けて挿通させる。その後、
図6に示されるように、第2ブラケット16を徐々に上昇させながら回転させることにより、第1ブラケット15の切欠き155,155に第2ブラケット16の左方水平片162,162をさらに挿入する。
【0022】
図6及び
図7に示されるように、第2ブラケット16の左方水平片162,162を、第1ブラケット15の切欠き155,155に挿入する挿入作業完了時には、第1ブラケット15の切欠き155,155と第2ブラケット16の左方水平片162,162とが係合した状態となるとともに、第1ブラケット15における右方水平片152の基端部152bが、第2ブラケット16の切欠き165に係合された状態となる。
【0023】
上記の第1ブラケット15及び第2ブラケット16の相互係合状態にあっては、
図6及び
図7に示されるように、第1ブラケット15の右方水平片152と第2ブラケット16の左方水平片162,162とは、同一の水平線上に配置され、第1ブラケット15の垂直片151と第2ブラケット16の垂直片161とは、平行に面当接した状態で左右に配置される。
【0024】
また、
図6及び
図7に示されるように、第1ブラケット15の右方水平片152の基端部152bは、第2ブラケット16の垂直片161の上端面に支持された状態となり、第2ブラケット16の左方水平片162,162は、第1ブラケット15の垂直片151の上端面151aに支持された状態となる。また、
図7に示されるように、第1ブラケット15のフック153,153と、第2ブラケット16のフック163,163とが上下左右に重なった状態となる。
【0025】
次いで、
図2及び
図8に示されるように、相互係合状態の第1ブラケット15及び第2ブラケット16を、中央の支柱3に係合させる。そして、第1ブラケット15の右方水平片152に第1板材8の下面8bの左側端部を載置し、第2ブラケット16の左方水平片162,162に第2板材9の下面9bの右側端部を載置するとともに、前述した孔部152a,152aと孔部162a,162aとに、ビス17,17,…を打ち込むことにより、第1板材8及び第2板材9が固定される。これにより、第1板材8及び第2板材9の連結作業が完了する。
【0026】
上記したように、第1ブラケット15及び第2ブラケット16を相互に係合させることにより、第1ブラケット15の右方水平片152と第2ブラケット16の左方水平片162,162とが同一の水平線上に配置され、第1ブラケット15の垂直片151と第2ブラケット16の垂直片161とが平行に面当接した状態で左右に配置される。そのため、第1板材8と第2板材9とが左右方向に相対的に離間しようとしても、第1ブラケット15及び第2ブラケット16の垂直片151及び垂直片161同士が当接し、第1板材8と第2板材9との離間が防止される。また、第1板材8と第2板材9とが左右方向に相対的に近接しようとしても、第1ブラケット15の右方水平片152と第2ブラケット16の左方水平片162,162とが当接し、第1板材8と第2板材9との近接が防止される。したがって、例えば地震等の強い揺れが発生しても、第1板材8と第2板材9とが、左右の相対移動を防止された状態で強固に固定される。
【0027】
このように、相互に係合させることのみで、第1ブラケット15及び第2ブラケット16を外れにくく一体化できるため、第1ブラケット15及び第2ブラケット16の接続用のビス等を別途に必要とせず、部品点数を減らして製造コストを抑えることができる。また、左右方向に前記ビス等が張り出さないため、棚部5に収容された書籍を傷つけるおそれがないばかりか、棚部5の収容スペースを狭めることがない。
【0028】
また、第1ブラケット15の切欠き155,155は、第1ブラケット15の角部154の前後両端に形成されているとともに、第2ブラケット16の左方水平片162,162は、垂直片161の前後両端に配置されている。これにより、第1板材8と第2板材9とが左右方向に相対的に近接しようとした時には、第1ブラケット15の右方水平片152に対して、第2ブラケット16の左方水平片162,162が前後両端にバランスよく当接することとなる。そのため、第1板材8と第2板材9との相対的な傾きを抑え、第1板材8と第2板材9との強固な固定状態が保たれる。また、第1ブラケット15の右方水平片152に対して、第2ブラケット16の左方水平片162,162のいずれかが片当たりすることにより発生する第1ブラケット15及び第2ブラケット16の変形等が防がれる。
【0029】
また、第1ブラケット15の右方水平片152の基端部152bの前後方向の長さ寸法と、第2ブラケット16の左方水平片162,162間の長さ寸法と、は、略同一となっているため、第1ブラケット15と第2ブラケット16とが相互係合状態時には、第1ブラケット15と第2ブラケット16との前後方向の相対移動が確実に規制される。そのため、第1板材8と第2板材9との固定状態をさらに強固とすることができる。
【0030】
また、第1ブラケット15及び第2ブラケット16の相互係合状態にあっては、第1ブラケット15の右方水平片152の基端部152bは、第2ブラケット16の垂直片161の上端面に支持され、第2ブラケット16の左方水平片162,162は、第1ブラケット15の垂直片151の上端面151aに支持される。そのため、第1ブラケット15及び第2ブラケット16の上下方向の相対移動も防止される。
【実施例2】
【0031】
次に、実施例2に係る棚板連結装置100につき、
図9から
図11を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0032】
図9に示されるように、第1ブラケット25は、右方水平片252が垂直片251から前後同一幅で連続してL字状に形成されているとともに、第1ブラケット25の角部254の前後両端側に切欠き孔255,255が設けられている。この切欠き孔255は、第1ブラケット25の角部254に沿って断面視L字形状に形成されている。
【0033】
また、
図10に示されるように、第2ブラケット26は、左方水平片262,262が垂直片261の上端から第1ブラケット25の切欠き孔255,255にそれぞれ挿入可能な位置に設けられている。
【0034】
図11(a)に示されるように、第1ブラケット25及び第2ブラケット26を係合させる際には、先ず、第1ブラケット25の切欠き孔255,255に対して、第2ブラケット26の左方水平片262,262を、第1ブラケット25の右方水平片252の下側から水平に挿入する。このとき、第1ブラケット25の右方水平片252と第2ブラケット26の左方水平片262,262とは、上下にずれた位置に配置されるようになっている。
【0035】
図11(b)に示されるように、第1ブラケット25のフック253,253と、第2ブラケット26のフック263,263と、を上下左右に重ね合わせた状態で第1ブラケット25と第2ブラケット26とから成る棚板連結装置100を支柱3に係合することで、第1ブラケット25の右方水平片252と第2ブラケット26の左方水平片262,262とが水平状態となる。
【0036】
このように、第1ブラケット25に切欠き孔255,255を設けることで、第1ブラケット25の角部254の前後両端が残存するため、第1ブラケット25の右方水平片252と垂直片251との屈曲強度を高めることができる。
【0037】
また、第1ブラケット25の切欠き孔255,255は、第1ブラケット25の角部254に沿って断面視L字形状に形成されているため、第2ブラケット26の左方水平片262,262を、第1ブラケット25の右方水平片252の下側から水平に挿入することができるため、第1ブラケット25と第2ブラケット26との連結作業が容易である。
【実施例3】
【0038】
次に、実施例3に係る棚板連結装置101につき、
図12から
図14を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0039】
図12に示されるように、第1ブラケット35は、右方水平片352が垂直片351から前後同一幅で連続してL字状に形成されているとともに、第1ブラケット35の角部354の後端にから中央にむけて切欠き355が設けられている。
【0040】
図13に示されるように、第2ブラケット36は、左方水平片362が垂直片361から前後同一幅で連続してL字状に形成されているとともに、第2ブラケット36の角部364の前端にから中央にむけて切欠き365が設けられている。
【0041】
図14に示されるように、第2ブラケット36の左方水平片362の基端部362aが、第1ブラケット35の切欠き355に係合されることにより、第1ブラケット35の右方水平片352の基端部352aが、第2ブラケット36の切欠き365に係合される。このとき、第1ブラケット35の右方水平片352と第2ブラケット36の左方水平片362とは、水平状態となっている。
【0042】
このように、第1ブラケット35と第2ブラケット36とを前後にスライドさせて相互に係合させることにより、第1ブラケット35の右方水平片352と第2ブラケット36の左方水平片362とが水平状態となるため、第1ブラケット35と第2ブラケット36との連結作業を極めて容易に行うことができる。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0044】
例えば、前記実施例では、棚板連結装置1が適用される収容棚を書架2として説明したが、これに限られず、棚板連結装置1は、倉庫で用いられる物品収容棚に適用されてもよいし、コンビニやスーパー等で使用される陳列棚に適用されてもよい。
【0045】
また、棚板連結装置1は、天板部7の第1板材8と第2板材9を連結して支柱3に接続固定するものに限らず、例えば、第1ブラケット及び第2ブラケットを用いて左右の第1板材及び第2板材を連結し、支柱に固定することにより、棚部を構成してもよい。
【0046】
また、天板部7の左右端部を第1ブラケット15及び第2ブラケットを流用して取り付ける態様について説明したが、これに限られず、別体のL字ブラケットを用いて天板部7の左右端部を固定接続してもよい。
【0047】
また、第1ブラケット15の角部154は、垂直片151の上端面151aから上方に延びる部位と、右方水平片152の基端部152bと、から構成される態様について説明したが、これに限られず、例えば、第1ブラケットの角部は、垂直片151の上端面151aから上方に延びる部位のみを指してもよい。
【0048】
また、第1ブラケット及び第2ブラケットは、板材を折り曲げることにより、各垂直片及び水平片をL字状に形成したが、これに限らず、各垂直片と水平片を溶接等で固着して形成されてもよい。
【0049】
尚、立設体は、支柱3に限られず、例えば、床面から立設されるパネルであっても構わない。