特許第6235920号(P6235920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235920建築用電動シャッターにおける位置検知センサの異常判断装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235920
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】建築用電動シャッターにおける位置検知センサの異常判断装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   E06B9/68 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-17169(P2014-17169)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-143437(P2015-143437A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】岸本 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】福田 大悟
【審査官】 村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−028822(JP,A)
【文献】 特開平06−137027(JP,A)
【文献】 特開2013−217056(JP,A)
【文献】 特開平08−229769(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02292890(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0036409(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01394645(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉機の正逆駆動に基づく巻取りドラムの回転でシャッターカーテンの開閉作動をするように構成した建築用電動シャッター装置において、シャッターカーテンの全開、全閉位置および開閉作動中の開閉位置を検知する位置検知センサと、開閉機の回転量を検知する回転量検知センサと、前記位置検知センサがシャッターカーテンの全開、全閉位置を検知したことに伴い開閉機に停止の制御指令を出力する制御部とを設ける一方、該制御部には、前記位置検知センサからの位置情報と回転量検知センサからの回転量情報とを取得する情報取得手段と、該取得した位置情報および回転量情報に基づいて開閉作動中のシャッターカーテンの開閉位置に対する情報同士の関連付けをする情報関連付け手段と、前記シャッターカーテンの開閉作動中に取得した位置情報および回転量情報のズレが、前記関連付けした情報に対して予め定められた閾値を超えていると判断された場合に、位置検知センサに異常があると判断する位置検知センサ異常判断手段とが設けられていることを特徴とする建築用電動シャッターにおける位置検知センサの異常判断装置。
【請求項2】
開閉機の正逆駆動に基づく巻取りドラムの回転でシャッターカーテンの開閉作動をするように構成した建築用電動シャッター装置において、シャッターカーテンの全開、全閉位置を位置検知センサで検知したことに伴う制御部からの制御指令で開閉機の停止をするように構成するにあたり、制御部には、前記位置検知センサからの位置情報と開閉機の回転量を検知する回転量検知センサからの回転量情報とを取得する情報取得手段と、該取得した位置情報および回転量情報に基づいてシャッターカーテンの開閉位置に対する情報同士の関連付けをする情報関連付け手段とが設けられているとともに、前記制御部は、前記開閉機の通常開閉作動中に取得した位置情報と回転量情報とのズレが、前記関連付けられた情報に対して予め定められた閾値を超えていると判断された場合に異常確認モードに切換えられるものとし、該異常確認モードでは、次回の開閉機の開閉作動において少なくとも位置情報を取得して回転数情報との関連付けをし、再度の開閉機の開閉作動において取得した位置情報と回転数情報とのズレが異常確認モードで関連付けられた情報に対して閾値を超えている場合に位置検知センサに異常があると判断するようにしたことを特徴とする建築用電動シャッターにおける位置検知センサの異常判断装置。
【請求項3】
制御部は、異常確認モードでは、前記再度の開閉機の開閉作動において取得した位置情報と回転数情報とのズレが、前回の開閉機の開閉作動で取得した位置情報と回転数情報とを関連付けした情報に対して閾値内である場合には、該関連付けした情報を以降の関連情報として修正することを特徴とする請求項2記載の建築用電動シャッターにおける位置検知センサの異常判断装置。
【請求項4】
制御部は、異常確認モードでは、位置検知センサの全開または全閉位置の位置情報が変化した場合に、該変化が位置検知センサの検知範囲内の変化である場合には該変化した位置を全開または全閉位置と修正し、検知範囲外の変化である場合には検知範囲端を全開または全閉位置と修正することを特徴とする請求項3記載の建築用電動シャッターにおける位置検知センサの異常判断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の出入り口等の開口部に建て付けられる建築用電動シャッターにおける位置検知センサの異常判断装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の建築用の電動シャッターにおいては、開閉機の正逆駆動に基づいてシャッターカーテンの上下開閉作動を行うことになるが、開閉機の回転量をシャッターカーテンの開閉位置として関連付けて検知し、シャッターカーテンが全開位置、全閉位置に到達したことの検知に基づいて開閉機の停止制御をするため位置検知センサ(例えばポテンショメータ、アブソリュート形ロータリエンコーダ等)が設けられたものがある(例えば特許文献1)が、該位置検知センサは、機械的な構造も多くあって故障しやすく、また分離能力が低いという問題がある。
これに対しシャッターカーテンの全閉、全開の検知を、開閉機の回転量検知センサ(例えばホールIC、インクリメンタル形ロータリエンコーダ等)を用いて相対的に行うことが試みられている(例えば特許文献2)。この場合にホールICは回転磁石が発生する磁界の変化をホール素子で検知するようにしたものであり、より精度の高い位置検知ができると共に故障も少ないという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4823679号公報
【特許文献2】特許第5264617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記位置検知センサを用いた場合に、シャッターカーテンが開閉の途中で停止するような異常が発生することがあり、このような異常が位置検知センサに異常があるからなのか他の要因によるものなのかの判別がつかず、このため他の要因による異常であったにもかかわらず位置検知センサを交換してしまうというメンテナンス上の問題がある。
一方、回転量検知センサを用いたものでは、停電になったりブレーカが作動したりして電源供給が断たれた場合、回転量検知センサの初期値が判らなくなって全閉、全開位置での停止ができず、改めて再設定しなければならない、という問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、開閉機の正逆駆動に基づく巻取りドラムの回転でシャッターカーテンの開閉作動をするように構成した建築用電動シャッター装置において、シャッターカーテンの全開、全閉位置および開閉作動中の開閉位置を検知する位置検知センサと、開閉機の回転量を検知する回転量検知センサと、前記位置検知センサがシャッターカーテンの全開、全閉位置を検知したことに伴い開閉機に停止の制御指令を出力する制御部とを設ける一方、該制御部には、前記位置検知センサからの位置情報と回転量検知センサからの回転量情報とを取得する情報取得手段と、該取得した位置情報および回転量情報に基づいて開閉作動中のシャッターカーテンの開閉位置に対する情報同士の関連付けをする情報関連付け手段と、前記シャッターカーテンの開閉作動中に取得した位置情報および回転量情報のズレが、前記関連付けした情報に対して予め定められた閾値を超えていると判断された場合に、位置検知センサに異常があると判断する位置検知センサ異常判断手段とが設けられていることを特徴とする建築用電動シャッターにおける位置検知センサの異常判断装置である。
請求項2の発明は、開閉機の正逆駆動に基づく巻取りドラムの回転でシャッターカーテンの開閉作動をするように構成した建築用電動シャッター装置において、シャッターカーテンの全開、全閉位置を位置検知センサで検知したことに伴う制御部からの制御指令で開閉機の停止をするように構成するにあたり、制御部には、前記位置検知センサからの位置情報と開閉機の回転量を検知する回転量検知センサからの回転量情報とを取得する情報取得手段と、該取得した位置情報および回転量情報に基づいてシャッターカーテンの開閉位置に対する情報同士の関連付けをする情報関連付け手段とが設けられているとともに、前記制御部は、前記開閉機の通常開閉作動中に取得した位置情報と回転量情報とのズレが、前記関連付けられた情報に対して予め定められた閾値を超えていると判断された場合に異常確認モードに切換えられるものとし、該異常確認モードでは、次回の開閉機の開閉作動において少なくとも位置情報を取得して回転数情報との関連付けをし、再度の開閉機の開閉作動において取得した位置情報と回転数情報とのズレが異常確認モードで関連付けられた情報に対して閾値を超えている場合に位置検知センサに異常があると判断するようにしたことを特徴とする建築用電動シャッターにおける位置検知センサの異常判断装置である。
請求項3の発明は、制御部は、異常確認モードでは、前記再度の開閉機の開閉作動において取得した位置情報と回転数情報とのズレが、前回の開閉機の開閉作動で取得した位置情報と回転数情報とを関連付けした情報に対して閾値内である場合には、該関連付けした情報を以降の関連情報として修正することを特徴とする請求項2記載の建築用電動シャッターにおける位置検知センサの異常判断装置である。
請求項4の発明は、制御部は、異常確認モードでは、位置検知センサの全開または全閉位置の位置情報が変化した場合に、該変化が位置検知センサの検知範囲内の変化である場合には該変化した位置を全開または全閉位置と修正し、検知範囲外の変化である場合には検知範囲端を全開または全閉位置と修正することを特徴とする請求項3記載の建築用電動シャッターにおける位置検知センサの異常判断装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、開閉異常があった場合の要因が、位置検知センサが異常であることによるものであるか否かの判断が簡単にできることになって、正常な位置検知センサを交換してしまったりすることを防止できてメンテナンス性が向上する。
請求項2の発明とすることにより、通常の開閉作動中に取得した情報間に閾値を超えた位置ズレがあった場合に、直ちに位置検知センサに異常があると判断することなく、異常確認モードとして、次の開閉作動において再度の情報同士の関連付けを行い、更なる開閉作動においてやはり閾値を超えたズレがあった場合に位置検知センサに異常があると判断し、閾値以内のズレであった場合、歯飛び等の別の要因によるものであり、しかもこのように再関連付けすることで異常がなければ、そのまま使用し続けることができることになって、メンテナンス性が向上すると共に、位置検知センサの異常判断がより確実になる。
請求項3の発明とすることにより、関連付けられた位置情報と回転量情報の関係が異常確認モードとして新たに関連付けられた位置情報と回転量情報の関係に自動的に修正されることになってメンテナンス性が向上する。
請求項4の発明とすることにより、位置検知センサの検知位置変化が検知範囲内外に変化したものであっても確実に修正できることになってメンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】建築用電動シャッターの概略正面図である。
図2】開閉機とセンサ同士の連結関係を示す要部概略図である。
図3】制御部と機器部材との連結状態を示すブロック回路図である。
図4】情報を関連付けるためのリミット設定モードのフローチャート図である。
図5】通常の開閉モードのフローチャート図である。
図6】第二の実施の形態の通常の開閉モードを示すフローチャート図である。
図7】第二の実施の形態の異常確認モードを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。1は建築用の電動シャッター装置を構成するシャッターカーテンであって、該シャッターカーテン1は、巻取りドラム2に巻装され、電動の開閉機3の正逆駆動によりガイドレール4に案内されて上下昇降移動することで開口部の開閉をするようになっていること等は何れも従来通りである。
【0009】
5は前記開閉機3の駆動制御をする制御装置であって、該制御装置5はマイクロコンピュータ等の電子、電気部品で構成される制御部6、その他の必要な機器類を用いて構成されるが、制御部6には、シャッターカーテン1の開閉位置を検知するポテンショメータ(位置検知センサ)7と、永久磁石が回転することに伴う磁界の変化を検知することにより開閉機3の回転数をパルス信号のパルス数として認識するホールIC(回転量検知センサ)8が設けられるが、これらポテンショメータ7、ホールIC8は、開閉機3の出力軸3aに動力伝動機構(本実施の形態ではギア伝動)9を介して連動された入力軸9aに直列状に連結されている。勿論、制御装置5に並列状に接続することもできる。さらに制御部6には、例えば開閉機3の電流負荷の異常変化を検知することで障害物検知をするようにした障害物検知センサ10、開放、停止、閉鎖信号を出力する操作スイッチ11、開放、停止、閉鎖の無線信号を入力する受信機12からの信号が入力し、必要な制御を行うようになっている。
【0010】
前記制御部6では、例えば停止と閉鎖の操作スイッチ11を同時に操作することで通常の開閉モードからリミット設定モードにモード切換えがなされるようになっており、このリミット設定モードに切換えられた状態で、閉鎖用操作スイッチ11を操作し続けると、開閉機3が閉鎖作動を開始して全開状態にしてあったシャッターカーテン1が下降することになるが、図4に示すように、制御部6では、ポテンショメータ7からの位置情報、ホールIC8からの回転量情報を取得し(S1)(S2)、これら取得した位置情報、回転量情報をシャッターカーテン1の開閉位置との関係で関連付けをし(S3)、これを下降時の関連情報として記憶する。そしてシャッターカーテン1が全閉状態になったら閉鎖用操作スイッチ11の操作を止めると開閉機3が停止すると共に、このときの位置情報、回転量情報を全閉位置として決定し(S4)、記憶する。
つぎに開放用操作スイッチ11を操作し続けると、全閉状態のシャッターカーテン1が上昇し、同じく位置情報、回転量情報の取得および関連付けをし、これを上昇時の関連情報として記憶する。そしてシャッターカーテン1が全開状態になったら開放用操作スイッチ11の操作を止めると開閉機3が停止すると共に、このときの位置情報、回転量情報を全開位置として決定し、記憶する。
このようにしてリミット設定がなされると、リミット設定モードを終了し、通常の開閉モードに復帰する。
【0011】
前記通常の開閉モードになった場合に、シャッターカーテン1が全開状態において閉鎖用操作スイッチ11が操作され、あるいは閉鎖用信号の受信があると、これが自己保持されると共に、開閉機3が閉鎖作動を開始することになり、またシャッターカーテン1が全閉状態において開放用操作スイッチ11が操作されると、これが自己保持されると共に、開閉機3が開放作動を開始することになり、このような開閉作動中、図5に示すようなポテンショメータ7の異常判断がなされる。このものでは開閉機3の開閉作動中(S5)、ポテンショメータ7およびホールIC8から位置情報および回転量情報を取得する(S6、S7)ことになるが、前記位置情報、回転量情報が取得された場合に、該取得した位置情報、回転量情報が、前記関連付けられた各位置における回転量に予め設定された閾値の範囲を超えたズレがあるか否かが判断(S8)され、閾値内のズレであるとしてYESと判断されると、開閉機3は、ポテンショメータ7からの位置情報が全閉または全開位置であるとの情報を入力(S9)することで開閉機3を停止(S10)する。
これに対し、S8において各位置における回転量に予め設定された閾値の範囲を超えたズレがあるとしてNOと判断されると、前記ポテンショメータ7が異常であると判断(S11)し、ブザーや灯体(例えばLED)等の報知手段13で異常報知(S12)をすると共に、異常履歴を保存(S13)し、開閉機3の駆動停止をする(S10)ようになっている。
【0012】
叙述の如く構成された本実施の形態において、制御部6は、通常の開閉モードになっている場合に、開閉機3が開閉作動しているとき、常にポテンショメータ7とホールIC8からの位置情報、回転量情報を取得し、そしてこれら取得した情報に基づいて各シャッターカーテン位置における位置情報と回転量情報とのあいだに予め設定された閾値の範囲を超えたと判断された場合に、ポテンショメータ7が異常であると判断し、これを報知することになる。
この結果、ポテンショメータ7に異常があるか否かの判断が簡単にできることになる。
【0013】
これに対し、前記開閉機3の開閉作動中において取得した情報に基づいて各位置における回転量に予め設定された閾値の範囲を超えた旨の報知がないにもかかわらずシャッターカーテン1が停止したような場合には、ポテンショメータ7以外に異常があると判断し、対応するメンテナンスを行うことができ、メンテナンス性が向上すると共に、正常なポテンショメータ7を誤って交換する必要がなくなる。
【0014】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものでないことは勿論であって、図6、7に示す第二の実施の形態のようにすることもできる。このものは、通常の開閉モードで開閉機3の開閉作動中(S14)に、ポテンショメータ7、ホールIC8の情報を取得し(S15、S16)、取得した情報のズレが関連付けられた情報に対して閾値内か否かの判断がなされる(S17)。閾値内であるとしてYESの判断がなされた場合、ポテンショメータ7の位置情報が全開または全閉かの判断がなされ(S18)開閉機3を停止する(S19)。
これに対し前記S17において取得した情報のズレが関連付けられた情報の閾値を越えているとしてNOの判断がなされた場合、異常確認モード(S20)へのモード切換えがなされる。
【0015】
異常確認モードにモード切換えされた場合、図7に示すように、開閉機3の作動が継続され(S21)、ホールIC8の回転量が全開または全閉かの判断(S22)がなされ、全開または全閉であるとしてYESと判断された場合、開閉機3を停止し(S23)、ポテンショメータ7の位置情報をリセットする(S24)。
次いで操作スイッチ11または受信機12から開閉機3の駆動指令に基づいて開閉機3が作動した場合(S25)に、ポテンショメータ7から位置情報を取得する(S26)ことになり、この取得した位置情報と記憶されているホールIC8の回転量情報を関連付け(S27)、そしてホールIC8の回転量が全開または全閉かの判断をし(S28)、全開または全閉であるとしてYESと判断された場合に開閉機3を停止する(S29)と共に、ポテンショメータ7の全開または全開位置を決定し、これを記憶する(S30)。
【0016】
そしてさらに次に操作スイッチ11または受信機12から開閉機3の駆動指令に基づいて開閉機3が作動した場合(S31)に、ポテンショメータ7とホールIC8から位置情報および回転数情報を取得した(S32、S33)ことになり、これら取得した情報から、前記S27で関連付けられた各位置における回転量に予め設定された閾値の範囲を超えたずれがあるか否かが判断(S34)され、閾値内であるとしてYESと判断されると、S17において閾値を越えたと判断された異常は例えば動力伝動機構9の歯飛び等によるものであって、ポテンショメータ7は正常であると判断して開閉機3は、ポテンショメータ7からの位置情報が全閉または全開位置であるとの情報を入力(S35)することで停止(S36)し、通常の開閉モードに復帰する。
これに対し、前記S34で再度、前記S27で関連付けられた各位置における回転量に予め設定された閾値の範囲を超えたずれがあるとしてNOと判断された場合に、ポテンショメータ7に異常があると判断し(S37)、異常報知をし(S38)、異常履歴を保存(S39)すると共に、ホールIC8の回転量が全開または全閉かの判断をし(S40)、全開または全閉であると判断された場合、開閉機3の駆動停止をする(S41)。
【0017】
このように実施された第二の実施の形態のものは、ポテンショメータ7の位置情報とホールICの回転量情報のズレが、予め関連付けられたものに対して閾値の範囲内であるか否かの判断をし、閾値を越えた場合にポテンショメータ7が異常であると判断するものであるが、通常の開閉モードにおいて発生した異常(閾値を越えたズレ判定)の場合、ポテンショメータ7の異常であるのか、動力伝動機構9の歯飛び等による他の要因による異常なのかの判別がつかず、そこで異常確認モードにモード切換えをし、この異常確認モードにおいて、ポテンショメータの位置情報をリセットし、そして次の開閉機3の開閉作動においてポテンショメータ7の位置情報を新たに取得し、この取得した位置情報を既登録のホール素子8の回転量情報に関連付け、そして再度の開閉機3による開閉作動において取得したポテンショメータ3の位置情報とホールIC8の回転量情報のズレが、異常確認モードにおいて改めて関連付けられた位置情報と回転量情報の閾値を越えているか否かの判断がなされ、越えていると判断されている場合にはポテンショメータ7が異常であるとするものであり、このようにすることで、ポテンショメータ7の異常判断を、より確実にできることになると共に、歯飛び等があって関連付けられた情報にズレが生じて閾値を越えたような場合に、そのデータ修正(補正)が自動的にできることになってメンテナンス性が向上する。
【0018】
因みに、前記第二の実施の形態では、異常確認モードにおいて、ホールICの回転量情報は保存したまま(リセットしない)でポテンショメータ7の異常確認をするようにしたが、この場合、ホールIC8の回転量情報に基づいてシャッターカーテン1は全開または全閉状態になって停止しているから、ホールICの回転量情報についてもリセットし、改めてポテンショメータ7とホールIC8の位置情報と回転量情報とを取得して関連付けるようにしてもポテンショメータ7の異常確認をすることができ(第三の実施の形態)、このようにして実施してもよいことは勿論である。
また、前述したように取得した位置情報と回転数情報とのあいだに予め設定され閾値を超えてズレが発生する場合に、これには歯飛びや悪戯等により位置検知センサ(ポテンショメータ)自体の検知位置にズレが発生する場合があり、このような位置ズレとしては、位置検知センサの検知範囲内のズレと検知範囲を超えたズレとがあり、前記第二、第三の実施の形態のものでは、位置検知センサの検知範囲内のズレであった場合に、位置検知センサの位置情報はこのズレた位置からの位置情報となるが、検知範囲を超えたズレである場合、位置検知センサは検知範囲を超えた分については空転することになって位置情報は検知範囲端となり、この結果、異常確認モードで取得する位置情報は位置検知端から始まることになり、何れにしても本発明を実施することができる。
因みに、位置検知センサとしてアブソリュート形ロータリエンコーダを採用した場合、該アブソリュート型ロータリエンコーダの位置情報は凡そのものとなり、このため該位置情報をホールIC等による回転量検知センサの回転量情報で補完するようにして検知精度を高めるようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、建築物の出入り口等の開口部に建て付けられる建築用電動シャッターにおける位置検知センサの異常判断装置の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 シャッターカーテン
2 巻取りドラム
3 開閉機
6 制御部
7 ポテンショメータ
8 ホールIC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7