(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、操作システムの簡略化及び建設機械の電子化の促進が求められている。しかし、上記のような従来の油圧式の操作システムでは、油圧配管の構成が複雑になることに起因して操作システムの簡略化が困難であるとともに、建設機械の電子化の促進も困難である。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、操作システムの簡略化及び建設機械の電子化の促進が可能な建設機械及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、建設機械に油圧式の操作システムの代わりに電気式の操作システムを搭載することが考えられる。これにより、従来の油圧式の操作システムに比べて油圧配管の構成を簡略化して操作システムを簡略化できるとともに、建設機械の電子化を促進できる。
【0008】
電気式操作システムは、レバー等の操作部材とエンコーダ等の操作検出器とを有する操作装置と、制御弁と、第1電磁比例弁と、第2電磁比例弁と、圧力センサと、抵抗力付与装置と、コントローラとを備える。
【0009】
操作部材は、基準位置から一方側の第1操作方向とその第1操作方向と反対の第2操作方向とに操作可能である。操作検出器は、操作部材の基準位置からの操作方向及び操作量を検出し、その検出した操作方向及び操作量を示す操作量指標値を出力する。
【0010】
制御弁は、操作対象の機器の油圧アクチュエータへの作動油の供給を制御することにより、油圧アクチュエータの動作を制御する。制御弁は、第1パイロットポートと第2パイロットポートを有する。制御弁は、第1及び第2パイロットポートのうちのいずれにパイロット圧が供給されるか、また、その供給されるパイロット圧の大きさに応じて油圧アクチュエータへの作動油の供給を制御する。
【0011】
第1電磁比例弁は、制御弁の第1パイロットポートに接続され、第2電磁比例弁は、制御弁の第2パイロットポートに接続されている。第1電磁比例弁は、第1パイロットポートに供給するパイロット圧を制御する。第2電磁比例弁は、第2パイロットポートに供給するパイロット圧を制御する。
【0012】
圧力センサは、油圧アクチュエータを作動させる作動油の圧力を検出する。
【0013】
抵抗力付与装置は、従来の油圧式操作システムに設けられた力覚発生装置に対応するものであり、操作部材の第1又は第2操作方向への操作に対して操作部材に抵抗力(反力)を付与する。
【0014】
コントローラは、操作検出器から出力された操作量指標値が示す操作部材の操作方向及び操作量に応じた制御電流を第1電磁比例弁又は第2電磁比例弁に供給することによりそれらの電磁比例弁の動作を制御する。この制御により制御弁の各パイロットポートに供給されるパイロット圧が制御され、それに応じて、制御弁が油圧アクチュエータに供給する作動油を制御する。その結果、油圧アクチュエータが操作部材の操作に応じた動作を行うように制御される。また、コントローラは、抵抗力付与装置が圧力センサの検出圧力に応じた大きさの抵抗力を操作部材に付与するように抵抗力付与装置を制御する。
【0015】
しかし、以上のような構成を有する電気式操作システムでは、オペレータが操作部材を第1操作方向に操作した場合と第2操作方向に操作した場合とでレバーの抵抗力に差異を感じる虞がある。
【0016】
具体的に、第1電磁比例弁と第2電磁比例弁とは、完全に同じ状態のものではなく、それらの電磁比例弁に同じ制御電流を供給した場合であっても、それらの電磁比例弁の動作には差異が生じる。このため、オペレータが操作部材を基準位置から第1操作方向と第2操作方向とにそれぞれ同じ量ずつ操作した場合であっても、制御弁の第1パイロットポートに供給されるパイロット圧と制御弁の第2パイロットポートに供給されるパイロット圧とに差異が生じる。その結果、操作部材を第1操作方向に操作した場合と第2操作方向に操作した場合とで制御弁から油圧アクチュエータへ供給される作動油の油圧に差異が生じる。このため、その作動油の油圧を検出する圧力センサの検出圧力に応じて操作部材に抵抗力を付与する抵抗力付与装置は、操作部材の第1操作方向への操作量と第2操作方向への操作量とが同じであっても、異なる抵抗力を操作部材に付与する。
【0017】
本願発明者は、以上のような電気式操作システムに係る課題を解決するために以下の建設機械及びその製造方法を発明した。
【0018】
本発明による建設機械は、第1作動方向又は第2作動方向に作動する油圧アクチュエータと、第1パイロットポート及び第2パイロットポートを有していて、前記第1パイロットポートに第1パイロット圧が供給されることにより前記油圧アクチュエータを前記第1作動方向に作動させる作動油を前記油圧アクチュエータへ供給し、前記第2パイロットポートに第2パイロット圧が供給されることにより前記油圧アクチュエータを前記第2作動方向に作動させる作動油を前記油圧アクチュエータへ供給する制御弁と、前記油圧アクチュエータを作動させる作動油の圧力を検出する圧力センサと、前記第1パイロット圧を制御する第1電磁比例弁と、前記第2パイロット圧を制御する第2電磁比例弁と、基準位置から一方の第1操作方向と前記基準位置から前記第1操作方向と反対の第2操作方向とに操作可能な操作部材と、前記操作部材の前記基準位置からの操作方向及び操作量を検出し、その検出した操作方向及び操作量を示す操作量指標値を出力する操作検出部と、前記操作部材が前記第1操作方向及び前記第2操作方向にそれぞれ操作されたときに前記操作部材に抵抗力を付与する付与装置と、前記第1操作方向に対応する前記操作量指標値に応じた第1制御電流を前記第1電磁比例弁に供給することにより前記第1電磁比例弁の動作を制御し、前記第2操作方向に対応する前記操作量指標値に応じた第2制御電流を前記第2電磁比例弁に供給することにより前記第2電磁比例弁の動作を制御し、前記付与装置へ制御信号を出力することにより前記付与装置に前記圧力センサの検出圧力に応じた大きさの抵抗力を前記操作部材に対して付与させる制御部と、前記制御部が前記第1制御電流を供給するときの基準となる前記操作量指標値と前記第1制御電流の値との対応関係及び前記制御部が前記第2制御電流を供給するときの基準となる前記操作量指標値と前記第2制御電流の値との対応関係を規定する操作量電流特性と、前記操作量指標値と前記圧力センサの検出圧力との対応関係を調整するための基準となる基準操作量指標値と基準圧力との対応関係を規定した調整基準データを記憶する記憶装置と、前記操作量電流特性を調整する調整部と、を備え
る。前記記憶装置
が記憶する前記調整基準データ
は、当該調整基準データの計測のために用意された油圧式操作システムであって調整用操作部材の操作に対する抵抗力を生成するための油圧を供給する特定の抵抗力用電磁比例弁とその特定の抵抗力用電磁比例弁から供給される油圧を用いて前記調整用操作部材に抵抗力を付与する付与機構と前記調整用操作部材の基準位置からの操作方向及び操作量を示す調整用操作量指標値を出力する調整用操作検出部とを備えた油圧式操作システムにおいて
予め計測された前記基準操作量指標値としての前記調整用操作量指標値と前記基準圧力としての前記油圧との対応関係のデータ
である。前記調整部は、前記操作検出部から出力される前記操作量指標値と前記圧力センサの検出圧力との対応関係が前記記憶装置に記憶された前記調整基準データが示す前記基準操作量指標値と前記基準圧力との対応関係に近づくように前記操作量電流特性を調整し、前記制御部は、調整後の操作量電流特性に基づいて導出した電流値の前記第1制御電流及び前記第2制御電流を供給する。
【0019】
また、本発明による建設機械の製造方法は、第1作動方向又は第2作動方向に作動する油圧アクチュエータと、第1パイロットポート及び第2パイロットポートを有していて、前記第1パイロットポートに第1パイロット圧が供給されることにより前記油圧アクチュエータを前記第1作動方向に作動させる作動油を前記油圧アクチュエータへ供給し、前記第2パイロットポートに第2パイロット圧が供給されることにより前記油圧アクチュエータを前記第2作動方向に作動させる作動油を前記油圧アクチュエータへ供給する制御弁と、前記油圧アクチュエータを作動させる作動油の圧力を検出する圧力センサと、前記第1パイロット圧を制御する第1電磁比例弁と、前記第2パイロット圧を制御する第2電磁比例弁と、基準位置から一方の第1操作方向と前記基準位置から前記第1操作方向と反対の第2操作方向とに操作可能な操作部材と、前記操作部材の前記基準位置からの操作方向及び操作量を検出し、その検出した操作方向及び操作量を示す操作量指標値を出力する操作検出部と、前記操作部材が前記第1操作方向及び前記第2操作方向にそれぞれ操作されたときに前記操作部材に抵抗力を付与する付与装置と、前記第1操作方向に対応する前記操作量指標値に応じた第1制御電流を前記第1電磁比例弁に供給することにより前記第1電磁比例弁の動作を制御し、前記第2操作方向に対応する前記操作量指標値に応じた第2制御電流を前記第2電磁比例弁に供給することにより前記第2電磁比例弁の動作を制御し、前記付与装置へ制御信号を出力することにより前記付与装置に前記圧力センサの検出圧力に応じた大きさの抵抗力を前記操作部材に対して付与させる制御部と、前記制御部が前記第1制御電流を供給するときの基準となる前記操作量指標値と前記第1制御電流の値との
対応関係及び前記制御部が前記第2制御電流を供給するときの基準となる前記操作量指標値と前記第2制御電流の値との対応関係を規定する操作量電流特性を記憶する記憶装置とを前記建設機械に搭載する搭載工程と、操作量指標値と前記圧力センサの検出圧力との対応関係を調整するための基準となる基準操作量指標値と基準圧力との対応関係を規定した調整基準データを用意する用意工程と、前記操作量電流特性を調整して前記制御部が前記操作量指標値に応じて供給する前記第1制御電流及び前記第2制御電流を調整する調整工程と、を備え
る。前記用意工程では、
前記調整基準データの計測のために用意された油圧式操作システムであって調整用操作部材の操作に対する抵抗力を生成するための油圧を供給する特定の抵抗力用電磁比例弁とその特定の抵抗力用電磁比例弁から供給される油圧を用いて前記調整用操作部材に抵抗力を付与する付与機構と前記調整用操作部材の基準位置からの操作方向及び操作量を示す調整用操作量指標値を出力する調整用操作検出部とを備えた油圧式操作システムにおいて計測した前記調整用操作量指標値と前記油圧との対応関係を計測し、その計測した対応関係の前記調整用操作量指標値を前記基準操作量指標値とするとともに前記油圧を前記基準圧力とした前記調整基準データを用意
する。前記調整工程では、前記操作検出部から出力される前記操作量指標値と前記圧力センサの検出圧力との対応関係が前記調整基準データによって示される前記基準操作量指標値と前記基準圧力との対応関係に近づくように前記操作量電流特性を調整する。
【0020】
この建設機械及びその製造方法では、操作量電流特性の調整により、操作検出部から出力される操作量指標値と圧力センサの検出圧力との対応関係を調整基準データが示す基準操作量指標値と基準圧力との対応関係に近づけることができる。調整基準データの基準操作量指標値と基準圧力との対応関係は、
当該調整基準データの計測のために用意された油圧式操作システムにおける調整用操作部材の基準位置からの操作方向及び操作量を示す調整用操作量指標値と特定の抵抗力用電磁比例弁から出力される抵抗力生成用の油圧との対応関係に相当する。このため、操作部材が第1操作方向に操作されたときの操作量指標値と圧力センサの検出圧力との対応関係と、操作部材が第2操作方向に操作されたときの操作量指標値と圧力センサの検出圧力との対応関係を、共に、調整用操作量指標値と前記特定の抵抗力用電磁比例弁から出力される油圧との対応関係に近づけることができる。その結果、制御部によって制御されて圧力センサの検出圧力に応じた抵抗力を操作部材に付与する付与装置は、操作部材が第1操作方向と第2操作方向のいずれに操作された場合であってもその操作量が同じであれば、ほぼ等しい抵抗力を操作部材に付与する。このため、オペレータが操作部材を第1操作方向に操作した場合と第2操作方向に操作した場合とで操作部材の抵抗力に差異を感じるのを防ぐことができる。
【0021】
また、上記の建設機械では、調整部による操作量電流特性の調整により、制御部が操作量指標値に応じて供給する第1制御電流及び第2制御電流が自動的に調整される。このため、作業者による調整の手間を削減できる。
【0022】
また、上記構成によれば、建設機械の電気式操作システムにおける操作部材の基準位置からの操作量と操作部材に付与される抵抗力との対応関係を、油圧式操作システムにおける操作部材の操作量と操作部材に付与される抵抗力との対応関係に近づけることができる。このため、油圧式操作システムが搭載された建設機械を運転していたオペレータが従来と同様の操作感覚で運転可能な電気式操作システムを搭載した建設機械を提供できる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、操作システムを簡略化するとともに建設機械の電子化を促進し、且つ、オペレータが操作部材を第1操作方向に操作した場合と第2操作方向に操作した場合とで操作部材の抵抗力に差異を感じるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1には、本発明の一実施形態によるクレーンの全体構成が示されている。このクレーンは、本発明の建設機械の一例である。また、
図2には、本実施形態のクレーンに搭載される電気式操作システムの構成が示されている。なお、
図2では、太い実線により油圧配管が示されており、破線により電気配線が示されている。
【0027】
本実施形態によるクレーンは、下部走行体2(
図1参照)と、旋回自在となるように下部走行体2上に搭載された上部旋回体4と、油圧ポンプ5(
図2参照)と、上部旋回体4を旋回させるための油圧モータである旋回モータ6(
図2参照)とを備える。
【0028】
旋回モータ6は、本発明の油圧アクチュエータの一例である。旋回モータ6は、上部旋回体4に接続される図略の出力軸と、第1ポート6aと、第2ポート6bとを有する。旋回モータ6の第1ポート6aに作動油が供給されると、その作動油は、第1ポート6aから旋回モータ6内を通って第2ポート6bから吐出される。このときの作動油の油圧により、旋回モータ6は第1作動方向に作動する。一方、旋回モータ6の第2ポート6bに作動油が供給されると、その作動油は、第2ポート6bから旋回モータ6内を通って第1ポート6bから吐出される。このときの作動油の油圧により、旋回モータ6は、第1作動方向と反対の第2作動方向に作動する。旋回モータ6が第1作動方向に作動するときには、出力軸が上部旋回体4を例えば右旋回させる方向に回転し、旋回モータ6が第2作動方向に作動するときには、出力軸が上部旋回体4を例えば左旋回させる方向に回転する。
【0029】
本実施形態のクレーンには、旋回モータ6による上部旋回体4の旋回動作を操作するための
図2に示す電気式操作システムが搭載されている。この電気式操作システムは、操作装置8と、旋回バルブ12と、第1電磁比例弁14と、第2電磁比例弁16と、第1圧力センサ20と、第2圧力センサ22と、第3圧力センサ24と、旋回角度検出器25と、記憶装置26と、コントローラ27とを備える。
【0030】
操作装置8は、上部旋回体4の旋回の動作を電気信号により指示するものである。操作装置8は、レバー32と、本体部34とを有する。
【0031】
レバー32は、オペレータによって操作される部材であり、本発明の操作部材の一例である。レバー32は、
図3に示すように、基準位置としての中央位置から一方の第1操作方向と、中央位置から第1操作方向と反対の第2操作方向とに操作可能となるように本体部34によって当該レバー32の基端部が支持されている。
【0032】
中央位置は、レバー32を第1操作方向へ最大に操作した位置とレバー32を第2操作方向へ最大に操作した位置との間の中央の位置である。レバー32は、中央位置では上下方向に延びるように配置される。レバー32は、中央位置から第1操作方向へ操作されるときには、当該レバー32の基端側の水平軸回りに回動して第1操作方向に傾けられる。また、レバー32は、中央位置から第2操作方向へ操作されるときには、前記水平軸回りに回動して第2操作方向に傾けられる。第1操作方向は、例えば旋回モータ6を第1作動方向に作動させて上部旋回体4を右旋回させる操作方向であり、第2操作方向は、例えば旋回モータ6を第2作動方向に作動させて上部旋回体4を左旋回させる操作方向である。
【0033】
なお、レバー32の中央位置から第1操作方向と第2操作方向とにそれぞれ所定の操作量(傾角)ずつの範囲は、レバー32の操作に対して旋回モータ6が作動しない不感領域である。この範囲をレバー32の中立位置という。
【0034】
本体部34は、
図3に示すように、付与装置35と、レバー角度検出器36とを有する。
【0035】
付与装置35は、レバー32が中立位置から第1操作方向及び第2操作方向にそれぞれ操作されたときにレバー32に抵抗力を付与するものである。抵抗力は、レバー32の操作方向と逆向きにレバー32に作用する反力であり、レバー32を中立位置へ戻そうとする力である。付与装置35は、電動モータ37と、伝達機構38とを有する。
【0036】
電動モータ37は、コントローラ27(
図2参照)と電気的に接続されている。電動モータ37の出力軸37aは、伝達機構38を介してレバー32に接続されている。電動モータ37は、制御部27aによって制御されて作動し、トルクを生じる。その生じたトルクは、出力軸37aから伝達機構38に入力される。伝達機構38は、入力されたトルクを伝達するように組み合わされた複数の歯車等の部材からなり、入力されたトルクをレバー32へ伝達する。このレバー32に伝達されるトルクが、上記抵抗力となる。
【0037】
レバー角度検出器36(
図3参照)は、レバー32の中央位置からの操作方向及び中央位置からの傾角を検出するものである。このレバー角度検出器36は、本発明による操作検出部の一例である。レバー32の傾角は、本発明による操作部材の基準位置からの操作量の一例である。レバー角度検出器36は、例えばロータリエンコーダ等である。レバー角度検出器36は、コントローラ27(
図2参照)と電気的に接続されている。レバー角度検出器36は、検出したレバー32の操作方向及び傾角を表す傾角指標値をコントローラ27へ出力する。傾角指標値は、本発明における操作量指標値の一例である。
【0038】
レバー32が中央位置にあるときの傾角は0度である。中央位置から第1操作方向へのレバー32の操作量が増加するにつれて、レバー32の傾角は0度からプラス方向に増加する。中央位置から第2操作方向へのレバー32の操作量が増加するにつれて、レバー32の傾角は0度からマイナス方向に減少する。
【0039】
傾角指標値は、レバー32の傾角の増減に応じて増減する例えばロータリエンコーダの出力値であり、角度で表される。傾角指標値は、レバー32の実際の傾角と必ずしも同一の値ではない。しかし、傾角指標値は、レバー32の実際の傾角が0度であるときには同じ0度であり、傾角指標値のプラス方向及びマイナス方向への変化は、レバー32の実際の傾角のプラス方向及びマイナス方向への変化と対応している。
【0040】
旋回バルブ12(
図2参照)は、本発明の制御弁の一例である。旋回バルブ12は、油圧ポンプ5から旋回モータ6へ作動油を供給する供給経路において油圧ポンプ5と旋回モータ6との間に設けられている。具体的には、旋回バルブ12は、油圧回路40を介して旋回モータ6の第1ポート6a及び第2ポート6bに接続されている。旋回バルブ12は、油圧回路40における油圧ポンプ5から旋回モータ6への作動油の供給経路を第1ポート6aへ作動油を供給する経路と第2ポート6bへ作動油を供給する経路との間で切り換える機能を有する。また、旋回バルブ12は、旋回モータ6の第1ポート6a及び第2ポート6bへ供給する作動油の流量を変化させる機能を有する。
【0041】
具体的に、旋回バルブ12は、パイロット切換弁である。旋回バルブ12は、図略のスリーブと、そのスリーブ内を摺動する図略のスプールと、第1パイロットポート12aと、第2パイロットポート12bとを有する。スプールは、中立位置と、第1供給位置と、第2供給位置とに切換可能となっている。第1パイロットポート12aと第2パイロットポート12bの両方にパイロット圧が供給されないときには、スプールは中立位置に配置される。第1パイロットポート12aに第1パイロット圧が供給される一方、第2パイロットポート12bに第2パイロット圧が供給されないときには、スプールは第1供給位置に配置される。また、第2パイロットポート12bに第2パイロット圧が供給される一方、第1パイロットポート12aに第1パイロット圧が供給されないときには、スプールは第2供給位置に配置される。
【0042】
スプールが中立位置に配置された状態では、旋回バルブ12は、油圧ポンプ5からの作動油を旋回モータ6の両ポート6a,6bのいずれにも供給しない。スプールが第1供給位置に配置された状態では、旋回バルブ12は、旋回モータ6を第1作動方向に作動させる油圧を旋回モータ6に供給する。すなわち、スプールが第1供給位置に配置された状態では、旋回バルブ12は、油圧ポンプ5からの作動油を旋回モータ6の第1ポート6aへ供給する。スプールが第2供給位置に配置された状態では、旋回バルブ12は、旋回モータ6を第2作動方向に作動させる油圧を旋回モータ6に供給する。すなわち、スプールが第2供給位置に配置された状態では、旋回バルブ12は、油圧ポンプ5からの作動油を旋回モータ6の第2ポート6bへ供給する。
【0043】
また、旋回バルブ12は、各パイロットポート12a,12bに供給されるパイロット圧の増減に応じてスプールの中立位置から第1供給位置側又は第2供給位置側への移動量が増減するように構成されている。このスプールの移動量の増減に応じて、旋回バルブ12は、旋回モータ6の各ポート6a,6bへ供給する作動油の流量を増減させる。
【0044】
第1パイロットポート12aは、第1油圧配管42を介して第1電磁比例弁14に接続されている。第2パイロットポート12bは、第2油圧配管44を介して第2電磁比例弁16に接続されている。第1電磁比例弁14には、油圧源46が接続されており、第2電磁比例弁16には、油圧源47が接続されている。油圧源46,47は、パイロット圧用の油圧を生成するものである。
【0045】
第1電磁比例弁14(
図2参照)は、第1パイロットポート12aに供給する第1パイロット圧を制御する。具体的に、第1電磁比例弁14は、油圧源46から第1パイロットポート12aへの第1パイロット圧の供給を遮断する状態と、油圧源46によって生成される油圧を任意の大きさの第1パイロット圧に変化させて第1油圧配管42を通じて第1パイロットポート12aへ供給する状態との間で切り換わる。油圧源46から第1パイロットポート12aへの第1パイロット圧の供給を遮断する状態を、以下、遮断状態といい、第1パイロットポート12aへ第1パイロット圧を供給する状態を、以下、供給状態という。なお、以降の説明において、第1電磁比例弁14以外の他の電磁比例弁でも、同様に、油圧源から対象となる装置への油圧の供給を遮断する状態を遮断状態といい、油圧源から対象となる装置へ油圧を供給する状態を供給状態という。
【0046】
第1電磁比例弁14は、電気配線を介してコントローラ27に接続されたソレノイド14aを有する。第1電磁比例弁14は、ソレノイド14aに通電されていないときには前記遮断状態になり、ソレノイド14aに通電されることによって前記供給状態になる。また、第1電磁比例弁14は、前記供給状態において、ソレノイド14aに供給される第1制御電流の値に応じて第1パイロットポート12aへ供給する第1パイロット圧を変化させる。
【0047】
第2電磁比例弁16(
図2参照)は、第2パイロットポート12bに供給する第2パイロット圧を制御する。第2電磁比例弁16は、第1電磁比例弁14と同様に構成されており、電気配線を介してコントローラ27に接続されたソレノイド16aを有する。第2電磁比例弁16は、ソレノイド16aに通電されていないときには油圧源47と第2パイロットポート12bとの間を遮断する遮断状態になり、ソレノイド16aに通電されることによって第2パイロットポート12bへパイロット圧を供給する供給状態になる。また、第2電磁比例弁16は、供給状態において、ソレノイド16aに供給される第2制御電流の値に応じて第2パイロットポート12bへ供給する第2パイロット圧を変化させる。
【0048】
第1圧力センサ20(
図2参照)は、第1油圧配管42内の圧力を検出し得るように第1油圧配管42に接続されている。第1圧力センサ20は、第1電磁比例弁14から第1パイロットポート12aへ供給される第1パイロット圧を検出する。第1圧力センサ20は、コントローラ27に電気的に接続されている。第1圧力センサ20は、検出した第1パイロット圧のデータをコントローラ27へ送る。
【0049】
第2圧力センサ22(
図2参照)は、第2油圧配管44内の圧力を検出し得るように第2油圧配管44に接続されている。第2圧力センサ22は、第2電磁比例弁16から第2パイロットポート12bへ供給される第2パイロット圧を検出する。第2圧力センサ22は、コントローラ27に電気的に接続されている。第2圧力センサ22は、検出した第2パイロット圧のデータをコントローラ27へ送る。
【0050】
第3圧力センサ24(
図2参照)は、旋回モータ6を駆動する油圧を検出する。第3圧力センサ24は、本発明による圧力センサの一例である。第3圧力センサ24は、油圧回路40のうち第1ポート6aに接続された部分と油圧回路40のうち第2ポート6bに接続された部分との間に接続されている。第3圧力センサ24は、旋回モータ6を駆動する油圧として第1ポート6aと第2ポート6bとの間の差圧を検出する。第3圧力センサ24は、コントローラ27に電気的に接続されている。第3圧力センサ24は、検出した油圧のデータをコントローラ27へ送る。
【0051】
旋回角度検出器25(
図2参照)は、旋回モータ6に付設されている。旋回角度検出器25は、上部旋回体4(
図1参照)の縦軸回りの旋回角度を検出する。旋回角度検出器25は、コントローラ27と電気的に接続されている。旋回角度検出器25は、検出した旋回角度のデータをコントローラ27へ送る。
【0052】
記憶装置26(
図2参照)は、各種データを一時的に記憶するものである。記憶装置26は、コントローラ27と電気的に接続されており、コントローラ27とデータの授受を行う。記憶装置26は、傾角電流特性及び調整基準データを記憶する。傾角電流特性は、本発明による操作量電流特性の一例である。傾角電流特性は、レバー角度検出器36から出力される傾角指標値と制御部27aが各電磁比例弁14,16に供給する制御電流の値との対応関係を規定する。調整基準データは、レバー角度検出器36から出力される傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係を調整するための基準となる基準傾角指標値と基準圧力との対応関係を規定する。調整基準データは、本実施形態の電気式制御システムとは別の
図4に示す油圧式操作システムにおいて計測される。
【0053】
コントローラ27は、機能ブロックとして、制御部27aと、調整部27bとを有する。
【0054】
制御部27aは、レバー角度検出器36から送られてくる傾角指標値に応じて第1電磁比例弁14のソレノイド14aに供給する第1制御電流と第2電磁比例弁16のソレノイド16aに供給する第2制御電流を制御する。これにより、制御部27aは、第1及び第2電磁比例弁14,16の遮断状態と供給状態との間の切り換えと第1及び第2電磁比例弁14,16が供給状態において供給するパイロット圧の制御とを行う。
【0055】
具体的に、制御部27aは、傾角指標値が0度であるとき、すなわちレバー32が中央位置にあるときには、第1及び第2電磁比例弁14,16のソレノイド14a,16aのいずれにも制御電流を供給しない。これにより、第1及び第2電磁比例弁14,16は、遮断状態になる。また、制御部27aは、傾角指標値が中立位置に対応する範囲を超えてプラスの値であるとき、すなわちレバー32が中立位置から第1操作方向へ操作されているときには、ソレノイド14aに第1制御電流を供給する一方、ソレノイド16aには第2制御電流を供給しない。これにより、第1電磁比例弁14は供給状態になるとともに、第2電磁比例弁16は遮断状態になる。また、制御部27aは、傾角指標値が中立位置に対応する範囲を超えてマイナスの値であるとき、すなわちレバー32が中立位置から第2操作方向へ操作されているときには、ソレノイド16aに第2制御電流を供給する一方、ソレノイド14aには第1制御電流を供給しない。これにより、第2電磁比例弁16は供給状態になるとともに、第1電磁比例弁14は遮断状態になる。
【0056】
また、制御部27aは、傾角指標値と第1制御電流との対応関係及び傾角指標値と第2制御電流との対応関係を規定した傾角電流特性に基づいて、レバー角度検出器36から送られてくる傾角指標値に応じた制御電流の値を導出する。
【0057】
傾角電流特性は、
図5に示されている。この傾角電流特性では、傾角指標値の最小値Encminから傾角指標値の最大値Encmaxまでの範囲における複数の特定点の傾角指標値Encmmin、Enc1、Enc2、Enc3、Encctr、Enc4、Enc5、Enc6、Encmacに対してそれぞれ制御電流値を規定し、それらの各特定点を直線で繋いだものである。傾角指標値の最小値Encminは、例えば−12度であり、傾角指標値の最大値Encmaxは、例えば+12度である。レバー32の中央位置に対応する傾角指標値Encctrは、0度である。傾角電流特性は、傾角指標値が最小値Encminとなる特定点及び最大値Encmaxとなる特定点で制御電流の最大値PVdamaxを示す。また、傾角電流特性は、中央位置の傾角指標値Encctrの特定点で制御電流の最小値PVdaminを示す。中央位置の傾角指標値Encctrを基準にプラス側とマイナス側に所定の角度ずつに亘る範囲Enc3〜Enc4は、レバー32の中立位置に相当する範囲である。この中立位置に相当する範囲Enc3〜Enc4は、例えば−1.5度〜+1.5度の範囲である。また、Enc1は、例えば−8.5度であり、Enc2は、例えば−5.0度である。また、Enc5は、例えば+5.0度であり、Enc6は、例えば+8.5度である。なお、各特定点の数及びその特定点の傾角指標値は、任意に変更可能である。
【0058】
中央位置の傾角指標値Encctrから最大値Encmaxまでの範囲の傾角電流特性が、傾角指標値と第1制御電流との対応関係に相当する。また、中央位置の傾角指標値Encctrから最小値Encminまでの範囲の傾角電流特性が、傾角指標値と第2制御電流との対応関係に相当する。
図5から判るように、傾角指標値と第1制御電流との対応関係を示す傾角電流特性と、傾角指標値と第2制御電流との対応関係を示す傾角電流特性とは、中央位置の傾角指標値Encctrを中心として互いに対称となるように設定されている。
【0059】
制御部27aは、導出した制御電流値を有する制御電流を第1電磁比例弁14のソレノイド14a又は第2電磁比例弁16のソレノイド16aに供給する。制御部27aは、ソレノイド14aへ供給する制御電流の大きさを制御することにより、第1電磁比例弁14の動作を制御してその第1電磁比例弁14が供給する第1パイロット圧を制御する。また、制御部27aは、ソレノイド14bへ供給する制御電流の大きさを制御することにより、第2電磁比例弁16の動作を制御してその第2電磁比例弁15が供給する第2パイロット圧を制御する。制御部27aは、第1圧力センサ20により検出された第1パイロット圧のデータに基づいて、ソレノイド14aへ供給した制御電流に応じた第1電磁比例弁14の第1パイロット圧の供給動作が行われているかを確認する。また、制御部27aは、第2圧力センサ22により検出された第2パイロット圧のデータに基づいて、ソレノイド16aへ供給した制御電流に応じた第2電磁比例弁16の第2パイロット圧の供給動作が行われているかを確認する。
【0060】
また、制御部27aは、旋回角度検出器25により検出された旋回角度のデータからレバー32の操作方向及び操作量に応じた旋回方向及び旋回角度の上部旋回体4の旋回が行われているかを確認するようになっている。
【0061】
調整部27bは、レバー角度検出器36から送られてくる傾角指標値と第3圧力センサ24の実際の検出圧力との対応関係が記憶装置26に記憶された調整基準データが示す傾角指標値と基準圧力との対応関係に近づくように、傾角電流特性を調整する。この傾角電流特性の調整プロセスについては後述する。
【0062】
次に、本実施形態による建設機械の製造方法について説明する。
【0063】
本実施形態の建設機械の製造方法では、まず、建設機械としてのクレーンを組み立てる。この際、上述の電気式操作システムを構成する各装置及び各部材をクレーンに搭載する。
【0064】
次に、電気式操作システムの調整を行う。具体的には、傾角電流特性を調整することにより、レバー角度検出器36から出力される傾角指標値とその傾角指標値に応じて制御部27aが出力する第1制御電流及び第2制御電流との対応関係の調整を行う。以下、
図2の電気式操作システムの構成及び
図3の操作装置8の構成を参照しつつ、
図6及び
図7のフローチャートに基づいて、電気式操作システムの調整プロセスについて具体的に説明する。
【0065】
この調整工程では、まず、調整部27bが、記憶装置26に記憶された調整基準データを読み込む(
図6のステップS1)。調整基準データは、調整工程の実施前に
図4に示す油圧式操作システムで予め計測して用意しておき、電気式操作システムの記憶装置26に記憶させる。
【0066】
調整基準データの計測に用いる油圧式操作システムは、
図4に示すように、単一の電磁比例弁103と、油圧式の操作装置101と、基準圧力センサ105と、コントローラ107と、記憶装置109とを備える。なお、
図4では、
図2と同様、太い実線により油圧配管が示されており、破線により電気配線が示されている。この油圧式操作システムにおける旋回バルブ12、油圧ポンプ5、旋回モータ6、旋回角度検出器25、油圧回路40、第1圧力センサ20、第2圧力センサ22及び第3圧力センサ24の構成は、電気式操作システムの場合と同様である。
【0067】
操作装置101は、レバー111と、本体部112と、レバー角度検出器113とを備える。
【0068】
レバー111は、本発明における調整用操作部材の一例である。レバー111は、上記電気式操作システムのレバー32と同様、基準位置としての中央位置から第1操作方向と第2操作方向とに操作可能である。
【0069】
本体部112は、レバー111に抵抗力を付与する付与機構114を有するリモコン弁からなる。本体部112のリモコン弁は、油圧配管117,118を介して旋回バルブ12の第1パイロットポート12a及び第2パイロットポート12bに接続されている。このリモコン弁は、レバー111の中央位置から第1又は第2操作方向への操作に応じてその操作量に対応するパイロット圧を油圧配管117又は118を通じて対応する第1パイロットポート12a又は第2パイロットポート12bへ供給する。
【0070】
レバー角度検出器113は、本発明における調整用操作検出部の一例であり、上記電気式操作システムのレバー角度検出器36と同様、ロータリエンコーダである。このレバー角度検出器113は、レバー111の中央位置からの操作方向及び傾角を検出し、その検出した操作方向及び傾角を示す調整用傾角指標値を出力する。この調整用傾角指標値が基準傾角指標値に相当する。
【0071】
電磁比例弁103は、本発明における抵抗力用電磁比例弁の一例である。電磁比例弁103は、レバー111の抵抗力を生成するための油圧を付与機構114に供給する。具体的には、電磁比例弁103は、油圧源115によって生成された油圧を所定の値に調整して付与機構114に供給する。付与機構114は、供給される油圧を用いてレバー111の操作に対抗する抵抗力をレバー111に付与する。すなわち、付与機構114は、電磁比例弁103から供給される油圧に応じた大きさの抵抗力をレバー111に付与する。
【0072】
基準圧力センサ105は、電磁比例弁103から操作装置101の付与機構114に供給される抵抗力用の油圧を検出する。この基準圧力センサ105により検出される油圧が、基準圧力に相当する。
【0073】
コントローラ107は、基準圧力センサ105の検出圧力に応じて電磁比例弁103の動作を制御する。具体的には、コントローラ107は、電磁比例弁103のソレノイド103aに制御電流を供給することにより電磁比例弁103を供給状態とし、ソレノイド103aへの制御電流の供給を停止することにより電磁比例弁103を遮断状態とする。また、コントローラ107は、第3圧力センサ24の検出圧力に応じてソレノイド103aに供給する制御電流を増減し、それによって電磁比例弁103に付与機構114へ供給する油圧を増減させる。コントローラ107は、調整基準データの計測プロセスにおいてレバー角度検出器113から出力される傾角指標値と基準圧力センサ105の検出圧力との対応関係を計測して記憶装置109に記憶させる。
【0074】
油圧式操作システムでの調整基準データの計測は、以下のように行われる。
【0075】
まず、油圧式操作システムにおいて、レバー111が中央位置から第1操作方向へ操作される。コントローラ107は、このレバー操作の過程でレバー角度検出器113から出力される調整用傾角指標値と基準圧力センサ105により検出される油圧とを対応付けて記憶装置109に記憶させる。調整用傾角指標値が第1操作方向(プラス方向)の最大値に達したら、レバー111が中央位置側へ戻される。コントローラ107は、このレバー111が戻される過程でレバー角度検出器113から出力される調整用傾角指標値と基準圧力センサ105により検出される油圧とを対応付けて記憶装置109に記憶させる。その後、レバー111が中央位置から第2操作方向へ操作される。コントローラ107は、同様に、この過程でレバー角度検出器113から出力される調整用傾角指標値と基準圧力センサ105により検出される油圧とを対応付けて記憶装置109に記憶させる。調整用傾角指標値が第2操作方向(マイナス方向)の最小値に達したら、レバー111が中央位置側へ戻される。コントローラ107は、同様に、この過程でレバー角度検出器113から出力される調整用傾角指標値と基準圧力センサ105により検出される油圧とを対応付けて記憶装置109に記憶させる。
【0076】
この調整基準データの計測過程では、調整用傾角指標値の特定間隔(例えば1度間隔)毎に基準圧力センサ105により圧力が検出され、その特定間隔毎の調整用傾角指標値と基準圧力センサ105の検出圧力とが対応付けられて記憶装置109に記憶される。このように計測された調整基準データは、
図8のような形態で表される。調整基準データは、
図8に示すようにヒステリシス性を有する。すなわち、傾角指標値が0度から第1操作方向(プラス方向)に増加する場合とその増加した調整用傾角指標値が0度側へ戻る場合とで第3圧力センサ24の検出圧力が異なる。また、傾角指標値が0度から第2操作方向(マイナス方向)に減少する場合とその減少した調整用傾角指標値が0度側へ戻る場合とで第3圧力センサ24の検出圧力が異なる。調整基準データの第1操作方向と第2操作方向との間の中央位置は、傾角指標値の0度にほぼ一致しており、第1操作方向の調整基準データと第2操作方向の調整基準データとは、傾角指標値の0度を基準として高い対称性を示している。
【0077】
調整部27bは、記憶装置26から調整基準データを読み込んだ後、レバー角度検出器36が出力する傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係を計測する(
図6のステップS2)。この時の計測プロセスは、
図7のフローチャートに従って行われる。
【0078】
まず、レバー角度検出器36が出力する傾角指標値を0度から第1操作方向(プラス方向)に変化させる(ステップS11)。これに応じて、制御部27aは、第1電磁比例弁14を供給状態にするとともに第1電磁比例弁14に第1パイロット圧を増加させる。その結果、旋回バルブ12が旋回モータ6の第1ポート6aへ供給する作動油の油圧が増加する。
【0079】
そして、第3圧力センサ24が旋回モータ6に供給される作動油の油圧を検出し、調整部27bは、第3圧力センサ24の検出圧力をレバー角度検出器36から出力される傾角指標値と対応付けて記憶装置26に記憶させる(ステップS12)。この時の第3圧力センサ24による油圧の検出は、調整基準データの計測時と同様の傾角指標値の特定間隔毎(例えば1度毎)に行われる。
【0080】
次に、調整部27bは、傾角指標値が最大値に達したか否かを判断する(ステップS13)。ここで、調整部27bが傾角指標値はまだ最大値に達していないと判断した場合には、上記ステップS11以降の処理が再び行われる。
【0081】
一方、調整部27bが傾角指標値は最大値に達したと判断した場合には、次に、レバー角度検出器36が出力する傾角指標値を中央位置側(0度側)へ変化させる(ステップS14)。これに応じて、制御部27aは、第1電磁比例弁14に第1パイロット圧を減少させる。その結果、旋回バルブ12が旋回モータ6の第1ポート6aへ供給する作動油の油圧が減少する。
【0082】
そして、上記ステップS12と同様に、第3圧力センサ24による油圧の検出とその検出圧力の記憶装置26への記憶とが行われる(ステップS15)。
【0083】
次に、調整部27bは、傾角指標値が0度に達したか否かを判断する(ステップS16)。ここで、調整部27bが傾角指標値はまだ0度に達していないと判断した場合には、上記ステップS14以降の処理が再び行われる。
【0084】
一方、調整部27bが傾角指標値は0度に達したと判断した場合には、次に、レバー角度検出器36が出力する傾角指標値を第2操作方向(マイナス方向)に変化させる(ステップS17)。これに応じて、制御部27aは、第2電磁比例弁16に第2パイロット圧を増加させる。その結果、旋回バルブ12が旋回モータ6の第2ポート6bへ供給する作動油の油圧が増加する。
【0085】
そして、上記ステップS12と同様に、第3圧力センサ24による油圧の検出とその検出圧力の記憶装置26への記憶とが行われる(ステップS18)。
【0086】
次に、調整部27bは、傾角指標値が最小値に達したか否かを判断する(ステップS19)。ここで、調整部27bが傾角指標値はまだ最小値に達してないと判断した場合には、上記ステップS17以降の処理が再び行われる。
【0087】
一方、調整部27bが傾角指標値は最小値に達したと判断した場合には、次に、レバー角度検出器36が出力する傾角指標値を中央位置側(0度側)へ変化させる(ステップS20)。これに応じて、制御部27aは、第2電磁比例弁16に第2パイロット圧を減少させる。その結果、旋回バルブ12が旋回モータ6の第2ポート6bへ供給する作動油の油圧が減少する。
【0088】
そして、上記ステップS12と同様に、第3圧力センサ24による油圧の検出とその検出圧力の記憶装置26への記憶とが行われる(ステップS21)。
【0089】
次に、調整部27bは、傾角指標値が0度に達したか否かを判断する(ステップS22)。ここで、調整部27bが傾角指標値はまだ0度に達していないと判断した場合には、上記ステップS20以降の処理が再び行われる。一方、調整部27bが傾角指標値は0度に達したと判断した場合には、傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係の計測プロセスが終了する。
【0090】
以上のように計測された傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係は、調整前の対応関係であり、
図9に示されている。この対応関係は、ヒステリシス性を有する。すなわち、傾角指標値が0度から第1操作方向(プラス方向)に増加する場合とその増加した調整用傾角指標値が0度側へ戻る場合とで第3圧力センサ24の検出圧力が異なる。また、傾角指標値が0度から第2操作方向(マイナス方向)に減少する場合とその減少した調整用傾角指標値が0度側へ戻る場合とで第3圧力センサ24の検出圧力が異なる。そして、
図9から判るように、傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との調整前の対応関係は、第1操作方向と第2操作方向との間の中央位置が傾角指標値の0度からマイナス側(第2操作方向)に少し偏っている。このため、この調整前の対応関係では、傾角指標値の0度を基準として見ると、第1操作方向の形状と第2操作方向の形状の対称性が低くなっている。この対称性が低いことが原因で、第1操作方向と第2操作方向とでレバー32の操作量が同じであってもレバー32に付与される抵抗力に差異が生じる。
【0091】
上記計測プロセスの後、調整部27bは、調整基準データと記憶装置26に記憶された傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係とに基づいて、傾角電流特性の所定の特定点の制御電流値を修正し、その修正後の特定点の制御電流値を記憶装置26に記憶させる(
図6のステップS3)。
【0092】
具体的に、調整部27bは、調整基準データの傾角指標値の特定間隔毎の基準圧力Po
B(Enc)を以下の関係式(1)に基づいて制御電流値PVda
B(Enc)に変換する。なお、次式(1)におけるkは、予め設定された変換係数である。
【0093】
Po
B(Enc)=PVda
B(Enc)×k・・・(1)
【0094】
また、調整部27bは、記憶装置26に記憶された傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係における特定間隔毎の検出圧力Po
A(Enc)を上記関係式(1)と同様の以下の関係式(2)に基づいて制御電流値PVda
A(Enc)に変換する。なお、次式(2)におけるkは、上記関係式(1)におけるkと同じ変換関数である。
【0095】
Po
A(Enc)=PVda
B(Enc)×k・・・(2)
【0096】
そして、調整部27bは、傾角指標値の所定の特定点(Encmmin、Enc1、Enc2、Enc3、Encctr、Enc4、Enc5、Enc6、又は、Encmac)における制御電流値PVda
B(Enc)と制御電流値PVda
A(Enc)との差を算出する。なお、調整基準データ及び傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係のデータは、上述したようにヒステリシス性を有するため、それら各データにおいて各特定点の制御電流値として2つの値がそれぞれ存在する。そのため、調整部27bは、調整基準データにおける特定点の2つの制御電流値のうちの高い方の値と、前記対応関係のデータにおける特定点の2つの制御電流値のうちの高い方の値とを用いて差を算出する。
【0097】
調整部27bは、特定点について算出した差を補正値とし、その補正値を記憶装置26に記憶されている傾角電流特性の対応する特定点の制御電流値に加算することによりその特定点の制御電流値を修正する。
【0098】
次に、調整部27bは、傾角電流特性の全ての特定点(Encmmin、Enc1、Enc2、Enc3、Encctr、Enc4、Enc5、Enc6、Encmac)について制御電流値を修正したか否かを判断する(
図6のステップS4)。コントローラ27は、まだ修正していない特定点があると判断した場合には、上記ステップS3以降の処理を再び行う。
【0099】
一方、調整部27bは、全ての特定点について制御電流値を修正したと判断した場合には、次に、ステップS1〜S4の処理を所定回数であるN回実施したか否かを判断する(ステップS5)。調整部27bは、ステップS1〜S4の処理をまだN回実施していないと判断した場合には、ステップS1以降の処理を再び行う。一方、調整部27bは、ステップS1〜S4の処理をN回実施したと判断した場合には、調整プロセスを終了する。なお、ステップS1〜S4の処理の繰り返し回数に相当するNは、第1電磁比例弁14及び第2電磁比例弁16の性能のばらつきを考慮して設定される。すなわち、電磁比例弁14,16に一定の制御電流が供給される場合であっても、電磁比例弁14,16の個体差により電磁比例弁14,16が供給するパイロット圧にはばらつきがある。このばらつきが小さい場合には、Nは小さい値に設定され、ばらつきが大きい場合には、Nは大きい値に設定される。Nが大きい方が、ばらつきが大きくても、傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係を調整基準データが示す対応関係により近づけることができる。
【0100】
図10には、以上の調整を行った後の傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係の計測結果が示されており、
図11には、以上の調整を行った後の傾角指標値と制御電流値との対応関係の計測結果が示されている。
【0101】
図11から判るように、上記調整プロセスにより、傾角指標値と制御電流値との対応関係の第1操作方向と第2操作方向との間の中央位置が傾角指標値の0度からマイナス側に調整される。一方、
図10から判るように、調整後の傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係の第1操作方向と第2操作方向との間の中央位置は傾角指標値の0度にほぼ一致し、その0度を基準として第1操作方向の対応関係の形状と第2操作方向の対応関係の形状とが対称形に近づいていることが判る。この計測結果から、調整後の電気式操作システムでは、レバー32が第1操作方向に操作された場合と第2操作方向に操作された場合とで、中央位置からのレバー32の操作量が同じであれば、第3圧力センサ24の検出圧力はほぼ等しくなることが判る。その結果、第3圧力センサ24の検出圧力に応じてレバー32に付与される抵抗力も、第1操作方向と第2操作方向へのレバー32の操作量が同じであれば、ほぼ等しくなる。
【0102】
本実施形態では、傾角電流特性の調整により、レバー角度検出器36から出力される傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係を調整基準データが示す基準傾角指標値と基準圧力との対応関係に近づけることができる。調整基準データは、油圧式操作システムにおいてレバー111の中央位置からの操作方向及び傾角(操作量)を示す調整用傾角指標値と特定の電磁比例弁103から出力される抵抗力生成用の油圧との対応関係に相当するため、レバー32が第1操作方向に操作されたときの傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係と、レバー32が第2操作方向に操作されたときの傾角指標値と第3圧力センサ24の検出圧力との対応関係を、共に、調整用傾角指標値と特定の電磁比例弁103から出力される油圧との対応関係に近づけることができる。その結果、コントローラ27によって制御されて第3圧力センサ24の検出圧力に応じた抵抗力をレバー32に付与する付与装置35は、レバー32が第1操作方向と第2操作方向のいずれに操作された場合でもその操作量が同じであれば、ほぼ等しい抵抗力をレバー32に付与する。このため、オペレータがレバー32を第1操作方向に操作した場合と第2操作方向に操作した場合とでレバー32の抵抗力に差異を感じるのを防ぐことができる。
【0103】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
【0104】
本発明における電気式操作システムは、クレーン以外の他の建設機械にも適用可能である。例えば、ショベル等にも適用可能である。
【0105】
また、本発明における電気式操作システムは、上部旋回体を旋回させる旋回モータ以外の油圧アクチュエータの操作に適用可能である。例えば、クレーンのブームやジブ等の起伏部材を起伏させるウインチの油圧モータの操作や、クレーンのフック装置を昇降させるウインチの油圧モータの操作等に適用可能である。
【0106】
また、本発明における操作部材は、必ずしもレバーに限定されるものではない。すなわち、オペレータによって操作されるレバー以外の形態の操作部材であってもよい。
【0107】
また、電気式操作システムの調整プロセスにおいてレバー角度検出器が出力する傾角指標値を変化させるために、実際に手動でレバーを操作してもよい。