(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
<電動パワーステアリング装置全体の説明>
図1は、本実施の形態に係る電動パワーステアリング装置100の概略構成を示す図である。なお
図1では、本実施の形態に係る電動パワーステアリング装置100を構成するものではないが、車両のエンジンを制御するエンジン制御装置200についても合せて図示している。
電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)は、乗り物の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては車両に適用した構成を例示している。
【0015】
ステアリング装置100は、ドライバが操作する車輪(ホイール)状のステアリングホイール(ハンドル)101と、ステアリングホイール101に一体的に設けられたステアリングシャフト102とを備えている。ステアリングシャフト102と上部連結シャフト103とが自在継手103aを介して連結されており、上部連結シャフト103と下部連結シャフト108とが自在継手103bを介して連結されている。
【0016】
また、ステアリング装置100は、転動輪としての左右の車輪150のそれぞれに連結されたタイロッド104と、タイロッド104に連結されたラック軸105とを備えている。また、ステアリング装置100は、ラック軸105に形成されたラック歯105aとともにラック・ピニオン機構を構成するピニオン106aを備えている。ピニオン106aは、ピニオンシャフト106の下端部に形成されている。
【0017】
また、ステアリング装置100は、ピニオンシャフト106を収納するステアリングギアボックス107を有している。ピニオンシャフト106は、ステアリングギアボックス107にてトーションバーを介して下部連結シャフト108と連結されている。ステアリングギアボックス107の内部には、下部連結シャフト108とピニオンシャフト106との相対角度に基づいてステアリングホイール101の操舵トルクTを検出するトルクセンサ109が設けられている。
【0018】
また、ステアリング装置100は、ステアリングギアボックス107に支持された電動モータ110と、電動モータ110の駆動力を減速してピニオンシャフト106に伝達する減速機構111とを有している。本実施の形態に係る電動モータ110は、3相ブラシレスモータである。電動モータ110に実際に流れる実電流の大きさおよび方向は、モータ電流検出部33(
図3参照)にて検出される。
そして、ステアリング装置100は、電動モータ110の作動を制御する制御装置10を備えている。制御装置10には、上述したトルクセンサ109の出力値であるトルク信号Td、車両の移動速度である車速Vcを検出する車速センサ170の出力値である車速信号vが入力される。即ち、車速信号vは、車速を表す信号である。また詳しくは後述するが、制御装置10には、エンジン制御装置200等から車両の識別情報等が入力される。制御装置10やエンジン制御装置200は、例えば、電子制御ユニット等からなる。本実施の形態では、制御装置10は、電動モータ110の駆動を制御するモータ制御手段として機能する。
【0019】
以上のように構成されたステアリング装置100は、ステアリングホイール101に加えられた操舵トルクTをトルクセンサ109にて検出し、その検出トルクに応じて電動モータ110を駆動し、電動モータ110の発生トルクをピニオンシャフト106に伝達する。これにより、電動モータ110の発生トルクが、ステアリングホイール101に加えるユーザの操舵力をアシストする。言い換えると電動モータ110は、ステアリングホイール101の操作に対し車輪150を転舵させるアシスト力を付与する。
【0020】
<制御装置10の説明>
次に、制御装置10について説明する。
図2は、ステアリング装置100の制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等からなる算術論理演算回路である。
制御装置10には、上述したトルクセンサ109にて検出された操舵トルクTが出力信号に変換されたトルク信号Tdと、車速センサ170にて車両の速度に応じて検出された車速Vcが出力信号に変換された車速信号vなどが入力される。
そして、制御装置10は、トルク信号Tdに基づいて目標トルクを算出し、この目標トルクを電動モータ110が供給するのに必要となる目標電流を算出する目標電流算出部20と、目標電流算出部20が算出した目標電流に基づいてフィードバック制御などを行う制御部30とを有している。
また詳しくは後述するが、制御装置10は、さらに設定情報取得部70と、車速パルスレート決定部80と、記憶部85と、確認部90とを有する。
【0021】
<目標電流算出部20および制御部30の説明>
次に、目標電流算出部20および制御部30について詳述する。
図3は、目標電流算出部20および制御部30の概略構成図である。
目標電流算出部20は、目標電流を設定する上で基準となるベース電流Ibを算出するベース電流算出部21と、電動モータ110の慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流を算出するイナーシャ補償電流算出部22と、モータの回転を制限するダンパー補償電流を算出するダンパー補償電流算出部23とを備えている。また、目標電流算出部20は、ベース電流算出部21、イナーシャ補償電流算出部22、ダンパー補償電流算出部23にて算出された値に基づいて目標電流を決定する目標電流決定部25とを備えている。
【0022】
なお、目標電流算出部20には、トルク信号Td、車速信号v、電動モータ110の回転速度Nmが出力信号に変換された回転速度信号Nms、車速パルスレートrなどが入力される。回転速度信号Nmsは、例えば3相ブラシレスモータである電動モータ110の回転子(ロータ)の回転位置を検出するセンサ(例えば、回転子の回転位置を検出するレゾルバ、ロータリエンコーダ等で構成されるロータ位置検出回路)にて検出された電動モータ110の回転角度が微分されることにより得られた値が出力信号に変換されたものであることを例示することができる。
【0023】
ベース電流算出部21は、トルク信号Td、車速センサ170からの車速信号vおよび車速パルスレートrに基づいてベース電流Ibを算出し、このベース電流Ibの情報を含むベース電流信号Imbを出力する。なお、ベース電流算出部21は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、トルク信号Td、車速信号vおよび車速パルスレートrと、ベース電流Ibとの対応を示すマップに、トルク信号Td、車速信号vおよび車速パルスレートrを代入することによりベース電流Ibを算出する。
【0024】
イナーシャ補償電流算出部22は、トルク信号Td、車速信号vおよび車速パルスレートrに基づいて電動モータ110およびシステムの慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流を算出し、この電流の情報を含むイナーシャ補償電流信号Isを出力する。なお、イナーシャ補償電流算出部22は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、トルク信号Td、車速信号vおよび車速パルスレートrとイナーシャ補償電流との対応を示すマップに、トルク信号Td、車速信号vおよび車速パルスレートrを代入することによりイナーシャ補償電流を算出する。
【0025】
ダンパー補償電流算出部23は、トルク信号Td、車速信号v、車速パルスレートrおよび電動モータ110の回転速度信号Nmsとに基づいて、電動モータ110の回転を制限するダンパー補償電流を算出し、この電流の情報を含むダンパー補償電流信号Idを出力する。なお、ダンパー補償電流算出部23は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、トルク信号Td、車速信号v、車速パルスレートrおよび回転速度信号Nmsと、ダンパー補償電流との対応を示すマップに、トルク信号Tdと車速信号vと車速パルスレートrと回転速度信号Nmsとを代入することによりダンパー補償電流を算出する。
【0026】
目標電流決定部25は、ベース電流算出部21にて算出されたベース電流信号Imb、イナーシャ補償電流算出部22にて算出されたイナーシャ補償電流信号Isおよびダンパー補償電流算出部23にて算出されたダンパー補償電流信号Idに基づいて目標電流を決定し、この電流の情報を含む目標電流信号ITを出力する。目標電流決定部25は、例えば、ベース電流Ibに、イナーシャ補償電流を加算するとともにダンパー補償電流を減算して得た補償電流を、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、補償電流と目標電流との対応を示すマップに代入することにより目標電流を算出する。
【0027】
なお上述した例では、トルクセンサ109を設け、このトルクセンサ109によりステアリングホイール101の操舵トルクTを検出し、さらにこの操舵トルクTを基にして目標電流を決定していたが、これに限られるものではない。例えば、トルクセンサ109の替わりまたはトルクセンサ109と共にステアリングホイール101の操舵角Sを検知する操舵角センサを設け、操舵トルクTの替わりまたは操舵トルクTと共に操舵角Sを基にして目標電流を決定してもよい。
【0028】
制御部30は、電動モータ110の作動を制御するモータ駆動制御部31と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部32と、電動モータ110に実際に流れる実電流を検出し、実電流検出信号Imをモータ駆動制御部31に出力するモータ電流検出部33とを有している。
モータ駆動制御部31は、目標電流算出部20にて最終的に決定された目標電流(目標電流信号ITが示す値)と、モータ電流検出部33にて検出された電動モータ110へ供給される実電流(実電流検出信号Imが示す値)との偏差に基づいてフィードバック制御を行うフィードバック(F/B)制御部40と、電動モータ110をPWM駆動するためのPWM(パルス幅変調)信号を生成するPWM信号生成部60とを有している。
【0029】
フィードバック制御部40は、目標電流算出部20にて最終的に決定された目標電流とモータ電流検出部33にて検出された実電流との偏差を求める偏差演算部41と、その偏差がゼロとなるようにフィードバック処理を行うフィードバック(F/B)処理部42とを有している。
【0030】
フィードバック(F/B)処理部42は、目標電流と実電流とが一致するようにフィードバック制御を行うものであり、例えば、偏差演算部41にて算出された偏差に対して、比例要素で比例処理し、積分要素で積分処理し、加算演算部でこれらの値を加算する。
PWM信号生成部60は、フィードバック制御部40からの出力値に基づいて電動モータ110をPWM(パルス幅変調)駆動するためのPWM信号を生成し、生成したPWM信号60aを出力する。
【0031】
モータ駆動部32は、所謂インバータであり、例えば、スイッチング素子として6個の独立したトランジスタ(FET)を備え、6個の内の3個のトランジスタは電源の正極側ラインと各相の電気コイルとの間に接続され、他の3個のトランジスタは各相の電気コイルと電源の負極側(アース)ラインと接続されている。そして、6個の中から選択した2個のトランジスタのゲートを駆動してこれらのトランジスタをスイッチング動作させることにより、電動モータ110の駆動を制御する。
モータ電流検出部33は、モータ駆動部32に接続されたシャント抵抗の両端に生じる電圧から電動モータ110に流れる実電流の値を検出する。
【0032】
<車速センサ170の説明>
車速センサ170は、通常、車両の駆動軸に取り付けられ、駆動軸の回転数を電気信号である車速信号vとして出力する。この車速信号vは、本実施の形態では、パルス信号であり、車速パルス信号と呼ばれる。
この車速パルス信号は、例えば、0.5V程度のパルス波からなり、駆動軸に取り付けられたセンサ数に比例した周波数を持っている。この周波数は車種により異なり、駆動軸1回転あたり例えば、4パルス〜20パルスである。また駆動軸が1回転する毎に車両が進む距離は、車輪150(
図1参照)の大きさが車種毎に異なるため、車種毎に異なる。
よって車速パルス信号を基に車速を知るには、所定の時間内にカウントされた車速パルス信号のパルス数を、車種毎に異なる適切な車速パルスレートrを使用して換算する必要がある。この車速パルスレートrは、車速パルス信号から車速を算出するために必要な係数であり、例えば、車速パルス信号のカウント数に車速パルスレートrを乗算することで車速が求まる。
【0033】
従来の制御装置10では、予め車速パルスレートrを設定しておき、設定された車速パルスレートrに合せて、車種毎に専用に製造されていた。この場合、制御装置10を動作させるためのソフトウェアを車種毎に専用に作成する必要が生じる。
しかしながらこの方法では、同一の機構を有するステアリング装置100を使用する場合でも、車種毎に異なるソフトウェアを用意する必要がある。
また違った車速パルスレートrで設定されたソフトウェアを制御装置10として搭載してしまった場合、正しい車速が得られないことで、制御装置10が適切に電動モータ110を制御することが困難となる。
さらに違った車速パルスレートrで設定されたソフトウェアを制御装置10に搭載した場合には、検知しにくく、見過ごされてしまう恐れがある。
そこで本実施の形態の制御装置10では、設定情報取得部70、車速パルスレート決定部80、記憶部85、および確認部90を設け、この問題の解決を図っている。
【0034】
<設定情報取得部70、車速パルスレート決定部80、記憶部85、確認部90の説明>
本実施の形態では、設定情報取得部70は、車速パルスレートrを決定するための個々の車両の設定情報を取得する。ここでは、設定情報として車両の識別情報を取得する。ここで車両の識別情報は、例えば、車種毎に付けられた車種番号である。
車両の識別情報は、エンジン制御装置200から取得することができ、制御装置10が、電動モータ110の制御を開始する以前に取得する。
図4は、車両の識別情報を取得する際に、制御装置10の設定情報取得部70とエンジン制御装置200との間で行なわれる情報のやりとりを示したシーケンス図である。
ここでは、まず設定情報取得部70からエンジン制御装置200へ接続要求を行なう。次にエンジン制御装置200は、設定情報取得部70に対し、接続許可を行なうとともに、エンジン制御装置200から設定情報取得部70への接続要求を行なう。これに対し、設定情報取得部70は、接続許可を行ない、これにより設定情報取得部70とエンジン制御装置200とのリンクが確立する。
【0035】
設定情報取得部70とエンジン制御装置200とのリンク確立後、設定情報取得部70は、エンジン制御装置200に対し、車両の識別情報を要求する。そして要求を受けたエンジン制御装置200は、車両の識別情報を返信する。
【0036】
車両の識別情報を取得した設定情報取得部70は、エンジン制御装置200に切断要求をし、エンジン制御装置200は、切断許可を行なう。さらにエンジン制御装置200は、設定情報取得部70に切断要求をし、設定情報取得部70は、切断許可を行なう。これにより設定情報取得部70とエンジン制御装置200とのリンクは切断する。
【0037】
本実施の形態では、車速パルスレート決定部80は、設定情報取得部70が取得した設定情報から車速パルスレートrを決定する。ここでは、設定情報として車両の識別情報を用いる。
また記憶部85は、車両の識別情報と車速パルスレートrとの対応関係が記憶されている。
記憶部85では、車両の識別情報と車速パルスレートrとの対応関係は、例えば、この両者を関連付ける対応表(対応テーブル)の形式で記憶する。
そのため車速パルスレート決定部80は、記憶部85を参照することで、車両の識別情報から車速パルスレートrを決定することができる。
【0038】
確認部90は、決定された車速パルスレートrの正誤を確認する。
具体的には、確認部90は、エンジン制御装置200と再び通信を行ない、決定された車速パルスレートrにより制御を開始してもよいか否かの確認を行なう。そしてエンジン制御装置200から許可が得られた場合、車速パルスレートrの情報は、目標電流算出部20に送られる。そして
図3で説明したように目標電流算出部20は、車速パルスレートrに基づき、電動モータ110によるアシスト力に必要な目標電流を算出する。
なおエンジン制御装置200から許可が得られなかった場合は、確認部90は、エラーフラグを立てる。この場合、制御装置10は、電動モータ110の制御を中止することが好ましい。またこのエラーフラグを基に警告情報を発してもよい。
【0039】
なお上述した例では、設定情報取得部70は、設定情報としてエンジン制御装置200から車両の識別情報を取得したが、これに限られるものではない。
例えば、車両に備えられるハーネスに車速パルスレートrを検知するための端子を設け、ここから設定情報を取得することもできる。このハーネスは、例えば、制御装置10に接続されるものである。
【0040】
図5(a)〜(d)は、ハーネスに設けられる車速パルスレートrを検知するための端子について説明した図である。
図示する例では、ハーネスの端子として2つの端子を用い、これにより4種類までの設定情報を取得する場合を示している。
このうち
図5(a)では、2つの端子のGND(グラウンド)との接続状態を表に示している。ここでは2つの端子を(1)および(2)とし、それぞれの端子が取り得る4通りの接続状態を、接続状態(I)〜接続状態(IV)として示している。そしてこれらの接続状態と車速パルスレートrとの関係を示している。
【0041】
具体的には、接続状態(I)では、端子(1)および端子(2)は、双方ともGNDと接続していない。そしてここでは対応する車速パルスレートrは設定されておらず、未使用としている。
また接続状態(II)では、
図5(b)に示すように端子(1)がGNDに接続され、端子(2)はGNDと接続していない。そして接続状態(II)では、車速パルスレートrは車速パルスレートAに対応している。
さらに接続状態(III)では、
図5(c)に示すように端子(1)はGNDに接続されず、端子(2)はGNDと接続している。そして接続状態(III)では、車速パルスレートrは車速パルスレートBに対応している。
またさらに接続状態(IV)では、
図5(d)に示すように端子(1)と端子(2)とは双方ともGNDと接続している。そして接続状態(IV)では、車速パルスレートrは車速パルスレートCに対応している。
【0042】
そして設定情報取得部70は、これらの端子(1)と端子(2)の状態を設定情報として取得し、これにより車速パルスレート決定部80が車速パルスレートrを決定する。
なお上述した例では、ハーネスの端子の状態は、GNDに接続されているか否かで決定されていたが、これに限られるものではなく、端子の電位の状態を検知する方式であれば特に限られるものではない。換言すれば、本実施の形態では、設定情報取得部70は、設定情報としてハーネスに設けられた端子の電位の状態を取得し、車速パルスレート決定部80が、これに基づき車速パルスレートrを決定する。
【0043】
<制御装置10の動作の説明>
次に、制御装置10の動作について説明する。
図6は、本実施の形態に係る制御装置10の動作について説明したフローチャートである。
まずユーザが、車両を動作させるためにエンジンをスタートさせると、設定情報取得部70が車速パルスレートrを決定するための設定情報として、例えば、車両の識別情報をエンジン制御装置200から取得する(ステップ101)。
そして車速パルスレート決定部80が、記憶部85を参照し、車両の識別情報等から車速パルスレートrを決定する(ステップ102)。
【0044】
そして確認部90が、決定された車速パルスレートrの情報をエンジン制御装置200に送り、エンジン制御装置200に対し、決定された車速パルスレートrにより制御を開始してもよいか否かの確認を行なう(ステップ103)。
そして決定された車速パルスレートrが正しく、エンジン制御装置200から許可が得られた場合(ステップ103でYes)、確認部90は、車速パルスレートrの情報を目標電流算出部20に送り、電動モータ110の制御を開始する(ステップ104)。一方、車速パルスレートrが正しくなく、エンジン制御装置200から許可が得られなかった場合(ステップ103でNo)、エラーフラグを立て、制御を中止する(ステップ105)。
【0045】
以上詳述した制御装置10では、車速パルスレートrを決定する機能を有するため、ソフトウェアを車種毎に専用に作成する必要がなくなり、ソフトウェアを車種によらず汎用的に使用することができる。
また誤った車速パルスレートrで設定されたソフトウェアを制御装置10に搭載してしまうことがなくなる。
さらに誤った車速パルスレートrが決定された場合でも、確認部90を設けることにより検知することができる。
【0046】
なお上述した例では、設定情報取得部70は、設定情報として、車両の識別情報またはハーネスに設けられた端子の電位の状態を取得していたが、双方とも取得してもよく、また他の設定情報でもよい。
また車両の識別情報は、エンジン制御装置200から取得していたが、これに限られるものではなく、他から取得してもよい。
【0047】
<プログラムの説明>
なお本実施の形態における制御装置10が行なう処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現することができる。この場合、制御装置10に設けられた制御用コンピュータ内部の図示しないCPUが、制御装置10の各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。
【0048】
よって制御装置10が行なう処理は、電動パワーステアリング装置100に用いられるコンピュータに、車両の移動速度に基づく車速パルス信号から車速を算出するために必要な車速パルスレートrを決定するための個々の車両の設定情報を取得する機能と、取得した設定情報から車速パルスレートrを決定する機能と、決定された車速パルスレートrおよび車速パルス信号に基づき、電動モータ110が必要とする目標電流を算出する機能と、を実現させるプログラムとして捉えることもできる。
【0049】
なお、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。