(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235951
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】管接続構造及び該管接続構造を備えたシンクの排水構造
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20171113BHJP
E03C 1/182 20060101ALI20171113BHJP
F16L 21/08 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
E03C1/12 E
E03C1/182
F16L21/08 Z
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-67656(P2014-67656)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-190175(P2015-190175A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2017年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】591092523
【氏名又は名称】株式会社伸晃
(74)【代理人】
【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 忠夫
【審査官】
油原 博
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−050482(JP,A)
【文献】
特開2004−084887(JP,A)
【文献】
実開平06−071565(JP,U)
【文献】
特開2000−329277(JP,A)
【文献】
特開2004−076262(JP,A)
【文献】
特開平08−075060(JP,A)
【文献】
特開平09−195347(JP,A)
【文献】
実開昭53−082438(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12
F16L 21/08、33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続管の管端部をフランジ付きの受け口に挿入し、前記接続管側から前記受け口のフランジに弾性的に掛止するフック部を有するロック部材によって前記接続管を前記受け口に連結する管接続構造であって、
前記接続管の外周面には、当該管端部を前記受け口に挿入したとき、一方が前記受け口の内部に位置し、他方が前記受け口の挿入口に露出する間隔をもって互いに隣接する二本の環状溝が周設され、
前記受け口の内部に位置する一方の環状溝に装着するシールリングと、
前記受け口の挿入口に露出する他方の環状溝に内縁部を嵌合して装着すると共に、外縁部が半径方向外向きに前記接続管の外周面から垂直に迫り出す1又は複数の円弧状のストッパーリングとを備え、
前記ロック部材による連結時に、前記ストッパーリングの前記外縁部を前記ロック部材と前記受け口の垂直な端面間で挟み込むことを特徴とする管接続構造。
【請求項2】
接続管の軸方向に沿って環状溝を同一の間隔で3本以上連設し、任意の前記環状溝で接続管を切断することで当該接続管の長さ調整を可能とした請求項1記載の管接続構造。
【請求項3】
ストッパーリングは、環状溝に弾性的に装着自在なC型リングである請求項1または2記載の管接続構造。
【請求項4】
請求項1から3のうち何れか一項記載の管接続構造を備えたシンクの排水構造であって、
シンクの排水口と床側の排水口それぞれにフランジ付きの受け口を設け、
シールリング及びストッパリングを装着した接続管の両端それぞれをロック部材によって前記受け口に連結することを特徴としたシンクの排水構造。
【請求項5】
シンクの排水口と床側の排水口とが異なる鉛直軸上に位置するものであって、
シンクと床側の何れか一方の排水口にエルボ管の一端を取付けると共に、該エルボ管の他端にフランジ付きの受け口を設け、
接続管は、前記エルボ管の受け口に連結する水平管部と、他方の排水口に設けたフランジ付き受け口に連結する垂直管部を連続一体に成形してなる請求項4記載のシンクの排水構造。
【請求項6】
エルボ管はシンクの排水口にその一端を360度回転自在に取付けた請求項5記載のシンクの排水構造。
【請求項7】
床側の排水口には封水トラップを取付け、この封水トラップにフランジ付きの受け口を設けた請求項6記載の排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として排水管の接続に利用する構造において、いわゆるワンタッチ接続に係る管接続構造と、このワンタッチ式接続構造を適用したシンクの排水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、管を所定の器具に接続する場合、
図2に示したように、また特許文献1に示されるように、袋ナットを用いることが公知である。即ち、
図2のものでは、シンクのゴミ篭収容部50や封水トラップ51に、また特許文献1のものでは、屋内用集合一括排水設備における集合ますの受口に、排水管52を挿入し、三角パッキン53やOリングによって水密性を保持しつつ、袋ナット54を器具側の雄ネジ55に締め付けることによって排水管52を接続している(50〜55の符号は
図2に基づく)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−84887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
袋ナットを用いた接続構造では、シンク下のような狭小なスペースにおいて、袋ナットの締め込み作業を行い難い。
【0005】
また、袋ナットの締め込みが甘いと水漏れが発生し、逆に締め込みすぎるとパッキンを傷め、同様に水漏れの原因となることから、適正なトルク管理が必要であるが、特に、シンクの排水構造においては、無理な姿勢で袋ナットの締め込みを行うため、当該トルク管理に熟練を要する。
【0006】
さらに、
図2の接続構造では、器具側や袋ナット54に排水管52の挿入に必要なクリアランスがあり、これを三角パッキン53でシールしているが、排水管52に上下左右の外力が作用した場合、上記クリアランスによって排水管52がぐらつき、三角パッキン53を不用意に変形させ、最悪、水漏れの原因となる。排水管52が可撓性に乏しい硬質管であると、外力を吸収せず、そのぐらつきは顕著である。特に、ゴミ篭収容部50と封水トラップ51とが離れて設置される場合、両者間には施工上、不可避な誤差が生じるが、そのまま排水管52を接続すると、排水管52は傾いた状態で、その両端には常に無理な力が作用することになり、三角パッキン53のシール性に影響を及ぼす。
【0007】
なお、特許文献1のものは、管が波付可撓管であるから、外力の吸収能力を有する。しかしながら、袋ナット(ユニオンナット)による作業性の悪化は上述したとおりである。
【0008】
また、特許文献1のものは、管の抜け止めにCリングを波付可撓管の溝に装着するが、多数ある溝のどれにCリングを装着すべきか明確でなく、装着すべき溝を誤ると、接続不良を起こすことになる。
【0009】
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、袋ナット方式よりも簡単に接続でき、しかも管に外力が作用したときでも安定したシール性を発揮する管の接続構造を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために本発明では、接続管の管端部をフランジ付きの受け口に挿入し、前記接続管側から前記受け口のフランジに弾性的に掛止するフック部を有するロック部材によって前記接続管を前記受け口に連結する管接続構造とした。即ち、接続作業は、接続管を受け口に挿入する際、ロック部材をフランジに掛止させるワンタッチ方式である。このため、袋ナットによりも接続作業が大幅に改善される。
【0011】
また、接続管に外力が作用した場合の対策として、前記接続管の外周面には、当該管端部を前記受け口に挿入したとき、一方が前記受け口の内部に位置し、他方が前記受け口の挿入口に露出する間隔をもって互いに隣接する二本の環状溝が周設され、前記受け口の内部に位置する一方の環状溝に装着するシールリングと、前記受け口の挿入口に露出する他方の環状溝に内縁部を嵌合して装着すると共に、外縁部が半径方向外向きに前記接続管の外周面から迫り出す1又は複数の円弧状のストッパーリングとを備え、前記ロック部材による連結時に、前記ストッパーリングの前記外縁部を前記ロック部材と前記受け口の端面間で挟み込むという手段を用いた。この手段によれば、より管端側にシールリングが位置して水密性を保持しつつ、これと隣接するストッパーリングによって接続管の抜け止めが発揮されるが、ストッパーリングはその内縁部が環状溝に嵌合して接続管と一体となってフランジとして機能し、これをロック部材と受け口の端面間で挟み込むので、この部分の拘束力が高まり、接続管の外力が作用しても、ストッパーリングから先(シールリング側)に外力が伝達することを防止する。この結果、シールリングは常に同じ状態で受け口の内部に位置して、安定したシール性が得られる。
【0012】
また、シールリングとストッパーリングは、常に隣合う環状溝に装着することになるので、それぞれの装着位置を誤ることはない。
【0013】
なお、環状溝は、少なくとも接続管の管端部に二本一対に設ければ、本発明の目的を達成することができるが、同一の間隔で三本以上、接続管の軸方向に沿って連設すれば、任意の前記環状溝で接続管を切断することで当該接続管の長さ調整を可能となる。この場合も、シールリングとストッパーリングは、接続管の管端側から一本目と二本目の環状溝に装着することになるため、装着位置の誤りはない。
【0014】
シールリングは典型的にはOリングであるが、他の断面形状であってもよい。また、ストッパーリングは、環状溝に弾性的に装着自在なC型リングとすることが簡便であるが、180度未満の半割リングを一対用いるものであってもよい。
【0015】
本発明の管接続構造の好適な利用例としては、シンク下の排水構造がある。つまり、シンクの排水口と床側の排水口それぞれにフランジ付きの受け口を設け、シールリング及びストッパリングを装着した接続管の両端それぞれをロック部材によって前記受け口に連結することで、シンク下の狭小なスペースで簡単確実に取付け作業ができ、しかも、トルク管理も不要となる。
【0016】
ここで、従来の
図2に示したように、シンクの排水口と床側の排水口とが異なる鉛直軸上に位置する場合においては、シンクと床側の何れか一方の排水口にエルボ管の一端を取付けると共に、該エルボ管の他端にフランジ付きの受け口を設け、接続管は、前記エルボ管の受け口に連結する水平管部と、他方の排水口に設けたフランジ付き受け口に連結する垂直管部を連続一体に成形することで対応することができる。
【0017】
また、エルボ管はシンクの排水口にその一端を360度回転自在に取付けることで、その受け口に接続する接続管について、床側の排水口との位置合わせが容易となる。合わせて、接続管が環状溝を三本以上、等間隔に形成したものであれば、シンクと床側の排水口の軸間距離に応じた適当な環状溝で接続管を切断することで、ピッチ単位で接続管の長さを調整することができる。
【0018】
なお、封水トラップを設ける場合は、床側の排水口に取付け、この封水トラップにフランジ付きの受け口を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ロック部材によってワンタッチで管の接続作業が行えるうえ、ストッパーリングにより接続管にあたかも垂直なフランジが形成され、これをロック部材と受け口の垂直な端面間に挟み込んで拘束するため、接続管に作用する外力がシールリング側に伝達されるのはストッパーリングで阻止され、安定したシール性を発揮する。さらに、シールリングとストッパーリングは、常に隣合う環状溝に装着するため、それぞれの装着位置を誤ることがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るシンクの排水構造を示した説明図
【
図2】袋ナットによる管接続構造を用いた従来のシンクの排水構造を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。
図1は本発明の管接続構造を備えたシンクの排水構造を例示したものであって、図中、1は外周面に複数の環状溝1aを等間隔に形成した接続管、2はシンクの排水口に360度回転自在に取付けたエルボ管、3は床側の排水口と立ち上がり管(図示せず)を介して接続する封水トラップである。即ち、この例では、シンクと床側の排水口は、異なる鉛直軸上に位置しており、両者排水口の変位に対応するために、まずエルボ管2によって排水路の向きを水平方向に変換し、接続管1によって距離の調整を行いつつ、排水路の向きを下向きに変換している。このため、接続管1についても、エルボ管2に接続する一次側を水平管部1bと、封水トラップ3に接続する二次側を垂直管部1cとを連続一体に形成したエルボ管を構成している。
【0022】
このような基本構成において、エルボ管2と封水トラップ3の接続管1を接続する口部には、接続管1が挿入可能な挿入口4aを有し、外周にフランジ4bを有するフランジ付き受け口4を一体に設け、接続管1の両端それぞれに受け口4のフランジ4bに掛止するロック部材5を備えている。また、受け口4の挿入口4aの端面4cは垂直である。
【0023】
ロック部材5は、接続管1が挿通自在な円筒基部5aにバネ部5bによってフック部5cを半径方向内向きに付勢してなる。円筒基部5aの端面5dは垂直であり、フック部5cは円筒基部5aの端面5dから突出して、その先端に受け口4のフランジ4bに弾性的に掛止可能な内向きの爪5eを設けている。
【0024】
接続管1に形成した環状溝1aのうち、水平管部1bと垂直管部1cの両管端部の隣合う二本の環状溝1aそれぞれには、シールリング6とストッパーリング7を装着している。装着順列は、接続管1を受け口4に挿入したとき、受け口4の内部に位置する管端寄りの環状溝1aにシールリング6を装着し、受け口4の挿入口4aから露出する環状溝1aにストッパーリング7を装着する。
【0025】
この例においてシールリング6はOリングである。ただし、他の形状のシールリングであってもよい。
【0026】
一方、ストッパーリング7は、環状溝1aと同じ曲率であって、当該環状溝1aに嵌合する内縁部7aを有し、且つ、当該内縁部7aを環状溝1aに嵌合装着したとき、接続管1の外周面から半径方向外向きに垂直に迫り出す外縁部7bを有する円弧状リングである。その具体例としては、環状溝1aに弾性的に装着するC型リングがある他、180度未満の半割リングを複数組み合わせて構成することも可能である。
【0027】
上記構成の接続構造では、まず接続管1の管端部にシールリング6とストッパーリング7を装着しておき、この状態で管端部を受け口4に挿入し、ロック部材5を受け口4のフランジ4bに掛止することで接続作業が完了する。そして、接続完了後、ストッパーリング7は、その外縁部7bがロック部材5と受け口4の端面5d・4c間に挟み込まれ、接続管1の抜けを防止すると共に、接続管1に作用する外力がシールリング側に伝達することをストッパーリング7によって阻止している。つまり、ストッパーリング7によって接続管1に垂直なフランジが形成され、これを軸と直交する面として、受け口4とロック部材5とで軸変位を拘束した状態としている。したがって、シールリング7は常に同じ状態で受け口4に密着し、安定したシール性が得られる。
【0028】
また、この実施形態では、環状溝1aを接続管1の管端部だけでなく、水平管部1bにの外周面にも等間隔で設けているため、現場で適当な環状溝1aで接続管1を切断するだけで、シンクと床側の排水口の距離に応じた長さに調整することができる。
【0029】
なお、上記実施形態では、シンク側と床側とに同一構造の受け口を設け、接続管1の両端を全く同じ接続構造としたが、何れか一方のみに本発明の管接続構造を採用し、他方については従来の接続構造を採用することもできる。また、上記実施形態では、シンク側と床側の排水口が異なる鉛直軸上に位置していたが、同じ鉛直軸線上にある場合でも本発明の管接続構造を採用することができるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0030】
1 接続管
1a 環状溝
1b 水平管部
1c 垂直管部
2 エルボ管
3 封水トラップ
4 受け口
4a 挿入口
4b フランジ
4c 端面
5 ロック部材
5a 円筒基部
5b バネ部
5c フック部
5d 端面
5e 爪
6 シールリング(Oリング)
7 ストッパーリング
7a 内縁部
7b 外縁部