(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235954
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】建築用防火シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/58 20060101AFI20171113BHJP
E06B 9/82 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
E06B9/58 B
E06B9/82 B
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-68918(P2014-68918)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-190225(P2015-190225A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2017年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】横井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】平垣 駿
【審査官】
佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−54760(JP,A)
【文献】
特開2000−265760(JP,A)
【文献】
特開平11−22346(JP,A)
【文献】
特開2003−106072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00
9/02
9/06− 9/18
9/40− 9/50
9/56− 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井収納部に巻装され、下端部に座板が設けられて開口を閉鎖するシャッターカーテンを案内するためのガイドレールを、基端部を天井部に揺動自在に軸支し、先端側に座板が左右方向に貫通する貫通用の切欠き部を形成して、シャッターカーテンの開閉作動に伴う座板の上下移動に基づいて天井部に収納される水平姿勢と天井部から垂下する垂下姿勢とのあいだを揺動変姿するように構成すると共に、
ガイドレールに、該ガイドレールが垂下姿勢に変姿することに連動して座板と共に下動して垂下姿勢になったガイドレールの切欠き部を塞ぐための塞ぎ体を設けるにあたり、
該塞ぎ体に、切欠き部を塞ぐ塞ぎ姿勢から開口左右方向内方に拡開して座板に前後方向外側から当接する開放姿勢まで揺動できる可動片と、該可動片を塞ぎ姿勢側に向けて付勢する弾機とを設ける一方、
座板と可動片とのあいだには、座板が塞ぎ体と共に下動する過程で可動片を弾機付勢力に抗して前記開放姿勢まで案内して該可動片を座板に前後方向外側から当接せしめて可動片の塞ぎ姿勢への復帰を規制するための案内部が設けられ、
塞ぎ体には、前記開放姿勢の可動片に当接することで塞ぎ体の下動を規制して可動片の座板への当接を解除せしめることで可動片の塞ぎ姿勢への復帰を行わせると共に、該復帰に伴い前記塞ぎ体の下動規制を解除して塞ぎ体が切欠き部を塞ぐための下動を行わせるための解除部が設けられていることを特徴とする建築用防火シャッター装置。
【請求項2】
可動片の開放姿勢から塞ぎ姿勢への揺動は、該可動片の揺動支軸を越えた揺動であることを特徴とする請求項1記載の建築用防火シャッター装置。
【請求項3】
解除部は、塞ぎ体をカバーするカバー体に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の建築用防火シャッター装置。
【請求項4】
カバー体は、塞ぎ体を挟む状態でガイドレール内側面と対向する内側板を有し、開放姿勢の可動片の下動を許容する該内側板のシャッターカーテン側端縁には、開放姿勢の可動片に当接して塞ぎ体の下動を規制する解除部としての段差凸部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の建築用防火シャッター装置。
【請求項5】
可動片の上端部には、該可動片が塞ぎ姿勢となったときに切欠き部よりも上部位置のシャッターカーテン内側面との隙間を塞ぐ塞ぎ板が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の建築用防火シャッター装置。
【請求項6】
可動片の案内部は、座板の前後方向両端面部の上端縁であり、可動片が開放姿勢になったとき前後方向外方から当接する部位は、座板の前後方向両端面部であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載の建築用防火シャッター装置。
【請求項7】
可動片は、揺動支軸からシャッターカーテンのカーテン面に対して垂直状に延設される第一案内部と、該第一案内部の先端から先端側ほどガイドレール側に向けて傾斜する第二案内部とを備えて構成され、可動片が塞ぎ姿勢から開放姿勢に変姿する過程の前半では第一案内部が、後半では第二案内部が座板前後方向両端面部に当接することで案内されるように構成されていることを特徴とする請求項6記載の建築用防火シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、工場等の建築物の開口部や大部屋、地下通路等に防火、防煙区画を設けたりするための建築用防火シャッター装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルや工場等の開口部や大部屋等には、火災等の異常時において延焼を防止するため防火区画を設定し、被害の拡大を抑えるようにすることが計られる。そしてこのようなものとして、建築用防火シャッターを建付けることが提唱されるが、幅広の間口においては、一連ではなく複数連のシャッターカーテンを並設することがあり、この場合に、中柱状のガイドレールが必要になるが、このガイドレールを固定式にしたのでは、平常時(シャッターカーテン開放時)に邪魔になるという問題があり、そこで、ガイドレールの基端部(上端部)を躯体天井部に回動自在に支持して、シャッターカーテンの開閉作動に連動して上下揺動する構成として、シャッターカーテンの閉鎖時では開口部に直立状に立設される垂下姿勢とし、開放時では天井部に水平状に収納される水平姿勢となるよう可動式にしたものが知られている。
この場合に、座板当接部材をガイドレール先端縁部よりは基端側に設け、座板との当接がシャッターカーテンの閉鎖過程の途中までとなるようにし、それ以降は、基端部がガイドレールに揺動自在に軸支され、先端部が座板に設けたストッパに当接して傾斜姿勢となる作動体により下方への揺動をコントロールすることが提唱される。ところが、このように構成した場合、ガイドレールの先端部、つまり座板当接部材配設位置より先端側のガイドレールには、シャッターカーテンのカーテン面だけでなく座板を貫通する切欠き部を設ける必要があるが、シャッターカーテンの全閉時、この切欠き部が内外連通状態となって防火、防煙性能が損なわれるという問題が生じる。
そこでこれに対処するべく、ガイドレールの先端側に、レール長方向にスライド移動して切欠き部を開閉する塞ぎ体を設けるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3896414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のものは、塞ぎ体がスライド移動するものであるため、切欠き部の円滑な開閉ができるという利点はあるが、ガイドレールが傾斜状態で塞ぎ体がスライド移動するものであるため、スライドレールの製作誤差や施工時の調整等によっては、塞ぎ体の切欠き部を塞ぐ部位の先端部が座板に食い込むように当たって突っ張ったり引っ掛かったりする可能性が考えられ、これらに本発明が解決せんとする課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、天井収納部に巻装され、下端部に座板が設けられて開口を閉鎖するシャッターカーテンを案内するためのガイドレールを、基端部を天井部に揺動自在に軸支し、先端側に座板が左右方向に貫通する貫通用の切欠き部を形成して、シャッターカーテンの開閉作動に伴う座板の上下移動に基づいて天井部に収納される水平姿勢と天井部から垂下する垂下姿勢とのあいだを揺動変姿するように構成すると共に、ガイドレールに、該ガイドレールが垂下姿勢に変姿することに連動して座板と共に下動して垂下姿勢になったガイドレールの切欠き部を塞ぐための塞ぎ体を設けるにあたり、該塞ぎ体に、切欠き部を塞ぐ塞ぎ姿勢から開口左右方向内方に拡開して座板に前後方向外側から当接する開放姿勢まで揺動できる可動片と、該可動片を塞ぎ姿勢側に向けて付勢する弾機とを設ける一方、座板と可動片とのあいだには、座板が塞ぎ体と共に下動する過程で可動片を弾機付勢力に抗して前記開放姿勢まで案内して該可動片を座板に前後方向外側から当接せしめて可動片の塞ぎ姿勢への復帰を規制するための案内部が設けられ、塞ぎ体には、前記開放姿勢の可動片に当接することで塞ぎ体の下動を規制して可動片の座板への当接を解除せしめることで可動片の塞ぎ姿勢への復帰を行わせると共に、該復帰に伴い前記塞ぎ体の下動規制を解除して塞ぎ体が切欠き部を塞ぐための下動を行わせるための解除部が設けられていることを特徴とする建築用防火シャッター装置である。
請求項2の発明は、可動片の開放姿勢から塞ぎ姿勢への揺動は、該可動片の揺動支軸を越えた揺動であることを特徴とする請求項1記載の建築用防火シャッター装置である。
請求項3の発明は、解除部は、塞ぎ体をカバーするカバー体に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の建築用防火シャッター装置である。
請求項4の発明は、カバー体は、塞ぎ体を挟む状態でガイドレール内側面と対向する内側板を有し、開放姿勢の可動片の下動を許容する該内側板のシャッターカーテン側端縁には、開放姿勢の可動片に当接して塞ぎ体の下動を規制する解除部としての段差凸部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の建築用防火シャッター装置である。
請求項5の発明は、可動片の上端部には、該可動片が塞ぎ姿勢となったときに切欠き部よりも上部位置のシャッターカーテン内側面との隙間を塞ぐ塞ぎ板が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の建築用防火シャッター装置である。
請求項6の発明は、可動片の案内部は、座板の前後方向両端面部の上端縁であり、可動片が開放姿勢になったとき前後方向外方から当接する部位は、座板の前後方向両端面部であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載の建築用防火シャッター装置である。
請求項7の発明は、可動片は、揺動支軸からシャッターカーテンのカーテン面に対して垂直状に延設される第一案内部と、該第一案内部の先端から先端側ほどガイドレール側に向けて傾斜する第二案内部とを備えて構成され、可動片が塞ぎ姿勢から開放姿勢に変姿する過程の前半では第一案内部が、後半では第二案内部が座板前後方向両端面部に当接することで案内されるように構成されていることを特徴とする請求項6記載の建築用防火シャッター装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、塞ぎ体に設けられる可動片がガイドレールに設けられる切欠き部を塞ぐことになるが、座板が塞ぎ体と共に下動する際に、可動片は、案内部により座板に前後方向外側から当接する開放姿勢に維持されるため可動片が座板に食い込むようなことがなく、そして開放姿勢の可動片が座板と共に下動して解除部に当接すると、塞ぎ体の下動規制がなされて座板のみが下動し、これによって可動片は塞ぎ姿勢に復帰すると共に塞ぎ体は下動して切欠き部を塞ぐことになって、塞ぎ体による確実な切欠き部の塞ぎができる。
請求項2の発明とすることにより、切欠き部を塞ぐための可動片は、塞ぎ姿勢となったときに支点越え状態となる結果、開放姿勢側への揺動がしづらくなって、切欠き部の塞ぎ機能が向上する。
請求項3の発明とすることにより、カバー体により塞ぎ体をカバーできることになって外観を損なうことがない。
請求項4の発明とすることにより、塞ぎ体をカバーするカバー体に解除部である段差凸部が設けられることになって構造の簡略化が図れることになる。
請求項5の発明とすることにより、シャッターカーテンの全閉時において切欠き部よりも上部位置のシャッターカーテン内側面と可動片とのあいだの隙間が塞がれることになって、遮蔽性の良いものとなる。
請求項6の発明とすることにより、座板の前後方向両端面部が可動片の案内部及び可動片の当接部となるため、構造の簡略化が図れることになる。
請求項7の発明とすることにより、可動片を塞ぎ姿勢から開放姿勢まで確実に変姿案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】建築用防火シャッター装置の概略正面図である。
【
図2】シャッターカーテンが全閉した状態を示す側面図である。
【
図4】シャッターカーテンが全閉した状態を示す要部拡大正面図である。
【
図5】シャッターカーテンが全閉した状態を示す要部拡大側面図である。
【
図6】(A)、(B)はシャッターカーテンが全閉した状態を示すガイドレール部の切欠き部よりも上位部位の水平断面図、座板部位の水平断面図である。
【
図7】(A)、(B)、(C)、(D)は座板部位の要部平面図、要部正面図、(B)のX−X断面図、(B)のY−Y断面図である。
【
図8】(A)、(B)は塞ぎ体の分解図、断面図である。
【
図9】(A)〜(F)はシャッターカーテンが下動する際の座板、ガイドレール、塞ぎ体の下動状態を正面から見た作用説明図である。
【
図10】(A)(B)はシャッターカーテンが下動する前半過程の座板、ガイドレール、塞ぎ体の下動状態を平面から見た拡大作用説明図である。
【
図11】(A)(B)はシャッターカーテンが下動する後半過程の座板、ガイドレール、塞ぎ体の下動状態を平面から見た拡大作用説明図である。
【
図12】(A)(B)はシャッターカーテンが下動する前半過程の座板、ガイドレール、可動片の下動状態を側面から見た拡大作用説明図である。
【
図13】(A)〜(C)はシャッターカーテンが下動する後半過程の座板、ガイドレール、可動片の下動状態を側面から見た拡大作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図面において、1は大開口部に複数連設された防火シャッター用のシャッターカーテンであって、各シャッターカーテン1は、天井部に固定されるブラケット2を介して躯体側に軸承された巻取り軸3に巻装されており、該巻取り軸3がブレーキ付の開閉機4の正逆駆動に基づいて正逆回転することに伴いシャッターカーテン1が巻取り、巻出しされることで開口部を閉鎖する閉鎖姿勢と天井部に収納される開放姿勢とに変姿するように設定されている。因みに、これらシャッターカーテン1は、図示しない操作スイッチの操作に基づいて開閉するが、シャッターカーテン1の開放姿勢において火災等が発生した異常時に、異常検知手段の異常検知に伴いブレーキ解除がなされると共に開閉機4に内装するガバナの働きでシャッターカーテン1が自重閉鎖するように設定されている。尚、3aは中間ドラムであって、該中間ドラム3aは、巻取り軸3とマグサとのあいだのシャッターカーテン1の移動案内を行う設定となっている。
【0009】
5は各シャッターカーテン1を貫通ガイドするガイドレールであって、これら各ガイドレール5は、所定の対向間隔を存して対向する前後一対のガイド体6、7を用いて構成されているが、各ガイド体6、7は、基端部(上端部)を貫通支持する支軸8によって連結され、該支軸8が前記ブラケット2に揺動自在に軸支されており、これによって、ガイドレール5はブラケット2に対して一体揺動し、天井部に収納される水平姿勢と、先端部(下端部)が自然垂下する垂下姿勢とに揺動変姿する可動式に構成されている。
【0010】
前記各ガイド体6、7の互いに対向する前後側面の先端部には、前記座板当接部に相当する支持ローラ9がそれぞれピン9aを介して回動自在に軸承されているが、これら各ピン9aには、さらに作動アーム10の基端部がそれぞれ揺動自在に軸承されている。尚、11は各作動アーム10の先端部にローラ11aを介して上下移動自在にガイドされる補助体である。
【0011】
一方、12はシャッターカーテン1の最下端に設けられる座板であって、該座板12は、前後に一対のローラガイド12aが形成されており、該各ローラガイド12aに、各ガイド体6、7の支持ローラ9と補助体11とが移動自在に転動する状態で支持される設定となっている。これによって、ガイドレール5は、開閉作動するシャッターカーテン1の移動に伴い、座板12に支持される状態で、シャッターカーテン1を貫通ガイドしつつ揺動変姿するが、このことについての詳細は後述する。さらに、座板ローラガイド12aの左右両端縁部にはストッパ部12bが起立状に形成されており、補助体11の外方への移動規制を行うように設定されている。さらに、ストッパ部12bに至るローラガイド12aには、山形状に傾斜した傾斜ガイド12cが設けられており、ローラガイド12aの前後方向両端面部12dは起立した面部を有している。
【0012】
前記各ガイド体6、7の内側面6a、7a同志の対向間隔はシャッターカーテン1のカーテン面が貫通できるものに設定されているが、さらに、内側面6a、7aの先端側(下端側)、つまり支持ローラ9の軸承部位より僅かにガイド体基端側に位置ずれした部位から先端縁部に至る部位には切欠き部6b、7bが形成されていて内側面6a、7a同志の対向間隔を大きくして、座板12がガイド体6、7のあいだを貫通可能となるように設定されている。さらに、これら切欠き部6b、7bには、レール長方向に往復スライド移動自在な塞ぎ体13がそれぞれ開閉自在に設けられ、シャッターカーテン1が全閉状態となった状態では、切欠き部6b、7bが閉鎖されて、ガイドレール5の内側とシャッターカーテン1とのあいだに大きな空隙が開かない構成となっている。
【0013】
前記塞ぎ体13は、前記シャッターカーテン1が閉鎖した状態のガイド体切欠き部6b、7bを塞ぐものであるが、該塞ぎ体13は、ガイド体内側面6a、7aにビス13eを介して固定される外側スライドレール13aと、該外側スライドレール13aの内側に配設される内側スライドレール13bと、両スライドレール13a、13b間に配したボール13cと、該ボール13cを支持するリテーナ13dと、外側スライドレール13aを外嵌するカバー部材13fとを備え、前記リテーナ13dの外側スライドレール13aに対する移動と、内側スライドレール13bのリテーナ13dに対する移動とが同時に行われることによって、内側スライドレール13bと外側スライドレール13aとの往復相対移動が円滑かつ速やかになされる構成になっている。
【0014】
さらに塞ぎ体13は、内側スライドレール13bに取付けられる塞ぎパネル体14を備えて構成されるが、該塞ぎパネル体14は、ビス13gを介して内側スライドレール13bに固定される固定片14aと、該固定片14aに固定される当て板14bと、該当て板14bに一片が固定された蝶番14cを介して切欠き部6b、7bを塞ぐ塞ぎ姿勢から切欠き部6b、7bから離間する離間姿勢に至るよう揺動自在に支持される可動片14dと、該可動片14dを切欠き部6b、7b側に向けて付勢する弾機14eと、シャッターカーテン1に弾圧状に当接して遮煙をするゴム質弾性を有した遮煙体14fとを備えて構成されている。
13hは塞ぎ体13を被覆するカバー体であって、該カバー体13hは、シャッターカーテン1側が開口し、ビス13iによりガイド体6、7に固定され、ガイドレール内側面6a、7aとカバー体内側板13jとのあいだに前記塞ぎ体13が介装されるようになっているが、カバー体内側板13jのシャッターカーテン1側端縁13kは、蝶番支軸14gと前後方向同位置となるように設定され、さらに該端縁13kの下端部にはシャッターカーテン1側に向けて突出した段差凸部13lが蝶番支軸14gよりもシャッターカーテン1側に向けて突出形成されている。
そして塞ぎパネル体14の可動片14dは、蝶番支軸14gが固定片14a上に位置することで、シャッターカーテン1に直角状に対向して切欠き部6b、7bを塞ぐ塞ぎ姿勢から開口左右方向内側(間口内方)に拡開して切欠き部6b、7bに対して離間して拡開する開放姿勢とのあいだを揺動できるようになっているが、可動片14dは、該塞ぎ姿勢で蝶番支軸14gに対してガイドレール5嵌入側に偏倚した構成となっているため、蝶番支軸14gに対して丁度支点越え状態となって拡開方向への揺動がしづらくなるよう配慮されている。
さらに可動片14dには、前記塞ぎ姿勢となったとき、支軸14g部位シャッターカーテン1のカーテン面に対して垂直状に延出する第一案内部14hと、該第一案内部14hの先端から先端側ほどガイドレール5側に傾斜した第二案内部14iと、該第二案内部14jの先端からシャッターカーテン1のカーテン面に垂直に向くよう延出している第一対向部14jと、該第一対向部14jの先端からシャッターカーテン1と平行になるように折曲されてシャッターカーテン1に対向する第二対向部14kとが設けられている。
【0015】
つぎに、シャッターカーテン1の開閉作動に伴うガイドレール5の揺動変姿作動、並びに塞ぎ体13、塞ぎパネル体14の作動について説明する。ここでは塞ぎ体13、塞ぎパネル体14の作動について主に説明をし、他の部材の作動については前記特許文献1の該当部分の記載を援用する。
シャッターカーテン1の収納状態(開放状態)において、座板12およびガイドレール5は天井部に収容されているが、このとき塞ぎ体13は、ガイドレール5先端側への移動が、座板12に設けたストッパ12eに規制されていて切欠き部6b、7bは開放状態となっている(
図9(A)、
図10(A)参照)。
この状態から、シャッターカーテン1が閉作動されると、ガイドレール5は徐々に垂下姿勢側に向けて下方揺動し、シャッターカーテン1はガイドレール5のガイド体6、7とのあいだに貫通ガイドされる状態となって下降する。このとき、作動アーム10は倒伏姿勢を維持した状態となっており、支持ローラ9と補助体11とがローラガイド12aを左右方向外方に向けて転動するように設定されている。ここで、支持ローラ9はガイド体6、7の先端縁部よりも基端側に軸承され、ガイドレール5は該軸承位置において座板12に支持されるため、ガイドレール5が下動を開始したとき、座板12はガイドレール5に対して相対上動してガイドレール5の先端部、つまり両ガイド体6、7の切欠き部6b、7bを貫通することになる。この場合に、塞ぎ体13は自重により下動しようとするが前記ストッパ12eによる下動規制を受けている位置までは移動することがなく、塞ぎ体13が座板12の貫通の邪魔をするようなことがないように設定されている(
図9(B)、
図10(A)参照)。
【0016】
さらにこの状態からシャッターカーテン1のさらなる閉作動がなされ、塞ぎ体13がストッパ12eから離間する(
図9(C)参照)が、このとき塞ぎ体13は、可動片14dの第一案内部14h下端縁が座板前後方向両端面部12dの上端縁に当接した状態で座板12と共に下動する。この下動のとき、ガイドレール5は垂直姿勢側(間口外方側)に向けて揺動することになる結果、ガイドレール5に設けた可動片14dもこの揺動に追従する移動をすることになって、第一案内部14hは前後方向両端面部12dから開口左右方向外方に向けての摺動抵抗を受けながら移動する。そしてこの摺動抵抗は、座板12が下動するほど第一案内部14hと前後方向両端面部12dの上端縁との当接角度が大きくなるため、次第に大きくなって弾機14eの付勢力よりも大きくなると、可動片14dは切欠き部6b、7bから突出する間口左右方向内方側に向けて拡開揺動する(
図10(B)参照)。この可動片14dの拡開揺動が進み、可動片14dがシャッターカーテン1のカーテン面に対して平行に近い状態にまで揺動すると今度は前記傾斜した第二案内部14iが座板前後方向両端面部12dの上端縁に当接して摺動することになって更なる摺動抵抗を受けて拡開揺動し(
図11(A)参照)、第一対向部14jが座板前後方向両端面部12dに対して前後方向外側から当接する開放姿勢となって塞ぎ姿勢への復帰揺動が規制されて該開放姿勢に維持され、この姿勢を維持しながら塞ぎ体13は座板12と共に下動する(
図9(C)(D)、
図11(B)、
図12(A)参照)。尚、このとき、第一案内部14hは前記カバー体端縁13kに近接対向している。
【0017】
そして塞ぎ体13がさらに座板12と共に下動して第一案内部14hの下端部が段差凸部13lの上端部に係止(当接)すると塞ぎ体13の下動は規制されるが、座板12は下動し続けることになる(
図12(B)、
図13(A)参照)。この座板12の単独下動により、可動体14dの座板前後方向両端面部12dに対する当接がなくなる(
図13(B)参照)ことになって可動体14dは自由となって弾機14eの付勢力を受けて塞ぎ姿勢に復帰揺動し、これに伴って第一案内部14hの段差凸部13lによる係止が解除されて、塞ぎ体13は、可動体14dが閉鎖姿勢の状態で座板12に後追い状態で下動することになり、これによって切欠き部6b、7bが閉鎖されるようになっている(
図13(C)参照)。
尚、図中、13mは塞ぎパネル14の上端部に設けられ、シャッターカーテン1が全閉姿勢となったときに可動体14dの上端部とガイドレール内側面6a、7aとのあいだを塞ぐ塞ぎ板、15は異常検知に伴い天井面から垂れる防煙垂れ壁、16は障害物検知をするためのコードリールである。
【0018】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、図示しない異常検知装置が火災等の異常検知をしたり操作スイッチを操作したりした場合、シャッターカーテン1は閉作動をすることになるが、このものでは、シャッターカーテン1の閉作動に伴い、天井部に収納されたガイドレール5は、座板12の支持を受ける状態で下方揺動して水平姿勢から垂下姿勢になるが、ガイドレール5に形成されていて座板12およびシャッターカーテン1が貫通する切欠き部6b、7bはシャッターカーテン1が全閉状態になると共にガイドレール5が垂直姿勢になる過程で、塞ぎ体13がスライド移動し、塞ぎパネル体14の可動片14dによって塞がれることになる。
【0019】
この場合に、塞ぎ体13がストッパ12eから離間して座板12と共に下動する過程に至ると、可動片14dは、第一案内部14hの下端が座板前後方向両面部12dの上端に当接する状態の前記下動に加えて、ガイドレール5と一体に開口外方に向けて移動する要素が加わることになって、開口内方に向く摺動抵抗を受け弾機14eの付勢力に抗して拡開揺動をする。そして可動片14dの拡開揺動が進むと、座板前後方向両面部12dの上端への当接が第二案内部14iとなってさらなる可動片14dの拡開揺動が促進され、第一対向部14jが前後方向両端面部12dに前後方向外方から当接することになって可動片14dの塞ぎ姿勢側への復帰が規制されて該開放姿勢が維持され、この状態で塞ぎ体13は座板12と共に下動する。
【0020】
そして塞ぎ体13が段差凸部13lに達すると、該段差凸部13lの上端に第一案内部14hの下端が当接することになって塞ぎ体13の下動が規制され、座板12が単独で下動する。この座板12の下動に伴い、前後方向両端面12dの第一案内部14hの当接が解除されることになって可動片14dは弾機14eの付勢力を受けて開放姿勢から塞ぎ姿勢に復帰揺動することになり、これに合わせて段差凸部13lによる第一案内部14hの当接も解除され、塞ぎ体13は、可動片14dが塞ぎ姿勢の状態で後追いするかたちで下動することになり、これによって切欠き部6b、7bは閉鎖されることになる。
【0021】
この結果、座板12が塞ぎ体13と共に下動する際に、可動片14dは、座板前後方向両端面部12dに前後方向外側から当接する開放姿勢に維持されるため塞ぎ体13が座板12に食い込むようなことがない。そして塞ぎ体13が切欠き部下部に設けた段差凸部13lに達して塞ぎ体13の下動が規制されると、可動片14dの開放姿勢の維持およびが解除され、これに合わせて塞ぎ体13の下動が許容されることになって塞ぎ体13は座板12に対して後追い状態で下動して切欠き部6b、7bを確実に閉鎖することになる。
【0022】
しかもこの場合に、可動片14dの開放姿勢から塞ぎ姿勢への揺動は、該可動片14dの揺動支軸14gを開口外方側(左右方向外方側)に越えた揺動であるため、支点越え状態となって、シャッターカーテン1が閉鎖姿勢のときに排煙機等の作動で負圧になったときにシャッターカーテン1が可動片14dを押したような場合に、可動片14dの開放姿勢側への不用意な揺動を回避することができ、塞ぎ機能の向上を達成できる。
【0023】
そしてこのものでは、前記開放姿勢に維持される可動片14dを塞ぎ姿勢に復帰させると共に、これに合わせて下動停止をしている塞ぎ体13の下動を再開させるための解除部が、塞ぎ体13を覆蓋するためのカバー体13hのシャッターカーテン側端縁13kの下部に、該端縁13kよりも突出するようにして設けた段差凸部13lであるため、該解除部の構成が簡単になって構造の簡略化を図ることができる。
【0024】
しかもこの場合に、可動片14dの上端部と、ガイドレール5の切欠き部6b、7bよりも上部位のガイドレール内側面6a、7aとのあいだの隙間が塞ぎ板13mによって塞がれることになって、遮蔽性の良いものとなる。
【0025】
そのうえ可動片14dを塞ぎ姿勢から開放姿勢に案内する部材が、座板12の前後方向両端面部の上端縁であり、開放姿勢になったときに可動片14dが当接する部位が、同じく座板12の前後方向両端面部12dであるから、部材の共通化か図れることになって構造の簡略化を図ることができる。
【0026】
また可動片14dは、塞ぎ姿勢において、揺動支軸14gからシャッターカーテンのカーテン面に対して垂直状に延設される第一案内部14hと、該第一案内部14hの先端から先端側ほどガイドレール側に向けて傾斜する第二案内部14iとを備えて構成され、開放姿勢に揺動する前半過程では前記カーテン面と垂直状態になっている第一案内部14hが前後方向両端面部12dに交差状に当接して可動片14dを開放方向に揺動案内し、後半過程では前記傾斜する第二案内部14iが交差状に当接して可動片14dを開放方向に揺動案内することになるため、後半過程において可動片14dがカーテン面に沿う方向を向いても開放方向への確実な案内ができることになって、操作性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、ビル、工場等の建築物の大開口部や大部屋、地下通路等に防火、防煙区画を設けたりするための建築用防火シャッター装置としての利用可能性がある。
【符号の説明】
【0028】
1 シャッターカーテン
5 ガイドレール
6、7 ガイド体
6b、7b 切欠き部
13 塞ぎ体
13h カバー体
13k カバー体のシャッターカーテン側端縁
13l 段差凸部
13m 塞ぎ板
14d 可動片
14e 弾機
14g 支軸
14h 第一案内部
14i 第二案内部