(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235958
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】建材パネルとその製造方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/80 20060101AFI20171113BHJP
F16L 59/02 20060101ALI20171113BHJP
F16L 59/065 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
E04B1/80 100Q
F16L59/02
F16L59/065
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-74036(P2014-74036)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-196955(P2015-196955A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 守史
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 和義
【審査官】
星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−012956(JP,A)
【文献】
特開2012−012860(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/097681(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/80
E04B 1/90
F16L 59/02
F16L 59/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面材と、
該表面材に設置した真空断熱材と、
前記真空断熱材を覆って前記表面材の周縁部に取り付けた断熱層と、
該断熱層の前記真空断熱材と反対側の面に被着した被覆シートと、
前記断熱層の側面に被着した弾性を備えた断熱性のパッキンと、
前記パッキンの前記断熱層と反対側の側面に設けたフィルムと、
を備えたことを特徴とする建材パネル。
【請求項2】
前記断熱層は表面材の端面を覆っている請求項1に記載された建材パネル。
【請求項3】
表面材と、
該表面材に設置した真空断熱材と、
前記真空断熱材を覆って前記表面材の周縁部に取り付けた断熱層と、
該断熱層の前記真空断熱材と反対側の面に被着した被覆シートと、
前記断熱層の側面に被着した弾性を備えた断熱性のパッキンと、を備え、
前記パッキンの端面は前記表面材の表面より引込められていることを特徴とする建材パネル。
【請求項4】
表面材と、
該表面材に設置した真空断熱材と、
前記真空断熱材を覆って前記表面材の周縁部に取り付けた断熱層と、
該断熱層の前記真空断熱材と反対側の面に被着した被覆シートと、
前記断熱層の側面に被着した弾性を備えた断熱性のパッキンと、を備え、
前記パッキンは前記表面材の端面に重なっていることを特徴とする建材パネル。
【請求項5】
表面材の端面または端面近傍に仮枠を配設する工程と、
前記表面材の一方の面に真空断熱材を載置する工程と、
前記真空断熱材を覆うように前記仮枠上に被覆シートを載置する工程と、
前記表面材及び前記被覆シートの間の空間に前記真空断熱材を覆うように断熱材を形成する工程とを備えたことを特徴とする建材パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の新築やリフォーム等に用いる断熱性の高い建材パネルとその製造方
法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、新築の際に、建物の断熱性を高くするために部屋の壁面として断熱性の高い建材パネルを被着したり、リフォームの際に、既存の建物の部屋の断熱性を高くするために壁面を断熱性の高い建材パネルに張り替えたり壁面の内側に取り付けたりする場合、例えば特許文献1に記載されたような断熱材を内蔵した建材パネルが用いられている。この建材パネルでは、室内側から室外側に向けて、化粧合板等の表面材、反りを防ぐガラスネット等の杭張材、発泡ポリウレタン等の断熱材、真空断熱材、更に杭張材等が積層されて一体形成されている。
【0003】
また、他の例として、例えば
図8に示すような建材パネル100が用いられている。この建材パネル100では、両面アルミライナーシート101、103の間に真空断熱材102を配設すると共に真空断熱材102の周囲に押出ポリスチレン(XPS)等の樹脂枠104を配設した一次パネル105を有している。
そして、壁面に建材パネル100を取り付ける際、一次パネル105を壁面の柱や小柱にビス106で固定し、その上に所定寸法に切断した石膏ボード107を取り付けてビス108で固定している。その際、真空断熱材102の断熱性を損なわないために、ビス108やビス106は真空断熱材102を外れた樹脂枠104に打ち込んで真空断熱材102を傷つけないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−67973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や
図8に示す建材パネルを壁面に固定する際、壁面の下地の柱や小柱の位置を確認してビスや釘等を打ち込まなければならず、下地の柱や小柱の位置の確認が面倒であった。また、ビスや釘を打ち込むには、真空断熱材を外れた枠体や樹脂枠等の外枠部分で打ち込まなければならず、しかもビスや釘を壁面に打ち込む音が大きく、騒音が発生する欠点があった。特に壁面がコンクリート壁であると一層大きな打ち込み音が発生するという欠点がある。
しかも、これらの建材パネルは杭張材や断熱材等の積層枚数が多く、製造に手間がかかる欠点があった。特に後者の建材パネル100では、一次パネル105の上に石膏ボード107を固定する際、現場で石膏ボードを所定寸法に加工しなければならず、切断時に粉塵が飛散する欠点があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、簡単な構成で一体形成されていて製造と取り付けが容易な建材パネル
及びこの建材パネルの製造方
法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による建材パネルは、表面材と、表面材に設置した真空断熱材と、真空断熱材を覆って表面材の周縁部に取り付けた断熱層と、断熱層の真空断熱材と反対側の面に被着した被覆シートと
、断熱層の側面に被着した弾性を備えた断熱性のパッキンと、パッキンの断熱層と反対側の側面に設けたフィルムと、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、現場で表面材を必要寸法に合わせて加工することがなく、表面材と断熱層とで真空断熱材を挟み込んで包むように保持したので、簡単な構成で一体化できて製造が容易である。しかも、建材パネルは薄型で真空断熱材によって高い断熱性を得られるため、建物の壁面を撤去することなく、その内側に簡単かつ容易に取り付け可能である。なお、真空断熱材は断熱層よりも高い断熱性を有する部材である。
建材パネルの断熱層の側面にパッキンを固定させたから、隣り合う建材パネルのパッキン同士を圧縮させた状態で取り付けることができ、建材パネル同士の間隙を互いのパッキンで埋めて断熱性を確保して防露性を発揮できる。しかも、パッキンの側面にパッキンより摩擦抵抗の小さいフィルムを設けたために、取り付け時に建材パネル同士の位置調整を行う際、スムーズに摺動させて建材パネルの相対位置を調整できて作業が容易である。
【0008】
また、断熱層は表面材の端面を覆っていてもよい。
断熱層で表面材の端面を覆うことで表面材の端面が露出しないので端面を保護できる。
【0011】
本発明による建材パネルは、表面材と、該表面材に設置した真空断熱材と、前記真空断熱材を覆って前記表面材の周縁部に取り付けた断熱層と、該断熱層の前記真空断熱材と反対側の面に被着した被覆シートと、前記断熱層の側面に被着した弾性を備えた断熱性のパッキンと、を備え、前記パッキンの端面は前記表面材の表面より引込められていることを特徴とする。
パッキンを建材パネルの表面材の表面より引込めて段差を形成することで、パッキンが建材パネルから剥がれることを防止できると共に表面材に壁紙や化粧紙等を貼着する際、パテ等を充填させて平坦に被着させることができる。
【0012】
本発明による建材パネルは、表面材と、該表面材に設置した真空断熱材と、前記真空断熱材を覆って前記表面材の周縁部に取り付けた断熱層と、該断熱層の前記真空断熱材と反対側の面に被着した被覆シートと、前記断熱層の側面に被着した弾性を備えた断熱性のパッキンと、を備え、前記パッキンは前記表面材の端面に重なっていることを特徴とする。
パッキンが表面材の端面に重なることで表面材の端面から粉塵等が落下することを防止できる。
【0013】
本発明による建材パネルの製造方法は、表面材の端面または端面近傍に仮枠を配設する工程と、表面材の一方の面に真空断熱材を載置する工程と、真空断熱材を覆うように仮枠上に被覆シートを載置する工程と、表面材及び被覆シートの間の空間に真空断熱材を覆うように断熱材を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、表面材と断熱層とで真空断熱材を挟み込んで包むように保持したので、簡単に一体化できて組立が容易であり、工程数を少なくできる。
【0014】
本発明による建材パネルの施工方法は、上述したいずれかの建材パネルの表面材に対向する被覆シートに接着剤及び両面テープの少なくとも一方を付着する工程と、建材パネルの被覆シートを壁面に接着する工程とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、建材パネルの被覆シートを接着剤と両面テープの少なくとも一方によって建物の壁面に張り付けることができるので、現場での作業時に釘打ち等が必要なく打設音がせず、しかも柱等を探す壁面の下地調査が不要であり、簡単に壁面に取り付けできる。また、現場で石膏ボード等の表面材を切断加工する必要がないので粉塵等の発生を防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による建材パネルによれば、表面材と断熱材とで真空断熱材を覆って一体化するようにしたから、構成が簡単である上に製造が容易であるという効果を奏する。しかも、建材パネルは薄型で高い断熱性を得られるため、建物の壁面を撤去することなく、その内側に簡単かつ容易に取り付けできる。
【0016】
また、本発明による建材パネルの製造方法によれば、表面材の上に真空断熱材を設置して真空断熱材を覆って表面材との間に真空断熱材を包み込むようにしたから、簡単な構成で一体化できて、製造が容易で工程を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態による建材パネルを部屋の壁面に取り付ける状態を示す水平断面図である。
【
図2】本発明の実施形態による建材パネルの一部破断平面図である。
【
図3】
図2に示す建材パネルの部分縦断面図である。
【
図4】
図2に示す建材パネルの表裏面図と縦断面図である。
【
図5】(a)〜(e)は実施形態による建材パネルの製造工程を示す図である。
【
図6】本発明の変形例による建材パネルの一部破断平面図である。
【
図7】
図6に示す建材パネルの部分縦断面図である。
【
図8】従来の建材パネルを示す図であり、(a)は一部破断平面図、(b)は壁面への取り付け工程を示す部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態による建材パネルについて添付図面によって説明する。
図1乃至
図5は本発明の実施形態による建材パネル1を示すものである。
本実施形態による建材パネル1は、新築の建物の部屋の断熱性を高くするために部屋の壁面の上に取り付け、または壁面として取り付けることができる。或いは、建材パネル1は、リフォーム等で、既存の部屋の断熱性を高くするために壁面に張り付けたりするものである。本実施形態は、リフォームに際し、
図1に示す建物の部屋2の壁面3の上に薄板状の建材パネル1を張り付けて簡便に断熱性を向上させるようにしたものである。
【0020】
本実施形態による建材パネル1は、
図2乃至
図4に示す構成を備えている。
建材パネル1は、例えば四角形板状に形成されており、室内側に位置する表面材として例えば石膏ボード5が配設され、石膏ボード5の屋外側の裏面には板状の真空断熱材6が載置されている。石膏ボード5は予め測定された室内の壁面3の寸法に応じて切断加工されて建材パネル1に一体形成されている。
【0021】
真空断熱材6は石膏ボード5の裏面の中央領域に載置されており、その周縁部5aには設置されていない。真空断熱材6は1枚のシートでもよいが、
図4に示すように、石膏ボード5の上に複数枚、例えば4枚の真空断熱材6を互いに離間して載置してもよい。真空断熱材6は例えばグラスウール等の多孔質構造の芯材をラミネートフィルムで被覆し封止したものであり、後述する硬質ウレタン樹脂と比較しても高い断熱性を備えている。
【0022】
そして、真空断熱材6を覆って周縁部を石膏ボード5の周縁部5aに接着させる断熱性の高い断熱層として、例えば硬質ウレタン樹脂層7が配設されている。硬質ウレタン樹脂層7は石膏ボード5との間で、真空断熱材6の表面6aと四辺の端面6bを覆っている。硬質ウレタン樹脂層7は真空断熱材6を覆うと共に石膏ボード5の周縁部5aと四辺の端面5bを覆う構成を形成している。
そのため、石膏ボード5の各端面5bは外部に露出せず、硬質ウレタン樹脂層7の端部7aは石膏ボード5の室内側の表面5cと面一に形成されている。更に硬質ウレタン樹脂層7の石膏ボード5と反対側の面、即ち室外側の面には被覆シート8として例えばクラフト紙やビニールシート等が被着されている。
【0023】
また、建材パネル1の四角形板状の四辺をなす側面1aは硬質ウレタン樹脂層7と被覆シート8の各側面で形成されており、四周の各側面1aには弾性と断熱性を有するパッキン9が接着されている。このパッキン9は例えば断面四角形の角柱状であり、例えばEPDM(エチレンプロピレンゴム)を用いており、或いは他のゴムやスポンジ等を用いてもよい。その幅は、
図3に示すように硬質ウレタン樹脂層7と被覆シート8の厚みより若干短く形成され、パッキン9の幅方向の側面9aには摩擦力が小さく滑り易い樹脂フィルム10が被着されている。なお、樹脂フィルム10に限定されることなく、アルミシート等でもよく、摩擦力が小さい滑り易いフィルムであればよい。
そして、パッキン9は室外側の一方の端面9bが被覆シート8と面一に取り付けられ、室内側の他方の端面9cは、硬質ウレタン樹脂層7の室内側の端部7aより若干落ち込んだ位置にあり段差が形成されている。
【0024】
本実施形態による建材パネル1は上述の構成を備えており、次に建材パネル1の製造方法について
図5により説明する。
まず、
図5(a)において、まず、四角形の四辺に沿って仮枠13を剥離シート12と共に設置し、仮枠13に接触させて、または若干の隙間を開けて、各仮枠13の内側に石膏ボード5を載置する。次に、
図5(b)において、石膏ボード5の表面中央に周縁部5aを除いて真空断熱材6を載置し、更に
図5(c)に示すように、仮枠13の上に被覆シート8を被覆して石膏ボード5と被覆シート8との間の空間を封止する。
【0025】
次に、
図5(d)に示すように、例えば発泡系の硬質ウレタン樹脂を空間の側面から充填して石膏ボード5との間で真空断熱材6を封止して硬化させる。硬質ウレタン樹脂が硬化して硬質ウレタン樹脂層7が形成された後、仮枠13と剥離シート12を取り除き、建材パネル1の四辺の側面1aに樹脂フィルム10が被着されたパッキン9を接着する。こうして、建材パネル1を製造できる。
なお、建材パネル1を取り付ける部屋2の壁面3にコンセントが設けられている場合、そしてコンセントが真空断熱材6に重なる場合には真空断熱材6を加工できないので、
図2に示すように開口14の部分を予め硬質ウレタン樹脂層7で形成する。そして、壁面3に建材パネル1を取り付ける際に開口14のマーキングをした石膏ボード5と硬質ウレタン樹脂層7を現場で切除してコンセントの差込口を室内に露出させるようにすればよい。
【0026】
次に、建材パネル1の施工方法について説明する。
リフォームの場合、
図1において、部屋2の壁面3の縦横寸法を測定して建材パネル1の加工工場に寸法を連絡し、工場で製造する建材パネル1の縦横寸法を決定する。そして、製造された建材パネル1について、
図3に示すように、建材パネル1の屋外側裏面に設けた被覆シート8の周縁部近傍に両面テープ15を接着すると共にその内側または外側に接着剤16を塗布する。
【0027】
そして、
図1に示す部屋2の壁面3に建材パネル1を接着し、両面テープ15と接着剤16によって建材パネル1を壁面3に固定する。そして、別の建材パネル1を同様にして順次壁面3に接着していく。その際、先に接着した建材パネル1の側面1aに設けたパッキン9に次の建材パネル1のパッキン9を互いに圧縮させるようにして密着させて位置決めして固定する。しかも、各建材パネル1のパッキン9の表面には滑り易い樹脂フィルム10が被着されているために、建材パネル1同士が互いに滑って位置調整を容易にできる。
【0028】
また、建材パネル1のパッキン9は例えばEPDMからなるため断熱性を有しており、隣同士の建材パネル1のパッキン9を互いに圧縮状態にすることで隙間がなく、断熱性を確保できる。
そして、予め測定した寸法に基づいて壁面3に複数の建材パネル1を隙間なく敷き詰めて張り合わせる。また、建材パネル1は隣り合うパッキン9同士を圧接することでパッキン9の室内側の端面9bに段差による凹部が形成されるが、この凹部に漆喰等のパテを充填して敷き詰めた複数の建材パネル1の表面全体に壁紙(図示せず)等を貼り付けることで平面状にきれいに壁紙を貼着することができる。
【0029】
上述のように本実施形態による建材パネル1によれば、現場で石膏ボード5を必要寸法に合わせて加工することがなく真空断熱材6及び硬質ウレタン樹脂層7と一体化して製造できる。しかも、石膏ボード5と硬質ウレタン樹脂層7とで真空断熱材6を挟み込んで包むように保持したので、薄型であり、簡単な構成で一体化できて、製造が容易である。
また、建材パネル1の各側面1aに断熱性のあるパッキン9と樹脂フィルム10を積層状態で被着させたから、壁面3に複数の建材パネル1を互いに当接させて接着する際、パッキン9同士を圧縮させて固定することで、建材パネル1同士の隙間も断熱させることができて防露性を向上できる。しかも、パッキン9の表面に摩擦抵抗の小さい樹脂フィルム10を設けたために、取り付け時に建材パネル1同士の位置調整を行う際、スムーズに摺動させて建材パネル1の相対位置を調整できて作業が容易である。
また、本実施形態による建材パネル1は薄型で高い断熱性を得られるため、部屋2の壁面3を撤去することなく、その内側に両面テープ15や接着剤16で固定できるので簡単かつ容易に取り付けることができる。
【0030】
また、本実施形態による建材パネル1の製造方法によれば、石膏ボード5の上に真空断熱材6を設置して硬質ウレタン樹脂層7によって真空断熱材6を覆って石膏ボード5との間に真空断熱材6を包み込むように固定したから、建材パネル1の組立が容易で工程数を少なくできる。
【0031】
また、本実施形態による建材パネル1の施工方法によれば、建材パネル1を接着剤16と両面テープ15によって壁面3に張り付けることができるので、現場での作業時に釘打ち等の打設音がせず壁面3の下地調査が不要であり、簡単に壁面3に取り付けできる。また、現場で石膏ボード5を切断加工する必要がないので加工による粉塵等の発生を防止できる。
【0032】
なお、本発明による建材パネル1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能である。
図6は本発明の変形例による建材パネル1Aを示すものであり、本変形例による建材パネル1Aは石膏ボード5が建材パネル1Aの端縁である側面1aまで延びており、石膏ボード5の表面上に真空断熱材6と硬質ウレタン樹脂層7とが設置されている。
また、表面材として石膏ボード5以外の合板等、適宜の材料を用いることができる。断熱層も硬質ウレタン樹脂層7以外に適宜の断熱材を用いることができる。
また、上述した実施形態では、硬質ウレタン樹脂層7の端部7aを石膏ボード5の室内側の表面5cと面一に形成したが、硬質ウレタン樹脂層7の端部7aを石膏ボード5の表面5cより引っ込ませて段差を形成してもよい。内装クロスが硬質ウレタン樹脂層7と接着し難い場合があるので、その場合には、端部7aの表面にパテを塗布することで内装クロスと接着させることができる。
【0033】
また、上述した実施形態等では、建材パネル1,1Aは部屋の壁面に3に取り付けるようにしたが、これに限定されることなく床面や天井等にも用いることができる。
また、上述の実施形態では、リフォームに際し建材パネル1、1Aを部屋の壁面3に取り付けるようにしたが、これに代えて建物の新築時や壁面3を除去したリフォーム時等に際し、壁面として建材パネル1,1Aを取り付けるようにしてもよい。この場合、建材パネル1,1Aは壁面を1枚で形成して釘打ち等で柱や小柱や梁に固定したり、接着剤や両面テープ等で裏面を柱や梁、小柱等に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0034】
1,1A 建材パネル
3 壁面
5 石膏ボード
6 真空断熱材
7 硬質ウレタン樹脂層
8 被覆シート
9 パッキン
10 樹脂フィルム
15 両面テープ
16 接着剤