【実施例】
【0016】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、
図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤20(
図2参照)を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられると共に、遊技盤20の後側に、図柄を変動表示可能な表示装置17(
図3参照)が着脱し得るよう配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤20を透視可能に保護する透明部材13aを窓部に備えた装飾枠としての前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組み付けられる。なお、実施例では、前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。
【0017】
前記表示装置17は、後述する始動入賞口へのパチンコ球の入賞を契機として演出用の図柄(飾図という場合もある)を表示部17aに変動表示させる図柄変動演出を行うよう構成される。また表示装置17では、図柄変動に関連して実行される各種の表示演出(リーチ演出、予告演出、報知演出等)を表示部17aに表示し得るようになっている。実施例では、前記表示装置17として、各種図柄や表示演出に係る画像を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、有機EL(Electro-Luminescence)を用いた表示装置、あるいはドラム式の表示装置やドットマトリックス式の表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を用いることができる。
【0018】
前記前枠13には、
図1に示す如く、前記下球受け皿15の右側方に、前記中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル16が設けられる。この操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、該操作レバー16aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20に向けて発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー16aの回動量に応じて前記打球発射装置によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー16aを操作して回動量を調節することで、前記遊技盤20に配設された後述する枠状装飾体42の左側の遊技領域28をパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該枠状装飾体42の右側の遊技領域28をパチンコ球が流下する所謂「右打ち」とを打ち分け得るようになっている。また、前枠13の前部には、LED等の発光体による発光演出が可能なランプ装置18や、音声や効果音を出力可能なスピーカ19が配設されており、前記表示装置17での図柄変動演出に合わせてランプ装置18で発光演出を行ったりスピーカ19で音声演出を行い得るよう構成されている。
【0019】
(遊技盤20について)
前記遊技盤20は、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂材等からなる透明な平板状の板部材であって、該遊技盤20の裏側に、合成樹脂材により前方へ開口した箱状に形成されて遊技盤20との間に収容空間27を画成する設置部材22が配設されている(
図3参照)。前記遊技盤20と設置部材22との間の収容空間27には、動作により演出を行う可動演出装置50(後述)や発光により演出を行う発光演出装置(図示せず)等が設置されており、透明な遊技盤20を介して該遊技盤20の前面側から当該収容空間27内の可動演出装置50を遊技者が目視し得るよう構成されている。なお、前記表示装置17は、設置部材22の裏側に取り付けられて、後述するように設置部材22に設けた開口部(可視部)22aおよび枠状装飾体42(後述)の開口部42aを介して遊技盤20の前側に視認可能に臨むよう構成される。遊技盤20は、木材板の表面に各種絵柄等が描かれた合成樹脂シート等を貼付けて装飾したものであってもよい。
【0020】
前記遊技盤20の前面側には、前面(盤面)に配設された略円形状の案内レール23によりパチンコ球が流下可能な遊技領域28が画成されている。案内レール23は、
図2に示すように、遊技盤20の左下部から右上部に至るよう左方向に膨出する円弧状に形成された外レール24と、遊技盤20の右上部、右下部および左上部に至るよう右方向に膨出する円弧状に形成された内レール25とから構成されている。前記内レール25は、外レール24の右上端部に連接して遊技盤20の右上部から下部に亘って配設され、左端縁が右方に凹む円弧状に形成された盤面飾り部材25aと、遊技盤20の下部から左上部に亘って配設されて盤面飾り部材25aの下端部に連接し、前記外レール24の右方(内側)に離間して位置するレール部材25bとから構成され、該外レール24およびレール部材25bにより1個のパチンコ球が通過可能な発射通路26が画成されている。ここで、前記内レール25を構成するレール部材25bは、前記遊技盤20の左上部に開放端が臨むよう配置されて、外レール24との間に遊技領域28に開口する発射口を画成するよう構成され、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が発射通路26の下方開口から飛翔して、当該発射口から遊技領域28内に打ち出されるようになっている。
【0021】
前記遊技盤20には、前後に貫通する装着口が前記遊技領域28内の適宜位置に開設されて、各装着口に対して各種の遊技盤設置部品が配設されている。なお、実施例の遊技盤20には、遊技盤設置部品として枠状装飾体42、始動入賞装置31、特別入賞装置33、普通入賞部34、ゲート部35等を設置する装着口が形成されている。なお、
図3には、枠状装飾体42が設置される装着口21と、始動入賞装置31および特別入賞装置33が設置される装着口21を図示してある。そして、前記遊技盤20において遊技領域28の最下部位置に、該遊技領域28の最下部位置まで流下したパチンコ球を遊技盤20の外部に排出するアウト口36が開設されている。すなわち、前記打球発射装置から発射されて遊技領域28を流下するパチンコ球が前記遊技盤設置部品に設けられた入球部(始動入賞装置31、特別入賞装置33、普通入賞部34、ゲート部35等)に入球することにより、入球した入球部に応じた賞球の払い出しや図柄変動演出の実行等の所定の遊技が行われ、遊技領域28の最下部まで流下したパチンコ球がアウト口36を介して機外に排出されるよう構成される。なお、前記装着口の形成数は、遊技盤20に対して取り付けられる遊技盤設置部品の配設位置や配設数等に応じて適宜に決定される。
【0022】
また、前記遊技盤20には、前記遊技領域28内に多数の遊技釘37が設けられると共に、後述する枠状装飾体42の左側方に、遊技領域28を流下するパチンコ球の接触に伴って回転する回転案内部材38が回転自在に支持されており、遊技釘37や回転案内部材38との接触によりパチンコ球の流下方向が不規則に変化するよう構成されている。前記回転案内部材38は、所謂「風車」とも称される部材であって、該回転案内部材38の回転に伴ってパチンコ球を弾くように左右方向へ放出する部材である。
【0023】
実施例の前記遊技盤20には、
図2,
図3に示すように、前記案内レール23で囲まれた遊技領域28の略中央の大部分が開口する装着口21に、前後に開口する枠状に形成された枠状装飾体42が取り付けられ、該枠状装飾体42の開口部42aの後方に、前記設置部材22の開口部22aが位置するようになっている。すなわち、前記枠状装飾体42の開口部42aの後方に前記表示装置17の表示部17aが位置するよう構成されている。
【0024】
また、前記遊技盤20には、前記枠状装飾体42の下方位置(アウト口36の直上位置)に形成された装着口21に、遊技領域28を流下するパチンコ球が入賞可能な第1始動入賞口29および第2始動入賞口30が設けられた始動入賞装置31および特別入賞口32が設けられた特別入賞装置33が配設されている。第1始動入賞口29は、パチンコ球が入賞可能に遊技領域28内で常に上方開口した常時開放型の入賞口とされており、遊技盤20の遊技領域28を流下するパチンコ球の流下態様に応じて任意のタイミングで第1始動入賞口29にパチンコ球が入球(入賞)し得るよう構成されている。また、第2始動入賞口30は、該第2始動入賞口30を図示しない駆動手段の駆動に伴って開放可能に開閉部材31aで閉鎖する開閉型の入賞口とされており、遊技盤20の遊技領域28を流下するパチンコ球の流下態様および駆動手段の駆動による開閉部材31aの開放動作タイミングに応じて第2始動入賞口30にパチンコ球が入賞し得るよう構成されている。
【0025】
前記特別入賞装置33の特別入賞口32は、該特別入賞口32を図示しない駆動手段の駆動に伴って開放可能に開閉部材33aで閉鎖する開閉型の入賞口とされており、遊技盤20の遊技領域28を流下するパチンコ球の流下態様および駆動手段の駆動による開閉部材33aの開放動作タイミングに応じて特別入賞口32にパチンコ球が入賞し得るよう構成されている。
【0026】
前記遊技盤20には、前記枠状装飾体42の左側をパチンコ球が流下する遊技領域28に、複数の装着口が上下に離間して開設されており、最上部の装着口にゲート部35が配設されると共に、該ゲート部35が配設される装着口より下側の複数の装着口には普通入賞口34aが夫々設けられた普通入賞部34が配設されている。ゲート部35は、パチンコ球が通過可能なゲート入口およびゲート出口が遊技領域28内で常に上下に開口する常時開放型の入球部とされ、遊技盤20の遊技領域28を流下するパチンコ球の流下態様に応じて任意のタイミングでゲート入口をパチンコ球が入球(通過)して、ゲート出口を介して遊技領域28に排出されるようになっている。また、普通入賞部34は、パチンコ球が入賞可能な普通入賞口34aが遊技領域28内で常に上方開口する常時開放型の入賞部とされ、遊技盤20の遊技領域28を流下するパチンコ球の流下態様に応じて任意のタイミングで普通入賞口にパチンコ球が入球(入賞)し得るようになっている。
【0027】
前記始動入賞装置31、特別入賞装置33および普通入賞部34の夫々は、各対応の入賞口29,30,32,34aに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出センサ(図示せず)を備えており、各入賞検出センサがパチンコ機10の裏側に配設された制御手段に配線接続されている。そして、始動入賞装置31が備える入賞検出センサの何れかによるパチンコ球の検出(パチンコ球を検出した検出信号の入力)に伴い特図当り判定条件(当り判定条件)が成立するようになっている。そして、特図当り判定条件が成立することで、特図当り(大当りや小当り)を生起させるか否かに関する特図当り判定が行われ、該判定結果が当りであった場合に、前記表示装置17で行われる図柄変動演出の結果として所定の当り表示(例えば同一図柄の3つ揃い等)で飾図が確定停止表示されて、前記特別入賞装置33の開閉部材33aを開放する遊技者に有利な当り遊技が付与されるよう構成されている。また、実施例のパチンコ機10では、前記入賞検出センサがパチンコ球を検出することで賞球払出条件が成立するよう構成されており、当該賞球払出条件の成立に伴って制御手段が図示しない払出制御装置に制御信号を出力して、所定数の賞球が前記上球受け皿14または下球受け皿15に払い出されるようになっている。
【0028】
前記ゲート部35には、ゲート入口に入球して当該ゲート部35を通過するパチンコ球を検出するゲートセンサ(図示せず)が設けられている。このゲートセンサは、パチンコ機10の裏側に配設された制御手段に配線接続されており、該ゲートセンサから制御手段への球検出信号の入力(すなわちパチンコ球の検出)に伴って普図当り判定条件が成立するようになっている。そして、普図当り判定条件の成立に伴って普図当りを生起させるか否かに関する普図当り判定が行われ、該判定結果が当りの判定であった場合に、前記始動入賞装置31の開閉部材31aが開放作動されて、第2始動入賞口30が開放するよう構成されている。なお、実施例では、前記ゲートセンサがパチンコ球を検出することによっては賞球払出条件が成立しないよう設定されており、パチンコ球のゲート部35の通過に伴って賞球が払い出されないようになっている。
【0029】
(枠状装飾体42について)
次に、前記枠状装飾体42について説明する。前記枠状装飾体42は、
図2,
図3に示す如く、前記遊技盤20に開設された枠状装飾体42が配設される装着口21の内側に沿って延在する環状に形成された枠状基部43と、該枠状基部43に設けられて前記遊技盤20の前面より前方に突出し、前記遊技領域28と表示装置17の表示部17aを区切る庇状部44と、該庇状部44の後縁から外方に延出する薄板状の台板部45とを備える。そして、前記枠状基部43を装着口21に挿入すると共に台板部45を遊技盤20の前面に当接した状態で、該台板部45をネジ等の固定手段で遊技盤20に固定することで、枠状装飾体42が遊技盤20に取り付けられて、該枠状装飾体42の外側、具体的には庇状部44と案内レール23との間にパチンコ球が流下する遊技領域28が画成されるようになっている。なお、枠状装飾体42を遊技盤20に取り付けた状態で、庇状部44の後端縁から外方に延出する台板部45が遊技盤20の前面に沿って延在して、該台板部45の前側をパチンコ球が通り得るよう構成される。また、枠状装飾体42は、全体が透明な合成樹脂製とされており、透明な遊技盤20の前側に台板部45を重ねた状態で、該台板部45および遊技盤20を介して裏側を透視可能に構成されている。
【0030】
前記枠状装飾体42の庇状部44は、前記枠状基部43の全周に亘って連続して延在するよう設けられており、前記遊技領域28から開口部42a内にパチンコ球が飛び込むのを規制して、前記表示装置17における表示部17aの前側をパチンコ球が移動しないように構成してある。また庇状部44は、最上部位置から左右方向に下方傾斜するよう形成されて、遊技領域28に打ち出されたパチンコ球が庇状部44上で滞ることなく枠状装飾体42の左側方または右側方へ誘導案内されるよう形成されている。
【0031】
前記枠状装飾体42には、
図2に示す如く、開口部42aの下側(枠状装飾体42の内周下縁部)に、ステージ46が配設されると共に、開口部42aの左側に、遊技領域28に開口して該遊技領域28を流下するパチンコ球を枠状装飾体42の内側(ステージ46)に取り込む球導入部47が設けられ、該球導入部47がステージ46に連通するよう構成される。そして、球導入部47からステージ46に通出されたパチンコ球は、ステージ46上を左右に転動した後に、前記始動入賞口29,30が設けられている遊技領域28に排出される。また、前記ステージ46の後端縁には、左右方向の全長に亘って上側に向けて所定高さで立上がる透明壁48(
図3参照)が設けられ、ステージ46上を転動するパチンコ球が表示装置17の表示部17a側に移動するのを該透明壁48で防止している。また、透明壁48の上端縁に、前記前枠13における透明部材13aの裏面に近接する位置(透明部材13aとの間をパチンコ球が通過できない隙間となる位置)まで張り出す張出部48aが設けられており、遊技釘37に接触して跳ねてステージ46に飛び込むパチンコ球が表示部17a側に移動するのを該張出部48aで防止している。
【0032】
前記枠状装飾体42には、
図2に示す如く、パチンコ機10のモチーフとなる意匠が施された複数の装飾部品49が、前記庇状部44の内周縁部に設けられている。そして、本実施例では、装飾部品49、庇状部44および前記透明壁48の張出部48aによって、前記表示装置17の表示部17aを前側に臨ませる開口部42aが画成される。
【0033】
(設置部材22について)
前記設置部材(設置部)22は、
図3,
図4に示す如く、前記遊技盤20の外郭形状より小さい略矩形状に形成された背面板40と、該背面板40の外周縁部から前方に突出する画壁部41とから前方に開口した箱状に形成されて、該画壁部41の開口前端部を遊技盤20の裏面に当接させた状態で、当該遊技盤20と設置部材22とがネジ止め固定される。そして、前記設置部材22において前記遊技盤20との間に画成される収容空間27に、動作により演出を行う可動演出装置50が設置されて、設置部材22を基材とする1つのユニットとして扱い得るようになっている。前記設置部材22の背面板40には、前記枠状装飾体42の開口部42aと前後に整列する位置に、略矩形状の開口部22aが前後に開口するよう開設される。そして、背面板40の裏面に配設した前記表示装置17の表示部17aが、前記開口部22aおよび開口部42aを介して遊技盤20の前側に臨むようになっている。なお、以下の説明では、設置部材22の背面板40について、開口部22aに対する上下左右の各部位を、上板部,下板部,左板部,右板部と指称して区別する場合もある。
【0034】
(可動演出装置50について)
図4に示す如く、前記設置部材22における背面板40の上板部に前記可動演出装置50が配設されている。可動演出装置50は、装飾体73,80,95が配設された可動体69を備え、該可動演出装置50は、可動体69を、装飾体73,80,95が上板部の前側で前記表示装置17の表示部17aの上辺側に位置する待機位置(
図2)と、該装飾体73,80,95が表示部17aの前側に重なる作動位置(
図17)との間で移動させる動作により演出を行い得るよう構成されている。実施例では、可動体69の待機位置において装飾体73,80,95は前記枠状装飾体42における庇状部44内の右上隅部位置し、可動体69の作動位置において装飾体73,80,95は枠状装飾体42の開口部42aの左右方向の中央に位置するようになっている。
【0035】
(ベース部材51について)
前記可動演出装置50は、該可動演出装置50を構成する部材の設置基盤となるベース部材51と、所定の演出動作を行う前記可動体69と、この可動体69を動作させる駆動機構58と、可動体69に動作可能に配設された可動装飾体73,80と、該可動装飾体73,80を可動体69の動作に伴って回転させる姿勢維持機構92とを備えている。前記ベース部材51は、前記背面板40における上板部の前側で左右方向に延在する長尺な部材であって、該ベース部材51が上板部にネジ止め固定されている。また、ベース部材51は、
図8,
図9に示す如く、平板状の前壁51aの周縁に後方に突出する側壁51bを設けて後側に開放する箱状に形成されている。ベース部材51の形状を具体的に説明すると、該ベース部材51は、右端部に上下方向の寸法が大きく設定された駆動機機取付部52が形成されると共に、該駆動機機取付部52より上下方向の寸法が小さく設定された横支持部53が駆動機構取付部52から左方向に所定長さで延在するよう形成されている。そして、駆動機構取付部52および横支持部53に設けられた複数の固定部51cを、前記上板部(背面板40)にネジ止め固定することで、可動演出装置50が設置部材22に位置決め固定される。すなわち、可動演出装置50は、設置部材22に対してベース部材51を介して着脱可能なユニット構造になっている。
【0036】
前記ベース部材51は、横支持部53における駆動機構取付部52から左方に離間する途中位置が前側に折曲されて平面視においてクランク形状に形成されており(
図7参照)、折曲部53aを挟んで左側の前壁51aに対して右側の前壁51aが一段後側に偏倚している。そして、折曲部53aより右側の前壁51aを後側に偏倚することで該前壁51aの前側に、折曲部前面から後側に所定長さの奥行きを有するベース側収容部54が画成される。このベース側収容部54は前および上下に開放しており、
図7,
図16に示す如く、前記駆動機機58を構成する後述する作動アーム64の一部が該ベース側収容部54に収容されるようになっている。なお、ベース側収容部54を画成する前壁51aの前面には、
図8に示す如く、上下方向に延在する複数のリブ55が左右方向に離間して突設されており、該リブ55によって作動アーム64を支持するよう構成される。また、前記横支持部53には、前壁51aの裏側に板金からなる補強板56が配設されて、当該ベース部材51が補強されている。
【0037】
前記ベース部材51の左端部には、
図12,
図14に示す如く、前壁51aから前側に所定間隔離間して軸支持部材57が該前壁51aに対向して配設されており、該軸支持部材57と前壁51aとの間に、前記可動体69の長手方向の一端部が、前後方向に延在する揺動軸70を介して回動自在に支持されている。そして、ベース部材51に配設された前記駆動機構58によって可動体69は、該可動体69の長手方向が左右方向に延在する待機位置(
図5,
図6参照)と、該可動体69の長手方向が上下方向に延在する作動位置(
図18,
図19参照)との間を揺動されるようになっている。
【0038】
(駆動機構58について)
前記駆動機構58は、
図8,
図9に示す如く、前記ベース部材51の駆動機構取付部52の前壁51aの裏側に配設されて出力軸を前壁51aから前側に突出させた駆動モータ(駆動手段)59と、ベース部材51に配設されて駆動モータ59の回転力を前記可動体69に伝達する伝達機構60とを備える。伝達機構60は、前記駆動モータ59の出力軸に連結された駆動歯車61と、該駆動歯車61に噛合する減速歯車62と、該減速歯車62と噛合する揺動用歯車63と、該揺動用歯車63に長手方向の一端部が連繋された作動アーム64とを備える。なお、減速歯車62および揺動用歯車63は、駆動機構取付部52の前壁51aから前側に所定間隔離間して配設された歯車支持部材65と該前壁51aとの間に回動自在に支持されている。減速歯車62は、大径歯車62aと、該大径歯車62aより小径の小径歯車62bとを軸方に一体形成した歯車であって、大径歯車62aが駆動歯車61に噛合すると共に、小径歯車62bが揺動用歯車63に噛合している。また、揺動用歯車63は、セクター歯車であって、該揺動用歯車63には、回転軸を挟んで歯部が形成された部分とは反対側に延出する連繋部63aが設けられており、該連繋部63aに前記作動アーム64が連繋されている。この作動アーム64は、
図7,
図8,
図9に示す如く、前記ベース部材51に沿って延在する左右方向に長尺な部材であって、長手方向の一端部(右端部)が揺動用歯車63の連繋部63aに回動自在に連繋されると共に、長手方向の他端部(左端部)が前記可動体69の後述する連繋部69aに回動自在に連繋されている。すなわち、駆動モータ59を正転方向および逆転方向に回転駆動することで、揺動用歯車63の回転によって作動アーム64が左右方向に移動するのに伴って可動体69が揺動軸70(揺動軸線)を中心として揺動するよう構成される。なお、駆動モータ59の回転方向について、可動体69を待機位置から作動位置へ移動させる方向を正転方向、可動体69を作動位置から待機位置へ移動させる方向を逆転方向と指称する場合もある。
【0039】
ここで、前記作動アーム64は、
図7に示す如く、前記ベース部材51の折曲部53aと対応する途中位置において前側に折曲された折曲部64aが設けられており、該折曲部64aから右端(揺動用歯車63の連繋部63aに連繋される端部)までの部分は、折曲部64aから左側の部分より一段後側に偏倚している。そして、作動アーム64における後側に偏倚した後偏倚部64bが、ベース部材51の前側に画成されている前記ベース側収容部54に収容されて、該作動アーム64における後偏倚部64bの前側への突出寸法が小さく抑えられるようになっている。また、後偏倚部64bの前側に、折曲部前面から後側に所定長さの奥行きを有するアーム側収容部66が前および上下に開放するように画成されており、該アーム側収容部66に後述する固定装飾体95の一部が収容されるようになっている(
図16参照)。なお、ベース部材51のベース側収容部54に収容される作動アーム64の後偏倚部64bの裏面は、ベース部材51に形成された前記リブ55に接触して後方への変位が防止されるよう構成されている。
【0040】
図8に示す如く、前記揺動用歯車63に検出片63bが設けられ、該検出片63bは、前記歯車支持部材65に配設された検出手段67によって検出可能に構成されている。検出手段67は、前記制御手段に配線接続されており、該検出手段67からの検出信号の入力に基づいて制御手段が前記駆動モータ59を駆動制御し得るよう構成される。前記検出片63bは、前記可動体69の待機位置において検出手段67で検出されて、該検出手段67の検出信号の入力に基づいて駆動モータ59を制御手段が停止制御することで、可動体69を待機位置(
図5,
図6参照)に停止保持し得るよう構成される。駆動モータ59としてステッピングモータが採用され、該駆動モータ59の駆動によって待機位置から移動を開始した可動体69を、移動パルス信号の制御によって作動位置(
図18,
図19参照)で停止するように駆動モータ59を制御手段で駆動制御し得るよう構成されている。
【0041】
前記ベース部材51の駆動機構取付部52の前壁51aに、
図8に示す如く、前後方向に貫通する弧状の貫通孔52aが形成されると共に、前記揺動用歯車63の連繋部63aに、該貫通孔52aから前壁裏側に突出するバネ係止部63cが設けられている。そして、バネ係止部63cにおける貫通孔52aから前壁裏側に突出する端部に、前壁裏側に設けたバネ固定部51d(
図9参照)に一端が係止された復帰補助手段としての第1コイルバネ68の他端が係止されている。そして、第1コイルバネ68によって揺動用歯車63には、前記可動体69を作動位置から待機位置に向けて移動する方向へ回転する付勢力が常に付与されるよう構成される。なお、貫通孔52aはバネ係止部63cの回動軌道に沿って形成されると共に、第1コイルバネ68は前壁51aの後側に配置されており(
図16参照)、該第1コイルバネ68が作動アーム64と接触して動作を阻害することがないようにしてある。
【0042】
(可動体69について)
前記可動体69は、待機位置において左右方向に延在する長尺な部材であって、
図12に示す如く、長手方向の一端部(待機位置の左端部)が前記ベース部材51と軸支持部材57との間に配設された前記揺動軸70に回動自在に支持されて、該可動体69は揺動軸70(揺動軸線)を中心として揺動可能に構成される。可動体69には、揺動軸70による支持部から径方向に離間するように延出する連繋部69aが形成されており、該連繋部69aに、前記作動アーム64の左端部(他端部)が回動自在に連繋されている。そして、前記駆動機構58の作動アーム64が左右方向に往復移動するのに伴って可動体69は、長手方向が左右に延在する待機位置(
図5,
図6参照)と、該長手方向が上下に延在する作動位置(
図18,
図19参照)との間を揺動するよう構成される。なお、可動体69は、待機位置において作動アーム64の下側に略重なるように位置している(
図14〜
図16参照)。
【0043】
前記可動体69の連繋部69aは、
図5に示す可動体69の待機位置において揺動軸70の左上方に位置しており、作動アーム64が右方向に移動するのに伴って可動体69は、揺動軸70を中心として時計回り方向に回転して待機位置から作動位置に至り、作動アーム64が左方向に移動するのに伴って可動体69は、揺動軸70を中心として反時計回り方向に回転して作動位置から待機位置に至るようになっている。また、可動体69には、揺動軸70での支持部に近接して前側に突出する規制部69bが設けられており、該規制部69bは、作動位置において前記軸支持部材57に設けられたゴム等の緩衝部材57aに当接するよう構成される(
図18参照)。なお、可動体69について、以後、揺動軸70で支持される一端部側を支持端部と指称すると共に、他端部側を延出端部と指称する場合がある。
【0044】
前記可動体69は、
図8〜
図11に示す如く、平板状の前壁69cの周縁に後方に突出する側壁69dを設けて後側に開放する箱状に形成されて、該前壁69cおよび側壁69dで画成される空間に、後述する作動部材89や歯車76,83等が収容されるようになっている。また、可動体69の前壁69cの裏面には、
図15に示す如く、下縁側の側壁69dから離間すると共に該側壁69dに沿って壁部69eが突設されて、該側壁69dと壁部69eとの間に配線通路71が後方に開放するように形成されており、後述する装飾体73,80,95に配設された発光基板79,86,98に接続される配線が該配線通路71内を引き回されるよう構成してある。なお、配線通路71の後方開口は側壁69dおよび壁部69eの後部に着脱自在に取り付けられた蓋部材72によって閉塞されており、配線通路71内を引き回される配線が後方に延出しないようにしてある。また、可動体69は、
図8および
図10に示す如く、長手方向の略中間から延出端部までの前壁69cが、支持端部側の前壁69cより一段後側に偏倚するように形成されており、両前壁69c,69cを区別する場合は、前側に出ている前壁69cを第1前壁69cと指称すると共に、後側に偏倚している前壁69cを第2前壁69cと指称する場合がある。
【0045】
前記可動体69には、所要の意匠が形成された可動装飾体(装飾体)73,80が、前記揺動軸70と平行な回転軸74,81(
図12参照)を介して回動自在に支持されており、該可動装飾体73,80が、可動体69の揺動に伴って作動する後述の作動機構88によって回転されるようになっている。すなわち、可動体69に支持される可動装飾体(装飾体)73,80は、該可動体69の揺動軸線と平行な軸回りに回動自在に構成されている。実施例では、可動体69に、該可動体69の長手方向(延在方向)に離間して2つの可動装飾体73,80が配設されており、揺動軸70に近い方を第1可動装飾体73と指称すると共に遠い方を第2可動装飾体80と指称するものとする。
【0046】
(第1可動装飾体73について)
前記可動体69には、
図8,
図10,
図15に示す如く、前記第1前壁69cに円筒状の第1軸支部75が設けられており、該第1軸支部75に、第1可動装飾体73の裏側に設けた第1回転軸(回転軸)74が前側から挿通されて回動自在に支持されている。また、第1軸支部75から後側に突出する第1回転軸74の端部に、後述する第1回転用ラック部93に噛合する第1回転用歯車(回転用歯車)76が一体で回転するよう固定されると共に、該第1回転用歯車76によって第1回転軸74の第1軸支部75からの抜け止めがなされている。
【0047】
前記第1可動装飾体73は、
図10,
図11,
図15に示す如く、最前面に位置する第1装飾カバー体77と、該第1装飾カバー体77の裏側に配設された第1ベース体78と、該第1装飾カバー体77と第1ベース体78との間に配設された第1発光基板79とを備える。第1ベース体78の裏面には、後方に突出するように前記第1回転軸74が設けられており、該第1回転軸74が前記第1軸支部75に前側から挿通されて、当該第1可動装飾体73が可動体69の前側で回転し得るようになっている。前記第1装飾カバー体77には、パチンコ機10のモチーフに合わせた文字や図形等の第1図柄77aが形成されている。実施例では、第1装飾カバー体77を光透過性を有する合成樹脂素材で形成したもとで、第1図柄77aを除く部分の表面にメッキ塗装等を施すことで、第1図柄77aの部分のみが光透過性を有するよう構成してある。第1発光基板79の前面には、LED等の複数の第1発光体79aが、第1図柄77aに対応して配設されており、該第1発光体79aの発光により第1図柄77aが明輝されるよう構成される。実施例の第1図柄77aは、前記第2可動装飾体80の後述する第2装飾カバー体84に形成された第2図柄84aとによって意味のある一連の図柄を形成するよう構成される。なお、第1可動装飾体73は、第1装飾カバー体77と第1発光基板79との間に、第1発光体79aからの光を拡散する光透過性の光拡散部材73aを備えている。
【0048】
(第2可動装飾体80について)
前記可動体69には、
図12に示す如く、前記第2前壁69cに第2軸支部81aが設けられており、該第2軸支部81aに支持されて後方に突出する第2回転軸(回転軸)81に、第2可動装飾体80の裏側に配設された保持部材82の長手方向の一端部が回動自在に支持されている。保持部材82は、
図16に示す如く、一端に第2回転軸81が回動可能に挿通される通孔82aが形成されると共に第2前壁69cと平行に延在する延在部82bと、該延在部82bの延出端部に形成されて前側に延在する保持部82cとからなり、該保持部82cに第2可動装飾体80が一体的に移動するように配設されている。また、保持部材82の延在部82bには、第2回転軸81と同軸で、後述する第2回転用ラック部94に噛合する第2回転用歯車(回転用歯車)83が一体に設けられている。
【0049】
ここで、前記保持部82cは、
図16に示す如く、第2可動装飾体80を前記第1可動装飾体73と前後方向で略同じ位置に臨ませる長さに設定されており、第2回転軸81を中心として保持部材82が回転することで、第2可動装飾体80が前記可動体69の前側で回転し得るようになっている。また、保持部材82における延在部82bの長さは、該保持部材82が第2回転軸81を中心として回転する際に保持部82cが可動体69および後述する固定装飾体95と干渉しない長さ寸法に設定されている。
【0050】
前記第2可動装飾体80は、
図10,
図11,
図16に示す如く、最前面に位置する第2装飾カバー体84と、該第2装飾カバー体84の裏側に配設された第2ベース体85と、該第2装飾カバー体84と第2ベース体85との間に配設された第2発光基板86とを備える。そして、前記保持部材82の保持部82cが第2ベース体85の裏面に固定されて、該保持部材82と第2可動装飾体80とが一体で回転するようになっている。前記第2装飾カバー体84には、パチンコ機10のモチーフに合わせた文字や図形等の第2図柄84aが形成されている。実施例では、第2装飾カバー体84を光透過性を有する合成樹脂素材で形成したもとで、第2図柄84aを除く部分の表面にメッキ塗装等を施すことで、第2図柄84aの部分のみが光透過性を有するよう構成してある。第2発光基板86の前面には、LED等の複数の第2発光体86aが、第2図柄84aに対応して配設されており、該第2発光体86aの発光により第2図柄84aが明輝されるよう構成される。そして、第2図柄84aは、前記第1可動装飾体73に設けた前記第1図柄77aとによって意味のある一連の図柄を形成するようになっている。
【0051】
(作動機構88について)
前記可動体69の前壁69cに、該可動体69の長手方向に離間して複数の案内部87が形成されており、前壁69cの裏側において該前壁69cに沿って延在する長尺な作動部材89が、該案内部87を介して可動体69の長手方向に移動自在に支持されている。案内部87は、
図10,
図11に示す如く、可動体69の長手方向に延在する長孔であって、作動部材89に設けた案内部材89aを対応する長孔に摺動自在に挿通することで、作動部材89は長孔(案内部87)に沿って可動体69の長手方向に移動し得るよう構成される(
図13参照)。
【0052】
前記ベース部材51に、前記揺動軸70と同軸で作動歯車90が回転しないように配設固定されている。また、前記作動部材89における可動体69の支持端部に近接する位置に、該作動歯車90に噛合する作動ラック部91が作動部材89の長手方向に所定長さで形成されている。すなわち、可動体69が揺動軸70を中心として揺動する際には、該可動体69に対して相対的に回転する作動歯車90と作動ラック部91との噛合作用下に作動部材89が可動体69に対して往復移動するよう構成される。実施例では、作動歯車90と作動ラック部91とによって、可動体69の揺動に伴って作動して作動部材89を揺動軸70と交差する方向に往復移動させる作動機構88が構成されている。また、
図13に示す如く、作動部材89に設けたバネ係止部89bに一端が係止された第2コイルバネ99の他端が、前記可動体69に設けたバネ係止部69fに係止されており、該第2コイルバネ99によって作動部材89には、可動体69に対して一定方向の付勢力が常に付与されるよう構成される。
【0053】
(姿勢維持機構92について)
前記作動部材89に、
図6に示す如く、前記第1可動装飾体73と一体的に回転する前記第1回転用歯車76と噛合する第1回転用ラック部(回転用ラック部)93が、作動部材89の長手方向に所定長さで形成されている。そして、可動体69の揺動に伴って前記作動機構88によって作動部材89が往復移動することで、第1回転用ラック部93と第1回転用歯車76との噛合作用下に可動体69に対して第1可動装飾体73が回転するよう構成される。第1回転用ラック部93に噛合する第1回転用歯車76は、作動部材89の往復移動時には可動体69の回転方向とは反対方向に同一角度で第1可動装飾体73を回転するよう設定されており、可動体69が待機位置と作動位置との間を揺動する間に亘って第1可動装飾体73と可動体69との相対的な回転によって第1可動装飾体73の姿勢が一定に維持されるようになっている(
図5,
図18参照)。すなわち、実施例では第1回転用ラック部93と第1回転用歯車76とによって、作動部材89の往復移動に伴って第1可動装飾体73を回転させる姿勢維持機構92が構成される。
【0054】
前記作動部材89に、
図6に示す如く、前記第2可動装飾体80と一体的に回転する前記第2回転用歯車83と噛合する第2回転用ラック部(回転用ラック部)94が、作動部材89の長手方向に所定長さで形成されている。そして、可動体69の揺動に伴って前記作動機構88によって作動部材89が往復移動することで、第2回転用ラック部94と第2回転用歯車83との噛合作用下に可動体69に対して第2可動装飾体80が回転するよう構成される。第2回転用ラック部94に噛合する第2回転用歯車83は、作動部材89の往復移動時には可動体69の回転方向とは反対方向に同一角度で第2可動装飾体80を回転するよう設定されて、可動体69が待機位置と作動位置との間を揺動する間に亘って第2可動装飾体80と可動体69との相対的な回転によって第2可動装飾体80の姿勢は一定に維持されるようになっている。すなわち、実施例では第2回転用ラック部94と第2回転用歯車83とによって、作動部材89の往復移動に伴って第2可動装飾体80を回転させる姿勢維持機構92が構成される。
【0055】
ここで、前記可動体69が前記背面板40における上板部の前側において左右方向に延在する待機位置において、前記第1可動装飾体73および第2可動装飾体80は、
図2,
図5に示す如く、前記作動部材89(可動体69)の延在方向と交差する斜めに並ぶように位置している。実施例では、第1可動装飾体73の右斜め下側に第2可動装飾体80が位置して、両可動装飾体73,80に形成された2つの図柄77a,84aによって一連の図柄を形成するよう構成される。また、前記可動体69が待機位置から回転して上下方向に延在する作動位置となった状態において、第1可動装飾体73および第2可動装飾体80は、
図17,
図18に示す如く、前記作動部材89(可動体69)の延在方向に沿って直線状に並ぶように位置している。実施例では、第1可動装飾体73の下側に第2可動装飾体80が位置して、両可動装飾体73,80に形成された2つの図柄77a,84aによって一連の図柄を形成するよう構成される。すなわち、2つの可動装飾体73,80は、可動体69の待機位置において斜めに並んでいる状態と、作動位置において直線状に並んでいる状態とで、同じ一連の図柄を形成するようになっている。また、可動体69に対して第2可動装飾体80を保持部材82を介して回動自在に配設して、該第2可動装飾体80の中央から径方向に離間する位置を回転中心とすることで、可動体69の待機位置では第2可動装飾体80が第1可動装飾体73に近接するのに対し、可動体69の作動位置では第2可動装飾体80が第1可動装飾体73から離間して両可動装飾体73,80の間に後述する固定装飾体95が前側に露出する隙間があくよう構成されている。なお、実施例では、前記可動装飾体73,80の図柄77a,84aとして文字が表されて、2つの図柄77a,84aによって意味のある語句が形成されるようにしてある。
【0056】
(固定装飾体95について)
前記可動体69における前記第2前壁69cの前面に、固定装飾体95が配設されている。この固定装飾体95は、可動体69に対して相対的な位置が変わらないように固定されており、可動体69の回転に伴って前側から見える姿勢が変化するようになっている。固定装飾体95は、
図12,
図16に示す如く、前記第1および第2可動装飾体73,80と干渉しないように両可動装飾体73,80より後側に位置すると共に、両可動装飾体73,80の一部が前側に重なる位置関係に設定されている(
図5参照)。また、固定装飾体95は、可動体69の待機位置において、第1可動装飾体73の右側で第2可動装飾体80の上側に位置し(
図5参照)、可動体69の作動位置では上下に並ぶ第1および第2可動装飾体73,80の間に位置するようになっている(
図17,
図18参照)。なお、可動体69の待機位置において、固定装飾体95における可動体69から上方に延出する部分が、前記作動アーム64における後偏倚部64bの前側に画成されているアーム側収容部66に収容されている。
【0057】
前記固定装飾体95は、
図10,
図11,
図16に示す如く、最前面に位置する固定装飾カバー体96と、該固定装飾カバー体96の裏側に配設された固定発光基板98とを備える。固定装飾カバー体96には、パチンコ機10のモチーフに合わせた文字や図形等の固定図柄96aが形成されている。実施例では、固定装飾カバー体96を光透過性を有する合成樹脂素材で形成したもとで、固定図柄96aを除く部分の表面にメッキ塗装等を施すことで、固定図柄96aの部分のみが光透過性を有するよう構成してある。固定発光基板98の前面には、LED等の複数の固定発光体98aが、固定図柄96aに対応して配設されており、該固定発光体98aの発光により固定図柄96aが明輝されるよう構成される。
【0058】
前記固定装飾体95に形成される固定図柄96aは、前記可動体69の待機位置と作動位置とで姿勢が変化しても遊技者に与える違和感が小さい形状に形成されている。実施例では、可動体69の待機位置と作動位置とでは、固定装飾体95の姿勢が90度変わるようになっており、固定図柄96aは、90度の姿勢変化によって見ための印象が大きく変わらない形状になっている。
【0059】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0060】
前記前枠13に設けられた前記操作ハンドル16の操作レバー16aを遊技者が回転操作すると、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が前記遊技盤20の遊技領域28内に打ち出される。この遊技領域28に打ち出されたパチンコ球は、前記枠状装飾体42の外周囲を流下し、該パチンコ球が前記始動入賞口29,30に入賞すると、前記制御手段の制御に基づいて前記表示装置17の表示部17aにおいて図柄が変動開始され、所要の図柄変動演出が展開される。表示部17aで展開される図柄変動演出の結果、該表示部17aに所定の図柄組合わせで図柄が停止表示されたときに大当りが発生する。そして、大当りが発生すると、表示装置17の表示部17aに表示された図柄組み合わせ(大当りの種類)に応じて、前記特別入賞装置33の特別入賞口32が異なるパターンで開放され、遊技者は多くの賞球が獲得可能となる。
【0061】
前記表示装置17の表示部17aで展開される図柄変動演出に応じて、前記制御手段の制御に基づいて前記可動演出装置50の可動体69が動作されて動的な演出により遊技の興趣が高められる。また、可動体69に配設した装飾体73,80,95が備える発光体79a,86a,98aが、制御手段の制御に基づいて発光したり点滅する発光演出が行われることで、遊技の興趣がより高められる。
【0062】
前記可動演出装置50は、前記可動体69の待機位置では、
図2,
図4,
図5に示す如く、前記第1可動装飾体73および第2可動装飾体80が、前記表示装置17の表示部17aの上辺側において斜めの関係で並んでいる。可動演出装置50は、前記駆動モータ59が正逆方向に回転駆動されて、前記揺動用歯車63の回転に伴って前記作動アーム64が第1コイルバネ68の弾力に抗して右方向に移動されると、前記可動体69は前記揺動軸70を中心として時計回り方向に回転し、該可動体69に配設されている第1および第2可動装飾体73,80および固定装飾体95が前記表示部17aの前側に重なるように移動する(
図17参照)。
【0063】
前記可動体69の回転に伴って作動歯車90に作動ラック部91が噛合する作動部材89が移動することで、該作動部材89に設けられた第1回転用ラック部93に第1回転用歯車76が噛合する第1可動装飾体73および第2回転用ラック部94に第2回転用歯車83が噛合する第2可動装飾体80の夫々が反時計回り方向に回転する。回転用ラック部93,94に噛合する各回転用歯車76,83は、可動体69の回転方向に対して各可動装飾体73,80が反対方向に同一角度だけ回転するよう構成してあるので、各可動装飾体73,80は姿勢を一定に維持したまま移動する。なお、前記可動体69に対して相対的に移動する作動部材89には、前記第2コイルバネ99の付勢力が常に付与されているので、各回転用ラック部93,94と対応する各回転用歯車76,83との適正な噛合状態が維持されて、各可動装飾体73,80の姿勢が維持される。
【0064】
前記駆動モータ59が予め設定された回転数(パルス数)だけ回転すると、前記制御手段により駆動モータ59が停止制御され、前記可動体69が作動位置で停止する。可動体69の作動位置では、
図17,
図18に示す如く、前記第1可動装飾体73の直下に第2可動装飾体80が並ぶよう位置すると共に、上下の可動装飾体73,80の間に固定装飾体95が位置して、3つの装飾体73,80,95が上下に並ぶように保持される。なお、可動体69が作動位置に至ったときに、前記規制部69bが軸支持部材57に設けた緩衝部材57aに当接して、該可動体69を作動位置で確実に停止させることができる。
【0065】
前記駆動モータ59が逆転方向に回転駆動されると、前記作動アーム64が左方向に移動されるのに伴って前記可動体69が揺動軸70を中心として反時計回り方向に回転することで、該可動体69に配設されている装飾体73,80,95が上昇する。可動体69の反時回り方向の回転に伴って第1可動装飾体73および第2可動装飾体80は、前記姿勢維持機構92によって時計回り方向に回転することで一定の姿勢を維持したまま第1可動装飾体73の右斜め下側に第2可動装飾体80が移動する。そして、前記検出手段67が検出片63bを検出することで、前記制御手段が駆動モータ59を停止制御し、可動体69は前記表示部17aの上辺側に退避した待機位置に保持される。
【0066】
ここで、前記可動体69を作動位置から待機位置に回転させる際には、前記駆動機構58を構成する揺動用歯車63は、該揺動用歯車63とベース部材51との間に張設した第1コイルバネ68により可動体69を待機位置に向けて回転する方向に付勢される。従って、前記駆動モータ59に加わる負荷を軽減することができる。
【0067】
また、前記ベース部材51の左端部に可動体69を揺動軸70を介して回動自在に支持すると共に、該ベース部材51の右端部に駆動モータ59により回転される揺動用歯車63を回動自在に支持し、左右方向に離間する可動体69の連繋部69aと揺動用歯車63の連繋部63aとを作動アーム64によって連繋するよう構成しているので、複数の装飾体73,80,95を備える重量のある可動体69を小さな力によって回転させることができる。すなわち、実例例の駆動機構58では、可動体69を回転させる場合の作用点(可動体69の連繋部69aと作動アーム64との連繋位置)と力点(揺動用歯車63の連繋部63aと作動アーム64との連繋位置)とを、可動体69の長さと略同じ程度に設定しているので、駆動モータ59に加わる負荷を小さくすることができる。
【0068】
実施例のパチンコ機10では、揺動する可動体69に、該可動体69の揺動に伴って回転する可動装飾体73,80を配設したので、可動体69の動作による演出効果を向上することができる。しかも、可動装飾体73,80の姿勢は、姿勢維持機構92によって一定に維持し得るよう構成されているので(
図2,
図17参照)、該可動装飾体73,80に施す意匠の自由度が増し、装飾性を高めることができる。また、前記作動機構88および姿勢維持機構92としてラック部91,93,94と歯車90,76,83とからなる歯車機構を用いているので、簡単な構成で可動装飾体73,80を適正な姿勢に維持することができる。
【0069】
前記可動演出装置50では、可動体69に配設した2つの可動装飾体73,80を、前記表示装置17における表示部17aの前側で斜めに並ぶ状態および上下方向に直線状に並ぶ状態とに変化するよう構成したので、インパクトのある動作演出によって興趣をより向上し得る。また、待機位置および作動位置で2つの可動装飾体73,80に形成されている2つの図柄77a,84aにより形成される一連の図柄は同じであるので、可動体69を動作することで2つの可動装飾体73,80により形成される一連の図柄を強調することができ、興趣を高め得る。しかも、各可動装飾体73,80は一定の姿勢を維持したまま移動するので、両可動装飾体73,80により形成される一連の図柄を遊技者に認識させたまま該一連の図柄を移動させるインパクトのある演出によって興趣を向上し得る。
【0070】
更に、前記可動体69には、該可動体69の移動(回転)によって姿勢が変化する固定装飾体95を配設し、該固定装飾体95を、姿勢変化しない両可動装飾体73,80の間に位置する状態や両可動装飾体73,80の間から離れた状態とに変化するので、姿勢変化がある固定装飾体95と姿勢変化がない可動装飾体73,80との組み合わせによって装飾性を高めることができる。
【0071】
ここで、前記可動体69の待機位置において該可動体69と作動アーム64とを上下方向に重なるように配設すると共に、該可動体69に配設した前記固定装飾体95の上部を作動アーム64の前側に形成したアーム側収容部66に収容するようにしたので(
図16参照)、固定装飾体95と可動装飾体73,80とを前後に重なるように構成しても該可動装飾体73,80の前方への突出寸法を小さく抑えることができる。更に、作動アーム64の後偏倚部64bをベース部材51の前側に形成したベース側収容部54に収容するようにしてあるので、可動体69における固定装飾体95の配設位置における可動装飾体73,80の前方への突出寸法をより小さく抑えることができる。
【0072】
(変更例)
本願発明は、前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、可動体に対して回動自在な可動装飾体を2つ配設したが、該可動装飾体は1つあるいは3つ以上であってもよい。
(2) 実施例では、可動演出装置を設置部材の上板部に配設して、可動体を上下方向に揺動させるよう構成したが、可動演出装置を下板部に配設してもよい。また、可動演出装置を左板部または右板部に配設し、可動体を左右方向に揺動させる構成を採用し得る。
(3) 実施例では、装飾体の姿勢維持機構として歯車とラック部とを組み合わせた歯車機構を採用したが、プーリとベルトやワイヤ等の索体とを組み合わせた機構やリンク機構等、その他公知の各種機構を採用し得る。
(4) 実施例では、可動体の待機位置で2つの可動装飾体(装飾体)を斜めに並ぶように配置したが、左右方向に並ぶように配置し、可動体が作動位置に移動したときに上下方向に並ぶようにする構成としてもよい。
(5) 実施例では、可動体を揺動する駆動機構(駆動手段)を、待機位置において可動体の延出端部側に配置したが、支持端部側に配置するようにしてもよい。
(6) 可動体に対して可動装飾体(装飾体)を回動自在に支持する構造に関しては、実施例における第1可動装飾体を可動体に回動自在に支持する構造を、第2可動装飾体(保持部材)を可動体に回動自在に支持する構造として採用したり、逆に第2可動装飾体(保持部材)を可動体に回動自在に支持する構造を、第1可動装飾体を可動体に回動自在に支持する構造として採用することができる。
(7) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やピンボール機、あるいは遊技媒体としてパチンコ球やメダルを用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。