【実施例】
【0017】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、
図1に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤20を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤20の裏側に、複数種類の図柄を変動表示可能な表示装置17が着脱可能に配設されている。また、前記中枠12の前面側には、前記遊技盤20を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板13bで前後に開口する窓部13aを覆うよう構成された前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組み付けられる。なお、実施例では、前記前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。なお、実施例では、前記表示装置17としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の表示装置やドットマトリックス式の表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を採用し得る。
【0018】
図1に示す如く、前記前枠13には、窓部13aを囲繞するようランプ装置(発光手段)18が配設されると共に、前枠13の上部位置に、音声や効果音を出力可能なスピーカ(音出力手段)19が配設されている。すなわち、前記ランプ装置18に設けられたLED等の発光体(図示せず)を点灯・点滅したり、前記スピーカ19から適宜の音声を出力することで、前記表示装置17で行われる各種の表示演出(図柄変動演出)に合わせて光による演出や音による演出を行い得るよう構成されている。また、前記上球受け皿14は、前記前枠13と別体に形成して中枠12に対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。
【0019】
また、前記前枠13の右下方位置には、前記中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル16が設けられている。前記操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、該操作レバー16aを右回転するよう遊技者が回動操作することで前記打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20に向けて発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー16aの回動量に応じて前記打球発射装置によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー16aの回動量を操作することで、前記遊技盤20に形成された第1球流下経路23a(後述)をパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該遊技盤20に形成された第2球流下経路23b(後述)をパチンコ球が流下する所謂「右打ち(ゴム打ち)」とを打ち分け得るようになっている。
【0020】
(遊技盤20について)
実施例の前記遊技盤20は、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂材から所定板厚の略矩形状に形成された平板状の透明板(遊技領域形成部材)であって、該遊技盤20の裏側に前記表示装置17が着脱自在に組み付けられている。遊技盤20の前側には、
図2に示す如く、前面(盤面)に配設された略円形状の案内レール21によりパチンコ球が流下可能(移動可能)な遊技領域23が画成されて、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が当該遊技領域23内に打ち出されることで遊技が行われるようになっている。また、遊技盤20の裏側に、該遊技盤20との間に収容空間を画成する設置部材(収容空間画成部材)22が配設されており、該収容空間に、発光により演出を行う発光演出装置や、可動体の動作により演出を行う可動演出装置等の各種演出手段が設置される。なお、前記表示装置17は、設置部材22の裏側に取り付けられて、該設置部材22に設けた開口部(可視部)22aおよび枠状装飾体34(後述)の開口部34aを介して遊技盤20の前側から視認可能に臨むよう構成される。なお、遊技盤20は、ベニヤ材や合成樹脂材等の非光透過性の板部材の表面に装飾シール等を貼付したものであってもよい。
【0021】
前記案内レール21は、
図2に示す如く、前記遊技盤20の左下部から右上部に至るよう左方向に膨出する円弧状に形成された外レール24と、遊技盤20の右上部、右下部および左上部に至るよう右方向に膨出する円弧状に形成された内レール25,26とから構成されている。前記内レール25,26は、外レール24の右上端部に連接して遊技盤20の右上部から下部に亘って配設され、左端縁が右方に凹む円弧状に形成された盤面飾り部材25と、遊技盤20の下部から左上部に亘って配設されて盤面飾り部材25の下端部に連接し、前記外レール24の右方(内側)に離間して位置するレール部材26とから構成され、該外レール24およびレール部材26により1個のパチンコ球が通過可能な発射通路21aが画成されている。ここで、前記内レールを構成するレール部材26は、前記遊技盤20の左上部に開放端を臨ませて外レール24との間に遊技領域23に開口する打出し口21bを画成するよう構成されて、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が発射通路21aの下方開口から飛翔して、レール部材26の開放端側の打出し口21bから遊技領域23内に打ち出されるようになっている。
【0022】
図2に示す如く、前記外レール24と盤面飾り部材25との接続位置は、外レール24および盤面飾り部材25の曲率の相違から段差が形成されており、該段差部分に緩衝ゴム27が配設されている。すなわち、前記外レール24の終端位置に臨むように緩衝ゴム27が配設されて、前記打球発射装置から発射されて外レール24に沿って終端位置まで移動して緩衝ゴム27に当接したパチンコ球を減勢し得るようになっている。なお、前記緩衝ゴム27は、前記第2球流下経路23bに位置している。
【0023】
前記遊技盤20には、前後に貫通する装着口が前記遊技領域23内に複数開設されて、各装着口に対して各種遊技構成部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域23の最下部位置には、該遊技領域23に開口するアウト口28が開設されており、遊技領域23に打ち出されてアウト口28に入球したパチンコ球が機外に排出されるよう構成される。また、前記遊技盤20には、前記遊技領域23内に多数の遊技釘29が設けられると共に、後述する枠状装飾体34の左側方に、遊技領域23(第1球流下経路23a)を流下するパチンコ球の接触に伴って回転する回転案内部材30が回転自在に支持されており、遊技釘29や回転案内部材30との接触によりパチンコ球の流下方向が不規則に変化するよう構成されている。前記回転案内部材30は、所謂「風車」とも称される部材であって、該回転案内部材30の回転に伴ってパチンコ球を弾くように左右方向へ放出する部材である。なお、前記装着口の形成数は、遊技盤20に対して取り付けられる各種遊技構成部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜決定される。
【0024】
実施例の前記遊技盤20には、
図3に示す如く、前記案内レール21で囲まれた遊技領域23の略中央の大部分が開口する装着口33に、前後に開口する開口部34aが形成された枠状装飾体34が取り付けられ、該枠状装飾体34の開口部34aを介して表示装置17の表示部17aが遊技盤20の前面側に臨むよう構成されている。また、遊技盤20には、枠状装飾体34の外側における遊技領域23に臨む位置に、該遊技領域23を流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞部31が配設されており、始動入賞部31の始動入賞口へのパチンコ球の入賞を契機として、所定数のパチンコ球が賞球として前記上下の球受け皿14,15に払い出されると共に前記表示装置17の表示部17aにおいて図柄変動演出が開始されるようになっている。また、枠状装飾体34に、後述する特別入賞部32が配設されている。そして、表示装置17での図柄変動演出の結果、該表示装置17の表示部17aに所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の三つ揃い等)で図柄が停止表示されることで所謂「大当り」が発生し、これにより特別入賞部32へのパチンコ球の入賞が許容されて多数の賞球を獲得し得るようになっている。
【0025】
(設置部材22について)
前記設置部材22は、
図3に示す如く、前記遊技盤20の外郭形状より僅かに小さな形状に形成された略矩形状の背面板と、該背面板の外周縁部から前方に突出する画壁部22bとから前方に開口した箱状に形成されて、該画壁部22bの開口前端部を遊技盤20の裏面に当接させた状態で、当該遊技盤20と設置部材22とがネジにより固定される。そして、設置部材22において遊技盤20との間に画成される収容空間に、各種の発光演出装置や可動演出装置等の演出手段が設置されて、設置部材22を基材とする1つのユニットとして扱い得るようになっている。また、前記設置部材22の背面板には、前記枠状装飾体34の開口部34aと前後に整列する位置に、略矩形状の開口部22aが前後に開口するよう開設されると共に、該背面板の裏側に前記表示装置17が着脱自在に取り付けられて、該開口部22aを介して表示装置17の表示部17aが遊技盤20の前側に臨むようになっている。
【0026】
(枠状装飾体34について)
前記遊技盤20に配設される前記枠状装飾体34は、
図2,
図3に示す如く、前記遊技盤20に開設された前記装着口33の内側に沿って延在する環状に形成された枠状基部35と、該枠状基部35に設けられて前記遊技盤20の前面より前方に突出し、前記遊技領域23と表示装置17の表示部17aを区切って該遊技領域23の内周を画成する庇状部36と、該庇状部36の後縁から外方に延出する薄板状の台板部37とを備える。そして、前記枠状基部35を装着口33に挿入すると共に台板部37を遊技盤20の前面に当接した状態で、該台板部37をネジ等の固定手段で遊技盤20に固定することで、枠状装飾体34が遊技盤20に取り付けられる。ここで、前記庇状部36は、
図2に示す如く、前記枠状装飾体34(枠状基部35)の左側縁の略中間位置から上縁および右下縁に亘って延在するように設けられており、開口部34a側、すなわち表示装置17における表示部17aの前面側を横切ってパチンコ球が流下(落下)するのを規制している。
【0027】
前記枠状装飾体34には、
図2,
図3に示す如く、前記開口部34aの下側に、ステージ39が配設されると共に、開口部34aの左側に、遊技領域23(第1球流下経路23a)に開口して該遊技領域23を流下するパチンコ球を取り込んでステージ39に案内する球導入部40が設けられ、該球導入部40からステージ39に通出されたパチンコ球は、ステージ39上を左右に転動した後に、前記始動入賞部31が配設されている遊技領域23に排出される。またステージ39の後端縁には、左右方向の全長に亘って上側に向けて所定高さで立上がる透明壁41が設けられ、ステージ39上を転動するパチンコ球が表示装置17の表示部17a側に移動するのを該透明壁41で防止している。実施例では、枠状装飾体34の開口部34aの略全体を塞ぐ透明パネル42が、該開口部34aの内側に配設されて、該透明パネル42を介して表示装置17の表示部17aが前側に臨むよう構成される。なお、透明パネル42として、凹凸により文字等の図柄が形成された乱反射領域を有し、該透明パネル42の端面から発光体の光をパネル内に導入することで、該光が乱反射領域で乱反射して図柄が発光表示されるものが採用されている。
【0028】
(庇状部36について)
前記庇状部36は、
図2に示す如く、最上部位置から左右方向に下方傾斜するよう形成されて、遊技領域23に打ち出されたパチンコ球が庇状部36上で滞ることなく前記枠状装飾体34の左側方または右側方へ誘導されるよう形成されている。前記開口部34aの上方に臨む庇状部36は、左右方向の所定領域が上側に凸となる略弧状に形成された転動面36aを有しており、該転動面36aの頂部は遊技盤20の左右方向の略中央に位置している。また、庇状部36には、転動面36aにおける左端部(第1球流下経路23a側の端部)に接続して、該転動面36aから所定高さで下がる段部36bが設けられている。そして、実施例では、庇状部36と案内レール21とで画成される遊技領域23において、前記転動面36aの左端部(段部36bの上端)を境界として、該左端部より左側が第1球流下経路23aとされ、該左端部より右側が第2球流下経路23bとされ、前記案内レール21の打出し口21bは、第1球流下経路23aの上方で開口している。また、転動面36aは、前記外レール24から下方(内側)に離間して対向するように位置し、第2球流下経路23bを画成する転動面36aと外レール24との間は、パチンコ球1個分の幅寸法より大きく、かつ遊技球2個分の幅寸法より小さな幅寸法に設定されている。
【0029】
すなわち、前記遊技盤20に画成された遊技領域23には、前記枠状装飾体34における庇状部36の左側方をパチンコ球が流下する第1球流下経路23a、および該枠状装飾体34における庇状部36の上方から右側方をパチンコ球が流下する第2球流下経路23bが設けられており、前記庇状部36の段部36bに当ったパチンコ球は第1球流下経路23aを流下し、該庇状部36の転動面36aに到来したパチンコ球は第2球流下経路23bを流下するようになっている。換言すると、前記打球発射装置により遊技領域23内に発射されたパチンコ球は、到達位置に応じて前記枠状装飾体34の庇状部36およびレール部材26(内レール26)の間に形成される第1球流下経路23aか、或いは枠状装飾体34の庇状部36、外レール24および盤面飾り部材25(内レール25)の間に形成される第2球流下経路23bの何れかを流下する。そして、実施例に係るパチンコ機10では、前記第1球流下経路23aをパチンコ球が流下する場合(左打ちした場合)に、パチンコ球が第2球流下経路23bを流下する場合に較べて前記始動入賞部31にパチンコ球が入賞する可能性が高くなるよう構成されると共に、該第2球流下経路23bをパチンコ球が流下する場合(右打ちの場合)に、パチンコ球が第1球流下経路23aを流下する場合に較べて前記特別入賞部32へパチンコ球が入賞する可能性が高くなるよう構成されている。
【0030】
前記庇状部36に設けた段部36bは、
図2に示す如く、前記案内レール21に設けた打出し口21bの右上方に位置して、該打出し口21bから遊技領域23に打ち出されたパチンコ球が当り得るよう構成される。そして、一般的に「左打ち」を行う遊技者は、打球発射装置から打ち出されたパチンコ球が段部36bに当るように、前記操作ハンドル16の操作レバー16aの回動量を調節している。また、庇状部36における転動面36aの右端から前記ステージ39の右端までの間に延在する部分の途中に、前記特別入賞部32の後述する特別入賞口32aを遊技領域23(第2球流下経路23b)に開口させるための切欠部36cが形成されている(
図4参照)。
【0031】
(突部43,44,45について)
前記台板部37の前面には、
図2,
図3に示す如く、前記第2球流下経路23bに臨む位置に、複数(実施例では3つ)の突部43,44,45が突設されており、該第2球流下経路23bを流下するパチンコ球が該突部43,44,45に接触することで、該パチンコ球の流下方向が変更されるよう構成される。各突部43,44,45は、前記盤面飾り部材(内レール)25に対し、パチンコ球が通過不能な間隔で対向し、各突部43,44,45に接触したパチンコ球は盤面飾り部材25から離間する方向に流下方向が変更されるようになっている。実施例では、3つの突部43,44,45について、上側から第1突部43、第2突部44、第3突部45と指称して区別する場合もある。
【0032】
図2に示す如く、前記第1突部43は、前記緩衝ゴム27の配設位置に対応して位置し、前記第2突部44は、枠状装飾体34の上下方向の中央より上側に位置し、前記第3突部45は、枠状装飾体34の上下方向の中央より下側に位置している。また、3つの突部43,44,45は、前記庇状部36から遊技領域23側(第2球流下経路23b側)にパチンコ球が通過可能な間隔で離間している。
【0033】
前記庇状部36における前記転動面36aの右端から下側で前記開口部34aを画成する部分の途中部位に、上下方向に所定長さで切欠かれた前記切欠部36cが形成されており、該切欠部36cの形成位置に対応して前記特別入賞部32が設けられている。切欠部36cは、
図4,
図5に示す如く、前記第2突部44と第3突部45との間の側方(開口部34a側)に位置している。切欠部36cより上側の庇状部36は、前記第1突部43および第2突部44に対し、パチンコ球が通過可能な間隔(パチンコ球1個分の幅寸法より大きく、かつ遊技球2個分の幅寸法より小さな幅寸法)で離間して、各突部43,44と庇状部36との間をパチンコ球が流下し得るよう構成される。なお、第1突部43および第2突部44と庇状部36との間に画成される経路(第2球流下経路23bの一部)は、左右方向に変位して当該経路を通過するパチンコ球を減勢するよう構成される。
【0034】
前記切欠部36cより上側に位置する第2突部44は、
図4に示す如く、前記盤面飾り部材25と対向する面を底面とする略三角状に形成されて、該第2突部44における底面の上端に接続して庇状部36に向けて延在する上面44aは、盤面飾り部材25から離間するにつれて下方傾斜するよう形成されて、該上面44aに接触したパチンコ球を庇状部36に向けて案内するよう構成される。また、第2突部44における上面44aおよび底面に接続する下面44bは、庇状部36から離間するにつれて下方傾斜するよう形成されている。前記庇状部36における第2突部44の左側に位置すると共に前記切欠部36cの上端を画成する上領域画成壁46は、左側(開口部34a側)に凸となる弧状に形成されて、第2突部44の上面44aで案内されて該上領域画成壁46に接触したパチンコ球の流下方向を切欠部36cの外側(盤面飾り部材25)側に変更するよう構成される。すなわち、上領域画成壁46に接触したパチンコ球は、切欠部36cに対応して開口された後述する特別入賞口32aに直接は入賞しないよう構成されている。
【0035】
前記第3突部45における前記第2突部44の下面44bと対向する上面45aは、
図4に示す如く、前記盤面飾り部材25から離間するにつれて下方に傾斜するよう形成されると共に、該上面45aの下端は、前記切欠部36cの下端と略同じ位置に位置している。また、第3突部45の上面45aは、特別入賞部32の後述する開閉部材48の開放位置において(
図4の二点鎖線位置)、該開閉部材48との間にパチンコ球が通過可能な間隔で離間し、開放位置の開閉部材48と第3突部45との間にパチンコ球が詰まることがないよう構成される。なお、前記庇状部36における第3突部45の左側に位置すると共に前記切欠部36cの下端を画成する下領域画成壁47の上端部は、第3突部45における上面45aの下端との間にパチンコ球が通過可能な間隔で左方に離間し、該下領域画成壁47は第3突部45の左方に位置する上端部から横方向(左方向)に延在した後に、左下側に向けて階段状に変位するように形成されている。
【0036】
(特別入賞部32について)
前記特別入賞部(入賞部)32は、前記遊技領域23(第2球流下経路23b)を流下するパチンコ球が入賞可能な特別入賞口(入賞口)32aと、該特別入賞口32aを開閉する開閉部材(開閉手段)48と、特別入賞口32aを閉鎖する閉鎖位置および該特別入賞口32aを開放する開放位置とに開閉部材48を変位させる駆動手段49とを備える。具体的に、特別入賞部32は、各種部品の基体となる本体50に、前記特別入賞口32aが画成されると共に、前記開閉部材48および駆動手段49が本体50に配設されて、該本体50をユニットとして枠状装飾体34に着脱自在に取り付けられるよう構成される。
【0037】
前記本体50は、
図6,
図7に示す如く、当該本体50を枠状装飾体34に取り付けた状態で、前記台板部37の前面と略同一面に位置する前壁50aを備え、該前壁50aの前側に開閉部材48が配設されると共に、該前壁50aの後側に駆動手段49が配設される。また、前壁50aには、前方に突出する画壁51,52によって側方に開口する前記特別入賞口32aが画成されており、前記本体50を枠状装飾体34に取り付けた状態で、該特別入賞口32aが前記庇状部36の切欠部36cに対応して、該切欠部36cを介して遊技領域23(第2球流下経路23b)に特別入賞口32aが横向きに開口するよう構成される。画壁51,52は、
図4,
図5に示す如く、特別入賞口32aの上端側を画成する第1画壁51と、下端側を画成する第2画壁52を備える。第1画壁51は、前記切欠部36cの上端縁に接続して前記遊技領域23(第2球流下経路23b)から離間するにつれて緩やかに下方傾斜する第1壁部51aと、該第1壁部51aの傾斜下端に接続して急勾配で下方傾斜する第2壁部51bと、該第2壁部51bの傾斜下端に接続して略鉛直下方に延在する第3壁部51cとを備える。また、第2画壁52は、第1画壁51における第1壁部51aおよび第2壁部51bから下方に離間して位置する底壁部52aと、該底壁部52aから下側に延在する下壁部52bとを備え、底壁部52aと第1壁部51aとの間に特別入賞口32aが画成されるようになっている。
【0038】
前記第1壁部51aと底壁部52aとの離間間隔は、パチンコ球2個分以上の幅寸法に設定されており、特別入賞口32aの上下方向の開口寸法がパチンコ球2個分以上となっている。また、前記底壁部52aの上面(後述する球通路58の底面)は、前記切欠部36cから離間するにつれて下方傾斜するよう構成されて、特別入賞口32aに入賞して当該底壁部52aの上面を転動するパチンコ球を後述する特別入賞検出手段59の検出部59aにスムーズに案内するよう構成される。
【0039】
図4に示すように、前記特別入賞部32は、前記前壁50aの前側に位置する単一の前記開閉部材48により特別入賞口32aを開閉するよう構成される。この開閉部材48は、前壁50aに対して前後方向に延在する支持軸53を介して前後方向の軸回りに回動自在に支持されたものであって、該開閉部材48は、支持軸53で支持される支持部48aから離間するつれて徐々に薄肉となる所謂フラップ状に形成されている。開閉部材48は、支持部48aが前記第2画壁52の底壁部52aより左側(切欠部36c側)において前壁50aに回動自在に支持されて、該支持部48aから離間する先端部(端部)48bを上方に指向させた閉鎖位置(
図4の実線位置)と、該先端部48bを斜め右上方を指向させた開放位置(
図4の二点鎖線位置)との間を変位可能に構成される。
【0040】
前記前壁50aの裏側に配設される駆動手段49は、
図6に示す如く、ソレノイド54と、該ソレノイド54により進退移動されるプランジャ55と、該プランジャ55および開閉部材48に連繋する連繋機構56とを備え、プランジャ55を進退移動することで作動する連繋機構56によって、開閉部材48を開閉作動させるよう構成される。実施例では、前記ソレノイド54でプランジャ55を上下方向に往復移動するように、該ソレノイド54は縦向きに配置されている。そして、ソレノイド54を励磁してプランジャ55を上側に移動させることで開閉部材48が開放位置(
図4の二点鎖線位置)に変位すると共に、ソレノイド54を非励磁としてプランジャ55を下側に移動させることで開閉部材48が閉鎖位置に変位(
図4の実線位置)するよう構成される。なお、プランジャ55は、ソレノイド54の非励磁ではバネ57によって下側に移動し、該バネ57の付勢力によって開閉部材48が閉鎖位置に保持されるようになっている。
【0041】
前記開閉部材48の支持部48aには、
図4に示す如く、径方向の外方に向けて突出する突起部48cが設けられると共に、前記前壁50aの前面には、前記第2画壁52の底壁部52aから遊技領域23(第2球流下経路23b)側に離間して規制部50bが前側に向けて突設されている。また、開閉部材48は、規制部50bの上側において前記前壁50aに支持部48aが回動自在に支持されると共に、該支持部48aから突出する前記突起部48cが底壁部52aと規制部50bとの間に変位可能な状態で臨むようになっている。そして、開閉部材48は、前記駆動手段49によって閉鎖位置に変位された状態で突起部48cが規制部50bに当接して位置決めされると共に、該開閉部材48は、駆動手段49によって開放位置に変位された状態で突起部48cが底壁部52aに当接して位置決めされるようになっている。なお、前記規制部50bは、前記庇状部36における下領域画成壁47における上端部の上側で、前記第3突部45の上面45aで案内されて庇状部側に向かって流下するパチンコ球が当接可能な位置に臨むよう構成されており、該第3突部45の上面45aを転動するパチンコ球が切欠部36cに対応して開口された特別入賞口32aに直接は入賞しないよう構成されている。
【0042】
ここで、前記閉鎖位置における開閉部材48は、先端部48bが前記第1画壁51の第1壁部51aに近接し、該先端部48bおよび第1壁部51aの最近接距離がパチンコ球の直径よりも小さくなるよう設定される。従って、開閉部材48が閉鎖位置に位置する状態では、前記遊技領域23(第2球流下経路23b)からパチンコ球が特別入賞口32aに入賞するのは完全に阻止される。すなわち、開閉部材48の閉鎖位置では、支持部48aが規制部50bの上側に位置すると共に、先端部48bが前記第1画壁51における第1壁部51aの下側に位置して、該閉鎖位置の開閉部材48の外側面(右側面)および前記規制部50bによって、前記庇状部36の切欠部36cはパチンコ球が通過不能に塞がれて、該開閉部材48の外側面(右側面)および規制部50bによって、前記遊技領域23(第2球流下経路23b)の内周を画成している。言い替えると、特別入賞部32において、閉鎖位置における開閉部材48の外側面より左側に位置する後述する球通路58は、当該開閉部材48が閉鎖位置となっている遊技状態では遊技領域23(第2球流下経路23b)からパチンコ球が通入し得ない非遊技領域(遊技領域外)となっている。
【0043】
また、前記開放位置での開閉部材48は、
図4に二点鎖線で示す如く、該開閉部材48が前記第1壁部51aよりも右方へ突出して遊技領域23(第2球流下経路23b)に延出すると共に、前記先端部48bは、第1壁部51aに対してパチンコ球の直径よりも大きく離間し、遊技領域23(第2球流下経路23b)から特別入賞口32aへのパチンコ球の入賞を許容するよう構成される。なお、開放位置の開閉部材48は、前記庇状部36の上領域画成壁46における下端部側の延長線上に臨み、該上領域画成壁46により誘導されたパチンコ球を開閉部材48で受けて特別入賞口32aに導びき得るよう構成されている。また、開放位置の開閉部材48における先端部48bと前記第2突部44および盤面飾り部材25との離間間隔は、パチンコ球1個分以上に設定されており、該開閉部材48が開放位置に変位した場合であっても、パチンコ球の流下経路によっては開閉部材48で受られることなく前記第3突部45側に流下し得るよう構成されている。
【0044】
(球通路58について)
前記特別入賞部32には、前記特別入賞口32aに入賞したパチンコ球が通過する球通路58が画成される。具体的には、前記第1画壁51と第2画壁52および前壁50aとによって、特別入賞口32aに連通する球通路58が画成されている。この球通路58は、前記第2画壁52の底壁部52aの上面を底面とする通路であって、該底壁部52aの上面と第1画壁51における第1壁部51aおよび第2壁部51bとの対向間隔(球通路58の上下寸法)は、パチンコ球2個分の幅寸法より大きく設定されている。そして、第1画壁51の第3壁部51cと第2画壁52の下壁部52bとの間に、上下方向に貫通する通出部58aが画成されて、該通出部58aに、前記本体50に配設された特別入賞検出手段(検出手段)59の検出部59aが位置するよう構成される。通出部58aは、底壁部52aの左端側、すなわち球通路58の下流端部に設けられて前記遊技領域23(第2球流下経路23b)から横方向に離間して位置しており、該通出部58aに位置する特別入賞検出手段59の検出部59aは、球通路58における遊技領域23(第2球流下経路23b)から横方向に離間する下流端に位置している。実施例の検出部59aは、上下方向に開放する検出孔であって、該検出部59aをパチンコ球が通過することで該パチンコ球を検出するよう構成されている。そして、特別入賞検出手段59がパチンコ球を検出すると、図示しない制御手段の制御下に所定数の賞球の払い出しが行われるよう構成される。
【0045】
前記枠状装飾体34には、前記特別入賞部32の球通路58における通出部58aに連通する排出路60が設けられており、球通路58から通出部58aを通って排出路60に通入したパチンコ球は、排出路60の下流端に設けられた球出口60aから遊技盤20の裏側に排出されるよう構成される。なお、実施例では、枠状装飾体34における庇状部36(具体的には下領域画成壁47)の後端から開口部34a側に延在するように設けられた支持縁部47aと、後述するカバー部材61とによって排出路60が画成されるようになっている。
【0046】
(カバー部材61について)
前記枠状装飾体34には、前記特別入賞部32における閉鎖位置の開閉部材48および前記球通路58の前側を覆うカバー部材61が配設されている。このカバー部材61は、
図5に示す如く、平板状のカバー部62と、該カバー部62の後面に設けられて前記排出路60を画成する通路壁63とを備える。カバー部62には、後方に延出する複数のボス部62aが設けられており、各ボス部62aが枠状装飾体34の対応する位置にネジ止めされることで、当該カバー部材61は、カバー部62の裏面が前記特別入賞部32の画壁51,52の前面に当接した状態で位置決め固定される。また、枠状装飾体34に対するカバー部材61の固定状態で、前記通路壁63の後端が枠状装飾体34の前記支持縁部47aの前面に当接し、該通路壁63、カバー部62および支持縁部47aによって前記排出路60が画成されるようになっている。
【0047】
また、前記カバー部材61のカバー部62は、前記特別入賞部32の閉鎖位置の開閉部材48より遊技領域23側(第2球流下経路23b側)に延在して、前記開放位置の開閉部材48の前側を覆うよう構成される。すなわち、カバー部62は、
図4に示す如く、閉鎖位置と開放位置との間を変位する開閉部材48の変位領域の前側を覆うように延在して、開閉部材48に対する前側からのアクセス(手指による不正操作)を規制し得るようになっている。更に、前記カバー部62は、
図2,
図4に示す如く、前記第2突部44の前側まで延在して、該第2突部44の前面にカバー部62の後面が当接した状態で、前記ボス部62aが第2突部44にネジ止めされるようになっている。すなわち、カバー部材61は、第2突部44と前記上領域画成壁46および閉鎖位置の開閉部材48との間に画成されている遊技領域23(第2球流下経路23b)の一部を前側から覆い得るよう構成されている。また、カバー部62の裏面は、前記遊技盤20の前面から前方にパチンコ球が通過可能な間隔で離間している。なお、カバー部62は、閉鎖位置の開閉部材48を挟む上下両側において、対応するボス部62aが枠状装飾体34にネジ止め固定されている。すなわち、カバー部62は、遊技領域23(第2球流下経路23b)を挟む左右両側で枠状装飾体34にネジ止め固定されており、該遊技領域23(第2球流下経路23b)を流下するパチンコ球が該カバー部62に接触しても裏面位置が容易に変位しないように構成されている。また、カバー部62は透明に構成されて、該カバー部62を透して後側を流下するパチンコ球の動きが前側から見えるよう構成されている。
【0048】
ここで、前記カバー部材61を枠状装飾体34に配設した状態で、前記特別入賞口32aは、前記開閉部材48を開放位置に変位することで前記遊技盤20の前面とカバー部材61(具体的にはカバー部62)との間において前記遊技領域23(第2球流下経路23b)に対して横向きに開口するようになっている)。そして、前記開閉部材48は、カバー部材61(カバー部62)の裏面に沿って開放位置と閉鎖位置との間を回動するよう構成される。
【0049】
(カバー部材61の検査用開口部62bについて)
前記カバー部材61のカバー部62には、前記球通路58の前側を覆う位置に、前後に開口して球通路58に連通する検査用開口部(開口部)62bが形成されており、該検査用開口部62bを介してパチンコ球を前側から球通路58に通入可能に構成されている。球通路58は、前述したように、閉鎖位置の開閉部材48における外側面より左側に位置する非遊技領域(遊技領域外)に位置するものであり、カバー部62における該球通路58の前側を覆う位置に設けられる検査用開口部62bについても非遊技領域(遊技領域外)に位置している。
【0050】
前記検査用開口部62bの大きさは、パチンコ球の1個分より大きく2個分より小さく設定されて、一度に複数のパチンコ球を同時に球通路58に通入させ得ないよう構成される。また、検査用開口部62bは、前記特別入賞検出手段59から横方向にずれて、該特別入賞検出手段59(検出部59a)より上流側で球通路58に連通している。具体的には、特別入賞検出手段59の検出部59aの真上の位置から特別入賞口32a側にずれて検査用開口部62bが位置するよう設定されて、前記閉鎖位置の開閉部材48と検出部59aとの間に位置している。より具体的には、
図4に示す如く、検出部59aの孔の上方領域と検査用開口部62bとが前後方向に重なる幅(左右方向の幅)がパチンコ球1個分より小さい幅となるように、該検査用開口部62bが横方向にずれている。なお、検査用開口部62bを、孔の上方領域と前後方向に全く重ならない位置に設けるようにしてもよい。
【0051】
前記検査用開口部62bは、前記開放位置の開閉部材48で案内されて前記球通路58内を移動するパチンコ球の移動経路から外れた位置に設けられている。具体的には、検査用開口部62bの下端が、前記第2画壁52における底壁部52aの上面(球通路58の底面)から上方にパチンコ球1個分以上の距離だけ離間するように該検査用開口部62bが形成されている。これにより、底壁部52aの上面(球通路58の底面)を転動するパチンコ球は、前記検査用開口部62bの後側に重なる位置を通ることはなく、該検査用開口部62bからパチンコ球が通路外に飛び出さないように構成されている。また、前記カバー部材61におけるカバー部62の前面と、前記前枠13を中枠12に対して閉成した状態での前記透視保護板13bの裏面との離間間隔は、パチンコ球1個分より小さい幅となるように設定されており、中枠12に対して前枠13を閉成した状態では、前記検査用開口部62bに前側からパチンコ球が通入し得ないように構成されている。
【0052】
ここで、前記カバー部材61におけるカバー部62には、パチンコ球を透かして前側から見るのには支障のない凹凸による光拡散処理や非透明の装飾が施されると共に、前記検査用開口部62bは、該光拡散処理の形態や装飾を模した形状で開口するよう形成されて、該検査用開口部62bが形成されていることを認識することが困難に構成してある。
【0053】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0054】
先ず、前記パチンコ機10の検査工程で実施される特別入賞部32の賞球確認をする場合について説明する。賞球確認に際しては、前記ソレノイド54を非励磁状態としたもとで、前記前枠13を開放し、前記カバー部材61の検査用開口部62bからパチンコ球を球通路58に通入させる。すなわち、前記特別入賞部32の開閉部材48を強制開放することなく、前記カバー部材61の検査用開口部62bを介して前側からパチンコ球を特別入賞部32に入賞させることができ、パチンコ機10の検査工程で実施される特別入賞部32の賞球確認を効率的に行い得る。また、検査用開口部62bは、前記球通路58の前側を覆うカバー部材61(具体的にはカバー部62)の前後方向に開口するように設けているので、賞球確認作業に際してパチンコ球を前側から簡単に球通路58に通入させることができる。
【0055】
実施例のパチンコ機10は、閉鎖位置の開閉部材48の全体を前側からカバー部材61で覆うように構成したので、閉鎖位置にある開閉部材48に対してアクセスして不正器具等を引っ掛ける行為が難しくなり、遊技中のゴト行為による不正開放を抑制して賞球の不正獲得を防ぐことができる。更に、実施例では、カバー部材61(カバー部62)の寸法を、開放位置の開閉部材48までも覆い得る大きさとしたので、カバー部材61の開放端から閉鎖位置にある開閉部材48までの離間距離が長く、該閉鎖位置にある開閉部材48に対して不正器具等を引っ掛けることを更に難しくすることができ、更なる不正開放の抑制を図り得る。また、実施例のパチンコ機10では、カバー部材61のカバー部62における閉鎖位置の開閉部材48から離れた端部を前記第2突部44にネジ止め固定すると共に、該閉鎖位置の開閉部材48を挟む上下両側でカバー部62を枠状装飾体34に固定し(
図4参照)、カバー部62を開閉部材48から離間させる行為をし難いようにしている。すなわち、不正器具等を用いてカバー部62を開閉部材48から強制的に離間させて、該カバー部62と開閉部材48との対向面間の隙間を広くして針金等を侵入させる不正行為を抑制することができる。
【0056】
前記カバー部62の前面には、前記検査用開口部62bの存在を分り難くする光拡散処理や装飾が施されているので、該検査用開口部62bを標的とした不正行為を行うことを思いつくのを抑制することができる。また、検査用開口部62bの大きさ(開口寸法)は、パチンコ球の1個分より大きく2個分より小さく設定されているので、仮に前記前枠13を不正に開放して該検査用開口部62bからパチンコ球を特別入賞部32に入賞させる不正行為が行われたとしても、短時間に多くのパチンコ球を入賞させることができないので、短時間で多くの賞球が不正獲得されるのを防止し得る。
【0057】
また、前記検査用開口部62bは、前記開閉部材48の閉鎖位置において遊技領域23(第2球流下経路23b)からパチンコ球が通入し得ない遊技領域外に設けられているので、遊技中にパチンコ球を磁石等の不正手段を用いて検査用開口部62bまで移動して不正に特別入賞部32に入賞させることはできず、賞球が不正獲得されるのを防止し得る。更に、前記検査用開口部62bは、
図4に示す如く、前記特別入賞検出手段59の検出部59aから横方向にずれて設けられているので、所謂吊り球ゴトと称される不正行為によって検査用開口部62bから球通路58にパチンコ球を通入させても、該パチンコ球を直接検出部59aで検出させ得る位置に吊り下げられないので、該パチンコ球によって短時間に特別入賞検出手段59を何度も検出状態とするのを抑制することができ、短時間で多くの賞球が不正獲得されるのを防止し得る。
【0058】
また、実施例のパチンコ機10は、前記特別入賞部32の開閉部材48を、前後方向の軸回りに回動自在に支持することで、前記カバー部材61におけるカバー部62の裏面に沿って開放位置と閉鎖位置との間を回動するよう構成したので、該開閉部材48とカバー部62との対向面間の隙間を小さくすることができ、該隙間から針金等を侵入させる不正行為を抑制し得る。
【0059】
実施例のパチンコ機10において、前記特別入賞部32の開閉部材48が閉鎖位置にある状態で右打ちを行い、前記第2球流下経路23bにパチンコ球が流下する場合は、該パチンコ球は、前記複数の突部43,44,45や庇状部36(上領域画成壁46,下領域画成壁47)に接触して流下方向が変更されつつ該第2球流下経路23bを流下する。開閉部材48の閉鎖位置では、
図4に示す如く、前記特別入賞口32aはパチンコ球が通入不能な状態で塞がれており、第2球流下経路23bを流下するパチンコ球が特別入賞口32aに入賞することはない。また、前記検査用開口部62bは、開閉部材48が閉鎖位置にある状態でパチンコ球が通入し得ない前記球通路58の前側の遊技領域外に位置しているので、開閉部材48が閉鎖位置にある状態での遊技中に第2球流下経路23bを流下するパチンコ球が検査用開口部62bから球通路58に通入してしまうことはない。更に、前記カバー部材61は、前記透視保護板13bとの前後間隔がパチンコ球1個分より小さく設定されているので、遊技中にパチンコ球がカバー部材61の前側に移動することはなく、遊技領域23からパチンコ球が検査用開口部62bを介して特別入賞部32に入賞することはない。すなわち、パチンコ機10の検査工程で実施される特別入賞部32の賞球確認を効率的に行うために検査用開口部62bを設けても、開閉部材48が閉鎖位置にある状態での遊技中に該検査用開口部62bから特別入賞部32にパチンコ球が入賞することはない。
【0060】
前記特別入賞部32の開閉部材48が開放位置に変位し、該開閉部材48が遊技領域23(第2球流下経路23b)に臨むと、前記右打ちによって第2球流下経路23bを流下するパチンコ球は、前記庇状部36における上領域画成壁46によって開放位置の開閉部材48に向けて導かれ、該パチンコ球が開閉部材48で案内されて特別入賞口32aに入賞する。前記特別入賞口32aに入賞したパチンコ球が通過する前記球通路58の底面を形成する前記底壁部52aと前記検査用開口部62bとの上下方向の離間間隔は、パチンコ球1個分より長く、該底壁部52a上を移動するパチンコ球の移動経路から外れた位置に検査用開口部62bが設けられているので、球通路58内を移動するパチンコ球が検査用開口部62bから通路外に出てしまうのを防止し得る。すなわち、パチンコ機10の検査工程で実施される特別入賞部32の賞球確認を効率的に行うため検査用開口部62bを設けても、開閉部材48が開放位置にある状態で球通路58を移動する(特別入賞口32aに入賞した)パチンコ球が該検査用開口部62bから通路外に出てしまうことはなく、遊技者が不信感を抱くのは防止される。
【0061】
実施例のパチンコ機10では、遊技中における開閉部材48に対する不正行為を防止するために、該開閉部材48の前側をカバー部材61で覆って該開閉部材48に対するアクセスを困難にして防犯性を高めたもとで、該カバー部材61に検査用開口部62bを形成することによって賞球確認作業も簡単に行い得るようになっている。すなわち、実施例のパチンコ機10は、賞球確認作業が簡単で、かつ防犯性が高くなっている。また、開閉部材48をカバー部材61で覆って防犯性を高めることで、特別入賞部32における開閉部材48の駆動手段49として、開閉部材48の強制開放を防ぐ対策を施した複雑な構成を採用する必要はなく、構成を簡単にし得ると共にコストを低減することができる。なお、実施例のパチンコ機10は、開閉部材48を強制開放しなくても賞球確認作業を行い得るので、駆動手段49として、該駆動手段49の非作動状態(ソレノイド54の非励磁状態)で開閉部材48の開放を完全に不能とする不正対策を施した構造を採用して更に高い防犯性を確保し得るようにすることもできる。
【0062】
(変更例)
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、特別入賞部の特別入賞口を開閉する開閉部材の前側をカバー部材で覆うよう構成したが、該カバー部材で覆う開閉部材は、始動入賞部の始動口を開閉する開閉部材やその他の入賞部の入賞口を開閉する開閉部材であってもよい。
(2) 実施例では、特別入賞部(カバー部材で開閉部材が覆われる入賞部)を、第2球流下経路を流下するパチンコ球が入賞可能な位置に設けたが、該特別入賞部は第1球流下経路を流下するパチンコ球が入賞可能な位置に設けられたもであってもよい。
(3) 実施例では、特別入賞部(カバー部材で開閉部材が覆われる入賞部)を枠状装飾体に配設したが、該特別入賞部は遊技盤に設けられたものであってもよい。
(4) 実施例のカバー部材は、閉鎖位置と開放位置との間を変位する開閉部材の変位領域の前側を覆い得る形状および寸法としたが、閉鎖位置の開閉部材の前側を覆い得る形状および寸法のカバー部材を採用し得る。
(5) 実施例のカバー部材は、開閉部材の前側を覆うカバー部と、球通路から通出されたパチンコ球を排出案内する排出路を画成する通路壁とを設けた構成としたが、カバー部のみの構成を採用し得る。
(6) 実施例では、カバー部材で前側が覆われる開閉部材が配設される部材(本体)と、カバー部材とを別体で構成したが、開閉部材が配設される部材(本体)にカバー部材を一体に形成した構成を採用し得る。
【0063】
(7) 実施例では、開閉部材の前側を覆うカバー部材に検査用開口部を設けた場合で説明したが、該検査用開口部は、遊技領域外であって、球通路における特別入賞検出手段(検出手段)より上流側に連通する位置に設けられるものであれば、カバー部材以外の部材に設けたものであってもよい。例えば、
図8(a)に示す如く、特別入賞部32の本体50における球通路58を画成する第1画壁51(第1壁部51a,第2壁部51b)に、検査用開口部64を上下方向に開口するように設ける構成を採用し得る。また、
図8(b)に示す如く、球通路58を画成する第1画壁51の形状を変更することで、該第1画壁51、第2画壁52および前壁50aで画成される球通路58に連通する検出用領域65を、該球通路58内を移動するパチンコ球の移動経路より上方に形成し、該検出用領域65を画成する壁に、左右方向に開口するように検査用開口部64を設ける構成を採用し得る。なお、
図8(b)に示すように検出用領域65を形成した場合は、カバー部材61におけるカバー部62の形状を図示例のように変更して検出用領域65を前側から覆うようにしたり、該検出用領域65の前側を塞ぐ壁を第1画壁51に形成するようにしてもよい。更には、入賞口に入賞したパチンコ球が通過する球通路に、別の球通路を連通するように設け、該別の球通路における遊技領域外の位置に検査用開口部を、前後方向、上下方向または左右方向に開口するように設ける構成を採用し得る。すなわち、検査用開口部は、球通路を通過するパチンコ球を検出する検出手段の配設位置より上流側の球通路にパチンコ球を通入可能で、かつ開閉部材が閉鎖位置の遊技状態でパチンコ球が入り込むことがない遊技領域外の位置に設けられるものであれば、該検査用開口部を形成する部材はカバー部材や本体以外であってもよい。
(8) 実施例では、1つの開閉部材によって特別入賞口(入賞口)を開閉するよう構成したが、相互に近接・離間移動する2つの開閉部材によって開閉手段を構成し、該2つの開閉部材が相互に近接した入賞口の閉鎖位置において両開閉部材の前側をカバー部材で覆う構成を採用し得る。
(9) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。