特許第6236035号(P6236035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236035
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】情報収集システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20171113BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20171113BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20171113BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   G05B23/02 301V
   G08B25/00 510M
   G08B21/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-119253(P2015-119253)
(22)【出願日】2015年6月12日
(65)【公開番号】特開2017-4358(P2017-4358A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2017年2月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511016877
【氏名又は名称】株式会社smart−FOA
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】奧 雅春
【審査官】 影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−234496(JP,A)
【文献】 特開2000−207018(JP,A)
【文献】 特開平11−112674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 23/00−23/02
G08B 21/00
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レコーディングデータを記録するレコーダにネットワークを介して接続された情報収集システムであって、
前記レコーディングデータを標準パターンで走査して特定事象の発生を検知する解析部と、
特定内容の現場データを予め記憶し、前記解析部の特定事象発生検知に応答して、特定事象の発生を示す当該現場データをメモリに記憶させる第1の現場データ生成部と、
各種各内容の補足情報が記憶されたデータベースと、
前記メモリに前記現場データが出現すると、前記レコーダが記録した前記特定事象の発生背景と前記特定事象の評価及び解釈を示し、前記現場データの特定内容に応じた内容の補足情報を前記データベースから探索し、前記現場データを核として、探索された前記補足情報と前記レコーディングデータを含めた操業用のイベント情報を生成するイベント情報生成部と、
前記現場データの種類に応じて前記イベント情報に含める前記補足情報の種類を特定した、前記イベント情報のモデルを記憶する辞書記憶部と、
前記レコーディングデータを解析して時系列上の前後データで変化の発生を検知する変化検出部と、
変化アリを示すデータを予め記憶し、前記変化検出部の不特定事象発生検知に応答して、当該変化アリを示す当該データを前記現場データとしてメモリに記憶させる第2の現場データ生成部と、
前記イベント情報を表示する表示部を有するシステム設計支援端末と、
を備え、
前記イベント情報生成部は、
前記変化検出部による検知を契機にして、前記モデルに示される種類の前記補足情報のグループから、前記第2の現場データ生成部により生成された前記現場データ及び既に含められた前記補足情報を検索キーとして、他の前記補足情報を絞り込み、前記第2の現場データ生成部により生成された前記現場データを核として、前記レコーダが記録した不特定の変化の発生を報知する、前記モデル又は前記標準パターンの設計用の前記イベント情報を生成し、
前記システム設計支援端末は、
前記モデル又は前記標準パターンの設計用の前記イベント情報を前記表示部に表示すること、
を特徴とする情報収集システム。
【請求項2】
前記レコーダは、ビデオカメラ、スチルカメラ又はマイクロフォンであり、
前記レコーディングデータは、動画データ、定期的に撮影される複数の静止画データ、又は音声データであること、
を特徴とする請求項1記載の情報収集システム。
【請求項3】
ーザとのマンマシンインターフェースを有し、前記特定事象の発生を示す現場データに対応する前記モデルを、ユーザによる入力に従って生成するモデル設計部と、
ユーザとのマンマシンインターフェースを有し、前記特定事象の発生により現れるオブジェクトの標準パターンをユーザの入力に従って生成する特徴設計部と、
を更に備えること、
を特徴とする請求項1又は2記載の情報収集システム。
【請求項4】
前記システム設計支援端末は、前記モデル設計部と前記特徴設計部を含むこと、
を特徴とする請求項3記載の情報収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場やオフィス等で発生する現場データを収集する情報収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場やオフィス等においては、各種の設備が稼働しており、それら設備を監視するデータ発生装置が観測値、エラー情報及びステータス情報等の設備に対する観測結果を示す現場データを出力する。データ発生装置は、設備のセンサ、FA(Factory Automation)を制御するプログラマブルロジックコントローラ、製品をカウントするコンピュータ、ユーザが情報入力可能なモバイル端末等である。
【0003】
現場データは、コード化された、若しくは観測結果である数値として出力され、発生場所や日時情報が付加されたイベント情報として、固定資産管理者によりモニタリングされる。固定資産管理者は、例えば、工場では設備の保守管理者であり、オフィスではサーバ等の設備管理者である。
【0004】
このイベント情報は、工場やオフィスの稼働管理、製品の品質管理、経営管理等の操業に寄与する貴重な情報である。しかしながら、設備から直接出力されるイベント情報は、コード若しくは単なる観測数値、及び発生場所や発生日時等の直接的な意味以外には、2次的、3次的な意味を有していない。従来は、現場レベルで得られた情報を管理や経営レベルに至るまでの間に各層で順次解釈し直し、イベント情報を2次的、3次的な意味を持つ情報に変化させていくことで、各レベルにおいてイベント情報を活用していた。そのため、現場レベルと管理や経営レベルとでは、情報の伝わり方にタイムラグが発生しがちとなり、現場レベルと経営管理レベルが遊離しがちとなっている。
【0005】
そこで、出願人は、特願2011−104532号のように、各レベルにおいてリアルタイムにイベント情報を共有することのできる情報収集システムを提唱している。この情報収集システムは、現場データに付加する各補足情報の種類を定義するモデルが収容された辞書を記憶しておく。また、各種各内容の補足情報が記憶されたデータベースを用意しておく。そして、辞書に従って、データベースから各補足情報を検索し、検索された各補足情報を現場データに追加してイベント情報を生成する。
【0006】
検索においては、イベント情報に含まれる現場データ及び追加された各補足情報のうちの各種組み合わせを検索キーとし、他の種類の最適内容の補足情報を検索する。すなわち、出願人が提唱する情報収集システムは、現場データを取っ掛かりとして、現場データの内容、これまで追加してきた各補足情報の内容に最適な内容の補足情報を追加する。
【0007】
これにより、イベント情報は、現場データに対する単なる背景情報のみならず、現場データの内容に対する解釈や評価等の説明情報も加わることになり、情報伝達に即時性を有することになる。つまり、利用者側からは、必要とする内容が直接的かつ分かりやすく記述されたイベント情報が発生しているように見え、解釈の作業を要することなく、そのイベント情報の到達の時点で、イベント情報の持つ2次的、3次的な意味内容を理解することができる。従って、現場レベルから経営管理レベルに至るまで、イベント情報の到達のタイムラグを解消するのみならず、イベント情報に対する理解のタイムラグをも解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−164182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
工場やオフィス等において、現場で発生する特定事象を捕捉しているのは、センサやプログラマブルロジックコントローラのみではない。現場には、現場全体又は現場の局所を動画撮影するビデオカメラや、静止画を撮影するスチルカメラや、音声を録音するマイクロフォンも設置されており、これら機器も特定事象を記録していることがある。ビデオカメラ、スチルカメラ及びマイクロフォン等のレコーダもデータ発生装置として情報収集システムに組み込み、これらレコーダが発生させるレコーディングデータを現場データとして生かし、イベント情報を生成することができれば非常に有益である。
【0010】
例えば、火災報知機が煙や温度から火災を検知する前に、ビデオカメラ等が小さな炎や火花を捉えていることはよくあることである。つまり、レコーダによって記録される範囲は非常に広い。例えば、温度センサの設置箇所近傍まで延焼が拡がらなければ、温度センサは火災を検知できない。一方、カメラは、温度センサの設置箇所のみならず、その設置箇所を含めた広域を監視範囲とすることができるので、火災を温度センサよりも早く記録している場合が多い。また、稼働物同士の衝突は、稼働物の停止や稼働物のモータトルクの異常によってセンシング可能であるが、稼働物の停止やモータトルクの異常にまで至らない段階で、衝突音が発生している場合があり、マイクロフォンは、稼働物同士の衝突をこれらより早く記録している場合が多い。
【0011】
しかしながら、適切な背景情報や説明情報を現場データに付加してイベント情報を生成するには、情報収集システムが現場データの意味内容を把握しなくてはならないが、レコーダから出力されるレコーディングデータは、意味内容を直接は把握できる現場データとはいえない。その理由は、第1に、レコーディングデータは、特定オブジェクト単体を記録するのみならず、特定オブジェクト以外も大量に記録されたバルキーデータである。第2に、特定オブジェクトの表示位置、表示時間帯、録音時間帯も一定でないことがあり、特定オブジェクト自体をノイズと区分けする設定が予め講じられない。第3に、特定オブジェクト自体も一定形状をとるわけではなく、特定オブジェクトを表現する規定コードを予め決定できない。
【0012】
例示すると、炎が写った動画において、常時炎のみが写っているわけではない。炎が必ず一定時間帯に出現するとは限らない。炎は一定形状をとらない。すなわち、画像、動画及び音声データは、特定オブジェクト以外のノイズを多く含んで、特定オブジェクトとノイズが直接的には判別不能に混在化したデータであるため、意味内容を直接把握することができない。
【0013】
そのため、従来、画像、動画及び音声データといったレコーディングデータは、センサの温度情報等の他の現場データに対して付加される背景情報や説明情報としての扱いにすぎなかった。または、撮影・録画時間、カメラやマイクの設置場所といった、画像、動画及び音声データの発生経緯を現場データとして取り扱い、その現場データに対して付加される背景情報や説明情報としての扱いにすぎなかった。このように、従来、画像、動画又は音声データが捉えた特定の事象に背景や説明を加えたイベント情報を生成することはできなかった。
【0014】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、画像、動画及び音声データといったレコーディングデータからイベント情報を生成することのできる情報収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る情報収集システムは、レコーディングデータを記録するレコーダにネットワークを介して接続された情報収集システムであって、前記レコーディングデータを標準パターンで走査して特定事象の発生を検知する解析部と、特定内容の現場データを予め記憶し、前記解析部の特定事象発生検知に応答して、特定事象の発生を示す当該現場データをメモリに記憶させる第1の現場データ生成部と、各種各内容の補足情報が記憶されたデータベースと、前記メモリに前記現場データが出現すると、前記レコーダが記録した前記特定事象の発生背景と前記特定事象の評価及び解釈を示し、前記現場データの特定内容に応じた内容の補足情報を前記データベースから探索し、前記現場データを核として、探索された前記補足情報と前記レコーディングデータを含めた操業用のイベント情報を生成するイベント情報生成部と、前記現場データの種類に応じて前記イベント情報に含める前記補足情報の種類を特定した、前記イベント情報のモデルを記憶する辞書記憶部と、前記レコーディングデータを解析して時系列上の前後データで変化の発生を検知する変化検出部と、変化アリを示すデータを予め記憶し、前記変化検出部の不特定事象発生検知に応答して、当該変化アリを示す当該データを前記現場データとしてメモリに記憶させる第2の現場データ生成部と、前記イベント情報を表示する表示部を有するシステム設計支援端末と、を備え、前記イベント情報生成部は、前記変化検出部による検知を契機にして、前記モデルに示される種類の前記補足情報のグループから、前記現場データ及び既に含められた前記補足情報を検索キーとして、他の前記補足情報を絞り込み、前記第2の現場データ生成部により生成された前記現場データを核として、前記モデル又は前記標準パターンの設計用の前記イベント情報を生成し、前記システム設計支援端末は、前記モデル又は前記標準パターンの設計用の前記イベント情報を前記表示部に表示すること、を特徴とする。
【0016】
前記レコーダは、ビデオカメラ、スチルカメラ又はマイクロフォンであり、前記レコーディングデータは、動画データ、定期的に撮影される複数の静止画データ、又は音声データであるようにしてもよい。
【0018】
ーザとのマンマシンインターフェースを有し、前記特定事象の発生を示す現場データに対応する前記モデルを、ユーザによる入力に従って生成するモデル設計部と、ユーザとのマンマシンインターフェースを有し、前記特定事象の発生により現れるオブジェクトの標準パターンをユーザの入力に従って生成する特徴設計部と、を更に備えるようにしてもよい。
【0019】
前記システム設計支援端末は、前記モデル設計部と前記特徴設計部を含むようにしてもよい。
【0020】
前記情報収集システムは、前記レコーダに加え、前記現場データを直接発生させるデータ発生装置にネットワークを介して接続され、前記イベント情報生成部は、前記データ発生装置が発生させた現場データが出現すると、前記現場データが示す内容に応じた補足情報を前記データベースから探索し、前記データ発生装置の前記現場データを核として、探索された前記補足情報を含めた前記イベント情報を生成し、前記変化検出部による検知を契機にして生成される前記イベント情報には、前記変化の発生の時刻前後に前記データ発生装置から発生した前記現場データを前記補足情報として含めるようにしてもよい。
【0021】
前記情報収集システムは、前記レコーダに加え、前記現場データを直接発生させるデータ発生装置にネットワークを介して接続され、前記イベント情報生成部は、前記データ発生装置が発生させた現場データが出現すると、前記現場データが示す内容に応じた補足情報を前記データベースから探索し、前記データ発生装置の前記現場データを核として、探索された前記補足情報を含めた前記イベント情報を生成し、前記変化検出部による検知を契機にして生成される前記イベント情報には、前記変化の発生の時刻前後に前記データ発生装置から発生した前記現場データに基づく前記イベント情報を前記補足情報として含めるようにしてもよい。
【0022】
前記解析部は、警備員の身体的又は着衣の特徴を模した前記標準パターンで前記レコーディングデータを走査し、警備員の到着を前記特定事象の発生として検知するようにしてもよい。
【0023】
前記データベースには、前記レコーディングデータに記録された警備員の現実の到着時刻と、警備員の到着予定時刻と、遅刻限度時間と、遅刻報知と、正常時間内到着報知とを内容とする各補足情報が記憶され、前記イベント情報生成部は、前記現実の到着時刻と、警備員の到着予定時刻と、遅刻限度時間とに基づき、前記遅刻報知か前記正常時間内到着報知の一方の前記補足情報を選択して前記イベント情報に含めるようにしてもよい。
【0024】
前記解析部は、炎の特徴を模した前記標準パターンで前記レコーディングデータを走査し、出火を前記特定事象の発生として検知するようにしてもよい。
【0025】
前記データベースには、前記レコーディングデータに記録された出火時刻と出火場所を内容とする各補足情報が記憶され、前記イベント情報生成部は、前記出火時刻と前記出火場所を前記イベント情報に含めるようにしてもよい。
【0026】
前記データベースには、前記出火場所近傍の各種センサの計測値が各補足情報として記憶され、前記イベント情報生成部は、前記出火時刻と前記出火場所に加えて前記センサの計測値を前記イベント情報に含めるようにしてもよい。
【0027】
前記解析部は、メンテナンス員の身体的又は着衣の特徴を模した前記標準パターンで前記レコーディングデータを走査し、メンテナンス員の到着を前記特定事象の発生として検知するようにしてもよい。
【0028】
前記データベースには、前記レコーディングデータに記録されたメンテナンス員の現実の到着時刻と、メンテナンス員の駆け付けを要する事象の発生時刻が各補足情報が記憶され、前記イベント情報生成部は、前記到着時刻と前記発生時刻とに基づき、前記メンテナンス員の駆け付け時間を演算して前記補足情報として前記イベント情報に含めるようにしてもよい。
【0029】
前記解析部は、特定人物の身体的特徴を模した前記標準パターンと、人の特徴を模した前記標準パターンの各々で前記レコーディングデータを走査し、不審者又は侵入者の発生を検知するようにしてもよい。
【0030】
前記レコーダは、設備が有する画面を視野に収めて設置され、前記解析部は、特定画像、特定文字、特定文字列、特定記号、又は特定記号列を模した前記標準パターンで前記レコーディングデータを走査し、前記設備の特定事象の報知を検知するようにしてもよい。
【0031】
前記解析部は、人の特徴を模した前記標準パターンの各々で前記レコーディングデータを走査し、且つ前記標準パターンで特定された人のオブジェクトの変化を検知し、前記第1の現場データ生成部は、患者の転倒を含む不審挙動の発生を示す前記現場データを予め記憶し、前記解析部の検知に応答して、当該患者の転倒を含む不審挙動の発生を示す前記現場データをメモリに記憶させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、レコーディングデータが記録する特定事象と其の発生背景及び特定事象の評価や解釈を含むイベント情報を生成することができ、レコーディングデータを補足資料としてではなく、主要資料として扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本実施形態に係る情報収集システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る情報収集システムの構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る情報収集システムが生成するイベント情報の模式図である。
図4】本実施形態に係る情報収集システムのイベント情報の生成を示す模式図である。
図5】本実施形態に係る情報収集システムが有するモデルの模式図である。
図6】本実施形態に係る情報収集システムが記憶する設計用のイベント情報のモデルを示す模式図である。
図7】本実施形態に係る情報収集システムの有するシステム設計支援端末の構成を示すブロック図である。
図8】本実施形態に係る情報収集システムによるレコーディングデータに基づく設計用のイベント情報生成を示すフローチャートである。
図9】本実施形態に係る情報収集システムによるレコーディングデータに基づく操業用のイベント情報生成を示すフローチャートである。
図10】本実施形態に係る情報収集システムの警備員到着のイベント情報に関する設計過程から生成過程までを示す模式図である。
図11】本実施形態に係る情報収集システムの火災早期発見のイベント情報に関する設計過程から生成過程までを示す模式図である。
図12】本実施形態に係る情報収集システムの火災早期発見のイベント情報に関する設計過程から生成過程までを示す模式図である。
図13】本実施形態に係る情報収集システムのメンテナンス員到着のイベント情報に関する設計過程から生成過程までを示す模式図である。
図14】本実施形態に係る情報収集システムの侵入者発見のイベント情報に関する設計過程から生成過程までを示す模式図である。
図15】本実施形態に係る情報収集システムの装置停止のイベント情報に関する設計過程から生成過程までを示す模式図である。
図16】本実施形態に係る情報収集システムの不審挙動発見のイベント情報に関する設計過程から生成過程までを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る情報収集システムの実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
(構成)
図1は、本実施形態に係る情報収集システムを含むネットワーク構成を示すブロック図である。情報収集システム1はネットワーク300に接続されている。ネットワーク300には、データベース2と、1機以上のデータ発生装置100と、1機以上のレコーダ200が更に接続されている。ネットワーク300は、IEEE802.3等の有線通信プロトコル、IEEE802.11で規定される無線通信プロトコル、その他のプロトコルに準拠したネットワークであり、有線LAN網、無線LAN網、インターネット網、若しくは専用回線等の通信回線、又はこれらの複合である。
【0036】
データ発生装置100は、工場、オフィス又は住宅に設置されたセンサ装置、FAを制御するPLC、又はモバイル端末である。センサ装置は、センサ本体とコンピュータ又はマイコンを有し、ネットワーク300を介してデータ送信可能である。センサ装置は、例えば温度計、流量計、エンコーダ、電圧計、電流計等の各種物理量を観測し、又は近接センサ等のように通過した製品のロットナンバー等の各種数値をカウントする。PLCは、例えば製品のプロセス完了やエラー等のステータスを監視する。すなわち、データ発生装置100は、現場データ100aを発生させる。現場データ100aは、観測結果情報、ロットナンバー情報又はステータス情報等の設備や製品に対する観測結果である。
【0037】
レコーダ200は、工場やオフィス等の現場の様子を監視すべく設置される。レコーダ200は、ビデオカメラ本体、静止画を撮影するカメラ本体、又はマイクロフォン本体と、コンピュータ又はマイコンを有し、ネットワーク300を介してデータ送信可能である。レコーダ200は、動画又は静止画を撮影し、若しくは音声を録音し、動画データ、画像データ、又は音声データであるレコーディングデータ200aを発生させる。
【0038】
データ発生装置100及びレコーダ200は、現場データ100a及びレコーディングデータ200aに自らの送信元IPアドレスを付加し、情報収集システム1のIPアドレス及び情報収集アプリケーションのポート番号を含むTCPやIPを宛先アドレスとしてヘッダを付加し、ネットワーク300に送出する。
【0039】
情報収集システム1は、データ発生装置100が発生させた現場データ100aに各種の補足情報2aを追加していくことで、イベント情報1aを生成する。また、情報収集システム1は、レコーディングデータ200aを解析して、解析結果から現場データ100aを生成し、生成された現場データ100aに各種の補足情報2aを追加していくことで、イベント情報1aを構築する。イベント情報1aは、現場データ100aに補足情報2aが付加された一連のデータである。補足情報2aは、現場データ100aの内容を補足する情報であり、事象発生の背景情報、発生事象の説明情報、発生事象の解析情報、又はその他各種の有用情報である。
【0040】
データベース2には、各種各内容の補足情報2aが現場データ100aや他の補足情報2aと相互に関連づけられて記憶されている。情報収集システム1は、データベースマネージメントシステム(DBMS)としてデータベース2を検索し、補足情報2aを取得する。
【0041】
この情報収集システム1及びデータベース2は、コンピュータを含み構成され、CPUやMPU等のプロセッサ、RAM、OS及び情報収集アプリケーションが記憶されたHDDやSSD等の外部記憶装置、及びネットワークアダプタを備えている。情報収集システム1は、単一のコンピュータ又は分散型コンピュータ群である。また、情報収集システム1とデータベース2とは一体又はネットワーク300上に分散した別個のコンピュータである。
【0042】
情報収集アプリケーションは、コンピュータを情報収集システム1として機能させるプログラムコード又は制御プログラムであり、具体的にはオブジェクトコード又は機械語命令である。このプログラムコード又は制御プログラムは、様々なソースコードプログラム言語で書き込まれ、次いでプロセッサにふさわしい実行可能機械コード若しくは命令にコンパイル又はアセンブルされる態様で格納されていてもよい。このアプリケーションは、CDROM、DVDROM又はUSBメモリ等の可搬記憶媒体や、サーバ等のネットワーク上の記憶媒体に保存され、外部記憶装置へインストールされる。情報収集システム1を構成するコンピュータは、可搬記憶媒体を読み取り可能なドライブを有し、またサーバ等のネットワーク上の記憶媒体にアクセス可能にネットワークに接続されている。
【0043】
図2は、この情報収集システム1の構成を示すブロック図である。情報収集システム1は、外部記憶装置のアプリケーションをプロセッサで処理することにより、メモリ11と、解析エンジン12と、特徴記憶部13と、変化検出エンジン14と、辞書記憶部15と、イベント情報生成部16と、システム設計支援端末17と、現場データ記憶部18を備える。
【0044】
メモリ11は、RAM又は外部記憶装置を含み構成される。メモリ11は、ネットワーク300に送出された現場データ100a及びレコーディングデータ200aを一時的に記憶する。
【0045】
解析エンジン12は、プロセッサと外部記憶装置を含み構成される。解析エンジン12は、特徴記憶部13を参照し、メモリ11に記憶されたレコーディングデータ200aを解析する。解析内容は、特定事象の発生であり、例えば特定オブジェクトの出現、特定オブジェクトの態様変化、不特定オブジェクトの出現、又はこれらの組み合わせ等を解析する。解析エンジン12は、レコーディングデータ200aに特定事象の発生が記録されていれば、その特定事象の発生を示す現場データ100aをメモリ11に記憶させる。
【0046】
特徴記憶部13には標準パターン131が記憶されている。標準パターン131は、特定オブジェクトの特徴を示す。標準パターン131は、静止画データや動画データに対し、特徴点を二次元状に配列することで特定物体や特定文字を形作った形状情報、特定物体や特定文字の色情報、又はこれらの組み合わせである。また、標準パターン131は、音声データに対し、特定音声の周波数、振幅、音色、スペクトル又はこれらの組み合わせ等である。
【0047】
例えば、標準パターン131は、黄色のヘルメットを被った警備員をデータ内から見分けるために、ヘルメットの形状を表す形状情報と黄色等の色情報の組み合わせである。解析エンジン12は、レコーディングデータ200aの各フレームを特徴点の配列と色情報の分布に変換し、フレームの各領域と標準パターン131と照合する。一領域の特徴点の配列及び色情報の分布が標準パターン131とマッチすると、解析エンジン12は、規定内容を示す現場データ100aをメモリ11に記憶させる。規定内容を示す現場データ100aは、例えば警備員到着を示すテキストデータであり、現場データ記憶部18に予め記憶されている。
【0048】
また、例えば、標準パターン131は、搬送設備と被搬送製品とが衝突していることをデータから特定するために、金属が擦れる金切り音のスペクトルデータである。解析エンジン12は、レコーディングデータ200aの各時間区間のスペクトルデータと標準パターン131とを照合する。そして、例えば、マッチの結果として、異音発生を示すテキストデータにより成る現場データ100aをメモリ11に記憶させる。
【0049】
変化検出エンジン14は、プロセッサと外部記憶装置を含み構成される。この変化検出エンジン14は、メモリ11に記憶されたレコーディングデータ200aを解析する。解析内容は、レコーダ200が捉える状況の変化である。変化検出エンジン14は、レコーディングデータ200aに変化が記録されていれば、変化の発生を示す現場データ100aを現場データ記憶部18から読み出してメモリ11に記憶させる。
【0050】
すなわち、変化検出エンジン14は、レコーディングデータ200aが記録した各時点の静止画、フレーム又は音声と、その前時点の静止画、フレーム又は音声とを比較する。変化検出エンジン14は、比較対象の一定以上の相違により、変化を示す現場データ100aをメモリ11に記憶させる。現場データ記憶部18は、変化発生を示すテキストデータを予め記憶している。
【0051】
イベント情報生成部16は、プロセッサを含み構成される。イベント情報生成部16は、辞書記憶部15を参照し、データベース2又はメモリ11から補足情報2aを取得することで、イベント情報1aを生成する。補足情報2は、代表的にはデータベース2から取得されるが、イベント情報生成部16がアクセス可能な場所であれば、例えばメモリ11や既に生成されたイベント情報1aの集積場所から取得されるようにしてもよい。
【0052】
イベント情報1aは、図3に示すように、メモリ11に記憶された現場データ100aを核として、補足情報2aが連なる一連のデータである。データベース2に記憶された情報の他、メモリ11に記憶された現場データ100a、レコーディングデータ200a、及び現場データ100aやレコーディングデータ200aの一部情報、既に生成されたイベント情報1aも補足情報2aとして取り扱うようにしてもよい。
【0053】
辞書記憶部15は、外部記憶装置を含み構成され、イベント情報1aのモデル151が現場データ100aの種類に応じて記憶されている。図4は、辞書記憶部15に記憶されたモデル151を示す模式図である。モデル151は複数の補足種別情報152を含む。補足種別情報152は、イベント情報1aに付加する補足情報2aの種別を示す。また、モデル151は、各補足種別情報152にクエリ情報154を対にして有する。クエリ情報154は、補足種別情報152に属する補足情報2aのグループから1つの補足情報2aを絞り込むための検索条件である。このモデル151はイベント種別情報153で特定される。イベント種別情報153は、モデル151が示すイベント情報1aの核となる現場データ100aの種別を示す。
【0054】
イベント情報生成部16は、メモリ11に記憶された現場データ100aの種別と合致するイベント種別情報153を手がかりに、辞書記憶部12からモデル151を探索する。現場データ100aの種別とイベント種別情報153は、例えば現場データ100aを発生させたデータ発生装置100のIPアドレス、又は現場データ100aの特定内容である。
【0055】
図5に示すように、イベント情報生成部16は、該当のモデル151に含まれる各補足種別情報152で括られる補足情報2aのグループを特定する。イベント情報生成部16は、クエリ情報154を利用して其のグループから補足情報2aを絞り込む。クエリ情報154は、現場データ100aの種類、現場データ100aの内容、既に追加された補足情報2aの内容、又はこれらの組み合わせ、若しくはこれらをパラメータとして大小比較や一致不一致等を演算する演算式、若しくは演算結果に応じて選択される補足情報2aの内容を示す。イベント情報生成部16は、現場データ100aを核としたイベント情報1aに、絞り込まれた補足情報2aを追加していく。
【0056】
例えば、温度を示す現場データ、許容温度範囲を示す補足情報2a、及び現場データ100aが示す温度の正常又は異常を示す補足情報2aを含むイベント情報1aのモデル151が辞書記憶部15に記憶されている。イベント情報生成部16は、温度を示す現場データ100aを含むイベント情報1aに許容温度範囲を示す補足情報2aを追加する。また、イベント情報生成部16は、クエリ情報154に従って、現場データ100aが示す温度と既に追加した補足情報2aの許容温度範囲とを比較し、比較の結果に応じて指定されたキーワードをデータベース2から検索し、例えば正常を示す補足情報2aに絞り込んで、イベント情報1aに更に追加する。
【0057】
ここで、イベント情報1aは、由来、用途及び必要とする人によって2種類に大別される。データ発生装置100で発生した現場データ100a又は解析エンジン12で生成された現場データ100aを核とした操業用のイベント情報1aと、変化検出エンジン14で生成された現場データ100aを核とした設計用のイベント情報1aとに大別される。操業用のイベント情報1aは、現場や営業やバックオフィスや経営等の操業に携わる人に必要とされる情報である。設計用のイベント情報1aは、標準パターン131の設計に携わる人、及びレコーディングデータ200aから抽出された特定事象のイベント情報1aに関するモデル151の設計に携わる人に必要とされる情報である。
【0058】
すなわち、レコーディングデータ200aの中身が変化したことを捉えたことを報知する設計用のイベント情報1aが設計者に参照され、設計者が其の変化を特定事象の発生として把握し、且つ特定事象のイベント情報1aが操業関係者に必要と判断された際に、レコーディングデータ200aから特定事象を捉えるための標準パターン131と、レコーディングデータ200aから抽出された特定事象を示す現場データ100aと、その現場データ100aを核として追加する補足情報2aを示すモデル151が作成される。
【0059】
そのため、図6に示すように、辞書記憶部15には、設計用のイベント情報1aのモデル151が記憶され、このモデル151には、変化アリのテキスト情報である現場データ100aを示すイベント種別情報153と、例えば、変化時刻を示す補足種別情報152と、変化の発生場所を示す補足種別情報152と、変化発生場所の近辺にあるデータ発生装置100(図中、センサA)の現場データ100aを示す補足種別情報152、レコーディングデータ200aを示す補足種別情報152等が含められ、各補足種別情報152に対応してクエリ情報154が関連付けられている。
【0060】
これに対し、操業用のイベント情報1aに含められる補足情報2aは、現場レベルで活用可能な直接部門用の補足情報2aに限らず、現場データ100aから間接的に導かれ、営業活動を管理する各種管理レベルで活用可能な間接部門用の補足情報2a、及び経営レベルで活用可能な経営判断用の補足情報2aである。直接部門としては、主に製造部門や製造管理部門が挙げられ、間接部門としては、総務、営業、経理、管理等の各部署が挙げられる。これら補足情報2aを示す補足種別情報152とクエリ情報154が操業用のイベント情報1aのモデル151に含められている。
【0061】
次に、図7に示すように、システム設計支援端末17は、プロセッサ及び設計者とのマンマシンインターフェースを含み構成される。マンマシンインターフェースは、設計者への情報提供と設計者からの操作入力を受け付ける端末であり、例えば液晶パネルや有機ELパネルやプリンタ等の表示機器、及びキーボードやマウスやタッチパネルや音声入力装置等の入力機器である。このシステム設計支援端末17は、設計者のモデル151及び標準パターン131の生成を支援する。すなわち、システム設計支援端末17は、表示部171、モデル設計ツール172及び特徴設計ツール173を備えている。
【0062】
表示部171は、表示機器を含み構成され、設計用のイベント情報1aを表示する。モデル設計ツール172は、マンマシンインターフェースを含み構成され、レコーディングデータ200aを由来とするイベント情報1aのモデル151を設計者の入力に従って作成し、作成されたモデル151を辞書記憶部15に記憶させる。特徴設計ツール173は、マンマシンインターフェースを含み構成され、レコーディングデータ200aから特定事象を抽出する標準パターン131を設計者の入力に従って作成し、作成された標準パターン131を特徴記憶部13に記憶させる。
【0063】
(動作)
このような情報収集システム1の動作について説明する。図8は、設計用イベント情報1aの生成動作を示すフローチャートである。まず、図8に示すように、レコーダ200は、定期的又は連続してレコーディングデータ200aを発生させ(ステップS01)、定期的に又は連続してレコーディングデータ200aを情報収集システム1に送信する(ステップS02)。情報収集システム1は、レコーディングデータ200aを受信すると(ステップS03)、受信したレコーディングデータ200aをメモリ11に記憶する。
【0064】
変化検出エンジン14は、メモリ11のレコーディングデータ200aに含まれる時系列上の各前後データを比較する(ステップS04)。比較の結果、前後のデータが相違していると(ステップS04,Yes)、変化検出エンジン14は、予め記憶している変化アリを示すテキストデータを現場データ100aとしてメモリ11に記憶させる(ステップS05)。
【0065】
イベント情報生成部16は、現場データ100aの出現を検知する(ステップS06)。そして、イベント情報生成部16は、変化アリを示す現場データ100aに対応するモデル151を辞書記憶部151から検索する(ステップS07)。検索の手がかりであるイベント種別情報153としては、変化アリというテキストデータであってもよいし、変化検出エンジン14が発生させたことを示す情報を現場データ100aに付加しておき、その情報であってもよい。
【0066】
該当のモデル151が特定されると、イベント情報生成部16は、モデル151に含まれる補足種別情報152と一致する補足情報2aのグループを絞り込む(ステップS08)。すなわち、補足種別情報152と同一属性の補足情報2aを収集する。更に、補足種別情報152と対になってモデル151に記憶されているクエリ情報154に従って、絞り込んだグループから特定内容の補足情報2aを更に絞り込む(ステップS09)。
【0067】
特定内容の補足情報2aが絞り込まれると、イベント情報生成部16は、絞り込んだ補足情報2aを変化アリの現場データ100aを核とするイベント情報1aに追加する(ステップS10)。例えば、可変長のデータファイルを生成し、そのデータファイルに現場データ100aと補足情報2aのデータを追加する。ステップS08〜ステップS10の補足情報2aの追加は、モデル151の最後の補足種別情報152に関する追加が終了するまで繰り返される(ステップS11)。
【0068】
設計用のイベント情報1aには、変化アリを示す現場データ100aを核として、例えば、変化時間帯を示す補足情報2a、レコーディング場所を示す補足情報2a、及びレコーディングデータ200aを補足情報2aとして追加される。変化時間帯について、変化検出エンジン14は、レコーディングデータ200aの始めから変化のあった時までの経過時間をレコーディングデータ200aのタイムスタンプに加算して、その加算値に変化時間帯を示す補足種別情報152の属性を与え、データベース2やメモリ11等のイベント情報生成部16がアクセス可能な領域に記憶させておけばよい。
【0069】
レコーディング場所について、変化検出エンジン14は、レコーダ200のIPアドレスとレコーディング場所を示すテキストデータを対にして予め記憶しておき、レコーディングデータ200aに付加された送信元アドレスをレコーディング場所のテキストデータに変換して、そのテキストデータに変化時間帯を示す補足種別情報152の属性を与えてデータベース2等に記憶させておけばよい。レコーディングデータ200aについて、イベント情報生成部16の検索先をメモリ11とし、検索条件を変化検出エンジン14が抽出した送信元アドレスとの一致とすればよい。
【0070】
図9は、レコーディングデータ200aを由来とする操業用のイベント情報1aの生成動作を示すフローチャートである。図9に示すように、レコーダ200は、定期的又は連続してレコーディングデータ200aを発生させ(ステップS21)、定期的に又は連続してレコーディングデータ200aを情報収集システム1に送信する(ステップS22)。情報収集システム1は、レコーディングデータ200aを受信すると(ステップS23)、受信したレコーディングデータ200aをメモリ11に記憶する。
【0071】
解析エンジン12は、メモリ11のレコーディングデータ200aを特徴記憶部13の標準パターン131で走査する(ステップS24)。標準パターン131にマッチしたオブジェクトが発見されると(ステップS25,Yes)、解析エンジン12は、予め記憶された特定事象発生を示す現場データ100aをメモリ11に記憶させる(ステップS26)。
【0072】
イベント情報生成部16は、現場データ100aの出現を検知する(ステップS27)。イベント情報生成部16は、特定事象発生を示す現場データ100aに対応するモデル151を辞書記憶部151から検索する(ステップS28)。検索の手がかりであるイベント種別情報153としては、現場データ100aの内容そのものであってもよいし、現場データ100aの内容とレコーダ200のレコーディング場所の組み合わせであってもよい。レコーディング場所は、例えば解析エンジン12が解析したレコーディングデータ200aに付加されている送信元IPアドレスとしてもよい。
【0073】
該当のモデル151が特定されると、イベント情報生成部16は、特定されたモデル151に含まれる補足種別情報152と一致する補足情報2aのグループを絞り込む(ステップS29)。更に、補足種別情報152と対になったクエリ情報154が示す検索条件に従って、絞り込んだグループから特定内容の補足情報2aを更に絞り込む(ステップS30)。
【0074】
特定内容の補足情報2aが絞り込まれると、イベント情報生成部16は、絞り込んだ補足情報2aを特定事象発生の現場データ100aを核とするイベント情報1aに追加する(ステップS31)。ステップS29〜ステップS31の補足情報2aの追加は、モデル151の最後の補足種別情報152に関する追加が終了するまで繰り返される(ステップS32)。
【0075】
(作用)
(警備員の到着イベント)
更に、このような情報収集システム1の適用例を図10を参照して示す。工場のエントランスに動画を撮影するレコーダ200が設置されたものとする。このレコーダ200が発生させたレコーディングデータ200aには、工場巡回中の警備員が時刻T1にフレームインして映っていたものとする。
【0076】
このレコーディングデータ200aは、メモリ11に記憶される。変化検出エンジン14は、レコーディングデータ200aを解析する。時刻T1のフレームとその1フレーム前のフレームを比較した結果、警備員のオブジェクトの存在の違いにより、変化検出エンジン14は、変化アリの現場データ100aを生成する。
【0077】
イベント情報生成部16は、変化アリのテキストデータと一致するイベント種別情報153を手がかりにモデル151(図示省略)を検索する。該当のモデル151には、現場データ100aに対して、変化の時刻を示す補足種別情報152と、レコーダ200の設置場所を示す補足種別情報152、及びレコーディングデータ200aを示す補足種別情報152が含まれている。
【0078】
イベント情報生成部16は、変化の時刻を示す補足種別情報152に従って、データベース2から時刻T1を示す補足情報2aを取得する。時刻T1を示す補足情報2aは、変化検出エンジン14が変化を検出した段階で生成し、データベース2に記憶させている。イベント情報生成部16は、時刻T1を示す補足情報2aを変化アリの現場データ100aを核にしたイベント情報1aに追加する。
【0079】
また、イベント情報生成部16は、レコーダ200の設置場所を示す補足種別情報152に従って、メモリ11のレコーディングデータ200aから送信元IPアドレスを抽出し、送信元IPアドレスに関連付けられた工場のエントランスを示す補足情報2aを取得する。イベント情報生成部16は、工場のエントランスを示す補足情報2aを変化アリの現場データ100aを核にしたイベント情報1aに追加する。
【0080】
また、イベント情報生成部16は、レコーディングデータ200aを示す補足種別情報152に従って、メモリ11のレコーディングデータ200aを取得する。イベント情報生成部16は、レコーディングデータ200aを補足情報2aとして、変化アリの現場データ100aを核にしたイベント情報1aに追加する。
【0081】
このように、変化アリの情報、変化時刻の情報、レコーダ200の設置場所の情報、及び変化を捉えたレコーディングデータ200aは、同じイベント情報1aに纏められる。このイベント情報1aは、設計用であり、システム設計支援端末17の表示部171に表示される。すなわち、設計者により、イベント情報1aに含まれたレコーディングデータ200aを再生され、警備員が時刻T1に工場のエントランスに到着したことを理解できる。
【0082】
設計者は、このイベント情報1aの閲覧の結果、操業用のイベント情報1aを発生させることが必要であると判断したものとする。特徴設計ツール173は、レコーディングデータ200aの時刻T1に位置するフレームから特徴点を抽出する。すなわち、警備員が被る黄色のヘルメットの形状情報及び色情報が抽出される。特徴設計ツール173は、マンマシンインターフェースによる設計者の操作の下、警備員が被る黄色のヘルメットの形状情報及び色情報を標準パターン131とし、特徴記憶部13に記憶させる。また、特徴設計ツール173は、マンマシンインターフェースによる設計者の操作の下、例えば警備員到着というテキストデータを生成し、現場データ100aとして標準パターン131に関連付けて記憶させる。
【0083】
更に、モデル設計ツール172は、マンマシンインターフェースによる設計者の操作の下、警備員到着という現場データ100aを核としたイベント情報1aのモデル151を作成し、辞書記憶部15に記憶させる。例えば、警備員到着というテキストデータをイベント種別情報153とする。
【0084】
モデル151には、警備員到着時刻の補足種別情報152を含める。また、警備員到着時刻をデータベース2から取得するクエリ情報154を生成する。
【0085】
モデル151には、警備員到着規定時刻の補足種別情報152を含める。到着規定時刻の補足情報152をデータベース2に記憶させる。クエリ情報154の検索式に従って検索した結果、警備員到着規定時刻の補足情報152が絞り込まれるように、クエリ情報154を生成する。モデル151には、遅刻限度時間の補足種別情報152を含める。遅刻限度時間の補足情報152をデータベース2に記憶させる。
【0086】
また、モデル151には、警備員到着適否の補足種別情報152を含める。警備員到着時刻を示す補足情報2aから警備員到着規定時刻の補足情報2aの値を差分した結果が遅刻限度時間の補足情報2aの値以内に収まるか判断する判断式と、判断の結果に応じて選択する補足情報2aを指定するクエリ情報154を生成する。また、判断の結果に関連付けて、正常を示す補足情報2aと遅刻を示す補足情報2aをデータベース2に記憶させる。
【0087】
このモデル151が作成された後、レコーダ200がレコーディングデータ200aを発生させると、解析エンジン12は、警備員が被る黄色のヘルメットの形状情報及び色情報を標準パターン131でレコーディングデータ200aを走査する。走査の結果、マッチしたオブジェクトが検出されると、警備員到着の現場データ100aをメモリ11に記憶させ、検出時刻を内容とする警備員到着時刻の補足情報2aをデータベース2に記憶させる。
【0088】
イベント情報生成部16は、警備員到着の現場データ100aがメモリ11に出現すると、警備員到着のイベント種別情報153を手がかりにモデル151を検索する。そして、モデル151に含まれる警備員到着時刻の補足種別情報152とこれと対になったクエリ情報154とにより、メモリ11に記憶されている時刻T1の補足情報2aを取得し、警備員到着の現場データ100aを核とするイベント情報1aに追加する。
【0089】
また、モデル151に含まれる警備員到着規定時刻の補足種別情報152と遅刻限度時間の補足種別情報152とこれらと対になったクエリ情報154に対して、警備員到着規定時刻T2の補足情報2aと遅刻限度時間T3の補足情報2aをデータベース2から取得し、イベント情報1aに追加する。
【0090】
更に、モデル151に含まれる警備員到着適否の補足種別情報152とこれと対になったクエリ情報154に対して、到着時刻T1が遅刻限度時間T3の範囲内に収まるか判断し、判断の結果に応じて、正常を示す補足情報2a又は遅刻を示す補足情報2aをデータベース2から取得し、イベント情報1aに追加する。
【0091】
これにより、工場のエントランスを撮影するレコーダ200のレコーディングデータ200aに基づき、警備員が到着したことを示し、その到着が正常であるか遅刻であるかを説明する説明情報と、その説明情報の背景となる到着規定時間と到着時間を示す背景情報とが付加されたイベント情報1aが生成される。
【0092】
(火災早期発見イベント1)
更に、このような情報収集システム1の適用例を図11に示す。工場のコンベアを動画撮影するレコーダ200が設置されたものとする。コンベアには、他に温度センサと搬送速度計の各データ発生装置100が設けられているものとする。
【0093】
このレコーディングデータ200aは、メモリ11に記憶される。変化検出エンジン14は、レコーディングデータ200aを解析する。時刻T1のフレームとその1フレーム前のフレームを比較した結果、温度センサの設置場所と離れた位置に現れた小さな炎のオブジェクトの存在の違いにより、変化検出エンジン14は、変化アリの現場データ100aをメモリ11に記憶させる。
【0094】
イベント情報生成部16は、変化アリのテキストデータと一致するイベント種別情報153を手がかりにモデル151を検索する。該当のモデル151には、現場データ100aに対して、変化の時刻を示す補足種別情報152と、レコーダ200の設置場所を示す補足種別情報152、及びレコーディングデータ200aを示す補足種別情報152が含まれている。
【0095】
イベント情報生成部16は、モデル151に従って、変化アリの現場データ100aを核として、コンベアを示す補足情報2aと変化の時刻を示す補足情報2aと出火を捉えたレコーディングデータ200aをイベント情報1aに追加する。
【0096】
設計者は、このイベント情報1aの閲覧の結果、操業用のイベント情報1aを発生させることが必要であると判断したものとする。特徴設計ツール173は、炎の色情報が抽出される。特徴設計ツール173は、マンマシンインターフェースによる設計者の操作の下、炎の色情報を標準パターン131とし、特徴記憶部13に記憶させる。また、特徴設計ツール173は、マンマシンインターフェースによる設計者の操作の下、例えば出火警報というテキストデータを生成し、現場データ100aとして標準パターン131に関連付けて記憶させる。
【0097】
更に、モデル設計ツール172は、マンマシンインターフェースによる設計者の操作の下、出火時刻と出火場所とコンベアの温度とコンベアの搬送速度を示す各補足種別情報152とレコーディングデータ200aの補足種別情報152を含めたモデル151を作成し、辞書記憶部15に記憶させる。
【0098】
このモデル151が作成された後、レコーダ200がレコーディングデータ200aを発生させると、解析エンジン12は、炎の色情報を標準パターン131でレコーディングデータ200aを走査する。走査の結果、マッチしたオブジェクトが検出されると、出火の現場データ100aをメモリ11に記憶させ、検出時刻を内容とする出火時刻の補足情報2aをデータベース2に記憶させる。
【0099】
イベント情報生成部16は、出火のイベント種別情報153を手がかりにモデル151を検索する。そして、モデル151に含まれる出火時刻と出火場所とコンベアの温度とコンベアの搬送速度とレコーディングデータ200aを示す各補足種別情報152とこれらと対になったクエリ情報154とにより、各補足情報2aを取得し、出火の現場データ100aを核とするイベント情報1aに追加する。
【0100】
出火時刻の補足情報2aは、解析エンジン12が炎のオブジェクトを発見したときの時刻データをデータベース2から取得する。出火場所の補足情報2aは、レコーディングデータ200aの送信元IPアドレスを場所の情報に変換することで取得する。コンベアの温度とコンベアの搬送速度の各補足情報2aは、温度計と搬送速度計の各データ発生装置100が発生させた現場データ100aをメモリ11から取得する。レコーディングデータ200aの補足情報2aは、メモリ11から取得する。
【0101】
これにより、出火を捉えたレコーダ200のレコーディングデータ200aに基づき、出火が発生したことを示し、その出火時間及び場所の背景情報と、出火時のコンベア温度及び搬送速度の背景情報が付加されたイベント情報1aが生成される。
【0102】
(火災早期発見イベント2)
モデル151の他の態様を火災早期発見イベントに基づき更に図12に例示する。辞書記憶部15には、変化アリのテキストデータと一致するイベント種別情報153で特定される設計用のイベント情報1aのモデル151が記憶されている。このモデル151には、現場データ100aに対して、変化の時刻を示す補足種別情報152と、レコーダ200の設置場所を示す補足種別情報152、レコーダ200が視野に収める設備のデータ発生装置100が発生させる現場データ100aのイベント情報1aを示す補足種別情報152、及びレコーディングデータ200aを示す補足種別情報152が含まれている。
【0103】
イベント情報生成部16は、モデル151に従って、変化アリの現場データ100aを核として、コンベアを示す補足情報2aと変化の時刻を示す補足情報2aと、レコーダ200が視野に収める設備のデータ発生装置100が発生させる現場データ100aのイベント情報1aと、出火を捉えたレコーディングデータ200aをイベント情報1aに追加する。レコーダ200が視野に収める設備のデータ発生装置100が発生させる現場データ100aのイベント情報1aは、出火時刻前後に発生した現場データ100aを含むイベント情報1aをデータベース2等から検索して取得される。
【0104】
(メンテナンス員到着イベント)
更に、このような情報収集システム1の適用例を図13に示す。工場内を動画撮影するレコーダ200が設置されたものとする。このレコーダ200が発生させたレコーディングデータ200aに基づき、システム設計支援端末17がメンテナンス員の駆け付け時間を報知するイベント情報1aのモデル151を生成したものとする。
【0105】
このモデル151は、メンテナンス員到着の現場データ100aに対し、駆け付け事象発生時刻の補足種別情報152と到着時刻の補足種別情報152と駆け付け時間の補足種別情報152が含められる。駆け付け事象発生時刻の補足種別情報152には、メンテナンス員の到着時刻以前に発生した特定内容のイベント情報1aから特定事象の発生時刻を抽出するクエリ情報154が関連付けられる。特定内容のイベント情報1aとは、例えば異常やエラー等の補足情報2aが追加されたイベント情報1aである。
【0106】
このモデル151が作成された後、レコーダ200がレコーディングデータ200aを発生させると、解析エンジン12は、メンテナンス員の特徴を表した標準パターン131でレコーディングデータ200aを走査する。走査の結果、マッチしたオブジェクトが検出されると、メンテナンス員到着の現場データ100aをメモリ11に記憶させ、検出時刻を内容とするメンテナンス員到着時刻の補足情報2aをデータベース2に記憶させる。
【0107】
イベント情報生成部16は、メモリ11内にメンテナンス員到着の現場データ100aが発生したことを受けて、モデル151に従い、メンテナンス員到着の現場データ100aとメンテナンス員到着時刻の補足情報2aをイベント情報1aに追加する。
【0108】
また、イベント情報生成部16は、駆け付け事象発生時刻の補足種別情報152と対になったクエリ情報154により、第1に、異常又はエラーの補足情報2aを含むイベント情報1aをデータベース2やメモリ11から検索する。第2に、該当のイベント情報1aから現場データ100aの発生時刻を抽出する。第3に、抽出した発生時刻とメンテナンス員到着時刻を比較する。第4に、抽出した発生時刻がメンテナンス員到着時刻であるイベント情報1aを絞る。そして、絞られたイベント情報1aを補足情報2aとして、メンテナンス員到着のイベント情報1aに追加する。
【0109】
また、イベント情報生成部16は、駆け付け時間の補足種別情報152と対になったクエリ情報154により、イベント情報1a内のメンテナンス員到着時刻の補足情報2aから駆け付け事象発生時刻の補足情報2aの値を差分し、差分値を駆け付け時間の補足情報2aとして更にイベント情報1aに追加する。
【0110】
これにより、工場を撮影するレコーダ200のレコーディングデータ200aに基づき、メンテナンス員が到着したことを示し、その到着時刻と駆け付け事象発生時刻のタイムラグを説明する説明情報が付加されたイベント情報1aが生成される。
【0111】
(侵入者発生イベント)
更に、このような情報収集システム1の適用例を図14に示す。住宅の玄関外を動画撮影するレコーダ200が設置されたものとする。モデル設計ツール172は、設計者によるマンマシンインターフェースの操作の下、人の特徴を模した標準パターン131bと、住人の個性を模した標準パターン131aを生成し、特徴記憶部13に記憶させる。
【0112】
解析エンジン12は、人一般の特徴を模した標準パターン131bでレコーディングデータ200aを走査し、玄関外に人の存在を検知すると、その人のオブジェクトと住人の個性を模した標準パターン131aとを照合する。標準パターン131aがマッチしなければ、解析エンジン12は、侵入者発見を示す現場データ100aを生成し、メモリ11に記憶させる。
【0113】
侵入者発見を示す現場データ100aがメモリ11に出現すると、イベント情報生成部16は、侵入者発見のイベント種別情報153を含むモデル151に従って、イベント情報1aを生成する。イベント情報1aには、侵入者発見の時刻を示す補足情報2aと玄関外を示す補足情報2aを含める。
【0114】
これにより、住宅の玄関外を撮影するレコーダ200のレコーディングデータ200aに基づき、侵入者の発見を示し、その侵入時刻と侵入場所を説明する説明情報が付加されたイベント情報1aが生成される。
【0115】
(報知表示の発生イベント)
更に、このような情報収集システム1の適用例を図15に示す。例えば半導体製造装置等の設備の表示画面100dを動画撮影するレコーダ200が設置されたものとする。表示画面表示画面100dには、半導体製造装置のステータス、製造中の半導体のロットナンバーや製品番号、製造中の半導体の品質等が文字メッセージとして表示される。モデル設計ツール172は、設計用のイベント情報1aを参照した設計者によるマンマシンインターフェースの操作の下、例えば、装置停止を示す現場データ100a、装置停止を示す特定文字列を模した標準パターン131、及び操業用のイベント情報1aに関するモデル151を生成する。
【0116】
解析エンジン12は、装置停止を示す特定文字列を模した標準パターン131でレコーディングデータ200aを走査し、特定文字列の表示を検知すると、装置停止を示す現場データ100aを生成し、メモリ11に記憶させる。
【0117】
装置停止を示す現場データ100aがメモリ11に出現すると、イベント情報生成部16は、装置停止のイベント種別情報153を含むモデル151に従って、イベント情報1aを生成する。モデル151には、操作停止のイベント種別情報153に対して、停止時刻の補足種別情報152、停止装置の補足種別情報152、製造ロットナンバーの補足種別情報152、及びエラー内容の補足種別情報152が含められる。
【0118】
イベント情報生成部16は、解析エンジン12が発生させた操作停止の現場データ100aを核として、装置停止の時刻15:00、半導体製造装置が停止したこと、半導体製造装置に設置された各種のデータ発生装置100の一つである製造ロットナンバーの現場データ100a、及びエラー内容をイベント情報1aに含める。
【0119】
これにより、設備の表示画面を撮影するレコーダ200のレコーディングデータ200aに基づき、設備が表示するメッセージの内容を示し、そのメッセージが示す事象の発生時刻と、設備を対象とする各種観測結果により成る説明情報が付加されたイベント情報1aが生成される。
【0120】
(不審挙動者発見イベント)
更に、このような情報収集システム1の適用例を図16に示す。例えば病院内を動画撮影するレコーダ200が設置されたものとする。モデル設計ツール172は、設計者によるマンマシンインターフェースの操作の下、例えば通常の歩行態様を有する患者を模した標準パターン131を特徴記憶部13に記憶させる。
【0121】
解析エンジン12は、通常の歩行態様を有する患者を模した標準パターン131でレコーディングデータ200aを走査し、患者のオブジェクトを追跡し、オブジェクトが大きく変化すると、患者の転倒等を示す不審挙動者発見を示す現場データ100aを生成し、メモリ11に記憶させる。不審挙動者発見を示す現場データ100aがメモリ11に出現すると、イベント情報生成部16は、不審挙動者発見のイベント種別情報153を含むモデル151に従って、イベント情報1aを生成する。イベント情報1aには、不審挙動者発見の時刻と発見場所を示す補足情報2aとして含める。
【0122】
これにより、病院内を撮影するレコーダ200のレコーディングデータ200aに基づき、転倒した患者等の不審挙動者発見を示し、不審挙動の時刻と場所により成る説明情報が付加されたイベント情報1aが生成される。
【0123】
(効果)
以上のように、レコーディングデータ200aを記録するレコーダ200にネットワーク300を介して接続される情報収集システム1は、特定事象の発生を示す現場データ100aを予め用意しておき、レコーディングデータ200aを標準パターン131で走査して特定事象の発生を検知すると、その現場データ100aをメモリ11に記憶させる。データベース2には、各種各内容の補足情報2aを記憶しておき、メモリ11に現場データ100aが出現すると、その現場データ100aを核としてイベント情報1aを生成する。すなわち、現場データ100aの特定内容に応じた内容の補足情報2aをデータベース2から探索し、現場データ100aを核とするイベント情報1aに、探索された補足情報2aとレコーディングデータ200aを含める。
【0124】
これにより、レコーディングデータ200aのみからイベント情報1aを生成することができ、レコーダ200をデータ発生装置100の一つとしてシステムに組み入れることが可能となる。
【0125】
また、現場データの種類に応じてイベント情報に含める補足情報の種類を特定したモデルを記憶しておき、モデルに示される種類の補足情報のグループから、現場データ及び既に含められた補足情報を検索キーとして、他の補足情報を絞り込むようにした。
【0126】
すなわち、レコーディングデータ200aから特定事象を検知した結果、その結果として直ちにイベント情報1aを生成するのではなく、イベント情報1aの核となる現場データ100aを生成するようにした。これにより、データ発生装置100が発生させた現場データ100aとレコーダ200の発生させたレコーディングデータ200aを同一のシステムで区別なく扱うことができ、システムの設計者及びイベント情報1aを必要とする操業に関わる人にとって利便性が高まる。
【0127】
更に、この情報収集システム1は、ユーザとのマンマシンインターフェースを有し、特定事象の発生を示す現場データ100aに対応するモデル151を、ユーザによる入力に従って生成するモデル設計部172と、ユーザとのマンマシンインターフェースを有し、特定事象の発生により現れるオブジェクトの標準パターン131をユーザの入力に従って生成する特徴設計部13とを更に備える。そして、レコーディングデータ200aを解析して時系列上の前後データで変化の発生を検知すると、変化アリを示す現場データ100aをメモリ11に記憶させる。
【0128】
まず、システム設計者は、設備の特性や稼働状況、工場やオフィスの人的及び物的流れ等の各種情報を物的及び人的資料から収集し、レコーダ200の設置場所を検討し、そのレコーダ200のレコーディングデータ200aに記録され、且つ関心のある特定事象を予想して、レコーディングデータ200aに基づくイベント情報1aのモデル151を設計することが考えられる。
【0129】
しかしながら、この資料の収集、及び収集結果に基づく特定事象の予測は、トライアンドエラーを伴う大変に労力の必要とする作業である。この情報収集システム1では、レコーディングデータ200aに基づくイベント情報1aの生成と同じシステムによって、レコーディングデータ200aにどのような特定事象が記録され得るかを示すイベント情報1aを設計者に提供できる。
【0130】
そのため、レコーディングデータ200aに基づくイベント情報1aのモデル生成の労力を飛躍的に軽減できる。また、実際に起こり得る特定事象に対するイベント情報1aをより確実に操業関係者に提供できるようになるため、レコーディングデータ200aに基づくイベント情報1aを生成する情報収集システム1の信頼性を高めることができる。
【0131】
この設計用のイベント情報には、レコーディングデータ200aの変化が出現した時刻前後に発生したデータ発生装置100の現場データ100a、又はこの現場データ100aに基づくイベント情報1aを補足情報2aとして含めるようにしてもよい。
【0132】
これにより、各種データ発生装置100が発生させる現場データ100aと絡めて、レコーディングデータ200aに記録された変化を評価することができ、レコーディングデータ200aに基づく操業用のイベント情報1aの必要性の程度をシステム設計者が評価することが容易となる。例えば、センサの出力に基づくイベント情報1aのみの提供で十分なのか、これに加えてレコーディングデータ200aに基づく操業用のイベント情報1aの提供は有益であるのかを評価できる。
【0133】
具体的には、解析エンジン12は、警備員の身体的又は着衣の特徴を模した標準パターン131でレコーディングデータ200aを走査し、警備員の到着を特定事象の発生として検知するようにすることで、センサ等のデータ発生装置100では操業関係者に提供困難であったイベント情報1aを簡便に提供することが可能となる。
【0134】
例えば、データベース2には、レコーディングデータ200aに記録された警備員の現実の到着時刻と、警備員の到着予定時刻と、遅刻限度時間と、遅刻報知と、正常時間内到着報知とを内容とする各補足情報2aを記憶しておく。そして、現実の到着時刻と、警備員の到着予定時刻と、遅刻限度時間とに基づき、遅刻報知か正常時間内到着報知の一方の補足情報2aを選択してイベント情報1aに含めることができる。これにより、警備員到着のイベント情報1aを閲覧するだけで、警備員の勤務態度等を評価することが可能となり、レコーディングデータ200aに基づくイベント情報1aの利点である。
【0135】
また、解析エンジン12は、炎の特徴を模した標準パターン131でレコーディングデータ200aを走査し、出火を特定事象の発生として検知するようにすることで、火災報知機等が検知困難な初期の出火をより迅速に報知するイベント情報1aを提供することができる。
【0136】
また、データベース2には、出火場所近傍の各種センサの計測値が各補足情報2aとして記憶され、出火時刻と出火場所に加えてセンサの計測値をイベント情報1aに含めるようにした。これにより、例えばセンサの位置等の出火検知方法を改善することや、出火原因の特定及び対策が容易となる。例えば、コンベアより出火した場合、レコーディングデータ200aに基づくイベント情報1aがあれば、出火が起こりやすい箇所の特定、その特定に基づく温度センサの設置箇所見直し、コンベアの搬送速度等の出火原因の特定、コンベアの搬送速度の見直し等が容易となる。
【0137】
また、解析エンジン12は、メンテナンス員の身体的又は着衣の特徴を模した標準パターン131でレコーディングデータ200aを走査し、メンテナンス員の到着を特定事象の発生として検知することで、トラブル発生からメンテナンス員によるトラブル終息までの時間見直しの一助となり、レコーディングデータ200aに基づくイベント情報1aの利点である。
【0138】
また、レコーダ200は、半導体製造装置等の設備が有する画面を視野に収めて設置され、解析エンジン12は、特定画像、特定文字、特定文字列、特定記号、又は特定記号列を模した標準パターン131でレコーディングデータ200aを走査し、設備の特定事象の報知を検知するようにした。これにより、設備から現場データ100aを情報収集システム1に送出する仕組みを構築しなくとも、レコーダ200を利用して設備の観測結果に基づくイベント情報1aを生成することができ、工場やオフィスのシステム構築が容易且つ低コスト化できる。
【0139】
また、解析エンジン12は、人の特徴を模した標準パターン131の各々でレコーディングデータ200aを走査し、且つ標準パターン131で特定された人のオブジェクトの変化を検知し、患者の転倒を含む不審挙動の発生を示す現場データ100aをメモリ11に記憶させるようにして、イベント情報1aの生成のきっかけを作るようにしてもよい。患者等に不審挙動を検知するセンサを装着する必要なく、患者の不審挙動を迅速に知ることができ、レコーディングデータ200aに基づくイベント情報の利点である。
【符号の説明】
【0140】
1 情報収集システム
1a イベント情報
11 メモリ
12 解析エンジン
13 特徴記憶部
131 標準パターン
14 変化検出エンジン
15 辞書記憶部
151 モデル
152 補足種別情報
153 イベント種別情報
154 クエリ情報
16 イベント情報生成部
17 システム設計支援端末
171 表示部
172 モデル設計ツール
173 特徴設計ツール
18 現場データ記憶部
2 データベース
2a 補足情報
100 データ発生装置
100a 現場データ
200 レコーダ
200a レコーディングデータ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
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