特許第6236052号(P6236052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 斉藤 欽也の特許一覧

特許6236052口内虫歯予防粉及び口内虫歯予防粉の製造方法
<>
  • 特許6236052-口内虫歯予防粉及び口内虫歯予防粉の製造方法 図000002
  • 特許6236052-口内虫歯予防粉及び口内虫歯予防粉の製造方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236052
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】口内虫歯予防粉及び口内虫歯予防粉の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/99 20170101AFI20171113BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20171113BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20171113BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A61K8/99
   A61Q11/00
   A61K8/365
   A61K8/60
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-224157(P2015-224157)
(22)【出願日】2015年11月16日
(65)【公開番号】特開2017-88580(P2017-88580A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2016年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】512254977
【氏名又は名称】斉藤 欽也
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 欽也
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第02/016554(WO,A1)
【文献】 特開2005−013211(JP,A)
【文献】 国際公開第03/082027(WO,A1)
【文献】 特開2004−115464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/99
A61K 8/365
A61K 8/60
A61Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生きた状態での唾液連鎖球菌を含み、少なくとも殺菌成分又は研磨成分を含まない口内虫歯予防粉であって、
生きた状態での唾液連鎖球菌は顆粒状の粉である乳酸粉に含まれ、
前記乳酸粉とは別に、顆粒状の増量粉を含む
口内虫歯予防粉。
【請求項2】
増量粉は、少なくともオリゴ糖を含む
請求項1に記載の口内虫歯予防粉。
【請求項3】
前期乳酸粉と前記増量粉との比率は、重量比において1/5〜1/200の範囲である
請求項1又は2に記載の口内虫歯予防粉。
【請求項4】
前記増量粉は、デキストリンを含む
請求項1〜3いずれか1項に記載の口内虫歯予防粉。
【請求項5】
前記増量粉は、エリスリトールを含む
請求項4に記載の口内虫歯予防粉。
【請求項6】
前記増量粉は、オリゴ糖及びデキストリン及びエリスリトールを含み、
オリゴ糖は、前記増量粉全体に対して重量パーセントにおいて10%〜40%の範囲であり、
デキストリンは、前記増量粉全体に対して重量パーセントにおいて40%〜70%の範囲であり、
エリスリトールは、前記増量粉全体に対して重量パーセントにおいて10%〜30%の範囲である
請求項1〜5いずれか1項に記載の口内虫歯予防粉。
【請求項7】
生きた乳酸菌を含み殺菌性成分を含まず顆粒状の粉である乳酸粉と、顆粒状の粉である増量粉と、を、同一の容器内に封入する第1工程と、
容器を上下に振動させる第2工程と、を有する
口内虫歯予防粉の製造方法。
【請求項8】
衝撃を吸収するように形成されている前記容器を使用する
請求項7に記載の口内虫歯予防粉の製造方法。
【請求項9】
20℃〜30℃の間に温度制御される
請求項8に記載の口内虫歯予防粉の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口内虫歯予防粉に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、甘味料として実質的に糖アルコールのみを,1重量%以上70重量%以下含有するプリン様食品,及び前記糖アルコールは,キシリトール,エリストール,及びマルチトールのうちいずれか1種又は2種以上の混合物であるプリン様食品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−148614号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
口内において、研磨剤を有せず、粉を歯に塗りこむことによって、虫歯を予防する粉は販売されていなかった。
【0005】
本発明は、簡易な方法でより効果的に虫歯を予防できる粉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の口内虫歯予防粉は、生きた状態での唾液連鎖球菌を含み、少なくとも殺菌成分又は研磨成分を含まない。
【0007】
好適には、生きた状態での唾液連鎖球菌は顆粒状の粉である乳酸粉に含まれる。
【0008】
好適には、前記乳酸粉とは別に、顆粒状の増量粉を含む。
【0009】
好適には、増量粉は、少なくともオリゴ糖を含む。
【0010】
好適には、前期乳酸粉と前記増量粉との比率は、1/5〜1/200の範囲である。
【0011】
好適には、前記増量粉は、デキストリンを含む。
【0012】
好適には、前記増量粉は、エリスリトールを含む。
【0013】
好適には、前記増量粉は、オリゴ糖及びデキストリン及びエリスリトールを含み、オリゴ糖は、前記増量粉全体に対して10%〜40%の範囲であり、デキストリンは、前記増量粉全体に対して40%〜70%の範囲であり、エリスリトールは、前記増量粉全体に対して10%〜30%の範囲である。
口内虫歯予防粉の製造方法は、生きた乳酸菌を含み殺菌性成分を含まず顆粒状の粉である乳酸粉と、顆粒状の粉である増量粉と、を、同一の容器内に封入する第1工程と、容器を上下に振動させる第2工程と、を有する。
好適には、衝撃を吸収するように形成されている前記容器を使用する。
好適には、20℃〜30℃の間に温度制御される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって、簡易な方法でより効果的に虫歯を予防できる粉を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の口内虫歯予防粉の製造方法を示す説明図である。
図2】ステップS111の2次混合の方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
従来から虫歯を予防するために、例えば以下の様な方法が推奨されている。
(1) 毎食後の歯磨きの励行
(2) 甘いものを控える
(3) 虫歯を生成する菌が分解できない甘みを感じる物質を食品等に使用する
しかしながら、いずれも、虫歯の原因となる様々な菌(以下、単に「虫歯菌」という)自体の増殖を防ぐだけの効果しか存在しない。
【0017】
本実施例では、虫歯菌の増殖を防ぐことを第1の目的とし、そして、虫歯菌の数自体を極めて低いレベルで下げることを目的としている。
具体的な手段として、乳酸菌を生きたまま口内に拡散することによって、虫歯菌の増殖を抑えることを行っている。
乳酸菌を生きたまま口内に拡散する結果事によって、以下の結果として、歯菌の数を非常に低いレベルに抑制するものである。
(1)乳酸菌を乳酸菌が攻撃する
(2)乳酸菌が虫歯菌の生存環境を専有する
(3)乳酸菌が虫歯菌の栄養元を先に消費する
【0018】
ここで、乳酸菌は、より好適には、口内連鎖球菌である。
更に、口内連鎖球菌の乳酸菌は、口内連鎖球菌M18。
現在のところ、口内連鎖球菌は、ニュージーランド ブリステクノロジー社のBLIS M18が最適であると判断しているが、これに限定する趣旨ではない。
また、同様に、最適なものとして、現在のところ、口内連鎖球菌は、ニュージーランド ブリステクノロジー社のBLIS K12が最適であると判断している
【0019】
通常、口内連鎖球菌は、口の中にある菌であり、それ自体が虫歯菌であると思われていた。しかしながら、口内連鎖球菌であっても、一部の菌は、虫歯菌になら無いことを発見した。
その構内連鎖球菌の中で様々な菌を試したところ、口内連鎖球菌M18が今のところこのような機能を有する菌として、最有力であることがわかった。
更に、ブリステクノロジー社のBLIS M18が、最適であることがわかった。
(なお、ブリステクノロジー社のBLIS K12も同様に最適であったが、以下説明のために、BLIS M18でのみ説明する。)
なお、BLIS M18(及び、BLIS K12)は生きた乳酸菌(口内連鎖球菌M18)である。
以下、乳酸菌の一例、口内連鎖球菌の一例、口内連鎖球菌の一例として、BLIS社のBLIS M18を用いて説明するが、これに限定する趣旨ではない。単に、現在のところの最適実施例を記載する趣旨で記載する。
【0020】
乳酸菌自体は、非常に小さなものである。
しかも、口内の歯に拡散(塗布、塗りこみ)する量は、極めて微量で足りる。
そのため、必要とする BLIS M18も極めて微量である。
おそらく、BLIS M18も菌以外の成分も含ませることによって、一定の菌の量あたりの質量を多くなるように、量を水増ししていると思われるが、それでも極めて分量が少ない。なお、BLIS M18は顆粒状の形状をしている。
なお、このような事情は、BLIS M18以外の菌を使用した場合であっても同様であると思われる。
具体的には、虫歯を予防するために、必要とされるBLIS M18の必要量は20mgにすぎない。20mgとは、耳かき1杯分に過ぎない。なお、20mgが現在のところ適量であると判断している。
これはあまりに少なく、直接口の中に投入しても、口の中の歯のある部分全体に行き渡らせることが困難である。
また、より確実に口の中の歯のある部分全体に拡散するためには、歯ブラシ又は歯ブラシのような役割をする物に、BLIS M18を振りかけて、それを歯に対してブラッシングすることが考えられる。
しかし、この場合でも、20mgでは極めて量が少なく、利用者はその使用している事実及びその効果を疑問視することが考えられる。
しかも、20mgでは、耳かき1杯分であるから、息を吹きかけてしまい他に飛ばしてしまうという事もありえる。
さらに、20mgでは量が少なすぎて、小分けの包装をすることが困難であり、大きな容器内に所定量入って中から、耳かきの様なスプーンによって測りだすことになってしまう。
その為、このままBLIS M18を使用することは、消費者に取って様々点から、不便が大きい。
【0021】
そこで、発明者は、口内虫歯防止粉として使用する場合には、顆粒状であり、BLIS M18を含む乳酸粉と、増量粉と、を混合する事によって、量を増やす必要が有ることを発見た。
なお、乳酸粉は乳酸菌(ここでの具体例は、BLIS M18)を含むものをいう。
そして、乳酸粉と増量粉とを合わせて、1000mg程度にすると、使用の便宜性が高いことを発見した。
つまり、乳酸粉と増量粉との割合は、20対980(1:49、1/49)である。
ただし、この割合は、乳酸粉中に含まれる、乳酸菌の量によって適宜変化可能である。
なお、乳酸粉と増量粉とを合わせて、1000mg程度にする理由は、この量であれば、歯ブラシなどに振りかけて、そのまま、歯ブラシで塗りこむ際に適切な量であるからである。
このように、乳酸粉と増量粉とを混ぜあわせたものが、実施例における口内虫歯予防粉となる。
【0022】
もっとも、1000mgは、適宜変更可能である。
その割合を変化させて実験を行った結果、1/5〜1/200であれば、ある程度の適切性があることが分かった。
さらに、1/20〜1/70がより適切であることが分かった。
現在の最適は、上述のように1/49である。
【0023】
口内虫歯予防粉中には、通常の歯磨き粉であれば含まれる殺菌成分又は研磨成分を含む必要がない。
むしろ、殺菌成分は乳酸菌を殺菌してしまうことから有害である。
また、研磨成分も、本発明の口内虫歯予防粉は歯から汚れを除去するためのものでは無いことから不要である。むしろ、歯との研磨によって乳酸菌を殺菌する恐れがあるため不要である。ただし、研磨成分は殺菌剤ほど有害ではないので、口内虫歯予防粉含むことも可能である。
なお、乳酸粉に含まれる、BLIS M18に代表される乳酸菌は、生きた状態で、乳酸粉中に含まれている。
ここで本発明の口内予防粉は、殺菌成分又は研磨成分のいずれか1方を含まないだけで足りるが、より好適には、殺菌成分又は研磨成分の両方を含まない方がより適切であることは言うまでもない。
また、本発明の口内虫歯予防粉には、虫歯を予防する効果がそれ自体あるため、フッ素化合物を含む必要が無い。
そのため、本発明の口内虫歯予防粉はフッ素を含んでいても良いものの、フッ素化合物を含まない方がより好適である。
【0024】
増量粉は、乳酸粉と同様に顆粒状である。
増量粉は、少なくとも、オリゴ糖を含むことが適切である。
なぜなら、BLIS M18を代表とする乳酸菌は、オリゴ糖が存在すると、それを栄養として増殖が進むからである。
そして、BLIS M18を代表とする乳酸菌が口内で増殖すると、虫歯を生成するその他の菌を攻撃等して、虫歯を生成する菌が減少して、虫歯の発生を大幅に抑制するからである。
ここで、オリゴ糖としては、例えば、オリゴ糖としては、イソマルトオリゴ糖、ラクチュロース、パラチノース、フラクトオリゴ糖、ラフィノース、スタキオース、キシロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、トレハロース、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ビートオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、スクロース、ラクトース、マルトース、シクロデキストリン等が挙げられる。
さらに、このようにオリゴ糖を有することから、この口内虫歯予防粉を使用時に使用者に対して甘みを感じさせることが可能となる。
これによって、口内虫歯予防粉を、使用者が抵抗なく使用してもらえる効果も期待できる。
【0025】
増量粉は、更に、デキストリン及びエリスリトールを含むことがより適切である。
デキストリン又はエリスリトールは、以下の糖等と置換も可能である。例えば、異性化液糖、ソルビトール、水飴、オリゴ糖、トレハロース、乳糖、キシリトール、澱粉糖化物、還元澱粉糖化物、還元水飴、還元乳糖、蜂蜜、黒糖、グリセリンなどが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
ただし、現在のところ、デキストリン及びエリスリトールが最適であると判断している。
その理由は、デキストリンは、顆粒化、粘度土の調整の為に必要とされた。
他方で、デキストリンは、無味無臭で食品としても使用されていることから、口内に居ても安全性が高いと判断されたからである。
さらに、エリスリトールは清涼感を出しつつ、虫歯をつくらない甘味料だからである。
なお、デキストリン及びエリスリトールは、その両方が必須ではなく、一方のみでも、所定の機能を発揮する。
さらに、デキストリン及びエリスリトールも、この口内虫歯予防粉を使用時に使用者に対して甘みを感じさせることが可能となる。
これによって、口内虫歯予防粉を、使用者が抵抗なく使用してもらえる効果も期待できる。
【0026】
前述のように、増量粉は、オリゴ糖及びデキストリン及びエリスリトールを含んでいる。
そして、オリゴ糖は、増量粉全体に対して10%〜40%の範囲であり、デキストリンは、増量粉全体に対して40%〜70%の範囲であり、エリスリトールは、増量粉全体に対して10%〜30%の範囲であると適切であることが実験の結果分かった。
エリスリトール及びオリゴ糖が多すぎると甘くなりすぎることから、この両者を合わせた分量が以上の分量とすることが適切であった。
ただし、エリスリトール及びオリゴ糖が少なすぎると、甘味を感じられず、子供等が使用する際に抵抗が大きくなるからである。
この2つの調整の結果、エリスリトール及びオリゴ糖の量を決定している。
また、オリゴ糖は、BLIS M18の乳酸菌がそれを栄養にして増殖する為に、ある程度の量が必要である。
しかし、多すぎると、甘くなりすぎる上に、口内虫歯予防粉の製造後に、乳酸菌が活性化しすぎるおそれがあり、上記割合に決定されている。
また、エリスリトールは、清涼感を出す為にある程度の料が必要であるが、入れ過ぎると清涼感が逆に効きすぎて使用者に受け入れられないため、上記割合に決定されている。
次に、口内虫歯予防粉には、粉が砕けることがない(=安定化)する為にデキストリンが加えられている。更に、口内虫歯予防粉には、顆粒化する為にデキストリンが加えられている。そのため、安定化しつつ、砕けずに顆粒化するために、デキストリンはある程度の料が必要である。特に、後述の様な振とうによって製造する場合、砕けないようにするために、ある程度の分量が必要である。
他方、デキストリン自体は、特段効果がないため、できるだけ量を控える必要がある。
そのため、デキストリンの割合は、上記割合が適切であった。
以上の、要素を全て検討した結果、オリゴ糖は、増量粉全体に対して10%〜40%の範囲であり、デキストリンは、増量粉全体に対して40%〜70%の範囲であり、エリスリトールは、増量粉全体に対して10%〜30%の範囲であった。
さらに、デキストリンを61.6%と、オリゴ糖19.2%と、エリスリトール19.2%として増量粉を製造することが、より適切である。
【0027】
増量粉及び乳酸粉は、それぞれ、顆粒状である。
そのように増量粉及び乳酸粉の両方が顆粒状であることから、比較的容易に、増量粉と乳酸粉を混ぜ合わせる事が可能となる。
また、増量粉及び乳酸粉の両方が顆粒状であることから、均一に混合することも可能となる。
さらにまた、増量粉及び乳酸粉の両方が顆粒状であることから、熱や、圧力が発生させずに、増量粉及び乳酸粉を混ぜ合わせることが可能となる。
なぜなら、熱や圧力が発生すると、乳酸菌が死滅する可能性があるからである。
加えて、増量粉及び乳酸粉の両方が顆粒状であることから、水などを用いずに混合することが可能となる。なぜなら、水が存在すると、乳酸菌が製造段階で活動を活性化してしまい、品質に問題を生じさせてしまうからである。
【0028】
なお、通常のペースト状の歯磨き粉などでは、ペーストとするために水などを必要としていることから、生きたまま乳酸菌を提供することはできない。
それに対して、本実施例の、口内虫歯予防粉は増量粉及び乳酸粉の両方が顆粒状であることから、生きたまま乳酸菌を口内に供給する粉を製造することか可能となる。
【0029】
図1は、口内虫歯防止粉の製造方法の一例を説明する説明図である。
【0030】
香料Aは各種香料である。具体的には、イチゴ香料とヨーグルト香料である。
このイチゴ香料とヨーグルト香料とを、ステップS101において、混合する。
その混合した結果物が、混合香料Bである。
なお、イチゴ香料とヨーグルト香料としたのは、口内虫歯予防粉は、子供にも使用することが考えられるために、より、使用に不快感をなくすために用いられている。
しかしながら、あくまで、香料であることから、様々に変更すること可能である。
さらに、場合によっては香料を使用しないことも可能である。
【0031】
デキストリンを61.6%と、オリゴ糖19.2%と、エリスリトール19.2%とした増量材料Cをそれぞれ用意する。
そして、ステップS103において、この増量材料Cと先ほど混合香料Bとを混合して一次混合物を生成する(一次混合)。
次に、ステップS105において、一次混合物を顆粒状にできるように造粒して、造粒物を生成する。
さらに、ステップS107において、造粒物を乾燥させる。ここでは、乳酸菌を含まないので、高温にすることや、逆に低温乾燥することや、低湿度の空気を送り込む、等の様々な乾燥方法を取ることが可能である。
祭儀に、ステップS109において、整粒する。具体的には、顆粒の大きさを20メッシュ以上、80メッシュ以下であるとより適切である。
これらの工程を経ることによって、一次顆粒Bを製造することができる。
この一次顆粒Bが増量粉である。
【0032】
BLIS M18(乳酸菌、口内唾液連鎖球菌)を含んだ顆粒状の乳酸粉Eと、増量粉(一次顆粒D)と、を混合し、2次混合物Fを生成する(2次混合)。具体的には、図2のところで説明する。
この2次混合物Fが口内虫歯予防粉である。
【0033】
ステップ113において、口内虫歯予防粉の菌数を測定する。
BLIS M18(乳酸菌、口内唾液連鎖球菌)が所定の量以上に死滅等していないか確認するためである。
【0034】
ステップ115において、1000mg毎に分けて、それぞれ、光、湿気等を通さない袋に分包する。
最後に、ステップS117において、箱詰めする。箱詰めされた、製品は出荷される。
【0035】
この図1の製造過程において、製造室内の温度は、15℃から40℃ノ範囲に制御適切である。
より適切には、製造室内の温度は、20℃〜25℃である。
この温度範囲が、最も、BLIS M18(乳酸菌、口内唾液連鎖球菌)のでき顆粒を破壊せず、かつ、生きた乳酸菌(口内唾液連鎖球菌)を出来るだけ死滅させずに、口内虫歯予防粉を製造することが可能となるからである。
この温度については、低い温度のほうが、乳酸菌の活動を防止することができるが、他方、低すぎると、製造時の作業員の作業能率が下がるからである。
また、低すぎると、温度管理のために電気代などが上がるからである。
逆に、温度が高過ぎると、作業員の作業能率が下がり、かつ、冬場の電気代が上がってしまうからである。また、乳酸菌が活発化し過ぎてしてしまうし、それ以上であれば、乳酸菌が死滅してしまうからである。
【0036】
図2は、ステップS111の2次混合の方法の説明図である。
【0037】
図2のように、増量粉DとBLIS M18(乳酸菌、口内唾液連鎖球菌)を含んだ顆粒状の乳酸粉Eとを同日の容器1ないに、所定の分量ずつ投入する。
具体的には、乳酸粉Dと増量粉Eとの割合は、2対98(1:49、1/49)で投入する。例えば、乳酸粉Dと増量粉Eとの全量で10kgとなるように投入する。
そして、蓋を閉め密封する(第1工程)
そして、容器1を振動させる(第2工程)。特に、上下に振とうすることによって、混合が可能である。
振とうは、あまりに大きく上下移動させる振とうは、乳酸粉Dと増量粉Eのそれぞれの顆粒を破壊してしまう可能性があるため、大きく振とうすることは適切ではない。
そこで、200〜400mmの距離を、1分当たり40〜100回の割合で振とうさせている。
容器1は袋(ビニール袋)などであると特に良い。
なぜなら、金属製の容器では、壁と衝突してしまい乳酸粉Dと増量粉Eの顆粒を破壊してしまう可能性が高い。それに対して、ビニール袋の場合には、衝撃を和らげることが可能であるからである。
つまり、容器1は、衝撃を吸収するように形成されていることが適切である。
このような方法で2次混合するため、顆粒を破壊せず、かつ、生きた乳酸菌(口内唾液連鎖球菌)を出来るだけ死滅させずに、混合することが可能となる。
なお、この混合の方法は一例であり、他に、均一混合し、顆粒を破壊せず、生きた乳酸菌を死滅させない方法であれば他の方法であっても良い。
【0038】
<実施例の構成及び効果>
口内虫歯予防粉は、生きた状態での唾液連鎖球菌を含み、少なくとも殺菌成分又は研磨成分を含まない。
このような構成を有することから、簡易な方法でより効果的に虫歯を予防できる粉を提供することが可能となる。
【0039】
生きた状態での唾液連鎖球菌は顆粒状の粉である乳酸粉に含まれる。
このような構成を有することがから、容易に混合等が可能となる。
【0040】
乳酸粉とは別に、顆粒状の増量粉を含む。
このような構成を有することから、適切な分量で使用者に提供することが可能となる。
【0041】
増量粉は、少なくともオリゴ糖を含む。
このような構成を有することから、唾液連鎖球菌をより活性化させることが可能となる。
さらに、このような構成を有することから、口内虫歯予防粉を使用者が抵抗なく使用してもらえる効果を有する。
【0042】
乳酸粉と増量粉との比率は、1/5〜1/200の範囲である。
このような構成を有することから、適切な分量で使用者に提供することが可能となる。
【0043】
増量粉は、デキストリンを含む。
このような構成を有することから、唾液連鎖球菌をより活性化させることが可能となる。
さらに、このような構成を有することから、口内虫歯予防粉を使用者が抵抗なく使用してもらえる効果を有する。
【0044】
増量粉は、エリスリトールを含む。
このような構成を有することから、唾液連鎖球菌をより活性化させることが可能となる。
さらに、このような構成を有することから、口内虫歯予防粉を使用者が抵抗なく使用してもらえる効果を有する。
【0045】
増量粉は、オリゴ糖及びデキストリン及びエリスリトールを含み、オリゴ糖は、増量粉全体に対して10%〜40%の範囲であり、デキストリンは、増量粉全体に対して40%〜70%の範囲であり、エリスリトールは、増量粉全体に対して10%〜30%の範囲である。
このような構成を有することから、最も適切に、唾液連鎖球菌をより活性化させることが可能となる。
さらに、このような構成を有することから、最も適切に、口内虫歯予防粉を使用者が抵抗なく使用してもらえる効果を有する。
【0046】
口内虫歯予防粉の製造方法は、生きた乳酸菌を含み殺菌性成分を含まず顆粒状の粉である乳酸粉と、顆粒状の粉である増量粉と、を、同一の容器内に封入する第1工程と、容器を上下に振動させる第2工程と、を有する。
このような構成を有することから、均一混合し、顆粒を破壊せず、生きた乳酸菌を死滅させずに、混合することができる。
【0047】
容器としては、衝撃を吸収するように形成されている容器を使用する。
このような構成を有することから、より顆粒を破壊せずに混合することが可能となる。
【0048】
製造は、20℃〜30℃の間に温度制御される。
このような構成を有することから、より生きた乳酸菌を死滅させずに、混合することができる。
【0049】
以上の実施例は、あくまで例であり、他の割合、成分、製造方法等を取ることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
A イチゴ香料とヨーグルト香料 (香料)
B いちごヨーグルト香料 (混合香料)
C デキストリン、オリゴ糖、エリスリトール (増量材料)
D 一時顆粒 (増量粉)
E BLIS M18(乳酸菌、口内唾液連鎖球菌、BLIS K12)
F 口内虫歯予防粉

図1
図2