(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0009】
[0008]本発明は、二酸化炭素含有空気の塊から二酸化炭素を除去する、さらなる新規の有用なシステムおよび方法を提供する。
【0010】
[0009]本発明はさらに、同じ低温システムはさらに、主に周囲空気で希釈された比較的濃縮されたCO
2を含有する煙道から発生したガスと空気とを混合することによって、二酸化炭素濃度が高められたガスの混合物からのCO
2の捕獲にも適用が可能であるという発見により改善され;さらに驚くことに、これはさらに効率も改善する。これは、例えば発電所、または製油所、またはセメント製造工場などの別の方式で「汚れた」源にとって、CO
2マイナスのシステム事象(CO
2-negative system event)をもたらす可能性がある。このような環境において、例えば煙道ガスが石炭の燃焼から発生するような場合、二酸化炭素吸着剤を接触させる前に煙道ガスを前処理して、微粒子と、例えば硫黄および窒素酸化物化合物などの所定の有害な化合物とを除去することが通常好ましい。
【0011】
[0010]一般的に、大気からの直接的な抽出と、処理される周囲空気中の二酸化炭素濃度を増加させる能力とを利用して、例えば煙道から生じたガスなどのCO
2高含有ガス混合物と混合することによって大気中の既存のCO
2濃度を低下させ、炭素マイナスのプロセスの組み合わせを提供することができ、さらに別の方法でCO
2濃度を増加させる可能性がある例えばメタンなどの他の温室効果ガスの大気への放出を相殺できる。現在、このようにして気候変動を少なくしたり、または元に戻したりすることも考えられる。
【0012】
[0011]本発明者らの初期の研究において、周囲空気中の比較的低い濃度のものからCO
2を除去する高度に効率的なシステムは、CO
2を含有する吸着剤を飽和したプロセス水蒸気を使用して再生することで相当量のエネルギーを使用しなくても達成できることが認識されている。目下、活性な吸着剤部位のための支持体として、比較的薄く大きい表面積を有する一体式の多孔質基板の互いにタンデム式になったアレイを利用することによって改善された結果が得られることが見出されている。このようなシステムでは、煙道から生じた相当量のガスを周囲空気と混合して、処理される空気中のCO
2濃度を、1桁の規模で、場合によってはそれよりも多く増加させることができ、それと同時に、別のモノリスシステムとタンデム式で条件および操作を変化させることにより、事前に周囲空気単独で達成された低温での効率への改善を継続させることができる。
【0013】
[0012]このような改善されたシステムにおいて、タンデム対の一方がその再生ボックス中で再生を完了させたらちょうど第二の構成要素がその再生ボックスに入るようにタンデム対は同期される。第二の再生ボックスは密封されており(これは、同時係属中の出願で説明されており、さらには以下でも再度説明されている)、捕捉された大気は、第二の再生ボックスから排気されて、0.4BarA未満、好ましくは0.3BarA未満、最適には0.1から0.2BarAの間になる。第一の再生ボックスからもその空気を排気し、続いて吸着剤からCO
2をストリッピングするときにモノリスの孔内で凝縮した飽和水蒸気で、第一の再生ボックスを再生する。再生がその望ましい目標点に達したら、モノリスには熱い凝縮水が含まれ、密封されたボックス中の多少の水蒸気と残存するCO
2を含有する周囲の大気は、少なくとも約0.7BarAに増加した。ここで2つのタンデム式の再生ボックスの内部は、均等化に向かってシャープで迅速な圧力の変化が起こり;第一のモノリス中の熱い凝縮水は、より低い圧力で気化し、その蒸気が第二のモノリスと出会うと、すなわち温められると、CO
2の一部が放出され、それと同時に第二のモノリスで蒸気が凝縮し;そのようにして第一のモノリスが迅速に冷却され、第一のボックスからCO
2含有ガス混合物と接触させる動きのために第一のモノリスが準備されるように相互接続されている。このタンデム式の稼働は、CO
2含有ガス混合物の実質的に連続した処理が達成されるようにアレイの全ての構成要素で続けられ、連続的に繰り返される。
【0014】
[0013]「多孔質基板」は、開いた孔を有する基板と理解される必要があり、この場合、ガスまたは蒸気が開いた孔を介して基質の厚さ全体にわたり完全に通り抜けられるように、ガスまたは蒸気が前面の孔に入り裏面から出ることができる。モノリスの厚さは、処理しようとするCO
2含有ガス混合物の流れ方向と直角のモノリス表面の寸法のいずれかより、好ましくは少なくとも1桁小さい厚さである。
【0015】
[0014]用語「周囲空気」は、本明細書で使用される場合、特定の地理的な場所における大気中に存在する材料の条件および濃度下で仕切られていない空気を意味し、それらを包含する。用語「煙道から生じたガス」は、高濃度のCO
2を含有し、例えばいわゆる化石燃料などの炭素含有材料の燃焼から出るガスを指し、燃焼地点から排気された後に前処理されている可能性があるガスなども包含される。
【0016】
[0015]このプロセスによれば、体積に基づき少なくとも主成分として周囲空気を含む周囲空気と混合することにより、煙道から生じたガスをうまく希釈することができることが発見された。煙道から生じたガスは、混合物中のCO
2濃度を周囲空気と比較して大いに増加させると予想され、さらに例えば先の同時係属中の出願の
図25および
図26で示されるように、システムによって十分に空気に混合され、実質的に均一なCO
2高含有ガス混合物が形成される。
【0017】
[0016]CO
2含有ガス混合物の処理は、周囲温度で、CO
2と結合(CO
2を捕獲)できる活性なCO
2吸着剤の部位を支持する比較的薄く高い表面積の多孔質モノリスを含む吸着剤構造にCO
2含有ガス混合物を通過させ、次いで低温の、好ましくは飽和したプロセス水蒸気を用いて、約120℃以下の温度で吸着剤構造を処理して放出されたCO
2を引き出し(それによって効果的に吸着剤構造を再生する)高品質のCO
2を得ることによって吸着剤のCO
2を吸着剤から放出させて、吸着剤を再生することによりなされる。吸着剤は、発熱を伴いCO
2を吸着することが好ましく、それにより比較的低温で吸着剤からCO
2をストリッピングすることが可能になる。
【0018】
[0017]本出願において、基板の構造は、好ましくはCO
2に結合するアミンを含み、このアミンは、基板の構造によって担持される。吸着剤は、好ましくは基板表面上に保持されると予想され、例えば孔内の表面に保持される。これまで、二酸化炭素濃度が周囲空気の二酸化炭素濃度をかなり超える場合、CO
2吸着剤の温度は、CO
2吸着による発熱のために高くなりすぎ、それによりモノリスの温度が上昇すると考えられていた。このようなより高い温度では、吸着剤の有効性は空気の存在下で劣化することが知られている。CO
2捕獲に関する有効性が低減すると予想され、吸着剤を再生するためにより高温を要すると考えられていた。
【0019】
[0018]吸着によって捕獲される比率は、そのラングミュア等温式で定められる方式で、すなわち利用可能な第一アミン吸着剤に応じて、発熱性の吸着剤の温度に依存することが知られている。CO
2と反応する際の吸収剤の高温の熱(すなわち約84kj/モル)のために、等温線は温度と共に指数関数的である。例えば、温度が25℃から35℃に増加すると、平衡時にCO
2を捕獲できるアミン部位のパーセントが約e
−1低下する。結果として、寒い気候、すなわち中緯度もしくはそれより高緯度または高地における冬季の周囲温度ではこの問題が少なくなるか、またはより高濃度のCO
2の処理が可能になる。例えば周囲温度が15℃の場合、温度が10℃上昇すると、より低濃度のCO
2を処理する25℃の周囲温度の場所と同じ性能になると予想される。約100℃で吸着剤が効果的に再生されるように、平衡時のアミン部位の比率と、CO
2を吸着剤からストリッピングして収集するのに必要な顕熱との観点から、第一アミンに関するラングミュア等温式は約15℃で最適に近づく。先の同時係属中の出願の
図27に、流出ガスが好適な装置により空気と十分に混合される設計概念が示されており、温度上昇が分析されている。
【0020】
[0019]本発明の特に効率的な実施態様は、少なくとも微粒子や硫黄および窒素の酸化物などの吸着剤にとっての有害物質を除去する従来技術の処理プロセスを包含する発電所などのCO
2生成プロセスと統合することにより達成される。一般的に、北アメリカまたは欧州におけるほとんどの石炭を燃焼させる工場は、一般的にCSS技術と称されるプロセスを使用した燃焼後の処理を行っている。一般的に使用されるこのようなプロセスの一つは、イングランドのコステイン・グループPLC(Costain Group PLC)が実施しているようないわゆる「燃焼後MEAプロセス」であり、石炭火力発電所でのその使用を示した
図3で図解されているように、その処理済みの流出物は本発明のプロセスに送られる。CSSプロセスからの流出物は、微粒子や本発明のプロセスで使用される吸着剤にとっての一般的な有害物質を含んでおらず、このような流出物が本発明のプロセスで処理するための周囲空気と混合されて、合わされたCO
2が捕獲される。CSSプロセスにより除去されるCO
2の1メートルトンあたりにかかるコスト増分は、ガス混合物から除去されるCO
2のパーセントが増加するにつれて鋭く増加し、除去率が90%から95%になると極めて多大な費用を要するようになる。一方で、単独のCSSプロセスによって捕獲されるパーセントが低下するにつれてしばしば多大な費用を要するようになるが、これはなぜなら、CO
2放出が調節されている状況では、捕獲されなかったCO
2に関する不利益が増大し、プロセス全体の価値を低下させるためである。これらの理由のために、CSSの目標値は通常90%である。
【0021】
[0020]一方で、本発明のプロセスによって捕獲された純CO
2の1単位量あたりのコストは、本発明のプロセスに入るプロセスストリーム中のCO
2のパーセントが増加するにつれて低下する;これは、このようなCSSプロセス、または他の煙道ガスの前処理からの流出物と組み合わせる場合に特に有効である。しかしながら、フィードストリーム中のCO
2濃度が増加するにつれて、混合されたCO
2の発熱を伴う捕獲による温度上昇が吸着剤の有効性劣化の原因とならないように、本発明のプロセスに必要な冷却手段を備えつけなければならない。したがって、CSS段階で除去されるCO
2のパーセントを低下させて(例えば従来技術のCSSプロセスにおけるCO
2除去を80%に落として)、残存する比較的多くのCO
2を含有するCSS流出物(例えば2%CO
2を含有)を周囲空気と混合することで、CSSプロセスと本発明との組み合わせの相対的作用を較正することにより、捕獲されたCO
2の1メートルトンあたりのコストを最適化することが可能である。このような場合、空気と混合したCSS流出ストリーム1%毎に、本発明のプロセスへのフィードガス混合物中のCO
2濃度が約50%増加すると予想される。
【0022】
[0021]温度上昇は、CO
2の吸着率、したがって混合済みのプロセスフィードストリーム中のCO
2濃度に依存するため、それに伴う温度上昇を決定することが可能である。CSS流出物が5%で混合されれば、本発明のプロセスにかかる資本コストは、独立型の純粋な周囲空気を捕獲するプロセスのコストの3分の1に低減されると予想される(なぜなら混合済みストリームの濃度は、空気単独よりも3倍高いため)。その場合における温度上昇は、気化器を用いた型の全煙道ガスストリームを混合する場合の上昇に近いか、または約3.5℃である。最も重要なことには、本発明の空気捕獲プロセスが、混合済みのストリームから70%のCO
2しか除去しないように設定されていた場合、組み合わせのプロセスは、発電所によって放出されたCO
2の100%より多くを除去すると予想される。したがって、それにより、エネルギー源として化石燃料の燃焼を使用している発電所または他の工場は、炭素非含有、または炭素マイナスになると予想される。混合済みのガスから本発明のプロセスによりCO
2の75〜80%を除去すれば、結果的に、炭素マイナスな発電プロセスになると予想される。
【0023】
[0022]他のコストを最適化した各プロセスを行うことによって、収集された1メートルトンのCO
2あたりのコストを低下させることによる直接的な利点を達成すること以外にも、プロセス統合に起因する他の利点もある。これらの利点としては、煙道ガス処理からの排気ストリームがクリーンであること、混合工程に関する問題/コストをなくすこと、およびより効率的かつより低コストのエネルギー使用が挙げられる。CSSプロセス以外にも、多くの様々な燃焼前および燃焼後CO
2除去プロセスが実行されており、将来的には数多くの新しいプロセスが出現するであろう。混合される周囲空気とCSS流出物との量、および第一段階の煙道ガスプロセスからの可能性のある追加の排気処理に関する詳細は、細部にわたって様々であると予想されるが、組み合わせのプロセスの基本的な利点の本質は同じままである。
【0024】
[0023]本発明による進歩は、より高濃度のCO
2からの捕獲を可能にするために、CO
2のストリッピングが完了した後に、凝縮した水蒸気を水としてモノリスの孔中に残存させ、熱い凝縮物の液体の一部を急速に蒸発させることが、モノリスを急速冷却する極めて有用な手段であるという発見に基づいている。次いでストリッピングされ冷却されたモノリスをCO
2捕獲ステーションに戻し、それと同時に、さらなる吸着工程のために、ストリッピングに先立ってCO
2を含有する吸着剤を予熱することにより熱を保存する。そうでなければモノリスと吸着剤は吸着工程中に不必要に加熱されるため、CO
2含有空気に晒されると劣化を起こしやすいと予想される。入ってくる空気流方向で、好ましくはモノリスの最も大きい他の寸法の10%以下の厚さまたは長さを有するモノリスで、例えば15センチメートルの厚さ、少なくとも2メートル×0.5メートルの長さまたは幅を有する、すなわち空気流に直角の面の表面積が少なくとも1平方メートルのモノリスで、この作用は最も容易に達成される。
【0025】
[0024]また、プロセス水蒸気の流れを基板に通過させ始める前に空気の大部分を除去するために、再生ボックスの圧力を、例えば好ましくは0.3BarA未満に、最も好ましくは0.1から0.2BarAの間にポンプで低下させることにより、再生した基板を冷却する速度も改善できる。これはさらに、CO
2のストリッピング前にほとんどの凝縮不可能なガスを除去することによって、高純度のCO
2の除去効率も高めると予想される。
【0026】
[0025]その基本の形態の1つにおいて、本発明は、二酸化炭素含有空気から二酸化炭素を捕獲して、プロセス熱を使用して、吸着剤から二酸化炭素を分離して吸着剤を再生するための追加の構造および技術を提供する。
【0027】
[0026]さらに、その形態の別の型において、本発明は、吸着剤から二酸化炭素を分離して吸着剤を再生するために低温のプロセス熱の使用を無駄にすることなく、より高い二酸化炭素濃度の空気から効率的に二酸化炭素を捕獲できるようないくつかの追加の構造および技術を提供する。本発明はさらに、煙道ガスと混合された状態の空気からの二酸化炭素の吸着による捕獲、および分離、および再生を可能にする。それにより、CO
2を生成する一次システムを正味でCO
2マイナスにすることができ、したがって大気中のCO
2量を低下させる。
【0028】
[0027]加えて、本発明は、バイオ燃料生産用の供給藻類の培養工場のような有益な使用のための比較的低コストで比較的純粋なCO
2源を提供し、この場合、捕獲コストは、CO
2供給にかかる全体のコストを表す。
【0029】
[0028]システムの性能および効率をさらに改善することを意図した他の実施態様において、再生チャンバーのボックスは、再生ボックス3051の後壁(水蒸気注入側とは逆のガス収集側)が、蒸気としてモノリスを通過するあらゆる水蒸気のコンデンサーとして作用するように構築される。後壁が循環水により冷却されるか、または熱を除去して空気により冷却されるのに十分な熱質量を有する場合、水蒸気が冷たい表面で凝縮し、その潜熱を後壁に移動させることにより水が形成されると予想される。追加の熱交換器を排除することにより、さらなる節約が達成される。その熱質量を冷却することにより後壁を40℃またはそれ未満で維持すれば、後壁は、閉じた再生ボックス中の温度を低下させることによりポンプとして機能すると予想される。後壁の内部表面に下方へ傾いたリブを設置することにより、後壁上に凝縮水が大量に蓄積しないように(このような蓄積は、冷却を遅くすると予想される)凝縮水をボックスの側端に向かわせることもできる。このようなシステムは、1)迅速な冷却が可能になる;2)別個のコンデンサーに要する追加の資本経費が必要なくなる;および3)蒸発による冷却のために水蒸気をポンプでくみ出す必要がなくなり、多くのエネルギーが節約できるという理由から、モノリスを冷却する効率的な方式を提供する。
【0030】
[0029]本発明のプロセスは、起こり得るあらゆる有効性の損失を制限しつつ吸着剤の有効な再生を最適化するためにより寒い気候で利用することが最良であるが、最も寒い気候で、すなわち最高緯度で、CO
2捕獲プロセスを連結させる既存の工場施設ほとんどないという難点がある。しかしながら、このような場所では効率がより大きいために、高められたCO
2濃度を供給するかまたは必要なプロセス熱を供給する別の施設がない独立型の工場を配備する基盤があることが現在認識されている。この実施態様に係るシステムは、外部のプロセス熱または電気を取り入れにくく、例えば北極地域などの極めて低温のより寒い気候に存在する独立型のユニットを提供する。温度が実質的に無制限に低くなればなるほど、より効率的な稼働システムが得られると予想される。本システムが全面的に取り入れられれば、例えば極端に冷たく凍結した雨の影響を受けやすい北極圏など地域でさえも、このシステムの稼働を妨げることはないと予想される。これは、原油または天然ガス等を、例えば極北から一般的により実用的に用いられる可能性が高いと予想される人間の居住地域に運搬する長距離のパイプラインに隣接して、またはそれの近傍で本システムが稼働するような場合に特に当てはまると予想される。
【0031】
[0030]本発明の一実施態様によれば、例えばボイラーなどの熱発生器を包含するシステムは、必要な補助システム、例えばエレベーターシステム、必要な制御デバイス、バルブ、および高純度CO
2用のコンプレッサーポンプを稼働させるための発電機に連結される。高温の熱を使用して、発電機を稼働させるための高圧水蒸気を生成し、さらに煙道ガスの排気は、前述したシステムに従って進行するように、周囲空気と混合することによって利用される。この方式では、本システムを稼働させるために熱および他のエネルギーを供給し、余分なコストがかからないように、周囲空気をCO
2によってさらに高濃度化して、組み合わされたCO
2をより効率的に捕獲できるようにする。このようなシステムは、エネルギーコストがかかる場合であっても、生成される純CO
2の市場または用途がある限りは、ほぼ財源にみあったものにできる(ただしほとんど常にCO
2マイナスである)。例えば、長距離のパイプラインの環境において、精製したCO
2は、パイプラインと隣接して少なくとも部分的に保存が可能である。何らかの失火または漏れが生じた場合、CO
2は、噴出する可能性がある炎の大部分を消し去るのに使用できる。
【0032】
[0031]特定の場所では、精製されたCO
2の価格が、実際に発電にかかる燃料コストよりも大きいという状況が起こり得ることに留意されたい。このような環境では、例えば直接隣接するパイプラインまたは高緯度の天然ガス井では、より多くのエネルギーが使用され、より多くの煙道ガスが生成し、純粋な二酸化炭素の生成のための最終的なプロセスの価格がより高くなる。このような場合、より一般的な状況のようにエネルギーを保存することよりも、できるだけ多くのエネルギーを使用してより多くのCO
2が生成することのほうがより有用であるという驚くべきことが起こる。より高い緯度以外の場所ではこのような状況が存在する可能性は低いが、そのような場合において(例えば中緯度での冬季など)、この実施態様は多大な有用性を有すると予想される。
【0033】
[0032]吸着剤用の基板は、例えば菫青石などのシリカ材料またはアルミナ構造から形成されたモノリスであってもよいし、または例えば第一アミン側基を有するポリマーなどの固有の吸着部位を有する高分子材料から形成されたモノリスであってもよい。一般的には、菫青石モノリスは、アルミナ基板よりも高い熱を必要とすることが予想される。CO
2が高い価格を有するような状況では、より大きい利益がもたらされると予想される。
【0034】
[0033]稼働中、このエネルギー強化されたプロセスを具体化するシステムは、必要な電気を生成するために高温の熱源およびマイクロタービンを使用すると予想される。タービンから放出されたより低温の熱を使用して、CO
2吸着剤が再生されると予想される。CO
2吸着剤へのフィードストックは、周囲空気と熱源からの排気の混合物を含むと予想される。熱源が天然ガスの場合、吸着器にフィードされる前に排気を前処理する必要性はほとんどないであろう。しかしながら、石炭または燃料油が使用される場合、微粒子材料を除去するために(そうでなければ、このような微粒子材料は基板の孔を詰まらせると予想される)、同様に例えば硫黄や亜酸化窒素などの所定の副産物を除去するために(そうでなければ、このような副産物は吸着剤にとって有害となる可能性がある)、初期にそれらを軽減する何らかの前処理が必要であると予想される。
【0035】
[0034]本発明のいずれかのシステムの費用対効果をコンピュータで算出することにおいて、以下の方程式が利用できる。
【0036】
CE/T=1トンのCO
2あたりのエネルギーのコスト
CE/MMBTU=100万BTUあたりのエネルギーのコスト、すなわち1.055×10
9ジュール×1/CE
E/T=MMBTUで測定された1トンのCO
2あたりの必要なエネルギー
CO
2/MMBTU=100万BTUあたりの放出されたCO
2の量
REV=1トンのCO
2あたりの財源
[0035]システムの稼働費をコンピュータで算出する場合、ボイラーおよび発電の資本コストは無視するものとし、燃料によって生成したCO
2にかかる余分な資本費用はなく、燃料にかかるコストのみが発生するものと仮定する。SH/HR=1.2のケースと仮定すると、これは、CE/T=4×3−40×4×0.053=1トンあたり3.50ドルとなるように、E/T=4MMBTU、およびREV=天然ガス1トンあたり40.00ドル、CE/MMBTU=3.00ドル;CO
2/MMBTU=53kgと解釈される。
【0037】
[0036]一方で、石炭の場合、CE/T=4×2.50ドル−40×4×0.092=1トンあたり7.60ドルとなるように、100万BTUあたりのエネルギーのコストは、非常に変化しやすいが、2.50ドルに等しく;CO
2/MMBTUはここでも0.092であると仮定できる。興味深いことに、電気のコストは、煙道から添加されたCO
2のパーセンテージに等しいと予想され、すなわち天然ガスの場合は21%であり、石炭の場合は37%である。
【0038】
[0037]さらに、EORおよび商用ガス市場にとって遠隔地の場合、財源は、40.00ドル/トンよりもはるかに大きいと予想されることから、追加のCO
2生産にかかる限界費用が低いと仮定して提供されるあらゆるエネルギーの正味費用をさらに低下させる。高温のエネルギーを利用して、吸着剤からCO
2をストリッピングするための電気およびプロセス熱を生産することによって、経済性は極めて好都合になる。
【0039】
[0038]本発明のこれらおよび他の特徴は,以下の詳細な説明および添付の図面で説明されるか、またはそれらから明らかである。
(1) 二酸化炭素含有空気から濃縮された二酸化炭素を除去し捕獲する方法であって、
第一の二酸化炭素を含む周囲空気流を、50体積%以下の流出ガスと混合し(ここで流出ガスは、炭化水素の燃焼による煙道ガスから発生したものである)、混合された第一の周囲空気流を、第一の二酸化炭素除去構造に向かわせること;ここで二酸化炭素除去構造は、多孔質基板上に支持された、第一の混合された周囲空気混合物から予め決められた量の二酸化炭素が除去されるように発熱を伴い且つ解放可能に二酸化炭素と結合できる吸着剤を含み; 第一の二酸化炭素除去構造を、第一の密封された二酸化炭素捕獲チャンバーに送り、第一の密封された捕獲チャンバーから空気を排気してその中の空気圧を低下させ、水蒸気を120℃以下の温度で第一の二酸化炭素除去構造に送ることにより、吸着剤から二酸化炭素をストリッピングして吸着剤を再生し、濃縮された二酸化炭素が捕獲されるように第一の密封された捕獲チャンバーからストリッピングされた二酸化炭素を除去すること; 第二の二酸化炭素を含む周囲空気流を50体積%以下の流出ガスと混合し(ここで流出ガスは、炭化水素の燃焼による煙道ガスから発生したものである)、混合された周囲空気流を第二の二酸化炭素除去構造に向かわせること;ここで第二の二酸化炭素除去構造は、多孔質基板上に支持された、第二の混合された周囲空気混合物から予め決められた量の二酸化炭素が除去されるように解放可能に二酸化炭素と結合できる吸着剤を含み; 第二の二酸化炭素除去構造を、第二の密封された二酸化炭素捕獲チャンバーに送り、第二の密封された捕獲チャンバーから空気を排気してその中の空気圧を低下させ、水蒸気を120℃以下の温度で第二の二酸化炭素除去構造に送ることにより、吸着剤から二酸化炭素をストリッピングして水蒸気を凝縮させながら吸着剤を再生し、濃縮された二酸化炭素が捕獲されるように第二の密封された捕獲チャンバーからストリッピングされた二酸化炭素を除去すること; 第一の二酸化炭素除去構造が再生サイクルを完了させたときに第二の二酸化炭素除去構造がその再生を実行するように準備されたら、第一の二酸化炭素捕獲チャンバー中の残存する水蒸気を減圧された第二の二酸化炭素捕獲チャンバーに流し込むことにより、飽和水蒸気で再生させる前に第一の二酸化炭素除去構造を冷却し且つ第二の二酸化炭素除去構造を予熱し;第一の二酸化炭素除去構造を第一の捕獲チャンバーから除去して、混合された周囲空気流に移動させるように、第一の二酸化炭素除去構造と第二の二酸化炭素除去構造とをタンデム式で稼働させること; 飽和水蒸気を第二の二酸化炭素捕獲チャンバーに送り、第二の二酸化炭素除去構造を再生し、第二の二酸化炭素除去構造から二酸化炭素および凝縮した水蒸気を除去すること;および 混合された空気流から二酸化炭素を吸収させた後に第一の二酸化炭素除去構造を第一の二酸化炭素捕獲チャンバーに戻し、第一の二酸化炭素捕獲チャンバー中の圧力を低下させて、第二の二酸化炭素捕獲チャンバー中のより高い圧力に向かって圧力を解放させるように、タンデム式の稼働を繰り返すこと;を含む、上記方法。
(2) それぞれの捕獲構造から除去された二酸化炭素と凝縮した水蒸気とを分離容器に送り、凝縮した水蒸気を液体として除去し、濃縮された二酸化炭素をさらなる処理に送る、(1)に記載の方法。
(3) 残存する水蒸気を除去して少なくとも95%純度の高度に濃縮されたCO
2を得るのに十分な程度に圧縮することによって、さらに二酸化炭素を処理する、(2)に記載の方法。
(4) それぞれの前記二酸化炭素捕獲チャンバー中の圧力を0.2BarAに以下に低下させる、(1)に記載の方法。
(5) それぞれの前記二酸化炭素捕獲チャンバー中の圧力を0.15BarA以下に低下させる、(1)に記載の方法。
(6) 前記混合された周囲空気が、周囲空気中のCO
2濃度よりも少なくとも2桁大きいCO
2濃度を有する、(1)に記載の方法。
(7) 前記二酸化炭素除去構造が、シリカ、アルミナ、およびアルミナでコーティングしたシリカからなる群より選択される材料で形成された多孔質基板モノリスのアレイを含み、ここで基板はアミン吸着剤を支持している、(1)に記載の方法。
(8) 前記吸着剤が、第一アミンである、(7)に記載の方法。
(9) 前記水蒸気が、飽和水蒸気である、(1)に記載の方法。
(10) 前記飽和水蒸気が、プロセス熱による水蒸気である、(9)に記載の方法。
(11) それぞれの前記二酸化炭素捕獲チャンバー中の圧力を0.1BarAに低下させる、(5)に記載の方法。
(12) 再生された前記二酸化炭素除去構造が捕獲チャンバーから除去されるときに、凝縮した水蒸気が基板の孔中に残り、混合された周囲空気流に戻されることにより、混合された空気からCO
2を吸収するときの吸着剤および基板の温度が適正化される、(1)に記載の方法。
(13) 前記周囲空気が、50体積%未満の流出ガスと混合される、(12)に記載の方法。
(14) 二酸化炭素含有空気から二酸化炭素を除去するシステムであって、 一対の二酸化炭素除去構造、ここで各構造は、二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合することにより空気から二酸化炭素を除去することが可能な吸着剤、および表面上に吸着剤が支持された多孔質の固体基板、および基板のための可動式の構造支持体を含み;ここで構造支持体は、空気からCO
2が除去されるように二酸化炭素含有空気流に晒される位置に吸着剤を支持している;
一対の密封可能なCO
2捕獲チャンバー(これらはそれぞれ、CO
2を含有する除去構造から二酸化炭素を捕獲するための各二酸化炭素除去構造;二酸化炭素捕獲チャンバーと、除去構造が入った後に密封された二酸化炭素捕獲チャンバー内の大気圧を低下させるための排気ポンプとの間の開閉可能な流体連結手段;二酸化炭素捕獲チャンバーとプロセス熱による水蒸気源との間の開閉可能な流体連結手段;2つの二酸化炭素捕獲チャンバー間の開閉可能な流体連結手段;および各二酸化炭素捕獲チャンバーとCO
2収集チャンバーとの間の開閉可能な流体連結手段に対応する);ならびに 二酸化炭素捕獲チャンバーに、および二酸化炭素捕獲チャンバーから二酸化炭素除去構造を移動させるための装置;を含む、上記システム。
(15) 前記多孔質固体は、空気から二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合する二酸化炭素吸着剤を支持する、高度に多孔質の一体式セラミック構造を含む、(9)に記載のシステム。
(16) 一対の垂直に並べられた炭素捕獲構造を含み、ここで該炭素捕獲構造のそれぞれは、垂直に並べられた炭素捕獲構造の対の一方が、交互に且つ連続して二酸化炭素含有空気の軌道中に存在し、それと同時に垂直に並べられた炭素捕獲構造の対の他方が、プロセス熱で加熱されて、吸着剤からそれまでに吸着していた二酸化炭素を分離させることにより、多孔質支持体で吸着剤を再生する方式で選択的に稼働させることができる、(9)に記載のシステム。
(17) 前記垂直に並べられた炭素捕獲構造が、交互に且つ連続して二酸化炭素含有空気の軌道中に配置されて、空気から二酸化炭素を除去し、プロセス熱で加熱されるように露出させることにより、吸着剤から二酸化炭素を分離して吸着剤を再生するように設計されており、そのように稼働することが可能な、(11)に記載のシステム。
(18) 交互に且つ連続して二酸化炭素含有空気を炭素捕獲構造に送り、プロセス熱を炭素捕獲構造に送ることにより、吸着剤から二酸化炭素を分離して吸着剤を再生するように設計され適合させた、自動的に稼働するバルブシステムを含む、(11)に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[0047]
出願第13/098370号に記載のシステムおよび方法の概念の背景の説明
同時係属中の出願(米国特許公報第2011/0296872号)で示されているシステムに従って、以下の本発明の好ましい実施態様は、より高度に濃縮されたCO
2のガス混合物の処理を可能にすることが見出されている。本明細書で説明されるプロセスに従って、基板がこの説明に記載された必要条件を確実に満たすことにより、例えば発電所からの温室効果ガスを完全に大気から除去するだけでなく、本発明のプロセスにより正味で炭素マイナスな作用を起こし、工場排気よりも多くのCO
2を大気から引き出して、結果的に大気中のCO
2も総体的に低減させるように、濃縮されたCO
2混合物を効率的且つ低コストでうまく処理できる。
【0042】
[0048]CO
2を含む空気は吸着剤構造を通過する、この構造は、好ましくは、空気流方向の寸法が、空気流の軌道中で対向する表面を定義する他の2つの寸法よりもかなり小さくなるように、例えばそれよりも少なくとも1桁、好ましくは少なくとも2桁小さくなるように成形される。基板構造の表面上のCO
2結合部位、例えば第一アミン部位が、CO
2と自発的に結合することが可能でなければならず、これは通常、その部位が、吸着剤構造がほぼ飽和レベルに達するまで周囲条件で発熱反応であることを意味する;これは、例えば吸着剤構造から出る空気のCO
2濃度を測定することによって決定でき、このような濃度は、ブレークスルー量(breakthrough amount)として知られている。
【0043】
[0049]望ましいCO
2のブレークスルー量が達成されたら、密封された再生チャンバー中で、吸着剤構造は二酸化炭素を含む空気ストリームから除去され、大気から単離され、CO
2がストリッピングされて除かれ、以下でさらに説明される方式で、吸着剤構造を通過した低温の飽和した(大気圧の)水蒸気の形態でプロセス熱に晒されることにより吸着剤構造が再生される。まず水蒸気は凝縮し、その凝縮の潜熱を吸着剤構造に移動させて構造を加熱するが、この加熱は、吸着剤構造全体が均一の高い飽和温度に達するまで水蒸気が吸着剤構造の前部から入りそこを通過するときに、吸収剤部位からCO
2がストリッピングされて水蒸気により基板の構造から押し出される温度に達するまでなされる。水蒸気が接触して吸着剤を加熱するとき、水蒸気はモノリスで凝縮して、それぞれおよそ2モルの水蒸気が凝縮するが、それにより、第一アミン吸着剤から1モルのCO
2を解放またはストリッピングして吸着剤構造からCO
2を押し出すのに必要な十分な潜熱が提供される。また、CO
2がストリッピングされて除かれるときに再生チャンバーからCO
2を収集して除去するための排気ファン/ポンプも使用できる。この技術は、「水蒸気によるストリッピング」と称され、さらに以下でも説明される。エネルギー効率およびコストの理由で、CO
2流出物と混ぜ合わせるのに使用される水蒸気の量を最小化して、熱い凝縮物を再加熱して水蒸気にすることが望ましい。したがって、再生チャンバーから出るときに凝縮される(または凝縮できる)ものが何であれ、凝縮物を、再生チャンバー中で生成した凝縮物に添加して、加熱に再利用して、さらなる使用のために水蒸気に戻してもよい。
【0044】
[0050]ストリッピングプロセスは通常、水蒸気のブレークスルーの発生時に終わると予想され、そのとき、吸着剤構造の後端から発生した凝縮されていない水蒸気の量は、新たにストリッピングされるCO
2と比較して大きくなる。新しい水蒸気の注入を停止させる正確な条件は、使用される水蒸気の量に対する解放されたCO
2の比率の観点から、水蒸気プロセスの効率が低くなるときに、除去されたCO
2の増加比率とエネルギーのコストの増加分とのバランスを取ることによって決定されると予想される。そのエネルギーは、次のストリッピングサイクルのために水蒸気および凝縮物を再加熱するときに置き換える必要があり、すなわちCO
2捕獲時間、ならびにCO
2をストリッピングおよび冷却する時間の一様性を維持するのにエネルギーが必要である。
【0045】
システム
[0051]商品化しようとする本発明を取り入れたシステムの構造の設計において、以下の設計パラメーターが考慮されると予想される。一般的には、基板で吸着剤部位の含有量を増加させたら、CO
2と結合するのに利用可能なアミン部位の存在比で定義されるような高いアミン効率も要求される。これが、第一アミンが好ましい理由であり、さらに過量の吸着剤による孔の目詰まりが最小化されるように含有量を調節することの理由でもある。実験結果から、アミン効率と含有量の増加とのバランスをとった最適な含有量は、有機アミンが結合するかまたはその孔表面上に有機アミンが堆積する多孔質基板/骨格に対して、40〜60体積%の有機アミン含量であることが示される。これは、以下の計算:
Pcm=骨格材料(例えばシリカまたはアルミナ)の密度(kg/立方メートル)、
PORc=多孔率、すなわち空気流方向に垂直の総表面積に対する開口した壁の面積の比率、
PUR=捕捉された空気に対する放出されたCO
2の比率、すなわちCO
2の純度、
RH=反応熱、
SH/RH=再生中の顕熱と反応熱RHとの比率、
Savc=骨格の単位体積あたりの表面積(1/表面の平方メートル/立方メートル)、
SH=顕熱、
TA=CO
2を飽和するまで含有させるのにかかる時間、すなわち吸着時間、
TS=水蒸気によるストリッピングを使用して再生するのに要する時間、
w=骨格の孔壁の厚さ、
d=平均の孔/チャネルサイズ。
によって決定できる。これらは、このプロセスの設計で考察されるべき重要な設計パラメーターである。このモデルにおいて、計算を簡易化するために、PORcは、総平均面積に対する開いたチャネルの平均面積の比率に等しく、多孔質媒体の壁のチャネルにおける曲線の蛇行性は無視した。したがって、PORc=d
2/(d+w)
2である。単位体積あたりの表面積は、Savc=4d/(d+w)
2=4PORc/dで示される。圧力の低下は、チャネル中の開口部のサイズ、モノリスの空隙率、孔を通る空気流の長さおよび速度によって決まる。
【0046】
吸着剤構造および一般的な吸着剤の操作
[0052]使用できる基板のタイプの一例は、セルコール.RTM(CELCOR.RTM)という商標名でコーニング(Corning)により製造されたシリカ製モノリスである。このモノリスは、本発明の原理に従って、吸着剤構造用の支持体として使用できる。CO
2を含む空気が基板を介して流れるときに高い表面積および低い圧力低下をもたらす多孔性セラミック基板である1つまたはそれより多くのセルコール.RTM.の内部に、吸着剤(例えば第一アミンなど)が担持される(例えばコーティングされるか、または別の方式でそこに固定される)。吸着剤モノリス構造は、例えば、同時係属中の出願に関して説明されている、レンガのように積み重ねられているか、または単一の一体型基板の複数のセルコール.RTM.多孔性セラミック基板を含んでいてもよい。他の例としては、出願公開US2011/0179948で開示された基板および吸着剤、または、Choiらによる報文(
Amine-Tethered Solid Adsorbents Coupling High Adsorption Capacity and Regenerability for CO2Capture From Ambient Air、Sunho Choiら、CHEMSUSCHEM 2011、4、628〜635、2011、Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA、Weinheim)で説明されているような基板および吸着剤が挙げられる。
【0047】
[0053]CO
2を含む空気は、吸着剤構造の孔を通って方向付けられる。また、一体型の吸着剤構造が形成されるように、例えばセルコール.RTM.多孔性セラミック構造の壁上のアルミナコーティング中に吸着剤材料を埋め込むことによって吸着剤構造を形成できることも考慮される。
【0048】
[0054]また、さらにより好ましい構造は、菫青石のシリカの代わりに多孔質アルミナのレンガで形成されることにも留意されたい。アルミナ構造は、物理的および/または熱的にシリカ構造ほど頑健ではないが、この周囲温度での捕獲プロセスと比較的低温のストリッピングプロセスとで満たされる条件はそれほど厳重ではないため、比較的頑健性が低い構造も使用できる。加えて、注目すべきことに、基板は、上記のセラミック構造に加えて無機材料であるが、吸着剤構造は、有機材料であってもよく、例えばアミンポリマーを架橋して固体ポリマーを形成することにより重合ポリアミンから形成されてもよく、ここで固体ポリマーは、ストリッピング用水蒸気の温度でポリマーが揮発したり軟化したりしないような十分低い温度で、すなわち吸着剤再生に使用される120℃以下の温度で押出しが可能なものであると予想される。
【0049】
[0055]一般的に、含有量を増加させるためには、CO
2と結合するのに利用可能なアミン部位の存在比で定義されるような高いアミン効率も要求される。これは、第一アミンが好ましい理由であり、さらには孔の目詰まりが最小化されるように含有量を調節する理由でもある。実験結果から、アミン効率と含有量の増加とのバランスを取った最適な含有量は、有機アミンが結合するかまたはその孔に有機アミンが堆積する多孔質基板/骨格に対して40〜60体積%の有機アミン含量であることが示される。
【0050】
[0056]Nsが孔表面1平方メートルあたりのCO
2結合部位の数である場合、Avは、アボガドロ数であり、骨格構造の材料の密度がPcmである場合、多孔質骨格は、Pc=(1−PORc)Pcmで示される密度Pcを有すると予想され;そこで含有量L(吸着剤構造1キログラムあたりのモル)は、以下の式によって示される。
【0051】
L=Ns Savc/Av Pc
=4Ns PORc/Av d Pcm(1−PORc)
この式をPORcについて解くと、下記となる。
【0052】
L=(4Ns/Av Pcm)(1/(2w+w2/d))
[0057]上記構造によって吸着させたCO
2の含有量を最大にすることが望ましいために、ポリアミン吸着剤は、所望の高いNsをもたらす。どのような場合においても、多孔質支持体中の孔/チャネル間にできる限り薄い壁を有することが好ましいことが上記の分析から明らかである。孔径をより大きくすることによって多孔率が増加すると、多孔質支持体の密度(Pcm)の減少によって一次的に相殺されることから、含有量(モル/kg)は、孔のサイズとは独立してSavcの減少と一次的な関係である。
【0053】
[0058]AvおよびPcmに2,500Kg/m
3の値(注釈:石英の値と石英ガラスの値との差の平均)を挿入して、Nsを、1立方ナノメートルあたりの結合部位の数であるNsnに変換してもよく、この場合、
wおよびdはナノメートルで示され、L=1.33(Nsn/w(1+w/2d)モル/kg(骨格構造)であることがわかる。Nsn=5部位/立方ナノメートル、およびw=2ナノメートルの場合、約0.5の多孔率によって、400mm
2/グラムの表面積、または160,000mm
2、およびL=2.5モル/kg(骨格構造)が得られる。
【0054】
[0059]実際のCO
2を含有させる能力(Ld/a)は、kg/m
3(空気供給)として下記のように示される:
Ld/a=L(0.044)(Pcm(1−PORc))Savm Wc Lm
[式中、支持体の壁の厚さ:We、モノリスの(空気流方向の)長さ:Lm]。
【0055】
ここでLを置換すると、
Ld/a=(Ns Savc/Av Pcm(1−PORc))×(0.044)(Pcm(1−PORc))×Savm×We×Lm;
Ld/a=Ns(0.044)/Av)(Save×Savm×We×Lm)
であり、Savcを置換すると、下記のようになる。
【0056】
Ld/a=Ns(0.044)/Av)×(Savm Wc Lm)×(4/d(1+w/d)
2)
[0060]一例において、コーニング製の230セルを有するセルコールモノリスを使用する場合、孔の流れ方向の長さLmは0.146メートルであり、モノリスの単位体積あたりの表面積Savmは約2000m
2/m
3であり、モノリスの孔壁の厚さWmは0.265mmであり、kg/m
2(空気注入部の面積)で示されるCO
2量は、Ld/a=L(0.044kg/モル)(Pc Savm 0.146Wm)から決定される。一般的な設計基準は、圧力低下の制約を受ける、すなわち風の力および/またはファンのアレイによって制限されるLおよびLd/aをできるだけ大きくすることであり、これは、230セルを有するコーニング製モノリスのSavm、および0.146mの空気流方向の孔長さ、および2.5m/秒の投入空気流速度に関するモデリング結果を使用する本発明の第一の実施態様で満たされている。
【0057】
[0061]モノリスの壁は、高いNsnが達成されるように望ましいPORcおよび結合部位の数を有すると予想される。Wmは、圧力低下/Savmを最適化(最小化)することに基づき決定され、続いてこれは、他の制約(以下参照)に基づいて許容できる含有量になるように、どれだけWmを小さくできるかという制約を受けると予想される。注目すべきことに、wが減少してdが増加するに従ってLは増加するが、多孔率が増加するとPcが減少するために、Ld/aは減少して、固定されたwで孔径は増加する。一般論として、最適な設計は、可能な限り最小のwと、孔径が以下で説明される性能パラメーターに与える影響とのバランスを取った多孔率を有する。ここで留意すべきことに、アミン化合物は、孔構造の壁上に支持させることに加えて、またはその代わりに、モノリスの孔に液体として含浸させてもよい。
【0058】
[0062]本発明に従って行われる空気捕獲は、比較的穏やかな条件でなされる。本発明のこの特徴により、それほど頑健ではないモノリス構造の使用が可能になる。特にこれは、吸着剤が堆積された高い多孔率を有する材料から作製された比較的薄い壁の使用を可能にし、このような材料の1つはアルミナである。これは、一般的にはあまり頑健ではない材料を使用してコストを節約することから、製造にかかる費用を少なくすると予想される。吸着剤の劣化を防ぐために、吸着剤を空気(酸素)に晒す前に、吸着段階中で、再生されたモノリスを70℃未満に冷却することが必要である。モノリスがCO
2を吸収する時間を最大にするために、冷却は迅速に行われる必要がある。凝縮しにいくいものの存在下で、短時間で、すなわち10〜20秒で除去するのに必要な大きい熱量(現行のシステムの場合は約10
9ジュールであり、アルミナの場合のその約2/3)は極めて厄介な問題であり、さらなる難問として、経済性の観点から、迅速に水を流す大型のコンデンサーへの必要性を回避することが必要である。このようなコンデンサーは、いくつかのユニットで共有してそのコストを分散することも可能であるが、そうすることでコストへの影響が生じ、熱の回収にとってはそれほど効率的ではないと予想される。加えて、以下の解決法は、水蒸気および水の使用ならびにCO
2純度にプラス効果がある。さらにこの概念は、より高濃度のガス混合物を使用する場合、タンデム式で作用する吸着剤システムにも役立つが、周囲空気のみへの単一の吸着システムの稼働にも適合させることができる。
【0059】
[0063]このシステムにおいて、
図4で示されるように、密封されたボックス3051は、モノリスアレイ3041を含有しており、ここでモノリスアレイ3041は、水蒸気の再生およびCO
2の捕獲をちょうど完了させており、約0.7〜0.8BarAの水蒸気除去圧力(steam off-pressure)を有し、CO
2の多くがライン3021(このラインは閉じられている)を介して引き出されている。その時点で、ボックス3052は、モノリスアレイ3042を含有しており、ここでモノリスアレイ3042を(空気混合物からCO
2を吸収した後に)再生ボックス3052まで降ろして、ボックス3052をポンプでくみ出してボックス3052中の圧力を0.1BarAに低下させることにより、飽和水蒸気の温度を45℃にすることができる。空気の量は当然ながら元の1BarAの大気のわずか10%でしかないために、ボックスの圧力を低下させることによって、再生された吸着剤からストリッピングされたより高い純度のCO
2が最終的に得られると予想される。ポンプでボックスから空気をくみ出し圧力を望ましい圧力に下げるのにかかるコストは、電気を使用する場合、100パスカルの圧力低下で空気を移動させるのにかかるコストの10%未満である。
【0060】
[0064]ボックス3051に追加量の水蒸気を添加して、水蒸気の力を使用してボックス中に残存するCO
2のほとんどを押し出してもよく、さらにこの水蒸気の力により、いくらか追加の凝縮物もモノリスアレイ3041の孔中に集められる。ボックス3051がボックス3052の低い圧力に晒されると、ライン3014を介して、ボックス3051中のあらゆる水蒸気および熱い凝縮物が突然膨張して蒸発することにより、ボックス3052への最初の水蒸気バーストがもたらされると予想される。ボックス3051の流出ライン3014は(ボックス3051およびボックス3052が平衡に達するときに)封鎖され、ボックス3052は、水蒸気分配器の供給パイプ3012と連結される。このボックス3051からの水蒸気バーストは、ボックス3052に添加され、冷却器でボックス3052中のモノリスアレイを凝縮して、その温度を高める。また水蒸気バーストは、凝縮物が蒸発していずれかの水蒸気が膨張するときにモノリスアレイ3041を迅速に冷却するのにも役立つ。ボックス3051のモノリスアレイから蒸発している水からのこの最初の水蒸気バーストの速度は、空気流の速度よりも少なくとも10倍速い速度、または0.5mpsに達するように設計される。2つの連結されたボックス、すなわちボックス3051およびボックス3052は、熱の一部が、ボックス3052からストリッピングされたCO
2によって除去されると予想されるため、T
再生−T
空気/2よりも低い温度で平衡に達する。
【0061】
[0065]ボックス3051中でより低温に達したときに、ボックス3051とボックス3052との間の連結部3014を閉じて、プロセス水蒸気をライン3012を介してボックス3052に導入し、圧力をそのまま0.7〜0.8BarAに増加させて、プロセス水蒸気によるCO
2をモノリスアレイ3042からストリッピングする。プロセス水蒸気によりモノリスアレイはT
再生の温度に加熱され、ここでCO
2収集速度が低下したら、それはボックス3042中の吸着剤の再生が完了したことのシグナルである。ボックス3051からの最初の水蒸気バーストの後、ボックス3051中の圧力が低くなったら(これは、モノリスアレイ3041上で熱い凝縮水が蒸発することに起因する)、モノリスアレイ3041の温度も迅速に70℃未満に低下し、それによりその吸着操作温度(実質的に周囲温度である)にモノリスアレイ3041をさらに冷却するための空気の導入が可能になる。冷却されたモノリスアレイ3041は、空気で冷却されながら吸着位置に上げられて、新鮮なCO
2を含む空気または混合された高濃度ガスを受け取る。このサイクルは、モノリスアレイ3042が完全にストリッピングされた状態になり、モノリスアレイ3041が空気捕獲ゾーンから密封されたボックス3051に戻ったら逆方向に繰り返される。
【0062】
[0066]冷却時間を大いに短縮することに加えて、水および熱の使用に関する利点は明らかであり、どちらも少なくとも2倍節約される。基板は、大きい表面積と薄い孔壁のために極めて優れた吸熱器となる。ボックス3051からのボックス3052中の濃縮された二酸化炭素および凝縮した水蒸気を、ボックス3052からライン3022を介して除去して捕獲容器に入れ、さらにライン3022中のバルブを閉じ、水蒸気をライン3012からボックス3052に送る。
【0063】
[0067]本発明のシリカベースのモノリスアレイ、すなわち菫青石は十分な熱伝導率を有するが、アルミナのモノリスアレイは、さらに改善された伝導率を有すると予想され、したがってボックス3051中での凝縮水の蒸発およびボックス3052での水蒸気バーストの凝縮と組み合わさったとき、よりいっそう速い冷却が起こると予想される。熱変化作用は10
9ジュールであり、その結果として、10秒以内で70℃未満の温度にモノリスアレイ3041が冷却されることが示されている。この方法は、別個の水冷式コンデンサーと水にかかるあらゆる余分なコストを回避し、そのうえプロセス水蒸気のために使用されるコストも当然のことながら不必要である。
【0064】
[0068]モノリスアレイ3041またはボックス3042のモノリスアレイのいずれかにおいてCO
2吸着が起こらない時間をできる限り最小化することが望ましい。これは、上記で説明したように、一方が吸収を行い他方が再生を行うと、一方の冷却が他方の加熱になるように2つのボックスのサイクルが同期して起こるように、2セットのモノリスアレイを、タンデム式で、好ましくは隣り合って稼働させることによって達成される。それにより、両方のモノリスアレイで吸着が起こらない時間を最も短くすることができ、実際には、対の構成要素は、好ましくは、冷却工程のサイクルごとに10秒よりわずかに長い時間に制限される。より高濃度のCO
2ガス混合物の処理は、二重のタンデム式サイクルが使用される場合によりうまくいく可能性がある。
【0065】
[0069]さらなるエネルギーおよび装置の節約として、
図4で示されるように、タンデム対は、互いにエレベーターの釣り合い重りとして機能する可能性があり、したがって各上昇および下降サイクルに必要なエネルギーの量を低下させ、同時により従来型の釣り合い重りシステムが使用される場合に必要なモーターおよび釣り合い重りを包含するエレベーターシステムの数も減らすことができる。しかしながら、このようなシステムは、モノリスアレイの加熱および冷却、ならびにCO
2の捕獲およびストリッピングを包含する捕獲およびストリッピングサイクルそれぞれに必要な時間を慎重に等しくすることを必要とする。
【0066】
[0070]化石燃料の燃焼器、特に天然ガス燃焼によるコジェネレーション施設(コジェネ)において、CO
2の一部と、本発明のプロセスのモノリスアレイに関してもしかしたら何らかの阻害作用のある不純物または有害な不純物を除去するために前処理を行うことが効果的であることが実証された(ただし前処理は最低限でよい)。その後、前処理の流出物を周囲空気で希釈して、モノリスアレイへのフィードストックとして使用してもよい。所定のガス燃焼バーナーは、問題となる不純物を除去するには最小の前処理しか必要ではないが、一般的には、石炭燃焼ボイラーからの煙道ガスは、微粒子と、吸着剤にとって有害となり得る、または基板を劣化させる傾向があるあらゆる化合物とを除去するのに大規模な前処理を必要とする。一実施態様において、コジェネレーションプロセスからの前処理された煙道ガスは、追加の周囲空気と共に本発明の吸着システムに注入される。この混合プロセスでは、(追加の流出ガスの比率が低い場合でも)空気中のCO
2濃度は有意に増加するため、再生工程の期間に匹敵するより短い期間で吸着工程が行われるようになる。好ましい実施態様において、吸着器/再生モジュールの平行になったセットが既存の施設と並行して稼働する。すなわち一方がCO
2を吸収し、他方が再生を行うと予想され、その逆も同様である。これは、連続的なCO
2捕獲を模擬している。このプロセスは、添付の図面の
図1で説明されているように、二段階での、すなわちCO
2吸着と例えばタービン排気の再生とで表現される。好ましいシステムにおいて、それぞれ連結された対が互いに釣り合い重りとして機能することができ、それによってエレベーターにかかる資本コストが節約されるように、2つの対が一緒に稼働する。
【0067】
[0071]段階1において、大気の空気とコジェネレーションした排気ガスとを混合し、この混合物をCO
2吸着モジュールに通過させる。このプロセスは、例えば自動車触媒用コンバーターで使用されるもののように、例えば菫青石、シリカ製品などの低コストで高い多孔率のセラミック基板(モノリス)を使用する。基板に接着してそこに支持される固体吸着剤上に、CO
2が捕獲される。吸着剤は、吸着およびストリッピングの両方または再生中に、動作条件下で蒸発したりまたは溶解したりしない。ここでも、本発明の有効性に関する根拠は、比較的低温でストリッピングおよび吸着の両方が稼働することである。
【0068】
[0072]前述したように、段階2では、好ましくは吸着のハウジング位置とは異なる高さに、好ましくは吸着のハウジング位置よりも下の高さに配置された別個の再生チャンバーで低温での処理(水蒸気)を使用して吸着させたCO
2をストリッピングすることにより吸着剤を再生する。これは、モノリスアレイ吸収剤3041を2つのレベル間で移動させるための簡単なエレベーターシステムをもたらす。陸地が価値を有するような発展した地域では、垂直にオフセットした配置にすることで面積を小さくする。例えば極地域などのあまり開発されていない地域では、立地条件および側道の動作、例えば鉄道に沿った動作がエレベーターの代わりに好ましく使用できる場合、隣り合った配置が好ましい場合がある。
【0069】
[0073]CO
2および水蒸気の凝縮物が、段階2の再生器からの唯一の流出物である。一般的には、本明細書に記載された温度で稼働する場合、水蒸気凝縮物の液体は、それにより除去された吸着剤材料を実質的に有さないことが示されている。本プロセスは、周囲空気からCO
2を吸着して、封鎖に好適な、またはより重要なことにはさらなる工業的使用に好適な比較的純粋なCO
2生成物のガスストリームを生産できる。このような使用の一例は、生物系への供給材料としてCO
2を使用することによって新しい燃料を生成することである。CO
2の捕獲効率は、エネルギー利用の尺度であり、吸着器のパラメーターは、フィードストリーム中のCO
2濃度と、吸着システムに提供される天然の利用可能なあらゆる空気(すなわち卓越風)の速度とに基づき決定される。さらに効率は、コジェネレーションプロセスからの飽和した比較的低温の水蒸気の、吸着剤からのCO
2のストリッピングおよび吸着剤の再生への利用度によっても決定される。比較的純粋なCO
2を含む排ガスを提供することによって、このようなCO
2除去にかかるコストが最小化され、またさらには、例えば、新しい燃料を供給できる藻類を成長させるために、石油増進回収のための油田で、または現存する、もしくは将来的に利用できるようになる他の商業的もしくは工業用な適用でCO
2が使用される場合にも有効利用することができる。生物燃料用の藻類培養は、このプロセスの二酸化炭素生成物を使用することに関する主要な利益の中心となることが期待されている。
【0070】
タンデム式の稼働
[0074]このプロセスのさらなる改善として、相当量の資本およびエネルギーの節約は、ユニットそれぞれの性能を最適化するために吸着/再生ユニットの隣接するモジュールを統合することによって達成できることが発見された。
【0071】
[0075]本システムの稼働および経済性は、周囲空気と接触したときにモノリスが劣化すると予想される温度より低く、再生されたモノリスを迅速に冷却することによって最適化できることが発見された。具体的な温度は吸着剤の性質と使用されるモノリスによって決まると予想されるが、菫青石基板とアミン吸着剤の場合、周囲空気の存在下でモノリスの過剰な劣化を回避するためには、この温度範囲は70℃未満である。加えて、これは、吸着剤から除去される高純度のCO
2を収集しつつ、プロセスに追加することが必要な外部から供給される熱の量を可能な限り大きい程度に最小化する計画の一環として達成されるべきである。
【0072】
[0076]このシステムの全体的な有効性を最適化して効率的な稼働システムを得るためには、再生後のモノリスの冷却は、モノリスでの吸着剤によるCO
2捕獲工程が再生工程と同期できるように極めて迅速に達成されなければならない。最も有利には、二酸化炭素がモノリスによって吸着されない時間を最小化するために、冷却は好ましくは約10秒以下の範囲で達成されるべきである。本発明に基づいて、この作用は、以下のプロセスパラメーターを使用することにより達成可能である。
【0073】
[0077]タンデム式の複数のモジュールの稼働を組み合わせることによって、周囲空気と、周囲空気で見出される濃度よりも数倍高くフィードガス中のCO
2濃度が増加するように添加された煙道由来のガス状流出物との均一な混合物を処理する場合に高度に効率的なシステムがもたらされることが発見された。加えて、ストリッピング工程から望ましい純度のCO
2を得ることは、吸着剤からCO
2がストリッピングされる前に、再生ボックスが空気の大半を排気させることを必要とする。第一のアレイモノリス3041が水蒸気の再生サイクルをちょうど完了させ、二酸化炭素の排ガス圧は約0.7〜1BARである。タンデム式で稼働する第二のモノリスアレイ3042は、CO
2吸着工程が完了した後、再生チャンバーまで降下され、再生チャンバー3042中の空気がポンプでくみ出されて0.2から0.1BARの間になる(それにより、水蒸気の飽和温度がそれぞれ60℃から45℃の間になる)。空気の排出により、再生後に再生チャンバーから引き出されるストリッピングされたCO
2の純度が改善され、モノリスアレイがチャンバーに入りチャンバーを密封した後の空気を排気するのにかかる労力が、比較的少量のパワー(通常は電気の形態)ですむ。
【0074】
[0078]2つのタンデム式アレイは、これらの条件がT=0で満たされるように同期化される。その時点で、ライン3014が開いているときに、ボックス3041中で捕捉された、さらにボックス3051中のモノリスアレイの蒸発による冷却により生じたあらゆる水蒸気がボックス3042にポンプで送られるように、第一の再生されたアレイボックス3041からの流出口がボックス3042の供給パイプに切り替えられ、その結果、大きい圧力差(0.7〜1から0.2〜0.1BAR)が生じ、次いでボックス3052中の比較的冷たいモノリスアレイ3042で水蒸気が凝縮して、再生に必要な程度にその温度を上昇させる。この方式において、第一のモノリスアレイから除去される熱は、冷却時に直接第二のモノリスアレイに移り、その温度を高めるための少なくとも最初の熱を供給する。ボックス3051からボックス3052への水蒸気バーストは、10秒の目標値を達成するために、速い流速で、好ましくは少なくともおよそ0.5メートル/秒の流速で起こる。2つの再生チャンバー間の大きい圧力低下が、これを実現可能にすると予想される。このプロセスが完了したときは、このシステムは、冷却時間(T
冷却)にある。
【0075】
[0079]ボックス3052は、好ましくはポンプで0.1BARAに低められるが、ボックス3052が0.15BARAの圧力に達したとき、ボックス3051はボックス3052から遮断される。これは、ボックス3052中の望ましい空気の減少をもたらすと予想されるため、最終的に除去されるCO
2の純度がさらに改善される。ボックス3051とボックス3052との連結が閉じられた後、再生用の水蒸気はそのままボックス3052に入り、最初のうちは、ある程度まで予熱されたモノリスアレイ3042で凝縮する。水蒸気が入ることにより、CO
2がモノリスアレイで吸着剤から除去され、ボックス3052に送られて最終的な水蒸気によって押し出されるときに約0.7から1BarAの間に圧力が増大する。CO
2および水蒸気の収集の結果としてボックス3052中の圧力をそのまま0.7〜1に増加させることにより、ボックス3051と同様にボックス3052はT=0になり、この時点で、モノリスアレイでCO
2が吸着剤から除去されるときにCO
2の収集が行われる。このポイントに到達するのにかかる時間は、T
冷却+T
収集(再生されたCO
2を収集するのにかかる時間)に等しい。
【0076】
[0080]一方で、冷却されたモノリスアレイ3041は、吸着位置に上げられるときに、空気および周囲温度に晒される。モノリスアレイ3041を吸着位置に戻すのにかかる時間は、T
冷却(モノリスアレイ3041を冷却するのにかかる時間)+T
エレベーター(モノリスアレイを吸着位置に上昇させるのにかかる時間)に等しい。モノリスアレイ3041は、吸着が望ましい程度(例えば飽和のパーセントまたは平衡)に到達するまで、T
添加の期間にわたり空気流に晒される。これを最も効率的な方式で稼働させるためには、平衡になるまで吸着を継続しないで、より低いレベルで、一般的にはフィードガス中のCO
2濃度に関して平衡量の80%〜90%の範囲内で吸着位置から除去することにより吸着を終結させることに留意されたい。
【0077】
[0081]この結果を数学的な方程式として表現すれば、T
冷却+T
収集2=T
冷却+2T
エレベーター+T
添加1と記述できる。この望ましい結果に到達するために、T
収集およびT
添加は、独立して調節できることに留意されたい。一般的にはT
添加を最大にすることが望ましいため、一般的にはT
冷却およびT
収集を実現可能な程度に最小化して、T
エレベーターを小さい数に維持するべきである。
【0078】
[0082]混合された高CO
2濃度のガスについて検討する場合、2つのタンデム式モジュールがそれぞれ2つのモジュラーアレイを有し、さらに、CO
2を処理して空気から除去するサイクルが互いに1/2サイクルだけずれるように、それぞれのタンデム式モジュールの2つのフロントボックスと2つのタンデム式モジュールの2つのバックボックスとが連結されることが望ましいと予想される。周囲空気がCO
2を添加せずに処理される場合、タンデム設計は不必要であるが、10のユニットを同期させようとする場合(ここでユニットNは、顕熱の1/2をユニットN+1に提供すると予想される)、原則的にN10からの熱が一巡して再度N1に戻るようにT
添加はT
収集の9倍大きくてもよく、しかしながら効率の増加は、コストを正当化するには不十分である可能性がある。このタイプのタンデム式システムは、水および熱の使用をほぼ半分に削り、コンデンサーまたは他の冷却補助装置の使用とそれに伴う別個の冷却水の必要性とが省かれる。
【0079】
[0083]モノリス基板は、大きい吸熱器をもたらす。それらの大きい表面積の結果として、水蒸気が多孔質モノリスを通過するときに凝縮する水蒸気による迅速な冷却が提供されるように、薄い多孔質壁と、多くの場合において優れた熱伝導率とが達成される。
【0080】
[0084]このプロセス統合システムを生み出すことにより、吸着剤の寿命を長くでき、熱の必要性と水の使用を少なくでき、それと同時にCO
2生成物の純度を高めることができることが発見された。また、隣接するモジュールを統合することにより、資本およびエネルギーの節約が達成されることも見出された。さらに、個々のモジュールの性能に対しても同様に有意な影響を有することが判明している。したがって、以下の3つのプロセスの目的は、高い費用効率で取り組まれている。
(目的1) 劣化を防ぐために、現行の実施態様、すなわち菫青石のモノリスを、空気に晒す前に70℃未満に冷却すること。将来的な吸着剤は、温度をそれほど下げなくてもいいように、より酸素耐性になっている可能性があることに留意すべきであるが、モノリスの温度が低ければ低いほどCO
2吸着もより速くなる。
(目的2) プロセスでは可能な限り少ない熱を使用すること。
(目的3) 高純度のCO
2を収集すること。
【0081】
[0085]一般的にモノリスアレイはプロセス中のストリッピング後の時点で大量の顕熱を有するため、ストリッピング後にモノリスを極めて迅速に冷却する必要性があることから、目的1はますます重要になりつつある。CO
2を吸収しない時間を最小化するためには、冷却に関する設計目標は10秒である。従来技術では、この結果を達成するには別個のコンデンサーが必要であると考えていた。しかしながら、コンデンサーを使用する多くの選択肢が調査されてきたが、それらはいずれも、大きい熱量とその除去にかかる時間の短さのために極めて大きい表面積と大量の冷却水とを必要とすることから、これらは実用的ではないことがわかった。これは、使用されているモノリス基板の性質に関係なく当てはまることであり、菫青石は最大の熱量除去を必要とするが、別のタイプの、例えばアルミナ製のモノリスは、実質的な程度でより少ない量しか必要としない。しかしながら、そのようなタイプであったとしても、別個のコンデンサーが実用的であるとは見出されていない。他の吸収剤を支持するモノリスは、除去が必要な熱はよりいっそう少ない場合もあるが、いずれの場合においても、コンデンサーの使用は、ほとんど全ての実現可能な環境下では非効率的であることが示されている。
【0082】
[0086]目的2は、コンデンサーを使用すると達成されないが、これはなぜなら、冷たい水への熱の移動は(ここで水温は、有効な伝熱率のために低温に維持される必要がある)、経済的に熱を回収することを実質的に不可能にすることから、本システムに関する正味のエネルギー必要量を下げることができないためである。
【0083】
[0087]最後に、目的3は、CO
2を収集する前に、捕捉された空気を再生ボックス3052から除去することを必要とする。加えて、システムがCO
2収集に切り替わる前に、生成したCO
2によって空気が押し出されるようにシステムを栓流用に設計することにより、最初に残存する空気が再生チャンバーから除去される。少なくとも95%の目標純度を達成するために、高度な栓流が望ましい。栓流は、温度に伴う成分の放射状の濃度差がなく、さらにガスの流れ方向で軸方向混合がないことを必要とする。これは、単一のモジュールで周囲空気を処理するとき、またはタンデム式モジュールシステムでCO
2が高度に濃縮されたガスを処理するときに達成できる。以下の文章は、本プロセスを例示するための2つの隣接するタンデム式分子を単に考察したものである。プロセス工程は以下の通りである。
(ボックス3051/モノリスアレイ3041) モノリスアレイは、密封された再生ボックス3051中にあり、水蒸気の再生およびCO
2収集をちょうど完了させたところであり;この時点での水蒸気除去圧力は約0.7〜1.0BarAである。これは、残存するあらゆるCO
2を押し出すために、ブレークスルー後に多少の余分な水蒸気を導入することを包含していてもよい(以下参照)。
(ボックス3052/モノリスアレイ3042) CO
2を捕獲した後、密封された再生ボックス3052にちょうど降下される。ボックス3052の圧力がポンプで0.2〜0.1barに下げられると、それぞれ60℃および45℃になり、これはその圧力での水蒸気の飽和温度である。この空気排出は、当然ながら、空気の量は周囲空気の20〜10%でしかないために、CO
2生成物の純度への大きな助けとなると予想され、さらに、電気を使用して1つのボックスの空気をポンプでくみ出すコストは、100パスカルの圧力低下で空気を移動させるのにかかるコストの10%の未満であり、現行の実施態様ではわずか5%でしかない。
【0084】
[0088]このプロセスの前、本発明者らは、ポンプで圧力を下げることだけで再生後に冷却することを考慮しており、さらに純度を改善するために再生前にポンプで圧力を下げようとする場合、それを2回行う必要があると予想していた。この2つの隣接するモジュールを統合することにより、単一の排出で両方のタスクが同時に達成される。両方とも同時に上述したそれらの条件に到達するように、独立したサイクルを有する2つの隣接するモジュールの予定を決めることができる。これをT=0と呼ぶことができる。
【0085】
[0089]モノリス3041からのCO
2のストリッピングおよび排気が完了したときに、ボックス3051の排出パイプ3021が閉じられるように切り換えられ、ボックス3052からの水蒸気分配器の供給パイプ3014に向かってボックス3051が開く前に、二酸化炭素捕獲からの二酸化炭素と凝縮した水蒸気の除去とは一緒に行われ、水蒸気と凝縮した水蒸気の一部は分離チャンバーに向かう。ボックス3051中で捕捉され、モノリスアレイ3041の蒸発(冷却)により生成した残存する水蒸気は、大きい初期の圧力差(−0.7〜1:0.2〜0.1BarA)で「ポンプにより」ボックス3052に送られ、ボックス3052中の冷たいモノリスアレイで凝縮し、その温度を上昇させる。このようにしてモノリスアレイ3041を冷却するためにそこから除去された熱は、モノリスアレイ3042に直接移され、それを加熱する。モノリスアレイからの水の蒸発により生じたこの最初の水蒸気バーストの速度は、10秒の設計目標を満たすために、水蒸気の再生に使用される現行の5cm/秒の速度よりも少なくとも10倍速いか、または0.5m/秒であることが必要である。モノリスアレイにおいて大きい質量流および低い圧力低下がある場合の大きい圧力差を考慮すれば、これは簡単に達成されると予想される。2つのボックスは、0.2〜0.1BarAでの水蒸気の飽和蒸気温度で(これは60〜45℃である)平衡に達すると予想される。
【0086】
[0090]プロセスが十分迅速になるように、ボックス3052中の圧力を0.1BarAに下げ、ただしボックス3052からの出口バルブは0.15BarAで閉じられることが好ましい。要求される温度は、劣化を最小化するためにはどれほどの最大温度が限界なのかに依存すると予想される。ポンプは、その上に逆止め弁を有しており、ボックス3052中でCO
2の蓄積が起こる場合には、最初のポンプダウンの後にポンプ操作のみが行われると予想されるが、これは、低温ではCO
2の分圧は15%(これは0.15BarAに相当すると予想される)よりも低いために起こる確率は低い。すなわち吸着剤は、CO
2の分圧を1パーセント未満に維持する可能性が高いと予想される。これは、バルブ3014を開ける前にボックス3051中にどれだけ多くのCO
2を残すかによって調節が可能であり、これは続いて、残存する空気を押し出して、再生プロセスが始まる前でさえも純度をさらに高めることを可能にする。冷却時間+水蒸気の切り換えおよび通過時間=T
冷却である。次いでボックス3051と3052との間の連結部3014を閉じて、ライン3012を介して通常の水蒸気源をボックス3052に導入する;水蒸気は予熱したモノリスアレイ3042で凝縮し、CO
2収集が始まる前にCO
2の存在によって圧力を0.7〜1に上昇させ、より遅い速度で水蒸気の再生プロセスおよびCO
2収集を完了させることにより、ボックス3052の再生を完了させ、最終的にボックス3052に戻り、そこでボックス30511が始動する。これにかかる時間はT
収集であるため、ボックス3052に関する総経過時間はT
冷却+T
収集である。
【0087】
[0091]冷却されたモノリスアレイ3041が吸着位置に上げられると冷却されたボックス3051は大気圧に戻される。これは、T
冷却+T
エレベーターの総時間を要し、T
添加の時間にわたり吸着を行い、次いでT
冷却+2T
エレベーター+T
添加の総経過時間をかけて降下される。2つのボックスを同期させるために、それらの熱を前後で交換してもよく、その場合、以下を必要とする。
【0088】
T
冷却+T
収集=T
冷却+2T
エレベーター+T
添加
T
収集およびT
添加は独立して調節できるため、この条件は容易に満たすことができる。T
添加を最大にするために、T
冷却およびT
収集を最小化してT
エレベーターを低くすることが要求される。気化器およびタンデム式の設計の場合、2つの隣接するモジュールはそれぞれ2つのモジュールアレイを有し、デューティサイクルの損失がないように各々からの2つのフロントボックスと2つのバックボックスとが連結される(それらは互いに半分のサイクル分ずれていると予想される)。空気のみの場合、非タンデム式の設計が有用であり、この場合、T
添加がT
収集の10倍となる可能性があり、原則的には10のユニットを同期させることができ、ここでユニットnは、1/2の顕熱をユニットn+1に提供すると予想される。また原則的にはN10からの熱を再度N1に戻すこともできるが、これは、追加で5%の熱効率の増加にしかならず、多大な追加コストおよび複雑さを伴うと予想される。
【0089】
[0092]水および熱の使用におけるこのプロセスの利点は明かであり、両方の供給についてほぼ2分の1に低減される。大きいコンデンサーへの余分な資本コストがかからず、冷却水への必要性もまったくない。基板は、それらの大きい表面積と薄い壁のために多大な吸熱器であり、アルミナは優れた熱伝導率を有するために、凝縮する水蒸気の極めて迅速な「冷却」を可能にする。
【0090】
[0093]これらの利点を実証するために、上述したシステムを利用して10秒の設計目標を満たすのに十分な速度で、再生されたモノリスアレイからの熱を除去できることにおけるこのシステムの基本性能を以下の計算で説明する。吸熱器としてのモノリスの使用はこれまでにも認識されていたが、本発明の方式で、空気からCO
2を捕獲するプロセスの状況においてそれらを使用することは、これまで公知でもないしまたは示唆されてもいない。
【0091】
基本性能
[0094]現行のシステムで稼働させるために、640の個別のモノリスの熱いモノリスアレイから22Kgの水/水蒸気を蒸発させて、例えばモノリスアレイ3042などのアレイを110℃から55℃に冷却し、さらに、10秒以内に蒸発させた水蒸気を、冷たい例えばモノリスアレイ3041で凝縮させて、そのアレイを予熱することが必要である。この温度範囲における水蒸気の潜熱は2.3×10
6ジュールであるため、T=10秒でHR=50.6×10
6ジュールを除去する必要がある。
【0092】
単一のモノリスの表面積は極めて大きい。各6インチ×6インチ×6インチのモノリスでは6.4m
2(Nc=230セル/インチ
2、SA=表面積/モノリス=4s Nc L FA)であり、ここでsは、開口部=1.3mmであり、36.8×10
4セル/m
2、L=0.15である。640個のモノリスの標準的なユニットアレイ、例えばユニット3041または3042の場合、総表面積はTSA=4,216m
2である。
【0093】
[0095]したがって、要求される熱流束は、10秒でTFN=HR/TSA=12×10
3ジュール/m
2であり、これは極めて低く、すなわちどのような凝縮不可能なガスが残存していたとしても、水蒸気は、ユニットを冷却するほど十分迅速に凝縮する。唯一の問題は、熱を十分迅速に除去できるのかどうかである。凝縮水は、ほとんどの凝縮システムで熱伝達を制限する傾向があるが、このような場合、熱伝達において重大な問題となる可能性は低いことに留意されたい。22kgの水が22×10
−3m
3を占有しており、これを4,216m
2のTSAで割れば、水の一部が壁の孔中にある可能性を考慮に入れなくても水の深さがわずか0.005mmであることがわかる。さらにこれらの低い温度温および圧力では、モノリス本体上の吸着剤が、CO
2を除去してそれらを固定すると予想されることから、気相中のCO
2濃度の上昇を抑えることができる。
【0094】
[0096]アルミナの熱伝導率kは、18ワット/m/°Kであるが、アルミナは多孔質であるためにk=10ワット/m°Kと推定される。ここでTF、すなわちモノリス壁中の10秒での熱流束/m
2=kT(ΔTemp/w)であり、ここでwは、モノリスチャネルの壁の厚さの1/2である。wが0.2mmでありΔTempがわずか10°Kである場合の保存値をとれば、TF=5×10
6ジュール/m
2であり、これは、TFNよりもかなり大きい。極めて迅速な速度でCO
2収集を行う可能性を高めるという潜在的な性能は、要件を十分に上回っている。これは、極めて短いサイクル時間を可能にし、それにより他の利点をもたらすことができる。最も注目すべきことに、ガスを混合する場合において、極めて高濃度でCO
2を捕獲するのに短いモノリスアレイの使用が可能になる。あるいは、より小さいサイズのモジュールアレイユニットでもそれらの生産性が同様に高いと予想されることから、少量の煙道ガスでそのようなモジュールアレイユニットを検討することも可能になる。
【0095】
[0097]基本的な実施態様において、ユニット3051中のモノリスアレイを処理して、再生後にそれを冷却し、同時にユニット3052中のCO
2を含有する隣接するモノリスアレイに熱を移動させるために、CO
2を含有するモノリスアレイの温度を、供給フィードのCO
2濃度が8倍高められた周囲空気と煙道ガスとの混合物と同じにすることを想定してもよい。ある種の状況においては、CO
2吸着によりユニット3052中のモノリスアレイを温めて、反応熱が保存されるように準備することが望ましい場合があることに留意すべきである。例えば吸着中に冷却に利用できる凝縮水を少なくすることによりなされ、これは、プロセスの総体的な熱効率をよりいっそう高めることができる。
【0096】
基本のケースにおいて、顕熱の半分を保存してもよい。本発明のケースでは、これは、1/2の反応熱+1/2の顕熱の合計に相当すると予想される。
【0097】
これは、稼働温度を調節することによってガスを混合する際の熱効率を高めることと考えることができ、最適条件は、モノリスの酸化的な劣化の温度依存性によって決まると予想される。一般的には、吸着剤の反応熱、および1メートルトンのCO
2あたりの顕熱と反応熱との比率(例えば、モノリス壁の含有量および材料および密度)が考慮に入れられると予想される。
【0098】
[0098]凝縮不可能なガスの濃度が、必要な凝縮速度に到達するのに必要なレベルまで減少すると、十分迅速に熱を除去することが課題となる。Martinらによって指摘されているように、これは、物質的な問題(冷却剤の比熱がどれだけ大きいか)と熱伝導率の問題(凝縮表面からどれだけ迅速に熱を除去できるか)の両方である。
【0099】
[0099]
図8の実施態様において(援用される先の第13/098,370号から引用した図であり、それには二酸化炭素除去構造対の一方のみが示されているが、第二の再生チャンバー2006Aへの連結部は追加されている)、二酸化炭素除去構造は、CO
2捕獲ゾーン2003と密封可能なCO
2ストリッピング/再生チャンバー2006との間を移動する。基板がCO
2ストリッピングチャンバー2006に移動すると、すなわち
図8で示されるように下の位置に移動すると、二酸化炭素捕獲チャンバーから移動したときの基板中にある凝縮した水蒸気の冷却作用のために、基板は実質的に周囲温度で存在し、吸着活動の反応熱は、水の蒸発作用と、CO
2が除去された空気塊(これはCO
2の量よりもはるかに多い)の吹き付けによる対流効果との組み合わせにより除去される。
【0100】
[00100]基板2002およびチャンバー2006中の捕捉された全ての空気は、例えば空気排出ポンプ2023によってポンプでくみ出されてもよいし、または排気ファンによってくみ出されてもよく、それによりチャンバー2006中に部分的な真空が形成される。次に、プロセス熱は、例えば水蒸気コジェネレーター2019からの飽和水蒸気の形態で、二酸化炭素捕獲チャンバー2006中のCO
2を含有する基板2002に向かいそこを通過する。
【0101】
[00101]二酸化炭素は、比較的熱い水蒸気流によって吸着剤(ストリッピングで除去済み)から除去される;入ってくる水蒸気は、130℃以下の温度、好ましくは120℃以下の温度で、最も好ましくは110℃以下の温度である。ほとんどの環境下で、水蒸気温度は100℃で十分である。主として二酸化炭素と多少の水蒸気を含む蒸気は、二酸化炭素捕獲チャンバー2006から排気管2008を介してセパレーター3009に流れ、ここで液状の水が示した通りに分離され、少なくともある程度の存在する水蒸気が凝縮される。液状の凝縮水は、ガス状のストリッピングされたCO
2から分離される。ストリッピングプロセス中に吸着剤構造それ自身で凝縮した水蒸気の一部は、再生チャンバーの底でドレインに収集されるか(例えば、構造をわずかに下のレベルに傾けてコンテナー20に送ることにより)、またはCO
2の大半をチャンバー3009に除去した後に、その対のポンプでくみ出された第二の再生チャンバー2006A中で低い圧力に晒されているときに蒸発させるかのいずれかと予想される。多孔質基板の構造中に残った凝縮水は、吸着工程中に混合された周囲空気を二酸化炭素除去構造に通過させるときに蒸発すると予想される。
【0102】
[00102]再生された吸着剤からストリッピングされたCO
2は続いて、貯蔵容器2012にポンプで送られ、そこでCO
2は、例えばCO
2豊富な大気を提供して藻類の増殖を促進するのにすぐ使用できるように、わずかに高い圧力で維持されるか、または長期保存のために、あるいは例えば、生産性向上のために油井または天然ガス井の封鎖または処理などの遠隔地での最終用途に向けてパイプライン輸送するために、コンプレッサー2014を用いて二酸化炭素ガスをより高い圧力に圧縮してもよい。いずれかの圧縮段階中に、公知の手段で、残存するあらゆる水蒸気の凝縮によりCO
2をさらに精製し、続いて水の凝縮物をCO
2から分離する。
【0103】
[00103]この概念は両方のタンデムで機能し、それが好ましい実施態様であるが、非タンデムのケースでも同様に適用することができる。ボックス/モノリス1は水蒸気の再生を完了させ、水蒸気が遮断される。CO
2を吸収した後にボックス3052がちょうど降下したら、ポンプでのボックス3052からの空気のくみ出しを開始させることにより、ボックス3052中の圧力を0.2〜0.1BarAに低下させる。ボックス3051の排出パイプは、ボックス3052の水蒸気分配器の供給パイプに切り替えられる;ボックス3051中の蒸発する凝縮水からの水蒸気は、ボックス3052中の比較的冷たいモノリスで凝縮し、その温度を上昇させる。モノリスから蒸発する水からのこの最初の水蒸気バーストの速度は、現行の速度よりも少なくとも10倍速いか、または0.5m/秒であることが必要である。これは、その加熱の拡散を促進すると予想されるが、それでもなお空気の場合よりも5倍敏感な前部を有すると予想されるため、後部に水蒸気は出現しないと予想される。2つのボックスは、(T
再生−T
空気)/2未満の温度で平衡に達すると予想され、これはなぜなら熱の一部が蒸発するCO
2に連行されると予想されるためである。次いで連結部3051が閉じられ、水蒸気源からボックス3052に水蒸気が導入され、より遅い速度でT
再生への加熱およびCO
2収集を完了させ、ボックス3052の再生を完了させる。次いで冷却されたモノリスアレイ3041を含有するボックス3051が周囲空気に晒されて、吸着位置に上げられる。
【0104】
[00104]プロセス上のマイナス面の1つは、短い時間、ボックス3051とボックス3052の両方が、空気からCO
2を吸収しないことである。ボックス3051および3050が隣り合っているような空気捕獲の場合において、2つのボックスのサイクルを同期させてもよく、そのようにすれば両方がデューティサイクルの減少を起こさない。またタンデム用途での他の実施態様においても、モノリスが連続して配置される場合、1つのボックスにおいて、捕獲方向とは逆方向で水蒸気によるストリッピングが行われると予想される。