(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236072
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】手持ち機械工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20171113BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
B25F5/00 H
B25F5/02
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-516542(P2015-516542)
(86)(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公表番号】特表2015-519213(P2015-519213A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2013060998
(87)【国際公開番号】WO2013186045
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年5月21日
(31)【優先権主張番号】102012209919.0
(32)【優先日】2012年6月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ブルガー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス タンナー
(72)【発明者】
【氏名】レネー リヒター
【審査官】
小川 真
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−297312(JP,A)
【文献】
特開2011−049151(JP,A)
【文献】
実開昭58−095578(JP,U)
【文献】
国際公開第2011/055806(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0221594(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25F 5/02
B25D 11/00
B25B 21/00
B23B 45/16
B24B 23/02
H01M 2/10
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体化した工具又は工具を収容する工具ホルダー(2)と、
前記工具又は前記工具ホルダー(2)を駆動する電動モータ(5)と、
前記電動モータに電力を供給するためのバッテリーパック(18)を第1の方向に沿って挿入可能なガイド(23)と、
内部で、電気的接点(31)が第2の方向(26)に沿って互いにずれて(オフセットされて)配置されたコンタクトホルダー(36)と、
前記コンタクトホルダー(36)用のサスペンション(47)であって、前記コンタクトホルダー(36)は前記サスペンション(47)に対して前記第1の方向(25)及び第3の方向(28)に沿って移動可能であり、前記第1の方向(25)、前記第2の方向(26)及び前記第3の方向(28)の各対は互いに垂直である、前記サスペンション(47)と、
前記コンタクトホルダー(36)に、前記第1の方向と逆方向に力を与えるバネ(52)と、
前記第1の方向(25)と対向する前面(38)であって、前記前面にはセンタリング(59)が設けられ、前記センタリングは、前記バッテリーパック(18)上のセンタリングサポート(60)と協働して、前記前面(38)と前記バッテリーパック(18)間の前記第3の方向への相対移動を抑制する、前記前面と
を備え
前記センタリング(59)はマンドレル(59)を有し、前記マンドレルは前記第1の方向に突出し、前記第3の方向に対して傾斜した表面、及び/又は前記第1の方向に対して凹み前記第3の方向に対して傾斜した表面を有するノッチ、を有する
手持ち機械工具。
【請求項2】
前記コンタクトホルダー(36)は、前記マンドレル(59)及び/又は前記ノッチと共に前記バッテリーパック(18)に対して押圧され、押圧されないときは前記前面(38)は前記バッテリーパックから離れている、請求項1に記載の手持ち機械工具。
【請求項3】
前記コンタクトホルダー(36)は前記第1の方向(25)に2ミリから5ミリの間の移動距離(51)だけ移動可能である、請求項1又は2に記載の手持ち機械工具。
【請求項4】
前記コンタクトホルダー(36)は前記第3の方向(28)に0.5ミリから2ミリの間の移動距離(51)だけ移動可能である、請求項1ないし3のいずれか1に記載の手持ち機械工具。
【請求項5】
前記接点(31)は前記第1の方向(25)に遊びを有して前記コンタクトホルダー(36)内に配置されている、請求項1ないし4のいずれか1に記載の手持ち機械工具。
【請求項6】
前記コンタクトホルダー(36)は端子片(42)を有し、電線(40)の一端が前記端子片(42)に装着され、前記電線(40)の他端が前記接点(31)の1つに装着されている、請求項1ないし5のいずれか1に記載の手持ち機械工具。
【請求項7】
前記接点の少なくとも1つは編組線を介して電気的に接触している、請求項1ないし6のいずれか1に記載の手持ち機械工具。
【請求項8】
前記コンタクトホルダー(36)は前記第1の方向(25)に対抗する方向に開口している、請求項1ないし7のいずれか1に記載の手持ち機械工具。
【請求項9】
前記コンタクトホルダー(36)は、前記バッテリーパック(18)が前記ガイド(23)に固定される際に、前記第1の方向(25)に摩擦力により係合された状態で前記バネ(52)を介して前記手持ち機械工具に結合される、請求項8に記載の手持ち機械工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマードリル、ソー、又は釘打機等の手持ち機械工具に関する。手持ち機械工具、特に、そのモータへの電力はバッテリーパックから供給される。バッテリーパックは手持ち機械工具から着脱可能である。バッテリーパックはその後、充電のため充電器に挿入されるか、充電された同一のバッテリーパックに置き換えられる。
【背景技術】
【0002】
ハンマードリルは強い振動を発生してバッテリーパックのマウント(取付け部)や電気的接点にストレスを与える。それにより電気的接点は機械的に摩耗するばかりでなく、振動による接点の開閉に伴い発生するアークにより摩耗する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明による手持ち機械工具は、一体化した工具、又は工具を収容する工具ホルダーを有する。電動モータは工具又は工具ホルダーを駆動する。電動モータに電力を供給すべく、バッテリーパックは第1の方向に沿ってガイドに挿入可能である。電気的接点は、コンタクトホルダー内で、第1の方向と直交する第2の方向に互いにずれて(オフセットされて)配置されている。電気的接点は、好ましくは、コンタクトホルダー内で遊びを有して配置されている。コンタクトホルダーのサスペンション(バネ)は、サスペンションに対して第1の方向及び第3の方向に沿って移動可能にコンタクトホルダーを保持する。第1の方向、第2の方向及び第3の方向の各対はそれぞれ互いに直交する。バネはコンタクトホルダーに、第1の方向と逆方向に力を与える。第1の方向と対向する前面(フロントフェイス)にはセンタリングが設けられ、それはバッテリーパック上のセンタリングサポートと協働して、前面とバッテリーパック間の第3の方向への相対移動を抑制する。
【0004】
コンタクトホルダーは少なくとも2つの方向において手持ち機械工具に移動可能に装着される。コンタクトホルダーのサスペンションは、好ましくは、第1の方向及び第3の方向に沿った移動が第1の移動距離、第2の移動距離にそれぞれ制限されるよう構成される。
【0005】
手持ち機械工具に挿入されたバッテリーパックは電気的接点と電気的に結合し、コンタクトホルダーと機械的に結合する。先ず、バッテリーパックはコンタクトホルダーをバネに抗して移動し、摩擦力による係合がなされる。更に、センタリングとバッテリーパック上のセンタリングサポートとによる形状どうしの嵌め合いによる係合が、コンタクトホルダーで得られる。このセンタリングは、前面を、第3の方向に沿ってバッテリーパックに対して固定した位置に局所的に保持する。
【0006】
本発明の一態様は、マンドレルを有するセンタリングを提供し、マンドレルは第1の方向に突出し、第3の方向に対して傾斜した表面、及び/又は第1の方向に対して凹み第3の方向に対して傾斜した表面を有するノッチを備える。鈍角な又は傾斜していない面に比べ、傾斜面は確実なセンタリングを行う。第3の方向に対する表面の傾斜は、好ましくは、30度を超える。例えば、マンドレルは、第1、第3の方向に平行な、断面が二等辺三角形形状の先端を有する。
【0007】
本発明の一態様は、コンタクトホルダーを提供し、コンタクトホルダーは、マンドレル及び/又はノッチと共にバッテリーパックに対して押圧され、他方、前面はバッテリーパックから離れている。前面の各非傾斜面の空間は、これら非傾斜面によるセンタリングの損傷を防止する。
【0008】
本発明の一態様は、接点を提供し、接点は互いにコンタクトホルダー内で移動可能に配置されている。接点は好ましくは、遊びを有してコンタクトホルダー内に配置されている。接点上で局所的に生じる振動は他の接点に影響を与えない。
【0009】
接点は、バッテリーパックのブレード状接点を収容するジャックとして形成されて良い。ジャックは、例えば、第3の方向に沿って溝が設けられている(slotted)。相手方接点は好ましくは、ブレード状で、第3の方向に平行に延在する。
【0010】
一実施例は、編組線を介して電気的に接触している少なくとも1つの接点を提供する。
【0011】
一実施例は、第1の方向に
対抗する方向に開口しているコンタクトホルダーを提供する。コンタクトホルダーは、第1の方向に
摩擦力により係合された状態でバネを介して手持ち機械工具に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】ハンマードリルの平面II−IIに沿った断面図である。
【
図3】ハンマードリルの平面III−IIIに沿った断面図である。
【
図6】ハンマードリルを通る平面V−Vに沿った断面図である。
【
図8】ハンマードリルを通る平面VII−VIIに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を特定の実施例及び図面に基づき以下に説明する。同一又は機能的に同等な要素は、特に明記しない限り、図面において同一の参照符号で示される。
【0014】
図1は手持ち機械工具の一例としてのハンマードリル1の概略図である。ハンマードリル1は、工具の軸端3、例えば、ドリルビット4の1つが挿入される工具ホルダー2を有する。ハンマー機構6及び出力軸7を駆動する電動モータ5はハンマードリル1の主駆動源である。ユーザはハンドル8を用いてハンマードリル1を操作し、システムスイッチ9を用いてハンマードリル1を作動させる。動作中、ハンマードリル1は連続的にドリルビット4を作動軸10を中心に回転させ、ドリルビット4を作動軸10に沿って衝撃方向11に駆動する。
【0015】
ハンマー機構6は例えば、空圧式ハンマー機構6である。励振機12とストライカー13は、作動軸10に沿ってハンマー機構6内で移動可能にガイドされる。励振機12は偏心器14又はワブルフィンガー(wobble finger)を用いてモータ5と結合され、周期的かつ直線的な運動を行う。励振機12とストライカー13の間の空気室により形成された空気バネはストライカー13の動きを励振機12の動きに結合させる。ストライカー13はドリルビット4の後端を直接打撃するか、又は基本的に静止している中間のストライカー16を介して間接的にパルス振動をドリルビット4に与える。ハンマー機構6及び好ましくは、更に別の駆動機構が機械ハウジング17内に配置される。
【0016】
電動モータ5はバッテリーパック18から給電される。バッテリーパック18はバッテリーハウジング19を有し、バッテリーハウジングはハンマードリル1からは分離され、複数のバッテリーセル20を収容している。バッテリーパック18はハンマードリル1のマウント21に挿抜される。マウント21は好ましくは、機械ハウジング17又はハンドル8の基本的外面22上に形成される。マウント21は、例えば、2つの並列な溝24からなるガイド23を有し、その溝は挿入方向25に沿って配置され、互いに第2の(水平)方向26(
図2)にオフセットされている。バッテリーパック18のバッテリーハウジング19は2つの並列なL字型の レール27を有する。バッテリーハウジング19はそのレール27がガイド23の溝24に挿入され、ガイド23により画定された挿入方向25に沿って挿入される。ガイド23とバッテリーハウジング19は第3の(垂直)方向28に相互に係合している。バッテリーパック18はガイド23により挿入方向25に対して垂直方向26、28に、僅かな遊びを有して、若しくは遊びを有さずに、装着されるのが好ましい。
【0017】
マウント21は、ガイド23に対して直角方向に窪んだ複数の凹部を有し、バッテリーパック18のロックピン29が挿入されて螺合される(
図3)。ロックピン29はバネにより予め付勢され、バッテリーパック18がマウント21内に停止するまで挿入されると直ちにスナップする。ロックピン29はバッテリーパック18が挿入方向25に沿って移動しないようにロックする。ユーザは、押しボタン30を押してロックピン29のマウント21に対する係合を外し、バッテリーパック18を挿入方向25と逆方向にマウント21から取り外すことができる。ガイド23の構成は一例であり、マウント21がロックピン29を有するか、及び/又はマウント21がL字型の レール27を有しても良い。
【0018】
マウント21は、バッテリーパック18の相手方電気的接点32と接触する電気的接点31を有する。バッテリーパック18がガイド23にロックされると電気的に接触する。接点31は第2の方向26に沿って配置され、特に第3の方向に沿って同一の高さとなるように配置されることが好ましい。
【0019】
2つの電流導通用接点33と2つ以上の信号伝送接点34が設けられると都合がよい。電流導通用接点33は10アンペアを超える電流をハンマードリル1に供給するよう設計されている。接点31はハンマードリル1の機械的負荷を考慮して完全な金属で形成され、好ましくは、銅濃度の高い鉄を含む合金で形成される。信号伝送用接点34は10アンペア未満の電流を流すので低負荷用として設計されている。
【0020】
ハンマードリル1の電気的接点31は溝付ジャック(slotted jack)である。電気的接点31の対向するジョー(jaw)35は弾力性を有するよう設計されて良い。バッテリーパック18の相手方電気的接点32をジョー35の間に挿入すると、弾力性を有するジョー35が押圧されて離れ、相手方電気的接点32をクランプすることが好ましい。バッテリーパック18の相手方電気的接点32はブレード状に設計されて良い。スロット又はブレードは、第3の垂直方向28については平行に延在することが好ましくい。
【0021】
電気的接点31は絶縁性のコンタクトホルダー36内に挿入される(
図5)。電気的接点31は第2の方向26に沿って互いに並んでかつ離間して配置される。コンタクトホルダー36は、各電気的接点31用、特に電流導通用接点33用の分離された収容空間37を有する。電気的接点31は挿入方向25に沿って収容空間37内で移動可能であり、遊びは例えば、0.1ミリから0.3ミリの範囲である。電気的接点31はバネ荷重(spring loaded)ウイングを有して良く、当該ウイングは第2の方向26に突出し、当該ウイングにより電気的接点31は収容空間37の側壁に対して支持される。このような移動可能な構成により、電気的接点31はコンタクトホルダー36内で相互に移動可能である。収容空間37は挿入方向25と反対方向において前面38で開口している。バッテリーパック18の相手方電気的接点32は開口39を通り収容空間37内に挿入され、その中に配置された電気的接点31と接触する。
【0022】
電線(素線)40は各電気的接点31にクリンプ又はクランプされ、従って、電気的接点32にクランプされる(
図5)。電線40は、コンタクトホルダー36内で各ケース内のチャンネル41内に導かれる。図示された特定の実施例においては、端子片42がコンタクトホルダー36内に設けられる。各電線40の一端は電気的接点31の対応する1つに付着され、他端は端子片42に付着される。端子片42は、電線40をハンマードリル1内の配線から機械的に切り離す。これにより、特に、電線40を搭載する際に部分的にワイヤが捩れることによるねじり力の伝達が抑制される。ねじり力は、他方で、接点32を収容空間37の側壁に対してクランプさせ得る。電線40は編組線から形成される。編組線として編まれた電線40は、好ましくは、少なくともコンタクトホルダー36の内側2センチは絶縁プラスチックジャケットで覆われていない。編組線はねじり力により変形され、接点31から分離される可能性がある。熱収縮性チューブで絶縁された電線、又は撚線から成る電線は、たとえそれが極めて細いワイヤから成る場合でも、この目的のためには好ましく無いことが分かっている。
【0023】
ターミナルストリップ(端子片)42は、例えば、前面38の反対側のコンタクトホルダー36の端部に位置する。端子片42は、電気機械式結合片43を備えて良い。結合片43は電線40を、機械ハウジング17に導かれた他のケーブル44に接続する。結合片43は、例えば、電線40とケーブル44を固定するための2つのネジ45を有するラスタ端子である。結合片43はコンタクトホルダー36内に不動に挿入される。結合片43に代えて又は加えて、端子片42は、電線40をチャンネル41内に締付ける収縮部46を有して良い。
【0024】
コンタクトホルダー36は、機械ハウジング17に対して移動可能に取り付けられる。コンタクトホルダー36のサスペンション47は、コンタクトホルダー36の挿入方向25に沿って動くことを許容する。このため、サスペンション47は機械ハウジング17内に、例えば、縦長溝48を設け、その溝48の中でガイドレール49がコンタクトホルダー36に係合する(
図4)。コンタクトホルダー36の両側の止め具(ストッパー)50、53は、例えば、移動距離51、54を合計で2ミリから5ミリに制限する。1つ又は多数のバネ52、例えば、螺旋バネが挿入方向25と逆方向にコンタクトホルダー36に作用する。バッテリーパック18が挿入されていない間、バネ52は、コンタクトホルダー36を挿入方向25に、前面側の止め具50に対して押圧する。バネ52はプレテンション状態にある。バッテリーパック18が挿入されている間、バッテリーパック18はバネ52に抗して挿入方向25にコンタクトホルダー36に搭載される。移動距離51、54は、ロックピン29によりバッテリーパック18をロックしたとき、コンタクトホルダー36が依然として移動距離51、54の部分54において挿入方向25に止め具から離れているように決められる。
【0025】
コンタクトホルダー36は、マウント21内のバッテリーパック18とは違って、サスペンション47内で第2の方向26に沿っても僅かに移動可能である。この移動の幅は、第2の方向26に少なくとも1ミリであるのが好ましい。対向する一対の縦長溝48の長さは、ガイドレール49の領域において上記移動の幅だけコンタクトホルダー36の幅より大きい。
【0026】
更に、コンタクトホルダー36は、垂直方向の止め具の間で、第3の方向28に沿って自由に移動可能である。止め具間の自由に移動可能な距離55は0.5ミリから2ミリの範囲である。垂直止め具は、例えば、縦長溝48の壁で形成され、垂直方向の止め具間の幅は、ガイドレール49の厚さより垂直方向28の距離55だけ長い。
【0027】
それに代えて又はそれに加えて、移動可能なコンタクトホルダー36は、ハンドル8又は機械ハウジング17に取り付けられたブラケット56内に懸架されても良い。ブラケット56は、挿入方向25においてコンタクトホルダー36の後ろ側に位置する。コンタクトホルダー36は、挿入方向25に突出しブラケット56のジャク58内に挿入された、1つ以上のピン57を有する。ジャック58はピン57より幅及び高さが大きく、確実にコンタクトホルダー36が第2方向26及び第3方向28へ移動できるようにする。バネ52はブラケット56内に搭載され支持されて良い。ブラケット56は後面側の止め具を形成する。電線40又はケーブル44は、挿入方向25にほぼ平行にブラケット25に導かれる。
【0028】
コンタクトホルダー36は前面38にセンタリング59を有する。垂直に、即ち、第3の方向28に沿って、センタリング59はバッテリーパック18の相補型センタリングサポート60に係合する。バネ52はセンタリング59をセンタリングサポート60内に押しつ付け、バッテリーパック18に対して摩擦力による係合及び形状の噛み合わせによる嵌合状態で、前面38の相対的垂直位置に固定する。前面38及びマウント21は、引き続き機械ハウジング17及びハンマードリル1に対して移動可能である。前面38は、垂直な第3の方向28に沿って、機械ハウジング17に対して自由に移動可能な距離55だけ移動可能である。センタリング59は、バッテリーパック18に対してセンタリング59のみが当接するよう、挿入方向25に沿って寸法が決められている。コンタクトホルダー36の残りの領域は挿入方向25に沿って空いていて、接点31、32は互いに接しているか相互に挿入されている。
【0029】
一例として示されたセンタリング59は、前面38から突出したマンドレル(心棒)59を用いて実現される。マンドレル59はくさび型、ピラミッド型又は円錐型である。機械ハウジング17に向かうマンドレル59の上部面61は第3の方向28に対して傾斜している。上部面61は、第3の方向28に沿って、挿入方向25に対して機械ハウジング17から離れるように動く。上部面61に代えて又は加えて、機械ハウジング17から離れて対向する底面62が第3の方向28に対して傾斜して良い。底面62は、第3の方向28に沿って挿入方向25に対して機械ハウジング17の方向に上昇している。マンドレル59は、接点32の間で第2の方向に沿って位置しているのが好ましい。好ましい例では、マンドレル59は電流導通用接点33の収容空間37に直接隣接する。
【0030】
バッテリーパック18は、好ましくは、バッテリーハウジング19に不動に結合されたコンタクトキャリア63を有する。接触キャリア63は、例えば、プラスチックのような絶縁材から成る。相手方電気的接点32は、プラスチックに不動に埋め込まれている。相手方電気的接点32は、好ましくは、挿入方向25及び第3の方向28に平行な面に位置する、ブレードとして構成される。センタリングサポート60は、例えば、相手方電気的接点32の間に位置する。挿入方向25に向いたセンタリングサポート60の前面64は、マンドレル59と相補的な形状に設計されたノッチを有する。ノッチは好ましくは、プリズム形状であり、その断面は第2の方向に沿って一定である。センタリング59は、このように、第3の方向にのみ動作し第2の方向26に沿った動きに影響を及ぼさない。
【0031】
センタリング59及び電流導通用接点33又は相手方電気的接点32に直接隣接するセンタリングサポート60の配置は、コンタクトホルダー36及びコンタクトキャリア63用の硬い材料を用いても都合がよいことが判っており、電流導通用接点33と相手方電気的接点32の間での第3の方向に沿った相対移動を十分に抑制する。
【0032】
コンタクトホルダー36の前面38のセンタリング59はノッチとして構成しても良く、センタリングサポートはマンドレルとして構成して良い。センタリングは更に、ノッチとマンドレルの両方を有し得、センタリングサポートは対応する相補形を有し得る。
【0033】
電線40は波状のチャンネル41に挿入されて良い(
図7、
図8)。チャンネル41のサイズは、第2の方向において電線40の断面より少なくとも50%大きい。電線40は、端子片42と接点31の間に延びる。しかし、電線40の長さは、端子片42と接点31との距離より少なくとも10%大きい。電線40は、その方向が挿入方向25に沿って第2の方向26又は第3の方向28に多数回変化している。このようにして、接点のサブミリメータの動きに対して効果的制動が達成される。電線40のワイヤは組紐状としても良い。
【0034】
チッピングハンマー、釘やボルト用の鋲打機、セーバソーに加えて、ハンマードリル1は、動作中に強い振動に晒され、移動可能なコンタクトホルダー36を備える、バッテリー駆動型の手持ち機械工具の一例である。釘打機は、釘に衝撃を与えるストライカーとして、衝撃を発生するもので、その結果としてバッテリーパック及び機械ハウジングの相対移動が生じる。ソー、特に、セーバソーにおいては、振動はのこ刃により発生され機械工具に伝達される。