【文献】
Haining, C. G. et al.,The neuromuscular blocking properties of a series of bis-quaternary tropeines,British Journal of Pharmacology and Chemotherapy,1960年,15(1),pp. 71-81
【文献】
Urbansky, Marek et al.,Truxillic acid derivatives, neuromuscular blocking agents with very high affinity for the allosteric binding site of muscarinic acetylcholine receptors,Collection of Czechoslovak Chemical Communications,1999年,64(12),pp. 1980-1992
【文献】
Bowman, W. C.,Neuromuscular block,British Journal of Pharmacology,2006年,147(S1),pp. S277-S286
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チオール化合物が、L-システインもしくはその薬学的に許容される塩、D-システインもしくはその薬学的に許容される塩、またはグルタチオンもしくはその薬学的に許容される塩である、請求項16に記載の神経筋遮断物質。
前記神経筋遮断物質およびその拮抗物質が、薬学的に許容される液体担体と組み合わせて静脈内に投与され、かつ、前記説明書が、粉末または可溶性固体を薬学的に許容される液体担体と混合するための指示を含む、請求項30に記載のキット。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかにそうではないと示さないかぎり、複数の指示物を含む。
【0016】
本明細書において用いられる「約」なる用語は、数値または範囲に言及する場合、例えば、述べられた値または述べられた範囲の限界の10%以内、または5%以内の値または範囲の変動率を許容する。
【0017】
すべてのパーセント組成は、特に記載がないかぎり、重量パーセンテージで示す。
【0018】
「有効量」なる表現は、神経筋遮断の誘導またはその遮断の逆転を記載するために用いる場合、処置中の個体において所望の効果をもたらすのに有効な、本発明の化合物の量を意味し、これは主治医の知識および裁量に基づいて調節され、患者の体重などの重要な医学的因子を考慮に入れる。特に、「治療的有効量」とは、NMBまたはNMBの逆転の所望の治療的結果を達成するために、必要な用量および期間で、有効な量を意味する。治療的有効量は、本発明の化合物の任意の毒性または有害効果よりも治療的に有益な効果がまさる量でもある。
【0019】
「実質的に」とは、この用語が本明細書において用いられる場合、完全にまたはほぼ完全にを意味し;例えば、成分を「実施的に含まない」組成物は、成分を全く含まないか、もしくは組成物のいかなる関連する機能的特性も、その痕跡量の存在によって影響を受けないような痕跡量を含むか、または化合物が「実質的に純粋」であるとは、無視できる痕跡量の不純物しか存在しない。
【0020】
本明細書において用いられる、合成法の文脈における「提供するのに適した条件下」または「生じるのに十分な条件下」などの語句は、変更することは当業者の技術範囲内であり、反応生成物の有用な量または収率を提供する、時間、温度、溶媒、反応物濃度などの反応条件を意味する。所望の反応生成物を単離する、またはそうではなくさらに使用することができるとの条件で、所望の反応生成物が唯一の反応生成物である、または出発原料が完全に消費される必要はない。
【0021】
「化学的に可能な」とは、有機構造の一般に理解されている規則に反していない、結合配列または化合物を意味し;例えば、特定の状況で、自然では存在しない五価炭素原子を含む、特許請求の範囲の定義の範囲内の構造は、特許請求の範囲内ではないと理解されよう。本明細書において開示する構造は、それらの態様のすべてにおいて、「化学的に可能な」構造のみを含むことが意図され、例えば、可変の原子または基によって示す構造における、化学的に可能でない任意の列挙される構造は、本明細書において開示または特許請求されることが意図されない。
【0022】
置換基が、特定の同一性の1つの原子もしくは複数の原子、「または結合」であると明記される場合、立体配置は、置換基が「結合」である場合、特定の置換基に直接隣接する基は化学的に可能な結合配置において互いに直接連結されていることを意味する。
【0023】
特定の立体化学または異性体が具体的に示されないかぎり、構造のすべてのキラル体、ジアステレオ異性体、ラセミ体が意図される。いくつかの場合に、具体的に特許請求する化合物の中で個々の立体異性体を記載しているが、立体化学的命名は別の異性体が、より好ましくないこと、望まれないこと、または特許請求されないことを意味するものではない。本発明において用いる化合物は、描写から明白であるとおり、任意の、またはすべての不斉原子において、任意の濃縮度で濃縮された、または分割された光学異性体を含むことができる。ラセミ混合物およびジアステレオ異性体混合物の両方、ならびに個々の光学異性体は、それらの鏡像異性またはジアステレオ異性の相手を実質的に含まないように、単離または合成することができ、これらはすべて本発明の範囲内である。
【0024】
本明細書において用いられる「安定な化合物」および「安定な構造」なる用語は、反応混合物から有用な純度までの単離、および有効な治療薬への製剤化に耐えるのに十分強い化合物を示すことになる。安定な化合物だけが本明細書において企図される。
【0025】
基、例えば「アルキル」基が基における原子の数に対していかなる制限もなしに言及される場合、請求項はアルキル基のサイズに関して限定的で、定義および機能性の両方によって制限され;前者はすなわち、アルキル基などの基が有するサイズ(炭素原子の数)は有限の数で、宇宙の炭素原子の総数よりも少なく、基のサイズは分子実体に対して妥当であるとの当業者の理解によって制限され;かつ後者はすなわち、アルキル基などの基のサイズは、水性または有機性液体媒質中の溶解性などの、基を含む分子に基が与える機能的特性によって制限されることが理解される。したがって、「アルキル」または他の化学基もしくは部分を列挙する請求項は、基における原子の数は無限ではありえないため、限定的でありかつ制限される。
【0026】
「ハロ」または「ハロゲン」または「ハロゲン化物」なる用語は、それ自体または別の置換基の一部で、特に記載がないかぎり、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子、好ましくは、フッ素、塩素、または臭素を意味する。
【0027】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」なる用語はOH基を意味する。
【0028】
「アルコキシ」または「アルコキシル」なる用語は、上記で定義した、シクロアルキル基を含むアルキル基に連結された酸素原子を意味する。直鎖アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。分枝アルコキシの例には、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソペンチルオキシ、イソヘキシルオキシなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。例示的なアルコキシ基には、炭素原子1〜6個または2〜6個のアルコキシ基が含まれるが、それらに限定されるわけではなく、それぞれ本明細書においてC
1〜6アルコキシ、およびC
2〜6アルコキシと呼ぶ。例示的アルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0029】
アルコキシ基は、酸素原子に結合された1個から約12〜20個までの炭素原子を含むことができ、二重または三重結合をさらに含むことができ、ヘテロ原子も含むことができる。例えば、アリルオキシ基は本明細書における意味の範囲内のアルコキシ基である。構造の2つの隣接原子がそれで置換されている状況におけるメチレンジオキシ基と同様、メトキシエトキシ基も本明細書における意味の範囲内のアルコキシ基である。
【0030】
用語が本明細書において用いられる場合の「アシル」基は、基がカルボニル炭素原子を介して結合されている、カルボニル部分を含む基を意味する。カルボニル炭素原子は、アルキル、アリール、アラルキル シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル基などの一部でありうる、別の炭素原子にも結合している。カルボニル炭素原子が水素に結合している特別な場合には、基は「ホルミル」基で、用語が本明細書において定義されるアシル基である。アシル基は、カルボニル基に結合された0〜約12〜20個の追加の炭素原子を含むことができる。アシルアミンはアミドであり;アシル化ヒドロキシル基はエステルであり、他も同様である。
【0031】
当技術分野において周知の「塩」は、イオン型のカルボン酸、スルホン酸、またはアミンなどの有機化合物を対イオンとの組み合わせで含む。例えば、そのアニオン型での酸は、金属カチオン、例えば、ナトリウム、カリウムなどのカチオン;テトラメチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウム塩を含む、NH
4+もしくは様々なアミンのカチオンなどのアンモニウム塩、またはトリメチルスルホニウムなどの他のカチオンと塩を形成することができる。「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」塩は、塩化物塩またはナトリウム塩などの、ヒトでの消費が承認されており、一般に非毒性であるイオンから形成される塩である。「両性イオン」は、一方はアニオンを形成し、他方はカチオンを形成し、互いに平衡を保つのに役立つ、少なくとも2つのイオン化可能な基を有する分子内で形成されうるなどの、内部塩である。例えば、グリシンなどのアミノ酸は、両性イオン型で存在しうる。「両性イオン」は、本明細書における意味の範囲内の塩である。本発明の化合物は、塩の形を取ってもよい。「塩」なる用語は、本発明の化合物である遊離酸または遊離塩基の付加塩を含む。
【0032】
塩は「薬学的に許容される塩」でありうる。「薬学的に許容される塩」なる用語は、薬学的適用において有用性を提供する範囲内の毒性の側面を有する塩を意味する。薬学的に許容されない塩は、それにもかかわらず、例えば、本発明の化合物の合成、精製または製剤化の工程における有用性などの、本発明の実施における有用性を有する、高い結晶性などの特性を有することもある。「薬学的または薬理学的に許容される」は、適宜、動物またはヒトに投与した場合に、有害、アレルギーまたは他の不都合な反応を生じさせない、分子実体および組成物を含む。ヒトへの投与のために、調製物は、アメリカ食品医薬局生物製剤部(FDA Office of Biologics)の基準によって要求される無菌性、発熱原性、ならびに一般的な安全性および純度の基準を満たすべきである。
【0033】
適切な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸からまたは有機酸から調製してもよい。無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、およびリン酸が含まれる。適切な有機酸は、有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸およびスルホン酸クラスから選択してもよく、その例にはギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン鎖、p-トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸が含まれる。薬学的に許容されない酸付加塩の例には、例えば、過塩素酸塩およびテトラフルオロホウ酸塩が含まれる。
【0034】
加えて、本発明の特徴または局面がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者であれば、本発明はマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループに関してもそれによって記載されることを理解するであろう。例えば、Xが臭素、塩素、およびヨウ素からなる群より選択されると記載されるならば、Xが臭素であるとの請求項およびXが臭素および塩素であるとの請求項が完全に記載される。さらに、本発明の特徴または局面がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者であれば、本発明はマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループの任意の組み合わせに関してもそれによって記載されることを理解するであろう。したがって、例えば、Xが臭素、塩素、およびヨウ素からなる群より選択されると記載され、かつYがメチル、エチル、およびプロピルからなる群より選択されると記載されるならば、Xが臭素であり、かつYがメチルであるとの請求項が完全に記載される。
【0035】
必ず整数である変数の値、例えば、アルキル基における炭素原子の数または環上の置換基の数がある範囲、例えば0〜4で記載される場合、意味されるのは、値が両端を含む0〜4の間の任意の整数、すなわち、0、1、2、3、または4でありうるということである。
【0036】
様々な態様において、本発明の方法において用いられるものなどの化合物または化合物群は、上に挙げた態様の任意の組み合わせおよび/または下位の組み合わせの任意の1つでありうる。
【0037】
様々な態様において、任意の例において示す化合物、または例示的化合物の中の化合物を提供する。
【0038】
条件は、開示したカテゴリーまたは態様のいずれに適用してもよく、他の上記で開示した態様または種の任意の1つまたは複数はそのようなカテゴリーまたは態様から除外してもよい。
【0039】
本明細書に記載の化合物は、本明細書に含まれる教示および当技術分野において公知の合成手法に基づくいくつかの様式で調製することができる。以下に記載する手法を含む、すべての提唱する反応条件は、特に記載がないかぎり、その反応にとって基準の条件となるよう選択しうることが理解されるべきである。有機合成の当業者であれば、分子の様々な部分に存在する官能基は提唱する試薬および反応に適合しているべきであることが理解される。反応条件に適合していない置換基は当業者には明白であり、したがって、代替法が示される。例のための出発原料は市販されているか、または公知の材料から標準の方法によって容易に調製される。すべての市販の化学物質は、Aldrich、Alfa Aesare、Wako、Acros、Fisher、Fluka、Maybridgeなどから入手し、記載する場合を除いて、それ以上精製せずに使用した。乾燥溶媒は、例えば、活性化アルミナカラムを通過させることによって得る。
【0040】
本発明は、本発明の単離した化合物をさらに含む。「単離した化合物」なる表現は、単離した化合物が化合物の合成において用いた試薬、および/または生成した副生成物から分離されている、本発明の化合物、または本発明の化合物の混合物の調製物を意味する。「単離した」は、調製物が技術的に純粋(均一)であることを意味するものではないが、治療的に用いうる形に配合するのに十分純粋である。好ましくは、「単離した化合物」は、本発明の指定の化合物または化合物の混合物を、全重量の少なくとも10重量パーセントの量で含む、本発明の化合物または本発明の化合物の混合物の調製物を意味する。好ましくは、調製物は、指定の化合物または化合物の混合物を、調製物の全重量の少なくとも50重量パーセント;より好ましくは全重量の少なくとも80重量パーセント;および最も好ましくは全重量の少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも98重量パーセントの量で含む。
【0041】
本発明の化合物および中間体は、それらの反応混合物から単離し、ろ過、液-液抽出、固相抽出、蒸留、再結晶またはフラッシュカラムクロマトグラフィー、もしくはHPLCを含むクロマトグラフィーなどの、標準の技術によって精製してもよい。
【0042】
光学異性
本発明の化合物が1つまたは複数のキラル中心を含む場合、化合物は単一の実質的に純粋な鏡像異性体もしくはジアステレオ異性体またはラセミ混合物で存在してもよく、かつそのような形で単離してもよいことが理解されよう。したがって、本発明は、本発明の化合物の任意の可能な鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体またはそれらの混合物を含む。
【0043】
本発明の化合物、または本発明の方法を実施する際に用いる化合物は、1つまたは複数のキラル中心を含んでもよく、したがって、立体異性体で存在してもよい。本明細書において用いられる「立体異性体」なる用語は、すべての鏡像異性体またはジアステレオ異性体からなる。これらの化合物を、ステレオジェン炭素原子のまわりの置換基の立体配置に依存して、記号「(+)」、「(-)」、「R」または「S」で示してもよいが、当業者であれば、構造がキラル中心を暗に示しうることを理解するであろう。本発明は、これらの化合物およびそれらの混合物の様々な立体異性体を含む。鏡像異性体またはジアステレオ異性体の混合物は命名法において「(±)」と示してもよいが、当業者であれば、構造がキラル中心を暗に示しうることを理解するであろう。
【0044】
本開示の化合物は、1つまたは複数の二重結合を含んでもよく、したがって炭素-炭素二重結合のまわりの置換基の配置から生じる幾何異性体として存在してもよい。炭素-炭素二重結合のまわりの置換基は「Z」または「E」配置であると示され、「Z」および「E」なる用語はIUPACの基準に従って用いる。特に記載がないかぎり、二重結合を示す構造は「E」および「Z」異性体の両方を含む。炭素-炭素二重結合のまわりの置換基は代替的に「シス」または「トランス」と呼ぶこともでき、「シス」は二重結合の同じ側の置換基を意味し、「トランス」は二重結合の反対側の置換基を意味する。本発明のマレイン酸エステル化合物において、中心の二重結合は本明細書において記載し、特許請求する式(I)のR
1およびR
2基をシス配向で有する。本発明のフマル酸エステルおよびクロロフマル酸エステル化合物において、中心の二重結合はR
1およびR
2基をトランス配置で有する。
【0045】
本発明の化合物、または本発明の方法を実施する際に用いる化合物は、炭素環または複素環を含んでもよく、したがって、環のまわりの置換基の配置から生じる幾何異性体として存在してもよい。炭素環または複素環のまわりの置換基の配置は「Z」または「E」配置であると示され、「Z」および「E」なる用語はIUPACの基準に従って用いる。特に記載がないかぎり、炭素環または複素環を示す構造は「Z」および「E」異性体の両方を含む。炭素環または複素環のまわりの置換基は「シス」または「トランス」と呼んでもよく、「シス」なる用語は環の平面の同じ側の置換基を意味し、「トランス」なる用語は環の平面の反対側の置換基を意味する。置換基が環の平面の同じ側と反対側の両方に配置されている化合物の混合物は「シス/トランス混合物」と示す。例えば、式(IR)、または式(IS)の化合物において、基「T」および「W」は互いにシス配向である。式(I)の化合物において、基「T」および「W」は互いにシスまたはトランス配向でありうる。
【0046】
企図される化合物の個々の鏡像異性体およびジアステレオ異性体は、不斉もしくはステレオジェン中心を含む市販の出発原料から合成的に調製することができるか、またはラセミ混合物の調製とそれに続く当業者には周知の分割法により、調製することができる。これらの分割法は、(1)キラル補助物質への鏡像異性体の混合物の結合、得られたジアステレオ異性体の混合物の再結晶もしくはクロマトグラフィーによる分離、および光学的に純粋な生成物の補助物質からの遊離、(2)光学活性な分割剤を用いた塩の形成、(3)キラル液体クロマトグラフィーカラムでの光学鏡像異性体の混合物の直接分離、または(4)立体選択的化学もしくは酵素試薬を用いた速度論的分割によって例示される。ラセミ混合物は、キラル相液体クロマトグラフィーまたはキラル溶媒中での化合物の結晶化などの、周知の方法によって、それらの成分の鏡像異性体に分割することもできる。立体選択的合成、新しい立体中心の作製中または既存のものの変換中に単一の反応物が立体異性体の不等の混合物を生成する、化学的または酵素的反応は、当技術分野において周知である。立体選択的合成は、エナンチオおよびジアステレオ選択的変換の両方を含み、キラル補助物質の使用を含んでもよい。例えば、Carreira and Kvaerno, Classics in Stereoselective Synthesis, Wiley-VCH: Weinheim, 2009を参照されたい。
【0047】
キラル中心の存在から生じる異性体は、「鏡像異性体」と呼ばれる重ね合わせ不可能な異性体の対を含む。純粋な化合物の単一の鏡像異性体は光学活性であり、すなわち、それらは平面偏光の平面を回転させることができる。単一の鏡像異性体はカーン-インゴールド-プレローグシステムに従って表示する。置換基の優先順位は原子量に基づいて決められ、原子量が高いほど、系統的な手法によって決定されて、高い優先順位を有する。4つの基の優先順位が決定されれば、最低順位の基は観察者から離れた方向に向けられるように分子は配置される。次いで、他の基の降順が時計回りであれば、分子は(R)絶対配置を有すると表示され、他の基の降順が反時計回りであれば、分子は(S)絶対配置を有すると表示される。以下のスキームの例において、カーン-インゴールド-プレローグ順位はA>B>C>Dである。最低順位の原子Dは観察者から離れた方向に配置される。
【0048】
上に示すA〜Dの原子を有する炭素原子は「キラル」炭素原子として公知で、分子におけるそのような炭素原子の位置は「キラル中心」と呼ばれる。
【0049】
本発明は、ジアステレオ異性体と同様に、それらのラセミ体と、分割した、ジアステレオ異性体として、および鏡像異性体として純粋な形ならびにその塩を含むことが意図される。ジアステレオ異性体の対を、順相および逆相クロマトグラフィー、ならびに結晶化を含む、公知の分離技術によって分割してもよい。
【0050】
「単離した光学異性体」または「単離した鏡像異性体」とは、同じ式の対応する光学異性体から実質的に精製されている化合物を意味する。好ましくは、単離した異性体は、鏡像異性的に少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%純粋、さらにより好ましくは鏡像異性的に少なくとも98重量%純粋、最も好ましくは鏡像異性的に約99%重量%純粋である。「鏡像異性的純度」とは、化合物の光学異性体の鏡像異性体混合物中の主要な鏡像異性体のパーセントを意味する。純粋な単一の鏡像異性体は100%の鏡像異性的純度を有する。
【0051】
単離した光学異性体をラセミ混合物から、周知のキラル分離技術によって精製してもよい。1つのそのような方法に従って、本発明の化合物のラセミ混合物、またはそのキラル中間体を、カラムのDAICEL(登録商標) CHIRALPAK(登録商標)ファミリーのシリーズのメンバー(Daicel Chemical Industries, Ltd., Tokyo, Japan)などの、適切なキラルカラムを用いたHPLCにより、99重量%純粋な光学異性体に分離する。カラムは製造者の指示に従って操作する。
【0052】
別々の実質的に純粋な光学異性体を得る別の周知の方法は、伝統的な分割であり、これにより、プロトン化アミンまたはカルボキシラート基などのイオン化された官能基を含むキラルラセミ化合物は、反対にイオン化されたキラル非ラセミ添加物とジアステレオマー塩を形成する。得られたジアステレオマー塩は、次いで、溶解度差などの標準の物理的手段によって分離することができ、次いで、キラル非ラセミ添加物を除去するか、もしくは標準の化学的手段によって別の対イオンと交換してもよく、またはジアステレオマー塩を治療薬もしくは治療薬の前駆体として用いる塩として保持してもよい。
【0053】
概略
本発明の化合物は、それらが、クロロフマル酸、フマル酸、またはマレイン酸のビス四級ジエステルであり、四級基が全く異なり、それによって、高度不斉分子をもたらし、一方の四級部分が、ヒドロキシル、メトキシル、メチレンジオキシ、およびエチレンジオキシなどの酸素含有基で置換されていてもよいイソキノリニウム環系を含み、かつ他方の四級部分が、ヒドロキシル、メトキシル、メチレンジオキシ、およびエチレンジオキシなどの酸素含有基で置換されうるベンジル基に隣接して配置されているモルホリニウム系、ピペリジニウム系、ピペラジニウム系、またはピロリジニウム系を含むという点で、構造的に新規である。
【0054】
新規不斉ジエステル構造は、中心のオレフィンを有するフマル酸、クロロフマル酸またはマレイン酸に基づいており、かつ、作用持続時間、および、2つの四級部分を連結するクロロフマル酸、フマル酸、またはマレイン酸ジエステル基の二重結合と反応しうるシステインまたは他の硫黄含有分子などの化合物の患者への投与による患者の神経筋遮断の逆転可能性などの、独特の特性を化合物に付与することができる。理論に縛られたくはないが、システインなどのアミノ酸をビス四級ジエステルの反応性二重結合に付加することで、疎水性および神経筋遮断物質の排出を大幅に高めるために役立つ一方、受容体におけるその有効性を減少させると考えられる。
【0055】
本発明の神経筋遮断物質(NMBA)は、以下の個々の具体的な構造上の特徴を含みうる。
(1)持続時間が超短期または短期(サルにおけるED95用量で<10分または10〜15分)。
(2)持続時間が中期(サルにおいて15〜25分)。
(3)中心の二重結合へのシステインの攻撃、これにより不活性付加物が生じ、これは次いで自発的アルカリ性加水分解を起こして、やはり不活性で容易に水に溶解し、したがって容易に尿中に排出可能な断片となる。システインは有機触媒(酵素系)および肝臓または腎臓などの排出の臓器を必要としない化学反応で、活性分子を不活性分解生成物へと変換するため、この逆転の形はNMBAの間で独特である。その結果、システイン投与の2〜3分以内に正常な機能が戻る。
(4)インビボでの持続時間はインビトロでのシステイン攻撃の速度に相関する。
(5)循環反応の副作用の顕著な減少、これは特に混合イソキノリニウム/モルホリニウムジエステル化合物でヒスタミン放出が達成されることを示唆している。
(6)任意の時点で神経筋遮断の2〜3分以内の急速かつ完全な拮抗が、たとえ4-S×ED95の高用量のNMBAの後でも、DまたはL-システインのいずれかのi.v.投与によって達成されうる。
【0056】
本発明の化合物
様々な態様において、本発明は、式(I)の神経筋遮断物質を提供する。
式中、R
1およびR
2のそれぞれは、水素およびハロゲンからなる群より独立して選択され、かつR
1およびR
2は、2つの二重結合炭素原子に関してシス立体配置またはトランス立体配置で配置されることができ、R
1およびR
2がそれぞれ該2つの二重結合炭素原子に結合しており;
TはCH
2およびCH
3からなる群より選択され、ここでTがCH
3である場合、X
1〜X
5置換基を有するフェニル基は存在せず;
BはCH
2、O、NR、および直接一重結合からなる群より選択され、ここでRはH、(C
1〜6)アルキル、または(C
1〜6)アシルであり;
n1およびn2はそれぞれ独立して0、1、2、または3であり;
X
1、X
2、X
3、X
4、およびX
5のそれぞれは、それぞれの場合において独立して水素、ヒドロキシ、もしくはメトキシであるか、または任意の2つの隣接するX
1、X
2、X
3、X
4、もしくはX
5は一緒になってメチレンジオキシ基もしくはエチレンジオキシ基を形成し;Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、およびY
5のそれぞれは、それぞれの場合において独立して水素、ヒドロキシ、もしくはメトキシであるか、または任意の2つの隣接するY
1、Y
2、Y
3、Y
4、もしくはY
5は一緒になってメチレンジオキシ基もしくはエチレンジオキシ基を形成し;
Z
1、Z
2、Z
3、およびZ
4のそれぞれは、それぞれの場合において独立して水素、ヒドロキシ、もしくはメトキシであるか、または任意の2つの隣接するZ
1、Z
2、Z
3、もしくはZ
4は一緒になってメチレンジオキシ基もしくはエチレンジオキシ基を形成し;
Wは、メチル、および式:
のベンジル基からなる群より選択され、ここでA
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5のそれぞれは、それぞれの場合において独立して水素もしくはメトキシであるか、または任意の2つの隣接するA
1、A
2、A
3、A
4、もしくはA
5は一緒になってメチレンジオキシ基もしくはエチレンジオキシ基を形成し、かつ波線は結合点を示し;かつ
各
は、独立して選択された薬学的に許容されるアニオンである。
【0057】
式(I)のNMBAはその中核構造において、イソキノリニウム四級部分の互いに隣接して配置された2つのキラル中心、すなわち、基Tを有する炭素原子および基Wを有する四級化アンモニウムを有する。したがって、基Tおよび基Wはそれらを有するイソキノリニウム部分の環に対してシスまたはトランス配置で配置されうる。例えば、基Tおよび基Wはシス環構造に配置されうる、すなわち、環の同じ側に配置されうるが、基は基R
1およびR
2を有する不飽和ジエステル部分に連結する。
【0058】
基R
1およびR
2はそれぞれ、水素およびハロゲンからなる群より独立して選択され、かつ、それぞれR
1/R
2基を有する炭素原子の二重結合のまわりのR
1およびR
2の配置はシスまたはトランスでありうる。したがって、本発明は、マレイン酸エステル、ハロマレイン酸エステル、ジハロマレイン酸エステル、フマル酸エステル、ハロフマル酸エステル、およびジハロフマル酸エステルを含む、ビス四級ジエステルを提供する。ハロゲン化ジエステルの例はクロロフマル酸エステルビス四級ジエステルである。
【0059】
式(I)の2つのジアステレオ異性体のそれぞれはそれ自体2つの可能な鏡像異性体を有し;基Tおよび基Wが環シス配置にある(すなわち、基Tおよびエステル基に対するリンカーが環トランス配置にある)ジアステレオ異性体について、これらの2つの鏡像異性体を以下の式(IR)および(IS)で示す。(R)および(S)表示は、基Tを有する炭素原子の絶対配置に基づいて適用する。基Wを有するアンモニウム窒素原子の表示する絶対配置は、前述のCIP則における基Wの同一性に依存して変動しうるが、基Tを有する炭素原子で(R)絶対配置を有する式(IR)、および基Tを有する炭素原子で(S)絶対配置を有する式(IS)において、基WはTに対して環シス配置に配置され、その一方で、中心の不飽和ジエステル部分の連結鎖はTに対して環トランスである。
【0060】
したがって、本発明は、様々な態様において、式(IR)の、請求項1記載の神経筋遮断物質を提供する。
式中、R
1、R
2、n1、n2、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、W、B、
、およびTは、式(I)について上記で定義したとおりである。
【0061】
本発明は、式(IR)の鏡像異性体、すなわち、式(IS)の神経筋遮断物質も提供する。
式中、R
1、R
2、n1、n2、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、W、B、
、およびTは、式(I)について上記で定義したとおりである。
【0062】
式(I)、(IR)、および(IS)のすべてにおいて、ビス四級NMBAの2つの陽電荷は、単一の多荷電アニオン(例えば、硫酸イオン、リン酸イオン)によって構成されうる2つのアニオン電荷、または2つの単一荷電アニオン(例えば、塩素イオンなどのハロゲンイオン)によって平衡を保つ。各
は、前述の問題の組成物における独立して選択された薬学的に許容されるアニオンである。
【0063】
基X、Y、Z、または(任意で)Aを有する環のそれぞれは、上記で定義した置換環でありうる。例えば、様々な態様において、本発明は、X
1、X
2、X
3、X
4、もしくはX
5のうちの少なくとも1つが水素ではないか;またはY
1、Y
2、Y
3、Y
4、もしくはY
5のうちの少なくとも1つが水素ではないか;またはZ
1、Z
2、Z
3、もしくはZ
4のうちの少なくとも1つが水素ではないか;またはA
1、A
2、A
3、A
4、もしくはA
5のうちの少なくとも1つが水素ではないか;あるいはそれらの任意の組み合わせである、本発明の神経筋遮断物質を提供する。以下の具体例において見られるとおり、環は任意の利用可能な位置で置換されることができ、多くの場合、フェニル基の4位で置換され、または3,4位で二置換され、かつイソキノリニウム基の6,7位で二置換される。
【0064】
他の態様において、本発明は、X
2およびX
3が、いずれもメトキシである、または一緒になってメチレンジオキシもしくはエチレンジオキシを形成するか;あるいはY
2およびY
3がいずれもメトキシである、または一緒になってメチレンジオキシもしくはエチレンジオキシを形成するか;あるいはZ
2およびZ
3がいずれもメトキシである、または一緒になってメチレンジオキシもしくはエチレンジオキシを形成するか;あるいは、それらの任意の組み合わせである、本発明のNMBAを提供しうる。
【0065】
より具体的には、本発明は、TがCH
2であり、かつX
1〜X
5を有するフェニル環が存在する、本発明の神経筋遮断物質を提供しうる。本明細書において用いられる「本発明の化合物」なる用語は、本明細書において開示し、特許請求する、任意のその態様の式(I)の化合物、または例示的化合物を意味する。
【0066】
ベンジル基に隣接して配置されている、モルホリニウム(Bが酸素)系、ピペリジニウム(BがCH
2)系、ピペラジニウム(BがNR)系、またはピロリジニウム(Bが直接一重結合)系を含む、すなわち基Bを含む四級部分に関して、四級中心は、Y置換フェニル環を中心不飽和ジエステル基と連結している鎖に四級化窒素原子が存在することにより、永久に存在する。様々な態様において、Bは酸素原子(モルホリニウム系列)でありうる。他の態様において、Bは直接一重結合(ピロリジニウム系列)でありうる。
【0067】
2つの四級部分のそれぞれを結合している2つの連結鎖はそれぞれ、中心のクロロフマル酸、マレイン酸などとエステル結合を形成する少なくとも2つの炭素原子および1つの酸素原子を含む。各リンカーの炭素原子の1つは、すなわち、1つの四級部分におけるイソキノリニウム基の、および他の四級部分における基Bを含む環の、四級窒素原子に直接結合している。例えば、各変数n1およびn2が1に等しい場合、各リンカーは、それぞれの四級窒素原子をそれぞれのエステル酸素原子に連結している、3つの骨格炭素原子を含む。他の態様において、2、4、または5つの骨格原子が各リンカー基に含まれる。
【0068】
本発明は、様々な態様において、すなわち、R
1およびR
2基がシス配置に配置され、かつR
1およびR
2基がいずれも水素である場合、マレイン酸エステルを提供する。例えば、マレイン酸エステルを含む本発明のNMBAは、以下からなる群より選択されることができ、各
は、独立して選択された薬学的に許容されるアニオン、例えば塩素イオンである:
マレイン酸モルホリニウム
マレイン酸ピロリジニウム
。各構造に関連するインデックス番号はバッチ番号であり;すなわち、1つの化学構造は複数の同義のバッチ番号を有しうる。
【0069】
各
が、独立して選択された薬学的に許容されるアニオン、例えば塩素イオンである、式:
の神経筋遮断物質を含む、特に好ましい生物学的特性を有するマレイン酸エステルを提供し、以下により詳細に論じる。
【0070】
本発明は、様々な態様において、すなわち、R
1およびR
2基がトランス配置に配置され、かつ1つの態様においてR
1がクロロであり、R
2が水素である場合、クロロフマル酸エステルを提供する。R
1が水素であり、R
2がクロロである、クロロフマル酸エステルの異性体系列も提供されることが明白で、これらは例示的クロロフマル酸エステルについてと同じ置換パターンを有しうる。
【0071】
クロロフマル酸エステル:モルホリニウム
クロロフマル酸エステル:ピロリジニウム
式中、各
は、独立して選択された薬学的に許容されるアニオン、例えば、塩素イオンである。この場合もまた、関連する識別子はバッチ番号であり、1つの構造は識別子として割り当てられた複数の同義のバッチ番号を有しうる。
クロロフマル酸エステル:ピペリジニウム
【0072】
したがって、様々な態様において、本発明は、化合物の有効量を患者へ投与すると、化合物が神経筋遮断を生じさせる、NMBA化合物を提供する。以下にさらに論じるとおり、NMBAの有効量は、患者体重1kgあたり約0.01〜10mgでありうるか、または患者体重1kgあたり約0.1〜1mgでありうる。
【0073】
さらに、本発明は、様々な態様において、神経筋遮断が、患者へのチオール化合物の有効量の投与により逆転可能である、本発明のNMBA化合物を提供し;例えば、チオール化合物はL-システインもしくはその薬学的に許容される塩、D-システインもしくはその薬学的に許容される塩、またはグルタチオンもしくはその薬学的に許容される塩である。
【0074】
合成法
本発明の化合物は、特許請求の範囲の全域で、当業者であれば、以下に開示する手法を合成有機化学者の通常の知識と共に用いて調製することができる。本発明の化合物は中心の不飽和ジエステル部分、すなわち、マレイン酸エステル、フマル酸エステルなどのまわりで不斉であるため、本発明の化合物は段階的様式で容易に調製され、イソキノリニウム四級部分および環式モルホリニウム、ピペリジニウム、ピペラジニウム、またはピロリジニウム四級環を有する第二の四級部分を別々の段階で不飽和二酸にカップリングして生成物の本発明の不斉ビス四級ジエステル化合物を得る。
【0075】
WO2010/107488として公開された、本明細書における発明者らによるPCT/US2010/000796出願も参照され、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられ;例えば、多くの関連する中間体の調製法が開示されている47〜55ページを参照されたい。
【0076】
以下の略語を本文書の全体で用いる。
ACN アセトニトリル
DCE ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DI 脱イオン
DIPEA、
iPr
2EtN N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
eq 当量
Et
2O ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
h 時間
HCl 塩酸
LiHDMS ヘキサメチルジシラザンリチウム
mg ミリグラム
min 分
mL ミリリットル
μL マイクロリットル
mmole ミリモル
MS 質量分析
MeOH メタノール
MTBE メチルtert-ブチルエーテル
NMM N-メチルモルホリン
RT、rt 室温
sat. 飽和
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
〜 から(範囲、例えば、X〜Y=XからY)
【0077】
前駆体
WO2010/107488として公開された、本明細書における発明者らによるPCT/US2010/000796出願、47〜55ページは、「左側」の第一の四級部分(イソキノリニウム)前駆体の調製法を記載し、以下の手法は、「右側」(モルホリニウム、ピロリジニウムなど)の第二の四級部分のための試薬の調製法を記載する。
【0078】
化合物15
1,2-DCE(50mL)中の29(4.0g、0.020mol)および30(3.0mL、0.031mol)の溶液に、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(5.0g、0.022mol)を分割して3分かけて室温で加え、濁りを帯びた黄色混合物を5時間撹拌した。溶液にNaOH水溶液を加えて、相分離後の水相のpH≧10に到達させた。有機物を食塩水溶液で洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。得られた黄色液体を1,2-DCEに溶解し、1M HCl水溶液で抽出した。酸性の生成物水溶液を1,2-DCEで洗浄した。水溶液のpHを、1,2-DCE存在下、NaOH水溶液を用いて、≧10に調節した。塩基性の水相を1,2-DCEでさらに抽出した。合わせた有機物をNa
2SO
4で乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で除去して、31[4.3g、収率80%]を淡黄色液体で得た。
【0079】
ACN(20mL)中の31(4.3g、0.016mol)の撹拌溶液に、32(4.5g、0.032mol)を室温で一度に加えた。澄明淡黄色溶液を45±5℃で19時間加熱した。濁りを帯びた溶液を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去した。得られた油状物をACN(12mL)に室温で溶解し、1時間撹拌して、粘稠オフホワイトスラリーを得た。スラリーにMTBE(60mL)を加え、さらに2時間撹拌した。減圧ろ過によりオフホワイト固体を得、これをMTBEで洗浄し、減圧下、室温で終夜乾燥して、33[6.9g、風率106%、単離した固体はMTBE含有量について分析していない]をオフホワイト固体で得た。
【0080】
MeOH(65mL)中の33(6.5g、0.016mol)の濁りを帯びた黄色溶液に、H
2SO
4(0.069mL、0.0013mol)を加え、55±5℃で17時間加熱した。澄明黄色溶液を室温まで冷却し、MeOH洗浄したDowex 1×8-100樹脂(26g)のプラグを重力溶出により4回通過させた。樹脂をMeOHで順方向に洗浄した。生成物含有溶出物の溶媒を減圧下で除去し、MeOHを除去するための複数回の蒸留サイクルによって溶媒を1,2-DCEに交換し、白色スラリーを得た。スラリーを減圧ろ過にかけてオフホワイト固体を得、これを1,2-DCEで洗浄した。固体を35±5℃の減圧乾燥機内で乾燥して、15[3.9g、収率67%]を白色〜オフホワイト固体で得た。
【0081】
化合物19
化合物35[3.7g、収率90%]を、化合物31を調製するために用いた一般手法に従い、1,2-DCE(50mL)中の29(3.0g、0.015mol)、34(2.0mL、0.023mol)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(6.8g、0.031mol)から出発して、淡黄色油状物で単離した。
【0082】
ACN(25mL)中の35(3.7g、0.014mol)および32(3.8g、0.028mol)の澄明淡黄色溶液を40±5℃で49時間加熱した後、室温まで冷却した。得られた白色混合物を減圧ろ過にかけて白色固体を得、これをMTBEで洗浄した。固体を減圧下、室温で乾燥して、36[4.9g、収率88%]を白色固体で得た。
【0083】
化合物19[1.5g、収率47%]を、化合物15を調製するために用いた一般手法に従い、MeOH(50mL)中の36(4.9g、0.012mol)およびH
2SO
4(0.051mL、0.00096mol)から出発し、Dowex 1×8-100樹脂(20g)を用いて、オフホワイト固体で単離した。
【0084】
化合物20
化合物38[5.1g、定量的収率]を、化合物31を調製するために用いた一般手法に従い、1,2-DCE(50mL)中の29(4.0g、0.020mol)、37(2.5mL、0.031mol)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(5.0g、0.022mol)から出発して、赤色油状物で単離した。
【0085】
化合物39[8.9g、収率112%、単離した泡状物はMTBE含有量について分析していない]を、化合物33を調製するために用いた一般手法に従い、ACN(15mL)中の38(5.1g、0.020mol)および32(5.6g、0.041mol)から出発して、淡橙色泡状物で単離した。
【0086】
化合物20[5.4g、収率77%]を、化合物20を調製するために用いた一般手法に従い、MeOH(56mL)中の39(7.9g、0.020mol)およびH
2SO
4(0.087mL、0.0016mol)から出発し、Dowex 1×8-100樹脂(32g)を用いて、白色固体で単離した。
【0087】
化合物22
化合物41[6.0g、収率91%]を、化合物31を調製するために用いた一般手法に従い、1,2-DCE(60mL)中の40(5.0g、0.030mol)、37(3.8mL、0.045mol)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(7.0g、0.033mol)から出発して、橙色油状物で単離した。
【0088】
化合物42[8.8g、収率90%]を、化合物33を調製するために用いた一般手法に従い、ACN(18mL)中の41(6.0g、0.027mol)および32(8.2g、0.060mol)から出発して、淡黄色固体で単離した。
【0089】
化合物22[6.9g、収率89%]を、化合物20を調製するために用いた一般手法に従い、MeOH(88mL)中の42(8.8g、0.025mol)およびH
2SO
4(0.10mL、0.0020mol)から出発し、Dowex 1×8-100樹脂(35g)を用いて、淡黄色固体で単離した。
【0090】
化合物23
化合物44[4.0g、収率92%]を、化合物31を調製するために用いた一般手法に従い、1,2-DCE(50mL)中の43(3.0g、0.018mol)、34(2.4mL、0.027mol)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(8.2g、0.037mol)から出発して、淡黄色油状物で単離した。
【0091】
化合物45[5.7g、収率91%]を、化合物36を調製するために用いた一般手法に従い、ACN(16mL)中の44(4.0g、0.017mol)および32(4.7g、0.034mol)から出発して、オフホワイト固体で単離した。
【0092】
化合物23[4.2g、収率82%]を、化合物20を調製するために用いた一般手法に従い、MeOH(57mL)中の45(5.7g、0.015mol)およびH
2SO
4(0.065mL、0.0012mol)から出発し、Dowex 1×8-100樹脂(23g)を用いて、白色固体で単離した。
【0093】
化合物26
40(7.0g、0.042mol)、34(3.8mL、0.043mol)およびIPA(40mL)の撹拌橙色混合物を10〜15℃に冷却し、氷酢酸(4.9mL、0.086mol)と、続いて5-エチル-2-メチルピリジンボラン複合体(3.6mL、0.024mol)を加えて、澄明金色溶液を得、これを室温で24時間撹拌した。澄明金色溶液にIPA中の無水HClを加えて過剰のボラン試薬を失活させた。室温で25分間撹拌した後、減圧下で溶媒を除去して、黄色油状物を得、これをHCl水溶液およびDCMの混合物と共に撹拌した。水性生成物相をDCMで洗浄し、次いでDCM存在下、NaOH水溶液を用いて、水相のpH≧10に調節した。塩基性の水相をDCMでさらに抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、減圧ろ過にかけた。溶媒を減圧下で除去し、46[11.0g、収率110%、生成物はホウ素塩含有量について分析していない]を澄明な本質的に無色の液体で得た。
【0094】
化合物47[7.7g、収率81%]を、化合物33を調製するために用いた一般手法に従い、ACN(48mL)中の46(6.0g、0.025mol)および32(6.3g、0.046mol)から出発して、オフホワイト固体で単離した。
【0095】
MeOH(76mL)中の47(7.6g、0.020mol)の撹拌スラリーに、H
2SO
4(0.086mL、0.0016mol)を加え、55±5℃で20時間加熱した。澄明黄色溶液を室温まで冷却し、MeOH洗浄したDowex 1×8-100樹脂(30g)のプラグを重力溶出により4回通過させた。樹脂をMeOHで順方向に洗浄した。生成物含有溶出物の溶媒を減圧下で除去し、MeOHを除去するための複数回の蒸留サイクルによって溶媒を1,2-DCEおよびACNの混合物に交換し、白色混合物を得た。混合物を減圧ろ過にかけ、オフホワイト固体を1,2-DCEで洗浄した。固体を室温の減圧乾燥機内で乾燥して、26[5.2g、収率77%]を白色〜オフホワイト固体で得た。
【0096】
クロロフマル酸エステル:
モルホリニウム
以下に挙げる化合物の合成は、クロロフマル酸エステルなどのフマル酸エステルの調製法の代表であり、以下に示す。この手法に基づく他のフマル酸エステルおよびクロロフマル酸エステルの類似の調製法を、当業者であれば、試薬の選択および日常的な最適化を用いて、本発明のNMBA化合物のフマル酸エステル/クロロフマル酸エステル系列の他のメンバーを調製するために適合化させることができる。
【0097】
1521-74
1,2-DCE(60mL)中の16(4.0g、0.0089mol)の溶液に周囲温度(室温)で無水1,3-ジクロロコハク酸(3.9g、0.023mol)を加えた。溶液をN
2雰囲気下、室温で22時間撹拌した。反応混合物をDCM(40mL)およびACN(35mL)で希釈して澄明黄色溶液とし、これを撹拌MTBE(800mL)に40分かけて加えて、生成物スラリーを得た。減圧ろ過に続き、MTBEで洗浄し、減圧下、室温で16時間乾燥して、化合物17をオフホワイト固体[5.5g、収率99%]で単離した。
【0098】
ACN(49mL)中の17(5.5g、0.088mol)の溶液にトリエチルアミン(3.1mL、0.022mol)を0±5℃で6分かけて加えた。得られた黄橙色スラリーを0±5℃で3時間撹拌した。減圧ろ過により澄明淡黄色溶液を得、これを室温での減圧溶媒除去に供して、黄色泡状物を得た。泡状物をDCMに溶解し、脱イオン水で抽出した。水相のpHを、1M HCl水溶液を用いて≦2に調節し、NaCl(24重量%水溶液)存在下、DCM:ACN 4:1で抽出した。合わせた有機抽出物を室温での減圧溶媒除去に供して、黄色油状物を得た。油状物をDCM(1倍量)に溶解し、撹拌MTBE(10倍量)に室温で25分かけて加えた。スラリーを室温で>1時間撹拌し、減圧ろ過し、MTBEで洗浄し、減圧下、室温で16時間乾燥して、化合物18をオフホワイト固体で単離した[4.6g、収率89%]。
【0099】
無水1,2-DCE(70mL)中の18(1.5g、0.0026mol)の溶液に、塩化オキサリル(1.1mL、0.013mol)をN
2雰囲気下、0±5℃で6分かけて加えた。明るい黄色溶液を0±5℃で2時間撹拌した。溶液を室温での減圧溶媒除去に供して、黄色油状物を得た。油状物を、無水1,2-DCEを用いた室温での減圧溶媒蒸留サイクルにさらに2回供した。油状物を無水1,2-DCE(10mL)に溶解し、無水1,2-DCE(45mL)およびACN(20mL)の混合物中の化合物19(0.91g、0.0025mol)および4Åモレキュラーシーブ粉末(0.8g)の撹拌スラリーに室温で5分かけて加えた。淡黄色スラリーを室温で17時間撹拌し、減圧ろ過および室温での減圧溶媒除去に供して、暗黄色泡状物を得た。泡状物を1,2-DCEに溶解し、脱イオン水で抽出した。生成物水溶液にNaCl(27重量%水溶液)を加え、CHCl
3:ACN 5:1で抽出した。CHCl
3/ACN生成物溶液を食塩水:10%KHCO
3水溶液12:1および24%NaCl水溶液で洗浄した。水性洗液相をCHCl
3:ACN 5:1で逆抽出し、逆抽出相を生成物溶液と合わせ、Na
2SO
4で乾燥した。減圧ろ過および室温での減圧溶媒除去により暗黄色泡状物を得、これを脱イオン水に溶解した。水溶液を活性炭(400mg)と共に撹拌し、ろ過した。活性炭残渣を脱イオン水で順方向に洗浄した。生成物水溶液を凍結乾燥して、NMB 1566-22[1.4g、収率58%]をオフホワイト固体で得た。
【0100】
クロロフマル酸エステル:ピペリジニウム
1,2-DCE(60mL)およびACN(20mL)中の12(6.0g、0.012mol)の溶液に、室温(rt)で無水1,3-ジクロロコハク酸(5.7g、0.034mol)を加えた。溶液をN
2雰囲気下、室温で7時間撹拌した。反応溶液を撹拌MTBE(9倍量)に30分かけて加え、生成物スラリーを得た。減圧ろ過に続き、MTBEで洗浄し、減圧下、室温で16時間乾燥して、化合物13をオフホワイト固体[7.8g、定量的収率]で単離した。
【0101】
ACN(85mL)中の13(7.8g、0.012mol)の溶液に、トリエチルアミン(5.0mL、0.036mol)を0±5℃で10分かけて加えた。得られた淡赤色スラリーを0±5℃で1.5時間撹拌した。減圧ろ過により澄明暗桃色溶液を得、これを室温での減圧溶媒除去に供して、赤色油状物を得た。油状物をDCMに溶解し、脱イオン水で抽出した。水相のpHを、1M HCl水溶液を用いて≦2に調節し、NaCl(24重量%水溶液)存在下、DCM:ACN 4:1で抽出した。合わせた有機抽出物を室温での減圧溶媒除去に供し、黄色泡状物を得た。泡状物をDCM(1倍量)に溶解し、撹拌MTBE(12倍量)に室温で25分かけて加えた。スラリーを室温で>1時間撹拌し、減圧ろ過し、MTBEで洗浄し、減圧下、室温で18時間乾燥して、化合物14をオフホワイト固体[6.6g、収率90%]で単離した。
【0102】
無水1,2-DCE(25mL)中の14(0.8g、0.0013mol)の溶液に、塩化オキサリル(0.6mL、0.0065mol)をN
2雰囲気下、0±5℃で5分かけて加えた。明るい黄色溶液を0±5℃で1時間撹拌し、2時間かけて室温に戻した。溶液を室温での減圧溶媒除去に供し、黄色油状物を得た。油状物を、無水1,2-DCEを用いた室温での減圧溶媒蒸留サイクルにさらに2回供した。油状物を無水1,2-DCE(10mL)に溶解し、無水1,2-DCE(15mL)中の化合物15(0.45g、0.0012mol)および4Åモレキュラーシーブ粉末(0.3g)の撹拌スラリーに室温で5分かけて加えた。淡黄色スラリーを室温で15時間撹拌し、減圧ろ過にかけ、脱イオン水で抽出した。生成物水溶液にNaCl(24重量%水溶液)を加え、CHCl
3で抽出した。CHCl
3生成物溶液を食塩水:10%KHCO
3水溶液12:1、24%NaCl水溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。減圧ろ過および室温での減圧溶媒除去により淡黄色泡状物を得、これを脱イオン水に溶解した。水溶液を活性炭(260mg)と共に撹拌し、ろ過した。活性炭残渣を脱イオン水で順方向に洗浄した。生成物水溶液を凍結乾燥して、NMB 1343-05[0.74g、収率62%]をオフホワイト固体で得た。
【0103】
クロロフマル酸エステル:ピロリジニウム
1326-69の合成
1,2-DCE(60mL)中の12(6.0g、0.012mol)の溶液に、無水1,3-ジクロロコハク酸(5.5g、0.034mol)を周囲温度(室温)で加えた。溶液をN
2雰囲気下、室温で22時間撹拌した。反応混合物をDCM(1倍量)で希釈して濁りを帯びた溶液を得、これを撹拌MTBE(12倍量)に30分かけて加え、生成物スラリーを得た。減圧ろ過に続き、MTBEで洗浄し、減圧下、室温で16時間乾燥して、化合物13をオフホワイト固体[6.3g、収率78%]で単離した。
【0104】
ACN(57mL)中の13(6.3g、0.0097mol)の溶液に、トリエチルアミン(3.4mL、0.024mol)を0±5℃で11分かけて加えた。得られた淡赤色スラリーを0±5℃で3時間撹拌した。減圧ろ過により澄明赤色溶液を得、これを室温での減圧溶媒除去に供して、赤色油状物を得た。油状物をDCMに溶解し、脱イオン水で抽出した。水相のpHを、1M HCl水溶液を用いて≦2に調節し、NaCl(24重量%水溶液)存在下、DCM:ACN 5:1で抽出した。合わせた有機抽出物を室温での減圧溶媒除去に供し、黄色泡状物を得た。泡状物をDCM(1倍量)に溶解し、撹拌MTBE(10倍量)に室温で45分かけて加えた。スラリーを室温で>1時間撹拌し、減圧ろ過し、MTBEで洗浄し、減圧下、室温で17時間乾燥して、化合物14をオフホワイト固体[5.3g、収率89%]で単離した。
【0105】
無水1,2-DCE(30mL)中の14(1.6g、0.0026mol)の溶液に、塩化オキサリル(1.1mL、0.013mol)をN
2雰囲気下、0±5℃で5分かけて加えた。明るい黄色溶液を0±5℃で3時間撹拌した。溶液を室温での減圧溶媒除去に供し、黄色油状物を得た。油状物を、無水1,2-DCEを用いた室温での減圧溶媒蒸留サイクルにさらに2回供した。油状物を無水1,2-DCE(10mL)に溶解し、無水1,2-DCE(25mL)中の化合物20(0.84g、0.0024mol)および4Åモレキュラーシーブ粉末(0.4g)の撹拌スラリーに室温で8分かけて加えた。淡黄色スラリーを室温で16時間撹拌し、減圧ろ過にかけ、DCMで抽出し、脱イオン水で抽出した。生成物水溶液にNaCl(23重量%水溶液)を加え、CHCl
3で抽出した。CHCl
3生成物溶液を食塩水:10%KHCO
3水溶液15:1に続き24%NaCl水溶液で洗浄した。Na
2SO
4で乾燥した後、減圧ろ過および室温での減圧溶媒除去により、淡黄色泡状物を得、これを脱イオン水に溶解した。水溶液を活性炭(250mg)と共に撹拌し、ろ過した。活性炭残渣を脱イオン水で順方向に洗浄した。生成物水溶液を凍結乾燥して、NMB 1326-69[1.3g、収率55%]をオフホワイト固体で得た。
【0106】
マレイン酸エステル:モルホリニウム
以下に示す合成は、マレイン酸モルホリニウムの調製法の代表であり、以下に示す。以下の手法に基づく他のマレイン酸エステルの類似の調製法を、当業者であれば、試薬の選択および日常的な最適化を用いて、本発明のNMBA化合物のマレイン酸エステル系列の他のメンバーを調製するために適合化させることができる。
【0107】
1521-78の合成
1,2-DCE(40mL)およびACN(50mL)中の16(5.1g、0.011mol)および無水マレイン酸(1.7g、0.017mol)の溶液に、トリエチルアミン(1.7mL、0.012)を0±5℃で6分かけて加えた。濁りを帯びた橙色混合物を0±5℃で3時間撹拌した。得られた暗赤色混合物を室温での減圧溶媒除去に供して赤褐色油状物を得、これをDCMに溶解した。溶液を脱イオン水で抽出し、DCM相を保持し、生成物水溶液のpHを1M HCl水溶液を用いて≦2に調節した。水溶液をNaCl(24重量%NaCl水溶液)存在下、DCM:ACN 5:1で抽出した。DCM/ACN生成物溶液を食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。保持したDCM相を1%KHCO
3水溶液で抽出し、生成物水溶液のpHを1M HCl水溶液を用いて≦2に調節した。水溶液をNaCl(24重量%NaCl水溶液)存在下、DCM:ACN 5:1で抽出した。DCM/ACN生成物溶液を食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥中の最初のDCM/ACN生成物溶液と合わせた。生成物溶液をろ過し、室温での減圧溶媒除去に供し、褐色泡状物を得た。泡状物をDCM(1倍量)に溶解し、撹拌MTBE(10倍量)に室温で1時間かけて加えた。スラリーを室温で6時間撹拌した。減圧ろ過し、MTBEで洗浄し、減圧下、室温で16時間乾燥して、化合物21[5.0g、収率80%]をオフホワイト固体で単離した。
【0108】
無水1,2-DCE(20mL)中の21(0.6g、0.0011mol)の溶液に、塩化オキサリル(0.48mL、0.0055mol)をN
2雰囲気下、0±5℃で2分かけて加えた。明るい黄色溶液を0±5℃で1時間と、室温で1.5時間撹拌した。溶液を室温での減圧溶媒除去に供し、紫色油状物を得た。油状物を、無水1,2-DCEを用いた室温での減圧溶媒蒸留サイクルにさらに2回供した。
【0109】
油状物を無水1,2-DCE(8mL)に溶解し、無水1,2-DCE(15mL)およびACN(10mL)の混合物中の化合物23(0.35g、0.0011mol)および4Åモレキュラーシーブ粉末(0.2g)の撹拌スラリーに室温で6分かけて加えた。淡紫色スラリーを室温で17時間撹拌し、減圧ろ過および室温での減圧溶媒除去に供して、赤褐色泡状物を得た。泡状物を1,2-DCEに溶解し、脱イオン水で抽出した。生成物水溶液にNaCl(26重量%水溶液)を加え、CHCl
3:ACN 5:1で抽出した。CHCl
3/ACN生成物溶液を食塩水:10%KHCO
3水溶液12:1および24%NaCl水溶液で洗浄した。水性洗液相をCHCl
3:ACN 5:1で逆抽出し、逆抽出相を生成物溶液と合わせ、Na
2SO
4で乾燥した。減圧ろ過および室温での減圧溶媒除去により褐色泡状物を得、これを脱イオン水に溶解した。水溶液を活性炭(200mg)と共に撹拌し、ろ過した。活性炭残渣を脱イオン水で順方向に洗浄した。生成物水溶液を凍結乾燥して、NMB 1521-78[0.40g、収率42%]をオフホワイト固体で得た。
【0110】
合成
ACN(24mL)中の24(2.4g、0.0057mol)および無水マレイン酸(0.84g、0.0085mol)の溶液に、トリエチルアミン(0.87mL、0.0063)を0±5℃で2分かけて加えた。濁りを帯びた橙色混合物を0±5℃で5時間撹拌した。得られた暗赤色混合物を室温での減圧溶媒除去に供して赤褐色油状物を得、これをDCMに溶解した。溶液を脱イオン水で抽出し、生成物水溶液のpHを1M HCl水溶液を用いて≦2に調節した。水溶液をNaCl(24重量%NaCl水溶液)存在下、DCM:ACN 5:1で抽出した。DCM/ACN生成物溶液を食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。生成物溶液をろ過し、室温での減圧溶媒除去に供し、褐色泡状物を得た。泡状物をDCM(1倍量)に溶解し、撹拌MTBE(10倍量)に室温で1時間かけて加えた。スラリーを室温で6時間撹拌した。減圧ろ過し、MTBEで洗浄し、減圧下、室温で16時間乾燥して、化合物25[2.9g、収率95%]を淡褐色固体で単離した。
【0111】
無水1,2-DCE(40mL)中の25(1.3g、0.0025mol)の溶液に、塩化オキサリル(1.1mL、0.013mol)をN
2雰囲気下、0±5℃で3分かけて加えた。暗褐色溶液を0±5℃で2時間撹拌した。溶液を室温での減圧溶媒除去に供し、暗褐色油状物を得た。油状物を、無水1,2-DCEを用いた室温での減圧溶媒蒸留サイクルにさらに2回供した。油状物を無水1,2-DCE(8mL)に溶解し、無水1,2-DCE(35mL)およびACN(20mL)の混合物中の化合物26(0.82g、0.0025mol)および4Åモレキュラーシーブ粉末(0.3g)の撹拌スラリーに室温で4分かけて加えた。暗褐色スラリーを室温で20時間撹拌し、減圧ろ過および室温での減圧溶媒除去に供して、褐色泡状物を得た。泡状物を1,2-DCEに溶解し、脱イオン水で抽出した。生成物水溶液にNaCl(25重量%水溶液)を加え、ACN:DCM 4:1で抽出した。ACN/DCM生成物溶液を食塩水:10%KHCO
3水溶液10:1および食塩水で洗浄した。水性洗液相をACN:DCM 4:1で逆抽出し、逆抽出相を生成物溶液と合わせ、Na
2SO
4で乾燥した。減圧ろ過および室温での減圧溶媒除去により褐色泡状物を得、これを脱イオン水に溶解した。水溶液を活性炭(250mg)と共に撹拌し、ろ過した。活性炭残渣を脱イオン水で順方向に洗浄した。生成物水溶液を凍結乾燥して、NMB 1726-01[1.1g、収率53%]をオフホワイト固体で得た。
【0112】
ACN(24mL)中の24(2.4g、0.0057mol)および無水マレイン酸(0.84g、0.0085mol)の溶液に、トリエチルアミン(0.87mL、0.0063)を0±5℃で2分かけて加えた。濁りを帯びた橙色混合物を0±5℃で5時間撹拌した。得られた暗赤色混合物を室温での減圧溶媒除去に供して赤褐色油状物を得、これをDCMに溶解した。溶液を脱イオン水で抽出し、生成物水溶液のpHを1M HCl水溶液を用いて≦2に調節した。水溶液をNaCl(24重量%NaCl水溶液)存在下、DCM:ACN 5:1で抽出した。DCM:ACN生成物溶液を食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。生成物溶液をろ過し、室温での減圧溶媒除去に供し、褐色泡状物を得た。泡状物をDCM(1倍量)に溶解し、撹拌MTBE(10倍量)に室温で1時間かけて加えた。スラリーを室温で6時間撹拌した。減圧ろ過し、MTBEで洗浄し、減圧下、室温で16時間乾燥して、化合物25[2.9g、収率95%]を淡褐色固体で単離した。
【0113】
無水1,2-DCE(30mL)中の25(0.79g、0.0015mol)の溶液に、塩化オキサリル(0.66mL、0.0076mol)をN
2雰囲気下、0±5℃で2分かけて加えた。暗褐色溶液を0±5℃で3時間撹拌した。溶液を室温での減圧溶媒除去に供し、暗褐色油状物を得た。油状物を、無水1,2-DCEを用いた室温での減圧溶媒蒸留サイクルにさらに2回供した。油状物を無水1,2-DCE(8mL)に溶解し、無水1,2-DCE(10mL)およびACN(15mL)の混合物中の化合物19(0.54g、0.0015mol)および4Åモレキュラーシーブ粉末(0.3g)の撹拌スラリーに室温で3分かけて加えた。暗褐色スラリーを室温で16時間撹拌し、減圧ろ過にかけた。暗褐色溶液をDCMで希釈し、脱イオン水で抽出した。生成物水溶液にNaCl(25重量%水溶液)を加え、ACN:DCM 4:1で抽出した。ACN:DCM生成物溶液を食塩水:10%KHCO
3水溶液10:1および食塩水で洗浄した。水性洗液相をACN:DCM 4:1で逆抽出し、逆抽出相を生成物溶液と合わせ、Na
2SO
4で乾燥した。
【0114】
減圧ろ過および室温での減圧溶媒除去により褐色泡状物を得、これを脱イオン水に溶解した。水溶液を活性炭(120mg)と共に撹拌し、ろ過した。活性炭残渣を脱イオン水で順方向に洗浄した。生成物水溶液を凍結乾燥して、NMB 1759-58[0.37g、収率29%]をオフホワイト固体で得た。
【0115】
ACN(42mL)中の27(4.2gの27、0.010mol、0.14g 27/g溶液)および無水マレイン酸(1.5g、0.015mol)の1,2-DCE溶液に、トリエチルアミン(1.5mL、0.011)を0±5℃で2分かけて加えた。濁りを帯びた橙色混合物を0±5℃で6時間撹拌した。得られた暗赤色混合物を室温での減圧溶媒除去に供して赤褐色油状物を得、これをDCMに溶解した。溶液を脱イオン水:10%KHCO
3水溶液6:1で抽出し、生成物水溶液のpHを6M HCl水溶液を用いて≦2に調節した。水溶液をNaCl(24重量%NaCl水溶液)存在下、DCM:ACN 5:1で抽出した。DCM/ACN生成物溶液を食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。生成物溶液をろ過し、室温での減圧溶媒除去に供し、褐色泡状物を得た。泡状物をDCM(1倍量)に溶解し、撹拌MTBE(10倍量)に室温で1時間かけて加えた。スラリーを室温で1時間撹拌した。減圧ろ過し、MTBEで洗浄し、減圧下、室温で14時間乾燥して、化合物28[5.1g、収率98%]を淡褐色固体で単離した。
【0116】
無水1,2-DCE(40mL)中の28(1.5g、0.0029mol)の溶液に、塩化オキサリル(1.3mL、0.014mol)をN
2雰囲気下、0±5℃で3分かけて加えた。暗褐色溶液を0±5℃で3時間撹拌した。溶液を室温での減圧溶媒除去に供し、暗褐色油状物を得た。油状物を、無水1,2-DCEを用いた室温での減圧溶媒蒸留サイクルにさらに2回供した。油状物を無水1,2-DCE(8mL)に溶解し、無水1,2-DCE(5mL)およびACN(15mL)の混合物中の化合物26(0.94g、0.0028mol)および4Åモレキュラーシーブ粉末(0.3g)の撹拌スラリーに室温で4分かけて加えた。暗褐色スラリーを室温で16時間撹拌し、減圧ろ過にかけ、ACNで希釈した。暗褐色溶液を食塩水:10%KHCO
3水溶液10:1および食塩水で洗浄した。水性洗液相をACN:DCM 4:1で逆抽出し、逆抽出相を生成物溶液と合わせ、Na
2SO
4で乾燥した。減圧ろ過および室温での減圧溶媒除去により褐色泡状物を得、これを脱イオン水に溶解した。水溶液を活性炭(200mg)と共に撹拌し、ろ過した。活性炭残渣を脱イオン水で順方向に洗浄した。生成物水溶液を凍結乾燥して、NMB 1759-85[1.1g、収率46%]をオフホワイト固体で得た。
【0117】
マレイン酸エステル:ピロリジニウム
1,2-DCE(30mL)中の16(3.9g、0.0086mol)および無水マレイン酸(1.3g、0.013mol)の溶液に、トリエチルアミン(1.3mL、0.0095)を0±5℃で5分かけて加えた。濁りを帯びた橙色反応混合物を0±5℃で1時間と室温(rt)で1時間撹拌した。暗赤色混合物を室温での減圧溶媒除去に供して赤褐色油状物を得、これをDCMに溶解した。溶液を脱イオン水で抽出し、生成物水溶液のpHを1M HCl水溶液を用いて≦2に調節した。水溶液をNaCl(24重量%NaCl水溶液)存在下、DCM:ACN 5:1で抽出した。DCM/ACN生成物溶液を食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し、室温での減圧溶媒除去に供し、淡黄色油状物を得た。油状物をDCM(1倍量)に溶解し、撹拌MTBE(10倍量)に室温で25分かけて加えた。スラリーを室温で1時間撹拌した。減圧ろ過し、MTBEで洗浄し、減圧下、室温で16時間乾燥して、化合物21[3.3g、収率69%]をオフホワイト固体で単離した。
【0118】
無水1,2-DCE(50mL)中の21(2.8g、0.0050mol)の溶液に、塩化オキサリル(2.2mL、0.025mol)をN
2雰囲気下、0±5℃で3分かけて加えた。明るい黄色溶液を0±5℃で1時間と室温で2時間撹拌した。溶液を室温での減圧溶媒除去に供し、紫色油状物を得た。油状物を、無水1,2-DCEを用いた室温での減圧溶媒蒸留サイクルにさらに2回供した。油状物を無水1,2-DCE(12mL)に溶解し、無水1,2-DCE(50mL)中の化合物20(1.6g、0.0047mol)および4Åモレキュラーシーブ粉末(0.3g)の撹拌スラリーに室温で10分かけて加えた。淡紫色スラリーを室温で16時間撹拌し、減圧ろ過にかけ、DCMで希釈した。溶液を脱イオン水で抽出し、生成物水溶液にNaCl(26重量%水溶液)を加え、CHCl
3で抽出した。CHCl
3生成物溶液を食塩水:10%KHCO
3水溶液12:1、24%NaCl水溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。減圧ろ過および室温での減圧溶媒除去により暗褐色油状物を得た。油状物を脱イオン水に溶解し、水溶液を活性炭(500mg)と共に撹拌し、ろ過した。活性炭残渣を脱イオン水で順方向に洗浄した。生成物水溶液を凍結乾燥して、NMB 1343-47[2.1g、収率52%]をオフホワイト固体で得た。
【0119】
1,2-DCE(60mL)およびACN(80mL)中の16(8.0g、0.018mol)および無水マレイン酸(2.6g、0.027mol)の溶液に、トリエチルアミン(2.7mL、0.020)を0±5℃で5分かけて加えた。濁りを帯びた橙色反応混合物を0±5℃で1時間と室温(rt)で2時間撹拌した。暗赤色混合物を室温での減圧溶媒除去に供して赤色油状物を得、これをDCMに溶解した。溶液を脱イオン水で抽出し、生成物水溶液のpHを1M HCl水溶液を用いて≦2に調節した。水溶液をNaCl(24重量%NaCl水溶液)存在下、DCM:ACN 5:1で抽出した。DCM/ACN生成物溶液を食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し、室温での減圧溶媒除去に供し、淡黄色泡状物を得た。泡状物をDCM(1倍量)に溶解し、撹拌MTBE(10倍量)に室温で25分かけて加えた。スラリーを室温で1時間撹拌した。減圧ろ過し、MTBEで洗浄し、減圧下、室温で16時間乾燥して、化合物21[5.9g、収率60%]をオフホワイト固体で単離した。
【0120】
無水1,2-DCE(75mL)中の21(3.0g、0.0055mol)の溶液に、塩化オキサリル(2.4mL、0.027mol)をN
2雰囲気下、0±5℃で3分かけて加えた。明るい黄色溶液を0±5℃で1時間と室温で2時間撹拌した。溶液を室温での減圧溶媒除去に供し、紫色油状物を得た。油状物を、無水1,2-DCEを用いた室温での減圧溶媒蒸留サイクルにさらに2回供した。油状物を無水1,2-DCE(50mL)に溶解し、4Åモレキュラーシーブ粉末(0.5g)および化合物22(1.5g、0.0046mol)を室温で加えた。淡紫色スラリーを室温で15時間撹拌し、減圧ろ過にかけて澄明紫色溶液を得、これをDCMで希釈した。溶液を脱イオン水で抽出した。生成物水溶液にNaCl(23重量%水溶液)を加え、CHCl
3で抽出した。CHCl
3生成物溶液を食塩水:10%KHCO
3水溶液12:1および24%NaCl水溶液からなる水性洗浄サイクルに2回供した。生成物溶液をNa
2SO
4で乾燥し、ろ過し、室温での減圧溶媒除去に供して、暗橙色泡状物を得、これを脱イオン水に溶解した。水溶液を活性炭(400mg)と共に撹拌し、ろ過した。活性炭残渣を脱イオン水で順方向に洗浄した。生成物水溶液を凍結乾燥して、NMB 1390-80[2.6g、収率56%]をオフホワイト固体で得た。
【0122】
薬学的組成物および使用
本発明の化合物を、外科的麻酔における必要に応じて、患者で神経筋遮断を誘導するよう適合化させた様々な組成物において用いることができる。様々な態様において、本発明の化合物は、化合物の有効量を患者に投与した後、神経筋遮断を生じさせる。
【0123】
様々な態様において、適切な液剤で注射により投与した、本発明の化合物は、大手術における麻酔の補助剤として化合物が有効に使用されることを可能にするのに十分完全な神経筋遮断を生じさせる。様々な態様において、ヒト患者に投与するための本発明の化合物の有効量は、患者体重1kgあたり約0.01〜10mgである。より具体的には、様々な態様において、有効量は患者体重1kgあたり約0.1〜1mgである。化合物は、手術におけるこの手技のための周知の方法および器具を用い、麻酔科医または外科医の当業者には公知の様式で投与することができる。
【0124】
様々な態様において、本発明は、本発明の化合物および適切な生体適合性溶媒を含む組成物を提供する。適切な生体適合性溶媒中の化合物の注射液を含む組成物は、ヒト患者への非経口投与用に適合化させることができる。様々な態様において、適切な溶媒中の本発明の化合物の注射液は、注射液1用量あたり約1mg/mL〜約10mg/mLの化合物を含む。液剤はシリンジ、静脈内点滴、または当業者には周知の任意の技術によって、投与することができる。
【0125】
様々な態様において、適切な生体適合性溶媒は、無菌の発熱原を含まない水を含む。溶媒は、等張NaCl、または他の張性調節物質をさらに含むことができる。様々な態様において、適切な生体適合性溶媒は、アルコール、ポリエチレングリコール、DMSO、またはそれらの任意の混合物を含むことができ、これらはニートまたは水との混合物でありうる。
【0126】
本発明の化合物は、ある程度までは、アルカリ性媒質中での長期の保存には不安定であることが公知である。したがって、本発明の剤形を、安定化のために酸性pHに調節することができる。本発明の液体剤形の様々な態様において、液剤のpHは約2.5〜約3.5である。様々な態様において、剤形は、凍結耐性ラベルを有する、凍結に耐えうる容器に包装するなどの、凍結保存用に適合化させることができる。
【0127】
様々な態様において、本発明は、神経筋遮断効果が患者へのチオール化合物の有効量の投与によって逆転可能である、化合物を提供する。本発明の顕著な特徴は、L-システインもしくはその薬学的に許容される塩、D-システインもしくはその薬学的に許容される塩、あるいはグルタチオンもしくはその薬学的に許容される塩、またはグルタチオンの立体異性体もしくはその薬学的に許容される塩などのチオール化合物の、静脈内投与などによる患者への投与による、本発明の化合物のいくつかの神経筋遮断効果の容易な逆転可能性である。
【0128】
本明細書において論じるとおり、理論に縛られたくはないが、本発明者らは、本発明の化合物の様々な態様の神経筋遮断効果の、チオール化合物による不活化は、本発明のNMBA化合物とチオールとのインビボでの分子間反応を介して起こり、その間の反応生成物を生じさせると考えている。フマル酸エステル、およびマレイン酸エステルの化合物クラスのそれぞれは、この反応を起こしやすいと考えられ、フマル酸エステル(クロロフマル酸エステルを含む)およびマレイン酸エステルの神経筋遮断効果はシステイン(LまたはD)またはグルタチオンなどのチオール化合物の投与によって逆転可能であることが明らかにされている。
【0129】
様々な態様において、本発明は、患者において神経筋遮断を誘導する方法であって、患者に本発明の化合物の有効量を投与する段階を含む、方法を提供する。様々な態様において、有効量は、患者体重1kgあたり約0.01〜10mgである。より具体的には、有効量は患者体重1kgあたり約0.1〜1mgである。本発明の方法は、前述のとおり、手術中の患者の動きが危険かつ望ましくない場合に、多くのタイプの外科手技を実施するために望ましいことが周知の、麻酔の療法の一部として神経筋遮断を誘導する段階を含むことができる。
【0130】
様々な態様において、例えば、患者への前述の本発明の組成物の形での化合物の投与は、非脱分極性の神経筋遮断を生じさせる。様々な態様において、神経筋遮断は循環系効果がほとんどまたはまったくなしに達成される。
【0131】
本発明の化合物の様々な態様の顕著な特徴は、神経筋遮断が後にチオール化合物の投与によって逆転されうることである。本明細書の発明者らは、逆転はチオール化合物と本発明の化合物の反応性多重結合との反応によって起こると考えている。したがって、本発明のフマル酸エステルおよびマレイン酸エステルはチオール逆転可能効果を有する。
【0132】
神経筋遮断の逆転のために用いるチオール化合物は、L-システインもしくはその薬学的に許容される塩、D-システインもしくはその薬学的に許容される塩、あるいはグルタチオンもしくはその薬学的に許容される塩、またはグルタチオンの立体異性体もしくはその薬学的に許容される塩でありうる。
【0133】
様々な態様において、遮断は、神経筋遮断の誘導に続くチオール化合物の患者への投与後、約2〜5分以内に逆転可能である。遮断は自然呼吸における患者の横隔膜の活動を阻害しうることから、速やかな逆転は、機械的呼吸の必要な期間だけの使用を可能にするため、外科手技を行う際に有利でありうる。したがって、システイン(LまたはD)またはその塩などのチオール化合物は、式(I)の化合物が前に患者に投与されている外科手技の直後に、患者に投与することができる。例えば、手術後に神経筋遮断をただちに逆転させるために用いるチオール化合物は、システインまたはその塩を含むことができ、システインまたはその塩は、遊離塩基に基づき、約10mg/kg〜約50mg/kgの用量で投与する。より具体的には、システインまたはその塩はD-システイン塩酸塩でありうる。D-システイン塩の使用は、L-システイン塩の使用よりも、有害な副作用が少ないこともある。L-システイン、D-システイン、グルタチオン、またはグルタチオンの立体異性体の溶液は、神経筋遮断を逆転させるために患者に投与する前に、pH約5〜6に調節することができる。
【0134】
したがって、本発明は、神経筋遮断を生じさせるための本発明の化合物の使用を提供し、様々な態様において、遮断はチオール化合物の投与によって逆転可能である。
【0135】
様々な態様において、本発明は、適切な生体適合性溶媒中の化合物の注射液を含む、本発明の化合物の剤形を提供する。剤形は生体適合性溶媒中に約1mg/mL〜約10mg/mLの化合物を含むことができる。上記で論じたとおり、適切な生体適合性溶媒は、任意で等張NaClを含む、無菌の発熱原を含まない水を含むことができる。または、適切な生体適合性溶媒は、任意で水または等張NaCl溶液をさらに含む、アルコール、ポリエチレングリコール、DMSO、またはそれらの任意の混合物を含むことができる。様々な態様において、溶液のpHは、NMBAの経時的分解に対して剤形を安定化させるために、約2.5〜約3.5である。本発明の剤形は、凍結保存用に適合化させることができる。様々な態様において、溶液のpHは、患者への投与の前に、例えば、pH約5〜6に調節することができる。
【0136】
様々な態様において、本発明は、第一の容器に本発明の化合物、および任意で、第二の容器に患者に対する化合物の神経筋遮断効果を逆転させるのに適したチオール化合物を含む、キットを提供する。適切な製剤中のチオール化合物を含む第二の容器は、本発明の化合物がチオール逆転可能化合物を含む場合に供給されうる。第一の容器は上記で論じた任意の本発明の剤形を含むことができる。神経筋遮断逆転チオール化合物を含む第二の容器が提供される場合、キットの第二の容器はL-システイン塩酸塩、D-システイン塩酸塩、または両方の溶液を含むことができる。様々な態様において、溶液は保存のためにpH約2〜3に緩衝化することができる。様々な態様において、キットは、患者への投与の前に、第一の容器、第二の容器、または両方の溶液のpHを約5〜6に調節するための緩衝液を含む第三の容器をさらに含む。
【0137】
したがって、様々な態様において、本発明は、治療目的のために哺乳動物において神経筋遮断を誘導する方法であって、哺乳動物に本発明の神経筋遮断物質を投与する段階を含む、方法を提供する。前述のとおり、哺乳動物が、外科手技中のヒト患者のため、または手術中の家畜もしくは動物園の哺乳動物のためなどの、全身麻酔をかけられる場合、神経筋遮断は呼吸器挿管のために誘導されることができる。
【0138】
本発明のNMBA化合物の超短期、短期、および中期持続時間効果によって引き起こされた神経筋遮断の逆転可能性により、神経筋遮断は、L-システイン、D-システイン、もしくはそれらの混合物;N-アセチルシステイン;グルタチオン;ホモシステイン;メチオニン;S-アデノシル-メチオニン;またはペニシラミン;あるいはそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つの有効量を患者に投与することによって逆転することができ;神経筋遮断は本発明のNMBA化合物の1つによって生じる。例えば、薬学的に許容される液体担体中のD-システインまたはその薬学的に許容される塩は静脈内に投与されることができる。逆転物質、例えば、D-システインの単一用量を、約0.1mg/kg〜約500mg/kgの用量で投与することができる。
【0139】
本発明の化合物を用いて、より速やかな自然回復ならびにDまたはL-システインによる任意の時点での即時拮抗を特徴とする、麻酔中および手術中のならびに救急医療における筋弛緩を提供することができる。化合物は、明らかなヒスタミン放出による循環系副作用が少ない。
【0140】
本発明の神経筋遮断組成物の治療的有効量は、対象における麻酔中および手術中のならびに救急医療における筋弛緩を提供するのに十分である。活性成分の用量は、使用の理由および個々の対象に依存して変動しうる。用量は対象の体重、対象の年齢および健康、ならびに化合物または組成物に対する耐容性に基づいて調節してもよい。成人(150ポンドまたは70kg)の神経筋遮断を得るのに適切な用量は約0.1mg〜約500mg、またはいくつかの態様において約1mg〜約500mg、または他の態様において約0.5mg〜約150mg、またはさらなる態様において約3.5mg〜約50mgである。したがって、ヒトに投与するための適切な薬学的非経口製剤は、好ましくは、溶液中に0.1〜50mg/mlの1つまたは複数の本発明の化合物または多用量バイアルのためにその複数を含む。
【0141】
本発明の神経筋遮断化合物の拮抗物質の治療的有効量は、本発明の神経筋遮断物質の哺乳動物への投与によって引き起こされる神経筋遮断に拮抗するのに十分である。活性成分の用量は、使用の理由および個々の対象に依存して変動しうる。用量は対象の体重、対象の年齢および健康、ならびに化合物または組成物に対する耐容性に基づいて調節してもよい。成人(約150ポンドまたは70kgの平均体重)の神経筋遮断に拮抗するのに適切な、システインまたはシステイン様分子の用量は、約5mg〜約10,000mg、または約50mg〜約2000mg、または約150〜約750mgである。したがって、ヒトに投与するための適切な薬学的非経口製剤は、好ましくは、溶液中に0.1〜2000mg/mlのシステインもしくはシステイン様分子、またはシステインおよびシステイン様分子の組み合わせあるいは多用量バイアルのためにその複数を含む。または、一般に、神経筋遮断の逆転のためのヒトにおけるシステイン用量は約10〜100mg/kgまたは約30〜50mg/kgである。したがって、注射するシステインの典型的用量および体積はおそらくシステイン約1000〜10000mgまたは約2000〜5000mgの範囲(70〜100kgの体重に基づき)である。したがって、約5ml〜約50mlまたは約10ml〜約25mlの好都合な体積中にシステインのこれらの量を提供するための組成物および方法が開発されている。そのような組成物を、例えば、約2秒〜約60秒、または約5秒〜約10秒の時間で単一のボーラス静脈内注射として、速やかに投与することができる。本明細書に記載の液剤は、神経筋遮断を速やかに逆転させるための、投与後にシステインの適切なインビボ濃度が達成されるように、システイン約100〜300mg/mlまたは約180〜250mg/mlのシステインの濃度を有する。
【0142】
本発明は、対象における麻酔中および手術中のならびに救急医療における筋弛緩を提供する方法であって、対象の神経筋遮断化合物の治療的有効量および薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を対象に投与する段階による、方法も提供する。賦形剤は、滅菌等張食塩水などの生体適合性溶媒でありえ、組成物は患者への非経口投与のために適切でありうる。本発明は、本発明の神経筋遮断物質の哺乳動物への投与によって引き起こされる神経筋遮断に拮抗する治療的方法であって、本明細書に記載の神経筋遮断拮抗物質の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、治療的方法も提供する。
【0143】
本発明の別の局面は、本発明の神経筋遮断物質の哺乳動物への投与によって引き起こされる神経筋遮断に拮抗する治療的方法であって、神経筋遮断拮抗物質の有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、治療的方法である。神経筋遮断拮抗物質の例には、L-システイン、D-システイン、もしくはそれらの混合物を含みうるシステイン、グルタチオン、N-アセチルシステイン、ホモシステイン、メチオニン、S-アデノシルメチオニン、ペニシラミン、関連するシステイン類縁体、それらの組み合わせ、またはそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。いくつかの態様において、拮抗物質はシステインである。他の態様において、拮抗物質はグルタチオンと組み合わせたシステインである。他の態様において、拮抗物質は任意の他の拮抗物質と組み合わせたシステインまたはグルタチオンである。
【0144】
システインは、本明細書に記載の化合物によって誘導される神経筋遮断に速やかに拮抗することが明らかにされている。これらの作用物質の1つによって生じた神経筋遮断の逆転を達成するために、システインを静脈内注射によって投与する。しかし、水溶液(例えば、0.9%食塩水)中50mg/mlまたはそれ以上の濃度のシステイン塩酸塩溶液の自然pHは非常に低く、約pH0.8〜約pH1.0の範囲である。さらに、システインはその塩基型で50mg/mlよりも高い濃度では可溶性ではないが、神経筋遮断の逆転のためにより高濃度のシステインがより都合よく投与される。例えば、5〜10秒の時間での50mlよりも大きい体積のボーラス投与は、一般には手術室では好都合ではない。したがって、患者に投与するために、本明細書に記載するとおり、より高濃度およびより高いpH値を有するシステイン液剤が開発されている。
【0145】
一般に、診療において神経筋遮断逆転物質として用いるためのシステイン溶液は、以下の一般的特性のいくつかまたはすべてを有する:
(1)約150〜300mg/ml(または150〜250mg/ml)のシステインを含む生理的溶液;
(2)静脈刺激および/もしくは外傷を防止するための4.0〜5.0の溶液のpH;ならびに/または
(3)不活性かつ不溶性の、システイン二量体であるシスチンの生成を防止するための抗酸化添加剤。
【0146】
本発明に従って、これらの特性を有するシステイン溶液は、手術室のシナリオにおけるボーラス注射のために安定、非刺激性、かつ適切である。
【0147】
システインのL-異性体もしくはD-異性体のいずれかを本明細書において提供するシステイン溶液において用いることができるか、またはL-システインおよびD-システインの組み合わせ、例えば、ラセミ体を用いることもできる。L-システインは内因性に生成され、主に特異的なアミノ酸輸送体を介して血液脳関門を通過する。したがって、L-システインは高用量(例えば、100mg/kgまたはそれ以上)の投与後に中枢神経刺激に貢献しうる。対照的に、システインのD-異性体は通常は体内で実質的な量では見られず、グルタチオン合成などのL-システインに関与する代謝過程の基質ではない。加えて、D-システインは、L-異性体特異的なアミノ酸輸送体の主な基質でもない。本明細書において例示するとおり、D-システインは神経筋遮断物質による神経筋遮断を有効に逆転させることができる。さらに、100mg/kgで、D-システインはL-システインに比べて平均動脈圧の上昇をあまり誘発せず、中枢神経系にあまり入らない可能性と一致する。
【0148】
選択されたNMBA化合物を、WO2010/107488として公開された、本明細書における発明者らによるPCT/US2010/000796出願に記載のとおりに試験し、これは参照により本明細書に組み入れられ、66〜78ページを参照されたい。試験化合物による単収縮遮断の用量反応曲線を記載のとおりに作成した。これらのデータに対する累積/残存する影響を確実に最小限にするために、漸増様式で逐次投与を行った。連続投与は、前回投与の、これらのサルで正常である110〜120%のTOFまでの完全回復後、推定半減期の少なくとも3倍の間隔をあけた。任意の単一の実験から5〜99%遮断を示す最初の1回または2回の投与だけを、用量反応データの計算に含めた。自然回復と拮抗/逆転の比較試験を、用量反応試験後、推定半減期の少なくとも3倍の時点で行った。ED50およびED95を、対数用量と単収縮の遮断パーセンテージのlogitの回帰から計算した。結果を表1に示す。
【0149】
明らかであるとおり、表1に報告する13個の化合物について、すべてが高い有効性(0.05〜0.25mg/kgの実際の用量)および短い作用期間(特定の化合物に依存して、約12分〜5分未満)を示した。
【0150】
図1は、化合物1759-50(化合物1726-01としても公知):
についての、アカゲザルにおける用量反応試験からのデータを示すグラフである。統計分析により0.054±0.0022mg/kgのED95値を示す。比較のために、ガンタクリウムは対照試験で0.063±0.0021mg/kgのED95を有すると判定された。
【0151】
図2は、同じ化合物の0.06mg/kg用量についての、自然回復の時間経過を示す。見られるとおり、神経筋遮断は約6分続き、血圧には明らかな効果はなく、スクシニルコリンとは対照的に、心拍数にも明らかな効果はない。したがって、頻脈の有害副作用は、本発明の化合物のNMBを誘導するのに有効な用量では誘導されない。
【0152】
図3は、自然逆転と30mg/kgのL-システイン塩酸塩を用いた逆転とを比較して、4×ED95用量の化合物1759-50によって誘導した神経筋遮断の単収縮反応時間経過を示す。この高用量での自然逆転には約11分必要であったが、L-システインは投与後約2分で神経筋遮断を停止した。
【0153】
図4は、化合物1759-50によって誘導された100%の神経筋遮断の単収縮反応時間経過を示す。見られるとおり、システイン誘導性の逆転は約2分以内に起こるのに比べて、遮断の自然逆転は10分を超える。
【0154】
図5は、アカゲザルにおける、5〜95%単収縮回復間隔と化合物1759-50の注入時間との関係の比較を示す。見られるとおり、自然のまたはL-システイン誘導性の回復までの平均時間は、NMBAによる前回の注入時間によって有意に影響を受けることはない。
【0155】
これらのデータは、ボーラスまたは注入いずれかの化合物1759-50によって誘導される神経筋遮断からの回復が用量または注入時間によって影響されず、30mg/kgのL-システインによる逆転がボーラスまたは注入投与後の任意の時点で等しく有効であることを示す。
【0156】
(表1)
すべての化合物は、四級#1(左側)についてはイソキノリニウムである。
【0157】
表2は、化合物1759-50による神経筋遮断からの自然回復およびL-システイン(30mg/kg)誘導性回復の全持続時間および5〜95%回復間隔を示すデータを示す。
【0158】
(表2)ボーラス投与および注入の後のサルにおける、L-システインおよび自然回復によるCW1759-50の逆転
*ボーラス投与後の注射から95%単収縮高さまで。
**L-システイン用量30mg/kg。
***4×ED95(0.2mg/kg)のボーラス投与後+1分でL-システインを与えた場合の比較回復期間(自然逆転対L-システイン逆転)。
****注入中止後+1分でL-システインを投与した場合の比較回復期間(自然逆転とL-システイン逆転)。
a 自然回復に対してp<0.01。
b 4×ED95の逆転と注入の逆転のp>0.05。
【0159】
(表3)化合物1759-50とガンタクリウムの比較
【0160】
遮断%、発現までの時間、および効果の全持続時間に関して、化合物1759-50の有効性はガンタクリウムに匹敵する。
【0161】
麻酔したアカゲザルにおける試験
動物の調製および管理
実験は、試験を行ったWeill Medical College of Cornell University(New York, New York)およびAlbany Medical College(Albany, New York)の施設の動物の管理と使用委員会によって承認された。体重8〜18kgの成獣雄サル(アカゲザル)10匹のコロニーを約6週間隔で試験した。Guide for Care and Use of Laboratory Animals(National Research Council, Washington, DC)に従って動物を収容して、世話をした。動物に、果物および野菜、ならびに他の目新しい食料を多く含む、標準のOld Worldサル用飼料を与え、試験期間中を通して身体検査、体重、および臨床検査(全血球数、血液尿窒素およびクレアチニン、ならびに肝機能試験)により正常な健康を立証するために追跡した。
【0162】
麻酔および実験準備
各試験の日に、サルにケタミン(7〜10mg/kg i.m.)を投与し、続いて4%リドカインによる局所麻酔下で気管挿管を行った。換気をイソフルラン(1.0〜2.0%)およびN
2O/O
2(2:1混合物)により10mL/kgおよび呼吸数20回/分で制御した。乳酸リンゲル液を約10ml kg
-1 h
-1で投与した。動脈圧を大腿表在脛骨動脈、または橈骨動脈(22ゲージ)カニューラからモニターした。心拍数を動脈波からタコグラフにより測定した。核心温度を加温ブランケットにより36.5〜38.0℃に維持した。心電図およびパルスオキシメトリを継続的にモニターした。
【0163】
Grass S-88刺激装置(Grass Instruments, Quincy, MA)製の、最大上電圧で0.2ミリ秒の方形波パルスを伝達する針電極(25ゲージ)を、膝の腓骨神経に設置して、0.15Hzで足の指伸筋の単収縮反応を誘発した。腱の小切片(10〜20%)を無菌技術下で切除し、Grass FT 10力変換器(Grass Instruments, Quincy, MA)に基準線張力50gmで結合した。4連刺激(TOF、2Hzで2秒)を適切な点、特にNMBA投与前1〜2分、および単収縮の基準線の95%までの回復後に挿入し、TOFを後に1〜2分ごとに評価した。
【0164】
循環系および神経筋データの記録はGrass 7Bポリグラフ(Grass Instruments)で行った。投与前の記録の安定化のために15〜20分の基準線期間をおいた
2。
【0165】
各実験の終了時に、動物を覚醒させ、獣医の診療により鎮痛薬を投与し、動物をその居所に戻し、立つまで観察した。
【0166】
神経筋遮断有効性および持続時間の測定
構造をすべて上記に示した、ガンタクリウム、CW 002、CW 011、シサトラクリウム、CW002-Cys、NB 938-69、NB 1064-81、NB 802-17(CW 001)、NB 832-65、およびNB 1163-79による単収縮遮断の用量反応曲線を以下のとおりに作成した。これらのデータに対する累積/残存する影響を確実に最小限にするために、漸増様式で逐次投与を行った。連続投与は、前回投与の、これらのサルで正常である110〜120%のTOFまでの完全回復後、推定半減期の少なくとも3倍の間隔をあけた。任意の単一の実験から5〜99%遮断を示す最初の1回または2回の投与だけを、用量反応データの計算に含めた。
【0167】
自然回復と拮抗/逆転の比較試験を、用量反応試験後、推定半減期の少なくとも3倍の時点で行った。
【0168】
ED50およびED95を、対数用量と単収縮の遮断パーセンテージのlogitの回帰から計算した。
【0169】
システインによる神経筋遮断の逆転
定義
ED95: 単収縮の95%遮断に必要な用量算出値
TOF 4連反応比、2Hzで2秒の刺激後のT4/T1
作用持続時間: 注射から単収縮が対照高さの95%に回復するまでの持続時間
5〜95%回復時間: 単収縮高さの5%〜95%まで単収縮が回復する時間間隔
伝統的逆転または拮抗: 単収縮高さの2%での遮断の拮抗
即時逆転または拮抗: 2〜6×ED95用量のNMB注射後1分の遮断の拮抗
全逆転または完全逆転または完全拮抗: 単収縮の対照高さの95パーセントまたはそれ以上までの回復、およびTOFの100%またはそれ以上の値までの回復
化学的回復: 酵素触媒を必要としない純粋な化学反応において、活性神経筋遮断薬を不活性誘導体に変換することによる神経筋遮断の消滅
システインの完全有効用量:
5分以内またはそれ未満で、神経筋機能を正常に復旧する、すなわち、単収縮>95%およびTOF 100%またはそれ以上とするのに必要とされる用量
【0170】
本発明を、当業者がそれを作製し、使用するのに十分詳細に記載し、例示してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、様々な代替物、改変、および改善が明らかであると考えられる。
【0171】
本明細書において言及するすべての特許および出版物は、それぞれ個別の出版物を具体的かつ個別にその全体が参照により本明細書に組み入れられると示したのと同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【0172】
用いた用語および表現は、説明の用語として用いており、限定のためのものではなく、そのような用語および表現の使用において、示し、記載する特徴の任意の等価物またはその一部の除外を意図しないが、特許請求する本発明の範囲内で、様々な改変が可能であることが理解される。したがって、本発明を好ましい態様および任意の特徴によって具体的に開示してきたが、本明細書において開示する概念の改変および変更が当業者によって行われてもよく、またそのような改変および変更は添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0173】
以下の記載において、本明細書の一部をなす添付の図面を参照し、その中で例示のために実施しうる具体的態様を示す。これらの態様を、当業者が本発明を実施しうるように詳細に記載しており、本発明の範囲から逸脱することなく、他の態様を使用し得ること、および論理的変化を行いうることが理解されるべきである。例示的態様の以下の記載は、したがって、限定的な意味にとられるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0174】
要約は、読者が技術的開示の性質および要点を速やかに確認しうるように、米国特許法施行規則1.72条(b)項に準拠するように提供する。要約は、それが特許請求の範囲および意味を解釈または限定するために用いられることはないと理解の上で提出している。