(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236079
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】3種の活性成分を含有する新規な時差放出医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 9/52 20060101AFI20171113BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20171113BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20171113BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20171113BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20171113BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20171113BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20171113BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20171113BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20171113BHJP
A61K 31/4422 20060101ALI20171113BHJP
A61K 31/549 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
A61K9/52
A61K47/38
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/36
A61K47/34
A61K47/26
A61P9/12
A61K31/4178
A61K31/4422
A61K31/549
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-524212(P2015-524212)
(86)(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公表番号】特表2015-522655(P2015-522655A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】MX2013000092
(87)【国際公開番号】WO2014017897
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2016年7月22日
(31)【優先権主張番号】MX/A/2012/008541
(32)【優先日】2012年7月23日
(33)【優先権主張国】MX
(73)【特許権者】
【識別番号】514304463
【氏名又は名称】ランドシュタイナー サイエンティフィック エッセ アー デ シー ヴイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】アガピト ペラルタ ダリオ
(72)【発明者】
【氏名】マルチネス レイエス ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】レイエス モレノ カルロス アルベルト
【審査官】
上條 肇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−209123(JP,A)
【文献】
特表2007−524644(JP,A)
【文献】
特表平09−510709(JP,A)
【文献】
特表2010−508266(JP,A)
【文献】
特表2010−505943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00 − 9/72
A61K 31/00 − 31/80
A61K 47/00 − 47/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロクロロチアジド、ベシル酸アムロジピン、ロサルタンカリウム、担体または基体、即時放出水溶性コーティング組成物、持続放出水溶性コーティング組成物および水溶性全体コーティング組成物を含むことを特徴とする新規な時差放出医薬組成物であって、
前記即時放出水溶性コーティング組成物が、pHにかかわらず水溶性であり、活性成分の即時崩壊および急速放出を可能にし;前記即時放出水溶性コーティング組成物が、該即時放出水溶性コーティング組成物の総質量の%として表して、約52%〜55%のポリビニルアルコール、約30%のタルク、約14%と約16%の間の量のポリエチレングリコールおよび約3%のポリソルベート80を含む、前記組成物。
【請求項2】
ヒドロクロロチアジド、ベシル酸アムロジピン、ロサルタンカリウム、担体または基体、即時放出水溶性コーティング組成物、持続放出水溶性コーティング組成物および水溶性全体コーティング組成物を含むことを特徴とする新規な時差放出医薬組成物であって、
前記持続放出コーティング組成物が、フィルムを構成しており且つ可塑剤および安定剤特性を有し、
前記持続放出コーティング組成物が、第1組成物と第2組成物を含むものであり、前記第1組成物が、該第1組成物の総質量の%として表して、約60%〜62%のエチルセルロース、約17%のオレイン酸、約14〜16%の水酸化アンモニウムおよび約6%〜7%のヒドロキシプロピルセルロースを含み、前記第2組成物が、請求項1に記載の即時放出組成物であり;且つ、前記第1組成物対第2組成物の質量比が9:1である、前記組成物。
【請求項3】
ヒドロクロロチアジド、ベシル酸アムロジピン、ロサルタンカリウム、担体または基体、即時放出水溶性コーティング組成物、持続放出水溶性コーティング組成物および水溶性全体コーティング組成物を含むことを特徴とする新規な時差放出医薬組成物であって、
前記全体コーティング組成物が、当該全体コーティング組成物の総質量の%として表して、約40%のポリビニルアルコール、約20%〜22%のポリエチレングリコール、約18%〜20%の二酸化チタン、約14%〜16%のタルクおよび約5%〜約7%の製薬上許容し得る顔料を含む、前記組成物。
【請求項4】
ヒドロクロロチアジド、ベシル酸アムロジピン、ロサルタンカリウム、担体または基体、即時放出水溶性コーティング組成物、持続放出水溶性コーティング組成物および水溶性全体コーティング組成物を含むことを特徴とする新規な時差放出医薬組成物であって、
約5質量%〜20質量%のロサルタンカリウム、約0.5質量%〜3質量%のベシル酸アムロジピン、1質量%〜4質量%のヒドロクロロチアジド、約55質量%〜65質量%のセルロース球体または砂糖澱粉タイプの担体または基体、約2%〜4%の即時放出水溶性第1コーティング、約7%〜9%の持続放出水溶性第2コーティング、約2%〜4%の即時放出水溶性第3コーティング、約4%〜6%の第4即時放出水溶性コーティング、および約6%〜8%の即時溶解水溶性層を含む、前記組成物。
【請求項5】
分配用の硬質ゼラチンカプセル内に注入されているペレットまたはミクロスフィア形状を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
下記の段階を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物の製造方法:
A. 砂糖・澱粉球体の担体または基体を、流動床装置内で、第1コーティングの分散液で60℃と70℃の間の温度にてコーティングする段階;
B. ヒドロクロロチアジドを45℃と55℃の間の入口温度で添加し、十分に混和するまで撹拌する段階;
C. 第2コーティングの分散液を添加する段階;
D. 55℃と65℃の間の空気入口温度で混合する段階;
E. 第3コーティングを混入し、混和した時点で、ベシル酸アムロジピンを50℃と60℃の間の入口温度で添加する段階;
F. 第4コーティングを一定の撹拌下に混入し、混和した時点で、ロサルタンカリウムを50℃と60℃の間の温度で添加する段階;
G. 第5コーティングを、完全に均一になるまで、50℃と60℃の間の温度で添加する段階。
【請求項7】
前記コーティングを別個に調製する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
ペレットを取得し、当該ペレットを硬質のゼラチンカプセル中にカプセル化する、請求項6記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、心臓病の治療において有用な薬物の制御且つ時差放出医薬組成物の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
薬物併用は、それらの薬物を単一剤形において併用投与し、従って、関連する各薬物の個々の投与を排除し得る可能性に関して一定の利点を提供する。
AHのような症状を管理するために併用薬を使用する、特に、ロサルタンをアムロジピンと併用する幾つかの提案が、MULTILAYER PHARMACEUTICAL COMPOSITION COMPRISING TELMISARTAN AND AMLODIPINE (WO/2012/055941号);COMBINED PREPARATION FOR THE TREATMENT OF CARDIOVASCULAR DISEASES BASED ON CHRONOTHERAPY THEORY (MXMX/a/2009/003489号);PHARMACEUTICAL COMPOSITION COMPRISING AMLODIPINE AND LOSARTAN (MXMX/a/2008/016099号)に記載されているように、現在展開されている。
【0003】
しかしながら、これらの組成物は、ロサルタンのアムロジピンとの併用に直接触れており、腎臓保護薬としてのヒドロクロロチアジドの混入には触れていない。
ロサルタンまたはロサルタンカリウムは、動脈性高血圧;利尿剤またはジギタリス剤と併用しての心不全(但し、ジギタリス剤は心不全の治療において使用されるのは次第に少なくなっている);タンパク尿および高血圧を伴うII型糖尿病患者の腎疾患(抗高血圧治療の一部として)の治療に適応するアンギオテンシン−II受容体拮抗薬である。
【0004】
アムロジピン(即ち、STADA社が製造しているアムロジピン)は、ジヒドロピリジン群に属する薬物であり(ジヒドロピリジン参照)、抗高血圧剤としての医薬および狭心症の治療において使用する長期作用性カルシウムチャンネル遮断薬として作用する。他のカルシウム阻害薬と同様に、アムロジピンは、動脈壁の平滑筋を弛緩させることによって作用し、従って、末梢抵抗を低下させ、ひいては動脈圧を降下させる。狭心症においては、その作用は、心筋への血流を低下させる。
【0005】
アムロジピンは、動脈高血圧の治療および狭心症の予防に適応している。
アムロジピンは、心不全患者において使用し得る;総死亡率の上昇は、アムロジピンの使用によるこれらの症例においては認められていない
1。アムロジピンは、左室重量を改善する傾向を有する;但し、一般的に、アムロジピンは、第1選択薬が動脈圧に対してもはや所望の降下を有さないときに抗高血圧薬と併用する治療において使用する
2。
【0006】
アムロジピンの副作用には、下記がある:
高頻度に:末梢浮腫、筋肉痛、胃痛および頭痛;消化不良、吐き気;およそ100人に1人。
たまに:めまい、どうき、男子における乳房発育(女性化乳房)、勃起障害、うつ病、不眠症および頻脈;1,000人に1人。
まれに:とっぴな行動、肝炎、黄疸;10.000人に1人。
極めてまれに:高血糖症、振戦;100,000人に1人。
【0007】
HCT、HCTZまたはHZTとも略称するヒドロクロロチアジドは、チアジド群に属する第1選択利尿薬である。ヒドロクロロチアジドは、水分を保持する腎臓の能力を阻害することによって作用し、それによって尿量を増大させる。このことは、血液量を低下させて、血液の心臓への戻りを、ひいては心拍出量を減少させる。さらに、他のメカニズムよって、末梢血管抵抗を低下させるとみなされている。ヒドロクロロチアジドは、ジェネリック医薬として販売されており、幾つかの商品名を有する。ヒドロクロロチアジドの適切な投与量は、患者に応じて変動し得る。ヒドロクロロチアジドは、一般に、動脈高血圧;うっ血性心不全;心不全、腎不全および肝不全によって生ずる浮腫;腎性尿崩症;尿細管性アシドーシス;腎臓結石の予防および特発性高カルシウム尿症において使用する。
【0008】
上記に基づけば、動脈高血圧の治療において異なる作用メカニズムを有する2つの有用な薬物を有する(即ち、ロサルタンカリウムがアンギオテンシン−II受容体拮抗薬として作用する一方で、アムロジピンはカルシウムチャンネル遮断薬である)ことは、2つの薬物が同じ受容体または作用部位と拮抗しないことから重要である。
【0009】
アムロジピンのようなカルシウムチャンネル拮抗薬は、反射活性化を神経系およびRAASの双方において誘発する強力な血管拡張剤であり、アンギオテンシン−II値の上昇(アンギオテンシン−IIに対する応答を、アンギオテンシン−IIの作用に必要なカルシウム流入を遮断することによって低下させることによる)、並びにアンギオテンシン−II受容体拮抗薬抗高血圧作用を増進させる負のナトリウム平衡が存在することを意味する。共通の標的受容体による作用メカニズムを有さないこと以外に、上記の効果は、それら拮抗薬の治療作用、即ち、血圧低下作用において反映されている。さらにまた、浮腫がアムロジピンの投与中にしばしば発症する;この場合、利尿剤が腎機能を保護する役割を果たす。
【0010】
明らかに、動脈高血圧の治療において異なる作用メカニズムを有する2種以上の有用な薬物(相乗効果を有するロサルタンカリウムとアムロジピンに加えてのアムロジピンに関連する問題を回避する利尿剤)を遂次(sequential)または時差(differential)放出のいずれかによって提供する医薬を有することは、活性成分の各々の投与を別々に且つ1回または2回の時間間隔で実施する単一成分医薬と比較して極めて有利であろう。さらに、単回投与は、治療の順守を担保する上記3種の薬物の治療効果を達成することを必要とする。
【0011】
ロサルタンをヒドロクロロチアジドと併用した薬物は、現在存在している;しかしながら、アムロジピン/ロサルタン/ヒドロクロロチアジドの組合せを記載している特許文献は、公開されていない。
メキシコ出願第2008/16532号は、アムロジピン/ヒドロクロロチアジドの組合せを記載している;一方、メキシコ特許第198140号は、ロサルタン/ヒドロクロロチアジドを含有する組成物を開示している。
【0012】
“SOLID PHARMACEUTICAL COMPOSITION COMPRISING AMLODIPINE AND LOSARTAN”と題するMX/a/2011/006008号は、活性成分としてのアムロジピンおよびロサルタンと、澱粉グリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびクロスポビドンからなる群から選ばれる少なくとも2種の成分の混合物である崩壊剤とを含み、高くて安定なレベルのアムロジピンおよびロサルタン溶解速度を示す心臓血管疾患の予防または治療用固形医薬組成物を記載している。“SOLID PHARMACEUTICAL COMPOSITION COMPRISING AMLODIPINE AND LOSARTAN AND PROCESS FOR PRODUCING SAME”と題するMX/a/2011/006009号は、アムロジピンまたはその許容し得る製薬用の塩を含み、低pH条件においてさえもの高アムロジピンおよびロサルタン溶解速度および改善された保存安定性を示す心臓血管疾患の予防または治療用医薬組成物に言及している。“SOLID PHARMACEUTICAL COMPOSITION COMPRISING AMLODIPINE AND LOSARTAN WITH IMPROVED STABILITY”と題するMX/a/2011/006061号は、互いに別々の粒状形のアムロジピンおよびロサルタンと安定剤とを含み、アムロジピンとロサルタン間の最低限化された相互作用故に改善された保存安定性を有する心臓血管疾患の予防または治療用固型医薬組成物を開示している。そして、“SOLID DOSAGE FORMS OF VALSARTAN, AMLODIPINE AND HYDROCHLOROTHIAZIDE AND METHOD OF MAKING THE SAME“と題するMX/a/2008/016532号は、バルサルタン、アムロジピンおよびヒドロクロロチアジドの単分子層、二分子層および三分子層の固形剤形の併用薬の調製を記載している。
理解し得るように、上記の各文献は、本出願の以下で説明する組成物対象物を如何なる形でも予測していない。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、3種の薬物の治療効果を達成するための単回投与を必要とする医薬品を提供することである。
第2の目的は、カプセルまたは小袋内に入れることのできる多粒子生成物を提供することである。
第3の目的は、患者に、上記医薬の1日1回の単回投与の快適性を、ヒドロクロロチアジドの遂次放出故に、上記投与を就寝前に行って上記利尿剤が翌朝作用するようにする利点でもって提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、3種の活性成分を併用し、少なくとも1種が時差放出による生成物の製造方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、患者に、一方での高血圧の即時治療および他方でのアムロジピン特有の生じ得る副作用(浮腫)の低減によって安全且つ信頼感を与える医薬品提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の組成物対象物の溶解プロフィールを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の明細
ロサルタンナトリウムは、約2時間の極めて短い半減期を有する;しかしながら、ロサルタンナトリウムは、およそ10〜40倍強力な活性代謝物を有し、その半減期は、6〜9時間であって、2者間に何らの干渉もなく上記利尿薬の作用を可能にするのに十分である。さらにまた、治療効果のスケジューリングは薬物吸収部位に関連し、従って、活性成分間の効果を関連付けして治療効果を向上させる。
【0017】
本発明の時差または遂次併用薬の投与期間は、各薬物の持続および遂次放出固形剤形によって達成される。
三重薬物ペレット形の本発明の組成物の投与は、ロサルタンおよびアムロジピンの遂次放出並びにその後のヒドロクロロチアジドの放出を可能にする腸溶性バリアによって制御するが、2成分薬物錠剤の場合はそうではない。
【0018】
ロサルタンとアムロジピンの遂次放出は、重ね合わせた血圧上昇効果を相乗的にし得る;さらに、上記併用薬は、利尿剤、即ち、ヒドロクロロチアジドを含有し、この薬物は、この薬物が上記医薬の投与後の4時間辺りで投与される(
図1のチャーとに基づく)故に、血圧低下作用を着実に改善するナトリウム再吸収チャンネルの形成を増進する。この効果は、三重の機能を有する:先ず血圧低下作用を増進させ、次にアムロジピンの投与に由来し得る末梢浮腫を回避し、さらに、三番目として、ロサルタンとアムロジピンの生体内変化を助長して2つの薬物の副作用の発生を回避する。さらにまた、この医薬を夜中に投与した場合、ヒドロクロロチアジドの利尿効果は翌朝発生するであろう。
【0019】
上記の説明に関するサポートは、Fogari R, Zoppi A, Derosa G, Mugellini A, Lazzari P, Rinaldi A, et al. Effect of valsartan addition to amlodipine on ankle oedema and subcutaneous tissue pressure in hypertensive patients. J Hum Hypertens. 2007;21:22O−4;Messerli FH. Vasodilatory edema: a common side effect of antihypertensive therapy. Curr Cardiol Reports. 2OO2;4:479−82;およびCalhoun DA, Lacourciere T, Chiang YT, Glazer RD. Triple antihypertensive therapy with amlodipine, valsartan and hydrochlorothiazide: a randomized clinical trialにおいて見出し得る。
【0020】
本発明の組成物対象物は、ヒドロクロロチアジド、ベシル酸アムロジピン、ロサルタンカリウム、担体または基体、即時放出水溶性コーティング組成物、持続放出水溶性組成物および水溶性全体コーティング組成物を含む。上記組成物は、硬質ゼラチンカプセル内に包装したペレットまたはミクロスフィアの形で調製する。
【0021】
上記即時放出コーティングの組成物は、pHにかかわらず水溶性であり、活性成分の即時崩壊および急速放出を可能にする。上記組成物は、上記組成物の総質量の%として表して、約52%〜55%のポリビニルアルコール、約305のタルク、約14%と約16%の間の量のポリエチレングリコールおよび約3%のポリソルベート80を含む。
【0022】
上記持続放出組成物は、フィルムを構成し、可塑剤および安定剤特性を有する。該組成物は、該組成物の総質量の%として表して、約60%〜62%のエチルセルロース、約17%のオレイン酸、約14〜16%の水酸化アンモニウムおよび約6%〜7%のヒドロキシプロピルセルロースを含む第1組成物と、上記即時放出組成物である第2組成物とを9:1の質量比で含む。
【0023】
上記全体コーティング組成物は、該組成物の総質量の%として表して、約40%のポリビニルアルコール、約20%〜22%のポリエチレングリコール、約18%〜20%の二酸化チタン、約14%〜16%のタルク、および約5%〜約7%の製薬上許容し得る顔料である。
上記各コーティングは、種々の供給元から、Opadry II、Opadry II Clear、顔料を含むOpadry II、Surelease Clear等のような市販銘柄として入手し得る。
【0024】
本発明の新規な時差放出医薬組成物対象物は、約5質量%〜20質量%のロサルタンカリウム組成物、約0.5質量%〜3質量%のアムロジピン、1質量%〜4質量%のヒドロクロロチアジド、約55質量%〜65質量%のセルロース球体または砂糖澱粉タイプの担体または基体、約2%〜4%の第1の水溶性即時放出コーティング、約7%〜9%の第2の水溶性持続放出コーティング、約2%〜4%の第3の水溶性即時放出コーティング、約4%〜6%の第4の水溶性即時放出コーティングおよび約6%〜8%の即時溶解水溶性全体コーティングの層を含む。
【0025】
本発明の組成物は、分配用の硬質ゼラチンカプセル内に注入しているペレットまたはミクロスフィア形状を有する。
【実施例】
【0026】
本発明の組成物の1つの例を、下記の表1に示す。
表1
* 52.6%のポリビニルアルコール、30%のタルク、14.74%のポリエチレングリコールおよび3%のポリソルベートを含有する。
** 61.23%のエチレンセルロース、17%のオレイン酸、14.96%の水酸化アンモニウムおよび6.8%のヒドロキシプロピルセルロースを含有する。
*** 66.66%のポリビニルアルコール、30%のタルク、33%のポリエチレングリコールおよび3%のポリソルベートを含有する。
【0027】
表1の組成物は、下記の方法に基づき製造する:
砂糖・澱粉球体を、必要な備品を有する流動床装置内に積み込んで、ミクロスフィアのコーティングを実施する。ミクロスフィアを少なくとも15分間60℃と70℃の間の温度に加熱する。
第1コーティング分散液を、960gの精製水を容器内に入れ、撹拌下にOpadry II Clear 85F 19250を添加することによって別個に調製する。混合物が均一になった時点で、ヒドロクロロチアジドを添加し、撹拌を十分に混和するまで続行する。
上記分散液を上記ミクロスフィア基体上に加え、入口温度を45℃と55℃の間の温度に維持する。
【0028】
第2コーティング分散液を、760gの精製水を容器内に入れ、次いで、Opadry II Clear 85F 19250を添加することによって別個に調製する。混和した時点で、Surelease Clear E−7−19250を添加する。
上記混合物を、上記基体と第1コーティング混合物に加え、入口温度を55℃と65℃の間に維持する。
【0029】
第3コーティング分散液を、680gの精製水を容器内に入れ、Opadry II Clear 85F 19250を混入することによって調製する。混和した時点で、ベシル酸アムロジピンを添加する。
上記コーティングを、入口温度を50℃と60℃の間に維持して適用する。
【0030】
第4コーティング層を、2400gの精製水を適切な容器内に一定の撹拌下に入れ、Opadry II Clear 85F 19250を混入することによって調製する。混和した時点で、400gのロサルタンカリウムを添加する。
上記コーティングを、温度を50℃と60℃の間に維持して適用する。
【0031】
第5コーティング層を、1600gの精製水を適切な容器内に一定の撹拌下に入れ、Opadry II Blue 85F 90631を完全に均一になるまで添加することによって調製する。
上記コーティングを、温度を50℃と60℃の間に維持して適用する。
【0032】
含浸処理を終えた時点で、ペレットをボールから取出す。500mgのペレットを、サイズ0の天然/天然カプセル内に充填する。
表1から得られた組成物は、
図1に示す溶解プロフィールを示している;ロサルタンとアムロジピンが、高血圧治療において求められているように、即時放出され、そして、ヒドロクロロチアジドは、ヒドロクロロチアジドが患者の浮腫症状を軽減する目的の治療効果をもたらす時点である6時間後までに放出されることが理解できる。
これらの組成物は、例として示しており、本発明の開示の範囲を何ら限定するものではない。