(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記温度制御可能なアレイの素子の高熱伝導性の主本体が、少なくとも約100W/m℃の熱伝導率を備え、前記素子の前記主本体が隣接する素子の主本体に最接近するそれぞれの点において、前記素子の前記主本体が、それぞれの隣接する素子の前記主本体から、25W/m℃未満の熱伝導率を有する1つ以上の材料を含む少なくとも1つの間隔層によって横方向に離間される、請求項1又は2に記載の装置。
前記射出成形の方法が、溶融樹脂を前記型穴内に射出することを含み、前記樹脂を成形部品に凝固させるために、前記型穴内に射出した前記樹脂の前記温度を変更することが、前記溶融樹脂を冷却することを含み、
前記溶融樹脂を冷却する間のいずれかの時点で、
前記第1の熱伝達機構のみを使用することによって、前記熱的に制御可能なアレイのい
くつかの区域が第1の冷却速度で冷却され、他の区域のそれぞれから熱エネルギーを除去するために前記第1の熱伝達機構を使用するのと同時に前記他の区域のそれぞれに熱エネルギーを追加するために前記第2の熱伝達機構を使用することによって、前記熱的に制御可能なアレイのいくつかの他の区域が前記第1の冷却速度より低い第2の冷却速度で冷却される、請求項5に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書では、射出成型型穴の成形面における熱エネルギーの時間的及び空間的な制御のための装置及び方法が開示される。例示的な型穴8が、一般的な表現で
図1に示される。当業者は、例えば、少なくとも第1の成形面4を備える第1の金型部品5と、少なくとも第2の成形面6を備える第2の金型部品7とを互いに組み合わせることによって、型穴8が提供される場合があることを理解するであろう。(
図1は、第1の金型部品と第2の金型部品との間の分割線などの特徴を有し、スプルー、ゲート、ランナー、突出しピン、等々は明瞭化のために省略した、型穴の簡略化した表現であることが強調される。)本明細書に開示されるように、型穴スキン3の前面4は、型穴8の少なくとも一部を画定する。少なくとも1つの熱的に制御可能なアレイ1が、表面4のいくつかの領域にわたって提供される。熱的に制御可能なアレイという用語は、本明細書では、その温度が個々に、かつ別個に操作可能である、表面4の任意の複数の(すなわち、少なくとも2つ以上の)区域2を包含するように幅広く使用される(本明細書のあらゆる場所での「アレイ」という用語の使用は、アレイの区域が必ずしも一定の、均一の、又は対称なパターンで配設されることを暗示しないことに留意されたい)。アレイ1は、アレイ1の個々の区域2の温度を必ずしも直接監視する能力を有しない場合がある(所望する場合には行うことが可能であるが)という事実の観点から、本明細書の便宜上、温度制御可能なアレイではなく、熱的に制御可能なアレイと称される。この命名法により、熱的に制御可能なアレイ1と、その個々の素子の温度を直接監視及び制御する場合がある後述する温度制御可能なアレイとが区別される。
【0007】
説明の便宜上、アレイ1の個々の区域2は、本明細書ではピクセルと称される場合がある。アレイ1のピクセル2は、表面4の区域であり、この区域は、必ずしも間に任意の物理的境界若しくは分離する機能を有しない、又は互いから視覚的に区別することができない場合があり、ほとんどの事例では間に任意の物理的境界若しくは分離する機能を有しない、又は互いから視覚的に区別することができないことを理解されたい。むしろ、ピクセル2は、本明細書で後述するように、温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子に熱的に連結することにより、個別に熱的に制御する能力を有する(例えば、相互に異なる温度に安定して保持される)スキン3の表面4の単なる区域である。ピクセル2は、所望により、任意の好適な数、サイズ、形状、及び間隔で、存在してもよい(そしてその配設は、本明細書に更なる詳細を説明するように、温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子の所望の数、サイズ、形状及び間隔の使用によって達成される場合がある)。
【0008】
上述のように、アレイ1は、型穴スキン3の前面4に提供される。いくつかの実施形態では、型穴スキン3は薄いスキンであってもよく、これは、アレイ1のピクセル2の側方の範囲にわたるスキン3の厚さが、平均で約5mmを超えないことを意味する。更なる実施形態では、スキン3の厚さは、約2、1、0.5、又は0.3mm未満であってもよい。いくつかの実施形態では、型穴スキン3は、低熱伝導性のスキンであってもよく、これは、アレイ1の任意の特定のピクセル2で、スキン3の材料が約100W/m−℃未満の熱伝導率を備えることを意味する。様々な実施形態では、スキン3の材料は、約80、60、又は40W/m−℃未満の熱伝導率を備えてもよい。更なる実施形態では、スキン3の材料は、約5、10、20、又は25W/m−℃より高い熱伝導率を備えてもよい。いくつかの実施形態では、スキン3の材料は、スキンがその上にあり、かつ熱的に連結されている、温度制御可能な素子の主本体の材料の熱伝導率の80%、60%、40%、又は20%未満の熱伝導率を備えてもよい。
【0009】
おおまかな要約としては、アレイ1、及びその個々のピクセル2は、熱的に制御されてもよく、例えば、差熱的に制御されてもよく、個別に温度制御可能な素子を備える温度制御可能なアレイによって、その各素子が、熱的に制御可能なアレイ1の異なる個々のピクセル2に熱的に連結されてもよく、これによりそれぞれの個々のピクセル2は、熱的に連結される温度制御可能な素子の温度を変えることによって熱的に制御されてもよい。実際にはこれは、温度制御可能なアレイを提供することによって達成されてもよく、これにより、温度制御可能なアレイの各素子の前面は、所望の区域内で(スキン3の前面4で、したがってその区域内ではアレイ1のピクセル2になる)型穴スキン3の後面に熱的に連結(例えば、緊密に接触)される。任意の温度制御可能なアレイは、かかる目的で使用されてもよいが、特に好適である場合がある例示的な温度制御可能なアレイは、
図2〜
図4及び
図8〜
図9に図示され、本明細書に詳細が後述される。
【0010】
本明細書に詳細に記載するように、温度制御可能なアレイの個々の温度制御可能な素子は、互いに横方向に熱的に隔離されてもよい。しかしながら、これは、型穴スキン3によって提供される熱エネルギーを隣接するピクセル間に伝導のための横方向の経路の存在を必ずしも排除するものではない。むしろ(例えば、十分薄いスキン3、及び/又は低熱伝導性の材料で作製されたスキン3により)、いくつかの実施形態では、スキン3の厚さ寸法を通した(すなわち、スキンの後面(温度制御可能な素子の前面に接する)からスキンの前面(型穴8の成形面を提供する)までのスキンの最短の寸法を通した)熱エネルギーの伝導は、スキンに沿った横方向の熱エネルギーの伝導(すなわち、あるピクセル2から隣接したピクセル2への伝導)と比較して、スキンを通した熱エネルギーの伝達のための主たる経路であるとすることができる。これにより、ピクセル2のスキン3の後面に熱的に連結された温度制御された素子によって、任意の特定のピクセル2を、最隣接ピクセルが熱的に制御され得る条件とは通常無関係に、十分に熱的に制御することができるといった状態を提供することができる。例えば、第1のピクセルが特定の温度又は温度範囲に保持される場合、隣接するピクセルは、それにもかかわらず、該隣接するピクセルを所望の温度範囲内にうまく保持することができなくする熱エネルギーの余剰分を第1のピクセルに取られることなく、又はかかる熱エネルギーの余剰分を第1のピクセルから受け取ることなく、(該隣接するピクセルに熱的に連結される温度制御可能な素子によって決まる)第1のピクセルの温度より著しく高い又は低い温度又は温度範囲に保持され得る。
【0011】
上記の原理は、熱的に制御可能なアレイ1のピクセル2に対するアスペクト比の観点から特徴付けられる場合がある。かかるアスペクト比は、2つのパラメータの観点から規定される場合がある。第1のパラメータは、スキンの厚さ寸法に沿ったピクセル2内の型穴スキン3の厚さ「t」である(
図3に例示的な距離「t」が示される)。第2のパラメータは、ピクセル2の中心点と最隣接ピクセル2の最も近い中心点との間の中心間の距離「l」である。例示的な距離「l」が、
図1に示される。(上述のように、アレイ1のピクセル2の形状、サイズ、及び中心点は、主に型穴スキン3に熱的に連結される温度制御可能な素子の前面(例えば、
図2及び
図3の表面61)の形状、サイズ、及び中心点に大きく左右され得ることを理解されたい。)ピクセル2が、不規則な又は非対称の形状を備える場合、ピクセル2の重心(幾何学的な中心)は、この目的のための中心点として用いることができる。これらのパラメータを使用して、ピクセルアスペクト比を、l/t比として計算することができる。様々な実施形態では、熱的に制御可能なアレイ1のピクセル2は、少なくとも約2:1、4:1、8:1、又は16:1のアスペクト比を有してもよい。
【0012】
したがって要約すると、上記の配設は、隣接するピクセル2を個別に(例えば、異なって)熱的に制御することを可能にする(例えば、少なくとも、例えば5、10、又は20℃だけ互いに異なる温度とするのを可能にする、及び/又は少なくとも、例えば5、10、又は20℃だけ互いに異なる温度に維持するのを可能にする)。したがって、型穴8の成形面4の選択された領域にわたって、著しい熱的勾配を有利にも確立し、かつ/又は維持することができる(例えば、成形面4のアレイ1内に、及び/又はアレイ1と他の非アレイ領域との間に)。かかる示差熱制御が可能である場合があっても、場合によってはアレイの2つ以上のピクセルは、類似の又は同一の温度範囲に制御される場合があることが理解されるであろう。上述のように、型穴スキン3に沿った熱エネルギーの若干の側方伝導(例えば、ピクセルから隣接するピクセルへ)が生じる場合があることが更に理解されるであろう。しかしながら、型穴スキンに沿った若干の熱伝導は、所望の熱的勾配が維持される限り、不利ではない場合がある。事実、型穴スキンに沿った隣接するピクセルの間の若干の熱伝導は、有利にも、隣接するピクセル2の間の温度変化が、例えば、隣接するピクセル2と接触する流動性の(例えば、溶融)樹脂の、不都合なほどに急な熱的勾配を生じさせるほど急激でないという状況をもたらすことができる。
【0013】
したがって、任意の2つのピクセルの隣接する縁部に関し、例えば、2つのピクセルの間の正確な境界において垂直に近い温度の段階的変化が存在するのではなく、それぞれのピクセルの、ピクセルの隣接する縁部に近い境界区域において温度勾配が存在する場合があることが理解されるであろう。ピクセルの縁部に隣接しないピクセルの横方向内側区域内の温度プロファイルでさえ、必ずしも完全に平坦ではないことも理解されるであろう。すなわち、何らかの状況では、かかる横方向区域内の温度は、変化(例えば、5、2、1、又は0.5℃未満の変化)を呈する場合がある。ピクセルのかかる横方向内側区域の温度でさえも、いくつかの状況では、一時的に変動する場合があることも理解されるであろう。例えば、ピクセルが高温の溶融樹脂に接触するとき、かかる状況が生じる場合がある。
【0014】
これら温度偏差(例えば、その上にピクセルを提供するための特定の区域内で、型穴スキンに熱的に連結された温度制御可能な素子によって確立された公称設定点からの温度偏差)のいずれかが生じ得る量、及び、温度偏差が、例えば、ピクセルサイズ及び他のピクセルへの近接性、ピクセルが制御されてもよい公称温度、上述のピクセルのアスペクト比、ピクセルと接触する溶融樹脂の温度などの様々な要因に依存し得ることを、当業者は理解するであろう。しかしながら、例えば、任意のかかる主要でなくかつ/又は一時的な変動を除いて、及び、ピクセルの横方向縁部又はその近傍の何らかの偏差にもかかわらず、様々な実施形態において、アレイ1のピクセル2の横方向内側区域の温度を精密に制御することができる(例えば、±5℃、±2℃、又は更には±1℃)ことが理解されるであろう。ピクセルの温度が、実際に直接監視されるかどうかにかかわらず、このような状況になる場合がある。
【0015】
熱的に制御可能なアレイ1を提供するために型穴スキンに熱的に連結することができる例示的な温度制御可能なアレイ50を、
図2〜4の例示的な実施形態に示す。アレイ50は、かかる温度制御可能なアレイの単に1つの代表的なタイプであるが、アレイ50を使用して、かかるアレイの一般的な概念及び原理について説明する。例示的な温度制御可能なアレイ50は、個別に温度制御可能な素子60を備える。
図2及び特に
図3に示すように、アレイ50のそれぞれの個々の素子60は、型穴スキン3の後面と緊密に熱的に接触して定置されるように構成される前面61を有する主本体70を備えてもよい。いくつかの実施形態では、主本体70は、高熱伝導性であってもよく(例えば、約80W/m−℃より高い)、更なる実施形態では、少なくとも約100、150、200、又は250W/m−℃の熱伝導率を有してもよい。いくつかの実施形態では、素子60の主本体70は、金属で作製されてもよい。特定の実施形態では、主本体70は、銅又は銅合金を含む組成物で作製されてもよい。いくつかの実施形態では、そのような銅合金は、ベリリウム銅合金であってもよい。別の実施形態では、そのような銅合金は、Performance Alloys(米国ウィスコンシン州Germantown)から商品名MOLDSTARで入手可能な材料により代表される、高熱伝導性のベリリウムを含まない銅合金であってもよい。
【0016】
図2の例示的な実施形態では、前面61は、素子60の主本体70の部分62上に提供され、この部分62は、荷重支持部材として機能してもよい。すなわち、部材62は、温度制御可能なアレイ50と共に使用する第1の金型部品5が、射出成形作業で使用される射出圧力に釣り合う力で第2の金型部品と互いに組み合わされるとき、金型部品(例えば、
図1の部品5)を通る荷重支持経路の少なくとも一部を提供してもよい。
【0017】
各主本体70は、荷重支持部材62と横方向に隣接し(そして荷重支持部材62に一体的に接続され)、かつ型穴スキン3と緊密に接触する表面を必ずしも有しない、熱交換モジュール63も備えてもよい。本文脈中、「横方向に」とは、スキン3の厚さ(最短寸法)を通る熱エネルギー伝導方向と少なくとも概ね直交する方向を意味する(この方向は、典型的には、部材62を通る荷重支持経路と少なくとも概ね直交する場合もある)。以下に詳細に述べるように、
図2〜
図4の例示的な構成では、熱エネルギーは、外部源から、熱交換モジュール63内に伝達されても、かつ/又は熱交換モジュール63から除去されてもよく、次いで、熱交換モジュール63から荷重支持部材62内へと横方向に伝導してもよく、これによって主本体70の全体(すなわち、モジュール63及び部材62その両方)が所望の温度になる。これにより、部材62の前面61がこの所望の温度となり、したがって所望により、前面61からスキン3へと熱エネルギーを伝達することができ、又はスキン3から熱エネルギーを除去することができる。
【0018】
「温度制御可能な」とは、温度制御可能なアレイの個々の素子の温度を監視することができる(例えば、連続的であるか、又は所望の制御を達成するために適当な頻度で間欠的であるかに関わらず)ことを意味し、この監視された温度は、素子の温度を変化させて、例えば、素子の温度を所望の設定点に至らせるために、熱エネルギーの伝達を素子へ又は素子から方向付けるために制御器によって使用することができ、すなわちこれにより素子はクローズドループ温度制御を受ける。かかる温度監視は、例えば、温度検出デバイスの使用によって達成される場合がある。かかる目的のためにいわゆる抵抗温度検知器(RTD)を使用するのが好都合である場合があるが、任意の好適な温度検出デバイスを使用してもよい。かかる温度検出デバイスを素子の前側(すなわち、素子が熱的に連結される型穴スキンに最も近い側面)に近接して位置決めするのが有利な場合がある。したがって、
図2の例示的な実施形態では、各素子60は、温度検出デバイス(例えば、
図3の温度検出デバイス13によって表されるようなもの)を受容することができる型穴64を備えて提供され、これにより、その素子60の温度を個別に監視することができる。
図2に図示する実施形態では、温度検出デバイスを配線(例えば、
図3の電線52)に接続してもよいように、アクセス窓65が提供される。しかしながら、そのような温度検出デバイスと通信するための任意の好適な方法(例えば、光ファイバー、ワイヤレス、等々)を使用してもよい。
【0019】
各素子60は、少なくとも第1の熱伝達機構によって加熱及び/又は冷却されてもよい。いくつかの実施形態では、そのような第1の熱伝達機構は、静的な機構を含んでもよい、つまり、アレイ50又は金型部品5の外部の加熱又は冷却ユニットによって加熱又は冷却される、移動する熱伝達流体を含まない。(そのため、いくつかの実施形態では、かかる第1の熱伝達機構は、非移動クローズドエンド容器内部に全体的に収容され、かつ非移動クローズドエンド容器内で全体的に内部再循環される加熱流体又は冷却流体を備える、いわゆるヒートパイプを包含する。しかしながら、他の実施形態では、アレイ内、又はアレイを有する金型部品内には、ヒートパイプは存在しない。)いくつかの実施形態では、かかる第1の静的な熱伝達機構は、電気的な加熱/冷却素子による電気的な加熱又は冷却を含み得る(例えば、電線55によって電力を受ける素子14、
図4ではその両方が一般的描示で示される)。かかる素子は、素子60の主本体70に熱的に連結される場合があり、例えば、
図4の背面図に示すように、素子14を素子60の主本体70と緊密に接触させて、素子60の後方開放端キャビティ69に挿入されてもよい。(
図4の特定の設計では、加熱/冷却素子14は、熱交換モジュール63に熱的に連結され、これにより熱交換モジュール63内に伝達された熱エネルギーは、荷重支持部材62内へと横方向に伝導され得る。)加熱又は冷却能力を有する電気的なデバイス(例えば、Peltierデバイス)が使用されてもよいが、多くの場合には、第1の電気的な熱伝達機構を加熱のみのために使用するのが好都合である場合がある。かかる実施形態では、電気駆動型の静的な素子14はヒーター(例えば、一般的に既知の電気抵抗式ヒーター)であってもよい。しかしながら、適切な熱的連結が提供される限り、任意の好適なタイプの加熱又は冷却素子は、任意の好適な様式で素子60と接触し、任意の好適な締結機構によって素子60に対して保持されてもよい。例えば、かかる素子は、外部圧力によって定位置に保持されてもよく、又は、かかる素子を主本体70に取り付けるために、伝導性接着剤、はんだ、又は同様なものが使用されてもよい。
【0020】
各素子60はまた、いくつかの実施形態では、第1の機構とは異なる場合がある第2の熱伝達機構によって加熱及び/又は冷却されてもよい(当然のことながら、第1の及び第2のという名称は恣意的であることが理解されるであろう)。別の熱伝達機構とは異なる熱伝達機構は、本明細書に記載したように、例えば、動的な機構に対して静的な機構のように、異なる物理的原理によって動作する機構を含む。しかしながら、別の熱伝達機構とは異なる熱伝達機構は、その両方の機構が同一の原理によって動作してもよいが(例えば、両方が移動する熱伝達流体を介した動的熱伝達を伴ってもよく、又は両方が、例えば、Peltierデバイスによる加熱又は冷却を伴ってもよい)、両機構が、少なくとも概ね同時に、同一の温度制御可能な素子に対して相互に反対向きに適用されることができる(すなわち、これにより1つの機構の効果がもう一方の効果を少なくとも部分的に相殺する場合がある)事例も含む。したがって一般的な意味で、同一の温度制御可能な素子が、熱源、更にヒートシンクに熱的に連結されてもよく、熱源及びヒートシンクは、それぞれ、概ね同時に又は同時の様式で、素子に熱エネルギーを加えるように、及び素子から熱エネルギーを除去するように動作し得る。具体的な実施例は、温度制御可能な素子は、例えば、第1の熱伝達流体による加熱と、第1の熱伝達流体とは独立に制御される第2の熱伝達流体による冷却とを同時に受けるものであってもよい。本明細書に詳細に後述するように、一般に、素子60は、任意の特定の時間に、第1の機構のみによって、第2の機構のみによって、それらを組み合わせて使用することによって加熱又は冷却されてもよく、あるいは、いずれの機構によっても加熱又は冷却されなくてもよい。
【0021】
図2〜
図6に例示されるように、いくつかの実施形態では、かかる第2の熱伝達機構は、素子60の主本体70に熱エネルギーを伝達する、又は素子60の主本体70から熱エネルギーを除去する、移動する熱伝達流体(その温度は、アレイ50及び金型部品5の外側にある制御ユニットによって制御される)によって達成される動的熱伝達機構であってもよい。かかる動的熱伝達能力は、かかる移動する熱伝達流体に熱エネルギーを直接的に又は間接的に伝達する、又はかかる移動する熱伝達流体から熱エネルギーを直接的に又は間接的に受け取る能力を有する少なくとも1つの動的熱伝達構造体を備える素子60の主本体70を提供することによって達成されてもよく、この流体は、気体(例えば、空気、窒素、蒸気、等々)であっても又は液体(例えば、水、油、等々)であってもよい。
図2〜
図6の特定の実施形態では、かかる動的熱伝達構造体は、
図3及び
図5に最も明確に示されるように、1つ以上の動的熱伝達フィン66の形態をとってもよい。動的熱伝達フィンという用語は、本明細書では、素子60の主本体70から突出し(素子60の主本体70の一体的に突出する部分であり)、かつ、フィン高さ(突出距離)対フィン厚さ(つまりフィンの最短軸に沿った、フィンを横切る平均距離であり、この最短距離は、しばしば、フィン高さ軸及び流体の流れ方向に概ね直交する軸に沿っている)の高いアスペクト比(つまり、熱伝達フィンに限って言うと、少なくとも2:1)を有する、任意の構造体を意味するとして広く定義される。様々な実施形態において、そのようなフィンのアスペクト比は、少なくとも3:1又は5:1であってもよい。フィンは、任意の好適な形状及びサイズであってもよく、任意の好適な数で存在してもよい。
【0022】
図2〜
図6の例示的な実施形態では、温度制御可能なアレイ50は、1つ以上の支持ブロック51によって支持されてもよい。例示された設計では、第1の支持ブロック51は、素子60の第1の組の主本体70に(例えば、主本体70の熱交換モジュール63の横方向外向き部分に)取り付けられてもよい。かかる取り付けはボルト59を使用して行われてもよく、このボルト59は、(
図6に示すように)支持ブロック51のボルト穴58を貫通してもよく、次いで(例えば
図5に示すように)各素子60の主本体70のボルト穴68に入ってもよく、これにより、
図2〜
図4に示すように、主本体70を支持ブロック51に取り付ける。類似の第2の支持ブロック51は、これも
図2〜
図4に示すように、素子60の第2の反対側を向いた組の主本体に取り付けられてもよい。支持ブロック51は、次いで、当業者によって十分に理解されるであろうように、例えば、プラテンによって支持される金型ベースに取り付けられてもよい(しばしば、金型部品5は同一の金型ベースに取り付けられる場合がある)。アレイ50の素子60の支持及び安定化に加えて、
図2〜
図6に図示する支持ブロックはまた、移動する熱伝達流体を、素子60の主本体70と熱エネルギー交換するための位置まで運ぶ機能を果たす場合がある。したがって、
図6に示される支持ブロック51の分離図から最も容易に分かるように、支持ブロック51は1つ以上の(図示される実施形態では2つ)流体流通路53を備えてもよく、この流体流通路53は、支持ブロック51の内部を通って延在して、移動する熱伝達流体が空間54に流入し空間54を通過するように方向付け、この空間54内には素子60の主本体70の熱伝達構造体(例えば、フィン)66が取り付けられて、移動流体はフィン66と接触することができる。(かかる流体流通路は、共に
図4に一般的描示で示されているような流体供給導管56及び流体排出導管57に接続されてもよい。)かかる設計は、アレイ50のすべての素子60の動的熱伝達構造体(例えば、フィン)のすべてが共通の熱伝達流体に曝されるのが望ましい場合に特に適している場合があることが理解されるであろう。(「共通の流体」は、素子60の連続的な熱伝達構造体を通過して進む間に温度のある程度の変化が生じるにもかかわらず、例えば、加熱/冷却ユニットによって設定点に制御されているので同じ公称温度である流体を意味する。)いくつかの実施形態では、支持ブロック51は、例えば、熱伝導率が80W/m−℃未満である低熱伝導性の材料から作製されてもよい。更なる実施形態では、支持ブロック51は、約60、40、又は30W/m−℃未満の熱伝導率を有してもよい。なお更なる実施形態では、支持ブロック51は、例えば熱伝導率が約25W/m−℃未満である熱絶縁性材料であってもよい。かかる構成は、有利にも、素子60の相互間の後述する横方向の熱的隔離を増進することができる。
【0023】
温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子の少なくともいくつか(例えば、素子の主本体)は、互いに横方向に熱的に隔離されていてもよい。すなわち、任意の特定の素子は、少なくともその隣接する素子から横方向に熱的に隔離されていてもよい。かかる横方向の熱的隔離は、熱エネルギーが素子の主本体から隣接する素子の主本体に(すなわち、素子の主本体を隣接する素子の主本体から分離する介在距離(間隔)にわたって)伝導する能力に対して、熱エネルギーが素子の主本体内で伝導する能力の観点から捉えることができる。かかる横方向の熱的隔離を達成するためには、前者の能力が後者の能力より優位である必要がある。素子の相互間の横方向の熱的隔離は、任意の好適なやり方で提供することができ、単一の素子に対して複数の隔離方法が使用されてもよい。一般に、かかる方法は、隣接する素子の主本体の表面の間(特に、相互に最も近く面する隣接する素子の主本体の表面の間)の介在する空間内に、比較的低熱伝導性の材料を提供することに依存する場合がある。したがって、
図2に示す実施形態では、隣接する素子60の熱交換モジュール63の間にエアギャップが提供される。空気の熱伝導率は0.1W/m−℃未満なので、(例えば、隣接する主本体の表面の間の放射熱伝達率が許容できないほど高くなる可能性を最小限にするために、エアギャップが少なくとも約0.1mm以上である限り)これは効果的な熱的隔離を提供することができる。様々な実施形態では、かかるエアギャップは、素子(例えば、その主本体)の相互に対して最も近い近接点において、少なくとも約0.2、0.5、1.0、又は2.0mmであってもよい。「エアギャップ」という用語が一般的に使用されること、及び好適に低い熱伝導率の任意のガス状流体(例えば、窒素)、又は更には不完全真空が、かかるギャップに存在してもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、隣接する素子の間のギャップの少なくとも一部には、非ガス状の、低熱伝導性の流体(例えば、熱伝導率が約25W/m−℃未満である熱絶縁性の油又はグリース)が充填されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、かかる目的のために伝導率が低い固体(すなわち、非流体)材料が使用されてもよい。かかる材料は、本明細書では熱的絶縁スペーサと呼び、十分に低い全体的な熱伝導率を呈する限り、任意の非流体材料からなってもよい。かかる材料は、低い固有の熱伝導率を有する固体材料であってもよく、及び/又は、材料は、材料の低い総合的な熱伝導率に寄与し得る空隙容積を含むように、多孔質、セル状、等々であってもよい。したがって、
図2及び
図4の例示的な実施形態では、熱的絶縁スペーサ71は、隣接する荷重支持部材62の相互に対して最も近い近接点において、素子60の隣接する荷重支持部材62の間に存在する。様々な実施形態では、かかる絶縁スペーサは、約25、10、又は5W/m−℃未満の熱伝導率を有する材料で作製されてもよい。いくつかの実施形態では、かかるスペーサは、チタンで作製されてもよい。様々な実施形態では、スペーサの厚さ(すなわち、スペーサの最短の横方向の寸法における)は、少なくとも約0.05、0.1、又は0.2mmであってもよい。様々な実施形態では、スペーサの厚さ(すなわち、スペーサの最短の横方向の寸法における)は、最大で約5、2、1、又は0.5mmであってもよい。かかるスペーサの厚さは、概ね又は厳密に一定であってもよく、又はスペーサの長さ及び/又は幅にわたって変化してもよい。特定の実施形態では、上記の手法のうちのいずれかの組み合わせが使用されてもよい。したがって、
図5では、エアスペースを包囲する額縁境界の形態の例示的な熱的絶縁スペーサ71が提供される。このタイプの構成は、スペーサ材料の固体部分を、例えば、アレイ50の素子の隣接する前面61(
図2に示すように)の間に提供するうえで特に有用である場合があり、これにより、型穴スキン3に最大支持を提供する一方で、隣接する素子の間の有意な区域がエアギャップを含むので、隣接する素子の間にできるだけ高い熱エネルギーの伝導に対する全体的な障壁を提供することができる。
【0025】
上述のように、2つの温度制御可能な素子の間の横方向の熱的隔離を達成するためには、各素子の温度を隣接する素子の温度とは概ね独立して満足のいくように制御することができるようにするために、熱エネルギーが各素子の主本体内で伝導される能力が、熱エネルギーが素子の主本体から隣接する素子の主本体へと伝導される能力よりも優位である必要がある。多くの場合、当業者は、金型部品に提供される任意の加熱及び冷却装置を定性的に評価することによって、そのような横方向の熱的隔離がもたらされているかどうかを確認することができ得る。しかしながら、状況によっては、かかる横方向の熱的隔離を少なくとも半定量的に特徴付けることが有用である場合がある。
【0026】
素子の横方向の熱的隔離を特徴付ける1つの便利なやり方は、熱抵抗(すなわち、熱コンダクタンスの逆数)として既知の周知のパラメータの使用によるものである。材料に沿った任意の所与の伝導経路について、熱抵抗(R)は、以下の式(1)によって得られる。
(1) R=L/(k
*A)
式中、Lは経路長であり、kは材料の熱伝導率であり(例えば、W/m−℃)、Aは経路に沿った断面積である(したがって、Rは例えば℃/Wの単位を有する)。
【0027】
並列の伝導経路については、別個の伝導経路に対する個々のR’の逆数を取り、逆数にしたR’を加算し、合計を逆数にすることによって結合した経路に対する集合的なRを得ることができることが周知である。同様に、直列の伝導経路については、個々のR’を合計することによって結合した経路に対する集合的なRを得ることができることが周知である。したがって、本明細書ではR
mbと呼ばれる素子60の主本体内の横方向の熱流に対する熱抵抗は、式1を使用して計算することができる。かかる素子の横方向の熱的隔離は、最も有用には、型穴スキンに熱的に連結される素子を用いて(すなわち、成形作業が実施されることになる構成において)計算されるので、型穴スキンの何らかの寄与を考慮に入れるべきである。したがって、R
mbは、都合のよいことには、素子の主本体によって、及び主本体が熱的に連結される型穴スキンによって提供される、(並列の)横方向の伝導経路の組み合わせられた寄与を含んでもよい。したがって、ある素子と最近接子との間のすべての有意な伝導経路に沿った、ある素子と最近接素子との横方向の熱的隔離の程度を特徴付ける目的のために、型穴スキンの寄与を含むR
mb(例えば、素子の主本体の横方向の中心から、隣接する素子に最も近い主本体の縁部までの参照長さにわたる)を計算することができる。
【0028】
次いで、この素子と第2の隣接する素子との間に介在する空間によって提供される伝導に対する抵抗であるR
iを得ることができる。かかるR
iは、第1の素子と第2の素子との間のこの介在する空間を横切るすべての伝導経路によって提供される、集合的な抵抗である。例えば、特定の状況でのR
iは、介在する空間内の熱的絶縁スペーサ(加えて、該空間の一部に存在し得る任意の他の部品、これら部品については本明細書で後述される)によって表わされる熱抵抗を評価することによって得られる場合がある。ここでも、介在する空間内に直列又は並列の伝導経路が存在する場合、上述したように、それらの寄与はそれぞれ加算、又は逆数にして加算される。したがって、R
i/R
mb比(抵抗比と呼ばれる)を得ることができ、これは、素子自体の中の伝導に対する抵抗と比較した、素子とその隣接物との間に介在する空間にわたる伝導に対する抵抗の指標を提供する。次いで、かかる比は、任意の他の隣接した素子に対して同様に得ることができる。
【0029】
本明細書に開示されるように、横方向に熱的に隔離された素子は、すべての最隣接素子に対するその素子のR
i/R
mb比が、少なくとも1.5であることを必要とする。更なる実施形態では、すべての他の隣接素子に対する少なくとも1つの素子60のR
i/R
mb比は、少なくとも約2、4、8、16、32、又は64である。
【0030】
素子の横方向の熱的隔離の半定量的な評価に使用してもよい別のパラメータは、経路長で正規化した熱抵抗(R
pl)であり、以下の式(2)で与えられる。
(2) R
pl=1/(k
*A)
式中、kは材料の熱伝導率であり、Aは伝導経路に沿った点における断面積である。(したがって、R
plは、例えば、℃/W
*mの単位を有する)。かかる経路長で正規化した熱抵抗は、しばしば単位長当たりの熱抵抗と称される。代替的には、伝導経路(又は一組の並列経路)に沿った所与の点におけるR
plは、伝導経路のこの点における面積で重み付けした伝導率の尺度と考えることができる。
【0031】
素子の横方向の熱的隔離の程度を特徴付けるためにR
plを使用するために、主本体の特定の場所に存在するすべての横方向の伝導経路を通して(例えば、すべての並列の横方向の伝導経路を通して)スライスを取ることができる(例えば、かかるスライスは、素子の主本体及び主本体を覆う型穴スキンを通過する場合がある)。典型的には、かかるスライスは、素子の横方向の場所において伝導経路に対して略平行な垂直軸を有してもよいが、必ずしも有しなくてもよい。次いで、それぞれの導電路によって提供されるR
plを得ることができ、次いで、R
plmbと呼ばれるパラメータを提供するために、上述のものと類似の様式での逆数/加算によってこれらの並列抵抗の寄与を得ることができる。全体的な伝導経路に沿った異なる横方向の場所で、(例えば、その横方向の中心点近くの主本体を通してスライスした場所で、主本体の中心点とそれらの横方向縁部との間の途中の場所で、及び横方向縁部に近接した場所で)R
plmbを得ることができることが理解されるであろう。
【0032】
同様に、R
pliを得ることができ、これは、介在する空間によって提示された経路長で正規化した伝導に対する熱抵抗であり、これは隣接する素子に達するためには介在する空間を渡る必要があり、第1の主本体と第2の主本体との間の間隔を渡るすべての有意な伝導経路の寄与を反映する。関連する経路(例えば、第1の主本体の横方向縁部と第2の主本体の最も近い横方向縁部との間の経路)に沿った任意の点において、R
pliを得ることができることが理解されるであろう。
【0033】
次いで、R
pli/R
plmb比を得ることができる(これは経路長で正規化した抵抗比と称される)。素子の主本体を通過する任意の場所(スライス)において、R
plmbを得ることができ、かつ素子と最近隣素子との間に介在する空間を通過する任意の場所(スライス)において、R
pliを得ることができることが理解されるであろう。そして、かかるパラメータ及びその比を、素子と任意の他の隣接する素子との間に介在する空間に関して同様に得ることができる。これらの考慮の観点において、横方向に熱的に隔離された素子は、素子の主本体内の任意の場所において、得る場合に、少なくとも1.5のR
pli/R
plmbを必要とする。更なる実施形態では、少なくとも1つの素子60のR
pli/R
plmb比は、少なくとも約2、4、8、16、32、又は64である。
【0034】
当業者は、上記の処置が、主として伝導経路を提供する構成要素の幾何学的なパラメータ、及び構成要素が作製された材料の熱伝導率に依存していくらか単純化されることを理解するであろう。これらの計算及び結果として得られるパラメータが、所与の素子の横方向の熱的隔離の程度を特徴付けするために便宜上使用されること、及び様々な単純化する仮定の存在がそれらの有用性を最小化しないことが理解されるであろう。例えば、緊密に接触する表面間の面から面への(例えば、素子の主本体の横方向に外向きの面と、この面と当接する熱的絶縁スペーサの面との間の)伝導は、完全であると仮定することができる(すなわち、それらの間のあらゆる熱的接触抵抗は無視される)。例えば、相互に緊密に接触した状態で一緒にしっかりと保持された、例えば、平滑な表面の場合、かかる仮定は重要でない場合がある。一方で、いずれかまたは両方の表面が、粗い、構造化された、及び/又は非平滑化された区域を有する場合、かかる仮定は、それらの間の公称(全体的な)接触面積ではなく、表面間(必要な場合、推定)の有効接触面積(例えば、実際の微視的接触面積)を使用することによって考慮に入れられる場合がある。同様に、かかる計算では、空気(又は、例えば、主本体と隣接する主本体若しくはスペーサとの間に存在する任意の他のガス状流体)によって提供される熱伝導率は、概ね無視することができる。
【0035】
加えて、多くの事例では、素子の主本体とその最近隣主本体との間の(例えば、主本体の最も近い表面間に介在する空間にわたる)伝導の最も直接的な経路が、他の(例えば、より遠回りの)経路より優位を占める場合には、最も直接的な経路のみを共慮に入れる必要がある。例えば、素子の、隣接する素子から最も遠く離れた面の外側から延びる経路を通る、1つの素子から隣接する素子への熱エネルギーの伝導は、多くの場合無視されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、素子(例えば、素子の主本体)は、例えば、支持ブロック、金型ベース、又は同様のものによって後方支持されてもよいことが理解されるであろう。本明細書に開示されるように、多くの実施形態では、かかる支持ブロックは、熱的な絶縁材料からなってもよい(及び/又は、素子の後向き面と支持ブロック及び/又は金型ベースの前向き面との間に、熱的絶縁スペーサが提供されてもよい)。かかる事例では、後ろ向きの絶縁材料を通過する、かかる遠回りのルートによる素子間の熱エネルギーの伝導は、典型的には無視することができる。
【0036】
また更に、様々な実施形態では、素子の温度を制御するために、加熱素子(例えば、素子のキャビティ内に提供される静的なヒーター)が使用されてもよく、かつ/又は素子の温度を制御するために、動的熱伝達流体が使用されてもよいことが理解されるであろう。かかる事例では、かかる加熱素子の存在、及び/又はかかる流体の存在は、無視することができる。しかしながら、かかる実施形態では、例えば、かかる流体の移送に使用されてもよいチューブの熱伝導率を考慮に入れる必要がある場合があり、このチューブは、隣接する素子の表面と接触する場合があり、したがってそれらの間に伝導経路を提供する。同様に、任意のボルト(温度制御可能なアレイの組み立てに使用される場合がある)の熱伝導率を考慮に入れる必要がある場合がある。
【0037】
最後に、いくつかの事例では、型穴スキンは、本明細書に記載される温度制御可能なアレイの隣接する素子間の主要な熱伝導経路を表す場合があることが述べられてきた。すなわち、場合によっては、型穴スキンは、隣接する素子間に介在する空間にわたる熱エネルギーの伝導に対して、介在する空間内に存在する場合がある任意の熱的絶縁スペーサ、エアギャップ、動的熱伝達チューブ、等々によって提供される合成抵抗より著しく少ない抵抗を提供する場合がある。かかる場合には、スキンのみを考慮する必要がある場合があり、したがって、かかる素子の寄与を計算する必要がない場合がある。この場合、いくつかの従来の設計では、型穴スキンによって提供される横方向の熱伝導経路(その一部が隣接する加熱及び/又は冷却素子に熱的に連結される)が、非常に低い抵抗を有する(例えば、スキンが極めて厚く、かつ/又は伝導性が高いため)ことが明らかである場合がある。かかる事例では、型穴スキンのみの考慮に基づいて、加熱及び/又は冷却素子が、互いに横方向に熱的に隔離されていないことが容易に明らかである場合がある。
【0038】
最小のR
i/R
mb、及びR
pli/R
plmb比について、上記の要件を超える追加的な考慮が存在することが理解されるであろう。具体的には、温度制御可能なアレイの(少なくとも)2つの素子は、互いに横方向に熱的に隔離される必要があるという要件は、上記の比の満足を超える更なる条件を追加する。すなわち、第1の素子と第2の素子との間に介在する空間にわたる全体的な伝導経路(これによって全体的な経路は、例えば、介在する空間内に存在する場合があるような、熱的絶縁スペーサ、エアギャップ、動的熱伝達チューブ、ボルト、等々を通る並列の伝導経路によって組み合わされて提供される集合的な経路を意味する)は、第1の素子の中心点と第2の素子の中心点との間の経路に沿って最大の抵抗を有する必要がある。すなわち、第1の素子の横方向の中心点から第2の素子(これは都合の良い参照点のために作製される)の横方向の中心点までの全体的な経路(上記のように、これはしばしば一組の並列経路からなってもよい)に従うとき、熱伝導に対する抵抗は、介在する空間内のいずれかの点で最大値まで増加する必要があり、次いで、第2の素子に入ると減少する必要がある。かかる減少が生じない場合、第1の温度制御可能な素子から横方向に熱的に隔離された第2の温度制御可能な素子は、定義によって存在しない。例えば、状況は、単に隣接するのみ、又は金型部品の材料によって(例えば、金型部品の鋼によって)部分的に包囲される、従来の局所的に加熱可能又は冷却可能なゾーンのうちの1つであってもよく、したがって、本明細書で画定するように横方向に熱的に隔離されていない。換言すれば、本明細書で開示される温度制御可能なアレイは、アレイが、それらの間に点在する熱コンダクタンスボトルネック(例えば、熱的なチョーク)を有する少なくとも2つの素子を備えることを要する。
【0039】
熱的に制御可能なアレイ(例えば、アレイ1)を制御するための、温度制御可能なアレイ(例えば、アレイ50又は150)の使用は、
図7に示される一般的描示に関して記述される。温度制御可能なアレイ50は、アレイ50及び金型部品5の外部にあり、アレイ50の個々の素子60の温度に関して温度センサー13から情報を受け取る(例えば、
図7の一般的描示に示すように、電線52を介して)場合がある制御装置10に動作可能に接続される場合がある。制御装置10は、第1の熱伝達機構制御ユニット12(この制御ユニット12は、例えば、電線55によって、例えば、アレイ50の個々の素子60に熱的に連結される電気ヒーター14に接続される場合がある)に動作可能に接続される(例えば、
図7に示すように、配線によって)場合があり、これにより制御装置10は、アレイ50の様々な素子60に対する第1の熱伝達機構の適用の際に制御ユニット12に指示を与えることができる。制御装置10は、同様に第2の熱伝達機構制御ユニット11(この制御ユニット11は、例えば、流体供給導管56及び流体排出導管57によって、例えば、アレイ50の個々の素子60に、素子60の動的熱伝達構造体と直接又は間接接触するように移動する熱伝達流体を指向することができるように、接続される場合がある)に動作可能に接続をされる場合があり(例えば、
図7に示すように配線によって)、これにより制御装置10は、アレイ50の様々な素子60に対する第2の熱伝達機構の適用の際に制御ユニット11に指示を与えることができる。便宜上、単一の温度センサー13及び関連付けられた電線、単一の電気的な素子14及び関連付けられた電線、並びに移動する熱伝達流体の搬送(運動の方向が矢印で示されている)のための単一の組の供給/排出導管の中空配管のみが
図7に示されているが、所望により、かかる構成要素は、アレイ50の任意の又はすべての個々の素子60に対して提供されてもよいことが、理解されるであろう。(アレイ50の様々な素子60の間に存在してもよい、熱的絶縁スペーサ、エアギャップ、等々も、明瞭化のために省略されている。)先に述べたように、いくつかの実施形態では、第1の熱伝達機構は、静的な機構(例えば、電気的な加熱)であってもよく、第2の熱伝達機構は、動的な機構(例えば、移動する熱伝達流体による熱エネルギーの伝達)であってもよい。同様に先に述べたように、すべての素子60がアレイの他の素子とは異なる温度に制御される必要があるわけではない(例えば、2つ以上の素子を、ブロックとして制御することができる)。
【0040】
図2〜
図6に図示される一般的な設計が、各素子60が型穴スキン3と緊密に接触する表面(61)を備える主本体(荷重支持部材62)の一部から横方向にずれている熱交換モジュール(部分)63を備える手法を用いることが明白であろう。そして、各素子60が、隣接する素子60の熱交換モジュールの方向から横方向に反対向きにずれている熱交換モジュール63を備える。かかる手法が、例えば、直線状(すなわち、1×N)アレイ(
図4の例示的な実施形態では、1×10のアレイが図示されている)である温度制御可能なアレイ50(及び関連付けられる熱的に制御可能な成形面のアレイ)の提供のために特に有用である場合があることが明白であろう。
【0041】
別の一般的な設計は、
図8及び
図9に例示的な実施形態で示される。これらの図に例示された手法は、非線形アレイの提供に特に好適であり、また、該手法は、熱交換モジュール自体への及び/又は熱交換モジュール自体からの熱エネルギーの、熱エネルギーを型穴スキンとやり取りする前面を備える主本体の別の部分(例えば、荷重支持部材)への上述の横方向の伝導に依存しない。むしろ、温度制御可能なアレイ150の各素子160は、型穴スキンの後面と緊密に接触するように(それにより、
図1を参照して前記したように、熱的に制御可能なアレイ1のピクセル2を型穴スキン内に提供するように)定置され得る前面161を有する荷重支持主本体170を備える。
図8及び
図9の設計では、各素子160の主本体170の実質的に全てが荷重支持体であってもよい。すなわち、アレイ150が金型部品内に組み込まれると、いくつかの又はすべての素子160の後面167は、金型部品自体、金型ベース、又は支持ブロックと荷重支持接触し得る。
【0042】
図9の背面図に示されるように、各主本体170は、その中に電気的な加熱及び/又は冷却デバイスが挿入されてもよい、少なくとも1つの開放端(例えば、後方開放端)キャビティ169を備えてもよい(
図9の具体的な実施形態では、2つのかかるキャビティ169が設けられている)。このようにして、1つの熱伝達機構が提供されてもよい(これは、上述の第1の熱伝達機構と類似であり、例えば、静的な熱交換機構であってもよい)。個々の主本体170の間に、複数の動的熱伝達チューブ(すなわち、移動する熱伝達流体が通過できるようにする中空チューブ)153が延在してもよく、熱伝達チューブ153の外表面は、かかる中空チューブ153の外側表面を受容するように成形された主本体の表面166と緊密に接触する。(表面166をより明瞭に見ることができるように、かかるチューブ153の1つは
図8及び
図9から除去されている。)したがって、上述の動的熱伝達構造体は、移動する熱伝達流体を含む熱伝達チューブの壁面と緊密に接触するように構成された構造体を包含することができる。したがって、このタイプの構成は、第2の熱交換機構を提供することができる(これは、上述した第2の動的熱伝達機構と類似である)。任意の好適な数、間隔、及び構成の熱伝達チューブ153が使用されてもよい。共通の熱伝達流体がすべてのチューブ153を通過してもよく、又はいくつかの実施形態では、異なる温度の流体が、異なるチューブ153を通過してもよい。
【0043】
各素子160では、温度センサー(例えば、上記のセンサー13)のために、開放端(例えば、後方開放端)キャビティ164が提供されてもよい。キャビティ164の開放端は、主本体170の後方で都合のよいように定置されてもよいが、キャビティ164の閉鎖端は、主本体170(例えば、主本体170の、型穴スキン3に最も近い部分)の温度の十分な監視を提供するように(例えば、主本体170の前面161の十分近くに)位置決めされる場合がある。しかしながら、主本体170が比較的熱伝導率の高い材料で作製されている場合、主本体170の任意の都合の良い場所に温度センサーを位置付けることが可能であり得る。
【0044】
素子160は、例えば、ボルトなど(
図8又は
図9に示されない)によって一緒に保持されてもよく、このボルトなどは、様々な素子の間に提供される空間を貫通してもよく、かつ、例えば素子160を定位置に緊密に保持するために(そして、熱伝達チューブ153が、それらが当接する素子表面と緊密に接触して保持されることを確実にするために)締め付け可能であるように、アレイ150の側面から外向きに延出してもよい。所望する場合、支持ブロックは、アレイ150の任意の側若しくはすべての側、及び/又は後ろ向きに提供されてもよく、これに対して、アレイを定位置に固定するために支持ブロックボルト(例えば、上述のボルト)又は他の締結機構が使用されてもよい。かかる支持ブロックは、有利には、熱的絶縁材料で作製されていてもよい(しかしながら、かかる支持ブロックは、例えば、前述の支持ブロック51の流体流通路53によって例示されたタイプの、支持ブロックを通る流体通路を必ずしも含まなくてもよい)。
【0045】
各素子160の各主本体170は、上述のものと同様の様式で、隣接する素子各主本体から横方向に熱的に隔離されてもよい。
図8及び
図9の例示的な実施形態では、エアギャップ172は、隣接する素子160の表面の間に示されているが、熱的絶縁スペーサ(
図8又は
図9では見えない)も存在してもよい。横方向の熱的隔離を更に高めるために、熱伝達チューブ153は、熱伝導率が比較的低い材料で作製されてもよい。様々な実施形態では、熱伝達チューブ153は、約100、80、60、又は40W/m−℃未満の熱伝導率を有する材料で作製されてもよい。更なる実施形態では、熱伝達チューブ153は、少なくとも約5、10、20、又は25W/m−℃の熱伝導率を有する材料で作製されてもよい。特定の実施形態では、熱伝達チューブ153は、鋼、例えばステンレス鋼で作製されてもよい。移動する熱伝達流体から各素子160の各主本体170への動的熱伝達を促進するために、中空の熱伝達チューブ153は、比較的薄い壁を備えてもよい。したがって、様々な実施形態では、熱伝達チューブ153は、約1.0、0.5、又は0.2mm未満の壁厚を有する。要約すると、低熱伝導性の材料で作製した薄い壁を有する動的熱伝達チューブ153の使用は、チューブ内の移動する熱伝達流体とアレイの各素子との間の所望の熱エネルギー交換を可能にすることができる一方で、アレイの素子の間の横方向の熱的隔離の程度を最低限にすることは、それらの間を通るチューブによって減少する場合がある。
【0046】
温度制御可能なアレイの隣接する素子の主本体の任意の好適な構成、及び/又は隣接する素子の主本体間の横方向の(直接的な又は間接的な)相互接続は、本明細書に記載される横方向の熱的隔離が維持される限り許容され得ることが強調される。どのようにして隣接する素子の主本体が、それらの間に挿入された熱伝導率の低い材料の熱的絶縁スペーサを有することができるか、それらの間に延びる低熱伝導性の材料で作製された動的熱伝達チューブを有することができるかについては、すでに記載した。更なる実施形態では、隣接する素子の主本体は、それらの間に挿入された支持構造体の部材を有してもよいが(例えば、いくつかの又はすべての隣接する主本体の間のエアギャップの一部の中に支持格子が嵌装されてもよく、この支持格子は、アレイの機械的な完全性を高める場合がある)、それは、横方向の熱的隔離に関する上記の条件を保つように、かかる支持部材の熱伝導率が十分低い場合、及び/又はかかる支持部材が熱エネルギーの伝導のための十分に小さい断面積を備える場合のいずれかである限りにおいてである。
【0047】
なお更なる実施形態では、ある特定の隣接する素子の主本体を接続する1つ以上の統合ブリッジ部分の存在を許容することができる場合がある。かかるブリッジ部分が高い熱伝導率を有する場合があるとしても(アレイの素子の主本体と共に一体的に形成される)、かかるブリッジ部分、又はそのいくつかの区画が、隣接する主本体間の熱エネルギーの伝導のための十分に小さい断面積を備える限り(例えば、それにより、ブリッジ部分のかかる低断面積セクションは、熱エネルギー交換に対するボトルネックを提示する)、横方向の熱的隔離のための上記条件を満たすことは依然として可能であり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、温度制御可能なアレイ150は、必ずしもスキンに取り付けられることなく、型穴スキン3の後面の区域と緊密に熱的接触している状態で位置決めされ得る(むしろ、本明細書に前述された一般的なタイプの1つ以上の支持ブロックによって、アレイ150及びその個々の素子16を支持し、かつ型穴スキンに押し付けることが可能である)。しかしながら、
図8に示される特定の実施形態では、素子160の各主本体170は、前方開放端キャビティ177を備える。各キャビティ177は、型穴スキン3に接続された(例えば、その一体型部品である)中空のボスを受容するように構成されてもよい。かかる中空のボスは、例えば、主本体170のボルト穴168を通過するボルトの前側の端部をネジ止めにより受容するように、内ネジを螺刻されてもよい。かかるボルトは、アレイ150を型穴スキン3に取り付けるために使用されてもよい(そして、アレイ150の後方側では、アレイ150を、例えば支持ブロック、金型ベース、又はそれと同様のものに取り付けるように使用されてもよい)。
【0049】
図1〜
図9に図示した実施形態は、単に本明細書に開示される手法を例示するために選択された例示的な実施形態であることが強調されるべきである。変形が可能であることが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、型穴の金型を画定する表面の少なくとも一部を提供する前面を備えるスキン(例えば、薄い低熱伝導性のスキン)は、金型部品の一部として提供されてもよい。すなわち、かかるスキンは金型部品に取り付けられてもよく、次いで、温度制御可能なアレイ(例えば、50又は150)を金型部品のスキンの後面に緊密に接触せた後、定位置に保持してもよい(スキンに取り付けられるか、又は、実際には取り付けられずに単にスキンに緊密に接触するように保持される)。他の実施形態では、スキン(例えば、薄い伝導率が低いスキン)は、温度制御可能なアレイ(例えば、アレイ50又は150)の一部として提供されてもよい。いくつかの特定の実施形態では、分離して作製されたスキンは、かかるアレイの素子の主本体の前面に取り付けられてもよい。他の特定の実施形態では、スキンは、アレイの素子の主本体の前側表面によって直接的に提供されてもよい。(かかる実施形態が、温度制御可能な素子を覆うスキンの厚さ「t」が本質的にゼロに等しい、限定的な事例を表すことが理解されるであろう。)かかる事例は、素子が、型穴の金型表面の一部を提供する一体型のスキンを備えるものとして考えることができる。かかる手法では、その前側に(しかしながら、提供される)スキンを担持するアレイは、金型部品の提供される空間の中に嵌装される(金型インサートと類似の様式で)ことができ、これにより、他の方法ですでに画定された型穴表面内で、スキンが開放区域を充填する。
【0050】
温度制御可能なアレイ(50及び150)の2つの例示の設計、及び対応する熱的に制御可能なアレイ1が、本明細書に提示されている。これらは例示的な設計に過ぎず、かかるアレイの設計は、これらの例示的な図示からは大幅に異なってもよいこと認識されるべきである。例えば、様々な実施形態では、アレイ1のピクセル2の数は、例えば、2、3、4、6、8、10、16、又はそれ以上の範囲であってもよい。様々な実施形態では、個々のピクセル2のサイズは、少なくとも約0.2、0.4、1.0、2、又は5平方センチメートルであってもよい。更なる実施形態では、個々のピクセル2のサイズは、最大で約100、50、25、10、5、2、又は1.0平方センチメートルであってもよい。様々な実施形態では、ピクセル2の相互間の中心から中心までの間隔(すなわち、重心から重心までの間隔)は、少なくとも約0.2、0.4、1.0、2.0、又は5.0センチメートルであってもよい。更なる実施形態では、ピクセル2の相互間の中心から中心までの間隔は、最大で約10、5、4、2、1、又は0.5センチメートルであってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのピクセル2の少なくとも1つの周囲縁部は、隣接するピクセル2の周囲縁部の約5mm以内であってもよい。更なる実施形態では、少なくとも1つのピクセル2の少なくとも1つの周囲縁部は、隣接するピクセル2の周囲縁部の約2、1、又は0.5mm以内であってもよい。様々な実施形態では、任意の特定のピクセル2は、他のピクセル2のものとは異なる形状及び/又はサイズを有することができ、規則的な又は不規則な形状を有してもよい。様々な実施形態では、アレイ1の総面積(ピクセル2によって集合的に供給され、様々なピクセルの間にまき散らされている場合があるいかなる非ピクセル区域も含まない)は、少なくとも約2、5、10、20、又は50平方センチメートルであってもよい。更なる実施形態では、アレイ1の総面積は、最大で約10000、500、200、又は100平方センチメートルであってもよい。様々な実施形態では、アレイのピクセルによって集合的に提供される総面積は、型穴8の総表面の約50、30、20、10、又は5%未満を構成してもよい。様々な実施形態では、アレイのピクセルによって集合的に提供される総面積は、型穴8の総表面の約50、70、80、90、又は95%超を構成してもよい。
【0051】
様々な実施形態では、アレイ1は、本明細書に上述されるように、線形アレイ、又は非線形アレイであってもよい。様々な実施形態では、アレイ1は、対称(例えば、
図1に示される対称アレイの1つの例示的な設計では、少なくとも1つの対称軸を有する)であってもよく、又は非対称であってもよい。いくつかの実施形態では、ピクセル2のいくつかの又はすべては、例えば、(例えば、
図1に例示されるような)連続アレイを集合的に形成するように、他のピクセル2に隣接する場合がある(例えば、ピクセルの下にある温度制御可能な素子の間に横方向に提供される介在する空隙/断熱障壁を覆う場合があるような区域以外には、それらの間に表面4の非ピクセル区域がほとんどない又はない状態で)。他の実施形態では、
図10に関して本明細書に後述するように、少なくとも1つのピクセルは、別のピクセルから、表面4の非ピクセル区域(例えば、金型部品の温度制御されていない部分を覆う、表面4の区域)によって分離されてもよい。様々な実施形態では、アレイのピクセルは、その最も近い隣接物から横方向に(最も近い縁部から最も近い縁部までの距離で)約10、5、2、又は1mm未満だけ分離されてもよい。他の実施形態では、1つ以上のピクセルは、2つの最隣接ピクセルの最も近い縁部が互いに少なくとも約0.5、1、又は5cmだけ横方向に離間されるように、アレイのその他ピクセルから横方向に分離されてもよい。
【0052】
例えば、
図10の例示的な様式に例示するように、更なる変形が可能である。例えば、アレイ1のピクセル2は、必ずしも何らかの種類の規則的な間隔又はパターンで提供される必要はない(例示的な不規則なパターンが、
図10のアレイ1’のピクセル2’、2’’、2’’’、及び2’’’’によって提供されている)。
図10は、ピクセル2’’’’が、表面4の非ピクセル区域によってその他のピクセルから分離される事例も図示している。更に、いくつかの実施形態では、1つ以上のピクセルは、アレイの別のピクセル内に、部分的に又は完全に横方向に収容(例えば、包囲)されてもよい(この実施例は
図10に示されており、ピクセル2’、2’’、及び2’’’は、ピクセル2内に横方向に収容されている)。必要なことは、本明細書に記載するように、ピクセルが温度制御可能なアレイによって提供され、このアレイが個別に温度制御可能な素子を備え、例えば、素子の少なくとも2つが互いに横方向に熱的に隔離されていることである。例えば(
図10の特定の実施形態について)、介在する空間(例えば、熱的絶縁スペーサを収容している)は、それぞれピクセル2’、2’’、及び2’’’の下にある温度制御可能な素子をそれぞれ横方向に包囲し、それによりこれら温度制御可能な素子を、ピクセル2の下にある温度制御可能な素子から横方向に離間する。
【0053】
上述の設計及び構成のうちのいずれかのアレイは、
図7に関して上述したように、一般的な様式で、制御装置、温度センサー、第1の熱伝達機構及び第2の熱伝達機構制御ユニット、等々に動作可能に接続されてもよく、本明細書に上述したように、クローズドループ制御の対象となる。
【0054】
様々な実施形態では、複数の温度制御可能なアレイ(例えば、50及び/又は150)及び対応する熱的に制御可能なアレイ1を、単一の型穴のスキンの異なる領域に提供することができる。所望する場合、第1の金型部品内に提供される1つ以上のかかるアレイに加えて、第2の金型部品内に1つ以上のかかるアレイを提供してもよい(従来の射出成形が、互いに組み合わされて型穴を形成する、第1の金型部品(しばしばA側構成要素と呼ばれる)と、第2の金型部品(しばしばB側構成要素と呼ばれる)とを伴うことに留意されたい。)それぞれが1つ以上のかかるアレイを備える複数の型穴は、所望する場合、単一の射出成型装置内に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、熱的に制御可能なアレイを備える型穴スキン領域の全体は、概して平面的、又は厳密に平面的であってもよく、他の実施形態では、熱的に制御可能なアレイを備える型穴スキンの少なくともある特定の区域は、非平面的であっても(例えば、湾曲していても)よい。
【0055】
本明細書に開示される温度制御可能なアレイ、及びアレイの任意の部品、並びにアレイと共に提供される任意の部品は、任意の好適な射出成型システムと共に使用されてもよい。既に述べたように、かかるアレイは、金型部品(例えば、
図1の一般的描示で示される金型部品5)に取り付けられてもよく、かつ金型部品によって支持されてもよい(例えば、本明細書に上述した1つ以上の支持ブロックによって、直接的に、又は間接的)。かかる金型部品は、都合のよいことに、従来の金型部品、例えば、金属で作製され、その中に1つ以上の開放端キャビティを有し、しばしば金型部品と呼ばれる金型部品であってもよく、これは、別の金型部品と互いに組み合わされて、型穴を形成してもよい。かかる金型部品は、それ自体、例えば、従来の金型ベースによって支持されてもよい。かかる金型ベース(いずれの図にも示されない)は、射出成型システムのプラテン(同様に、いずれの図にも示されない)に取り付けられ、かつプラテンによって支持されてもよい。(当業者は、かかる金型部品、金型ベース、及びプラテンについて熟知しているであろう)。
【0056】
例えば、射出成形システムの移動しない側(しばしば「A」側又は「A」プレートと称される)の第1の金型部品と組み合わせて(例えば、取り付けられて)、かかるアレイが提供されてもよい。かかる射出成形システムは、例えば、型穴8の第1の金型部品5から遠い側に位置決めされる(
図1を参照して)第2の金型部品7を支持する(例えば、第2の従来の金型ベースによって)、第2のプラテンを備えてもよく、この第2の金型部品は、第1のプラテン及び第2のプラテンが互いに組み合わされたとき、型穴8を画定するために、第1の金型部品5の成形面4と(及び金型部品5によって提供される場合がある任意の他の成形面と)結合する1つ以上の成形面を提供する場合がある。いくつかの実施形態では、第2のプラテンは、第1のプラテンに向かって第1の位置へと移動可能であってもよく、第1の位置では、一体化した第1及び第2の金型部品によって少なくとも1つの成形型穴が画定され、また第2のプラテンは、第1のプラテンから離れて第2の位置へと移動可能であってもよく、第2の位置では、成形型穴から成形部品を取り出すことができる(その場合、第2の金型部品は、多くの場合「B」側又はプレートと称されるタイプのものである)。上述したように、所望する場合、「B」側金型部品の型穴表面は、1つ以上の熱的に制御可能なアレイを備えてもよい。
【0057】
射出成形が溶融樹脂の型穴内への射出を伴う場合、型穴内のこの樹脂は、次いで、樹脂を凝固して成形部品にするように冷却され、任意の好適な装置及び関連文品は、高分子樹脂を溶融し、かつ溶融樹脂を型穴内に供給するために使用されてもよく、例えば、往復動スクリュー装置、スクリューオーバープランジャー、等々が使用されてもよい(ここでも、かかる部品は、
図1の型穴及び成形部品の簡略化された描示では示されてない)。射出成形が、第1のより低い温度における型穴内への流動性樹脂の射出を伴う場合、型穴内のこの樹脂は、次いで、固体部品へと樹脂を架橋する化学反応を促進するように加熱され(すなわち、いわゆる反応射出成形の任意の変形)、かかる流動性樹脂を射出するために任意の好適な反応射出成形装置及び関連部品が使用されてもよく、次いで、化学反応及びこれらの凝固を促進する。
【0058】
いくつかの実施形態では、温度制御可能なアレイ及び対応する熱的に制御可能なアレイは、高い射出圧力成形と共に使用されてもよい。かかる事例では、アレイの1つ以上の個々の素子の主本体の少なくとも一部は(かかる部分が素子60のような素子の荷重支持部材であるか、又はかかる部分が素子160のような素子の主本体の実質的にすべてであるかどうかに関わらず)、負荷経路の部分を提供する場合があり(圧力下で金型部品が組み合わせられるとき、これが確立される)、したがってかかる高い圧力に耐えることが必要な場合がある。
【0059】
高い射出圧力の使用を可能にするために、金型部品は、しばしば型穴の概ね対向する面(すなわち、「A」側金型部品により提供される型穴表面、及び「B」側金型部品により提供される型穴表面)上の型穴表面の相対運動を最小限にするように設計される。当業者は、分割線を形成する金型部品の接触面は、金型部品を互いにクランプするプロセスの間に「予備荷重」される場合があるため、続いて流動性樹脂を注入する圧力が予備荷重を超えないことを理解するであろう(予備荷重を超えると、接触面の間に間隙が形成される場合があり、したがって結果として間隙内への樹脂の許容できないフラッシングが生じる可能性がある)。これを達成するために、荷重経路は、ヒーク射出圧力を乗じた型穴の投影面積よりも大きい圧縮(予備)荷重に耐え抜くことできる必要性がある。その結果、本明細書に記載するように、少なくともいくつかの実施形態では、例えば、20000psi(137.90MPa)以上のピーク樹脂射出圧力(型穴内で測定した)を伴う射出成形動作では、温度制御可能なアレイを使用するのが望ましい場合がある(したがって、かかる射出圧力の使用に釣り合う予負荷を伴う)。したがって、本明細書に記載するように、様々な実施形態では、温度制御可能なアレイは、少なくとも15000、20000、25000、又は30000psi(少なくとも103.42、137.90、172.37、又は206.84MPa)の射出圧力(型穴内で測定した)に適合可能であるように構成される場合がある。当該技術分野において用いられる成形のある特定の方法(例えば、いわゆるコンフォーマルクーリングなどを伴う方法)は、これらの実施形態に包含されないことが理解されるであろう。
【0060】
広義には、上記の手法は、温度制御可能なアレイの多重の素子の提供を可能にするものであり、その素子の少なくともいくつかの温度は、クローズドループの様式で個々に監視されることができる(しかしながら、いくつかの事例では、すべての素子が必ずしも成形作業の間常時監視及び/又は制御されるわけではないことに留意されたいする)。更に、それぞれのかかる素子内に入る、及び/又はこれらから外へ出る熱エネルギーの伝達は、第1の熱伝達機構(例えば、電気ヒーター又は冷却器の使用によって)により、加えて第1の機構とは異なる第2の熱伝達機構(例えば、移動する熱伝達流体の使用によって達成される動的熱伝達によって)により実施することができる。素子の監視された温度に示される両方の熱伝達機の併用効果を評価することができ、一方又は両方の熱伝達機構は、素子の温度を所定の設定点に維持するために、温度を新しい設定点に変更するために、外からの影響(例えば、高い温度の溶融樹脂での型穴の充填)に対応して温度を設定点に戻すために、等々のために使用されてもよい。
【0061】
したがって、アレイの少なくとも1つの同一の素子に対する、クローズドループ様式での2つの異なる熱伝達機構の適用(例えば、概ね同時の適用)、及びかかる制御スキームのアレイの複数の素子への適用が、本明細書に開示される。型穴の温度の精密な制御を可能にする上で、2つのかかる機構の概ね同時の使用が、著しい利点を提示することが理解されるであろう。例えば、温度制御可能なアレイの素子(例えば、少なくとも1つの素子)の第1の組は、第1の熱伝達機構のみの対象となる場合がある(かかる第1の機構は、いかなる他の機構もないとき、第1の素子をすべて同一の温度に維持する場合がある、これらのすべての温度を類似の速度で変化する場合がある、等々)。アレイの第2の組の素子(例えば、少なくとも1つの素子)は、第1の熱伝達機構の対象となる場合がある(これは、素子の第1の組に適用される第1の機構と同一であってもよく、例えば、素子の第1の組及び第2の組のすべては共通の熱伝達流体によって冷却されてもよい)。そして、素子の第2の組は、第1の熱伝達機構とは異なる第2の熱伝達機構の対象にもなる場合もある。したがってこの第2の熱伝達機構は、素子の第2の組において、第1の熱伝達機構の効果を相殺する、又は強化する場合がある(及び第2の組の異なる素子において異なる程度にこれを行うことができる)。例えば、アレイのすべての素子は、共通の熱伝達流体によって冷却される場合があり、アレイのいくつかの素子は、同時に、大量の電気加熱電力を受容する場合があり、いくつかの素子は、より少ない量の電気加熱電力を受容する場合があり、いくつかの素子は、電気加熱電力を全く受容しない場合がある。したがって、多素子アレイの各素子のために、2つの熱伝達機構(これらの機構は、いくつかの事例では、部分的に相互に相殺する場合があり、かついくつかの事例では、相互に強化する場合がある)の間のバランスを確立することができる。競合する機構が各素子の温度に与える影響を監視することができ、所望により一方又は両方の機構を変更することができ、これにより、例えば、アレイの異なる素子を異なる温度に保持することが可能となる。
【0062】
2つの異なる熱伝達機構の概ね同時の適用の概念は、射出成形サイクルの間の少なくともいずれかの時点で同一の温度制御可能な素子にかかる機構が同時に適用される事例を含む。これは、成形サイクルの間に、2つの異なる熱伝達機構が必ずしも正確に同一の時間に適用される必要はないにしても、同一の温度制御可能な素子に適用される事例も含(例えば、機構は、例えば、成形サイクルの工程の間に、例えば、型穴の冷却の間に、続けざまに適用される及び/又は迅速に入れ替わる様式で適用されるように、それぞれオンオフサイクル動作されてもよい)。
【0063】
例えば、型穴の熱的に制御可能なアレイ1の差熱制御を実施するために、本明細書に記載した構成を使用することができ、これは、アレイの少なくとも1つのピクセルが、アレイの少なくとも1つの他のピクセルと少なくとも、例えば、5℃異なる温度にされてもよいこと、及び/又は5℃異なる温度に維持されてもよいことを意味する。かかる差熱制御は、ピクセルが必ずしもかかる異なる温度に任意の最小限の時間の間保持される(例えば、これらは継続的にかかる異なる温度に維持される)、又は温度が実際に監視されることを必要としないことに留意すべきである。そして、いくつかの事例では、2つ以上ピクセルは同様の、又は実質的に同一の温度に保持されてもよい(例えば、いくつかのピクセルは、ブロックとして組み合わせられて制御されてもよい)。様々な実施形態では、アレイの少なくとも1つのピクセルは、アレイの別のピクセルとは少なくとも約10、20、又は40℃だけ異なる温度に、差熱的に制御されてもよい。
【0064】
例えば、1つの熱伝達機構によって熱エネルギーを個々の素子に伝達することができ、かつ第2の異なる熱伝達機構によって熱エネルギーを素子から動的に除去することができる、本明細書に開示される手法は、例えば、1つの機構によって伝達される熱エネルギーが、素子から受動的に除去される(例えば、徐々に伝導性が散逸することによって)ことによって素子から離れることしかできない方法に優る、著しい利点を有し得ることが理解されるであろう。アレイの2つの異なるピクセルが異なる一定の温度に制御されなければならない(又は、アレイの任意の特定のピクセルが特定の一定の温度に制御されなければならない)ことが、必ずしも必要であるとは限らないことも理解されるであろう。むしろ、第1の熱伝達機構及び/又は第2の熱伝達機構は、例えば、アレイの1つ以上の素子の温度を変更するランプ速度を制御するために使用されてもよい。更に、温度制御可能なアレイの素子の温度の制御は、型穴表面の関連付けられた熱的に制御可能なアレイの対応するピクセルを、必ずしも正確にこれらと同じ温度に制御しない場合がある(しかしながら、場合によってはこれが生じる場合がある)。温度制御可能なアレイの複数の温度制御可能な素子の使用が、例えば、温度制御可能な素子と物理的に類似である一方で、必ずしも動的に制御しない他の素子の存在を排除しないことも理解させるであろう(場合によっては、かかる素子の温度は監視さえもされない場合がある)。
【0065】
例えば、特に比較的厚い部分に隣接する比較的薄い部分を有する場合がある部品などの、比較的複雑な形状の成形部品の生産では、本明細書に記載されるようなアレイの使用が、有利にも使用される場合があることが理解されるであろう。特にかかる事例では、本明細書に記載したようなアレイの使用は、最終的な成形部品における応力の低減などのために、より均一な金型の充填を提供する場合がある。いくつかの実施形態では、かかるアレイは、溶融した熱可塑性樹脂が、型穴内に射出され、次いで樹脂を成形部品にするために凝固するように冷却される、周知のタイプの射出成形で使用される場合がある。アレイの差熱制御は、任意の好適な構成により、例えば、型穴内への樹脂の射出の間、及び/又は樹脂を凝固するための樹脂の冷却の間に実施されてもよい。かかるアレイは、流動性の樹脂(反応性、架橋性、及び同様のものである、任意の好適な分子、オリゴマー、ポリマー、等々を含む)が、型穴内に射出され、次いで、流動性の樹脂を成形部品にするために凝固する、1つ以上のタイプの化学反応を促進するために加熱される、いわゆる反応射出成形でも使用されてもよい。アレイ(又は複数のアレイ)の差熱制御は、任意の好適な構成に従って、例えば、樹脂の型穴内への射出の間、及び/又は樹脂を凝固するための樹脂の加熱の間に実施されてもよい。
【0066】
例示的実施形態の一覧
実施形態1.射出成形装置であって、少なくとも前面を有するスキンを備えた金型部品を備え、スキンは、スキンの前面が型穴の成形面の一部を画定する少なくとも1つの領域を含み、金型部品が、複数の個別に温度制御可能な素子を有する少なくとも1つの温度制御可能なアレイを更に備え、少なくとも1つの温度制御可能なアレイが、スキンの少なくとも1つの領域の区域においてスキンに熱的に連結された複数の個別に温度制御可能な素子を備え、これにより区域が熱的に制御可能なアレイをスキンの前面において集合的に提供し、温度制御可能なアレイの素子のうちの少なくとも1つが、温度制御可能なアレイの他の素子から横方向に熱的に隔離される、射出成形装置。
【0067】
実施形態2.個別に温度制御可能な素子のうちの少なくともいくつかが、第1の熱伝達機構によって加熱及び/又は冷却されるように構成され、かつ第1の熱伝達機構とは異なる第2の熱伝達機構によって加熱及び/又は冷却されるように更に構成される、実施形態1に記載の装置。
【0068】
実施形態3.第1の熱伝達機構が、素子の高熱伝導性の主本体に熱的に連結される少なくとも1つの電気ヒーターを備え、第2の熱伝達機構が、素子の高熱伝導性の主本体によって画定される少なくとも1つの動的熱伝達構造体を備える、実施形態2に記載の装置。
【0069】
実施形態4.少なくとも1つの電気ヒーターが、電気抵抗式ヒーターであり、少なくとも1つの動的熱伝達構造体が、主本体から一体的に延在する複数の動的熱伝達フィンによって提供される、実施形態3に記載の装置。
【0070】
実施形態5.少なくとも1つの電気ヒーターが、電気抵抗式ヒーターであり、少なくとも1つの動的熱伝達構造体が、複数の動的熱伝達中空チューブに熱的に連結するように構成される複数の動的熱伝達接触面によって提供される、実施形態3に記載の装置。
【0071】
実施形態6.熱的に制御可能なアレイを集合的に提供する少なくとも区域内のスキンが、約100W/m−℃未満の熱伝導率を有する材料から作製される、実施形態1〜5のいずれかに記載の装置。
【0072】
実施形態7.熱的に制御可能なアレイを集合的に提供する少なくとも区域内のスキンが、5W/m℃と80W/m−℃との間の熱伝導率を有する材料から作製され、かつ少なくとも2:1のアスペクト比l/tを有する、実施形態1〜5のいずれかに記載の装置。
【0073】
実施形態8.熱的に制御可能なアレイを集合的に提供する少なくとも区域内のスキンが、5W/m℃と80W/m−℃との間の熱伝導率を有する材料から作製され、かつ少なくとも4:1のアスペクト比l/tを有する、実施形態1〜5のいずれかに記載の装置。
【0074】
実施形態9.金型部品と、少なくとも1つの温度制御可能なアレイと、少なくとも1つの温度制御可能なアレイの個別に温度制御可能な素子と、が、型穴内で測定して、20ksi(1.38mPa)以上の圧力を伴う成形動作に耐えるように構成される、実施形態1〜8のいずれかに記載の装置。
【0075】
実施形態10.温度制御可能な素子の少なくともいくつかが、それぞれスキンに熱的に連結される荷重支持熱伝達部材を備える主本体を備え、熱伝達素子が、荷重支持熱伝達部材に横方向に熱的に連結される熱交換モジュールを更に備える、実施形態1〜9のいずれかに記載の装置。
【0076】
実施形態11.温度制御可能なアレイの素子の高熱伝導性の主本体が、少なくとも約100W/m−℃の熱伝導率を備え、素子の主本体が隣接する素子の主本体に最接近するそれぞれの点において、素子の主本体が、それぞれの隣接する素子の主本体から、25W/m−℃未満の熱伝導率を有する1つ以上の材料を含む少なくとも1つの間隔層によって横方向に離間される、実施形態1〜10のいずれかに記載の装置。
【0077】
実施形態12.少なくとも1つの間隔層が、素子と、隣接する素子と、の間のエアギャップの少なくとも一部においてエアギャップを備える、実施形態11に記載の装置。
【0078】
実施形態13.少なくとも1つの間隔層が、素子と、隣接する素子と、の間の空間の少なくとも一部において、25W/m−℃未満の熱伝導率を有する固体材料を含むスペーサ本体を備える、実施形態11〜12のいずれかに記載の装置。
【0079】
実施形態14.温度制御可能なアレイが、連続アレイを集合的に形成する、少なくとも4つの個別に温度制御可能な素子を備える、実施形態1〜13のいずれかに記載の装置。
【0080】
実施形態15.熱的に制御可能なアレイを集合的に提供する区域内のスキンが、金型部品の一部として提供され、かつ温度制御可能なアレイが緊密に接触する後面を備える、実施形態1〜14のいずれかに記載の装置。
【0081】
実施形態16.熱的に制御可能なアレイを集合的に提供する区域内のスキンが、温度制御可能なアレイの一部として提供され、かつ温度制御可能なアレイの金型部品への組み込みの前に取り付けられる、実施形態1〜14のいずれかに記載の装置。
【0082】
実施形態17.熱的に制御可能なアレイを集合的に提供する区域のスキンが、温度制御可能なアレイの一部として提供され、かつ温度制御可能なアレイの素子の一体的なスキンによって集合的に提供される、実施形態1〜14のいずれかに記載の装置。
【0083】
実施形態18.少なくとも1つの温度制御可能なアレイが、スキンの前面内に第1の熱的に制御可能なアレイを提供する第1の温度制御可能なアレイを備え、金型部品が、少なくとも第2の温度制御可能なアレイを更に備え、このアレイが、第2の領域の区域内でスキンに熱的に連結される第2の複数の個別に温度制御可能な素子を備え、ここでスキンの前面が型穴の成形面の一部を画定し、これにより第2の領域の区域が第2の熱的に制御可能なアレイをスキンの前面内に提供し、第2の温度制御可能なアレイの素子の少なくともいくつが、第2の温度制御可能なアレイのその他素子から横方向に熱的に隔離される、実施形態1〜17のいずれかに記載の装置。
【0084】
実施形態19.金型部品が第1の金型部品であり、成形面が第1の成形面であり、装置が、少なくとも前面を有する第2の低熱伝導性のスキンを備える第2の金型部品を更に備え、第2の低熱伝導性のスキンが少なくとも1つの領域を備え、ここで、第2のスキンの前面が、第1の金型部品と第2の金型部品とが組み合わせられるとき、型穴を少なくとも部分的に画定するために第1の成形面と第2の成形面とが結合するように構成される第2の成形面の一部を画定する、実施形態1〜18のいずれかに記載の装置。
【0085】
実施形態20.第1の金型部品の少なくとも1つの温度制御可能なアレイが、第1の金型部品のスキンの前面内に第1の熱的に制御可能なアレイを提供する第1の温度制御可能なアレイを備え、第2の金型部品が、少なくとも第2の温度制御可能なアレイを更に備え、このアレイが、第2の領域の区域内で第2のスキンに熱的に連結される第2の複数の個別に温度制御可能な素子を備え、ここで第2のスキンの前面が第2の成形面の部分を画定し、これにより第2の領域の区域が第2の熱的に制御可能なアレイを第2のスキンの前面内に提供し、第2の温度制御可能なアレイの素子の少なくともいくつかが、第2の温度制御可能なアレイのその他の素子から横方向に熱的に隔離される、実施形態1〜19のいずれかに記載の装置。
【0086】
実施形態21.第1の金型部品が第1のプラテンによって支持され、第2の金型部品が第2のプラテンによって支持され、第1のプラテンと第2のプラテンとのうちの少なくとも1つが、第1のプラテンと第2のプラテンとが組み合わされるとき、第1の金型部品の少なくとも1つの第1の成形面と、第2の金型部品の少なくとも1つの第2の成形面とが、少なくとも1つの型穴を集合的に画定するように構成された移動可能なプラテンである、実施形態20に記載の装置。
【0087】
実施形態22.第1のプラテンが固定されており、第2のプラテンが、第1のプラテンに向かって、少なくとも1つの型穴が画定される第1の位置へ、及び第1のプラテンから離れる方向に、成形部品を型穴から取り出すことができる第2の位置へ、移動可能である、実施形態21に記載の装置。
【0088】
実施形態23.少なくとも1つの温度制御可能な素子が、すべての最隣接素子に関して、少なくとも約1.5のR
i/R
mb比を呈する、実施形態1〜22のいずれかに記載の装置。
【0089】
実施形態24.少なくとも1つの温度制御可能な素子が、最隣接素子に関して、少なくとも約1.5のR
pli/R
plmb比を呈する、実施形態1〜23のいずれかに記載の装置。
【0090】
実施形態25.第1の温度制御可能な素子と第2の横方向に隣接する温度制御可能な素子との間に介在する空間にわたる伝導経路が、介在する空間内の経路に沿ったいずれかの点で、第1の温度制御可能な素子の主本体の中心点から第2の温度制御可能な素子の主本体の中心点まで延在する経路に沿って見出される最大熱抵抗である、熱抵抗を呈する、実施形態1〜24のいずれかに記載の装置。
【0091】
実施形態26.複数の区域を含む少なくとも1つの熱的に制御可能なアレイを備える成形面を備える型穴を提供することと、複数の区域のそれぞれが、温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子に熱的に連結される、流動性成形樹脂を型穴内に射出することと、樹脂を成形部品に凝固させるために、型穴内に射出した樹脂の温度を変更することと、を含み、射出成形の方法の間の少なくともいずれかの時点で、第1の熱伝達機構及び第1の熱伝達機構とは異なる第2の熱伝達機構が、温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子のうち少なくとも1つに概ね同時に適用される、射出成形の方法。
【0092】
実施形態27.射出成形の方法の間の少なくともいずれかの時点で、第1の熱伝達機構及び第1の熱伝達機構とは異なる第2の熱伝達機構が、温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子のうち少なくとも1つに概ね同時に適用される、実施形態26に記載のプロセス。
【0093】
実施形態28.第1の熱伝達機構と第2の熱伝達機構との同時適用が、温度制御可能な素子を所定の温度に制御するために使用される、実施形態26〜27のいずれかに記載のプロセス。
【0094】
実施形態29.第1の熱伝達機構及び第2の熱伝達機構の同時適用が、型穴内に射出した樹脂の温度を変更する工程の少なくとも一部の間に実施される、実施形態28に記載のプロセス。
【0095】
実施形態30.温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子のうちの少なくとも1つが、温度制御可能なアレイの他の素子から横方向に熱的に隔離される、実施形態26〜29のいずれかに記載のプロセス。
【0096】
実施形態31.第1の熱伝達機構が、温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子の動的熱伝達構造体に熱エネルギーを動的に伝達するために、又は温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子の動的熱伝達構造体から熱エネルギーを動的に伝達するために少なくとも1つの移動熱伝達流体を使用することによって達成される、温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子の動的な加熱又は冷却を含み、第2の熱伝達機構が、温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子の電気的な加熱又は冷却を含む、実施形態26〜30のいずれかに記載の方法。
【0097】
実施形態32.射出成形の方法が、溶融樹脂を型穴内に射出することを含み、樹脂を成形部品に凝固させるために、型穴内に射出した樹脂の温度を変更することが、溶融樹脂を冷却することを含み、第1の熱伝達機構のみを使用することによって、溶融樹脂の冷却の間のいずれかの時点で、熱的に制御可能なアレイのいくつかの区域が第1の冷却速度で冷却され、かつその他区域のそれぞれから熱エネルギーを除去する第1の熱伝達機構と、その他の区域のそれぞれへと熱エネルギーを加える第2の熱伝達機構とを同時に使用することによって、熱的に制御可能なアレイのいくつかの他の区域が第1の冷却速度より低い第2の冷却速度で冷却される、実施形態26〜31のいずれかに記載の方法。
【0098】
実施形態33.第1の熱伝達機構が、移動する熱伝達流体を用いた動的な冷却を含み、第2の熱伝達機構が、電気的な加熱を含む、実施形態32に記載の方法。
【0099】
実施形態34.温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子が、共通の移動する熱伝達流体を用いてすべて動的に冷却される、実施形態33に記載の方法。
【0100】
実施形態35.方法が、熱的に制御可能なアレイの少なくともいくつかの区域を第1の予熱温度に加熱することと、溶融樹脂を型穴内に射出することであって、その時間の間、熱的に制御可能なアレイの区域の少なくともいくつかが少なくとも第1の予熱温度に維持され、熱的に制御可能なアレイの少なくともいくつかの他の区域が第1の予熱温度より少なくとも5℃だけ低い第2の温度に冷却される、射出することと、溶融樹脂の射出の後、熱的に制御可能なアレイの区域のすべてを第1の予熱温度より少なくとも20℃だけ低い第3の温度に冷却することと、を含む、実施形態26〜34のいずれかに記載の方法。
【0101】
実施形態36.射出成形の方法が、硬化性樹脂を型穴内に射出することを含み、樹脂を成形部品に凝固させるために、型穴内に射出した樹脂の温度を変更することが、樹脂の硬化を促進するために硬化性樹脂を加熱することを含み、溶融樹脂を加熱する間のいずれかの時点で、第2の熱伝達機構のみを使用することによって、熱的に制御可能なアレイの区域のいくつかが第1の加熱速度で加熱され、他の区域のそれぞれに熱エネルギーを追加するために第2の熱伝達機構を使用するのと同時に他の区域のそれぞれから熱エネルギーを除去するために第1の熱伝達機構を使用することによって、熱的に制御可能なアレイのいくつかの他の区域が第1の加熱速度より低い第2の加熱速度で加熱される、実施形態26〜31のいずれかに記載の方法。
【0102】
実施形態37.第1の熱伝達機構が、移動する熱伝達流体を用いる動的な冷却を含み、第2の熱伝達機構が、電気的な加熱を含む、実施形態36に記載の方法。
【0103】
実施形態38.実施形態1〜25のいずれかに記載の装置を用いて実施される、実施形態26〜37のいずれかに記載の方法。
【0104】
本明細書で開示された具体的な代表的構造、特徴、詳細、形態などは、改変することができ、及び/又は数多くの実施形態で組み合わせることができることが、当業者には明らかであろう。そのような変形及び組み合わせの全ては、例示的な説明の役割を果たす選択された代表的な設計のみではない、着想された本発明の領域内に含まれるとして本発明者により想定される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載される特定の例示的構造に限定されるべきではないが、むしろ少なくとも請求項の言語によって説明される構造、及びそれらの構造に相当する構造にまで拡大する。記載される本明細書と、参照により本明細書に援用されるいずれかの文書の開示内容との間に矛盾又は食い違いが存在する場合、記載される本明細書が優先するものである。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[20]に記載する。
[項目1]
射出成形装置であって、
少なくとも前面を有するスキンを備えた金型部品を備え、前記スキンは、前記スキンの前記前面が型穴の成形面の一部を画定する少なくとも1つの領域を含み、
前記金型部品が、複数の個別に温度制御可能な素子を有する少なくとも1つの温度制御可能なアレイを更に備え、前記少なくとも1つの温度制御可能なアレイが、前記スキンの前記少なくとも1つの領域の区域において前記スキンに熱的に連結された複数の個別に温度制御可能な素子を備え、これにより前記区域が熱的に制御可能なアレイを前記スキンの前記前面において集合的に提供し、
前記温度制御可能なアレイの前記素子のうちの少なくとも1つが、前記温度制御可能なアレイの他の素子から横方向に熱的に隔離される、射出成形装置。
[項目2]
前記個別に温度制御可能な素子のうちの少なくともいくつかが、第1の熱伝達機構によって加熱及び/又は冷却されるように構成され、かつ前記第1の熱伝達機構とは異なる第2の熱伝達機構によって加熱及び/又は冷却されるように更に構成される、項目1に記載の装置。
[項目3]
前記第1の熱伝達機構が、前記素子の高熱伝導性の主本体に熱的に連結される少なくとも1つの電気ヒーターを備え、前記第2の熱伝達機構が、前記素子の高熱伝導性の前記主本体によって画定される少なくとも1つの動的熱伝達構造体を備える、項目2に記載の装置。
[項目4]
前記少なくとも1つの電気ヒーターが、電気抵抗式ヒーターであり、前記少なくとも1つの動的熱伝達構造体が、前記主本体から一体的に延在する複数の動的熱伝達フィンによって提供される、項目3に記載の装置。
[項目5]
前記少なくとも1つの電気ヒーターが、電気抵抗式ヒーターであり、前記少なくとも1つの動的熱伝達構造体が、複数の動的熱伝達中空チューブに熱的に連結するように構成される複数の動的熱伝達接触面によって提供される、項目3に記載の装置。
[項目6]
前記熱的に制御可能なアレイを集合的に提供する少なくとも前記区域内の前記スキンが、約100W/m℃未満の熱伝導率を有する材料から作製される、項目1に記載の装置。
[項目7]
前記金型部品と、前記少なくとも1つの温度制御可能なアレイと、前記少なくとも1つの温度制御可能なアレイの前記個別に温度制御可能な素子と、が、前記型穴内で測定して、20ksi(1.38mPa)以上の圧力を伴う成形動作に耐えるように構成される、項目1に記載の装置。
[項目8]
前記温度制御可能なアレイの素子の高熱伝導性の主本体が、少なくとも約100W/m℃の熱伝導率を備え、前記素子の前記主本体が隣接する素子の主本体に最接近するそれぞれの点において、前記素子の前記主本体が、それぞれの隣接する素子の前記主本体から、25W/m℃未満の熱伝導率を有する1つ以上の材料を含む少なくとも1つの間隔層によって横方向に離間される、項目1に記載の装置。
[項目9]
前記少なくとも1つの間隔層が、前記素子と、隣接する素子と、の間の空間の少なくとも一部においてエアギャップを備える、項目8に記載の装置。
[項目10]
前記少なくとも1つの間隔層が、前記素子と、隣接する素子と、の間の空間の少なくとも一部において、25W/m℃未満の熱伝導率を有する固体材料を含むスペーサ本体を備える、項目8に記載の装置。
[項目11]
前記熱的に制御可能なアレイを集合的に提供する前記区域内の前記スキンが、前記金型部品の一部として提供され、かつ温度制御可能なアレイが緊密に接触する後面を備える、項目1に記載の装置。
[項目12]
前記熱的に制御可能なアレイを集合的に提供する前記区域内の前記スキンが、前記温度制御可能なアレイの一部として提供され、かつ前記温度制御可能なアレイの前記金型部品への組み込みの前に取り付けられる、項目1に記載の装置。
[項目13]
前記熱的に制御可能なアレイを集合的に提供する前記区域の前記スキンが、前記温度制御可能なアレイの一部として提供され、かつ前記温度制御可能なアレイの前記素子の一体的なスキンによって集合的に提供される、項目1に記載の装置。
[項目14]
射出成形の方法であって、
複数の区域を含む少なくとも1つの熱的に制御可能なアレイを備える成形面を備える型穴を提供することを含み、前記複数の区域のそれぞれが、温度制御可能なアレイの温度制御可能な素子に熱的に連結され、
流動性成形樹脂を前記型穴内に射出することと、
前記樹脂を成形部品に凝固させるために、前記型穴内に射出した樹脂の温度を変更することと、を含み、
前記射出成形の方法の間の少なくともいずれかの時点で、第1の熱伝達機構及び前記第1の熱伝達機構とは異なる第2の熱伝達機構が、前記温度制御可能なアレイの前記温度制御可能な素子のうち少なくとも1つに概ね同時に適用される、射出成形の方法。
[項目15]
前記第1の熱伝達機構及び第2の熱伝達機構の同時適用が、前記型穴内に射出した前記樹脂の前記温度を変更する工程の少なくとも一部の間に実施される、項目14に記載の方法。
[項目16]
前記温度制御可能なアレイの前記温度制御可能な素子のうちの少なくとも1つが、前記温度制御可能なアレイの他の素子から横方向に熱的に隔離される、項目14に記載の方法。
[項目17]
前記第1の熱伝達機構が、前記温度制御可能なアレイの前記温度制御可能な素子の動的熱伝達構造体に熱エネルギーを動的に伝達するために、又は前記温度制御可能なアレイの前記温度制御可能な素子の動的熱伝達構造体から熱エネルギーを動的に伝達するために少なくとも1つの移動熱伝達流体を使用することによって達成される、前記温度制御可能なアレイの前記温度制御可能な素子の動的な加熱又は冷却を含み、前記第2の熱伝達機構が、前記温度制御可能なアレイの前記温度制御可能な素子の電気的な加熱又は冷却を含む、項目14に記載の方法。
[項目18]
前記第1の熱伝達機構が前記温度制御可能な素子の動的な冷却を含み、前記第2の熱伝達機構が前記温度制御可能な素子の電気的な加熱を含む、項目17に記載の方法。
[項目19]
前記射出成形の方法が、溶融樹脂を前記型穴内に射出することを含み、前記樹脂を成形部品に凝固させるために、前記型穴内に射出した前記樹脂の前記温度を変更することが、前記溶融樹脂を冷却することを含み、
前記溶融樹脂を冷却する間のいずれかの時点で、
前記第1の熱伝達機構のみを使用することによって、前記熱的に制御可能なアレイのいくつかの区域が第1の冷却速度で冷却され、他の区域のそれぞれから熱エネルギーを除去するために前記第1の熱伝達機構を使用するのと同時に前記他の区域のそれぞれに熱エネルギーを追加するために前記第2の熱伝達機構を使用することによって、前記熱的に制御可能なアレイのいくつかの他の区域が前記第1の冷却速度より低い第2の冷却速度で冷却される、項目14に記載の方法。
[項目20]
前記射出成形の方法が、硬化性樹脂を前記型穴内に射出することを含み、前記樹脂を成形部品に凝固させるために、前記型穴内に射出した前記樹脂の前記温度を変更することが、前記樹脂の硬化を促進するために前記硬化性樹脂を加熱することを含み、前記溶融樹脂を加熱する間のいずれかの時点で、
前記第2の熱伝達機構のみを使用することによって、前記熱的に制御可能なアレイの前記区域のいくつかが第1の加熱速度で加熱され、他の区域のそれぞれに熱エネルギーを追加するために前記第2の熱伝達機構を使用するのと同時に前記他の区域のそれぞれから熱エネルギーを除去するために前記第1の熱伝達機構を使用することによって、前記熱的に制御可能なアレイのいくつかの他の区域が前記第1の加熱速度より低い第2の加熱速度で加熱される、項目14に記載の方法。