特許第6236211号(P6236211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236211
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】輸送機器用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20171113BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20171113BHJP
   B60K 37/06 20060101ALI20171113BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20171113BHJP
   B62D 1/14 20060101ALI20171113BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20171113BHJP
   G06F 3/0354 20130101ALI20171113BHJP
   G06F 3/038 20130101ALI20171113BHJP
【FI】
   B60R11/02 C
   B60R16/02 640K
   B60K37/06
   B60K35/00 A
   B62D1/14
   B60R16/02 630L
   B60R16/027 T
   G06F3/0354 453
   G06F3/038 310A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-73388(P2013-73388)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-196086(P2014-196086A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2015年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若本 直己
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 真
(72)【発明者】
【氏名】紺野 大悟
【審査官】 佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−294192(JP,A)
【文献】 特開平09−167049(JP,A)
【文献】 特開2002−225724(JP,A)
【文献】 米国特許第07413233(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60K 35/00
B60K 37/06
B60R 16/02
B60R 16/027
B62D 1/14
G06F 3/0354
G06F 3/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が操作入力することが可能な操作領域を有する操作手段と、該操作手段による操作入力に基づいて各種表示情報を表示することが可能な表示手段とを備えた輸送用表示装置であって、
前記操作手段及び前記表示手段を制御する制御手段を備え、
前記操作手段及び前記表示手段は、それぞれ離間して配置され、
前記表示手段は、
透明又は半透明な部材からなり、
前記操作入力を行う乗員の眼と前記操作手段との間に配置されるとともに、前記操作入力を行う乗員の視線方向において前記操作手段と重なる位置に配置され、
前記操作手段は、
前記制御手段による制御により所定情報を表示することが可能な表示領域を有することを特徴とする輸送機器用表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記表示手段に前記表示情報を表示する場合、前記視線方向上において前記表示情報と前記操作領域とが重なった位置に配置されるように制御するとともに、前記表示情報を前記操作領域であることを示す操作領域情報が視える態様で前記表示手段に表示させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の輸送機器用表示装置。
【請求項3】
前記操作手段は、操作面を有し、該操作面に対して接触又は近接する入力操作が行われたことを検出するタッチパネルであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の輸送機器用表示装置。
【請求項4】
前記操作手段は、座席に着座した乗員の手の届く範囲内に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載の輸送機器用表示装置。
【請求項5】
前記操作手段は、運転席の前方に設けられたステアリングに取り付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載の輸送機器用表示装置。
【請求項6】
前記操作手段は、車体を構成する部材としての、運転席の前方に設けられるピラー部材及び該ピラー部材の上端部側に接続されるルーフ部材、又は、前記ピラー部材又は前記ルーフ部材を車両内側から覆う内装部材の何れかに取り付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載の輸送機器用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送機器用表示装置に係り、特に、乗員の操作入力に応じて各種情報を表示することが可能な輸送機器用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図情報などの各種情報を表示することが可能な輸送機器用表示装置として、例えば、自動車のインストルメントパネルの車幅方向中央部に配置したものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
一般に、この種の輸送機器用表示装置では、表示手段としてのディスプレイと、各種情報を入力することが可能な操作手段(例えば、タッチパネル)とが一体的に設けられている。このため、運転席等に着座した乗員が操作手段を操作するにあたり、手を伸ばす必要があり、操作性が悪いといった問題があった。
【0004】
そこで、例えば、ディスプレイとタッチパネルとが一体的に設けられた表示装置をステアリングに設ける技術が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
このような表示装置によれば、ドライバー(運転者)は手を伸ばすことなく、タッチパネルを操作することが可能なため、操作性の向上を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−163114号
【特許文献2】特開2012−071687号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、運転席に着座して運転するドライバーの着座姿勢は、当該ドライバーの体型などによって様々である。すなわち、ドライバーの中には、胴部とステアリングとの距離を比較的接近させた状態で、座席(運転席)に着座するのを好むドライバーもいる。
【0008】
すなわち、このような着座姿勢のドライバーが、特許文献2に記載のような表示装置を視認した場合、ディスプレイに表示される表示情報を視ることに関しては何ら問題とならないが、タッチパネルがドライバーから比較的近い位置に配置されるため、その操作がし難いといった問題が生じる。
【0009】
また、一般に、タッチパネルを操作する際、乗員(ドライバー)は、タッチパネルを視ながら操作するものである。すなわち、特許文献2に記載の表示装置では、上述したような着座姿勢のドライバーがタッチパネルを操作する場合、視線を比較的下方に向けながら行うこととなる。
【0010】
このため、ドライバーが車両の走行中にタッチパネルの操作を行うと、ドライバーは、車外(車両前方)とタッチパネルとの間で視線方向を大きく移動させる必要があるうえ、視点を、遠方(車外)と近場(タッチパネル)との間で切り替えなければならないため、安全上、必ずしも好ましいものではなかった。
【0011】
本発明は、上記不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、視認性のみならず、操作性の向上を図ることが可能な輸送機器用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
記課題は、本発明に係る輸送機器用表示装置によれば、乗員が操作入力することが可能な操作領域を有する操作手段と、該操作手段による操作入力に基づいて各種表示情報を表示することが可能な表示手段とを備えた輸送用表示装置であって、前記操作手段及び前記表示手段を制御する制御手段を備え、前記操作手段及び前記表示手段は、それぞれ離間して配置され、前記表示手段は、透明又は半透明な部材からなり、前記操作入力を行う乗員の眼と前記操作手段との間に配置されるとともに、前記操作入力を行う乗員の視線方向において前記操作手段と重なる位置に配置され、前記操作手段は、前記制御手段による制御により所定情報を表示することが可能な表示領域を有することによ解決される。
【0013】
上記構成では、乗員が操作手段を操作する場合、操作手段及び表示手段の何れもが、乗員の視線方向上に位置することとなるため、従来のように、操作手段を操作する際、乗員の視線を移動させる必要がなく、視認性を向上させることが可能である。
【0014】
また、上記構成では、操作手段を乗員が操作し易い位置に配置することによって、操作性を向上することが可能である。このような位置に操作手段を配置した場合、表示手段は、操作手段よりも当該操作手段を操作する乗員側で、当該表示手段に表示される各種情報の視認性を妨げない位置に配置すればよい。
【0015】
また、上記構成では、乗員が操作入力をする場合、操作手段及び表示手段の何れもが、乗員の視線方向上に位置することとなるため、従来のように、操作手段を操作する際、視線方向を移動させる必要がない。
【0016】
例えば、上記構成では、自動車等の車両を運転するドライバーの顔部と近い位置にヘッドアップディスプレイ(HUD)等を設けるとともに、ドライバーの手の届く位置に操作手段を配置することも可能である。
【0017】
表示手段及び操作手段を、それぞれ上述したような位置に配置した場合、ドライバーは、視線を移動させることなく、表示手段に表示される各種情報及び操作手段を視ることができ、そのうえ、ドライバーの操作しやすい位置で操作手段を操作することが可能となる。
【0018】
しかも、車両が移動(走行)中である場合、ドライバーは、車外(車両前方)と、表示手段及び操作手段との間で視線方向を殆ど移動させることなく、これらを視ることが可能である。
【0019】
このため、表示手段及び操作手段をそれぞれ上述したような位置に配置した場合には、操作性及び視認性のみならず、安全性をも向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明に係る輸送機器用表示装置によれば、簡単な構成で、操作性及び視認性の何れをも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の一形態に係る車両の車室内を示す斜視図である。
図2】乗員、表示用パネル及び入力用パネルの位置関係を示す側面図である。
図3】表示用パネル及び入力用パネルを運転席側から視た状態を示す正面図である。
図4】車両用情報表示システムに設けられている制御システムを説明するためのブロック図である。
図5】表示用パネルに表示される画像の一例としての「ナビゲーションメニュー画面」を示す図である。
図6】表示用パネルに表示される画像の一例としての「ナビゲーション画面」を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の一形態に係る車両の車室内を示す斜視図、図2は乗員、表示用パネル及び入力用パネルの位置関係を示す側面図、図3は表示用パネル及び入力用パネルを運転席側から視た状態を示す正面図、図4は車両用情報表示システムに設けられている制御システムを説明するためのブロック図、図5は表示用パネルに表示される画像の一例としての「ナビゲーションメニュー画面」を示す図、図6は表示用パネルに表示される画像の一例としての「ナビゲーション画面」を示す図、である。なお、図中FRは車両前方を、UPは車両上方をそれぞれ示している。また、以下の説明における左右方向は、車両に着座した乗員が車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用情報表示システム10は、表示装置20を備えている。表示装置20は、自動車等の車両1の車室内に設けられ、表示用パネル30と、入力用パネル40とを備えている。なお、上記表示装置20と、表示用パネル30とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「輸送機器用表示装置」と、「表示手段」とに該当する。
【0024】
車両1は、運転席2の車両前方側に設けられるインストルメントパネル3と、運転席2とインストルメントパネル3との間に配置されるステアリングホイール4とを有している。インストルメントパネル3のうち、運転席2の車両前方側の部分には、メーターパネル3aが設けられ、このメーターパネル3aには、(アナログ式の)スピードメータやタコメータ等のメータ類3bが配置されている(図3参照)。ステアリングホイール4は、チルトレバー(図示省略)を操作することによって、上下方向に移動することが可能なように構成されている。なお、上記ステアリングホイール4が特許請求の範囲に記載の「ステアリング」に該当する。
【0025】
図1図3に示すように、表示用パネル30は、いわゆる透過型液晶パネルであって、ルーフパネル(図示省略)又はこれを覆う内装部材51に対し、ヒンジ部材等を介して取り付けられている。この表示用パネル30は、ドライバーHによる操作によって、ドライバーHの眼前に位置する使用位置と、天井面に略平行な収納位置との間で移動させることが可能となっている。
【0026】
ドライバーHは、表示用パネル30を上記使用位置に移動させた状態で、当該表示用パネル30を介して、入力用パネル40、メーターパネル3a及び車両前方側の車外等を視ることができるようになっている。なお、表示用パネル30は、透過性を考慮して、透明な部材により形成するのが好ましいが、半透明な部材により形成することも可能である。
【0027】
詳しくは後述するが、表示用パネル30には、地図情報画像などの各種画像を表示することが可能となっている。
【0028】
表示用パネル30に表示される画像は、後述するタッチパネル40a等を操作することによって、透過率を変更することができるように構成されている。また、表示用パネル30に表示される画像は、例えば、自然光などによって良好に視ることが可能となっている。
【0029】
ここで、表示用パネル30に表示される各種画像について、図3及び図5を参照して説明する。
【0030】
図3に示すように、ステアリングホイール4の所定位置(右側)には、表示用パネル側操作部6が設けられている。この表示用パネル側操作部6は、十字キー6aと、十字キー6aの下側に設けられるメニュー画面表示スイッチ6bとを有している。
【0031】
十字キー6aは、上側端部、下側端部、左側端部及び右側端部を有し、これら端部の何れかを押圧することによって、表示用パネル30に表示される画像全体の表示位置を移動させることが可能となっている。例えば、ドライバーHが上側端部を押圧し続けている場合には、押圧している間、表示用パネル30に表示される画像を上方向へスクロール移動させることが可能となっている。なお、本実施形態では、表示用パネル30に表示される画像全体を、十字キー6aを操作することによって移動させることができるように構成したが、例えば、後述するタッチパネル40aによる操作入力(例えば、フリック操作)によって移動させることができるように構成することも可能である。
【0032】
メニュー画面表示スイッチ6bは、押圧式のスイッチであって、押圧することによって、表示用パネル30に、図3に示すような「メニュー表示画面」を表示させることが可能となっている。この「メニュー表示画面」には、「NAVI」、「AUDIO」、「VIDEO」、「A/C」、「戻る」等の選択画像(アイコン画像)Iが複数表示されるようになっている。
【0033】
詳しくは後述するが、ドライバーHは、これら選択画像Iの何れかをタッチパネル40aを介して選択することによって、表示用パネル30に、当該選択画像Iに対応する機能を作動させるための初期画像を、表示させることが可能となっている。具体的に説明すると、ドライバーHが「メニュー表示画面」(図3参照)の選択画像I「NAVI」を、タッチパネル40aを介して選択した場合、表示用パネル30には、ナビゲーション機能の各種設定等を行うことが可能な「NAVI MENU画面」(図5参照)が、「メニュー表示画面」に切り替わって表示されるようになっている。
【0034】
次に、入力用パネル40について図2及び図3を参照して説明する。
図2及び図3に示すように、入力用パネル40は、操作面に対して指等を接触又は近接させることによって操作入力することが可能なタッチパネル40aと、タッチパネル40aの車両前方側の面に積層される液晶表示パネル40bとを有している。タッチパネル40a及び液晶表示パネル40bは、何れも透明な部材により形成され、それぞれ公知のものを採用することが可能である。なお、上記タッチパネル40aが特許請求の範囲に記載の「操作手段」に該当する。
【0035】
入力用パネル40は、ステアリングホイール4の上側空間部4aと略同一形状を有し、この上側空間部4aの開口周縁部に固定されている。すなわち、本実施形態において、ドライバーHは、(表示用パネル30及び)入力用パネル40を介して、メーターパネル3aを視ることが可能となっている。なお、入力用パネル40は、透明な部材の他、半透明な部材により形成することも可能である。しかしながら、表示用パネル30に表示される画像の視認性を考慮すれば、極力、透明度の高い部材により形成するのが好ましい。
【0036】
液晶表示パネル40bには、ドライバーHが、タッチパネル40aのうち、操作することが可能な領域(以下、「操作可能領域」と称す)を確認できるように、破線BLが表示されるようになっている。また、この破線BLは、表示用パネル30に表示される選択画像Iのサイズよりも若干大き目なサイズで表示されるようになっている。
【0037】
例えば、図3に示すように、表示用パネル30に「メニュー設定画面」が表示されている状態で、破線BLは、「メニュー設定画面」に表示される選択画像I(「NAVI」や「AUDIO」等)と対応する位置に表示されるようになっている。ドライバーHは、破線BLで囲まれる領域の何れかを、タッチパネル40aを介してタッチ等することによって、「メニュー設定画面」に表示される選択画像I(例えば、「NAVI」)を選択することが可能となっている。
【0038】
また、タッチパネル40aの操作可能領域及び液晶表示パネル40bに表示される破線BLは、表示用パネル30に表示される表示画像に対応(連動)して、変更されるようになっている。
【0039】
例えば、図5に示すように、ドライバーHが、タッチパネル40aのうち、「NAVI」の選択画像I(図3参照)に対応する操作可能領域をタッチ等して、表示用パネル30に、「NAVI MENU画面」が表示された場合、液晶表示パネル40bには、「NAVI MENU画面」に表示される選択画像I(例えば、「出発地・目的地の設定」の選択画像I)と対応する位置に、破線BLが表示されるようになっている。ドライバーHは、破線BLで囲まれる領域の何れかを、タッチパネル40aを介してタッチ等することにより、「NAVI MENU画面」に表示される選択画像I(例えば、「出発地・目的地の設定」)を選択することが可能となっている。
【0040】
図3に示すように、液晶表示パネル40bに表示される破線BL(及びタッチパネル40aの選択可能領域)は、ステアリングホイール4の所定位置(左側)に設けられる、入力用パネル側操作部5を操作することによって移動させることが可能となっている。
【0041】
入力用パネル側操作部5は、十字キー6aと同様な、十字型のスイッチであって、ドライバーHが、上側端部、下側端部、左側端部及び右側端部の何れかを押圧操作することによって、液晶表示パネル40bに表示される破線BL(タッチパネル40aの選択可能領域)を移動させることが可能となっている。例えば、ドライバーHが上側端部を押圧し続けている場合には、押圧している間、液晶表示パネル40bに表示される破線BLを上方向へスクロール移動させることが可能となっている。
【0042】
ドライバーHは、入力用パネル側操作部5を操作することによって、表示用パネル30を視るドライバーHの視線方向EL(図3参照)において、破線BL(液晶表示パネル40b)で囲まれる領域を、選択画像I(表示用パネル30)の廻りに位置させることができるようになっている。ドライバーHは、このような位置調整をすることにより、破線BLで囲まれる領域をタッチ等することによって当該領域に対応する選択画像Iを選択することが可能となっている。このような位置調整は、入力用パネル側操作部5による操作の他、ステアリングホイール4を上下方向に移動させることによって、また、表示用パネル側操作部6の十字キー6aを操作することによっても行うことが可能である。なお、本実施形態では、破線BLを、入力用パネル側操作部5を操作することによって移動させることができるように構成したが、例えば、タッチパネル40aによる操作入力(例えば、フリック操作)によって移動させることができるように構成してもよい。また、破線BLは、上記のような位置調整を行った後、液晶表示パネル40bに表示させないようにすることも可能である。
【0043】
次に、車両用情報表示システム10に設けられている制御システムについて図4を参照して説明する。
【0044】
図4に示すように、制御システムは、主として、表示制御基板100、表示用パネル30、入力用パネル40(タッチパネル40a及び液晶表示パネル40b)、入力用パネル側操作部5、表示用パネル側操作部6(十字キー6a及びメニュー画面表示スイッチ6b)、車両1の所定位置に設けられた操舵角センサ7、各種出力装置8、及び、送受信機9を備え、それぞれが配線ケーブルによって接続されている。
【0045】
表示制御基板100は、表示用パネル30等に設けられ、表示制御CPU101と、表示制御ROM102と、表示制御RAM103とを備えている。
【0046】
表示制御CPU101は、表示制御ROM102に予め記憶されているシステムプログラム等を読み込み、タッチパネル40a等から入力された情報に基づいて、表示用パネル30や液晶表示パネル40bに画像データを出力するとともに、タッチパネル40aに操作可能領域指定データを出力する。この際、表示制御CPU101は、必要に応じて、車両1に設けられたスピーカ等の各種出力装置8に音声データ等を出力する。
【0047】
例えば、表示制御CPU101は、メニュー画面表示スイッチ6bの押圧操作によって、メニュー画面表示信号が入力された場合、表示用パネル30に、メニュー画面表示データを出力するとともに、液晶表示パネル40bに、破線BLを表示させるための破線表示データを出力する。この際、表示制御CPU101は、タッチパネル40aに、上記破線BLによって囲まれる領域を操作可能領域とするための操作可能領域指定データを出力する。
【0048】
これにより、表示用パネル30には「メニュー表示画面」が表示され、また、液晶表示パネル40bにはメニュー表示画面の各選択画像Iと対応する位置にそれぞれ破線BLが表示されることとなる(図3参照)。また、破線BLによって囲まれる領域が操作可能な領域として有効となる。
【0049】
また、表示制御CPU101は、ステアリングホイール4の操舵角θを検出する操舵角センサ7から入力された操舵角データに基づいて、液晶表示パネル40bとタッチパネル40aとに、それぞれ、破線BLを非表示にするための非表示信号と、有効となっていた操作可能領域を無効とする操作無効信号とを出力するように構成されている。
【0050】
具体的に、表示制御CPU101は、操舵角センサ7から入力された操舵角データが、所定の範囲内(例えば、−3度≦操舵角θ≦+3度)でない場合、ステアリングホイール4が、タッチパネル40aによる操作入力をすることができない位置にあると判定して、タッチパネル40aと、液晶表示パネル40bとに、それぞれ、操作無効信号と、非表示信号とを出力する。
【0051】
これにより、表示用パネル30に、例えば、図3に示すような、「メニュー表示画面」が表示されていたとしても、液晶表示パネル40bには破線BLが表示されず、また、ドライバーHがタッチパネル40aをタッチ等してもその操作が無効とされることとなる。
【0052】
一方、ステアリングホイール4が操作されることにより、操舵角センサ7から入力されたデータが、上記所定の範囲内となった場合、表示制御CPU101は、タッチパネル40aと、液晶表示パネル40bとに、それぞれ、操作可能領域指定データと、破線表示データとを出力する。
【0053】
これにより、液晶表示パネル40bには、メニュー表示画面の各選択画像Iと対応する位置にそれぞれ破線BLが表示され、また、破線BLによって囲まれる領域が操作可能な領域として有効となる。
【0054】
表示制御ROM102は、システムプログラムを記憶している他、表示用パネル30に出力される各種画像データ、液晶表示パネル40bに出力される破線表示データ、及び、タッチパネル40aの操作可能領域を指定するための操作可能領域指定データ等を記憶している。操作可能領域指定データは、例えば、操作可能領域毎に、X軸座標○○〜△△、Y軸座標××〜□□といったような座標データが記憶されている。
【0055】
表示制御ROM102には、例えば、表示用パネル30に表示される各種画像データとして、メニュー画面表示スイッチ6bからメニュー画面表示信号が入力された場合に出力される「メニュー画面表示データ」(図3参照)、「メニュー表示画面」の「NAVI」が選択された際に出力される「NAVI MENU表示データ」(図5参照)などが階層的に記憶されている。
【0056】
また、表示制御ROM102は、上述したような、ステアリングホイール4が所定の範囲内にあるか否かを判定する際に用いる操舵角判定データ(−3度≦操舵角θ≦+3度)、車両1が停止状態から走行状態に移行したか否かを判定する際に用いる判定データ、及び、車両1が走行状態から停止状態に移行したか否かを判定する際に用いるデータ等の各種判定データも記憶している。
【0057】
表示制御RAM103は、表示制御CPU101によって実行されるプログラムや、表示制御CPU101による演算結果等を一時的に記憶する。
【0058】
送受信機9は、ナビゲーション機能を作動させた場合に、車両1の現在位置をGPS(Global Positioning System、図示省略)衛星に送信するともに、GPS衛星から送信された位置情報データを受信するものである。
【0059】
GPS衛星から位置情報データを受信した場合の制御処理については、公知であるため、詳しい説明は省略するが、簡単に説明すると、表示制御CPU101は、GPS衛星から位置情報データを受信した場合、表示用パネル30に、現在の車両位置とその周辺の地図情報を表示するように制御する(図6参照)。
【0060】
このように、本実施形態によれば、タッチパネル40aが、表示用パネル30を視るドライバーHの視線方向EL上に配置されているため、ドライバーHは、タッチパネル40aを操作する際、表示用パネル30に表示される画像を視ながら、タッチパネル40aを操作することができるように構成されている。すなわち、ドライバーHは、タッチパネル40aを操作する際に視線を移動させる必要がないため、視認性の向上を図ることが可能である。
【0061】
また、本実施形態では、タッチパネル40aが、ドライバーHの手が届く位置(ステアリングホイール4)に取り付けられているため、タッチパネル40aを操作する際の操作性を向上させることが可能である。
【0062】
さらに、本実施形態では、表示用パネル30が、運転席2に着座するドライバーHの眼前に配置されており、ドライバーHは、ステアリングホイール4に取り付けられるタッチパネル40aを、表示用パネル30を介して視ることが可能なように構成されている。このため、ドライバーHは、車両1が走行中である場合、車外(車両前方)と、表示用パネル30及びタッチパネル40aとの間で視線方向ELを殆ど移動させることなく、これら(車両前方、表示用パネル30及びタッチパネル40a)を視ることが可能である。従って、本実施形態に係る表示装置20によれば、操作性及び視認性のみならず、安全性をも向上させることが可能となる。
【0063】
なお、本実施形態では、入力用パネル40を、ステアリングホイール4に取り付けたが、入力用パネル40を操作するドライバーHの視線方向ELにおいて表示用パネル30と入力用パネル40とが重なる位置で、且つ、表示用パネル30よりも車両前方側に配置しているが、例えば、車両1のAピラー50(図1参照)や、ルーフパネル(図示省略)に取り付けることも可能である。また、これらAピラー50及びルーフパネルを車室内側から覆う内装部材51(図1参照)に取り付けることも可能である(例えば、図1に示す符号40´参照)。この際、入力用パネル40は、座席(運転席2の他、助手席等を含む)に着座する乗員の手の届く範囲に配置するのが好ましく、また、ヒンジ部材等を介して揺動自在に取り付けることも可能である。
【0064】
また、本実施形態では、表示用パネル30を、車両1のルーフパネル(図示省略)又はこれを覆う内装部材51に取り付けたが、入力用パネル40を操作するドライバーHの視線方向ELにおいて、表示用パネル30と入力用パネル40とが重なる位置で、且つ、入力用パネル40よりも車両後方側に配置していれば、例えば、車両1のAピラー50(図1参照)や当該Aピラー50を車室内側から覆う内装部材51に取り付けることも可能である。また、入力用パネル40が、ドライバーHが装着する形態であるHMD(ヘッドマウントディスプレイ)や眼鏡への投影を利用した入力用パネルであっても良い。
【0065】
また、本実施形態では、表示用パネル30に表示される選択画像Iと、タッチパネル40aの操作可能領域とを、入力用パネル側操作部5等を操作することによって、一致させるように構成したが、これに限られず、例えば、乗員の視線方向を検知する検知センサを設け、当該検知センサが視線の移動を検知した際、自動的に、表示用パネル30に表示される選択画像Iと、タッチパネル40aの操作可能領域とを一致させるように構成することも可能である。
【0066】
また、本実施形態では、表示装置20を、自動車等の車両1に設けたが、例えば、電車、飛行機等あらゆる輸送機器に設けることが可能である。
【0067】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により、本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0068】
1 車両
2 運転席
3 インストルメントパネル
3a メーターパネル
3b メータ類
4 ステアリングホイール
4a 上側空間部
5 入力用パネル側操作部
6 表示用パネル側操作部
6a 十字キー
6b メニュー画面表示スイッチ
7 操舵角センサ
8 各種出力装置
9 送受信機
10 車両用情報表示システム
20 表示装置
30 表示用パネル
40 入力用パネル
40a タッチパネル
40b 液晶表示パネル
50 Aピラー
51 内装部材
53 フロントガラス
100 表示制御基板
101 表示制御CPU
102 表示制御ROM
103 表示制御RAM
BL 破線
C1,C2 入力欄
C3 文字・数字入力欄
C4 検索キーワード表示欄
H ドライバー
EL 視線方向
P1 現在地
P2 行先地
R 最適ルート
I 選択画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6