(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の展開メカニズムが複数の重しの要素を含む結果、前記迎撃ビークルの回転による遠心力が前記複数の重しの要素を外側に射出させ、前記対抗手段の展開中に前記柔軟な受容体を拡張させる、請求項8に記載の対抗手段システム。
前記複数の展開メカニズムが複数の高抗力装置を含み、複数の高抗力装置が前記対抗手段の展開中に環境空気にさらされたとき、前記柔軟な受容体を引っ張って開くよう構成される、請求項8に記載の対抗手段システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明は携行式ロケット弾(RPG)等の向かってくる脅威を検知および無効化するためのシステムと方法に関する。既に簡単に説明したように、RPGは通常、弾頭が取り付けられたロケット弾で構成され、携行型のランチャーから発射できる。低コスト、携帯性および到死性を備えることから、RPGは構造体およびビークル内の友軍にとって脅威となる。既存の解決策は向かってくるRPGを爆発させ、巻き添え被害のさらなるリスクを発生させたり、または取り付けられた対抗手段によって生じる抗力が原因で、比較的大型で複雑な迎撃ロケットが必要となる可能性がある。
【0015】
しかしながら、本明細書の概念および技術を使用すると、ヘリコプター、地上ビークル、構造体、任意の他の友軍のアセットを、向かってくるRPGを検出し、かつ、向かってくる脅威の至近距離を通る軌道または飛行経路上で迎撃ビークルを発射するシステムを用いて保護できる。向かってくるRPGに対する指定位置において、迎撃ビークルは自身から対抗手段を展開する。展開された対抗手段がRPGの経路内で外側に拡張する間、迎撃ビークルは向かってくるRPGを通過して進む。RPGは展開された対抗手段の中に飛び込む。RPGを取り囲む対抗手段による加わる抗力並びにRPGと対抗手段の反対方向の運動量に起因して、向かってくるRPGは標的に当たらず、通常は意図した標的の手前で無害なまま地面に落ちるか、または意図された飛行経路からそれる。
【0016】
下記の詳細な説明において、添付図面を参照するが、添付図面は本明細書の一部を形成するものであり、例示、特定の実施形態又は実施例の形で示される。ここで図面を参照しながら、対抗手段システムと方法について説明していくが、複数の図面を通して同じ番号は同じ要素を表している。
図1A〜Eはビークル100に搭載され、ビークル100に接近中のRPG102または他の向かってくる脅威を迎撃するため展開される対抗手段システムの例示である。この例および本明細書中の他の例によると、向かってくる脅威はRPG102であってよい。しかしながら、向かってくる脅威は、手榴弾、ロケット弾、発射物、またはビークル100または標的に接近する非致命的なオブジェクトですらあってよい。よって、以下の開示は例示目的で、向かってくる脅威をRPG102として表現および記載しているが、本明細書に記載の実施形態は、何らかの脅威の防止に制限されず、任意の標的の保護に等しく適用できる。
【0017】
また、各種の図および対応する開示は、対抗手段システムを
図1A〜Eに示されるヘリコプター等のビークル100に設置されるものとして記載しているが、対抗手段システムは地上ビークルまたは固定構造体等の向かってくるRPG102または他の同様の脅威からの保護が必要な任意の種類の標的に用いることができる。
図1Aを見ると、この実施例はヘリコプター、すなわちビークル100を標的にしているRPG102を示す。ビークル100に搭載された脅威検出システムは、センサー検出ライン106で示されると、向かってくるRPG102を検出する。
図2を参照して詳細に説明するように、本検出システムは任意の従来のレーダーまたは他の脅威検出装置を含むことができる。
【0018】
図1Bに示すように、RPG102の検出に応答して、ビークル100上、ビークル100内、またはビークル100近傍に搭載された対抗手段システムは、対抗手段ランチャー104から迎撃ビークル108を発射する。以下に詳細に説明するように、迎撃ビークル108はロケット弾、ミサイル、迫撃砲、他の誘導型または非誘導型発射物を含んでよい。
図1Cは迎撃ビークル108の後方部から展開される対抗手段110を示す。対抗手段110は、向かってくるRPG102を捕獲またはそれ以外の方法でそらすために十分な強度のある柔軟なネット、織物、またはメッシュのような材料を含んでよい。対抗手段110については
図5を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1Dは、RPG102の経路内で完全な展開構成に拡張した対抗手段110を示す。迎撃ビークル108内に積付された構成から、RPG102を捕獲するための完全な展開構成への拡張は、迎撃ビークル108の回転による遠心力を介して、及び/又は迎撃ビークル108内の任意の数と種類の展開メカニズムまたは対抗手段110の周辺の任意の数の箇所に取り付けられた任意の数と種類の展開メカニズムを介して、生じさせることができる。これについては、以下に
図5を参照して詳細に説明する。一実施形態によると、迎撃ビークル108は対抗手段110を展開後、燃料切れになるまでRPG102を通過して進む。
【0020】
図1Eは対抗手段110に取り囲まれた捕獲されたRPG112を示す。対抗手段とRPGの接触時、対抗手段110はRPG102を包み込み、取り囲む。その後、捕獲されたRPG112はビークル100または他の意図された標的から、安全な距離において、無害なまま地面に落ちる。RPG102と対抗手段110に関係する運動量によって、捕獲されたRPG112は標的への経路からそらされ、迎撃場所でのその運動方向に対し、前方にほぼ真っ直ぐ落とす、または後方に落とすことができる。
【0021】
一実施形態によっては、RPG102は対抗手段110を完全に通過することはないが、対抗手段110のメッシュ材料を部分的に貫いてよく、RPG102を効果的に減速させまたはRPG102のコースを変更させ、その弾頭を爆発させることなくRPG102がビークル100に到達するのを防ぐことができる。別の実施形態によっては、RPG102をビークル100から十分な距離を置いたところで対抗手段110との衝撃によって爆発させ、結果的にビークル100および関連者への被害を防ぐことができる。本開示において、対抗手段システムは「発射物が展開される対抗手段システム」と記載される。この名称を使用するのは、本明細書に記載の対抗手段110はランチャーから発射された発射物(迎撃ビークル108)内に積付され、そこから展開されることを表すためである。
【0022】
図2を見ると、対抗手段システム200のコンポーネントが記載されている。上述のように、対抗手段システム200には少なくとも1つの対抗手段ランチャー104を含む。わかりやすくするため、対抗手段ランチャー104が1つのみ示されているが、ビークル100または他の構造体は任意の数の設置された対抗手段ランチャー104を有してよい。各対抗手段ランチャー104は任意の数の迎撃ビークル108A〜108Nを搭載および発射させることができる。一実施形態によっては、ヘリコプターは設置された2つの対抗手段ランチャー104を有してよく、各々が4個から6個の迎撃ビークル108を発射できる能力を有してよい。地上の構造体および地上ビークルは任意の適切な数の対抗手段ランチャー104を有してよい。地上の構造体を保護、あるいは地上ビークルを保護する場合であっても、航空機を保護する場合ほどサイズと重量に制限はないため、構造体および地上ビークルに使用する対抗手段ランチャー104は1ランチャーにつき、より多数の迎撃ビークル108を発射できる(たとえば、8個の迎撃ビークル108)。
【0023】
対抗手段システム200はまた、向かってくる脅威102の検出、当該脅威を無効化するための適切な対抗手段ランチャー104の選択、および1つ以上の迎撃ビークル108の発射に使用される脅威検出および発射制御システム202を含む。一実施形態によると、脅威検出および発射制御システム202は検出システム204およびコントローラ206を含む。
【0024】
検出システム204としては任意のレーダーシステム、ライダーシステム、光学センサーもしくは音響ベースのセンサー、電気工学システム及び/又は赤外線システム、並びに/又はビークル100に接近するオブジェクトの存在を検出する任意の適切な技術であってよい。一実施形態によると、検出システム204はミリ波及び/又はマイクロ波広角(FOV:視野角)レーダーシステムを含む。一実施形態によると、ヘリコプターまたはビークル100等の航空機に用いられるレーダーシステムは180度のFOV機能を有してよい。別の実施形態によると、地上ビークルまたは構造体に用いられるレーダーシステムは120度のFOV機能を有してよい。レーダーシステムはビークル100または他の構造体の任意の適切な場所に配置された任意の数のアンテナを使用してよい。各種実施形態によると、検出システム204は既存のヘリコプターまたは他のビークル100に現行採用されている既存のレーダーおよび脅威検出システムを搭載している。
【0025】
脅威検出および発射制御システム202はボタンもしくはスイッチ(図示せず)等の手動発射メカニズムを含んでよく、手動発射メカニズムにより操作者は、検出システム204から脅威検出がなされる前もしくは脅威検出がないときに、手動で1つ以上の迎撃ビークル108を発射できる点に留意すべきである。この実施形態では、迎撃ビークル108が誘導される場合、レーダーによって向かってくるRPG102が検知された際、コントローラ206が迎撃ビークル108を向かってくるRPG102に誘導したり、または操作者によって当該脅威に手動で誘導されたりすることができる。迎撃ビークル108が非誘導の場合、操作者が必要に応じて、迎撃ビークル108に送信される展開信号を起動する対応ボタンもしくはスイッチ(図示せず)を介して、手動で対抗手段110を展開できる。
【0026】
コントローラ206は検出システム204からの脅威検出データを受信し、それに応答して、向かってくる脅威102を無効化するための適切な対抗手段ランチャー104と対応する迎撃ビークル108を選択する、コンピュータで実行される命令を格納した任意のコンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアであってよい。コントローラ206は適切な迎撃ビークル108の電子システム210A〜210N(まとめて210という)に対する発射ソリューションを決定および提供するよう稼動する。発射ソリューションは迎撃ビークル108を標的に向かわせるためのガイダンスデータおよび対抗手段110がいつ迎撃ビークル108から展開または解放されるかに関する命令を提供する対抗手段展開情報を含んでよい。
【0027】
本明細書に記載の概念は、向かってくるRPG102により標的にされているビークル100から保護用の迎撃ビークル108を発射するためだけでなく、別のビークル100、構造体、もしくは他の標的を標的にしているRPG102を迎撃するため、ビークル100から迎撃ビークル108を発射するためにも使用できる点に留意すべきである。これらの実装においては、発射ソリューションのガイダンスデータには、迎撃ビークル108から対抗手段110が展開される際、対抗手段110とRPG102が適切に整列されるよう、迎撃ビークル108が旋回または機首方位変更を行うための命令を含んでよい。
【0028】
一実施形態によると、対抗手段展開情報は、対応する迎撃ビークル108の電子システム210に対し、迎撃ビークル108の発射後、迎撃ビークル108が指定数の回転を行った後、対抗手段110を展開するよう命令してよい。代替の実施形態によると、当該命令は迎撃ビークルの発射後、指定時間経過後に対抗手段110の展開をトリガしてよい。
【0029】
さらに代替の実施形態によると、当該命令はコントローラによって提供されるか、または迎撃に搭載されるコンピュータで読み取り可能な記憶媒体上にあらかじめ格納されていてよく、かつ、当該命令は電子システム210に対し、保護されるアセットからの指定距離内で対抗手段110を展開するよう、またはRPG102への指定近接度内で対抗手段110を展開するよう命令できる。前記指定距離は、向かってくるRPG102または他の脅威の爆発が何らの被害も起こさない、ビークル100または他の保護されるアセットからの距離に一致してよい。この距離は一般的な爆発特性および向かってくるRPGの爆発に関連する被害半径予測並びに、向かってくるRPG102、迎撃ビークル108、およびビークル100の飛行特性、迎撃ビークル108と対応する対抗手段110の展開特性等の当てはまるあらゆる条件を考慮して決められる。
【0030】
迎撃ビークル108の向かってくるRPG102への近接度は、迎撃ビークル108に搭載された近接度センサーまたは他の従来のレーダーまたは適切な検出システムによって検出できる。または、迎撃ビークル108のRPG102への近接度は、ビークル100に関連付けられた検出システム204から特定され、かつ、迎撃ビークル108の発射前または後に、迎撃ビークル108に送信されてよい。各種実施形態によると、脅威検出および発射制御システム202は迎撃ビークル108の電子システム210に対し、向かってくるRPG102の速度に従い決定されたタイミングまたは距離で対抗手段110を展開するよう命令してよい。対抗手段110の展開は、迎撃ビークル108の回転数によってトリガされてよく、あるいは向かってくるRPG102の速度とビークル100からの対応する距離に基づく時間遅延によってトリガされてよい。
【0031】
上述のように、各対抗手段ランチャー104には任意の数の迎撃ビークル108A〜108Nが搭載できる。一実施形態によると、迎撃ビークル108A〜108Nには対応する対抗手段110A〜110N、推進システム208A〜208N(まとめて208という)、および電子システム210A〜210Nが含まれてよい。ここで
図3A〜3Cを見ると、これらのコンポーネントが詳細に示されている。
【0032】
図3Aは、一実施形態に係る展開前の構成310における迎撃ビークル108の側断面図である。この例では、迎撃ビークル108は略円筒形で、空力ノーズコーン308を有する。迎撃ビークル108は前述の電子システム210のためのコンパートメントを有する。既述のとおり、電子システム210は脅威検出および発射制御システム202とのやり取り、および向かってくるRPG102を迎撃する際適切なタイミングでの対抗手段110の展開の起動に使用される任意の種類のガイダンス、通信、電力、または他のコンポーネントを含んでよい。
【0033】
推進システム208には対抗手段ランチャー104からRPG102へと迎撃ビークル108を推進させるコンポーネントを含んでよい。
図3Aに示すように、推進システム208には排気ノズル304に加え、固形燃料プロペラント等の燃料302用のコンパートメントまたはタンクを含んでよい。迎撃ビークル108の所望の飛行パラメータに基づき任意の構成の排気ノズル304であってよく、また任意の適切な種類および量の燃料302を使用してよい。
【0034】
各種実施形態によると、対抗手段110は、迎撃ビークル108の後方部309にある、排気ノズル304を囲む対抗手段コンパートメント311内に積付できる。対抗手段コンパートメント311は1つ以上の取り外し可能なパネル307と外側が隣接し、かつ、排気ノズル304または関連コンポーネントと内側が隣接してよい。対抗手段110は対抗手段コンパートメント311内部の迎撃ビークル108の後方部309を囲む1つ以上の取り外し可能なパネル307の下に、包み込まれ、折りたたまれ、あるいはそれ以外の構成にして積付できる。図および説明では対抗手段コンパートメント311は迎撃ビークルの後方部309に配置されているが、対抗手段コンパートメント311を迎撃ビークルの中央部または前方部に配置しても、本発明の範囲内である。
【0035】
電子システム210が対抗手段110の展開をトリガすると、取り外し可能なパネル307は電気機械手段、爆発手段、またはその他の手段を介して押し出される。取り外し可能なパネルが押し出されると、対抗手段110は自由に展開できるが、その点については詳細に後述する。迎撃ビークル108の正確な寸法と他のパラメータは、他の設計基準の中でも、所望の対抗手段110の特性ならびに迎撃ビークル108が対抗手段110を解放かつ展開する速度および距離によって決まる。
【0036】
図3Bは迎撃ビークル108の飛行中の構成312を示す。
図3Bの迎撃ビークル108の周囲にある大きな空白矢印は、一実施形態に係る迎撃ビークル108がその縦軸に沿った回転スピンを通して飛行中安定化されることを示す。前記スピンはノズル羽または排気ノズル304に関連付けられた他の要素によって誘発されてよく、対抗手段ランチャー104内または他の任意の従来の手段でライフリングされてよい。このスピンは迎撃ビークル108の安定を図るだけでなく、
図3Cにあるように対抗手段110の展開も補助する。
【0037】
図3Cは対抗手段110が迎撃ビークル108の後方部309から展開されている、展開構成314を示す。各種実施形態によると、任意の種類と数の展開メカニズム306を対抗手段110の1つ以上の端部または部分に固定して、対抗手段110の完全な展開および拡張を補助できる。各種展開メカニズム306については
図5を参照して詳細に説明する。一実施例では、展開メカニズム306には、対抗手段110の周辺に固定された任意の数の重しまたは重しの要素を含むことができる。取り外し可能なパネル307が対抗手段110の展開を起動するため押し出されたとき、迎撃ビークル108の回転による遠心力により、対抗手段110の周辺にある重しに対し外側に動く力が生じる。重しの要素の外側への動きにより、対抗手段110を効果的に完全な展開構成へと拡張させる。対抗手段110が完全に展開する間、重しは回転し続ける。この持続的な回転によって、対抗手段110が回転していない場合よりも、対抗手段110をより長い時間開いた状態にできる。さらにこの回転により、対抗手段110の安定効果ももたらされる。結果的に、対抗手段110は比較的長い時間、向かってくるRPG102の飛行経路内で拡張されたまま適所にとどまり、RPG102の捕獲成功率が最大化されることになる。
【0038】
図3Dは、対抗手段110が迎撃ビークル108から展開され分離されて、かつ、向かってくるRPG102を捕獲した後の、残る迎撃ビークル108の展開後の構成316を示す。対抗手段110は迎撃ビークル108から完全に取り外し可能であり、当該発射物に固定されたりまたは牽引されたりしないため、迎撃ビークル108のサイズ、重量、および対応コストを最小限にできる。
【0039】
図4Aは別の実施形態に係る迎撃ビークル108の展開前の構成310および飛行中の構成312をそれぞれ示す。
図4Bはこの実施形態に係る迎撃ビークル108の展開構成314を示す。この実施形態においては、迎撃ビークル108は飛行中の迎撃ビークル108を安定化するため、回転運動ではなく、安定板402を使用する。この実施形態の安定板402は、迎撃ビークル108の後方部309の近傍に配置してよいが、対抗手段110を格納する取り外し可能なパネル307の前方に配置するようにする。
図4Bにあるように、安定板402を取り外し可能なパネル307の前方に配置すると、安定板は、取り外し可能なパネル307の押し出しまたは対抗手段110の展開の妨げにならない。また、安定板402を斜めに切って、
図3Bを参照して前述した迎撃ビークル108の回転飛行特性を生成することができる。
【0040】
あるいは、安定板402の後方部は、積付された対抗手段110を亘って後方に伸びてよいが、対抗手段110の展開の妨げとならないよう、安定板の後方部が迎撃ビークル108に接触しない状態にしておく。安定板402の正確な形状、寸法、数、配置は特定の適用により異なり、
図4Aと4Bに示すものに制限されない。
【0041】
図5は、拡張された完全な展開構成における対抗手段110の平面図であり、各種実施形態の例として様々な展開メカニズム306A〜306Dが示されている。
図5に示されるように、対抗手段110には柔軟な受容体502が含まれ、柔軟な受容体502の周辺の複数の箇所には展開メカニズム306が取り付けられている。柔軟な受容体402は、積付された構成(
図1B、3A、4A)に折りたたみ可能または圧縮可能で、かつ、展開構成(
図1Dおよび5)に拡張可能で、同時に迎撃ビークル108から展開された時に、RPG102または他の向かってくる脅威を捕獲または爆発させるために十分な材料強度を持つ任意の材料で作成されてよい。受容体の材料として適切な例としては、限定はしないが、各種の軽金属、炭素繊維フィラメント、モノフィラメントライン、ナイロン、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンならびに各種他のポリマー、複合材および金属が挙げられ、これらは単体もしくは組み合わせてよい。材料強度の正確な値は既知の技術を用いて容易に決定できる。柔軟な受容体502は、所望の強度を付与し、積付時の対抗手段110のサイズを最小化し、かつ、展開時の空気抵抗を減らす網もしくはメッシュ材料で作成できる。同様の対抗手段が2011年1月28日に出願された関連する同時係属の米国特許出願第13/016608号に図示および説明されている。
【0042】
図5の上から見た展開構成の対抗手段110の形状は六角形であるが、形状は円形、楕円形であってよく、または任意の数の辺を含んでよく、対称的もしくは非対称的であってよい。対抗手段110は完全な拡張時、平らに広げられても、または柔軟な受容体502内に「ポケット」を形成するよう深さを有してもよい。一実施形態によると、柔軟な受容体502は対抗手段110のおよそ中央に積付穴504を含む。この穴は対抗手段110を、排気ノズル304の周囲の迎撃ビークル108の後方部309に通し、取り外し可能なパネル307の下部に、折りたたまれ、または包み込まれて積み付けされる。
【0043】
図1Cおよび1Dに示されるように、RPG102に迎撃ビークル108を衝突させるのではなく、RPG102を通過させるため、迎撃ビークル108の飛行経路は、RPG102の向かってくる飛行経路とはわずかにずれていてよいため、RPG102が柔軟な受容体502に入る位置は対抗手段110の中央からずれている可能性がある。したがって、積付穴504は、RPG102が対抗手段110を逃れる可能性のある手段とはならない。さらに、RPG102が柔軟な受容体502にずれて入ることによって、RPG102の飛行経路の迅速な変更に寄与し得る。RPG102の対抗手段110への入る位置がずれていることに起因して、柔軟な受容体502の対辺上の展開メカニズム306は、RPG102を様々な速度で取り囲み、これによってRPG102を回転させ、意図したコースからRPGをそらせて方向付けるような角運動量を形成する。
【0044】
上述のように、本発明で想定される展開メカニズム306は様々な種類がある。説明の意図で、各種の展開メカニズム306A〜306Dが
図5に例示されている。本発明は、図示および本明細書に記載の展開メカニズム306A〜306Dの種類および特徴に限定されない点に留意すべきである。遠心力、空力抵抗もしくは揚力、または任意の他の適切な手段を介して柔軟な受容体502を拡張させるために任意の種類および数の要素を使用できる。
【0045】
展開メカニズム306Aには、柔軟な受容体502に直接もしくはテザーを介して取り付けられた重しまたは重しの要素を含むことができる。この実装では、任意の数の展開メカニズム306Aを柔軟な受容体502の角もしくは周辺に取り付けることができる。これらの重しは、迎撃ビークル108の排気ノズル304の周りに積付けしやすいよう、形を適合させたり、成形したりできる。展開メカニズム306A(他のすべての展開メカニズム306も)の正確なサイズおよび重量は、迎撃ビークル108の積付スペースと対応するペイロード重量を最小化しつつ、対抗手段110の展開後の迅速な拡張を可能にする値に最小化できる。
【0046】
展開メカニズム306Bは展開メカニズム306Aと類似のものであってよい。しかしながら、展開メカニズム306Bは、柔軟な受容体502の複数の角もしくは柔軟な受容体502の周辺の複数の箇所へのどのような取り付けが可能かを示している。さらに、展開メカニズム306Bはデタッチメントパネル307を含むことができると想定できる。この実施形態では、迎撃ビークル108上のデタッチメントパネル307は、対抗手段110の柔軟な受容体502の周辺の箇所に束縛またはそれ以外の方法で取り付けられてよい。このように、デタッチメントパネル307が押し出されたとき、風の抵抗及び/又はパネルの重量に遠心力が加わり、デタッチメントパネル307に外側に動く力を生じさせ、柔軟な受容体502を完全な展開構成へと拡張させる。
【0047】
展開メカニズム306Cは、柔軟な受容体502の周辺の複数の箇所に直接取り付けられた任意の数、形状、サイズの複数の重しを使用する。この実施形態では、展開メカニズム306Aを参照して説明した重しに比較して、より小さな複数の重しが想定されており、対抗手段110の端部に直接結合される。
【0048】
展開メカニズム306Dは、柔軟な受容体502の周辺の複数の箇所に取り付けられた小さなパラシュートまたは他の高抗力装置を使用する。これらの小さなパラシュートは環境空気にさらされたとき、膨らみ、対抗手段110を展開構成へと引っ張るよう動作する。この特定の展開メカニズム306Dは、回転による安定化飛行ではなく、安定板402を有する迎撃ビークル108と使用すると特に便利である。これらおよび他の展開メカニズム306A〜306Dのいずれもが実装によって単独で使用できたり、または組み合わせて使用できたりする点に留意すべきである。上記のパラシュート等の抗力強化装置を使用する利点は、RPG102の前進運動が停止するまで、これら装置がRPG102に作用し続ける点にある。RPG102を捕獲後、小さなパラシュートもしくは他の抗力強化装置は、RPG102の意図した標的に対する影響が十分不足するまで、RPG102を減速させる補助をし続ける。
【0049】
ここで
図6に注目し、発射物が展開される対抗手段システムを用いて向かってくる脅威を無効化するための例示の手順600について説明する。
図6で示し、本明細書に説明されるものより、多くのまたは少ない作業が行われる場合があることに留意すべきである。さらに、これらの作業は本明細書で説明するのとは異なる順番で行うこともできる。手順600は作業602から開始し、対抗手段110が迎撃ビークル108に搭載される。上述したように、この作業には対抗手段110の積付穴504から対抗手段を迎撃ビークル108の後方部309に通し、かつ、柔軟な受容体502と対応する展開メカニズム306を折りたたみまたは包み込んで所定の位置に配置し、かつ、迎撃ビークル108の取り外し可能なパネル307に固定することが含まれる。
【0050】
手順600は作業602から作業604へと続き、作業604では迎撃ビークル108が対抗手段ランチャー104に搭載される。作業606で、RPG102または他の向かってくる脅威が検出される。この検出はレーダーシステム等の検出システム204を用いて行うことができ、あるいはビークル100の乗員の視覚的検出であってもよい。作業606で、コントローラ206が向かってくる脅威102の該当するアプローチゾーンを特定する。
【0051】
手順600は作業606から作業608へと続き、作業608ではコントローラ206によって発射ソリューションが計算される。発射ソリューションは向かってくるRPG102に対応する任意の量および種類のデータを用いて計算することができる。 限定はしないが、例としてはRPGのサイズ、種類、位置、速度、ベクトル、加速度、衝突時間、またはRPG102もしくは他の向かってくる脅威に関連する任意の他の該当データもしくは所望データが挙げられる。発射ソリューションを使用し、作業610で迎撃ビークル108を発射させることができる。作業612において、電子システム210は発射前にコントローラ206からの発射ソリューションを受信後、自律的に取り外し可能なパネル307の押し出しならびに特定時間と特定場所における後続の対抗手段110の展開をトリガするか、あるいは電子システム210は脅威の迎撃中にコントローラ206からのリアルタイムの命令を受信した際、取り外し可能なパネル307の押し出しならびに特定時間と特定場所における後続の対抗手段110の展開をトリガする。対抗手段110の展開によってRPG102が捕獲され、手順600は終了する。
【0052】
もっぱら説明目的ためであるが、1例のシナリオについて記載し、
図1A〜Eに示された、向かってくる脅威を検出および無効化するために、本明細書の対抗手段システム200をどのように使用できるかを示す。
図1A〜Eに戻り、この例示について詳細に説明する。この例示に関する時間、速度、距離を含め、対抗手段システム200の正確な仕様は、対抗手段システム200の特定の実装によって異なる可能性がある。この例示は限定的なものではない。
【0053】
この例示では
図1Aに示すように、向かってくる脅威102、RPGが、ビークル100、ヘリコプターに対し、発射される。ここで時間=0秒とする。ヘリコプターに搭載された対抗手段システム200の脅威検出および発射制御システム202がRPGの発射を検出し、RPGの追跡を開始し、RPGに対し対抗手段ランチャー104を斜めに出す。ここでおよその時間=0.2秒とする。時間=0.38秒で、RPGへのレーダー追跡が完了し、衝突時間が計算され、迎撃範囲が計算される。この対抗手段展開情報は迎撃ビークル108の電子システム210に送信される。時間=0.42秒で、
図1Bに示すように迎撃ビークル108が対抗手段ランチャー104から発射される。
【0054】
図1Cでは時間=0.57秒となっており、ヘリコプターから約30メートル離れた位置で、対抗手段110が迎撃ビークル108から展開される。
図1Dでは時間=0.69秒となっており、ヘリコプターから約62メートル離れた位置で、対抗手段110が向かってくるRPGの経路内で完全に展開される。時間=0.85秒で、RPGが対抗手段110の柔軟な受容体502に衝突し、からまって減速する。
図1Eに、およその時間=1秒におけるRPGが示されており、RPGは意図したコースから約10〜15メートルそれており、約50〜90度だけコースからそれた位置に合わせされており、標的のヘリコプターに当たらない。この例に示される飛行時間は単に説明のためだけのものであり、向かってくる脅威102の射程距離、所望の迎撃範囲、および脅威検出方法(受動的な脅威警告に対し動的レーダー等)等の各種要因(限定せず)によって大きく異なり得る。
【0055】
本開示に係る発明の一態様によると、推進システムおよび対抗手段コンパートメントを含む迎撃ビークルを含む対抗手段システムがもたらされる。前記迎撃ビークルは対抗手段ランチャーから発射されるよう構成され、かつ、対抗手段は柔軟な受容体を含み、前記迎撃ビークルの前記対抗手段コンパートメント内に取り外し可能に積付するよう構成される。
【0056】
前記対抗手段システムがさらに、前記迎撃ビークルが排気ノズルを有するロケット弾またはミサイルを含み、前記対抗手段コンパートメントが少なくとも前記排気ノズルの一部を囲む仕様にすると有利である。
【0057】
前記対抗手段システムがさらに、向かってくる脅威を検出し、向かってくる脅威を迎撃するため迎撃ビークルを発射するよう動作する脅威検出および発射制御システムを含むと有利である。
【0058】
前記対抗手段システムがさらに、前記脅威検出および発射制御システムが前記向かってくる脅威を検出するよう動作する検出システム、および前記迎撃ビークルを前記向かってくる脅威に誘導するよう動作するコントローラを含む仕様にすることが好ましい。
【0059】
前記対抗手段システムがさらに、前記迎撃ビークルが前記対抗手段コンパートメントを取り囲む複数の取り外し可能なパネルおよび前記対抗手段を展開するため前記取り外し可能なパネルを解放するよう動作する電子システムとを含み、前記コントローラがさらに、前記迎撃ビークルからの前記複数の取り外し可能なパネルの解放に相当する対抗手段展開情報を前記電子システムに供給するよう動作する仕様にすることが好ましい。
【0060】
前記対抗手段システムがさらに、前記対抗手段展開情報が、前記迎撃ビークルの発射後、前記迎撃ビークルの指定回転数の後、前記複数の取り外し可能なパネルを解放するよう前記電子システムに指示する命令を含む仕様にすることが好ましい。
【0061】
前記対抗手段システムがさらに、前記対抗手段展開情報が、前記迎撃ビークルの発射後、指定時間経過後、前記複数の取り外し可能なパネルを解放するよう前記電子システムに指示する命令を含む仕様にすることが好ましい。
【0062】
前記対抗手段システムがさらに、前記対抗手段展開情報が、前記対抗手段ランチャーからの指定距離内または前記向かってくる脅威からの指定距離内で、前記複数の取り外し可能なパネルを解放するよう前記電子システムに指示する命令を含む仕様にすることが好ましい。
【0063】
前記対抗手段システムがさらに、複数の迎撃ビークルを積付および発射するよう構成された前記対抗手段ランチャーを含むことが有利である。
【0064】
前記対抗手段システムがさらに、前記迎撃ビークルが、飛行中、迎撃ビークルの縦軸に沿って回転するよう構成される仕様にすることが有利である。
【0065】
前記対抗手段システムがさらに、前記迎撃ビークルがさらに前記対抗手段コンパートメントに隣接して配置された複数の安定板を含む仕様にすることが有利である。
【0066】
前記対抗手段システムがさらに、前記対抗手段がさらに前記柔軟な受容体に固定され、展開中前記柔軟な受容体を拡張させるよう構成された複数の展開メカニズムを含む仕様にすることが有利である。
【0067】
前記対抗手段システムがさらに、前記複数の展開メカニズムが複数の重しの要素を含む結果、前記迎撃ビークルの回転による遠心力が前記複数の重しの要素を外側に射出させ、前記対抗手段の展開中に前記柔軟な受容体を拡張させる仕様にすることが好ましい。
【0068】
前記対抗手段システムがさらに、前記複数の展開メカニズムが複数の高抗力装置を含み、前記複数の高抗力装置が前記対抗手段の展開中に環境空気にさらされたとき、前記柔軟な受容体を引っ張って開くよう構成される仕様にすることが好ましい。
【0069】
前記対抗手段システムがさらに、前記複数の展開メカニズムが前記対抗手段コンパートメントを取り囲む複数の取り外し可能なパネルを含む仕様にすることが好ましい。
【0070】
本開示に係る発明の一態様によると、向かってくる脅威を無効化するための方法がもたらされる。前記方法は、前記向かってくる脅威を検出すること、前記向かってくる脅威を迎撃するため迎撃ビークルを発射すること、および前記対抗手段が前記迎撃ビークルから解放かつ分離されるように前記迎撃ビークルから対抗手段を展開することを含み、前記対抗手段が前記向かってくる脅威を捕獲するため前記迎撃ビークルからの前記対抗手段の解放時に、拡張するよう構成された柔軟な受容体を含む。
【0071】
前記方法はさらに、前記対抗手段を展開することが、前記対抗手段を積付する対抗手段コンパートメントを囲む複数の取り外し可能なパネルを解放することを含み、その結果、前記対抗手段が前記迎撃ビークルの周囲の環境空気にさらされる仕様にすることが有利である。
【0072】
前記方法はさらに、前記対抗手段がさらに前記柔軟な受容体の周辺に結合された複数の重しの要素を含み、その結果、前記対抗手段が前記環境空気にさらされたとき、遠心力が前記複数の重しの要素を外側に放出させ、前記向かってくる脅威を受け止めるため前記柔軟な受容体を拡張する仕様にすることが好ましい。
【0073】
前記方法はさらに、前記対抗手段がさらに前記柔軟な受容体の周辺に結合された複数の高抗力装置を含み、その結果、前記対抗手段が前記環境空気にさらされたとき、前記複数の高抗力装置が、前記向かってくる脅威を受け止めるため前記柔軟な受容体を引っ張って開く仕様にすることが好ましい。
【0074】
本開示に係る発明の一態様によると、対抗手段システムがもたらされる。前記対抗手段システムは対抗手段ランチャー、柔軟な受容体、前記柔軟な受容体の周辺に結合された複数の展開メカニズムを含む対抗手段、前記対抗手段ランチャーから発射される構成の迎撃ビークルであって、排気ノズル、前記排気ノズルを少なくとも部分的に取り囲みかつ前記対抗手段を受け入れる構成の対抗手段コンパートメント、前記対抗手段コンパートメントを取り囲む複数の取り外し可能なパネルを含む推進システムおよび、前記対抗手段の展開中に前記複数の取り外し可能なパネルを解放するよう動作する電子システムを含む迎撃ビークル、ならびに前記電子システムに通信可能に結合され、かつ、向かってくる脅威を検出し、前記迎撃ビークルを発射させ、前記迎撃ビークルを前記対抗手段の展開のための位置まで誘導し、前記電子システムに対し命令を提供するよう動作する脅威検出および発射システムであって、その結果前記電子システムが前記命令に従って、前記対抗手段を展開するため前記複数の取り外し可能なパネルを解放する脅威検出および発射システムと、を含む。
【0075】
上記の本発明は例示の形でのみ提示されており、限定的なものと解釈されるべきではない。説明および記載した例示の実施形態および用途に従うことなく、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の本発明に対し様々な修正および変更を加えることができる。本発明の真の精神および範囲は後に続く特許請求の範囲で画定される。