特許第6236250号(P6236250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236250
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】折り畳みコンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20171113BHJP
   B65D 6/10 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B65D6/18 C
   B65D6/10
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-165266(P2013-165266)
(22)【出願日】2013年8月8日
(65)【公開番号】特開2015-34027(P2015-34027A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩井 真人
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−118529(JP,A)
【文献】 特開2002−205736(JP,A)
【文献】 特開2000−025753(JP,A)
【文献】 特開昭51−014490(JP,A)
【文献】 特開2002−139193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/00−13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空構造を形成する合成樹脂製の中空板材からなり、四角板状の底壁と、前記底壁の周縁に立設される対向する各一対の第1側壁及び第2側壁を備える四角箱状のコンテナであって、前記底壁上に前記第1側壁及び前記第2側壁を折り畳み可能に構成された折り畳みコンテナにおいて、
前記第側壁は、前記底壁から立設されていて前記中空板材からなる側壁部と、射出成形によって形成されていて前記側壁部における前記第側壁側の両側部にそれぞれ固定される一対の係合部材とを含み、
前記一対の係合部材は、前記側壁部の側縁が挿入されて該側縁における立設方向における全体を覆う挿入凹部が前記側壁部側の内側端面に形成されている固定壁部と、該固定壁部の前記内側端面とは反対側の側縁から他の第側壁側に突出した係合壁部とを有し、
前記固定壁部の前記底壁側の下端面には所定間隔をおいて一対の回動軸部が設けられており、
前記回動軸部における両側部には側方へ突出する軸体が形成されており、
前記軸体は、前記底壁に回動可能に軸支されており、
前記第1側壁及び前記第2側壁の下縁には、前記底壁に対して熱曲げにより屈曲されてなる熱曲げ部が設けられ、
前記第1側壁及び前記第2側壁における前記熱曲げ部の上部には、各側壁の幅方向に延びる切込部が設けられ、
前記切込部において前記第1側壁及び第2側壁が内方へ回動可能に構成されていることを特徴とする折り畳みコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の中空板材からなる四角箱状の折り畳みコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、軽量化等の観点から、合成樹脂製の中空板材(例えば、特許文献1参照)から構成された折り畳みコンテナが利用されている。上記折り畳みコンテナは、四角板状の底壁と、底壁の周縁に立設される第1側壁及び第2側壁とを備える四角箱状に形成されている。そして、各側壁に対して外面側から設けられた切込部(ハーフカット)をヒンジ部位として、底壁上に第1側壁を重ねるとともに、第1側壁上に第2側壁を重ねて折り畳むことが可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−231761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切込部により構成されるヒンジ部位を備える上記折り畳みコンテナにおいては、切込部の周辺部分の強度が低下する結果、ヒンジ部位の耐久性が低くなる傾向がある。
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、切込部により構成されるヒンジ部位の耐久性を高めることのできる折り畳みコンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の折り畳みコンテナは、内部に中空構造を形成する合成樹脂製の中空板材からなり、四角板状の底壁と、前記底壁の周縁に立設される対向する各一対の第1側壁及び第2側壁を備える四角箱状のコンテナであって、前記底壁上に前記第1側壁及び前記第2側壁を折り畳み可能に構成された折り畳みコンテナにおいて、前記第側壁は、前記底壁から立設されていて前記中空板材からなる側壁部と、射出成形によって形成されていて前記側壁部における前記第側壁側の両側部にそれぞれ固定される一対の係合部材とを含み、前記一対の係合部材は、前記側壁部の側縁が挿入されて該側縁における立設方向における全体を覆う挿入凹部が前記側壁部側の内側端面に形成されている固定壁部と、該固定壁部の前記内側端面とは反対側の側縁から他の第側壁側に突出した係合壁部とを有し、前記固定壁部の前記底壁側の下端面には所定間隔をおいて一対の回動軸部が設けられており、前記回動軸部における両側部には側方へ突出する軸体が形成されており、前記軸体は、前記底壁に回動可能に軸支されており、前記第1側壁及び前記第2側壁の下縁には、前記底壁に対して熱曲げにより屈曲されてなる熱曲げ部が設けられ、前記第1側壁及び前記第2側壁における前記熱曲げ部の上部には、各側壁の幅方向に延びる切込部が設けられ、前記切込部において前記第1側壁及び第2側壁が内方へ回動可能に構成されている。
【0006】
熱曲げ部は第1側壁及び第2側壁における他の部位よりも内部の密度が高いことから、熱曲げ部を設けることにより第1側壁及び第2側壁の下部の強度が高くなる。これにより、ヒンジ部位として機能する切込部に作用する荷重(負荷)を、切込部の直下に位置する熱曲げ部及びその周辺部位、即ち強度の高められた部位にて支持させることができる。その結果、切込部に作用する負荷が低減されてヒンジ部位の耐久性が向上する。
【0007】
また、上記構成によれは、第1側壁の低い位置(例えば、底壁の内面と略同一の高さ位置)に切込部を形成することが可能になる。これにより、折り畳み時におけるコンテナ10の折り畳み高さを低くすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の折り畳みコンテナによれば、切込部により構成されるヒンジ部位の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一方の第2側壁(長側壁)を立設させた折り畳みコンテナの斜視図。
図2】折り畳みコンテナの斜視図。
図3】本体部の斜視図。
図4】(a)は中空板材の断面図、(b)は熱曲げ部の断面図、(c)は第1側壁(短側壁)の切込部周辺の断面図、(d)は第2側壁(長側壁)の切込部周辺の断面図。
図5】(a),(b)は、第1係合部材(短側係合部材)の斜視図。
図6】(a),(b)は第2係合部材(長側係合部材)の斜視図。
図7】(a)は嵌合部材の斜視図、(b)は7b−7b線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の折り畳みコンテナを図面に基づいて説明する。
図2に示すように、上方に開口する有底箱状の折り畳みコンテナ10(以下、単にコンテナ10と記載する。)は、長四角板状の底壁11と、底壁11の対向する短側縁に沿って立設された一対の短側壁12(第1側壁)と、底壁11の対向する長側縁に沿って立設された一対の長側壁13(第2側壁)とを備えている。このコンテナ10は、図1に示すように、一対の短側壁12を底壁11上に重ねて折り畳んだ後、一対の長側壁13を短側壁12上に重ねて折り畳むことによって、折り畳み可能に構成されている。
【0011】
図3に示すように、コンテナ10は、中空構造を有する合成樹脂製の中空板材からなる本体部10aを備えている。本体部10aは、底壁11を構成する底壁部11aと、底壁部11aの短側縁に沿って立設され、短側壁12を構成する短側壁部12a(第1側壁部)と、底壁部11aの長側縁に沿って立設され、長側壁13を構成する長側壁部13a(第2側壁部)とを備えている。
【0012】
図4(a),(b)に示すように、本体部10aを構成する中空板材は、内部に中空構造を形成するコア層21と、コア層21の両面に接合されるスキン層22,23とを備えている。そして、本体部10aは、底壁部11aとなる長四角部分の四側縁に短側壁部12aとなる部分及び長側壁部13aとなる部分をそれぞれ一体にした十字状の中空板材を用意し、この中空板材について、底壁部11aとなる部分の四側縁に沿って屈曲させることによって、底壁部11a、短側壁部12a、及び長側壁部13aを有する箱状に形成されている。
【0013】
短側壁部12aの下縁には、底壁部11aに対して熱曲げにより屈曲されてなる熱曲げ部25が形成されている。具体的には、上記十字状の中空板材に対して、底壁部11aとなる部分の側縁に沿って、内面を押しつぶすようにして略V字形状の凹部24を設ける。この凹部24は、例えば加熱刃を押し当てることにより形成することができる。そして、凹部24にて中空板材を屈曲させるとともに、屈曲されることにより互いに対向する、凹部24の底壁部11a側の内面と短側壁部12a側の内面とを熱圧着することによって熱曲げ部25が形成される。また、長側壁部13aの下縁にも同様の熱曲げ部25が形成されている。
【0014】
図1及び図2に示すように、本体部10aに対して、射出成形やブロー成形等により別体として成形される各種部材が取り付けられることによって、コンテナ10が構成されている。具体的には、本体部10aの短側壁部12aの上部に短側係合部材30(第1係合部材)が取り付けられて、短側壁部12aと短側係合部材30とによってコンテナ10の短側壁12が構成されている。
【0015】
また、本体部10aの長側壁部13aの両側部に長側係合部材50(第2係合部材)が取り付けられるとともに、長側壁部13aの上部に上縁フレーム60が取り付けられている。そして、短側壁部12aと長側係合部材50と上縁フレーム60とによってコンテナ10の長側壁13が構成されている。また、本体部10aの底壁部11aの隅部に嵌合部材70が取り付けられて、底壁部11aと嵌合部材70とによってコンテナ10の底壁11が構成されている。
【0016】
次に、短側壁12ついて記載する。
図3に示すように、短側壁12を構成する短側壁部12aは、横長四角形状に形成されるとともに、その上部両側部に対して、短側係合部材30を取り付けるための挿入突部121がそれぞれ設けられている。
【0017】
図5に示すように、短側壁12を構成する短側係合部材30は、正面視略四角形状の板状部材である。図5(b)に示すように、短側係合部材30の下端面の両側部には、短側壁部12aの挿入突部121を挿入するための挿入凹部31が設けられている。
【0018】
図5(a)に示すように、短側係合部材30の外面側の両側部には、上下方向に延びる係合凹部32がそれぞれ設けられている。係合凹部32内には、短側係合部材30の厚さ方向に突出する3つの突部33が上下に並設されている。
【0019】
また、短側係合部材30の外面側の上部には、左右方向に延びる収容凹部34が設けられている。短側係合部材30の外面側において、収容凹部34と係合凹部32とは、間に区画壁35を挟んで区画形成されている。区画壁35における突部33よりも上方に位置する部位には、区画壁35を貫通する挿通孔35aが形成されている。
【0020】
短側係合部材30の収容凹部34内にはロックバー36が収容されている。ロックバー36は、収容凹部34内を上下方向にスライド移動可能に配置される四角板状の部材である。ロックバー36の両側端面には、区画壁35の挿通孔35aに挿通されて係合凹部32に突出する係合部36aが設けられている。また、ロックバー36の下端面には、収容凹部34内において、ロックバー36を上方へ付勢する一対の付勢板36bが一体形成されている。また、短側係合部材30の中央部には、コンテナ10を把持する際に指を挿入するための把持孔37が貫通形成されている。
【0021】
図3及び図4(c)に示すように、短側壁12を構成する短側壁部12aの下部おいて、底壁部11aの内面と略同一の高さ位置には、短側壁部12aの下辺に沿って幅方向に延びる切込部12bが設けられている。切込部12bは、短側壁部12aの外面側から形成され、短側壁部12aの内面側に位置するスキン層23を残しつつ、短側壁部12aの外面側に位置するスキン層22及びコア層21を切断してなるハーフカットである。短側壁部12a(短側壁12)は、切込部12bにおいて残存する内側のスキン層23部分を屈曲させて、切込部12bを開いた状態とすることによって内方へ折り畳むことが可能になっている。つまり、切込部12bにおいて残存する内側のスキン層23部分をヒンジ部位として機能させている。
【0022】
次に、長側壁13ついて記載する。
図3に示すように、長側壁13を構成する長側壁部13aは、横長四角形状に形成されている。
【0023】
図6に示すように、長側係合部材50は、全体として上下方向に延びる断面L字状の板状部材であって、長側壁部13aに固定される固定壁部51と、固定壁部51の側縁から内方(短側壁12側)へ突出する係合壁部52とを備えている。固定壁部51の内側端面には、長側壁部13aの側縁を挿入するための挿入凹部53が設けられている。固定壁部51の下端面には、所定間隔をおいて一対の回動軸部54が設けられている。回動軸部54の両側部には側方へ突出する軸体54aが形成されている。
【0024】
係合壁部52は、組み立て状態において、短側壁12を構成する短側係合部材30と係合する部位であって、固定壁部51の内面側の外側縁に沿って上下方向に延びるように形成されている。係合壁部52には、係合壁部52を貫通する3つの係合孔55が上下に並設されるとともに、係合壁部52の側端面には係合溝56が凹設されている。また、係合溝56の下部には、係合壁部52の内側に開口する開口部56aが形成されている。
【0025】
図1及び図2に示すように、上縁フレーム60は、その下面側に溝を有する断面U字状の棒状部材であって、上記溝内に長側壁部13aの上縁を挿入させた状態として長側壁部13aに固定されている。
【0026】
図3及び図4(d)に示すように、長側壁13を構成する長側壁部13aの下部には、長側壁部13aの下辺に沿って幅方向に延びる切込部13bが設けられている。そして、長側壁部13a(長側壁13)は、切込部13bにおいて残存する内側のスキン層23部分を屈曲させて切込部13bを開いた状態とすることによって内方へ折り畳むことが可能になっている。
【0027】
また、長側壁部13aの切込部13bは、短側壁部12aの切込部12bよりも高い位置に形成されている。具体的には、長側壁13の切込部13bは、底壁部11aの内面から短側壁部12aの厚さ以上に高い位置に形成されている。これにより、長側壁部13aを折り畳んだ際に、底壁部11aと長側壁部13aとの間に短側壁部12aを収容可能な空間S1が確保される。
【0028】
次に、底壁11ついて記載する。
図3に示すように、底壁11を構成する底壁部11aは、横長四角形状に形成されている。
【0029】
図7に示すように、底壁11を構成する嵌合部材70は、略三角板状の下壁部70aと、下壁部70aの短側壁12側の側縁から立設される縦壁部70bと、下壁部70aの長側壁13側の側縁から立設される横壁部70cとを備えている。下壁部70aの下面には、底壁部11aの隅部を取り付けるための取り付け凹部71が設けられている。
【0030】
横壁部70cの上端面は水平面状に形成されて、長側係合部材50の下面が載置される載置面となる。そして、横壁部70cの上端面には、所定間隔をおいて一対の軸受け部72が略四角孔状に凹設されている。軸受け部72は、長側係合部材50の回動軸部54が軸支される部位であり、回動軸部54と共にヒンジを形成する。
【0031】
図7(b)に示すように、軸受け部72の側端面の内方位置には、内側から外側へ向かって下降傾斜する傾斜面を有するとともに、下面側が平らに形成される略三角柱状の係止突部73が突設されている。そして、回動軸部54は、上方から軸受け部72内に挿入されて、軸受け部72における係止突部73の下面と軸受け部72の底面との間の空間S2内に軸体54aが収容されることによって、軸受け部72に対して回動可能に軸支される。
【0032】
次に、本実施形態のコンテナ10の組み立て方法について記載する。
コンテナ10は、保管時等の非使用時においては各側壁を折り畳んだ状態、具体的には、底壁11上に短側壁12が内方へ折り畳まれるとともに、その短側壁12上に長側壁13が内方へ折り畳まれた状態とされる。そして、コンテナ10は、必要に応じて作業者により箱状に組み立てた状態とされて使用される。
【0033】
図1に示すように、折り畳み状態にあるコンテナ10を箱状に組み立てる場合には、先ず、長側壁13を上方へ90度回動させる。このとき、長側壁13の中央部においては、切込部13bにおいて残存する内側のスキン層23部分を回動軸として長側壁部13aが回動する。
【0034】
また、長側壁13の両側部においては、長側係合部材50の回動軸部54における軸体54aの中心を回動軸として、嵌合部材70に対して長側係合部材50が回動する。そして、上方へ90度回動させて長側壁13が立設された状態においては、嵌合部材70の横壁部70c上に長側係合部材50が載置されることによって、長側壁13の立設状態が保持される。
【0035】
両長側壁13を立設させた後は、短側壁12の切込部12bにおいて残存する内側のスキン層23部分を回動軸として、短側壁12を上方へ90度回動させる。このとき、長側壁13を構成する長側係合部材50の係合壁部52の係合孔55に対して、隣接する短側壁12を構成する短側係合部材30の突部33が内側から挿入される。
【0036】
同時に、短側係合部材30のロックバー36を、下方へスライド移動させるように操作することにより、ロックバー36の係合部36aが、係合壁部52の係合溝56内に開口部56aを通じて挿入される。そして、付勢板36bの付勢力によりロックバー36が上方へ戻されると、ロックバー36の係合部36aが係合溝56内の上部へ移動する。これにより、短側壁12は内方への回動が規制されたロック状態となるとともに、長側壁13と短側壁12とが互いに固定された状態となる。
【0037】
なお、箱状に組み立てた状態にあるコンテナ10を折り畳む場合には、上記の操作を逆の順番で行えばよい。
次に、本実施形態の作用について記載する。
【0038】
図4(b)に示すように、底壁部11aと短側壁部12a又は長側壁部13aとの間に設けられている熱曲げ部25は、短側壁部12a及び長側壁部13aにおける他の部位よりも内部の密度が高い。そのため、短側壁部12a及び長側壁部13aの下部の強度が高くなっている。これにより、ヒンジ部位として機能する切込部12b,13bに作用する荷重(負荷)を、切込部12b,13bの直下に位置する熱曲げ部25及びその周辺部位、即ち強度の高められた部位にて支持させることができる(図4(c),(d)参照)。その結果、切込部12b,13bに作用する負荷が低減されてヒンジ部位の耐久性が向上する。
【0039】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)コンテナ10は、内部に中空構造を形成する合成樹脂製の中空板材からなり、底壁11と、対向する各一対の短側壁12及び長側壁13を備える。短側壁12及び長側壁13の下縁には、底壁11に対して熱曲げにより屈曲されてなる熱曲げ部25が設けられている。短側壁12及び長側壁13における熱曲げ部25の上部には、各側壁の幅方向に延びる切込部12b,13bが設けられ、切込部12b,13bにおいて各側壁が内方へ回動可能に構成されている。上記構成によれば、切込部12b,13bにより構成されるヒンジ部位の耐久性を高めることができる。
【0040】
(2)短側壁部12aに設けられる切込部12bは、底壁部11aの内面と略同一の高さ位置に形成されている。この場合、切込部12bにより構成されるヒンジ部位に対して、非常に近い部位に熱曲げ部25が位置することになる。その結果、上記(1)の効果を顕著に得ることができる。更に、折り畳み時におけるコンテナ10の折り畳み高さを低くすることができる。
【0041】
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記実施形態を変更することも可能である。
【0042】
・ 熱曲げ部25は、中空板材を加熱して屈曲させるとともに、その屈曲部位を圧着させることにより形成される部位であれば、その具体的構成は上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、凹部24に代えて、中空板材の内面側を略V字状に切り欠いてなる切欠部を設ける。そして、その切欠部の周辺を加熱しつつ屈曲させるとともに、屈曲されることにより互いに対向する、切欠部の内面同士を熱圧着することによって熱曲げ部25を形成してもよい。
【0043】
・ 短側係合部材30と長側係合部材50との係合構成は特に限定されるものではなく、箱状に組み立てた際に隣接する側壁同士が連結される構成であればよい。
・ 本体部10aを構成する中空板材の具体的構成は特に限定されるものではない。例えば、断面がハーモニカ状の押出し製品からなる中空板材のように、コア層21とスキン層22,23とが一体に成形された中空板材であってもよい。この場合、切込部12b,13bは、中空板材の内側の平面部分(内側のスキン層)を残しつつ、外面の平面部分(外側のスキン層)及びコア層(柱部分)を切断してなるハーフカットとなる。
【0044】
・ 短側壁12において、切込部12bが設けられる高さ位置は、特に限定されるものではないが、底壁部11aの内面と略同一の高さ位置であることが特に好ましい。なお、底壁部11aの内面と略同一の高さ位置に設けられる切込部12bの概念には、底壁部11aの内面と同じ高さに設けられる切込部12bに加えて、底壁部11aの内面よりも僅かに高い位置に設けられる切込部12bも含まれる。具体的には、短側係合部材30が短側壁部12aよりも厚く形成されており、短側壁部12aよりも内面側に膨らむ短側係合部材30の厚み分だけ、底壁部11aの内面から高い位置に切込部12bが設けられている構成も含まれる。
【0045】
・ 各側壁の長短は特に限定されるものではない。例えば、長側壁13を第1側壁とし、短側壁12を第2側壁としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…折り畳みコンテナ、11…底壁、11a…底壁部、12…短側壁(第1側壁)、12a…短側壁部(第1側壁部)、13…長側壁(第2側壁)、13a…長側壁部(第2側壁部)、24…凹部、25…熱曲げ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7