(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
調光機能を有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、各灯具の識別情報と設置箇所とを関連付けるために前記エリア内の所定箇所に配置される灯具特定装置であって、
通信によって各灯具の輝度を制御する制御部と、
前記所定箇所における照度を検出する検出部と、
照度及び距離の相関情報を記憶する記憶部と、
前記制御部によって複数の探索対象灯具の輝度を互いに異なる周波数で変化させることにより、前記検出部が検出する照度データを所定時間蓄積し、当該照度データを周波数解析することによって周波数毎の照度値を算出し、当該周波数毎の照度値と前記相関情報とに基づいて、前記複数の灯具の中から前記複数の探索対象灯具の各々を特定する処理部と、
前記処理部による灯具特定の結果に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記相関情報を補正する補正部と、
を備える、灯具特定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された調光制御システムにおいて、調光端末器によって所望の照明器具の調光率を制御するためには、調光端末器によって複数の照明器具の各々を個別に特定する必要がある。つまり、MACアドレス又は製品シリアル番号等の各照明器具の識別情報と、各照明器具の設置箇所とを、予め関連付けておく必要がある。
【0005】
しかしながら、照明器具の識別情報と設置箇所とは通常は無関係であるため、これらの関連付けを行うためには、システムを導入する際に作業者が識別情報と設置箇所とを個別に確認しながら照明器具を設置し、あるいは照明器具をランダムに設置した後に作業者が各照明器具の識別情報を確認して関連付けを行う必要がある。従って、その作業が煩雑であるとともに、作業ミスによって誤った関連付けがなされる可能性もある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、調光機能を有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、各灯具の識別情報と設置箇所とを、人手によらずに簡易かつ確実に関連付けることが可能な、灯具特定装置、照明システム、及び灯具特定方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る灯具特定装置は、調光機能を有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、各灯具の識別情報と設置箇所とを関連付けるために前記エリア内の所定箇所に配置される灯具特定装置であって、通信によって各灯具の輝度を制御する制御部と、前記所定箇所における照度を検出する検出部と、
照度及び距離の相関情報を記憶する記憶部と、前記制御部によって複数の探索対象灯具の輝度を互いに異なる周波数で変化させることにより、前記検出部が検出する照度データを所定時間蓄積し、当該照度データを周波数解析することによって周波数毎の照度値を算出し、当該周波数毎の照度値と
前記相関情報とに基づいて、前記複数の灯具の中から前記複数の探索対象灯具の各々を特定する処理部と、
前記処理部による灯具特定の結果に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記相関情報を補正する補正部と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
第1の態様に係る灯具特定装置によれば、処理部は、制御部によって複数の探索対象灯具の輝度を互いに異なる周波数で変化させることにより、検出部が検出する照度データを所定時間蓄積し、当該照度データを周波数解析することによって周波数毎の照度値を算出し、当該周波数毎の照度値と照度及び距離の相関情報とに基づいて、複数の灯具の中から複数の探索対象灯具の各々を特定する。これにより、灯具の識別情報と設置箇所とを、人手によらずに簡易かつ確実に関連付けることが可能となる。また、灯具を特定するための機能を数の多い灯具側に追加実装する必要がないため、システムの導入コストの増加を最小限に抑えることができる。さらに、各灯具の輝度を固有の周波数で変化させることから外光との区別も容易であるため、外光の影響を受けることなく正確に灯具を特定することが可能となる。
また、第1の態様に係る灯具特定装置によれば、補正部は、処理部による灯具特定の結果に基づいて、記憶部に記憶されている相関情報を補正する。従って、予め準備した相関情報に誤差が生じていた場合であっても、実測結果に基づいて相関情報を補正することにより、それ以降は灯具を正確に特定することが可能となる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る灯具特定装置は、第1の態様に係る灯具特定装置において特に、前記処理部は、前記複数の探索対象灯具の輝度を同時に変化させることを特徴とするものである。
【0010】
第2の態様に係る灯具特定装置によれば、処理部は、複数の探索対象灯具の輝度を同時に変化させる。従って、一度の探索処理によって複数の灯具を一括して特定できるため、複数の灯具を順次に探索する場合と比較して処理の高速化を図ることが可能となる。しかも、複数の探索対象灯具の輝度を互いに異なる周波数で変化させるため、周波数解析によって各探索対象灯具を明確に区別することができ、その結果、複数の探索対象灯具の各々を正確に特定することが可能となる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る灯具特定装置は、第1の態様に係る灯具特定装置において特に、前記処理部は、前記複数の探索対象灯具の輝度を順次に変化させることを特徴とするものである。
【0012】
第3の態様に係る灯具特定装置によれば、処理部は、複数の探索対象灯具の輝度を順次に変化させる。従って、複数の灯具を同時に探索する場合と比較して処理部の処理負荷を軽減できるため、処理部の処理能力が低い場合であっても複数の灯具の特定を行うことが可能となる。しかも、各灯具の輝度を固有の周波数で変化させることから外光との区別も容易であるため、外光の影響を受けることなく正確に灯具を特定することが可能となる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る灯具特定装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る灯具特定装置において特に、前記検出部は、互いに異なる方向に受光方向が限定された複数の受光素子を有することを特徴とするものである。
【0014】
第4の態様に係る灯具特定装置によれば、検出部は、互いに異なる方向に受光方向が限定された複数の受光素子を有する。従って、灯具特定装置が配置されている所定箇所から灯具までの距離のみならず、当該所定箇所に対して灯具が設置されている方向をも推定することができる。その結果、複数の灯具が行列状に設置されている状況であっても、各灯具を正確に特定することが可能となる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る灯具特定装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る灯具特定装置において特に、前記検出部は、受光方向が限定された受光素子と、受光方向を変更するように前記受光素子を駆動する駆動部と、を有することを特徴とするものである。
【0016】
第5の態様に係る灯具特定装置によれば、検出部は、受光方向が限定された受光素子と、受光方向を変更するように前記受光素子を駆動する駆動部と、を有する。従って、灯具特定装置が配置されている所定箇所から灯具までの距離のみならず、当該所定箇所に対して灯具が設置されている方向をも推定することができる。その結果、複数の灯具が行列状に設置されている状況であっても、各灯具を正確に特定することが可能となる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る灯具特定装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る灯具特定装置において特に、前記検出部は、複数の受光素子を有し、前記複数の受光素子は、前記エリア内の複数の箇所に配置されることを特徴とするものである。
【0018】
第6の態様に係る灯具特定装置によれば、検出部は、複数の受光素子を有し、複数の受光素子は、エリア内の複数の箇所に配置される。従って、各受光素子の配置箇所から灯具までの距離をそれぞれ推定することができる。その結果、複数の灯具が行列状に設置されている状況であっても、各灯具を正確に特定することが可能となる。
【0021】
本発明の第
7の態様に係る灯具特定装置は、第1〜第
6のいずれか一つの態様に係る灯具特定装置において特に、前記任意の灯具の輝度を変化させる前に前記検出部によって検出された照度に関する第1の照度データを保持する第1のレジスタと、前記任意の灯具の輝度を変化させた後に前記検出部によって検出された照度に関する第2の照度データを保持する第2のレジスタと、をさらに備え、前記処理部は、前記第1のレジスタが保持している前記第1の照度データと、前記第2のレジスタが保持している前記第2の照度データとに基づいて、前記周波数毎の照度値を算出することを特徴とするものである。
【0022】
第
7の態様に係る灯具特定装置によれば、灯具の輝度を変化させる前に検出部によって検出された照度に関する第1の照度データは、第1のレジスタに保持され、当該灯具の輝度を変化させた後に検出部によって検出された照度に関する第2の照度データは、第2のレジスタに保持される。そして、処理部は、第1のレジスタが保持している第1の照度データと、第2のレジスタが保持している第2の照度データとに基づいて、周波数毎の照度値を算出する。これにより、灯具の周波数と同一の又は近似する周波数で変動する外光の影響を除去することができるため、周波数毎の照度値を簡易かつ正確に算出することが可能となる。
【0023】
本発明の第
8の態様に係る灯具特定装置は、第1〜第
7のいずれか一つの態様に係る灯具特定装置において特に、前記処理部は、前記複数の探索対象灯具を順に更新することにより、前記複数の灯具を順に特定することを特徴とするものである。
【0024】
第
8の態様に係る灯具特定装置によれば、複数の探索対象灯具を順に更新することにより、複数の灯具が順に特定される。これにより、エリア内に設置されている複数の灯具の全てを特定することが可能となる。
【0025】
本発明の第
9の態様に係る灯具特定装置は、第
8の態様に係る灯具特定装置において特に、前記処理部は、特定が完了した灯具又は特定に失敗した灯具を、更新対象から除外することを特徴とするものである。
【0026】
第
9の態様に係る灯具特定装置によれば、特定が完了した灯具又は特定に失敗した灯具は、更新対象から除外される。特定が完了した灯具を更新対象から除外することにより、特定済みの灯具に対して再度の特定処理が実行される事態を回避できる。また、特定に失敗した灯具を更新対象から除外することにより、特定できない灯具に対して再度の特定処理が実行される事態を回避できる。特定に失敗した灯具が存在する場合には、灯具特定装置の配置箇所を変えて特定処理をやり直すことにより、当該灯具を特定することができる。
【0027】
本発明の第
10の態様に係る照明システムは、調光機能を有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、前記複数の灯具の各々に接続され、接続された灯具を調光制御する灯具制御装置と、前記エリアの環境要因に基づいて前記複数の灯具を調光制御するために、前記灯具制御装置を制御する主制御装置と、各灯具の識別情報と設置箇所とを関連付けるために前記エリア内の所定箇所に配置される灯具特定装置と、を備え、前記灯具特定装置は、通信によって各灯具の輝度を制御する制御部と、前記所定箇所における照度を検出する検出部と、
照度及び距離の相関情報を記憶する記憶部と、前記制御部によって複数の探索対象灯具の輝度を互いに異なる周波数で変化させることにより、前記検出部が検出する照度データを所定時間蓄積し、当該照度データを周波数解析することによって周波数毎の照度値を算出し、当該周波数毎の照度値と
前記相関情報とに基づいて、前記複数の灯具の中から前記複数の探索対象灯具の各々を特定する処理部と、
前記処理部による灯具特定の結果に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記相関情報を補正する補正部と、を有することを特徴とするものである。
【0028】
第
10の態様に係る照明システムによれば、処理部は、制御部によって複数の探索対象灯具の輝度を互いに異なる周波数で変化させることにより、検出部が検出する照度データを所定時間蓄積し、当該照度データを周波数解析することによって周波数毎の照度値を算出し、当該周波数毎の照度値と照度及び距離の相関情報とに基づいて、複数の灯具の中から複数の探索対象灯具の各々を特定する。これにより、灯具の識別情報と設置箇所とを、人手によらずに簡易かつ確実に関連付けることが可能となる。また、灯具を特定するための機能を数の多い灯具側に追加実装する必要がないため、システムの導入コストの増加を最小限に抑えることができる。さらに、各灯具の輝度を固有の周波数で変化させることから外光との区別も容易であるため、外光の影響を受けることなく正確に灯具を特定することが可能となる。
また、第10の態様に係る照明システムによれば、補正部は、処理部による灯具特定の結果に基づいて、記憶部に記憶されている相関情報を補正する。従って、予め準備した相関情報に誤差が生じていた場合であっても、実測結果に基づいて相関情報を補正することにより、それ以降は灯具を正確に特定することが可能となる。
【0029】
本発明の第
11の態様に係る灯具特定方法は、調光機能を有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、各灯具の識別情報と設置箇所とを関連付けるための灯具特定方法であって、(A)通信によって各灯具の輝度を制御するステップと、(B)前記エリア内の所定箇所における照度を検出するステップと、
(C)照度及び距離の相関情報を記憶するステップと、(
D)前記ステップ(A)によって複数の探索対象灯具の輝度を互いに異なる周波数で変化させることにより、前記ステップ(B)で検出する照度データを所定時間蓄積し、当該照度データを周波数解析することによって周波数毎の照度値を算出し、当該周波数毎の照度値と
前記相関情報とに基づいて、前記複数の灯具の中から前記複数の探索対象灯具の各々を特定するステップと、
(E)前記ステップ(D)による灯具特定の結果に基づいて、前記ステップ(C)で記憶した前記相関情報を補正するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0030】
第
11の態様に係る灯具特定方法によれば、ステップ(
D)では、ステップ(A)によって複数の探索対象灯具の輝度を互いに異なる周波数で変化させることにより、ステップ(B)で検出する照度データを所定時間蓄積し、当該照度データを周波数解析することによって周波数毎の照度値を算出し、当該周波数毎の照度値と照度及び距離の相関情報とに基づいて、前記複数の灯具の中から前記複数の探索対象灯具の各々を特定する。これにより、灯具の識別情報と設置箇所とを、人手によらずに簡易かつ確実に関連付けることが可能となる。また、灯具を特定するための機能を数の多い灯具側に追加実装する必要がないため、システムの導入コストの増加を最小限に抑えることができる。さらに、各灯具の輝度を固有の周波数で変化させることから外光との区別も容易であるため、外光の影響を受けることなく灯具を正確に特定することが可能となる。
また、第12の態様に係る灯具特定方法によれば、ステップ(E)では、ステップ(D)による灯具特定の結果に基づいて、ステップ(C)で記憶した相関情報が補正される。従って、予め準備した相関情報に誤差が生じていた場合であっても、実測結果に基づいて相関情報を補正することにより、それ以降は灯具を正確に特定することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、調光機能を有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、各灯具の識別情報と設置箇所とを、人手によらずに簡易かつ確実に関連付けることが可能な、灯具特定装置、照明システム、及び灯具特定方法を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0034】
図1,2は、本発明の実施の形態に係る照明システムの設置環境の一例を示す図である。本実施の形態の例において、照明システムは、オフィス内の一部屋であるエリア1に設置される。エリア1内には、調光機能を有する複数の灯具2(この例では9個の灯具2A〜2I)がグリッド状に一定間隔で整列して設置されている。灯具2は、例えば、直管形のHfランプ又はLEDランプである。各灯具2には、MACアドレス又は製品シリアル番号等の固有の識別情報が付与されている。但し、各灯具2の設置箇所はランダムであり、灯具2の識別情報と設置箇所との間に直接的な関連性はない。なお、本実施の形態に係る照明システムは、オフィスに限らず、学校、病院、図書館、駅、空港、店舗等、一定のエリア内に複数の灯具が設置される任意の環境に適用することができる。
【0035】
図3は、本実施の形態に係る照明システムの構成例を示す図である。照明システムは、各灯具2に接続された灯具制御装置3と、主制御装置4と、灯具特定装置5とを備えて構成されている。この例では、灯具制御装置3A〜3Iが灯具2A〜2Iにそれぞれ接続されている。
【0036】
灯具制御装置3は、主制御装置4又は灯具特定装置5からの命令に基づき、PWM(Pulse Width Modulation)、PAM(Pulse Amplitude Modulation)、PDM(Pulse Density Modulation)、PFM(Pulse Frequency Modulation)等の任意の制御方式によって、自身に接続されている灯具2を調光制御する。主制御装置4は、エリア1の様々な環境要因(外光照度又は人物の存否等)に基づいて灯具2A〜2Iを調光制御するために、無線通信、PLC通信、専用の有線を用いた通信、汎用のイーサネット(登録商標)を用いた通信等の任意の通信方式(複数の通信方式を組み合わせてもよい)によって、灯具制御装置3A〜3Iを制御する。灯具特定装置5は、各灯具2の識別情報と設置箇所とを関連付けるための灯具特定処理(詳細は後述する)を行う。
【0037】
図4は、照明システムを構成する装置間の通信態様を示す図である。灯具特定装置5は、灯具制御装置3及び主制御装置4と直接に通信可能であり、主制御装置4は、灯具制御装置3及び灯具特定装置5と直接に通信可能であり、灯具制御装置3は、灯具特定装置5及び主制御装置4と直接に通信可能である。各装置間の通信は、上記任意の通信方式によって行われる。
【0038】
図5,6は、照明システムを構成する装置間の通信態様の変形例を示す図である。
図5に示した例では、灯具特定装置5は、主制御装置4と直接に通信可能であり、また、主制御装置4を介して灯具制御装置3と通信可能である。主制御装置4は、灯具制御装置3及び灯具特定装置5と直接に通信可能である。灯具制御装置3は、主制御装置4と直接に通信可能であり、また、主制御装置4を介して灯具特定装置5と通信可能である。
【0039】
図6に示した例では、灯具特定装置5の機能が主制御装置4に実装されることにより、専用の灯具特定装置5は省略されている。主制御装置4及び灯具制御装置3は、直接に相互通信可能である。
【0040】
図7は、
図4に示した灯具特定装置5の内部構成を示すブロック図である。
図7の接続関係で示すように、灯具特定装置5は、検出部10、増幅回路111〜114、ローパスフィルタ121〜124、電流電圧変換回路131〜134、マルチプレクサ等の選択回路14、ADコンバータ15、CPU16、入力部17、通信部18、レジスタ19、及び、半導体メモリ又は磁気ディスク等の記憶部20を備えて構成されている。検出部10は、フォトダイオード等の受光素子101〜104を有している。CPU16は、所定のプログラムに従って動作することにより、処理部25、制御部26、及び補正部27として機能する。記憶部20には、照度と距離との相関情報を表すルックアップテーブル21が記憶されている。入力部17は、灯具特定装置5に設けられた操作スイッチ若しくはタッチパネル等から入力されたデータ、又は、灯具特定装置5に接続されたキーボード若しくはマウス等を用いて入力されたデータ、又は、PC若しくは携帯端末等の汎用端末からLAN等の任意の通信路を経由して受信したデータを、CPU16に入力する。
【0041】
図8は、検出部10の外観構成を模式的に示す図である。
図8の(A)は上面図であり、
図8の(B)は側面図である。基板30上に十字形の遮光板31が固定されている。各受光素子101〜104は、遮光板31によって区分される各領域内にそれぞれ形成されている。これにより、各受光素子101〜104の受光方向が遮光板31によって限定される。なお、遮光板31を用いて受光方向を限定する上記の構成に代えて、指向性を有するレンズ(又はプリズム、ミラー等でもよい)を各受光素子101〜104上に配置することによって、各受光素子101〜104の受光方向を限定してもよい。また、360度の受光方向を4個の受光素子101〜104によって4分割する上記の構成に代えて、例えば8個の受光素子によって8分割する構成としてもよい。かかる構成により、方向の検出精度が向上するとともに、検出部10のダイナミックレンジを拡大することができる。
【0042】
図9は、検出部10の構成の変形例を模式的に示す図である。
図9の(A)は斜視図であり、
図9の(B)は上面図である。受光素子101を覆う遮光性のドーム形ケース51の一部に、レンズ52(又は単なる開口窓でもよい)が配置されている。これにより、受光素子101の受光方向が限定される。また、受光素子101、ケース51、及びレンズ52を含むセンサユニットは、その底部に取り付けられたモータ等の駆動部53によって、
図9の(B)に示すように外周方向に沿って回転駆動される。これにより、受光素子101の限定された受光方向が変更される。
【0043】
図10は、灯具特定装置5が実行する灯具特定処理の流れを示すフローチャートである。
【0044】
まず、灯具特定処理を開始する前に、エリア1の環境に応じたルックアップテーブル21を処理部25によって予め作成して、当該ルックアップテーブル21を記憶部20に記憶する。
【0045】
オペレータは、エリア1の天井高さ、作業面高さ(机の高さ)、灯具2の設置状況(間隔、方向、個数、レイアウト等)、配光曲線、及び直射水平面照度特性等に関するデータを、入力部17から入力する。処理部25は、入力されたこれらのデータに基づいて、灯具2の設置環境に応じたグリッドデータを作成する。
【0046】
図11は、グリッドデータの一例を示す図である。グリッドの交点P1〜P9は、各灯具2の中心点に対応する。この例において、X方向に関する灯具2の設置間隔は1.6mであり、Y方向に関する灯具2の設置間隔は1.85mである。また、天井高さは2.7mであり、作業面高さは0.7mである。
【0047】
処理部25は、交点P1〜P9のうちの任意の一点(この例では中央の交点P5)に対応する灯具2のみを所定輝度(例えば最高輝度)で点灯させ、他の全ての灯具2を消灯した状況を想定した場合の、各交点P1〜P9における作業面高さでの照度を算出する。照度の算出には、逐点法等の任意の照度計算方法を用いることができる。逐点法では、照度は距離の逆二乗に比例する。この例の場合、交点P5での照度は249lx、交点P2,P8での照度は117lx、交点P4,P6での照度は84lx、交点P1,P3,P7,P9での照度は54lxとなる。処理部25は、照度算出の結果に基づいて、水平面照度と水平面距離との相関をパラメータ化することにより、照度と距離との相関情報を表すルックアップテーブル21を作成する。そして、作成したルックアップテーブル21を記憶部20に記憶する。
【0048】
また、オペレータは、灯具特定装置5を、エリア1内の任意の箇所(この例では中央の灯具2Fの真下)に、作業面高さで配置する。その際、オペレータは、例えば受光素子101が
図11中の+X方向を向き、受光素子102が+Y方向を向くように、灯具特定装置5の配置方向を調整する。そして、灯具特定装置5の配置箇所及び配置方向を、入力部17から入力する。
【0049】
図10を参照して、ステップSP101において処理部25は、探索条件の設定を行う。具体的には、
図11に示したグリッド上に、灯具特定装置5の配置箇所及び配置方向を設定する。
図12は、灯具特定装置5の配置箇所及び配置方向が設定されたグリッドデータを示す図である。この例では、交点P5上に灯具特定装置5(検出部10)が配置されている。
【0050】
次にステップSP102において処理部25は、更新対象から除外する灯具2を示す探索除外灯具リストを初期化する。
【0051】
次にステップSP103において処理部25は、探索対象である複数の灯具(本実施の形態の例では全灯具2A〜2I)に対して、互いに異なる周波数を設定する。一例として処理部25は、灯具2A〜2Iの識別情報がそれぞれIDA〜IDIである場合に、識別情報IDAの灯具2Aに対して基本周波数の1倍の周波数Fa(例えば100Hz)を設定し、識別情報IDBの灯具2Bに対して基本周波数の2倍の周波数Fb(200Hz)を設定し、識別情報IDCの灯具2Cに対して基本周波数の3倍の周波数Fc(300Hz)を設定する。同様に、識別情報IDD〜IDIの灯具2D〜2Iに対して、基本周波数の4倍(400Hz)、5倍(500Hz)、6倍(600Hz)、7倍(700Hz)、8倍(800Hz)、9倍(900Hz)の周波数Fd〜Fiをそれぞれ設定する。なお、エリア1内に膨大な数の灯具2が設置されており、一度に全灯具2に対して異なる周波数を設定できない場合には、異なる周波数を設定可能な上限数の灯具2を全灯具2の中から任意に選択し、その選択した上限数の灯具2に対して互いに異なる周波数を設定すればよい。選択された上限数の灯具2に関する位置特定が完了した後、探索対象灯具を更新することによって、未選択の残りの灯具2に関する位置特定を行うことができる。
【0052】
次にステップSP104において処理部25は、全灯具2A〜2Iの輝度を、所定の上限輝度と下限輝度との間で、各灯具2A〜2Iに設定された周波数Fa〜Fiで同時に周期変化させる。処理部25は、輝度変動が正弦波となるように、各灯具2A〜2Iの輝度を周期変化させる。また、処理部25は、輝度変動の開始タイミングを制御することにより、全灯具2A〜2Iの輝度変動を同時に開始させる。本実施の形態の例では、輝度の変動量を大きくして灯具の特定精度を向上すべく、上限輝度を最高輝度に設定し、下限輝度を最低輝度(つまり消灯)に設定することにより、最高輝度での点灯と消灯とを周期的に繰り返す。例えば灯具2Aに関して、処理部25は、最高輝度での点灯と消灯とを周波数Faで繰り返させる命令を制御部26に入力し、制御部26は、処理部25から入力された当該命令を、通信部16を介して灯具制御装置3Aに送信する。これにより、灯具制御装置3Aは、灯具2Aの最高輝度での点灯と消灯とを周波数Faで繰り返す。他の灯具2B〜2Iについても同様である。その結果、周波数Fa〜Fiでの輝度変動が全灯具2A〜2Iに関して同時に行われる。なお、高感度の受光素子101〜104を用いること等により微少な輝度変動量でも十分な灯具特定精度を確保できる場合には、上限輝度を最高輝度よりも低く設定し、あるいは下限輝度を最低輝度よりも高く設定してもよい。十分な灯具特定精度を確保できれば、灯具2の輝度変動量は人間が感知できないレベルであってもよい。
【0053】
次にステップSP105において検出部10は、全灯具2A〜2Iの輝度を周波数Fa〜Fiで同時に周期変化させた状況下で、灯具特定装置5の配置箇所における照度を所定時間連続して検出する。この所定時間は、周波数Fa〜Fiの中の最低周波数に対応する最長周期以上の時間(望ましくは最長周期の数倍以上の時間)に設定されている。
図7を参照して、受光素子101〜104から出力された電流値は、増幅回路111〜114によってそれぞれ増幅され、ローパスフィルタ121〜124によってそれぞれノイズが除去された後、電流電圧変換回路111〜114によってそれぞれ電圧値に変換される。電流電圧変換回路111〜114から出力された電圧値は、CPU16の制御に基づき選択回路14によって順に選択されてADコンバータ15に入力され、ADコンバータ15によってディジタル値に変換された後、CPU16に順に入力される。処理部25は、ADコンバータ15からCPU16に入力された各電圧値(つまり各受光素子101〜104によって検出された照度値)を、レジスタ19に保存する。
【0054】
次にステップSP106において処理部25は、レジスタ19に蓄積されている照度データに対して、周知のフーリエ級数展開等の数学的手法を用いた周波数解析を行うことによって、周波数毎の照度の変化量を表すスペクトルを算出する。具体的に処理部25は、各受光素子101〜104で検出された照度の差分値(最高照度値と最低照度値との差分値)に対応するスペクトルである個別差分値D101〜D104(周波数Fa〜Fi毎の個別差分値)を算出する。なお、本実施の形態では全灯具2A〜2Iの輝度変動が同時に開始され、レジスタ19への照度データの記録も全灯具2A〜2Iに関して同時に開始されるため、正弦波成分の振幅と余弦波成分の振幅との二乗平均として各周波数のスペクトルを算出するのではなく、正弦波成分の振幅をそのままスペクトルとして算出することができる。つまり、スペクトルを算出するための演算を簡略化することができる。
【0055】
次にステップSP107において処理部25は、周波数Fa〜Fi毎の最大個別差分値DMAX(受光素子101〜104で検出された個別差分値D101〜D104の中で最大となる個別差分値)とルックアップテーブル21とに基づいて、灯具特定装置5の配置箇所と各灯具2A〜2Iの設置箇所との間の水平面距離を推定する。
図11を参照して処理部25は、例えば、最大個別差分値DMAXが249lxである場合には水平面距離を0mと推定し、最大個別差分値DMAXが117lxである場合には水平面距離を1.6mと推定する。本実施の形態の例では、周波数Ffに関する最大個別差分値DMAXはおよそ249lxとなるため、灯具特定装置5と灯具2Fとの水平面距離は0mと推定される。また、周波数Fg,Fhに関する最大個別差分値DMAXはおよそ117lxとなるため、灯具特定装置5と灯具2G,2Hとの水平面距離は1.6mと推定される。また、周波数Fc,Fiに関する最大個別差分値DMAXはおよそ84lxとなるため、灯具特定装置5と灯具2C,2Iとの水平面距離は1.85mと推定される。また、周波数Fa,Fb,Fd,Feに関する最大個別差分値DMAXはおよそ54lxとなるため、灯具特定装置5と灯具2A,2B,2D,2Eとの水平面距離は2.45mと推定される。処理部25は、各灯具2A〜2Iの識別情報IDA〜IDIと推定した水平面距離とを関連付けることによって灯具−距離関連情報を作成し、その灯具−距離関連情報を記憶部20に保存する。なお、予めルックアップテーブル21を作成して記憶部20に記憶しておくのではなく、逐点法等によって最大個別差分値DMAXから水平面距離を算出する演算を、ステップSP107で行ってもよい。
【0056】
次にステップSP108において処理部25は、灯具−距離関連情報に識別情報が記述されている全ての灯具2A〜2Iの中から、設置箇所の特定が完了していない任意の一つの灯具(以下の例では灯具2Aとする)を選択する。
【0057】
次にステップSP109において処理部25は、灯具−距離関連情報に記述されている灯具2Aの水平面距離に基づいて、当該水平面距離が灯具2Aの設置箇所を特定できる範囲内であるか否かを判定する。灯具特定装置5の配置箇所から灯具2Aの設置箇所までの距離が長すぎる場合には、灯具2Aの輝度変化が検出照度に及ぼす影響が小さいため、最大個別差分値DMAXが小さくなり、ステップSP107での推定距離が長くなる。この推定距離が所定の閾値よりも大きくなった場合には灯具特定の精度が低下するため、処理部25は、その場合には特定可能範囲外であるとして、灯具2Aの識別情報IDAを探索除外灯具リストに追加する(ステップSP112)。探索除外灯具リストは、特定可能範囲外と判定された灯具の識別情報を列挙して管理するためのサブリスト(以下「範囲外リスト」と称す)と、特定が完了した灯具の識別情報を列挙して管理するためのサブリスト(以下「特定完了リスト」と称す)とを有している。ある灯具に関する推定距離が上記閾値よりも大きくなった場合には、処理部25は、その灯具の識別情報を範囲外リストに追加する。
【0058】
一方、灯具−距離関連情報に記述されている灯具2Aの水平面距離が上記閾値未満である場合には、次にステップSP110において処理部25は、周波数Faに関する個別差分値D101〜D104の大小比較(分布解析)を行うことにより、灯具特定装置5の配置箇所に対する灯具2Aの設置箇所の方向を推定する。例えば、個別差分値D101〜D104が全て大きい場合には、処理部25は、灯具2Aの設置箇所はグリッド上の中央であると推定する。また例えば、個別差分値D101が比較的大きく、個別差分値D102〜D104が比較的小さい場合には、処理部25は、灯具特定装置5の配置箇所に対して灯具2Aの設置箇所はグリッド上の上方向(+X方向)であると推定する。また例えば、個別差分値D104が比較的大きく、個別差分値D101〜D103が比較的小さい場合には、処理部25は、灯具特定装置5の配置箇所に対して灯具2Aの設置箇所はグリッド上の左方向(−Y方向)であると推定する。また例えば、個別差分値D103,D104が比較的大きく、個別差分値D101,D102が比較的小さい場合には、処理部25は、灯具特定装置5の配置箇所に対して灯具2Aの設置箇所はグリッド上の左下方向(−Xかつ−Y方向)であると推定する。この例では、周波数Faに関する個別差分値D101〜D104は、個別差分値D101,D104が比較的大きく、個別差分値D102,D103が比較的小さくなるため、処理部25は、灯具特定装置5の配置箇所に対して灯具2Aの設置箇所はグリッド上の左上方向(+Xかつ−Y方向)であると推定する。
【0059】
次にステップSP111において処理部25は、ステップSP107における距離の推定結果と、ステップSP110における方向の推定結果とに基づいて、グリッド上の交点P1〜P9のうち灯具2Aに対応する交点を特定する。この例では、距離の推定結果から水平面距離が約2.45mである交点P1,P3,P7,P9に絞り込まれ、方向の推定結果から左上方向である交点P1に絞り込まれることにより、灯具2Aに対応する交点は交点P1であると特定される。
【0060】
ここで、ステップSP111の後、オペレータによって交点の特定結果の正誤判定を行ってもよい。交点の特定結果が誤っている場合には、ルックアップテーブル21の設定(つまり照度と距離との相関)が誤っている可能性がある。そこで、正しい特定結果が得られるようにルックアップテーブル21の設定値を見直し、現在の設定値から正しい設定値に補正するための補正値を、入力部17から入力してもよい。
図7を参照して、補正部27は、入力された補正値に基づいて、ルックアップテーブル21を補正する。なお、補正値を入力するのではなく、正しい交点P1を示す情報を入力部17から入力することにより、補正部27が自ら補正値を算出してルックアップテーブル21を補正する構成としてもよい。
【0061】
図10を参照して、次にステップSP112において処理部25は、特定が完了した灯具2Aの識別情報IDAを、探索除外灯具リストに追加する。具体的には、灯具2Aの識別情報IDAを特定完了リストに追加する。
【0062】
次にステップSP113において処理部25は、上記の灯具−距離関連情報に識別情報が記述されている全ての灯具2の中に未選択の灯具が存在するか否かを判定する。未選択の灯具2が存在する場合には、識別情報を更新した後、ステップSP108以降の処理を繰り返す。例えば、識別情報IDA→IDB→IDC→・・・→IDIの順に更新されることにより、灯具2A→2B→2C→・・・→2Iの順に設置箇所の特定が行われる。
【0063】
次にステップSP114において処理部25は、全灯具2A〜2Iの探索が完了したか否かを判定する。未探索の灯具2が存在する場合には、識別情報を更新した後、ステップSP103以降の処理を繰り返す。ここで、探索除外灯具リスト(範囲外リスト及び特定完了リスト)にリストアップされている識別情報については、更新対象から除外される。一方、未探索の灯具2が存在しない場合(つまり全灯具2A〜2Iの探索が完了した場合)には、灯具特定処理を終了する。
【0064】
灯具特定装置5による灯具特定処理が終了することにより、各灯具2A〜2Iの識別情報IDA〜IDIと設置箇所とがそれぞれ関連付けられる。この識別情報と設置箇所との関連付けに関する情報は灯具特定装置5から主制御装置4に入力され、主制御装置4は、当該情報に基づき、灯具制御装置3A〜3Iによって所望の灯具2A〜2Iに対する調光制御を行う。
【0065】
なお、以上の説明では、3行×3列の9個の灯具2A〜2Iがグリッド状に設置された環境を想定して、灯具特定装置5によって各灯具2を特定する例について述べたが、この例には限定されない。受光感度の高い検出部10を用いることにより、より多数の灯具2が設置されたより広い環境においても、灯具特定装置5によって各灯具2の特定を行うことが可能である。
【0066】
<第1の変形例>
図13は、グリッドデータの一例を示す図である。病院の待合室やオフィスの大会議室等のように、エリア1が広大でその中に多数の灯具2が設置されている環境では、受光素子101〜104の受光感度にも依存するが、一度の探索だけで全ての灯具2を特定するのは困難である。そこで、このような場合には、エリア1を複数のサブエリアR1〜R9に分割し、サブエリアR1〜R9毎に灯具特定装置5の配置箇所を移動させながら、順に探索を行うことができる。あるいは、各サブエリアR1〜R9に灯具特定装置5(又は検出部10)をそれぞれ配置することにより、全サブエリアR1〜R9に関して同時に探索を行うこともできる。灯具特定装置5の配置箇所を移動させながら順に探索を行う場合には、ある配置箇所での探索において範囲外リストに識別情報が追加された灯具に関しては、次の配置箇所での探索の開始時に範囲外リストが初期化されることにより、当該次の配置箇所での探索対象に含められる。一方、ある配置箇所での探索において特定完了リストに識別情報が追加された灯具に関しては、それ以降の配置箇所での探索の開始時には特定完了リストを初期化しないことにより、それ以降の配置箇所での探索対象から除外される。探索が進むにつれて、特定が完了した灯具の識別情報が特定完了リストに徐々に蓄積されていく。そのため、後の探索ほど探索対象の灯具数が減少し、その結果、探索所要時間が短縮される。
【0067】
<第2の変形例>
上記実施の形態では、同一の基板30上に4個の受光素子101〜104を集約して形成したが、受光素子101〜104を分散することによって複数の検出部10を独立させて構成してもよい。
【0068】
図14は、一つの検出部10の外観構成を模式的に示す図である。基板30上に一つの受光素子101が形成されている。図示は省略するが、他の受光素子102〜104についても同様に、各基板30上に各受光素子102〜104が形成されている。これにより、4個の検出部10(検出部10−1〜10−4)が独立して構成されることになる。
【0069】
図15は、灯具特定装置5が実行する灯具特定処理の流れを示すフローチャートである。
【0070】
上記実施の形態と同様に、灯具特定処理を開始する前にルックアップテーブル21が予め作成されて、記憶部20に記憶される。
【0071】
また、オペレータは、4個の検出部10−1〜10−4を、エリア1内の任意の4箇所(この例では四隅の灯具2A,2B,2D,2Eの真下)に、作業面高さで配置する。そして、灯具特定装置5の配置箇所及び配置方向を、入力部17から入力する。
【0072】
図15を参照して、ステップSP201において処理部25は、探索条件の設定を行う。具体的には、
図11に示したグリッド上に、各検出部10の配置箇所を設定する。
図16は、各検出部10の配置箇所が設定されたグリッドデータを示す図である。この例では、交点P1,P3,P7,P9上に検出部10−1,10−2,10−3,10−4がそれぞれ配置されている。
【0073】
次にステップSP202において処理部25は、探索除外灯具リストを初期化する。
【0074】
次にステップSP203において処理部25は、探索対象である灯具2A〜2Iに対して、互いに異なる周波数Fa〜Fiをそれぞれ設定する。
【0075】
次にステップSP204において処理部25は、全灯具2A〜2Iの輝度を、所定の上限輝度(この例では最高輝度)と所定の下限輝度(この例では最低輝度)との間で、各灯具2A〜2Iに設定された周波数Fa〜Fiで同時に周期変化させる。
【0076】
次にステップSP205において検出部10は、全灯具2A〜2Iの輝度を周波数Fa〜Fiで周期変化させた状況下で、各検出部10−1〜10−4の配置箇所における照度を所定時間連続して検出する。処理部25は、各受光素子10−1〜10−4によって検出された照度値を、レジスタ19に保存する。
【0077】
次にステップSP206において処理部25は、レジスタ19に蓄積されている照度データに対して周波数解析を行うことによってスペクトルを算出する。具体的に処理部25は、各検出部10−1〜10−4で検出された照度の差分値に対応するスペクトルである個別差分値D101〜D104(周波数Fa〜Fi毎の個別差分値)を算出する。
【0078】
次にステップSP207において処理部25は、周波数Fa〜Fi毎の個別差分値D101〜D104とルックアップテーブル21とに基づいて、各検出部10−1〜10−4の配置箇所と各灯具2A〜2Iの設置箇所との間の水平面距離をそれぞれ推定する。また、処理部25は、各灯具2A〜2Iの識別情報IDA〜IDIと推定した水平面距離とを関連付けることによって灯具−距離関連情報を作成し、その灯具−距離関連情報を記憶部20に保存する。
【0079】
次にステップSP208において処理部25は、灯具−距離関連情報に識別情報が記述されている全ての灯具2A〜2Iの中から、設置箇所の特定が完了していない任意の一つの灯具(以下の例では灯具2Aとする)を選択する。
【0080】
次にステップSP209において処理部25は、灯具−距離関連情報に記述されている灯具2Aの水平面距離(四つの水平面距離)に基づいて、各水平面距離が灯具2Aの設置箇所を特定できる範囲内であるか否かを判定する。四つの水平面距離のうちの二つ以上が所定の閾値よりも大きくなった場合には灯具特定の精度が低下するため、処理部25は、その場合には特定可能範囲外であるとして、灯具2Aの識別情報IDAを探索除外灯具リスト(範囲外リスト)に追加する(ステップSP211)。
【0081】
一方、四つの水平面距離のうちの三つ以上が上記閾値未満である場合には、次にステップSP210において処理部25は、ステップSP207における距離の推定結果に基づいて、グリッド上の交点P1〜P9のうち灯具2Aに対応する交点を特定する。具体的に処理部25は、検出部10の配置箇所を中心とし、当該検出部10の配置箇所から灯具2Aの設置箇所までの水平面距離を半径とする円を四つ(少なくとも三つ)描き、その四つの円の交点又は接点上に位置する交点P1〜P9を、灯具2Aに対応する交点として特定する。
【0082】
次にステップSP211において処理部25は、特定が完了した灯具2Aの識別情報IDAを、探索除外灯具リスト(特定完了リスト)に追加する。
【0083】
次にステップSP212において処理部25は、灯具−距離関連情報に識別情報が記述されている全ての灯具2の中に未選択の灯具が存在するか否かを判定する。未選択の灯具2が存在する場合には、識別情報を更新した後、ステップSP208以降の処理を繰り返す。
【0084】
次にステップSP213において処理部25は、全灯具2A〜2Iの探索が完了したか否かを判定する。未探索の灯具2が存在する場合には、識別情報を更新した後、ステップSP203以降の処理を繰り返す。一方、全灯具2A〜2Iの探索が完了した場合には、灯具特定処理を終了する。
【0085】
<第3の変形例>
上記実施の形態では、処理部25は、ステップSP104で全灯具2A〜2Iの輝度を周波数Fa〜Fiで同時に周期変化させることにより、全灯具2A〜2Iの位置特定を一括して行った。これに代えて、処理部25は、各灯具2A〜2Iの輝度を周波数Fa〜Fiで順次に周期変化させることにより、各灯具2A〜2Iの位置特定を順に行ってもよい。例えば、まず灯具2Aの輝度を周波数Faで周期変化させることによって灯具2Aの位置特定を行い、次に灯具2Bの輝度を周波数Fbで周期変化させることによって灯具2Bの位置特定を行い、次に灯具2Cの輝度を周波数Fcで周期変化させることによって灯具2Cの位置特定を行う。以下同様に灯具2D〜2Iの輝度を周波数Fd〜Fiで順次に周期変化させることによって、灯具2D〜2Iの位置特定を順に行う。
【0086】
<第4の変形例>
図17は、
図4に示した灯具特定装置5の内部構成を示すブロック図である。
図7に示したレジスタ19に代えて、レジスタ191,192が個別に設けられている。
【0087】
図18は、灯具特定装置5が実行する灯具特定処理の流れを示すフローチャートである。
【0088】
上記実施の形態と同様に、灯具特定処理を開始する前にルックアップテーブル21が予め作成されて、記憶部20に記憶される。
【0089】
また、オペレータは、灯具特定装置5を、エリア1内の任意の箇所(この例では中央の灯具2Fの真下)に、作業面高さで配置する。その際、オペレータは、例えば受光素子101が
図11中の+X方向を向き、受光素子102が+Y方向を向くように、灯具特定装置5の配置方向を調整する。そして、灯具特定装置5の配置箇所及び配置方向を、入力部17から入力する。
【0090】
図18を参照して、ステップSP301において処理部25は、探索条件の設定を行う。具体的には、
図11に示したグリッド上に、灯具特定装置5の配置箇所及び配置方向を設定する。
図12に示したように、この例では、交点P5上に灯具特定装置5(検出部10)が配置されている。
【0091】
次にステップSP302において処理部25は、探索除外灯具リストを初期化する。
【0092】
次にステップSP303において処理部25は、全灯具2A〜2Iを一定輝度で点灯させる。これにより、エリア1内で作業を行う作業者の照明が確保される。
【0093】
次にステップSP304において検出部10は、灯具特定装置5の配置箇所における照度を検出する。処理部25は、各受光素子101〜104によって検出された照度値を、レジスタ191に保存する。
【0094】
次にステップSP305において処理部25は、探索対象である灯具2A〜2Iに対して、互いに異なる周波数Fa〜Fiを設定する。
【0095】
次にステップSP306において処理部25は、全灯具2A〜2Iの輝度を、所定の上限輝度(この例では最高輝度)と所定の下限輝度(この例では最低輝度)との間で、各灯具2A〜2Iに設定された周波数Fa〜Fiで同時に周期変化させる。
【0096】
次にステップSP307において検出部10は、全灯具2A〜2Iの輝度を周波数Fa〜Fiで同時に周期変化させた状況下で、灯具特定装置5の配置箇所における照度を所定時間連続して検出する。処理部25は、各受光素子101〜104によって検出された照度値を、レジスタ192に保存する。
【0097】
次にステップSP308において処理部25は、レジスタ191,192に蓄積されている照度データに対して周波数解析を行うことによってスペクトルを算出する。具体的に処理部25は、レジスタ191に蓄積されている照度データに基づいて、周波数Fa〜Fi毎の第1の個別差分値D101p〜D104pを算出する。また、レジスタ192に蓄積されている照度データに基づいて、周波数Fa〜Fi毎の第2の個別差分値D101q〜D104qを算出する。そして、周波数Fa〜Fi毎に第2の個別差分値D101q〜D104qから第1の個別差分値D101p〜D104pを減算することにより、周波数Fa〜Fi毎の個別差分値D101〜D104を算出する。
【0098】
次にステップSP309において処理部25は、周波数Fa〜Fi毎の最大個別差分値DMAXとルックアップテーブル21とに基づいて、灯具特定装置5の配置箇所と各灯具2A〜2Iの設置箇所との間の水平面距離をそれぞれ推定する。また、処理部25は、各灯具2A〜2Iの識別情報IDA〜IDIと推定した水平面距離とを関連付けることによって灯具−距離関連情報を作成し、その灯具−距離関連情報を記憶部20に保存する。
【0099】
次にステップSP310において処理部25は、灯具−距離関連情報に識別情報が記述されている全ての灯具2A〜2Iの中から、設置箇所の特定が完了していない任意の一つの灯具(以下の例では灯具2Aとする)を選択する。
【0100】
次にステップSP311において処理部25は、灯具−距離関連情報に記述されている灯具2Aの水平面距離に基づいて、当該水平面距離が灯具2Aの設置箇所を特定できる範囲内であるか否かを判定する。処理部25は、灯具2Aの水平面距離が所定の閾値よりも大きい場合には、灯具2Aの識別情報IDAを探索除外灯具リストに追加する(ステップSP314)。
【0101】
一方、灯具−距離関連情報に記述されている灯具2Aの水平面距離が上記閾値未満である場合には、次にステップSP312において処理部25は、周波数Faに関する個別差分値D101〜D104の大小比較を行うことにより、灯具特定装置5の配置箇所に対する灯具2Aの設置箇所の方向を推定する。
【0102】
次にステップSP313において処理部25は、ステップSP309における距離の推定結果と、ステップSP312における方向の推定結果とに基づいて、グリッド上の交点P1〜P9のうち灯具2Aに対応する交点を特定する。
【0103】
次にステップSP314において処理部25は、特定が完了した灯具2Aの識別情報IDAを、探索除外灯具リスト(特定完了リスト)に追加する。
【0104】
次にステップSP315において処理部25は、灯具−距離関連情報に識別情報が記述されている全ての灯具2の中に未選択の灯具が存在するか否かを判定する。未選択の灯具2が存在する場合には、識別情報を更新した後、ステップSP310以降の処理を繰り返す。
【0105】
次にステップSP316において処理部25は、全灯具2A〜2Iの探索が完了したか否かを判定する。未探索の灯具2が存在する場合には、識別情報を更新した後、ステップSP303以降の処理を繰り返す。一方、全灯具2A〜2Iの探索が完了した場合には、灯具特定処理を終了する。
【0106】
<まとめ>
上記実施の形態に係る灯具特定装置5によれば、処理部25は、制御部26によって複数の探索対象灯具2A〜2Iの輝度を互いに異なる周波数Fa〜Fiで変化させることにより、検出部10が検出する照度データを所定時間蓄積し、当該照度データを周波数解析することによって周波数Fa〜Fi毎の照度値を算出する。そして、当該周波数Fa〜Fi毎の照度値とルックアップテーブル21とに基づいて、複数の灯具2の中から複数の探索対象灯具2A〜2Iの各々を特定する。これにより、灯具2の識別情報と設置箇所とを、人手によらずに簡易かつ確実に関連付けることが可能となる。また、灯具2を特定するための機能を数の多い灯具2側に追加実装する必要がないため、システムの導入コストの増加を最小限に抑えることができる。さらに、各灯具2の輝度を固有の周波数Fa〜Fiで変化させることから外光との区別も容易であるため、外光の影響を受けることなく正確に灯具2を特定することが可能となる。
【0107】
また、上記実施の形態に係る灯具特定装置5によれば、処理部25は、複数の探索対象灯具2A〜2Iの輝度を同時に変化させる。従って、一度の探索処理によって複数の灯具2A〜2Iを一括して特定できるため、複数の灯具2A〜2Iを順次に探索する場合と比較して処理の高速化を図ることが可能となる。しかも、複数の探索対象灯具2A〜2Iの輝度を互いに異なる周波数Fa〜Fiで変化させるため、周波数解析によって各探索対象灯具2A〜2Iを明確に区別することができ、その結果、複数の探索対象灯具2A〜2Iの各々を正確に特定することが可能となる。
【0108】
また、上記第3の変形例に係る灯具特定装置5によれば、処理部25は、複数の探索対象灯具2A〜2Iの輝度を順次に変化させる。従って、複数の灯具2A〜2Iを同時に探索する場合と比較して処理部25の処理負荷を軽減できるため、処理部25の処理能力が低い場合であっても複数の灯具2A〜2Iの特定を行うことが可能となる。しかも、各灯具2の輝度を固有の周波数Fa〜Fiで変化させることから外光との区別も容易であるため、外光の影響を受けることなく正確に灯具を特定することが可能となる。
【0109】
また、上記実施の形態に係る灯具特定装置5によれば、検出部10は、
図8に示したように、互いに異なる方向に受光方向が限定された複数の受光素子101〜104を有する。あるいは
図9に示したように、受光方向が限定された受光素子101と、受光方向を変更するように受光素子101を駆動する駆動部53とを有する。従って、灯具特定装置5が配置されている所定箇所から各灯具2までの距離のみならず、当該所定箇所に対して各灯具2が設置されている方向をも推定することができる。その結果、複数の灯具2A〜2Iが行列状に設置されている状況であっても、各灯具2を正確に特定することが可能となる。
【0110】
また、上記第2の変形例に係る灯具特定装置5によれば、各検出部10−1〜10−4は受光素子101〜104をそれぞれ有し、受光素子101〜104は、エリア1内の複数の箇所に配置される。従って、各受光素子101〜104の配置箇所から各灯具2までの距離をそれぞれ推定することができる。その結果、複数の灯具2A〜2Iが行列状に設置されている状況であっても、各灯具2を正確に特定することが可能となる。
【0111】
また、上記実施の形態に係る灯具特定装置5によれば、補正部27は、処理部25による灯具特定の結果に基づいて、記憶部20に記憶されているルックアップテーブル21を補正する。従って、予め準備したルックアップテーブル21に誤差が生じていた場合であっても、実測結果に基づいてルックアップテーブル21を補正することにより、それ以降は灯具2を正確に特定することが可能となる。
【0112】
また、上記第4の変形例に係る灯具特定装置5によれば、灯具2の輝度を変化させる前に検出部10によって検出された照度に関する第1の照度データは、レジスタ191(第1のレジスタ)に保持され、当該灯具2の輝度を変化させた後に検出部10によって検出された照度に関する第2の照度データは、レジスタ192(第2のレジスタ)に保持される。そして、処理部25は、レジスタ191が保持している第1の照度データと、レジスタ192が保持している第2の照度データとに基づいて、周波数Fa〜Fi毎の照度値を算出する。これにより、灯具2の周波数Fa〜Fiと同一の又は近似する周波数で変動する外光の影響を除去することができるため、周波数毎の照度値を簡易かつ正確に算出することが可能となる。
【0113】
また、上記実施の形態に係る灯具特定装置5によれば、探索対象灯具を順に更新することにより、複数の灯具が順に特定される。これにより、エリア1内に設置されている複数の灯具2の全てを特定することが可能となる。
【0114】
また、上記実施の形態に係る灯具特定装置5によれば、特定が完了した灯具又は特定に失敗した灯具は、探索除外灯具リストに追加されることによって更新対象から除外される。特定が完了した灯具を更新対象から除外することにより、特定済みの灯具に対して再度の特定処理が実行される事態を回避できる。また、特定に失敗した灯具を更新対象から除外することにより、特定できない灯具に対して再度の特定処理が実行される事態を回避できる。特定に失敗した灯具が存在する場合には、灯具特定装置5の配置箇所を変えて特定処理をやり直すことにより、当該灯具を特定することができる。