特許第6236312号(P6236312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236312
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】リアホルダ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/56 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   H01R13/56
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-269358(P2013-269358)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-125892(P2015-125892A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098017
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100120053
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 哲明
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐也
(72)【発明者】
【氏名】久保嶋 秀彦
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−511804(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2658040(EP,A1)
【文献】 米国特許第6123573(US,A)
【文献】 特開2009−153280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56
H01R 13/58
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が接続されたコネクタ端子が収容されるハウジングから前記電線を引き出す電線引出開口に取り付けられ、電線を貫通孔から外部に引き出すリアホルダにおいて、
前記リアホルダの前記ハウジング側に位置させて前記リアホルダに組み付けられるインナホルダを備え、
前記貫通孔の内周面は、周方向の一部が小径部をなし、残る部分が該小径部よりも内径が大きい大径部をなして形成され、
前記インナホルダは、前記電線の周方向に形成される断面円弧状のフード部が設けられ、該フード部は、前記インナホルダの組付け時に前記大径部に挿入されるとともに、周方向の両端が前記大径部と前記小径部との境界の段差面にそれぞれ当接可能に形成されることを特徴とするリアホルダ。
【請求項2】
前記インナホルダは、前記大径部に挿入された前記フード部が、前記電線の外周面を押圧可能に形成されることを特徴とする請求項1に記載のリアホルダ。
【請求項3】
前記インナホルダは、前記フード部の基端と連なって形成され、該インナホルダの組付け時に前記貫通孔の前記小径部の周縁に沿って延びる一対の脚部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のリアホルダ。
【請求項4】
前記貫通孔の前記ハウジング側の周縁には、前記大径部に沿って傾斜面が形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のリアホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングの電線引出開口に取り付けられるリアホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、筒状のハウジングと、ハウジングに挿入されるコネクタ端子とを備えるコネクタにおいては、ハウジングの一端の電線引出開口にリアホルダを装着し、コネクタ端子に接続された電線をリアホルダの貫通孔を通して抜き出す構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
リアホルダは、ハウジングの電線引出開口よりも小さな貫通孔に電線を挿通させることにより電線の動きを規制し、例えば、電線の損傷や、電線の動きに伴ってコネクタ端子がハウジングから抜け出すのを防ぐようにしている。
【0004】
近年では、このようなリアホルダを用いたコネクタは、電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載されるワイヤーハーネスの電線同士を接続する部分に多数使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−185960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の自動車に搭載される電線には、高圧ケーブル等が使用されており、所望の安全性を確保するため、例えば、リアホルダの貫通孔の内周面とこの貫通孔を通る高圧ケーブルの外周面との隙間からハウジングに異物が侵入するのを防ぐ対策が求められる。例えば、コネクタの安全性を判断する基準としてIP規格(International Protection)がある。このIP規格の要求を満たすためには、例えば、リアホルダの貫通穴の内周面とこの貫通穴を通る高圧ケーブルの外周面(絶縁外皮)との隙間に所定の太さ(例えば、φ1mm)の針金を差し込み、この針金が隙間を通りコネクタ端子等の活電部と接触しないことが求められる。
【0007】
しかしながら、この隙間の大きさは、電線の外径やリアホルダの貫通孔の穴径等のばらつきによって変化するため、例えば、リアホルダの貫通孔の穴径はこれらのばらつきを考慮して寸法を小さめに設定する必要がある。ところが、貫通孔を小さく設定すると、電線の外径寸法が大きく形成されたときに、リアホルダの貫通孔に電線を挿入する負荷が大きくなり、作業効率が低下する。
【0008】
また、リアホルダを軸方向に沿って分割された一対の半割り筒状体として形成し、これらの間に電線を挟持したリアホルダをハウジングの電線引出開口に挿入して固定する構造が知られている。しかし、この種のリアホルダにおいても、例えば、電線の外径寸法が大きく形成されると、ハウジングの電線引出開口にリアホルダを挿入する負荷が大きくなるため、作業性が低下することがある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、部品の寸法ばらつきにかかわらず組付け作業を容易に行うことができ、かつ、所望の安全性を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係るリアホルダは、電線が接続されたコネクタ端子が収容されるハウジングから電線を引き出す電線引出開口に取り付けられ、電線を貫通孔から外部に引き出すリアホルダにおいて、このリアホルダのハウジング側に位置させてリアホルダに組み付けられるインナホルダを備え、貫通孔の内周面は、周方向の一部が小径部をなし、残る部分が該小径部よりも内径が大きい大径部をなして形成され、インナホルダは、電線の周方向に形成される断面円弧状のフード部が設けられ、このフード部は、インナホルダの組付け時に大径部に挿入されるとともに、周方向の両端が大径部と小径部との境界の段差面にそれぞれ当接可能に形成されることを特徴とする。
【0011】
これによれば、例えば、電線の外径寸法に合わせて小径部の内径を設定することにより、大径部を形成した分、貫通孔の空間を大きくすることができる。これにより、部品の寸法ばらつきが生じても、電線の挿入作業の負担を小さくすることができる。さらに貫通孔の大径部にはフード部が挿入されるが、このフード部は、インナホルダをリアホルダに組み付けたときに自然と挿入されるから、組付け作業の負担が生じることがない。
【0012】
また、フード部の両端を段差面と当接させることで、電線の外周面は、その全周に亘り小径部の内周面とフード部の内周面に包囲される。したがって、これらの内周面の寸法を適宜設定することで、電線の外周面との隙間を小さくすることができるから、結果としてIP規格等の要求を満たし、所望の安全性を確保することができる。
【0013】
この場合において、インナホルダは、大径部に挿入されたフード部が、電線の外周面を押圧可能に形成されてなるものとする。
【0014】
このようにフード部が電線を押圧することにより、電線を小径部の内周面に当接させることができるから、貫通孔と電線との隙間をより小さくすることができる。
【0015】
また、インナホルダは、フード部の基端と連なって形成され、このインナホルダの組付け時に貫通孔の小径部の周縁に沿って延びる一対の脚部を備えるものとする。
【0016】
これによれば、例えば、電線に曲げ方向の外力が作用することにより、フード部が電線に押圧され、フード部の端部と貫通孔の段差面との間に隙間が生じたとしても、この隙間を遮るように、隙間の奥には脚部が設けられるから、IP規格の検査において、針金が隙間を介してハウジングに侵入するのを防ぐことができる。
【0017】
また、貫通孔のハウジング側の周縁には、大径部に沿って傾斜面が形成されてなるものとする。
【0018】
これによれば、インナホルダの組付け時において、フード部を貫通孔に案内することができるから、フード部のスムーズな挿入が可能になり、インナホルダの組付け性を向上させることができる。またフード部が貫通孔の周縁と当接して損傷するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、部品の寸法ばらつきにかかわらず組み付け作業を容易に行うことができ、かつ、所望の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のリアホルダが適用されるコネクタの分解斜視図である。
図2】コネクタを後方からみた斜視図である。
図3】インナホルダを後方からみた斜視図である。
図4】リアホルダを後方からみた斜視図である。
図5】コネクタを後方からみた背面図である。
図6】インナホルダに電線が挿通された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のリアホルダが適用されるコネクタの一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明のコネクタの分解斜視図であり、図2はコネクタを後方からみた外観斜視図である。
【0022】
コネクタ11は、図示しない1本の電線の端末に設けられ、相手側の電線と接続する際に用いられるものである。このコネクタ11は、ハウジング13と、コネクタ端子15と、保持部材17と、インナホルダ19と、リアホルダ21とを有している。インナホルダ19は、リアホルダ21のハウジング側に位置させてリアホルダ21に組み付けられるようになっている。以下の説明では、図1の矢印Xを前後方向(紙面の手前側を前方)とし、矢印Yを左右方向又は幅方向、矢印Zを上下方向(紙面の上側を上方)として定義し、これらの定義は他の図面の説明においても適用されるものとする。
【0023】
ハウジング13は、絶縁性を有する合成樹脂により形成され、断面がほぼ矩形の角筒状をなして形成される。ハウジング13の内側には、前後方向を長手とする直方体状の端子収容室23が形成される。この端子収容室23は、ハウジング13の後方の電線引出開口25からコネクタ端子15が挿入される一方、前方の端子挿入口27から図示しない相手側端子が挿入されるようになっている。また、端子収容室23に収容されるコネクタ端子15に接続された電線は、電線引出開口25を介してハウジング13から抜き出されるようになっている。端子挿入口27は、ハウジング13の先端面の一部を矩形状に貫いて比較的小さく形成されるのに対し、電線引出開口25は、ハウジング13を形成する4辺の筒壁の端部に囲まれて比較的大きな矩形状に形成される。なお、ハウジング13は、角筒状に限られず、例えば円筒状に形成されていてもよい。
【0024】
ハウジング13には、上面の筒壁を矩形状に貫通する開口29が形成され、この開口29には合成樹脂製の保持部材17が装着される。保持部材17は、ハウジング13に収容されたコネクタ端子15をハウジング13に保持するための部材である。保持部材17が装着されたハウジング13は、図2に示すように、開口29が閉じられた状態となる。
【0025】
コネクタ端子15は、電気接触部31と、この電気接触部31と連なる円筒状の電線接続部33とを有している。電気接触部31は、金属製の板材を角筒状に折り曲げて形成され、相手型端子のタブ状の電気接触部が差し込まれるようになっている。電線接続部33は、金属板材を断面円形に湾曲させて形成され、電線の絶縁外皮から露出させた導体と絶縁外被とを包み込むようにして圧着するようになっている。コネクタ端子15の電気接触部31の上面には、凹部35が形成される。
【0026】
保持部材17は、基部37と、一対の支持片39と、一対の仮係止片41と、一対の本係止片43と、突起部45とを有しており、左右対称に形成される。支持片39と仮係止片41と本係止片43は、基部37の下面から互いに平行に突出して形成される。保持部材17は、図1に示すように、支持片39を開口29へ向けてハウジング13に装着される。
【0027】
支持片39は、ハウジング13の内壁の凸部47に沿って収容されることにより、ハウジング13の所定位置に案内される。これにより、仮係止片41がハウジング13の図示しない仮係止部に引っ掛かり、基部37がハウジング13に仮係止される。さらに支持片39を奥まで挿入すると、本係止片43がハウジング13の図示しない本係止部に引っ掛かり、基部37がハウジング13に本係止される。これにより、基部37は、開口29に装着されるとともに、突起部45がハウジング13の所定位置に収容されたコネクタ端子15の凹部35に挿入される。突起部45が凹部35に挿入されると、コネクタ端子15はハウジング13に保持される。
【0028】
なお、ハウジング13の下方には、相手コネクタが嵌合するロッキングアーム49が形成されているが、基本的に周知の構成であるため、説明を省略する。
【0029】
次に、本実施の形態の特徴構成であるリアホルダ21の構成を説明する。
【0030】
本実施の形態のリアホルダ21は、ハウジング13側にインナホルダ19を組み付けて使用される。図3はインナホルダ19を後方からみた斜視図であり、図4はリアホルダ21を後方からみた斜視図である。インナホルダ19は、合成樹脂により形成され、図示しない電線の外周面(絶縁外皮)に被着され、リアホルダ21に組み付けられて使用される。リアホルダ21は、合成樹脂により形成され、ハウジング13から引き出された電線をハウジング13の電線引出開口25に保持するための部材であり、ハウジング13の後端部に冠着されるようになっている。
【0031】
インナホルダ19は、図3に示すように、平板状の基部51と、基部51からハウジング13と反対側の後方に突出するフード部53とを有している。基部51は、前後方向に貫通する断面円形状の円形開口55と、この円形開口55の外周縁の一部を切除して形成される開き部57とを有している。すなわち、基部51は、フード部53の基端と連なり円形開口55に沿って延びる一対の脚部59a,59bを有して形成される。これらの脚部59は、一端部が互いに連なり、他端部が互いに離間して位置付けられ、他端部同士の間に開き部57が形成される。各脚部59には、肉盗みの凹みが形成される。フード部53は、円形開口55の内周面に沿って円形開口55のほぼ上半分の周縁部から軸方向に断面円弧状に突出して形成され、電線の外周面を周方向から包み込むようになっている。
【0032】
円形開口55は、上下方向において、例えば直径の約4分の1が欠落し、下方に開き部57が形成される。この円形開口55は、内周にほぼ真円の穴を有して形成され、電線を周方向から包み込むようになっている。円形開口55の内径は、例えば電線の外径(絶縁外皮の外径)の公差範囲内に設定される。開き部57は、一対の脚部59a,59bが弾性変形することにより幅寸法L1が伸縮自在になっている。これにより、インナホルダ19は、開き部57を開いて円形開口55に組み込まれた電線に沿って移動する。脚部59a,59bの開き部57と反対側の両側面には、それぞれ段付き状に切欠いた係合部61a,61bが形成される。
【0033】
リアホルダ21は、図4に示すように、前方に開口する箱型に形成され、矩形状の底部63と、底部63の各辺の縁部から前方(ハウジング13側)に立設する壁部65と、底部63から後方に突出する筒部67とを有している。左右の壁部65には、それぞれ係止フック69が形成され、これらの係止フック69は、ハウジング13の左右の筒壁の外側に形成された係止突起71とそれぞれ係合するようになっている。
【0034】
底部63の中央には、電線が挿通される貫通孔73が形成される。この貫通孔73は、筒部67の内側と連通されており、筒部67の内周面は、貫通孔73の内周面を軸方向に延長させて形成される。すなわち、貫通孔73の内周面と筒部67の内周面とは、同じ形状をなしている。以下の説明では、特に断りがない限り、貫通孔73には、筒部67の内周面が含まれるものとする。
【0035】
貫通孔73は、周方向の一部である下半分が小径部75をなし、残る上半分が大径部77をなして形成される。小径部75と大径部77は、共通の軸を中心とした互いに内径の異なる半円状の断面を有して形成される。小径部75の内径は、電線の外径寸法の公差範囲内に設定される一方、大径部77の内径は、小径部75よりも大きな所定の寸法に設定される。小径部75と大径部77との境界部分、つまり小径部75の両端部と大径部77の両端部との間には、それぞれ段差面79が形成される。この段差面79は、リアホルダ21の幅方向に延びて形成される。なお、貫通孔73の内周面における小径部75と大径部77の形成領域は、適宜設定することができる。
【0036】
図1に示すように、リアホルダ21のハウジング13側の貫通孔73の周縁には、小径部75の幅方向の両側にそれぞれ前方へ突出する押圧部81a,81bが設けられ、これらの内側にインナホルダ19が組み付けられる。押圧部81a,81bは、互いに平行に延びて形成され、インナホルダ19の組付け時に、貫通孔73の小径部75の周縁に沿って延びる脚部59a,59bの係合部61a,61bとそれぞれ係合するようになっている。押圧部81a,81bは、開き部57を閉じる方向に脚部59a,59bを押圧可能に形成される。
【0037】
インナホルダ19が組み付けられると、貫通孔73の大径部77には、インナホルダ19のフード部53が挿入される。フード部53は、インナホルダ19がリアホルダ21の設定位置まで組み込まれたときに、大径部77の後端部まで挿入される。また、フード部53は、大径部77に挿入された状態で両端部がそれぞれ段差面79と当接可能になっている。本実施の形態では、フード部53の両端部がそれぞれ段差面79と当接することにより、小径部75の内周面とフード部53の内周面とが、ほぼ同心円上に配置される。
【0038】
リアホルダ21の底部63には、ハウジング13側の大径部77の周縁に沿って傾斜面83が形成される(図1)。これにより、インナホルダ19の組付け時には、貫通孔73に挿入されるフード部53を大径部77に案内可能になっている。
【0039】
図5に示すように、貫通孔73(筒部67)を後方からみると、リアホルダ21は、電線接続部33のうち、電線の絶縁外皮を圧着する第1接続部85と、露出された芯線を圧着する第2接続部87とを臨むように形成される。第2接続部87は、貫通孔73の内周面の最下部よりもやや上方に配置される。
【0040】
次に、コネクタ11の組み付け手順の一例について、リアホルダ21の作用を中心に説明する。はじめに、コネクタ端子15が接続されていない電線をリアホルダ21の貫通孔73に挿通させる。ここで、貫通孔73には、電線の外径よりも大きな内径の大径部77が形成されるため、電線や貫通孔73の寸法ばらつきを大径部77で吸収することができ、余裕をもって電線を挿通させることができる。
【0041】
次に、貫通孔73に挿通された電線のハウジング13側の一端にコネクタ端子15を接続し、電線が接続されたコネクタ端子15をハウジング13の電線引出開口25から端子収容室23に挿入する。そして、ハウジング13にあらかじめ仮係止された保持部材17を下方へ押し付けて本係止させることにより、端子収容室23に挿入されたコネクタ端子15の凹部35に突起部45を挿入させる。これにより、コネクタ端子15は、ハウジング13に保持される。
【0042】
続いて、ハウジング13の電線引出開口25から抜き出され、リアホルダ21の前方に位置された電線にインナホルダ19を被着する。電線は、インナホルダ19の脚部59a,59bを外側へ開いて開き部57を拡げることにより、円形開口55に組み付けられる。ここで、円形開口55の内径に対して電線の外径が大きい場合、インナホルダ19は、図6に示すように、電線が組み付けられた状態で、開き部57が外側に拡がる方向に変形し、これに伴って、フード部53も外側に拡がる方向に変形する。
【0043】
次に、インナホルダ19を電線に沿ってハウジング13側へ移動させる。ここで、インナホルダ19は、好ましくはハウジング13の後端部(電線引出開口25)の所定位置に当接させておく。このような状態で、リアホルダ21をハウジング13に押し付け、左右の係止フック69をそれぞれハウジング13の係止突起71と係合させる。これにより、リアホルダ21は、インナホルダ19をハウジング13側に組み付けた状態で、ハウジング13に冠着される。
【0044】
リアホルダ21がハウジング13に冠着されると、インナホルダ19は、フード部53がリアホルダ21の貫通孔73の大径部77に収容されるとともに、脚部59a,59bの係合部61a,61bに押圧部81a,81bがそれぞれ嵌め込まれ、リアホルダ21に保持される。このようにリアホルダ21をハウジング13に押し付けることにより、リアホルダ21をハウジング13に冠着させる動作とフード部53を貫通孔73に挿入される動作が同時になされる。これにより、部品の組付け作業を効率よく行うことができ、組付け作業を簡単化することができる。
【0045】
また、インナホルダ19の組付け時において、フード部53に位置ずれが生じたとしても、貫通孔73の周縁の傾斜面83に沿って大径部77に案内されるため、大径部77への挿入をスムーズに行うことができ、挿入負荷を低減することができる。加えて、傾斜面83を設けることにより、フード部53が貫通孔73の周縁と当接して損傷するのを防ぐことができる。
【0046】
また、大径部77に挿入されたフード部53は、両端部が段差面79とそれぞれ当接することにより、図6のような変形が矯正され、電線の外周面の周方向に沿った形状(変形前の形状)に規制される。これにより、電線は、貫通孔73において、小径部75の内周面とフード部53の内周面とで形成されたほぼ真円の貫通孔73の内周面に全周がほぼ均一に包囲される。
【0047】
ここで、貫通孔73の内周面は、貫通孔73に挿入された状態の小径部75の内径やフード部53の内径等を適宜設定することで、電線の外周面との隙間をなくすことができる。例えば、小径部75の内径を電線の外径の公差範囲内に設定し、フード部53の内径を電線の外径の公差下限に設定する。こうすることで、例えば、小径部75の内径が大きく形成されても、フード部53が電線の外周面を押圧することで、フード部53に押圧された電線を小径部75の内周面に押し付けることが可能になり、貫通孔73と電線との隙間を小さくすることができる。したがって、車両等に搭載されるコネクタ11において、ハウジング13に異物が侵入するのを防ぐことができ、所望の安全性を確保することができる。すなわち、例えば、IP規格の検査において、針金(例えば、φ1mm)が貫通孔73を通過するのを防ぐことができ、IP規格の要求を満たすことができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、上述したように、フード部53の両端部を段差面79に当接させてフード部53の変形を規制しているから、電線に曲げ方向の外力が作用してフード部53が電線に押し付けられたとしても、フード部53の変形に伴う、電線と貫通孔73との隙間の発生を抑制することが可能になる。
【0049】
これに対して、例えば、電線にかかる曲げ方向の外力が過大になると、フード部53が電線によって上方へ持ち上げられ、フード部53の端部が段差面79から離れることも考えられる。このようにフード部53の端部と段差面79との間に隙間が生じると、異物が隙間を介してハウジング13の内部に侵入するおそれがある。
【0050】
この点、本実施の形態では、図2に示すように、フード部53の基端と連なるインナホルダ19の脚部59a,59bが、貫通孔73の小径部75の周縁に沿って配置されているから、フード部53の端部と段差面79との間に隙間が生じたとしても、この隙間を脚部59a,59bにより遮断することができる。これにより、例えばIP規格の検査において、針金が隙間に侵入したとしても、隙間の奥の脚部59a,59bと当接されるため、針金がハウジング13に侵入するのを防ぐことができる。
【0051】
また、組付け後のインナホルダ19は、押圧部81a,81bが脚部59a,59bと係合することにより、開き部57が閉じる方向、つまり、電線を押圧する方向に弾性変形した状態で電線に被着される。これにより、フード部53の変形をインナホルダ19の軸方向からも規制することができ、電線とフード部53との間に隙間が生じるのをより確実に防ぐことができる。
【0052】
なお、インナホルダ19は、開き部57が形成されるため、電線の外周面を全周にわたって包囲することはできないが、図5に示すように、筒部67の開口から臨む下方には、第1接続部85が上方に浮いた状態で配置されている。このため、IP規格の検査において、より細径の針金が小径部75と電線との隙間に沿って侵入したとしても、第1接続部85と接触するのを抑制することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態を図面により詳述してきたが、上記の実施形態は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記の実施形態の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0054】
例えば、本実施の形態では、インナホルダ19に一対の脚部59a,59bを設ける例を説明したが、この脚部59a,59bは、必須の構成ではない。すなわち、インナホルダ19の基部51には、脚部59a,59bに代えて、フード部53の基端から下方へ延びる他の形状が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
11 コネクタ
13 ハウジング
15 コネクタ端子
19 インナホルダ
21 リアホルダ
25 電線引出開口
51 基部
53 フード部
55 円形開口
57 開き部
59a,59b 脚部
73 貫通孔
75 小径部
77 大径部
79 段差面
83 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6