特許第6236316号(P6236316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236316
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   A47L15/42 D
   A47L15/42 K
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-272299(P2013-272299)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-123349(P2015-123349A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】栂 圭一
(72)【発明者】
【氏名】為石 芳正
(72)【発明者】
【氏名】小林 健治
(72)【発明者】
【氏名】津森 衛
(72)【発明者】
【氏名】基常 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】海老田 洋志
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05660193(US,A)
【文献】 特開平04−180725(JP,A)
【文献】 特開2013−234766(JP,A)
【文献】 特開2012−047407(JP,A)
【文献】 特開2009−099481(JP,A)
【文献】 特開2008−008568(JP,A)
【文献】 特開2006−038242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄室内に収容された被洗浄物のすすぎに用いられる給水を貯留する貯湯タンクと、
前記被洗浄物の洗浄に用いられる洗浄水を貯留する洗浄水タンクと、
前記貯湯タンクに前記給水を供給する給水流路と、前記洗浄水タンクに貯留される前記洗浄水が排水として排出される排水流路と、を有し、前記排水流路を流れる前記排水と前記給水流路を流れる前記給水との間で熱交換を行う排水熱回収装置と、を備え、
前記排水熱回収装置は、前記洗浄室の下方に配置されると共に、前記貯湯タンクから前記洗浄室内に前記給水を送水するポンプが配置されている機械室内において前記洗浄水タンクに固定され、前記排水流路が前記洗浄水タンクの排水口に接続されている、洗浄機。
【請求項2】
前記排水熱回収装置は、
前記排水流路の一部となる内空部を有し、前記洗浄水タンクに固定可能に形成された接続部と、
前記接続部の内空部に対し嵌合可能に形成され、前記排水流路の一部となる内空部を有する直管と、
前記接続部に固定可能、かつ、前記接続部に接続する側の端部から前記直管を内挿可能に形成される本体部と、を有し、
前記直管を前記本体部に内挿した際に、前記直管の外周面と前記本体部の内周面との間に前記給水流路が形成される、請求項1に記載の洗浄機。
【請求項3】
前記排水熱回収装置は、
前記排水流路の一部となる内空部を有し、前記洗浄水タンクに固定可能に形成された接続部と、
前記内空部に対し嵌合可能に形成され、前記排水流路の一部となる内空部を有する蛇腹管と、
前記接続部に固定可能、かつ、前記接続部に接続する側の端部から前記蛇腹管を内挿可能に形成される本体部と、を有し、
前記蛇腹管を前記本体部に内挿した際に、前記蛇腹管の外周面と前記本体部の内周面との間に前記給水流路が形成され、
前記蛇腹管の蛇腹部の外径が、前記本体部において前記蛇腹管を内挿する部分の内径よりも小さくなるように形成されている、請求項1に記載の洗浄機。
【請求項4】
前記排水熱回収装置は、前記排水流路の外側に前記給水流路が配置された二重管となる部分を有し、
前記給水流路は、前記給水が流入する流入部及び前記給水が流出する流出部を有し、
前記流入部及び前記流出部の少なくとも一方は、前記流入部における前記給水の流入方向及び前記流出部における前記給水の流出方向が、前記二重管の円周に対する接線方向となるように設けられている、請求項1〜3の何れか一項に記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器などの被洗浄物の洗浄を行う洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄室の中の食器類を洗浄したりすすいだりするために供給される給水と、その際に洗浄室から排出される排水との間で熱を交換させる排水熱回収装置を備える洗浄機が知られている。このような排水熱回収装置を備える洗浄機が、例えば、特許文献1(特開平8−150107号公報)及び特許文献2(実用新案登録第312813号)に開示されている。特許文献1及び2で開示されている洗浄機は、食器類の洗浄を行なう洗浄室の下方にポンプなどの装置が収納された機械室が設けられており、上記排水熱回収装置は、このような機械室の外側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−150107号公報
【特許文献2】実用新案登録第312813号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の洗浄機では、排水熱回収装置が機械室の外側(以後、機械室の外側を「機外」と称する。)に設けられているので、機外の排水熱回収装置にまで排水が流れる間に排水の温度が低下し、熱交換が非効率になるという問題がある。また、上記従来の洗浄機では、排水熱回収装置を機外に設ける必要があるので、洗浄機を据付する際の自由度が劣るという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、効率的な熱交換を可能にすると共に、洗浄機を据付する際の自由度が低下することを回避できる洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る洗浄機は、洗浄室内に収容された被洗浄物の洗浄及びすすぎに用いられる給水を貯留する給水貯留部と、被洗浄物の洗浄及びすすぎに用いられた排水を一時的に貯留する排水貯留部と、給水貯留部に給水を供給する給水流路と、排水貯留部から排水が排出される排水流路と、を有し、排水流路を流れる排水と給水流路を流れる給水との間で熱交換を行う排水熱回収装置と、を備え、排水熱回収装置は、洗浄室の下方に配置されると共に、給水貯留部から洗浄室内に給水を送水するポンプが配置されている機械室内に設けられ、排水流路が排水貯留部の排水口に接続されている。
【0007】
このような構成の洗浄機では、排水貯留部の排水口に排水流路が直結されているので、排水貯留部から排水されてすぐの排水を用いて給水と熱交換することが可能となる。また、このような構成の洗浄機では、排水熱回収装置が機械室内に配置されているので、機械室外に別途、排水熱回収装置を設けるスペースを確保する必要がない。したがって、効率的な熱交換を可能にすると共に、洗浄機を据付する際の自由度が低下することを回避できる。
【0008】
また、一実施形態において、排水熱回収装置は、排水流路の一部となる内空部を有し、排水貯留部に固定可能に形成された接続部と、接続部の内空部に対し嵌合可能に形成され、排水流路の一部となる内空部を有する直管と、接続部に固定可能、かつ、接続部に接続する側の端部から直管を内挿可能に形成される本体部と、を有し、直管を本体部に内挿した際に、直管の外周面と本体部の内周面との間に給水流路が形成されてもよい。
【0009】
この構成の排水熱回収装置では、接続部が洗浄水タンクに固定されると共に、直管が内挿された本体部が、直管を内空部に嵌合させるようにして接続部に固定される。これにより、接続部及び直管の内空部に排水流路が形成され、本体部の内周面と直管の外周面との間に給水流路が形成される。このような排水熱回収装置を備える洗浄機によれば、排水流路が直管により形成されているので、残菜などのゴミを容易に取り除くことができる。また、本体部から排水流路となる直管を取り外し可能に構成されているので、直管を取り外して清掃できるなどメンテナンス性に優れる。
【0010】
また、一実施形態において、排水熱回収装置は、排水流路の一部となる内空部を有し、貯留部に固定可能に形成された接続部と、内空部に対し嵌合可能に形成され、排水流路の一部となる内空部を有する蛇腹管と、接続部に固定可能、かつ、接続部に接続する側の端部から蛇腹管を内挿可能に形成される本体部と、を有し、蛇腹管を本体部に内挿した際に、蛇腹管の外周面と本体部の内周面との間に給水流路が形成され、蛇腹管の蛇腹部の外径が、本体部において蛇腹管を内挿する部分の内径よりも小さくなるように形成されていてもよい。
【0011】
この構成の排水熱回収装置では、接続部が洗浄水タンクに固定されると共に、蛇腹管が内挿された本体部が、蛇腹管を内空部に嵌合させるようにして接続部に固定される。これにより、接続部及び蛇腹管の内空部に排水流路が形成され、本体部の内周面と蛇腹管の外周面との間に給水流路が形成される。このような排水熱回収装置を備える洗浄機によれば、排水流路が蛇腹管により形成されているので、排水流路と給水流路との互いの接触面積を広くでき、排水と給水との間の熱交換効率を高めることができる。また、この排水熱回収装置を備える洗浄機によれば、排水流路となる蛇腹管が、本体部において蛇腹管を内挿する部分の内径よりも小さい。これにより、本体部から蛇腹管を取り外し可能となり、蛇腹管を取り外して清掃できるなどメンテナンス性に優れる。
【0012】
また、一実施形態において、排水熱回収装置は、排水流路の外側に給水流路が配置された二重管となる部分を有し、給水流路は、給水が流入する流入部及び給水が流出する流出部を有し、流入部及び流出部の少なくとも一方は、流入部における給水の流入方向及び流出部における給水の流出方向が、二重管の円周に対する接線方向となるように設けられていてもよい。
【0013】
この構成の排水熱回収装置では、給水流路の流入部から流入する給水が、排水流路の外周面に沿って回転しながら排水流路の延在方向に沿って流出部まで流れるようになる。言い換えれば、給水が、給水流路内を螺旋状に流れることになる。これにより、給水流路内を直線的に流れる場合と比較して、排水熱回収装置内に給水を長く留まらせることができる。この結果、排水と給水との間で熱交換を行うための時間が十分に確保されるので、給水は、排水が有する熱を十分に受け取ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、効率的な熱交換を可能にすると共に、洗浄機を据付する際の自由度が低下することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る食器洗浄機を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る食器洗浄機の概略構成を示す断面図である。
図3図2に示される排水熱回収装置の断面図である。
図4】第2実施形態に係る食器洗浄機に含まれる排水熱回収装置の各部材を示す断面図である。
図5】第2実施形態に係る食器洗浄機に含まれる排水熱回収装置を示す断面図である。
図6】第3実施形態に係る食器洗浄機に含まれる排水熱回収装置の各部材を示す断面図である。
図7】第3実施形態に係る食器洗浄機に含まれる排水熱回収装置を示す断面図である。
図8】第4実施形態に係る食器洗浄機に含まれる排水熱回収装置の一部を示す断面図である。
図9】第1変形例に係る食器洗浄機に含まれる排水熱回収装置の一部を示す断面図である。
図10】第1変形例に係る食器洗浄機に含まれる排水熱回収装置の一部を示す断面図である。
図11】第2変形例に係る食器洗浄機に含まれる排水熱回収装置の一部を示す断面図である。
図12】第3変形例に係る食器洗浄機の概略構成を示す断面図である。
図13】第4変形例に係る食器洗浄機の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して第1〜第4実施形態に係る食器洗浄機(洗浄機)について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0017】
〔第1実施形態〕
第1実施形態について、主に図1図3を参照しながら説明する。第1実施形態の食器洗浄機1は、洗浄室3内に設けられた上側及び下側洗浄ノズル12A,12Bから洗浄水(給水)を噴射すると共に、上側及び下側すすぎノズル13A,13Bからすすぎ水(給水)を噴射する食器洗浄機である。図1及び図2に示すように、食器洗浄機1は、ステンレス製のパネルで覆われた洗浄機本体2を有している。図1に示すように、洗浄機本体2は、洗浄室3が形成された上側部分2Aと、機械室4が形成された下側部分2Bとに仕切られている。洗浄機本体2の背面側におけるコーナ部には、上側部分2Aと下側部分2Bとに渡って上下方向に延びる支柱6が配置され、支柱6,6間には背面パネル5が配置されている。
【0018】
また、洗浄機本体2の上側部分2Aには、洗浄室3の開閉を行うための箱型のドア7が設けられている。このドア7は、ステンレス製の一対の支柱6,6により上下動自在に案内されると共に、前方において水平方向に延在するハンドル8Aによって上下動する。このハンドル8Aの両端には左右一対の回動アーム8B,8Bの先端が固定され、各回動アーム8B,8Bはドア7の側面7Aに沿って斜めに配置されている。そして、ハンドル8Aの回動運動に対してドア7を上下運動させる必要があるので、各回動アーム8B,8Bには、ドア7の側面7Aに沿って配置されたリンク部8Cの一端が回動自在に連結され、リンク部8Cの他端は、軸ピン8Dを介してドア7に連結されている。洗浄機本体2の底面の四隅には脚部9が取り付けられており、食器洗浄機1の安定した設置が可能となっている。
【0019】
洗浄室3内には、ラックレール(図示せず)が着脱自在に配置されており、このラックレール上に、飲食後の皿や茶碗などの食器(被洗浄物)Pが並べられた格子状の食器ラック11が載置される。洗浄室3の上部には、放射状に延びる3本のアームからなる上側洗浄ノズル12Aと、2本のアームからなる上側すすぎノズル13Aとがそれぞれ回転自在に配置されている。同様に、洗浄室3の下部には、放射状に延びる3本のアームからなる下側洗浄ノズル12Bと、2本のアームからなる下側すすぎノズル13Bとがそれぞれ回転自在に配置されている。食器ラック11に並べられた食器Pは、上側及び下側洗浄ノズル12A,12Bによって上下から洗浄水が噴射され、すすぎノズル13A,13Bによって上下からすすぎ水が噴射される。
【0020】
このように構成された洗浄室3の底面3Aには、第1フィルタ14が着脱自在に配置されており、この第1フィルタ14の下方には、すなわち、機械室4の上方には、洗浄水を貯留するための洗浄水タンク(排水貯留部)15が形成されている。この洗浄水タンク15内には、洗浄能力及び殺菌能力を向上させるために洗浄水を加熱する洗浄水ヒータ16と、この洗浄水の温度を検知するための洗浄水温センサ17とが設置されている。
【0021】
洗浄水タンク15の底面15Aには、第1フィルタ14より目の細かいメッシュ状の第2フィルタ18が着脱自在に配置されており、この第2フィルタ18の下方には、底面15Aの一部が落ち込むようにして落込部19が形成されている。落込部19の底面19Aには排水口19Bが形成されており、排水熱回収装置50が接続されている。
【0022】
洗浄水タンク15には、上下方向に延びるオーバーフロー管21が設けられている。オーバーフロー管21は、その上端が洗浄水タンク15の上縁に位置しており、下端が落込部19の底面19Aに形成された排水口19Bに嵌め込まれている。余剰な洗浄水は、オーバーフロー管21の上端部に形成された流入孔から管内に流れ込み、排水熱回収装置50を介して外部に排出される。このため、洗浄水タンク15内の洗浄水は、常に一定水位に保たれる。
【0023】
オーバーフロー管21は、洗浄水タンク15に対して取り外し可能になっている。使用者がオーバーフロー管21を引き上げることで、オーバーフロー管21が差し込まれていた排水口19Bが落込部19の底面19Aから露出し、この排水口19Bから洗浄水タンク15内の洗浄水を完全に排水することができる。
【0024】
洗浄水タンク15の落込部19には、洗浄水吸込管22を介して洗浄ポンプ23が接続されている。洗浄ポンプ23の吐出口には洗浄水吐出管24が接続されている。洗浄水吐出管24は、第1洗浄水吐出管25と第2洗浄水吐出管26とに分岐して、第1洗浄水吐出管25は上側洗浄ノズル12Aに接続され、第2洗浄水吐出管26は下側洗浄ノズル12Bに接続されている。
【0025】
また、機械室4内には、外部から給水管27A、排水熱回収装置50及び給水管27Bを介してすすぎ水となる給水W2が供給される貯湯タンク(給水貯留部)28が配置されている。この貯湯タンク28内には、殺菌能力を向上させるためにすすぎ水を加熱するすすぎ水ヒータ29と、このすすぎ水の温度を検知するためのすすぎ水温センサ31と、水位を検知する水位センサ32とが配置されている。給水管27B上に設けられている電磁弁27Cは、水位センサ32における水位の検知と連動して弁を開閉し、貯湯タンク28内の水位を一定に保つ。また、貯湯タンク28内には、余剰なすすぎ水を外部に排出して一定水位に保つためのオーバーフロー管(図示せず)が設置されていてもよい。
【0026】
貯湯タンク28には、すすぎ水吸込管33を介してすすぎポンプ34が接続されている。すすぎポンプ34は、貯湯タンク28から洗浄室内にすすぎ水を送水するポンプである。すすぎポンプ34の吐出口にはすすぎ水吐出管36が接続されている。すすぎ水吐出管36は、第1すすぎ水吐出管37と第2すすぎ水吐出管38とに分岐して、第1すすぎ水吐出管37は上側すすぎノズル13Aに接続され、第2すすぎ水吐出管38は下側すすぎノズル13Bに接続されている。
【0027】
また、機械室4内には、洗浄水タンク15から排出される排水W1が流れる排水流路51と、貯湯タンク28に供給する給水W2が流れる給水流路52と、を有し、排水流路51を流れる排水W1と給水流路52を流れる給水W2との間で熱交換を行う排水熱回収装置50が配置されている。
【0028】
排水熱回収装置50は、内側管57を内挿可能に形成された外側管53と、内側管57とを有しており、内側管57を内挿した状態の外側管53が、落込部19の排水口19Bに接続される。具体的には、外側管53に形成された固定部56が、図示しないねじなどを介して落込部19の底面19Aに固定される。これにより、内側管57の内空部に排水W1が流れる排水流路51が形成され、外側管53の内周面と内側管57の外周面との間の空間に、給水W2が流れる給水流路52が形成される。
【0029】
排水流路51と給水流路52とは、内側管57を介して互いに接している。内側管57は、熱伝導性に優れた金属管などが採用されているので、排水流路51を流れる排水W1と給水流路52を流れる給水W2との間で熱交換が行われる。すなわち、洗浄水タンク15から排水される排水W1と、排水W1と比べて冷たい給水W2との間で熱交換が行われる。
【0030】
外側管53には、給水管27Aを介して給水W2を外部から流入させる流入部54と、流入部54から流入された給水W2を貯湯タンク28に向けて送り出す流出部55とが形成されている。流出部55から流出した給水W2は、給水管27Bを介して貯湯タンク28に送られる。
【0031】
また、機械室4内には、洗浄水タンク15内の洗浄水に混入させるための洗剤を貯留した洗剤タンク39が配置されている。洗剤タンク39には、洗剤吸込管41を介して洗剤供給ポンプ42が接続されている。洗剤供給ポンプ42の吐出口には洗剤吐出管43の一端が接続されている。洗剤吐出管43の他端43Aは、洗浄室3内に位置して下方に向かって開口している。
【0032】
また、機械室4内には、食器洗浄機1の動作全般を制御するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)70が内蔵された電装ボックス71などが収容されている。
【0033】
食器洗浄機1は、電源スイッチがONされると、貯湯タンク28内の温水をすすぎポンプ34によって洗浄室3へ噴射することにより、洗浄水タンク15内へ温水が供給される。これにより初期給湯が行われる。そして、初期給湯量に合った量の洗剤が洗浄水タンク15内へ供給されて、洗浄水タンク15内の洗浄水の洗剤濃度が所定濃度となる。
【0034】
初期給湯後、ユーザが食器Pをラッキングして、ドア7を閉めると、ドアスイッチ(図示せず)により、ドアが閉められたことが検知されると共に、運転開始信号がマイコン70へ入力される。運転開始信号がマイコン70へ入力されると、食器の洗浄が開始される。食器の洗浄は、洗浄水タンク15内の洗浄水を洗浄室3内の食器Pに向けて噴射することにより行われる。
【0035】
洗浄ポンプ23が始動することにより、洗浄水タンク15内に貯留された洗浄水は、洗浄水吐出管24などを介して上側及び下側洗浄ノズル12A,12Bに圧送されて、各洗浄ノズル12A,12Bから洗浄室3内の食器Pに向けて噴射される。このとき、各洗浄ノズル12A,12Bは噴射力の反力によって回転し続けるため、洗浄水が食器Pに満遍なく当てられて、食器Pの汚れが効率良く洗い落とされる。
【0036】
この洗浄室3内に噴射された洗浄水は、食器Pから洗い落とされた残菜などが第1フィルタ14によって取り除かれつつ洗浄水タンク15内に回収される。さらに、第2フィルタ18によって細かい残菜が取り除かれた後、洗浄ポンプ23により再び洗浄室3内に循環供給される。
【0037】
次に、すすぎポンプ34が始動することにより、貯湯タンク28内に貯留されたすすぎ水は、すすぎ水吐出管36などを介して上側及び下側すすぎノズル13A,13Bに圧送されて、各すすぎノズル13A,13Bから食器Pに向けて噴射される。このとき、各すすぎノズル13A,13Bもまた、噴射力の反力によって回転し続けるため、すすぎ水が食器Pに満遍なく当てられて、食器Pのすすぎが効率良く行われる。
【0038】
この食器Pに噴射されたすすぎ水は、第1フィルタ14を介して洗浄水タンク15内に回収されて洗浄水と混ざり合い、次回の洗浄工程における洗浄水として使用される。洗浄室3内にすすぎ水が噴射されて洗浄水タンク15内に回収されると、一定水位を超える余剰な洗浄水は、オーバーフロー管21から排水され、排水熱回収装置50を介して外部に排出される。
【0039】
オーバーフロー管21から排出された排水W1が排水熱回収装置50の内側管57の内空部を流れる際に、外側管53の内周面と内側管57の外周面との間の空間に、排水W1と比較して冷たい給水W2が流れると、排水W1と給水W2との間で熱交換が行われる。これにより、流入部54から流入された給水W2は、流入時よりも水温が高くなった状態で流出部55から流出される。給水管27B上には、電磁弁27Cが設けられているので、電磁弁27Cの開閉状態によっては外側管53の内周面と内側管57の外周面との間の空間に給水が滞留している場合がある。この場合には、外側管53の内周面と内側管57の外周面との間の空間に滞留している給水W2と排水W1との間で熱交換が行われる。
【0040】
上記実施形態の食器洗浄機1では、洗浄水タンク15の排水口19Bに排水流路51が直結されているので、洗浄水タンク15から排水されてすぐの排水W1と給水W2と間で熱交換することが可能となる。また、このような構成の食器洗浄機1では、排水熱回収装置50が機械室4内に配置されているので、機械室4の外側に別途、排水熱回収装置50を設けるスペースを確保する必要がない。したがって、効率的な熱交換を可能にすると共に、食器洗浄機1を据付する際の自由度が低下することを回避できる。
【0041】
また、上記実施形態の食器洗浄機1では、機械室という限られた空間内に配置されるため、小型化が図られている。このため、部品点数が削減され、コストを抑制することができる。また、図3に示すように、排水熱回収装置50が洗浄水タンク15の落込部19の底面19Aに直接取り付けられているため、排水熱回収装置50に落込部19からの熱が伝熱され、排水熱回収効率が高められる。
【0042】
また、上記実施形態の食器洗浄機1では、図1に示すように、機械室4がステンレス製のパネルで覆われているので、機械室4の温度が洗浄機本体2の外側に比べて高い。このため、排水熱の回収効率を高めることができる。また、上記実施形態の食器洗浄機1では、機械室4がステンレス製のパネルで覆われているので、洗浄機本体2の外側に排水熱回収装置が配置される場合と比べて、厨房環境の影響を受けにくい。このため、排水熱の回収性能を安定化させることができる。
【0043】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る食器洗浄機1Aについて、主に図4及び図5を参照しながら説明する。第2実施形態の食器洗浄機1Aが第1実施形態の食器洗浄機1と異なるのは、排水熱回収装置50Aの構成である。ここでは、この排水熱回収装置50Aについて詳細に説明し、第1実施形態の食器洗浄機1と共通する点については説明を省略する。排水熱回収装置50Aは、図4及び図5に示すように、接続部材100と、直管110と、本体部材120と、を有している。
【0044】
図4に示すように、接続部材100は、内空部101、第1ねじ孔103及び第2ねじ孔104を有している。内空部101は、排水熱回収装置50Aにおける排水流路51Aの一部を形成する。第1ねじ孔103は、洗浄水タンク15の落込部19に固定するために設けられている。第2ねじ孔104は、本体部材120に固定するために設けられている。内空部101の下方(本体部材120と接続される側)には、直管110を嵌合させるための被嵌合部105が形成されている。被嵌合部105の外周面には、パッキン106が設けられている。
【0045】
直管110は、上端部110Aが被嵌合部105に対し嵌合可能に形成されている管状部材である。直管110は、熱伝導率が相対的に高い金属部材により形成されている。直管110の内空部111は、排水熱回収装置50Aにおける排水流路51Aの一部を形成する。
【0046】
本体部材120は、接続部121、第1内周面122、第2内周面123、流入部124及び流出部125を備えており、樹脂により一体成形されている。接続部121は、接続部材100に固定するために設けられており、挿通孔121Aを有している。第1内周面122は、本体部材120の上端部及び下端部に設けられており、内挿される直管110の外径と略同一サイズの内径を有している。これにより、本体部材120は、接続部材100に接続する側の端部120Aから直管110を内挿可能となっている。本体部材120の上端部及び下端部にそれぞれ設けられた第1内周面122にはパッキン127が設けられている。
【0047】
第2内周面123は、本体部材120の上端部及び下端部にそれぞれ設けられた第1内周面122の間に形成されており、第1内周面122よりも大きな内径を有している。流入部124は、本体部材120に給水W2を流入させるために設けられ、給水流路52Aの一部を形成する。流出部125は、本体部材120から給水W2を流出させるために設けられており、給水流路52Aの一部を形成する。そして、直管110を本体部材120に内挿した際には、直管110の外周面110Bと本体部材120の第2内周面(内周面)123との間に、排水熱回収装置50Aの給水流路52Aの一部が形成される。
【0048】
このように接続部材100と、直管110と、本体部材120と、を有する排水熱回収装置50Aでは、図5に示すように、接続部材100が洗浄水タンク15の落込部19に固定される。具体的には、洗浄水タンク15の落込部19に設けられた挿通孔19Cに、洗浄室3側から挿通されたねじ108が、接続部材100の第1ねじ孔103に締結されることにより、接続部材100が洗浄水タンク15の落込部19に固定される。
【0049】
次に、直管110が内挿された本体部材120が、直管110を接続部材100の被嵌合部105に嵌合させるようにして、接続部材100に固定される。接続部材100と本体部材120との接続は、本体部材120に設けられた挿通孔121Aに、機械室4側から挿通されたねじ128が、接続部材100の第2ねじ孔104に締結されることにより行われる。これにより、接続部材100の内空部101と直管110の内空部111とにより排水流路51Aが形成され、流入部124、流出部125及び本体部材120の第2内周面123と直管110の外周面110Bとの間に給水流路52Aが形成される。
【0050】
このような排水熱回収装置50Aを備える食器洗浄機1Aによれば、排水熱回収装置50を備える食器洗浄機1が享受できる作用効果を奏することができる。そして、更に排水熱回収装置50Aを備える食器洗浄機1Aによれば、排水流路51Aが直管110により形成されているので、残菜などのゴミを容易に取り除くことができる。また、排水流路51Aとなる直管110が取り外し可能に構成されているので、直管110を排水熱回収装置50Aから取り外して清掃できるなどメンテナンス性に優れる。
【0051】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態に係る食器洗浄機1Bについて、主に図6及び図7を参照しながら説明する。第3実施形態の食器洗浄機1Bが第2実施形態の食器洗浄機1Aと異なる点は、排水熱回収装置50Bの構成である。具体的には、排水熱回収装置50Aにおける直管110が蛇腹管140となっている。ここでは、この排水熱回収装置50Bにおける蛇腹管140について詳細に説明し、第1及び第2実施形態の食器洗浄機1,1Aと共通する点については説明を省略する。
【0052】
図6に示すように、接続部材100の内空部101の下方(本体部材120と接続される側)には、蛇腹管140を嵌合させるための被嵌合部105が内挿されている。
【0053】
蛇腹管140は、上端部140Aが被嵌合部105に対し嵌合可能に形成された管状部材である。蛇腹管140は、熱伝導率が相対的に高い金属素材により形成することができる。蛇腹管140の上下端部のそれぞれは、蛇腹状ではなく直管状に形成されている。蛇腹管140の内空部141は、排水熱回収装置50Bにおける排水流路51Bの一部を形成する。蛇腹管140の蛇腹状部分の外径D1は、本体部材120において蛇腹管140を内挿する部分の内径D0よりも小さくなるように形成されている。
【0054】
本体部材120の第1内周面122は、本体部材120の上端部及び下端部に設けられており、内挿される蛇腹管140の蛇腹部分の外径D1よりも少し大きな内径D0を有している。これにより、本体部材120は、接続部材100に接続する側の端部120Aから蛇腹管140を内挿可能となっている。本体部材120の上端部及び下端部にそれぞれ設けられた第1内周面122には、パッキン127が設けられている。蛇腹管140が本体部材120に内挿された際には、流入部124、流出部125及び蛇腹管140の蛇腹部分の外周面140Bと本体部材120の第2内周面(内周面)123との間に、排水熱回収装置50Bの給水流路52Bが形成される。
【0055】
このように接続部材100と、蛇腹管140と、本体部材120と、を有する排水熱回収装置50Bでは、図7に示すように、接続部材100が洗浄水タンク15の落込部19に固定される。具体的には、洗浄水タンク15の落込部19に設けられた挿通孔19Cに、洗浄室3側から挿通されたねじ108が、接続部材100の第1ねじ孔103に締結されることにより、接続部材100が洗浄水タンク15の落込部19に固定される。
【0056】
次に、蛇腹管140が内挿された本体部材120を、蛇腹管140が接続部材100の被嵌合部105に嵌合させるようにして、接続部材100に固定される。接続部材100と本体部材120との接続は、本体部材120に設けられた挿通孔121Aに、機械室4側から挿通されたねじ128が、接続部材100の第2ねじ孔104に締結されることにより行われる。これにより、接続部材100の内空部101と蛇腹管140の内空部141とにより排水流路51Bが形成され、流入部124、流出部125及び本体部材120の第2内周面123と蛇腹管140の蛇腹部分の外周面140Bとの間に給水流路52Bが形成される。
【0057】
このような排水熱回収装置50Bを備える食器洗浄機1Bによれば、排水熱回収装置50を備える食器洗浄機1が享受できる作用効果を奏することができる。そして、第3実施形態に係る食器洗浄機1Bによれば、排水流路51Bと給水流路52Bとが互いに接触する部分が蛇腹状に形成されているので、排水流路51Bと給水流路52Aとが互いに接触する面積を大きくすることができる。これにより、排水流路51Bと給水流路52Bとの熱交換効率を高めることができる。また、排水流路51Bの一部を形成する蛇腹管140が取り外し可能に構成されているので、蛇腹管140を排水熱回収装置50Bから取り外して清掃できるなど、メンテナンス性に優れる。
【0058】
〔第4実施形態〕
次に、第4実施形態に係る食器洗浄機1Cについて、主に図8を参照しながら説明する。第4実施形態の食器洗浄機1Cが第1実施形態の食器洗浄機1と異なるのは、排水熱回収装置50Dにおける内側管157の構成である。ここでは、この排水熱回収装置50Cにおける内側管157について詳細に説明し、第1実施形態の食器洗浄機1と共通する点については説明を省略する。
【0059】
図8は、内側管157を排水方向(長手方向)に沿って切断した際の断面図である。図8に示すように、内側管157の外周面157Aは凹凸面として形成されている。また、内側管157の内周面157Bは、第1実施形態の内側管57と同様に、平滑面として形成されている。
【0060】
この構成の排水熱回収装置50Cでは、内側管157の外周面157Aの表面積を増大させることができるので、排水W1が流れる内側管157の外周面157Aと給水流路52Cとが互いに接触する面積を広くできる。これにより、排水流路51Cを流れる排水W1と給水流路52Cを流れる給水W2との間の熱交換効率を高めることができる。また、内側管の外周面が平滑面に形成されている場合と同じ熱交換効率を得る場合には、内側管157の長手方向の長さを短くできるので、排水熱回収装置50C全体のサイズを小さくすることができる。また、排水W1が流れる側の内周面157Bは平滑面のままであるので、排水W1に含まれる残菜などのゴミの蓄積を低減できる。
【0061】
以上、第1〜第4実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0062】
<第1変形例>
例えば、第1実施形態における外側管53を、下記に詳述する構成の外側管253としてもよい。すなわち、排水W1が流れる排水流路51の外側に給水W2が流れる給水流路52が配置された二重管となる部分を有する排水熱回収装置50Dにおいて、外側管253は、図9(A)に示すように、給水W2が流入する流入部254と、図9(B)に示すように、給水W2が流出する流出部255と、を有し、流入部254及び流出部255の少なくとも一方は、流入部254における給水W2の流入方向A1(図9(A)参照)及び流出部255における給水W2の流出方向A2(図9(B)参照)が、二重管の円周A3に対する接線方向(多少のずれを含む概念)となるように設けられてもよい。
【0063】
なお、外側管253に形成される流入部254及び流出部255の向きは、図9(A)及び図9(B)に示すように、流入部254における給水W2の流入方向A1と流出部255における給水W2の流出方向A2とが互いに同じ方向とするだけでなく、図10(A)及び図10(B)に示すように、流入部254における給水W2の流入方向A1と流出部255における給水W2の流出方向A2とが互いに反対方向となるように設けられた排水熱回収装置50Dとしてもよい。
【0064】
このような構成の排水熱回収装置50Dでは、外側管253の流入部254から流入する給水W2が、内側管57の外周面に沿って回転しながら内側管57の延在方向に沿って流出部255まで流れるようになる。言い換えれば、給水W2が、内側管57の外周面と外側管253の内周面との間の空間を螺旋状に流れることになる。これにより、内側管57に沿って給水W2が直線的に流れる場合と比較して、排水熱回収装置50D内に給水W2を長く留まらせることができる。この結果、排水W1と給水W2との間で熱交換を行うための時間が十分に確保されるので、給水W2は、排水W1が有する熱を十分に受け取ることができる。
【0065】
なお、上記第4実施形態における外側管53を上述した構成の外側管253としてもよい。また、上記第2及び第3実施形態における本体部材120における流入部124及び流出部125についても、流入部124及び流出部125の少なくとも一方を、流入部124における給水W2の流入方向A1及び流出部125における給水W2の流出方向A2が、二重管の円周A3に対する接線方向となるように設けられてもよい。
【0066】
<第2変形例>
また、例えば、第1及び第4実施形態における外側管53及び内側管57を、耐熱性を有する透明素材(例えば、透明樹脂)で形成してもよい。このような構成の排水熱回収装置50Eでは、洗浄水タンク15から排出される排水W1が排水熱回収装置50Eを通過する際に、外部から容易に排水W1の流れ状況を視認することができる。このため、排水流路51に排水W1に含まれる残菜などのゴミが詰まったり、汚れが蓄積したりしていないかなど、排水熱回収装置50Eを分解することなく、排水流路51の状態を確認できる。したがって、排水流路51の状態に応じて適宜メンテナンスを行うことができ、定期的に行うメンテナンスの回数を減らすことができる。
【0067】
また、他の実施形態に係る食器洗浄機では、図11に示すように、全部ではなく一部が透明素材57Aにより形成された内側管57を用いてもよい。内側管57は、内側管57の外側を流れる給水W2との間で熱交換をすることから、熱伝導性の高い金属素材で形成されることが好ましい。そこで、図11に示すように、内側管57を金属素材で形成し、その一部を透明樹脂などの透明素材57Aで形成することにより、熱伝導性を維持したまま、メンテナンス性に優れる排水熱回収装置50Eとすることが可能となる。
【0068】
なお、上記第2実施形態における本体部材120及び直管110についても、全体又はその一部を透明部材により形成してもよい。同様に、上記第3実施形態における本体部材120及び蛇腹管140についても、全体又はその一部を透明部材により形成してもよい。
【0069】
<第3変形例>
また、第3変形例に係る食器洗浄機1Dは、例えば、図12に示すように、上記第1〜第4実施形態及び他の変形例の排水熱回収装置(例えば、排水熱回収装置50,50A,50B,50D,50E)と貯湯タンク28との間に電磁弁などの給水バルブ81を設け、上記排水熱回収装置に供給される給水W2のタイミングを調整できる構成としてもよい。給水バルブ81は、機械室4内に配置された電装ボックス71に内蔵されたマイコン70により弁の開閉が制御される。
【0070】
食器洗浄機では、一般的に、貯湯タンク28への給水及び洗浄水タンク15からの排水が間欠的に行われている。このため、排水熱回収装置において排水W1が流れるタイミングと給水W2が流れるタイミングとがずれ、十分な熱交換を行うことができない場合があった。そこで、第3変形例に係る食器洗浄機1Dでは、排水熱回収装置において排水W1が流れるタイミングと給水W2が流れるタイミングとを一致するようにした。
【0071】
具体的には、例えば、すすぎ運転が終了するタイミングで洗浄水タンク15からオーバーフローして十分な量の排水が行われるような食器洗浄機においては、マイコン70は、すすぎ運転が終了するまで(すなわち、すすぎポンプ34が稼働している間)は給水バルブ81の弁を閉じ、すすぎ運転が終了した(すなわち、すすぎポンプ34が停止した)と同時に、給水バルブ81の弁を開ける。マイコン70が、給水バルブ81を上記のように制御することにより、排水熱回収装置内を排水W1が流れるタイミングで給水W2が流れるようになる。これにより、排水熱回収装置を流れる排水W1と給水W2との間で十分に熱交換を行うことができる。
【0072】
<第4変形例>
また、他の実施形態に係る食器洗浄機1Eは、例えば、図13に示すように、上記第1〜第4実施形態及び他の変形例の排水熱回収装置(例えば、排水熱回収装置50,50A,50B,50D,50E)の下流側に電磁弁などの排水バルブ83を設け、上記排水熱回収装置内に排水W1を滞留させることができる構成としてもよい。排水バルブ83は、機械室4内に配置された電装ボックス71に内蔵されたマイコン70により弁の開閉が制御される。
【0073】
食器洗浄機に設けられる排水熱回収装置では、一般的に、洗浄水タンク15から排水された排水W1は、排水熱回収装置内で長く滞留せずに排出されてしまう。このため、排水熱回収装置において、排水W1から給水W2へ十分に熱交換が行われない場合がある。また、排水W1が、給水W2との間で熱交換ができる状態(すなわち、比較的高温の状態)で排水熱回収装置から排出されてしまう場合がある。そこで、第4変形例に係る食器洗浄機では、排水熱回収装置内の下流側に排水バルブ83を設け、排水熱回収装置内に排水W1を滞留させる時間を調整できるようにした。
【0074】
具体的には、マイコン70は、任意の時間間隔で、排水バルブ83の開弁を制御する。開弁間隔は、0秒から次回すすぎ運転が行われるまでの時間の間で自由に設定することが可能である。例えば、0秒、30秒、60秒など、自由に設定することができる。また、マイコン70は、排水熱回収装置内に給水W2が供給されるタイミングでは常に排水W1が滞留するように、排水バルブ83を閉弁するように制御してもよい。これにより、排水熱回収装置を流れる排水W1と給水W2との間で十分に熱交換を行うことができる。この結果、貯湯タンク28に供給される給水W2の温度が相対的に高くなり、すすぎ水として供給するための温度に昇温するためのガス、電気エネルギーの消費量を低減することができ、ランニングコストも低減することができる。
【0075】
<その他の変形例>
上記実施形態の食器洗浄機及び他の変形例の食器洗浄機では、排水流路の外側(外周面側)に直線状の給水経路が設けられている構成の排水熱回収装置を備える例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、排水流路の外側(外周面側)に螺旋状の給水経路が設けられるような構成の排水熱回収装置を備える食器洗浄機としてもよい。
【0076】
また、上記第1〜第4実施形態及び他の変形例(例えば、排水熱回収装置50,150,250,50A,50B,50C,50D)では、ドア7が上下に開閉するタイプの食器洗浄機を例に挙げ説明したが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、オーブンのように洗浄機本体の前面側にドアが設けられたタイプの食器洗浄機や、食器を収容するためのラックを搬送しながら洗浄を行うコンベアタイプの食器洗浄機などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1,1A,1B,1C,1D,1E…食器洗浄機(洗浄機)、2…洗浄機本体、3…洗浄室、4…機械室、7…ドア、12A…上側洗浄ノズル、12B…下側洗浄ノズル、13A…上側すすぎノズル、13B…下側すすぎノズル、15…洗浄水タンク(排水貯留部)、19…落込部、19B…排水口、21…オーバーフロー管、23…洗浄ポンプ、27A,27B…給水管、28…貯湯タンク(給水貯留部)、34…すすぎポンプ(ポンプ)、50,50B,50C,50D,50E…排水熱回収装置、51,51A,51B,51C…排水流路、52…給水流路、53…外側管、54,254…流入部、55,255…流出部、56…固定部、57,157…内側管、57A…透明素材、70…マイコン、81…給水バルブ、83…排水バルブ、100…接続部材、101…内空部、110…直管、111…内空部、120…本体部材、122…第1内周面、123…第2内周面(内周面)、124…流入部、125…流出部、140…蛇腹管、141…内空部、W1…排水、W2…給水。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13