(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236364
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】インターホン機器の取付構造
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20171113BHJP
H04M 1/11 20060101ALI20171113BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20171113BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
H04M1/02 G
H04M1/11 A
H04M9/00 Z
H05K5/02 E
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-150971(P2014-150971)
(22)【出願日】2014年7月24日
(65)【公開番号】特開2016-25631(P2016-25631A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽二朗
【審査官】
藤江 大望
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−35408(JP,A)
【文献】
特開平6−78063(JP,A)
【文献】
特開2010−050797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/02−1/23
9/00−9/10
H05K5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイク、スピーカ、及び複数の操作ボタンが組み込まれたインターホン機器ユニットと、当該インターホン機器ユニットの背部を覆うように配設されるフレームとを有し、設置対象の所定位置に取り付けられた前記フレームに対して前記インターホン機器ユニットを収納操作することで設置されるインターホン機器の取付構造であって、
前記インターホン機器ユニットは、前記フレームの設置面よりも後方に突出して前記設置対象に収容される突出部を有する一方、
前記フレームは、前記突出部を挿通させる開口部を備えると共に、前記設置面に当接する底枠と、前記インターホン機器ユニットの周囲を保持するために前記底枠の周囲に起立形成された側枠とを有し、
前記インターホン機器ユニットの前記突出部の側部には、弾性を有して前記フレームの開口部の一部から成る係止部に係止する係止爪が設けられ、
前記インターホン機器ユニットを前記フレームへ収納操作した際に、前記係止爪が前記係止部に係止して前記インターホン機器ユニットが固定されることを特徴とするインターホン機器の取付構造。
【請求項2】
前記係止爪近傍の前記インターホン機器ユニットの側面に位置決めリブを備える一方、対応する前記フレームの側枠には前記位置決めリブに嵌合する切り欠きが形成されて成ることを特徴とする請求項1記載のインターホン機器の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付面との間に金属製フレームを介在させてインターホン機器ユニットを取り付けるインターホン機器の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製フレームを介して壁面等に取り付けられるインターホン機器がある。例えば、集合住宅の共用部に設置されて来訪者が居住者を呼び出すための集合玄関機の取付構造として特許文献1に記載された形態のものがある。
特許文献1では、まず金属製フレームを壁面へ取り付け、そのフレームに対して集合玄関機ユニットを組み付けることで、集合玄関機の取り付けを実施した。その際、集合玄関機ユニットの周囲にフレームに係止する係止爪、位置決めリブを設け、壁面に取り付けたフレームに対して前方から押し込むことで係止片をフレームに係止させることで容易に装着することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−50797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の取付構造は、集合玄関機ユニットに形成された係止爪が集合玄関機ユニットの側面に設けられており、壁面等の設置面に対して前方に突出した位置となっていた。そのため、フレームに設ける係止部もその位置にあわせて取付面より前方に形成する必要があり、集合玄関機ユニットに対してフレームは大きくなっていた。付随して多くの折り曲げ部が発生していたため、フレームの形状が複雑でコスト高となっていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、フレームは取付面の前方においては最小限の折り曲げで済み、インターホン機器ユニットに対して大きくしなくて済むインターホン機器の取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、マイク、スピーカ、及び複数の操作ボタンが組み込まれたインターホン機器ユニットと、当該インターホン機器ユニットの背部を覆うように配設されるフレームとを有し、設置対象の所定位置に取り付けられたフレームに対してインターホン機器ユニットを収納操作することで設置されるインターホン機器の取付構造であって、インターホン機器ユニットは、フレームの設置面よりも後方に突出して設置対象に収容される突出部を有する一方、フレームは、突出部を挿通させる開口部を備えると共に、設置面に当接する底枠と、インターホン機器ユニットの周囲を保持するために底枠の周囲に起立形成された側枠とを有し、インターホン機器ユニットの突出部の側部には、弾性を有してフレームの開口部の一部から成る係止部に係止する係止爪が設けられ、インターホン機器ユニットをフレームへ収納操作した際に、係止爪が係止部に係止してインターホン機器ユニットが固定されることを特徴とする。
この構成によれば、インターホン機器ユニットをフレームへ収納操作すると係止爪が係止部に係止してインターホン機器ユニットが固定されるため、簡易な操作で取り付けできる。そして、フレームの係止部は開口部を形成した底枠の端部に設ければ良く、別途側枠を拡張等して作製する必要がない。
更にフレームは、インターホン機器ユニットの側面に対して側枠を備える程度であるため、インターホン機器ユニットと略同一サイズの最小限の大きさとすることができ、複雑な折り曲げを必要としない。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、係止爪近傍のインターホン機器ユニットの側面に位置決めリブを備える一方、対応するフレームの側枠には位置決めリブに嵌合する切り欠きが形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、インターホン機器ユニットの背部に形成された係止爪がフレームに組み付ける際に確認出来なくても、位置決めリブを切り欠きに合致させることで、係止部を背部の係止爪に係止させることができ、簡易な操作で固定操作できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インターホン機器ユニットをフレームへ収納操作すると係止爪が係止部に係止してインターホン機器ユニットが固定されるため、簡易な操作で取り付けできる。そして、フレームの係止部は開口部を形成した底枠の端部に設ければ良く、別途側枠を拡張等して作製する必要がない。
更にフレームは、インターホン機器ユニットの側面に対して側枠を備える程度であるため、略インターホン機器ユニットと同一サイズの最小限の大きさとすることができるし、複雑な折り曲げを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るインターホン機器の取付構造の一例を示し、(a)はフレームに装着した集合玄関機ユニットの背面側斜視図、(b)はフレーム単体の背面側斜視図である。
【
図2】(a)は集合玄関機ユニット単体の正面図、(b)はフレームの正面図である。
【
図3】フレームと集合玄関機ユニットの側面図であり、(a)はフレーム単体、(b)は集合玄関機ユニット単体、(c)はフレームに集合玄関機ユニットを組み付けた状態を示している。
【
図4】フレームに集合玄関機ユニットを組み付けた正面図である。
【
図5】(a)は
図1のA部の拡大図であり、(b)はフレームを除いたA部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1〜
図4は本発明に係るインターホン機器の取付構造の一例を示している。ここでは、インターホン機器ユニットの1つである集合住宅のエントランスに設置して来訪者が住戸を選択して居住者を呼び出すための集合玄関機ユニットの取付構造を示している。
図1(a)はフレームに装着した集合玄関機ユニットの背面側斜視図、
図1(b)はフレーム単体の背面側斜視図、
図2(a)は集合玄関機ユニット単体の正面図、
図2(b)はフレームの正面図、
図3(a)はフレームの側面図、
図3(b)は集合玄関機ユニットの側面図、
図3(c)はフレームと集合玄関機ユニットを一体化した状態の側面図、
図4はフレームに集合玄関機ユニットを組み付けた正面図をそれぞれ示している。
図1〜
図4において、1は集合玄関機ユニット、2はフレームであり、Wは例えば壁面である設置面を示している。
【0011】
集合玄関機ユニット(以下、単に「ユニット」と称する。)1は、
図2に示すようにカメラ11、マイク12、スピーカ13、呼出ボタン14、テンキー15等が組み付けられ、回路基板等を収容するために後方に突出して壁面に形成された開口部(図示せず)に収納される突出部1aを有している。また、ユニット1の周囲は一定厚の側面を有している。
【0012】
ユニット1の中央付近に位置する突出部1a左右側部には、フレーム2に係止する係止爪16が設けられ、その近傍のユニット1の側面には位置決めリブ17が突接されている。
図5(a)は
図1のA部拡大図、
図5(b)はフレーム2を除いたA部拡大図、
図6は
図3のB部拡大図であり、この
図5,
図6を参照して具体的に説明する。
係止爪16は、突出部1aの側部を凹状に形成して空間Pを設け、この空間Pに別途壁面31を形成し、この壁面31内に形成されている。壁面31にはコ字状のスリット32が形成され、ユニット1の前方へ向けて自由端を有する弾性片31aを形成し、この弾性片31aを係止爪16としている。係止爪16はユニット1の横方向に弾性変形するよう形成される。突出部1aの側部に直接係止爪16を形成しないことで、突出部1aの密閉性を維持している。
【0013】
フレーム2は、ユニット1の背部から周囲を覆い、壁面等の設置面に当接する底枠21と、底枠周囲に起立形成されてユニット1の側部を覆う側枠22とを有し、底枠21にはユニット1の突出部1aを挿通する開口部23が設けられている。開口部23の端部である底枠21の中間部位の左右には、ユニット1の係止爪16が係止する係止部24が設けられている。また、25はユニット1の位置決めのための切り欠き、26は設置面Wに固定するためのねじ挿通孔である。
【0014】
図7は
図3のC−C線断面の一部拡大図であり、係止爪16、位置決めリブ17、係止部24の関係を示している。
図7に示すように、係止爪16は図示上方であるユニット1の前方に向けて起立形成され、外側となる側方(図示左方向)に山状の傾斜面を有し、上部にフレーム2を係止する係止面16aが形成されている。上方先端部が矢印Qで示す内側に弾性変形することで、ユニット1のフレーム2内への挿入を可能としている。
位置決めリブ17は、中央左右側部に設けられ、
図3の側面図に示すように係止爪16を形成した位置と同一の高さに形成され、係止爪16の近傍に形成されている。
【0015】
上記の如く形成されたユニット1とフレーム2の取り付けは以下の様に実施される。まずフレーム2が壁面等の設置面Wに取り付けられる。設置面Wには、ユニット1に接続する配線を挿通すると共に、ユニット1の突出部1aを収容するための穴(図示せず)が開口形成されており、その穴を覆うようにフレーム2は取り付けられる。
穴内には、図示しない専用の埋込ボックスが埋め込まれ、この埋込ボックスに形成されたねじ孔に対してねじ挿通孔26を介してねじ止め固定される。
【0016】
こうして設置面Wに固定されたフレーム2に対して、ユニット1が装着される。フレーム2の前方から押し込むように操作すれば、係止爪16が弾性変形してフレーム2の係止部24に係合しながら挿入され、フレーム2の底枠22にユニット1の背面が当接すると同時に、係止爪16の係止面16aにフレーム2の係止部24が係止して固定される。この結果、ユニット1の抜けが阻止され、ユニット1の取り付けは完了する。
このとき、ユニット1の位置決めリブ17をフレーム2に形成された切り欠き25に嵌合させるよう操作することで、位置ズレを修正して装着できる。
その後、図示しない化粧板をユニット1を覆う様に組み付ければ、集合玄関機の取付は終了する。
【0017】
このように、ユニット1をフレーム2へ収納操作すると係止爪16が係止部24に係止してユニット1が固定されるため、簡易な操作で取り付けできる。そして、フレーム2の係止部24は開口部23を形成した底枠21の端部に設ければ良く、別途側枠22を拡張等して作製する必要がない。
更にフレーム2は、ユニット1の側面に対して側枠22を備える程度であるため、ユニット1と略同一サイズの最小限の大きさとすることができ、複雑な折り曲げを必要としない。
また、ユニット1の背部に形成された係止爪16がフレーム2に組み付ける際に確認出来なくても、位置決めリブ17を切り欠き25に合致させることで、背部の係止爪16を係止部24に係止させることができ、簡易な操作で固定操作できる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
上記実施形態は集合住宅のエントランスに設置される集合玄関機について説明したが、この構造はマイク及びスピーカ、そして複数の操作ボタンが組み込まれたインターホン機器、例えば居室に設置される居室親機に対しても適用できるし、管理室に設置される管理室親機に対しても好適である。
【符号の説明】
【0019】
1・・集合玄関機ユニット、2・・フレーム、12・・マイク、13・・スピーカ、16・・係止爪、17・・位置決めリブ、21・・底枠、22・・側枠、23・・開口部、24・・係止部、25・・切り欠き。