(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
サンプリング手段(5、B232)が、前記第1および第2の現在の回転速度の合計または差と同期された第3サンプリング信号(S3)を使ってリアルタイムで前記時間振動信号をサンプリングすることによって、第3同期振動信号(x3(nt))を直接生成するように構成され、前記第3サンプリング信号が前記第1および第2サンプリング信号の三角関数合成から再構成されていることを特徴する、請求項5に記載のシステム。
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の取得システムを備え、モーターの状態のトラブルシューティングを行うため、周波数信号を分析するための分析手段(23)をさらに備えることを特徴とする、回転モーターを監視するためのシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の欠点を含まず、具体的には、より少ない電子的手段を必要とする簡略化された計算を使用して、リアルタイムで振動信号を取得するためのシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、回転モーターをトラブルシューティングするために振動信号を取得するためのシステムによって定義され、次を備える:
前記モーターの時間振動信号および前記モーターの少なくとも1つのシャフトの少なくとも1つの現在の回転速度を受信するための入力手段、および
前記少なくとも1つの現在の回転速度と同期された少なくとも1つのサンプリング信号を使ってリアルタイムの前記時間振動信号をサンプリングし、こうして対応する同期振動信号を生成するためのサンプリング手段。
【0010】
このようにして、モーターの回転に比例する周波数で振動信号を直接サンプリングすることによって、本システムは計算時間およびデータ記憶装置の大きさを最小限にすることが可能になる。例えば、航空機のモーターの場合、取得システムがこうして、機載コンピューターの計算時間またはメモリー空間を独占することなく機載モーターのトラブルシューティングのために使用されることは利点となる場合がある。
【0011】
前記サンプリング信号が事前定義の最大
ハーモニック比および事前定義のサンプリング比で構成されることは利点となる。
【0012】
このようにして、取り出される最大
ハーモニックを事前に定義し、同時に、同期振動信号の処理を簡略化することは可能である。
【0013】
本発明の特定の一特徴によると、システムは、前記同期振動信号の事前定義の数の周期を構成するサンプルをバッファリングするバッファを備え、前記バッファの時間長は最少
ハーモニック比にしたがって決定される。
【0014】
モーターの回転に対して少なくされた数の参照された点の選択により、より少ないメモリー空間のみを占有し、同時に、周波数信号の取り出しを簡略化することが可能になる。
【0015】
システムが、前記バッファされたサンプルから、対応する現在の回転速度に比例した最小
ハーモニックと周波数の複数の
ハーモニックスで周波数信号を取り出すための計算手段を備えることは利点となる。
【0016】
これによって、再サンプリングまたは補間技術を使用することなく、得ようとしていた
ハーモニックスの直接取り出しが可能になる。
【0017】
計算手段が、取り出される
ハーモニックスのみのフーリエ係数で前記バッファされたサンプルを乗算することによって前記周波数信号を取り出するように構成されることは利点となる。
【0018】
このようにして、分析周波数帯域全体でのフーリエ係数の使用を防止できる。
【0019】
本発明の好適な一実施形態によると、入力手段は前記モーターの第1および第2シャフトそれぞれに対して第1および第2の現在の回転速度を受信するように構成され、
サンプリング手段は、前記第1の現在の回転速度に同期された第1サンプリング信号、および前記第2の現在の回転速度に同期された第2サンプリング信号のそれぞれを使ってリアルタイムで前記時間信号をサンプリングすることによって、第1および第2同期振動信号を直接生成するよう構成されている。
【0020】
これによって、航空機のモーターの場合、モーターまたは航空機の機載コンピューターでの計算能力が限定される事態が発生した場合には、機上での計算を減らすことが可能になる。
【0021】
サンプリング手段が、前記第1および第2の現在の回転速度の合計または差と同期された第3サンプリング信号を使ってリアルタイムで前記時間振動信号をサンプリングすることによって、第3同期振動信号を直接生成するように構成され、前記第3サンプリング信号が前記第1および第2サンプリング信号の三角関数合成から再構成されていることは利点となる。
【0022】
このようにして、回転速度の合計または差で同期振動信号を直接生成するには、単なる三角関数計算で十分である。
【0023】
システムは、それぞれバッファリングするための第1、第2、および第3バッファ、前記第1同期振動信号の事前定義の数の周期から構成される第1サンプル、前記第2同期振動信号の事前定義の数の周期から構成される第2サンプル、前記第3同期振動信号の事前定義の数の周期から構成される第3サンプルを備え、ここで、計算手段は、前記第1、第2、および第3のバッファされたサンプルから、前記第1の現在の回転速度に比例する周波数での第1周波数信号、前記第2の現在の回転速度に比例する周波数での第2周波数信号、ならびに前記第1および第2の現在の回転速度の前記合計または差に比例する周波数での第3周波数信号をそれぞれ取り出するように構成されている。
【0024】
本発明はさらに、回転モーターを監視するためのシステムにも関するもので、上記特徴のいずれかによる取得システムを備え、さらにモーターの状態をトラブルシューティングするために周波数信号を分析するための分析手段も備える。
【0025】
本発明はさらに、回転モーターをトラブルシューティングするために振動信号を取得するための方法にも関するもので、次のステップを含んでいる:
前記モーターの時間振動信号および前記モーターの少なくとも1つのシャフトの少なくとも1つの現在の回転速度N(t)を受信すること、および
対応する同期振動信号を生成するために前記少なくとも前記1つの現在の回転速度と同期された少なくとも1つのサンプリング信号を使ってリアルタイムの前記時間振動信号をサンプリングすること。
【0026】
本発明のさらなる特徴と利点は、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を読むときに明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の根本概念は、モーターの回転信号と直接同期された周波数での振動信号の取得に基づくものである。
【0029】
図1は、本発明による回転モーターの振動信号を取得するためのシステムを略示している。
【0030】
取得システム1は入力手段3およびサンプリング手段5を備える。
【0031】
入力手段3は、モーター7の動作状態を表す時間振動信号X(t)を受信するように構成されている。振動信号は、モーター7に取り付けられた加速度計タイプの少なくとも1つの振動センサー9から取得される。
【0032】
さらに、入力手段3は、モーター7の少なくとも1つのシャフト11の少なくとも1つの現在の回転速度N(t)を受信するように構成されている。モーター7は、異なる速度で回転するシャフトを備える2つ以上のローターを備える場合があることに留意していただきたい。
【0033】
サンプリング手段5は、現在の回転速度N(t)と同期されたサンプリング信号を使ってリアルタイムで時間振動信号X(t)をサンプリングするように構成され、こうして対応する同期振動信号x(n
t)を生成する。
【0034】
図2Aは、本発明による時間振動信号のサンプリングの例を描写している。
【0035】
時間振動信号X(t)は、例えば、250kHz程度の周波数で取得される時間経過による連続信号である。
【0036】
サンプリング信号Sはモーター7の回転速度N(t)と同期された方形信号である。さらに、サンプリング信号Sは事前定義の最大
ハーモニック比khおよび事前定義のサンプリング比rで構成されている。このようにして、サンプリング周波数Sは周波数S
f=r×N×khを有する。言い換えれば、サンプリング周波数はリアルタイムのモーター7の回転速度で変動し、取り出される
ハーモニックの最高次khおよび得ようとしていた周期ごとの最小点数に依存している(例えば、6から8点)。
図2Aの例によると、最大
ハーモニックは3(kh=3)で、サンプリング比は8(r=8)である。
【0037】
各立ち上がりエッジで、時間振動信号X(t)はサンプリングされ、同期振動信号x(n
t)を生成する。そして信号x(n
t)は、モーター7の回転速度N(t)を使って、同期周波数で少なくサンプリングされた離散的信号である。
【0038】
このようにして、時間振動信号X(t)は、モーターの回転速度N(t)と同期されたデジタル信号x(n
t)に直接変換される。
【0039】
次に、モーター7の回転速度N(t)に比例した周波数信号を取り出すために、同期振動信号x(n
t)にフーリエ変換を適用するため処理手段13が使用される。
【0040】
処理手段13は、
図1に図示のように取得システム1に備えられることができる。あるいは、取得システム1とリンクされた別の電子システム(図示せず)の一部とすることができる。
【0041】
処理手段13は、計算手段15と少なくとも1つのバッファ19を備える記憶手段17を備える。記憶手段17は、本発明による取得方法を実装するためのコンピューターコードプログラムを備えることができる。
【0042】
バッファ19が同期振動信号x(n
t)の事前定義の数の周期を構成するサンプルをバッファリングするように構成されることは利点となる。バッファ19の時間長は最小
ハーモニック比により決定される。
図2Aの例は、0.1sに等しい周期を有する最小
ハーモニックに基づく同期振動信号x(n
t)の2つの周期から構成されるサンプルを図示している。これによって、バッファ19は、同期振動信号の非常に少なくされた点数を保存することが必要なだけなので、メモリー空間を節約できる(例えば、
ハーモニックごとに8点)。
【0043】
計算手段15が、分析周波数帯域全体ではなく、取り出される
ハーモニックスのみのフーリエ係数で、点間でバッファされたサンプルを乗算することにより、周波数信号X
1、…X
khを取り出すように構成されることは利点となる。これらの周波数信号X
1、…X
khは、対応する回転速度N(t)に比例した最小
ハーモニックと周波数の複数の
ハーモニックスを有している(
図2Bを参照)。
【0044】
図2Bは、それぞれkh=1、kh=2、およびkh=3の次数を有する3つの周波数信号X
11、X
12、およびX
13を取り出すために、
図2Aに提示されたバッファされたサンプルに適用された
ハーモニックス1、2、および3のフーリエ係数の実数部の例を図示している。フーリエ係数の虚数部(図示せず)はπ/2の位相シフトによって変わる。
【0045】
このようにして、本発明は、非常に少ない動作数でモーターの回転の複数の周波数において直接
ハーモニックス成分を取り出すことを、補間することなく、メモリーに非常に少ない点数を保存するだけで可能にするものである。これによって、かなりの計算時間とメモリー空間を節約することが可能になる。
【0046】
取得システムおよび方法は任意のタイプの回転モーターに適用されることを留意していただきたい。以下で記述されるケースでは、航空機のモーターの機上トラブルシューティングのための振動信号の取得が特に説明される。
【0047】
図3は、本発明による航空機のモーターの状態の機上トラブルシューティングのための監視システムを図示している。
【0048】
監視システム2は取得システム1と異常検出システム21を備える。
【0049】
航空機モーター7は、高圧コンプレッサー25から上流に低圧コンプレッサー23を備え、低圧タービン29から上流に高圧タービン27を備える。低圧コンプレッサー23およびタービン29は、回転速度N
1を有する第1シャフト11aにより結合されている。同様に、高圧コンプレッサー25とタービン27は、回転速度N
2を有する第2シャフト11bによって結合されている。第2シャフト11bは、第1シャフト11aと同軸のチューブで、2つのシャフトはインターシャフトベアリング(図示せず)で隔てられている。2つのシャフト11a、11bは二重反転とすることができ、そしてベアリングは回転速度N
1+N
2を有している。あるいは、2つのシャフトは共回転とすることができ、その場合、インターシャフトベアリングは回転速度N1−N2を有している。
【0050】
加速度計タイプの振動センサー9は、モーターから放出される振動を検出するためにモーター7に配置される。さらに、モーター7は第1および第2シャフト11a、11bそれぞれの第1および第2回転速度N
1、N
2を測定するための検閲官31を備えている。
【0051】
このようにして、動作中のモーター7の状態を正しく診断する目的で、本発明は、モーター7の構成部品のいずれかの何らかの異常動作をリアルタイムで検出するため、回転速度N
1、N
2およびN
1+N
2にそれぞれ比例する3つの周波数信号のグループを直接かつリアルタイムで取り出すことを提案している。
【0052】
図4および
図5はそれぞれ、
図3によるモーターの振動信号を取得および処理するためのアルゴリズムおよびブロック図を図示している。
【0053】
ステップE1〜ステップE3(ブロックB1〜ブロックB3)では、入力手段3は、モーター7の動作の事前定義の周期の間、モーターの動作状態を表す時間振動信号X(t)ならびにモーター7の第1および第2シャフト11a、11bに関連して、それぞれ、第1および第2の現在の速度N
1(t)およびN
2(t)を受信する。
【0054】
時間振動信号X(t)および現在の速度N
1(t)およびN
2(t)が取得される事前定期の周期は、例えば、特定のフライト段階またはフライト全体に対応することができる。
【0055】
ステップE4〜ステップE9(ブロックB4〜ブロックB9)では、サンプリング手段5は、それぞれ、第1の現在の回転速度N
1(t)に同期された第1サンプリング信号S1および第2の現在の回転速度N
2(t)に同期された第2サンプリング信号S2を使ってリアルタイムで、時間振動信号X(t)をサンプリングすることで、第1および第2同期振動信号x
1(n
t)およびx
2(n
t)を直接生成するように構成されている。
【0056】
より具体的には、ステップE4およびE5(ブロックB4およびB5)では、第1および第2サンプリング信号が生成される。
【0057】
第1サンプリング信号S1は、第1の速度N
1により定義され、事前定義の最大
ハーモニック比khおよび事前定義のサンプリング比rを有する、周波数を有している。一例として、第1サンプリング信号の周波数は、S
f1=8×N
1×kh
1である。サンプリング比は、この場合、フーリエ変換の計算を容易にするため、8と等しくなるように選択されている。
【0058】
同様に、第2サンプリング信号S2は、周波数が第2の速度N
2により定義され、事前定義の最大
ハーモニック比kh
2および事前定義のサンプリング比rを有する信号である。一例として、第1サンプリング信号の周波数は、S
f2=8×N
2×kh
2である。
【0059】
ステップE6およびE7では、方形信号を形成して時間振動信号X(t)をサンプリングするために、第1および第2サンプリング信号S1、S2の立ち上がりエッジが検出される。
【0060】
ステップE8(ブロックB81、B82)では、時間信号X(t)は最初に、第1ローパスフィルターB81を使用してフィルター処理され、ここで、カットオフ周波数は取り出される
ハーモニックkh
1の最大周波数に依存している。あるいは、第1ローパスフィルターB81は第1サンプリング信号S1によって制御され、ここで、瞬間周波数は第1の回転速度N1(t)に比例する。サンプリングから上流の振動信号X(t)をフィルター処理することで、スペクトルエイリアシングのあらゆる危険性を防止することが可能になる。
【0061】
上記でフィルター処理された振動信号X(t)は次に、第1同期振動信号x
1(n
t)を生成するため、第1サンプリング信号の各立ち上がりエッジにしたがって第1同期DACアナログーデジタルコンバーターB82によりサンプリングされる。
【0062】
同様に、ステップE9(ブロックB91、92)では、時間信号X(t)は第2ローパスフィルターB92を使用してフィルター処理され、ここで、カットオフ周波数は取り出される
ハーモニックkh
2の最大周波数に依存しており、あるいは、第2ローパスフィルターは第2サンプリング信号S2によって制御され、ここで、瞬間周波数は第2の回転速度N2(t)に比例する。フィルター処理された振動信号X(t)は次に、第2同期振動信号x
2(n
t)を生成するため、第2サンプリング信号S2にしたがって第2同期DAC B92によりサンプリングされる。
【0063】
信号x
1(n
t) x
2(n
t)は、回転速度N
1およびN
2とそれぞれ同期された離散的信号である。
【0064】
ステップE10(ブロックB10)では、第1同期振動信号x
1(n
t)の事前定義の数の周期から構成される第1サンプルは、第1バッファB10でバッファされ、ここで、時間長は最小
ハーモニック比h
1にしたがって決定される。
【0065】
同様に、ステップE11(ブロックB11)では、第2同期振動信号x
2(n
t)の事前定義の数の周期から構成される第2サンプルは、第2バッファB11でバッファされ、ここで、時間長は最小
ハーモニック比h
2にしたがって決定される。
【0066】
第1および第2バッファB10、B11はそれぞれ、回転N1およびN2の各回転キューで始動される(ブロックB101、B111)。実際のところ、下流へのフーリエ変換の計算がバッファのリフレッシュレートの約数の周波数で行われる。これらの計算の実行周波数は、モーターシャフトの回転速度に同期されている。
【0067】
ステップE12〜ステップE17(ブロックB12〜ブロックB17)では、計算手段が周波数信号X
11、…X
1kh1およびX
21、…X
2kh2の第1および第2グループを取り出す。
【0068】
より詳細には、ステップE12(ブロックB12)では、計算手段15は、第1の回転速度N
1に関して取り出される
ハーモニックスのみの第1フーリエ係数を生成し、つまり、(sin(2πnk)+jcos(2πnk))/8×Nh、フーリエ解析の増分nkは0<nk<kh
1×8−1を検証し、Nhは計算された
ハーモニックの数で、ここで、Nh=1、2、...、kh
1であり、kh
1は回転速度N
1について分析される
ハーモニックの最高次である。
【0069】
ステップE13(ブロックB13)では、計算手段15は、第2の回転速度N
2に関して取り出される
ハーモニックスのみの第2フーリエ係数を生成し、つまり、(sin(2πnk)+jcos(2πnk))/8×Nh、フーリエ解析の増分nkは0<nk<kh
2×8−1を検証し、Nhは計算された
ハーモニックの数で、ここで、Nh=1、2、...、kh
2であり、kh
2は回転速度N
2について分析される
ハーモニックの最高次である。
【0070】
ステップE14(ブロックB14)では、第1フーリエ係数は、周波数信号の第1グループX
11、…X
1kh1(E16、B16)を生成するために、第1同期振動信号の第1サンプルx
1(n
t)を伴うマトリクスで乗算される。
【0071】
ステップE15(ブロックB15)では、第2フーリエ係数は、周波数信号の第2グループX
21、…X
2kh2(E17、B17)を生成するために、第2同期振動信号の第2サンプルx
2(n
t)を伴うマトリクスで乗算される。
【0072】
ステップE19〜ステップE27(ブロックB19〜ブロックB27)では、サンプリング手段5はさらに、第1および第2の現在の回転速度の合計N
1+N
2と同期された第3サンプリング信号S3を使ってリアルタイムで時間振動信号X(t)をサンプリングすることによって、第3同期振動信号x
3(n
t)を直接生成するように構成されている。
【0073】
ステップE19〜ステップE21では、第3サンプリング信号S3は、第1および第2サンプリング信号S1、S2の三角関数合成から処理手段13によって再構成される。
【0074】
実際にところ、ステップE19(ブロックB19)では、第1中間同期信号が生成され、ここで、周波数は第1の速度N
1および事前定義の最大
ハーモニック比kh
3により定義される。具体的には、第1サンプリング信号(ステップE4、ブロックB4)から、正弦波サイン信号および周波数N1*kh
3*8を有する正弦波コサイン信号、すなわち、sin(8×N
1×kh3およびcos8×N1×kh3が生成される。
【0075】
同様に、ステップE20(ブロックB20)では、第2中間同期信号が生成され、ここで、周波数は第2の速度N
2および事前定義の最大
ハーモニック比kh
3により定義される。具体的には、第2サンプリング信号(ステップE5、ブロックB5)から、正弦波サイン信号および周波数N2*kh
3*8を有する正弦波コサイン信号、すなわち、sin(8×N
2×kh
3)およびcos(8×N
2×kh
3)が生成される。
【0076】
ステップE21では、それぞれ、信号sin(8×N
1×kh
3)×cos(8×N
2×kh
3)およびcos(8×N
1×kh
3)×sin(8×N
2×kh
3)を形成するために、ステップE19からのsin(8×N
1×kh
3)とステップE20からのcos(8×N
2×kh
3)およびステップE19からのcos(8×N
1×kh
3)とステップE20からのsin(8×N
2×kh
3)の乗算が行われる(B211、B212)。ブロックB213では、後の方のこれら2つの信号が加算され、sin(8×kh
3×(N
1+N
2))という形式を有する信号が形成される。この信号に基づいて、第3サンプリング信号S3が決定され、ここで、周波数は第1の速度N
1および第2の速度N
2の合計ならびに事前定義の最大
ハーモニック比kh
3および事前定義のサンプリング比r(この例では、r=8)により定義される。
【0077】
モーター11a、11bの第1および第2シャフトが共回転の場合、サンプリング信号を生成するために、ブロックB213の加算を減算に置き換えることで十分であり、ここで、周波数は第1の速度N
1と第2の速度N
2間の差により定義されることに留意していただきたい。
【0078】
ステップE22(ブロックB22)では、このサンプリング信号の立ち上がりエッジが取り出され、時間信号X(t)をサンプリングするために方形信号が形成される。
【0079】
実際のところ、ステップE23(ブロックB231、B232)では、時間振動信号X(t)は最初に、第3ローパスフィルターB231を使用してフィルター処理され、ここで、カットオフ周波数は取り出される
ハーモニックkh
3の最大周波数に依存している。あるいは、第3ローパスフィルターB231は第3サンプリング信号S3によって制御される。フィルター処理された振動信号X(t)は次に、第3同期振動信号x
3(n
t)を生成するため、第3サンプリング信号S3にしたがって第3非同期DAC B232によりサンプリングされる。このようにして、信号x
3(n
t)は回転速度N
1+N
2に同期された離散的信号になる。
【0080】
ステップE24(ブロックB24)では、第3同期振動信号x
3(n
t)の事前定義の数の周期から構成される第3サンプルは、第3バッファB24でバッファされ、ここで、時間長は最小
ハーモニック比h
3にしたがって決定される。第3バッファB24は回転N1+N2の各回転キューで始動される(ブロックB241)。
【0081】
ステップE25(ブロックB25)では、計算手段13は、回転速度N
1+N
2に関して取り出される
ハーモニックスのみの第3フーリエ係数を生成し、つまり、(sin(2πnk)+jcos(2πnk))/8×Nh、フーリエ解析の増分nkは0<nk<kh
3×8−1を検証し、Nhは計算された
ハーモニックの数で、ここで、Nh=1、2、...、kh
3であり、kh
3は回転速度N
1+N
2について分析される
ハーモニックの最高次である。
【0082】
ステップE26(ブロックB26)では、第3フーリエ係数は、周波数信号X
31、…X
3kh3(E27、B27)の第3グループを生成するために、第3同期振動信号x
3(n
t)の第3サンプルを伴うマトリクスで乗算される。
【0083】
本発明によるシステムまたは方法は、アンダーまたはオーバーサンプリング動作を使用せず、FFT簡略化フーリエ変換計算を使用する。実際のところ、関連
ハーモニックスを含む信号のみが、最低限の計算およびメモリーを使って、モーターのトラブルシューティングのために取り出される。さらに、トラッキングフィルターは使用されない。
【0084】
このようにして、機載メモリーに必要な性能(RAMメモリー、計算速度)が少なくされる。さらに、誘発される過熱が少なくされ、動作範囲が増大される。
【0085】
その上、周波数信号の第1、第2、および第3グループは、それぞれ、モーターの第1シャフト、第2シャフト、およびインターシャフトベアリングのトラブルシューティングに適している。
【0086】
実際のところ、検出システム21(
図3を参照)は、同じものを分析するためにリアルタイムで、第1、第2、および第3グループの周波数信号を取り出す。検出システム21は、リアルタイムでモーター7の状態を監視するため、例えば、周波数信号を他の信号と相関させたり、同じものを事前定義のしきい値と比較したりするための分析手段23を備える。検出システムは、例えば、対応する関係したしきい値について、周波数信号の種々の
ハーモニックスの振幅の推移を監視する場合がある。したがって、しきい値を行き過ぎると、アラームまたは警告メッセージ31が始動する場合がある。
【0087】
あるいは、周波数信号の分析は、さらにフライト中の計算時間を最小限にするため、オフラインで実行される場合がある。
【0088】
第1、第2、および第3グループの周波数信号はデータベースにフライトごとに保存され、時間経過によるモーター7の状態の推移を分析することができることは利点となる。
【0089】
監視システムは特定のユニットまたは既存の電子ユニットの一部に統合されることができることに留意していただきたい。航空機の機載コンピューターまたはEMU(エンジン監視ユニット)タイプの航空機モーターに統合されたコンピューターの取得および処理手段が、本発明による振動信号の取得およびモーターのトラブルシューティングのためのシステムを動作させるために使用されることができることは利点となる。