【文献】
瀧下 芳彦,豊かで快適な社会づくりに貢献する建設機械 ICTが支える建設機械のライフサイクルサポート ,日立評論,日立評論社,2012年 5月 1日,Vol.94 No.5,pp.26-29,ISSN 0367-5874
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて、本発明を、油圧ショベルの管理システムを構成するサーバに適用した一実施の形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施の形態に係るサーバを含む油圧ショベルの管理システムの概略を説明する図である。
図1において、管理システム1は、複数の油圧ショベル100を管理する。管理システム1は、本実施の形態のサーバ500と、可搬性の携帯情報端末であるクライアント端末800とを含む。サーバ500は、一般公衆回線網等であるネットワーク400に接続されている。ネットワーク400にはサーバ500の他に基地局300と複数の情報端末900とがそれぞれ接続されている。サーバ500はネットワーク400に接続されたこれらのノード、すなわち基地局300および複数の情報端末900とデータの授受を行うことができる。クライアント端末800は、図示しない無線局や接続機器等を用いて、ネットワーク400に接続することが可能である。
【0010】
各々の油圧ショベル100は、各々の油圧ショベル100自身の各部の状態を検出する種々のセンサを有している。各々の油圧ショベル100が有する後述するコントローラは、それら種々のセンサの出力を所定のタイミングで基地局300に後述する送信機を介して送信する。所定のタイミングとは、例えば数分〜数時間周期毎である。センサ出力の送信タイミングは、これとは異なる所定のタイミングであってもよい。センサ出力の送信タイミングがセンサの種類毎に異なっていてもよいし、全てのセンサについて一律であってもよい。
【0011】
基地局300は、通信衛星200を介してセンサ出力を受信すると、ネットワーク400を介して当該センサ出力をサーバ500に送信する。サーバ500にはセンサ情報データベース(DB)600と、契約情報データベース700とが接続されている。サーバ500が有する後述する制御装置は、基地局300を経由して油圧ショベル100から受信したセンサ出力に、当該センサ出力を送信した油圧ショベル100を識別するための情報や、当該センサ出力が送信された日時等の情報を付加して、センサ情報データベース600に格納する。つまりサーバ500が有する制御装置は、複数の油圧ショベル100からのセンサ出力を収集してセンサ情報データベース600に格納する。
【0012】
詳細は後述するが、クライアント端末800は、油圧ショベル100に対してチューニングを行う制御装置を有している。油圧ショベル100の保守スタッフは、クライアント端末800が有する制御装置に油圧ショベル100のチューニングを行わせた後に、クライアント端末800をネットワーク400に接続し、クライアント端末800が有する制御装置にサーバ500へ当該チューニングに関する情報を送信させる。サーバ500が有する制御装置は、センサ情報データベース600に、上述のセンサ出力に加えて、クライアント端末800から受信したチューニングに関する情報も格納する。
【0013】
サーバ500が有する制御装置は、センサ情報データベース600に格納されたセンサ出力等の情報やチューニングに関する情報等に基づいて、各油圧ショベル100の状態を表示するレポートを作成し、ネットワーク400を介して送信する。サーバ500が有する制御装置は、レポートの送信先を、契約情報データベース700の内容に基づいて決定する。レポートは、例えば油圧ショベル100の販売者が利用する情報端末900や、油圧ショベル100の購入者(管理者)やオペレータ等が利用する情報端末900に送信され、当該情報端末900の表示画面に表示される。
【0014】
(油圧ショベル100の構成の説明)
図2は、油圧ショベル100の構成を示す模式図である。油圧ショベル100は、走行体81と、走行体81の上部に連結された旋回体82とを有する。旋回体82は、走行体81に対して旋回可能である。旋回体82には、運転室83と、作業装置84と、エンジン85と、旋回油圧モータ86とが設けられている。作業装置84は、旋回体82の本体に取り付けられたブームBMと、ブームBMに連結されたアームAMと、アームAMに連結されたアタッチメント、例えばバケットBKとを有する。ブームBMは、旋回体82の本体に対して回動可能である。アームAMは、ブームBMに対して回動可能である。バケットBKは、アームAMに対して回動可能である。ブームBMはブームシリンダC1により昇降される。アームAMに対してはアームシリンダC2によりクラウド操作およびダンプ操作が行われる。バケットBKに対してはバケットシリンダC3によりクラウド操作およびダンプ操作が行われる。走行体81には左右の走行用油圧モータ87および88が設けられている。
【0015】
図3は、油圧ショベル100が有する油圧回路の概略を示す模式図である。エンジン85は油圧ポンプ2を駆動する。この油圧ポンプ2から吐出される圧油は、複数のコントロールバルブ3s、3tr、3tl、3b、3aおよび3bkでその方向と油量が制御され、上述した旋回油圧モータ86、左右の走行用油圧モータ87、88、油圧シリンダC1、C2、C3を駆動する。複数のコントロールバルブ3s、3tr、3tl、3b、3aおよび3bkはそれぞれ対応する複数のパイロットバルブ4s、4tr、4tl、4b、4aおよび4bkからそれぞれ供給されるパイロット圧力によって切換操作される。パイロットバルブ4s、4tr、4tl、4b、4aおよび4bkは、パイロット油圧ポンプ5から所定圧力のパイロット油圧が供給され、操作レバー4Ls、4Ltr、4Ltl、4Lb、4La、4Lbkの操作量に応じたパイロット圧力を出力する。複数のコントロールバルブ3s、3tr、3tl、3b、3aおよび3bkは1つのバルブブロックに集約される。複数のパイロットバルブ4s、4tr、4tl、4b、4aおよび4bkも1つのバルブブロックに集約される。
【0016】
図4は、油圧ショベル100の各部の状態をセンサ群10を介して検出して状態データ(センサ出力)をサーバ500へ送信するコントローラを含む油圧ショベル100の制御系のブロック図である。油圧ショベル100には、上述した油圧ショベル100の各部の状態を検出する複数のセンサを含むセンサ群10、コントローラ20、記憶装置21、送信機30および受信機35が搭載されている。センサ群10から出力される状態検出信号は、所定のタイミングでコントローラ20によって読み込まれる。
【0017】
コントローラ20は、走行操作時間、旋回操作時間、および掘削のためのフロント操作時間を計測するためのタイマ機能20aを有している。コントローラ20は、読み込んだ状態検出信号に基づいて、タイマ機能20aにより、走行操作時間、旋回操作時間、フロント操作時間を計測する。これら計測された操作時間は、コントローラ20によって記憶装置21に格納される。油圧ショベル100は、エンジン85を起動するキースイッチ22と、エンジン85の稼働時間を計測するアワメータ23も有している。
【0018】
コントローラ20は、時計機能20bを有しており、時計機能20bによって、キースイッチ22のオン時刻およびオフ時刻、ならびにエンジン始動時刻およびエンジン停止時刻を認識することができる。これらの時刻もコントローラ20によって記憶装置21に格納される。アワメータ23の計測値も所定のタイミングでコントローラ20によって読み込まれ、記憶装置21に格納される。コントローラ20は、センサ群10に含まれるその他のセンサの出力(例えばエンジン稼働中の燃料噴出量等)についても、適宜記憶装置21に記憶させる。
【0019】
コントローラ20は、センサ群10から出力された状態検出信号を、単に記憶装置21に状態データ(センサ出力)として記憶させるだけではなく、それらのセンサ出力から新たなデータを作成してさらに記憶装置21に記憶させることもある。具体的には、特定のセンサ出力が予め定められた正常値から乖離した異常値になっていた場合には、コントローラ20は、当該センサ出力に対応する部位に異常が生じている可能性を示唆するアラームデータを作成して記憶装置21に記憶させる。例えば、
図5を用いて後述するエンジン冷却水温度センサ15wによって検出されたエンジン冷却水の温度が所定のしきい値を上回っていた場合、コントローラ20はエンジンの冷却系に異常が生じている可能性を示唆するアラームデータを作成して記憶装置21に記憶させる。
【0020】
コントローラ20は、以上で説明した記憶装置21に記憶させた各データ(例えばセンサ出力、走行、旋回およびフロントの操作時間、ならびにキースイッチオン時刻、およびアラームデータなど)を、所定のタイミングで送信機30を介して送信する。例えば、アラームデータは、異常が生じている可能性を示唆するデータであるため、速やかに送信されることが望ましい。コントローラ20は、記憶装置21がアラームデータを記憶すると、可能な限り速やかに当該アラームデータを送信する。操作時間やキースイッチオン時刻等は、アラームデータに比べて緊急性が低い。そこでコントローラ20は、これらのデータを定期的(例えば数分〜数時間ごと)に送信する。
【0021】
送信機30から送信された電波は通信衛星200を経由して基地局300で受信される。コントローラ20には受信機35も接続されている。受信機35は、通信衛星200を介して基地局300から送られてくる信号を受信してコントローラ20へ送出する。
【0022】
油圧ショベル100は、クライアント端末800と接続するための接続インタフェース(I/F)24を有している。接続インタフェース24は、クライアント端末800とコントローラ20との間の通信を仲介するインタフェースである。コントローラ20には、更に、モード選択ダイヤル25が接続されている。モード選択ダイヤル25は、油圧ショベル100の動作モードを選択するための操作部材である。油圧ショベル100のオペレータがモード選択ダイヤル25を操作すると、コントローラ20には当該操作に応じた操作信号が送出される。コントローラ20は、当該操作信号に基づいて油圧ショベル100の動作モードを決定する。
【0023】
本実施形態において、油圧ショベル100には、パワーモード(以下、Pモードと称する)とエコノミーモード(以下、Eモードと称する)と、の2つの動作モードが設けられている。つまり、モード選択ダイヤル25は、PモードとEモードとを択一的に選択するための操作部材である。コントローラ20は、油圧ショベル100がPモードで動作している場合と、Eモードで動作している場合とで、エンジン85の回転数および/またはトルクを異ならせる。具体的には、Pモード動作時、油圧ショベル100はEモード動作時よりも高出力で動作する。従って、高出力が要求される高負荷作業を行う際には、油圧ショベル100の動作モードとしてPモードをコントローラ20に設定することが望ましい。Eモード動作時、油圧ショベル100はPモード動作時よりも良好な燃費で動作する。つまり、Pモードは相対的に高出力かつ高燃費な(燃費が悪い)動作モードであり、Eモードは相対的に低出力かつ低燃費な(燃費がよい)動作モードである。
【0024】
記憶装置21には、PモードおよびEモードの各々に対応するエンジン85の回転数と油圧ポンプ2の吐出容量(押除け容積)の制御値とが記憶されている。コントローラ20は、Pモードが設定された場合には、Pモードに対応するエンジン85の回転数と油圧ポンプ2の吐出容量の制御値とを記憶装置21から読み出し、読み出した数値(エンジン85の回転数および油圧ポンプ2の吐出容量の制御値)に基づいてエンジン85と油圧ポンプ2とを制御する。コントローラ20は、Eモードが設定された場合には、Eモードに対応する各数値(エンジン85の回転数および油圧ポンプ2の吐出容量の制御値)を記憶装置21から読み出し、読み出した数値に基づいてエンジン85と油圧ポンプ2とを制御する。
【0025】
図5は、センサ群10に含まれるセンサを示す図である。センサ群10は、メイン油圧回路系の圧力状態を検出する圧力センサ(メイン油圧系センサ)11を含む。圧力センサ11は、
図3に示す油圧ポンプ2の吐出圧力を計測する圧力センサ11pと、
図2および3に示す走行用油圧モータ87および88の駆動圧力を計測する圧力センサ11trおよび11tlと、旋回油圧モータ86の駆動圧力を計測する圧力センサ11sと、
図3に示すブーム油圧シリンダC1の駆動圧力を計測する圧力センサ11bと、
図3に示すアーム油圧シリンダC2の駆動圧力を計測する圧力センサ11aと、
図3に示すバケット油圧シリンダC3の駆動圧力を計測する圧力センサ11bkとを含む。
【0026】
センサ群10は、パイロット油圧回路系の圧力状態を検出する圧力センサ(パイロット油圧系センサ)13も含む。圧力センサ13は、
図3に示す走行油圧パイロットバルブ4trおよび4tlから出力されるパイロット圧力PtrおよびPtlを計測する圧力センサ13trおよび13tlと、
図3に示す旋回油圧パイロットバルブ4sから出力されるパイロット圧力Psを計測する圧力センサ13sと、
図3に示すブーム油圧パイロットバルブ4bから出力されるパイロット圧力Pbを計測する圧力センサ13bと、
図3に示すアーム油圧パイロットバルブ4aから出力されるパイロット圧力Paを計測する圧力センサ13aと、
図3に示すバケット油圧パイロットバルブ4bkから出力されるパイロット圧力Pbkを計測する圧力センサ13bkとを有している。
【0027】
走行操作時間は、走行パイロット圧力センサ13trまたは13tlが検出した圧力PtrまたはPtlが所定値以上である時間を積算した時間である。旋回操作時間は、旋回パイロット圧力センサ13sが検出した圧力Psが所定値以上である時間を積算した時間である。フロント操作時間は、ブーム、アームおよびバケット用パイロット圧力センサ13b、13aおよび13bkのいずれかが検出した圧力Pb、PaおよびPbkのいずれかが所定値以上である時間を積算した時間である。
【0028】
センサ群10は、作動油系センサ14、すなわちメイン油圧ラインに配設されたフィルタの目詰まりを検出する圧力センサ14f、および油圧モータや油圧シリンダを駆動する作動油の温度を検出する温度センサ14tも含む。さらにセンサ群10は、エンジン系統の状態を検出する各種のエンジン系センサ15を有している。エンジン系センサ15は、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集するディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)の上流側および下流側の前後差圧を検出するDPF差圧センサ15dと、エンジン85の冷却水温を検出する冷却水温度センサ15wと、エンジンオイルの圧力を検出するエンジンオイル圧力センサ15opと、エンジンオイルの温度を検出するエンジンオイル温度センサ15otと、エンジンオイルのレベルを検出するエンジンオイルレベルセンサ15olと、エアフィルタの目詰まりを検出する目詰まりセンサ15afと、燃料残量を計測する燃料残量センサ15fと、バッテリの充電電圧を検出するバッテリ電圧センサ15vと、エンジン回転数を検出する回転数センサ15rとを有している。
【0029】
(サーバ500の構成の説明)
図6は、サーバ500の構成を示す模式図である。サーバ500は、制御装置510と、記憶部520と、通信部530とを有する。制御装置510は、図示しないマイクロコンピュータおよびその周辺回路を含む。制御装置510は、記憶部520によって予め記憶されている制御プログラムを読み込んで実行することにより、サーバ500の各部を制御する。記憶部520は、例えば固定ディスク等の不揮発性の記憶装置である。通信部530は、所定の手順に則ってネットワーク400を介したデータ通信を行う。
【0030】
制御装置510には、センサ情報データベース600および契約情報データベース700が接続されている。以下、これらの各データベースの内容について、例を挙げて説明する。
【0031】
図7は、センサ情報データベース600に格納されるデータの一例を示す図である。1つの油圧ショベル100から基地局300を介してサーバ500に送信されるデータの種類は多岐に渡るため、
図7ではその一部のみを図示している。
【0032】
サーバ500が有する制御装置510は、センサ情報データベース600に、基地局300を介して各油圧ショベル100から受信したデータのデータ種別630と、データ値640と、当該データの受信日時610と、当該データを送信したコントローラ20を有する油圧ショベル100に固有の作業機ID620と、をそれぞれ関連付けて格納する。
図7ではデータ種別630の一例として、アワメータ、油圧ショベル100の購入後経過時間(累計)、エンジン始動時刻、エンジン停止時刻、エンジン始動時刻からエンジン停止時刻までの期間におけるエンジン85の燃料吐出容量を挙げている。
【0033】
センサ情報データベース600には、クライアント端末800から送信されたチューニング情報も格納される。制御装置510は、チューニング情報をセンサ情報データベース600に格納する際、データ種別630を「チューニング情報」とし、データ値640を当該チューニング情報の内容とし、受信日時610を当該チューニング情報を受信した日時とし、作業機ID620を当該チューニングが為された油圧ショベル100に固有の作業機IDとする。チューニング情報については後に詳述する。
【0034】
契約情報データベース700の内容について説明する前に、本実施形態における保守契約の例について説明する。
【0035】
油圧ショベル100の購入者(管理者)は、販売者との間で油圧ショベル100の保守契約を締結することができる。油圧ショベル100の保守契約には、保守に関する個々の要素毎に個別に契約を行う個別契約と、それら複数の個別契約を1つのパッケージとして包括した包括契約とが存在する。本実施形態において、個別契約には、長期保証契約と、メンテナンス契約と、データレポート契約と、チューニング契約とが存在する。これらの個別契約は、油圧ショベル100毎に締結され、油圧ショベル100毎にどの個別契約を締結するかを、油圧ショベル100の購入者(管理者)が自由に選択することができる。包括契約は、それらの個別契約を全て含む契約であり、油圧ショベル100毎に締結される。サーバ500と接続されている契約情報データベース700には、個々の油圧ショベル100に対してどのような契約が締結されているかを表す契約情報が格納されている。
【0036】
長期保証契約は、油圧ショベル100の特定の部品等について、予め一定の料金を支払う契約を行うことによって、通常よりも長期に一定の性能や故障時の修理および交換等が保証される契約である。メンテナンス契約は、油圧ショベル100の特定の消耗品等について、予め一定の料金を支払う契約を行うことによって、一定期間毎の補給および交換等が保証される契約である。データレポート契約は、油圧ショベル100の稼働状態について、サーバ500から定期的にレポートが提供(配信)される契約である。チューニング契約は、油圧ショベル100に対して、クライアント端末800を用いたチューニングが提供される契約である。
【0037】
図8は、契約情報データベース700に格納されるデータの一例を示す図である。契約情報データベース700には、各油圧ショベル100毎に、当該油圧ショベル100の作業機ID710と、当該油圧ショベル100を購入した(保有する)購入者(管理者)に関する顧客情報720と、その購入者(管理者)と販売者との間で締結された保守契約の契約内容730および契約期間740とが関連付けて格納されている。油圧ショベル100の保守契約の締結当事者の一方が油圧ショベル100の購入者であり、その締結当事者の他方が油圧ショベル100の販売者である。データレポート契約が締結されている場合と、包括契約が締結されている場合と、のいずれかの場合には、サーバ500で作成されたレポートの送付先の電子メールアドレスである第1送付先アドレス750と、当該送付先に送信するレポートの言語を表す第1言語760とが、併せて格納される。第1送付先アドレス750には、油圧ショベル100の購入者(管理者)やオペレータ等の電子メールアドレスが予め設定される。契約情報データベース700には更に、第2送付先アドレス770と、当該第2送付先アドレス770に送信されるレポートの言語を表す第2言語780とが格納されている。第2送付先アドレス770には、油圧ショベル100の販売者(例えば代理店などの営業拠点)の電子メールアドレスが予め設定される。
【0038】
詳細は後に説明するが、サーバ500では、複数の種類のレポートを作成可能である。サーバ500で作成されたレポートは、当該レポートの種類に応じて、購入者か、販売者か、もしくはその両方に送信される。
【0039】
(クライアント端末800の構成の説明)
図9は、クライアント端末800の構成を示す模式図である。クライアント端末800は、制御装置810と、記憶部820と、通信部830と、表示部840と、操作部850と、接続インタフェース(I/F)860とを有する。
【0040】
制御装置810は、図示しないマイクロコンピュータおよびその周辺回路を含む。制御装置810は、記憶部820によって予め記憶されている制御プログラムを読み込んで実行することにより、クライアント端末800の各部を制御する。記憶部820は、例えば固定ディスク等の不揮発性の記憶装置である。通信部830は、所定の手順に則ってネットワーク400を介したデータ通信を行う。
【0041】
表示部840は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置である。操作部850は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル等の操作部材を有しており、それらの操作部材に対してユーザ(保守スタッフ)が行った操作に応じた操作信号を制御装置810に送出する。接続インタフェース860は、油圧ショベル100と接続するためのインタフェースである。クライアント端末800の制御装置810は、接続インタフェース860により接続された油圧ショベル100のコントローラ20と相互に通信を行うことで、例えば記憶装置21の記憶内容をコントローラ20を介して書き換えることができる。
【0042】
クライアント端末800を用いた油圧ショベル100のチューニングについて説明する。
図10は、チューニングの概念を説明するための模式図であり、横軸がエンジン出力(キロワット時)、縦軸が単位時間あたりの燃料消費量(リットル毎時)すなわち燃費を表している。油圧ショベル100におけるエンジン出力と燃費との関係は、
図10に直線870で示す通り、概ね線形になっている。つまり、エンジン出力を高めるほど単位時間当たりの燃料消費量は増大し、逆にエンジン出力を低くするほど単位時間当たりの燃料消費量は減少する。
【0043】
出荷時の油圧ショベル100において、Eモードにおけるエンジン出力が所定値Aとなるように、且つ燃費が所定値Xとなるように、Eモードにおけるエンジン85の回転数および油圧ポンプ2の吐出容量の制御値が設定されている。出荷時の油圧ショベル100において、Pモードにおけるエンジン出力が所定値Aよりも大きい所定値Bとなるように、且つ燃費が所定値Xよりも大きい所定値Yとなるように、Pモードにおけるエンジン85の回転数および油圧ポンプ2の吐出容量の制御値が設定されている。具体的には、これらEモードおよびPモードのそれぞれのモードに対応するエンジン85の回転数および油圧ポンプ2の吐出容量の制御値が、記憶装置21によって記憶されている。
【0044】
油圧ショベル100の購入者は、上述した包括契約か、または個別契約のうちチューニング契約が締結されている油圧ショベル100に対して、PモードやEモードのチューニングが提供されることを希望することができる。本実施形態におけるチューニングとは、油圧ショベル100の記憶装置21に格納されている、Pモード/Eモード動作時のエンジン85の回転数および/または油圧ポンプ2の吐出容量の制御値を書き換えることを指す。油圧ショベル100に対し、本実施形態におけるチューニングが行われることによって、Pモード動作時の出力(燃費)を、Pモードの標準的な出力(燃費)から上下させること、および、Eモード動作時の出力(燃費)を、Eモードの標準的な出力(燃費)から上下させることができる。Pモード動作時のチューニング可能な上記制御値の設定範囲872と、Eモード動作時のチューニング可能な上記制御値の設定範囲871とは、互いに重複しない。Pモード動作時のチューニング可能な設定範囲872は、出荷時のPモード動作用の上記制御値の設定値を含む。Eモード動作時のチューニング可能な設定範囲871は、出荷時のEモード動作用の上記制御値の設定値を含む。
【0045】
購入者がチューニングの申し入れを販売者に対して行うと、販売者はクライアント端末800を所持した保守スタッフを油圧ショベル100の設置現場に派遣する。保守スタッフは、現場に向かうのに先だって、予めクライアント端末800をネットワーク400に接続させ、サーバ500からチューニング対象の油圧ショベル100に関する契約情報をクライアント端末800にダウンロードしておく。
【0046】
サーバ500が有する制御装置510は、クライアント端末800が有する制御装置810からダウンロードのリクエストを受信すると、契約情報データベース700から当該リクエストに対応する油圧ショベル100の契約情報を読み出してクライアント端末800が有する制御装置810に送信する。クライアント端末800が有する制御装置810は、サーバ500から受信した契約情報を記憶部820に格納する。その後、保守スタッフは、クライアント端末800を持って油圧ショベル100の設置現場に向かい、クライアント端末800を、接続インタフェース860により油圧ショベル100に接続する。保守スタッフは、クライアント端末800が有する制御装置810に対し、油圧ショベル100に対するチューニング処理を実行するよう、命令を入力する。
【0047】
クライアント端末800の制御装置810は、チューニング処理において、記憶部820によって記憶された契約情報を参照し、クライアント端末800が接続されている油圧ショベル100へのチューニングが許可されているか否かを判定する。記憶部820によって記憶された契約情報として、有効な包括契約またはチューニング契約が記憶部820に存在する場合、制御装置810は、チューニングが許可されていると判定する。制御装置810は、チューニングが許可されていると判定した場合、油圧ショベル100のエンジン回転数および/またはトルクを、コントローラ20を介して変更する。換言すると、油圧ショベル100の記憶装置21によって記憶されているエンジン85の回転数および油圧ポンプ2の吐出容量の制御値を、保守スタッフにより操作部850を介して制御装置810に入力された入力値に、コントローラ20が書き換える。このようにして油圧ショベル100のチューニングが実施されることによって、油圧ショベル100のエンジン85の回転数および油圧ポンプ2の吐出容量の制御値が変更される。それらの制御値の変更のために保守スタッフにより操作部850を介して制御装置810に入力された上記入力値が、チューニングの内容に関する情報(チューニング情報)として、制御装置810または記憶部820によって記憶される。
【0048】
保守スタッフは、クライアント端末800の制御装置810に油圧ショベル100のチューニング処理を実行させた後、クライアント端末800を再度ネットワーク400に接続する。クライアント端末800からサーバ500へ、実施されたチューニングの内容に関するチューニング情報が、制御装置810によって通信部830を介して送信される。サーバ500の制御装置510は、通信部530を介して受信したチューニング情報に、当該チューニングが行われた油圧ショベル100を識別する作業機IDや、当該チューニングが行われた日時等の情報を付加して、センサ情報データベース600に格納する。
【0049】
上述したトルクの変更は以下のようにして行うことができる。
【0050】
可変容量油圧ポンプの押し除け容量はポンプレギュレータにより調節される。油圧ポンプは、いわゆる全馬力制御で駆動されるものとする。油圧ポンプ吐出圧力に応じて押し除け容積が規定される。この押し除け容積調節は以下のようにして行われる。いわゆるPQ線図と呼ばれる特性線図に基づき、ポンプ吐出圧力の測定値に基づいてポンプレギュレータが駆動制御されることによって、押し除け容積が調節される。
【0051】
PQ線図で表される圧力と吐出量(=エンジン回転数×ポンプ押し除け容量)との積がトルクに対応する物理量(油圧ポンプ吸収馬力)である。吐出量は、エンジン回転数とポンプ押し除け容量との積である。この実施形態では、PモードおよびEモードのそれぞれに応じて2種類のPQ特性線図が規定される。PモードのPQ線図によればEモードのPQ線図に比較して大きなトルクが得られるように、それら2種類のPQ特性線図が設定されている。
【0052】
チューニングによりトルクを増減する制御の一例を説明すると以下のとおりである。たとえば、Pモードでエンジン回転数を一定としたままトルクを大きくするためには、Pモードで選択されたPQ特性線図に基づいてポンプ吐出圧力から決定されたポンプ吐出容量を大きくすればよい。したがって、たとえば、決定されたポンプ吐出容量に1よりも大きい係数を掛け合わせた値に等しいポンプ容量がチューニングにより得られるように、レギュレータが制御される。
【0053】
(レポートの説明)
サーバ500から油圧ショベル100の購入者(所有者)やオペレータ、販売者等に送信されるレポートについて説明する。サーバ500が有する制御装置510は、定期レポートと、緊急レポートと、重要レポートと、の3種類のレポートを作成し配信する。本実施形態のサーバ500が有する制御装置510は、これら3種類のレポートを油圧ショベル100ごとに作成するが、複数の油圧ショベル100を購入した購入者や、複数の油圧ショベル100を販売した販売者に向けて、それら複数の油圧ショベル100に対応する1つのレポートを作成し配信してもよい。
【0054】
(定期レポートの説明)
定期レポートは、サーバ500が有する制御装置510が、センサ出力等を所定期間(本実施形態では暦月の1ヶ月)ごとに収集して作成するレポートである。サーバ500は、月初に、契約情報データベース700を参照して、定期レポートを作成すべき油圧ショベル100を特定する。具体的には、制御装置510は、契約内容730が示す契約が包括契約またはデータレポート契約であり、且つ契約期間740が現在の日付を含むレコードを抽出する。こうして抽出されたレコードに含まれる作業機ID710に対応する油圧ショベル100が特定される。制御装置510は、その特定した各々の油圧ショベル100について、契約情報データベース700内の第1言語760や第2言語780に基づく言語で、当該油圧ショベル100の前月の稼働状態を表示する定期レポートを作成する。サーバ500の制御装置510は、作成したレポートを、契約情報データベース700内の第1送付先アドレス750および第2送付先アドレス770の各々に予め設定された配信先(上記契約の締結者である購入者および販売者)に、電子メールとして配信する。
【0055】
定期レポートは、一定期間における油圧ショベル100の稼働状況を確認するためのレポートであり、後述する他のレポートに比べて緊急性の低いレポートである。従って、サーバ500の制御装置510は、必ずしも定期レポートを作成後すぐに送信する必要はない。制御装置510は、例えば、ネットワーク400の通信量が少ない時間帯(例えば深夜あるいは早朝等)になるまで待ってから定期レポートを送信してもよい。同一の定期レポートについて、制御装置510が購入者に送信するタイミングと、制御装置510が販売者に送信するタイミングとが互いに異なっていてもよい。
【0056】
図11は、定期レポートの様式の一例を示す図である。定期レポート150は、最新アワメータ値151と、油圧ショベル100の購入後の経過年数152と、油圧ショベル100の累計稼働日数153と、レポート作成対象の月における油圧ショベル100の累計稼働時間154と、油圧ショベル100の燃費カレンダー(稼働状況カレンダー)155と、レポート作成対象の月における油圧ショベル100の累計の燃料消費量159と、レポート作成対象の月における油圧ショベル100の1日あたりの平均燃料消費量160(時間燃費)と、油圧ショベル100の累計燃料消費量に基づいて算出されたCO2排出量161と、を含む。レポート作成対象の月における油圧ショベル100の累計の燃料消費量159と、レポート作成対象の月における油圧ショベル100の1日あたりの平均燃料消費量160と、油圧ショベル100の累計燃料消費量に基づいて算出されたCO2排出量161と、については、更に前月比の差分値(増減値)162、163、および164も定期レポート150に含まれる。
【0057】
更に、レポート作成対象の油圧ショベル100が上述したチューニングを受けている場合、定期レポート150には、上述したチューニング情報として、当該チューニングの実施日156と、Pモードのチューニング内容157と、Eモードのチューニング内容158とが表示される。
【0058】
定期レポート150に含まれる燃費カレンダー155には、上述した所定期間内、すなわち暦月内の油圧ショベル100の稼働時間と燃料消費量とが、日単位で一括して表示される。具体的には、日付の数値(1日なら1、2日なら2など)が表示された日付表示領域である第1領域と、第1領域に隣接して設けられた同日付の稼働時間を表示する項目表示領域である第2領域と、第2領域に隣接して設けられた同日付の燃料消費量を表示する項目表示領域である第3領域とが、暦月内の日数分、マトリクス状に配置される。例えば、
図11に例示する燃費カレンダー155中のYYYY年MM月2日(Mon)においては、稼働時間が8.2時間であって、且つ燃料消費量が150リットルである旨が表示され、YYYY年MM月1日(Sun)のように非稼動日においては、空欄で表示され、燃費カレンダー155によれば、稼動および非稼動の別、ならびに、日毎の稼動時間とその日の燃料消費量とを一目で把握できる。日毎の稼働時間は、油圧ショベル100のエンジン始動時刻からエンジン停止時刻までの稼働時間を日毎に積算することにより算出される。本実施形態では更に、各日付に相当する欄の背景色を、稼働時間が多い日付ほど濃い色にすることで、月全体における累計稼働時間の多寡と日付別の稼働時間の多寡とを一目で把握することができるようになっている。背景色を、日毎の稼働時間でなく、日毎の燃料消費量や、単位時間当たりの燃料消費量に基づいて変化させてもよい。
【0059】
上述したように、油圧ショベル100から収集されたセンサ出力等の情報がセンサ情報データベース600によって記憶されているので、それらの記憶されている情報に基づいて定期レポート150に記載されている各項目が制御装置510によって作成される。例えば最新アワメータ値151は、定期レポート150に対応する所定期間内に油圧ショベル100から制御装置510が受信したアワメータ値のうち、最も新しいものを、センサ情報データベース600から制御装置510が検索することにより、定期レポート150に記載することができる。他の項目についても同様に、センサ情報データベース600に蓄積されたセンサ出力等の情報から作成可能である。
【0060】
図12は、サーバ500の制御装置510が実行する定期レポート配信処理のフローチャートである。ステップS300において、制御装置510は、管理下にある全ての油圧ショベル100の作業機IDから、本定期レポート配信処理において未選択の作業機IDを1つ選択する。ステップS310〜S350の処理は、ここで選択した作業機IDの油圧ショベル100について実行される。
【0061】
ステップS310で制御装置510は、ステップS300で選択された作業機IDを契約情報データベース700にて検索し、当該作業機IDに対応する有効期間内のデータレポート契約を含む包括契約またはデータレポート契約の個別契約が存在するか否かを判定する。そのような契約が存在しない場合、制御装置510は処理をステップS360に進める。ステップS310で有効な契約が存在する場合には、制御装置510は処理をステップS320に進める。
【0062】
ステップS320において制御装置510は、契約情報データベース700の第1言語760および第2言語780を参照し、今回作成する定期レポート150の言語を決定する。
図15を用いて後述するステップS400の処理で、油圧ショベル100から送信されたセンサ出力データは制御装置510によって受信され、ステップS410の処理で受信されたセンサ出力データは制御装置510によってセンサ情報データベース600内に格納される。ステップS330で制御装置510は、センサ情報データベース600を参照し、センサ情報データベース600内に格納されたセンサ出力データに基づいて定期レポート150を作成する。第1言語760と第2言語780とが異なる場合は、それぞれの言語に対応する2つの定期レポート150が作成される。2つの定期レポート150においては、表記に用いられる言語は異なるが、記載される情報自体は同一である。
【0063】
ステップS340で制御装置510は、契約情報データベース700の第1送付先アドレス750および第2送付先アドレス770を参照し、今回作成した定期レポート150の配信先を特定する。ステップS350で制御装置510は、ステップS340で特定した配信先に、ステップS330で作成した定期レポート150を、通信部530を介して配信する。
【0064】
ステップS360において制御装置510は、制御装置510の管理下の全ての油圧ショベル100の作業機IDをステップS300で選択したか否かを判定する。未選択の油圧ショベル100が残っている場合には、制御装置510は処理をステップS300に戻し、ステップS300以降の処理を繰り返し実行する。制御装置510は、全ての油圧ショベル100を選択済みの場合には、
図12の処理を終了する。
【0065】
(緊急レポートの説明)
緊急レポートは、油圧ショベル100に何らかの異常が発生したことを報知するレポートである。サーバ500が有する制御装置510は、油圧ショベル100から送信されるセンサ出力等を受信すると、受信した情報をセンサ情報データベース600に格納すると共に、受信した情報から異常データの検知を試みる。異常データとは、例えば冷却系の故障やエンジン85の故障など、油圧ショベル100の稼働に支障を来すような異常の発生を表すデータである。
【0066】
サーバ500が有する制御装置510による異常データの検知は、油圧ショベル100から送信されたアラームデータや、油圧ショベル100から送信されたセンサ出力データなどに基づいて行われる。以下、異常データの検知処理について、具体的に例を挙げて説明する。
【0067】
(1)DPFの再生機構
油圧ショベル100のエンジン85は、排気ガスの排出経路にDPFを備えている。DPF差圧センサ15dはDPFの前後の圧力の差を検知する。この圧力の差は、DPFへのPMの堆積量(DPFの目詰まりの度合い)を表している。検出されたPMの堆積量は、所定値以上の変化が発生する度に、センサ出力データとしてサーバ500へ送信される。
【0068】
油圧ショベル100のコントローラ20は、DPFが目詰まりしてしまうことを防止するため、DPFの再生制御を実行する。再生制御は、例えばポスト噴射を実行したり、エンジンの回転数を上げたりすることによって、コントローラ20が、DPFを通過する排気の温度を上昇させ、PMを燃焼させる制御である。コントローラ20は、所定時間毎に自動的に実行する時間再生制御と、油圧ショベル100のオペレータによる手動操作に応じて実行する手動再生制御と、の2種類の再生制御を実行可能である。
【0069】
再生制御は、例えば燃費が悪くなったり、エンジン85の出力が落ちたりといった、油圧ショベル100の稼動に対する影響を生じる場合がある。コントローラ20は、時間再生制御において、DPFの再生効果が小さいもののこのような影響が少なくなるような制御を行う。コントローラ20は、手動再生制御において、より再生効果が大きい制御を行うが、このときは、例えば油圧ショベル100を用いた作業が行えなかったり、あるいはその作業内容に制限が出る等、油圧ショベル100の稼動に対して、時間再生制御より大きな影響が出る。
【0070】
コントローラ20は、再生制御の実行が完了すると、再生制御の実行が完了したことを表すデータと共に、再生完了後にDPF差圧センサ15dにより検出されたPMの堆積量のセンサ出力データを送信する。サーバ500の制御装置510は、時間再生制御完了時のPMの堆積量が所定のしきい値以上であることを表すデータ、すなわち、時間再生制御が実行されたにも関わらず、PMの堆積量が十分に下がらなかったことを表すデータを、異常データとして検知する。
【0071】
(2)エンジンの冷却機構
油圧ショベル100は、エンジン冷却水温度センサ15wによってエンジン冷却水の温度を検出する。油圧ショベル100は、作動油温度センサ14tによって、油圧モータや油圧シリンダを駆動する作動油の温度を検出する。更に、油圧ショベル100は、図示しない外気温センサにより、油圧ショベルが稼動している場所の外気温度を検出する。
【0072】
油圧ショベル100において検出されたこれらのセンサ出力データは、油圧ショベル100のコントローラ20によって、サーバ500へ定期的に送信される。サーバ500の制御装置510は、例えば直近1時間以内に複数の油圧ショベル100(同一機種)から送信されてきたエンジン冷却水の温度から、エンジン冷却水温度の平均温度を算出する。作動油温度、外気温度についても同様に、平均温度を算出する。
【0073】
制御装置510は、ある油圧ショベル100について、その油圧ショベル100から送信されてきた最新の温度(エンジン冷却水の温度、作動油温度、外気温度)、上記最新の各温度の平均温度、過去にその油圧ショベルから送信されてきた温度などに基づいて、その油圧ショベル100の異常データを検知する。例えば、ある油圧ショベル100において検出された冷却水温度および作動油温度のそれぞれが、その油圧ショベル100と同一機種の油圧ショベル100において同時間帯に検出された温度の平均値よりも非常に高ければ、その油圧ショベル100のラジエータがかなり目詰まりしていると考えられる。この状況を放置してしまうといずれ深刻な故障が発生することも考えられるため、制御装置510はその油圧ショベル100において検出された冷却水温度と作動油温度とを含むデータを、異常データとして検知する。
【0074】
油圧ショベル100において、冷却水温度が一定値以上になると、コントローラ20が、オーバーヒート警告を表すアラームデータをサーバ500へ送信する。制御装置510は、ある油圧ショベル100において検出された冷却水温度と作動油温度とのそれぞれが、複数の油圧ショベル100における平均温度と大差ないにも関わらず、その油圧ショベル100からオーバーヒート警告を表すアラームデータが送信されてきた場合、その油圧ショベル100の電気系に異常が発生しつつあると判断し、異常データを検知したと判定する。
【0075】
以上のように、サーバ500の制御装置510は、油圧ショベル100から収集したセンサ出力データやアラームデータ等に基づいて、油圧ショベル100の稼働に支障を来すような異常を表す異常データを検知する。
【0076】
制御装置510は、センサ出力データやアラームデータの種類に応じて、異常データの検知方法を切り替える。
図16は、制御装置510が、センサ出力等のデータの種類の判別結果に応じて、異常データの検知方法を切り替える様子を表す図であって、
図15のステップS430で行われる処理の詳細を示している。例えばある種類Xのセンサ出力データが所定のしきい値を超過したことを検出したとき(ステップS430内のステップS4310で肯定判定)、制御装置510は、その種類Xのセンサ出力データが所定のしきい値を1回でも越えていればすぐに異常データを検知したと判定し(ステップS4320で肯定判定、すなわちステップS430で肯定判定)、種類X以外の別の種類のセンサ出力データについては、制御装置510は、その別の種類のセンサ出力データが所定のしきい値を3回連続して越えていた場合にのみ異常データを検知したと判定する(ステップS4350で肯定判定、すなわちステップS430で肯定判定)。これは、センサの種類に応じて、センサ出力データの信頼性に差があるためである。例えば検出誤差が大きいセンサによって得られたセンサ出力データの場合であれば、そのセンサ出力データが示す検出値が大きな誤差を含んだ結果として偶然しきい値を越えたのか、あるいは実際に異常が発生した結果としてその検出値がしきい値を越えたのかがわからない。制御装置510は、そのような検出誤差が大きいセンサによって得られたセンサ出力データについては、複数回連続してセンサ出力データがしきい値を越えた場合にのみ、異常データを検知したと判定する。ステップS4310またはS4350で否定判定の場合、制御装置510は、異常データを検知しなかったと判定する(ステップS430で否定判定)。制御装置510は、検出誤差の大きさがさらに異なる他の種類Yのセンサ出力データについては、そのセンサ出力データが複数回連続してしきい値を越えたか否かに基づいて異常データを検知したか否かを判定するのではなく、その種類Yのセンサ出力データが一定期間内に所定回しきい値を越えたか否かに基づいて異常データを検知したか否かを判定してもよい。すなわち、制御装置510は、センサ出力データが一定期間内に所定回しきい値を越えた場合(ステップS4330で肯定判定)、そのセンサ出力データの種類がYであれば(ステップS4340で肯定判定)、制御装置510は、異常データを検知したと判定する(ステップS430で肯定判定)。
【0077】
図13(a)、
図13(b)は、緊急レポートの様式の例を示す図である。本実施形態のサーバ500が有する制御装置510は、同一の異常データに対し、
図13(a)に示す第1緊急レポート250と、
図13(b)に示す第2緊急レポート350と、の2種類の緊急レポートを作成する。
【0078】
第1緊急レポート250は、レポートの対象となった油圧ショベル100(異常が発生した油圧ショベル100)を特定するための作業機ID251と、当該異常の内容を表す異常の内容252とを含む。サーバ500が有する制御装置510は、第1緊急レポート250を、契約情報データベース700の第1言語760に基づく言語で作成し、第1送付先アドレス750に基づく配信先(購入者)に配信する。
【0079】
第2レポート350は、レポートの対象となった油圧ショベル100(異常が発生した油圧ショベル100)を特定するための作業機ID351と、油圧ショベル100において検出されたアラームデータの内容を表すアラーム352と、異常が発生した原因を表す原因353と、当該異常に対する対処方法を表す具体的対応354と、当該対処方法に関する記載があるマニュアルのページ番号や当該マニュアルを参照するためのURL等を含むマニュアル情報355と、センサ出力データ356とを含む。サーバ500が有する制御装置510は、第2緊急レポート350を、契約情報データベース700の第2言語780に基づく言語で作成し、第2送付先アドレス770に基づく配信先(販売者)に配信する。
【0080】
図13(b)に示した第2緊急レポート350は、
図13(a)に示した第1緊急レポート250よりも記載内容が豊富である。換言すると、第2緊急レポート350は第1緊急レポート250よりも情報量が多い。これは、販売者は異常データに対応した処置(修理等)を油圧ショベル100に施す必要があり、センサ出力データ等の、いわば油圧ショベル100の内部情報についても把握しておく必要があるためである。そのような内部情報を購入者に提示しても、購入者の問題解決には役に立たず、レポートの煩雑さが増すだけであるため、購入者に送信される第1緊急レポート350には、そのような内部情報は記載されない。
【0081】
(重要レポートの説明)
重要レポートは、油圧ショベル100に何らかの異常の発生につながる兆候が見られることを報知するレポートである。サーバ500が有する制御装置510は、異常データの検知と前後して、油圧ショベル100から受信した情報に基づく予兆データの検知を試みる。予兆データとは、油圧ショベル100を現状のまま継続使用すると、例えば冷却系の故障やエンジン85の故障など、油圧ショベル100の稼働に支障を来すような異常が発生する可能性があることを表すデータである。
【0082】
例えば、ある油圧ショベル100において、過去一ヶ月間の吸気温と作動油温と冷却水温との変化傾向を見たとき、吸気温と作動油温とが下降傾向にあるのに対し、冷却水温が上昇傾向にあった場合、油圧ショベル100の冷却系の働きが鈍りつつあると考えられる。これを放置すれば、やがて冷却系は冷却機能を喪失し、エンジン85のオーバーヒート等が発生して油圧ショベル100の稼働に支障を来すことが考えられる。以上のように、即時の対処は必要としないものの、今後異常につながる可能性がある、異常の兆候を表すデータが、予兆データである。制御装置510は、センサ情報データベース600に蓄積された油圧ショベル100のセンサ出力データ等を利用して、このような予兆データを検知し、予兆データに基づいて重要レポートを生成する。
【0083】
図14は、重要レポートの様式の一例を示す図である。重要レポート450は、レポートの対象となった油圧ショベル100(異常の兆候が見られる油圧ショベル100)を特定するための作業機ID451と、油圧ショベル100において検出された過去のセンサ出力データの内容を表す過去1ヶ月のセンサ出力データ452と、異常の発生要因を提示する考えられる要因453と、今後発生する可能性がある異常を表す発生しうる異常454と、当該異常の発生を防止するための対応方法を表す具体的対応455とを含む。
【0084】
サーバ500が有する制御装置510は、重要レポート450を、契約情報データベース700の第2言語780に基づく言語で作成し、第2送付先アドレス770に基づく配信先(販売者)に配信する。つまり、サーバ500が有する制御装置510は重要レポート450を油圧ショベル100の購入者には配信しない。これは、予兆データは今後油圧ショベル100にどのような保守を行えばよいかを決定するためのデータであり、直ちに油圧ショベル100が稼働できなくなったり、必ず油圧ショベル100が稼働できなくなることを表すデータではないためである。換言すれば、予兆データは異常データに比べて不確実性の高いデータであり、重要レポート450が配信されても、油圧ショベル100に何らかの処置を施さなければならないというわけではない。販売者は、配信された重要レポート450を精査し、本当に油圧ショベル100に異常が発生しつつあるのかどうか、また何らかの処置を行う必要があるのかどうかを判断する。そのような不確実なレポートを購入者に配信しても、購入者にいたずらに不安な気持ちを抱かせるだけであるため、サーバ500が有する制御装置510は重要レポート450を購入者には配信しない。
【0085】
図15は、サーバ500の制御装置510が実行するデータ受信処理のフローチャートである。この処理は、油圧ショベル100からサーバ500へ何らかのデータが送信される度に実行される。ステップS400において、制御装置510は、油圧ショベル100からセンサ出力等のデータを、通信部530を介して受信する。ステップS410で制御装置510は、受信したデータをセンサ情報データベース600に格納する。
【0086】
ステップS420で制御装置510は、ステップS400で受信したデータを送信した油圧ショベル100の作業機IDを契約情報データベース700にて検索し、当該作業機IDに対応する有効期間内の包括契約またはデータレポート契約が存在するか否かを判定する。そのような契約が存在しない場合、制御装置510は
図15の処理を終了させる。有効な契約が存在する場合には、制御装置510は処理をステップS430に進める。
【0087】
ステップS430で制御装置510は、センサ情報データベース600に格納されているセンサ出力データ等に基づいて異常データの検知を試み、異常データを検知したか否かを判定する。異常データを検知した場合、制御装置510は処理をステップS440に進める。
【0088】
ステップS440で制御装置510は、契約情報データベース700の第1言語760および第2言語780を参照し、今回作成する第1緊急レポート250および第2緊急レポート350の言語を決定する。ステップS450で制御装置510は、センサ情報データベース600を参照し、ステップS430でセンサ情報データベース600内に格納されたセンサ出力データ等に基づいて第1緊急レポート250および第2緊急レポート350を作成する。ステップS460で制御装置510は、契約情報データベース700の第1送付先アドレス750および第2送付先アドレス780を参照し、今回作成した第1緊急レポート250および第2緊急レポート350の配信先を特定する。ステップS470で制御装置510は、ステップS460で特定した配信先に、ステップS450で作成した第1緊急レポート250および第2緊急レポート350を、通信部530を介して配信する。
【0089】
ステップS430で異常データを検知しなかった場合、制御装置510は処理をステップS480に進める。ステップS480で制御装置510は、センサ情報データベース600に格納されているセンサ出力データ等に基づいて予兆データの検知を試み、予兆データを検知したか否かを判定する。予兆データを検知した場合、制御装置510は処理をステップS490に進める。
【0090】
ステップS490で制御装置510は、契約情報データベース700の第2言語780を参照し、今回作成する重要レポート450の言語を決定する。ステップS500で制御装置510は、センサ情報データベース600を参照し、ステップS430でセンサ情報データベース600内に格納されたセンサ出力データ等に基づいて重要レポート450を作成する。ステップS510で制御装置510は、契約情報データベース700の第2送付先アドレス780を参照し、今回作成した重要レポート450の配信先を特定する。ステップS520で制御装置510は、ステップS510で特定した配信先に、ステップS500で作成した重要レポート450を、通信部530を介して配信する。
【0091】
上述した実施の形態によるサーバ500によれば、次の作用効果が得られる。
【0092】
(1)制御装置510は、油圧ショベル100から収集されたセンサ出力に基づく定期レポート150を所定期間ごとに作成し、センサ出力に基づいて異常データを検知すると緊急レポート250及び350を作成し、センサ出力に基づいて異常データにつながる予兆データを検知すると重要レポート450を作成する。制御装置510は、定期レポート150と緊急レポート250及び350と重要レポート450との各々を、当該レポートに応じた配信タイミングで指定された配信先に配信する。このようにしたので、作業機械の管理に必要な情報が記載されたレポートが自動的に配信され、必要な情報を煩雑な操作なしに得ることが可能となる。
【0093】
(2)制御装置510は、定期レポート150、緊急レポート250及び350、重要レポート450のそれぞれのレポートを作成するにあたり、契約に関する各種情報が格納された契約情報データベース700を参照して当該レポートの言語を決定し、その決定した言語でレポートを作成する。このようにしたので、単一のシステムにより、複数の言語圏に存在する顧客の各々にレポート配信サービスを提供することができる。
【0094】
(3)制御装置510は、緊急レポート250及び350の配信先として、油圧ショベル100の購入者および販売者を特定し、重要レポート450の配信先として、油圧ショベル100の販売者を特定し、定期レポート150の配信先として、油圧ショベル100の購入者および販売者を特定する。このようにしたので、油圧ショベル100の購入者に必要でない情報が記載された重要レポート450は購入者には配信されず、購入者を混乱させることがない。重要レポート450に記載された情報は、購入者には必要ではないが、油圧ショベル100の今後の保守提案には有用であり、そのような有用な情報が販売者に確実に配信される。
【0095】
これらの情報に基づき、購入者から販売者、販売者から購入者への連絡、連携をより緊密に行うことが可能になり、メンテナンスを適時、適切に施すことが可能になって購入者が所有する作業機械の状態を最良の状態で維持することが可能になる。
【0096】
(4)制御装置510は、緊急レポート250及び350と重要レポート450と定期レポート150との配信先として、複数の個別契約を包括して成る包括契約の締結当事者の一方である購入者の登録アドレスと、油圧ショベル100を販売した締結当事者の他方である販売者の登録アドレスと、を配信先として設定する。このように、契約情報とレポートの配信先とが連動するので、油圧ショベル100と購入者および販売者との紐付けが確実に為され、レポートを誤りなく配信することができる。契約情報データベース700とは別に、レポートの配信先を管理するためのデータベースを必要としない。
【0097】
(5)サーバ500には、クライアント端末800から油圧ショベル100に対して為されたチューニングに関して制御装置510が受信した情報を記憶するセンサ情報データベース600が接続されている。制御装置510は、定期レポート150の作成時にセンサ情報データベース600にチューニングに関する情報が記憶されている場合、チューニングに関する情報を含む定期レポート150を作成する。このようにしたので、チューニング作業を実施した履歴が定期レポート150に表示され、油圧ショベル100(作業機械)の購入者、とくに管理者がチューニングの状態を正確に把握できる。チューニングの内容は油圧ショベル100自体には表示されないため、チューニング前後において同一の油圧ショベル100であるにも関わらず操作性、作業量などが異なり、オペレータが違和感を覚えることがある。しかし、チューニングの内容が定期レポート150に記載されているので、オペレータが定期レポート150を確認すれば、このような違和感を覚えることがなくなる。さらに、オペレータは、チューニングによって変更されたモード設定値と燃費との関係を一目で把握できるため、モードの変更により燃費がどれだけ向上したのか、または悪化したのかに基づいて、更なるチューニング用設定値の変更の検討が可能になり、より作業内容に即したモード設定を行うことが可能になる。
【0098】
(6)制御装置510は、センサ出力に基づいて異常データを検知する際、1回のセンサ出力が所定のしきい値を越えた場合に異常データを検知するか、時系列的に連続する複数のセンサ出力が所定のしきい値を越えた場合に異常データを検知するか、一定期間内に出力された複数のセンサ出力のうち特定の個数のセンサ出力が所定のしきい値を越えた場合に異常データを検知するか、をセンサ出力の種類毎に切り替える。このようにしたので、異常データの誤検知を抑制することができる。
【0099】
(7)制御装置510は、購入者に配信される第1緊急レポート250、販売者に配信され第1緊急レポート250より情報量の多い第2緊急レポート350とを作成する。このようにしたので、制御装置510は、購入者にはわかりやすいレポートを配信しつつ、販売者には必要な情報が余すところなく記載された詳細なレポートを配信することができる。
【0100】
(8)サーバ500の制御装置510は、油圧ショベル100からのセンサ出力を所定期間ごとに収集し、所定期間の燃費カレンダー155の各々の日付欄に当該日付のセンサ出力に応じた情報を表示した様式の定期レポート150を作成し配信する。このようにしたので、オペレータは、日々のセンサ出力(例えば燃費等)の推移を的確に把握することができる。
【0101】
(9)定期レポート150に記載された燃費カレンダー155は、日付の数値が表示された第1領域と、第1領域に近接して設けられ、該当する日付の燃費を表示する第3領域とを含み、第1領域と第3領域とがマトリクス状に配置される。このようにしたので、オペレータは、日々の燃費の推移を、容易に把握することができる。
【0102】
(10)定期レポート150に記載された燃費カレンダー155には、日付の数値が表示された第1領域と、第1領域に近接して設けられ、該当する日付の燃費を表示する第3領域とが暦月ごとに配置されている。このようにしたので、オペレータは、ある月における燃費の偏りを容易に把握することができる。
【0103】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0104】
(第1変形例)
油圧ショベル100の管理システム1に用いられるサーバ500に本発明を適用した一実施形態について上述したが、本発明は、例えばホイールローダ、鉱山機械、クローラクレーン、ダンプトラックなど、油圧ショベル以外の作業機械の管理システムに用いられるサーバに適用することも可能である。
【0105】
(第2変形例)
上述した実施形態では、サーバ500が有する制御装置510が、3種類のレポートを、包括契約またはデータレポート契約が締結された油圧ショベル100の購入者や販売者のアドレスに送信するが、他のアドレスに送信してもよい。例えば、制御装置510は、包括契約の締結者のアドレスに対しては、緊急レポートと重要レポートと定期レポートの全てを配信し、長期保証契約と、メンテナンス契約と、データレポート契約と、チューニング契約と、のうちの少なくとも1つの契約の締結者のアドレスに対しては、緊急レポートと重要レポートと定期レポートとのうちの1つまたは2つのレポートを配信してもよい。つまり、包括契約とそれ以外の契約とに応じて、配信されるレポートの種類に差を設けてもよい。
【0106】
(第3変形例)
各レポートの記載内容やその様式は、上述した実施形態において
図11、
図13、
図14に例示したものとそれぞれ異なっていてもよい。サーバ500が有する制御装置510は、例えば
図17に示す定期レポートの様式の例に表されているように、レポートの対象である油圧ショベル100と同一機種である複数の他の油圧ショベル100からのセンサ出力に基づく燃費、作動油温、水温、およびポンプ圧力の平均値を含む表示領域1610を、
図11に例示した定期レポート150に併記してもよい。このようにすることで、ある油圧ショベル100の稼働状況を、同一機種である複数の他の機械と相対比較することが可能になる。複数の油圧ショベル100にGPSセンサを設けることによって、制御装置510は、単にレポートの対象である油圧ショベル100と同一機種であるだけでなく、それぞれのGPSセンサ出力が示す複数の油圧ショベル100の位置情報に基づいてレポートの対象である油圧ショベル100と同一地域で稼働している複数の油圧ショベル100のセンサ出力から算出された燃費、作動油温、水温、およびポンプ圧力の平均値を定期レポート150に併記してもよい。このようにすることで、レポートの対象である油圧ショベル100と、気象条件等の周囲環境がほぼ同条件下の他の油圧ショベル100との間で、稼働状況の比較を行うことが可能になる。「同一地域」の区分方法は任意に設定してよい。「同一地域」は、例えば「同一の現場」であってもよいし、「同一の市区町村」「同一の地方」「同一の国」であってもよい。更に、定期レポート150の作成周期や各レポートの送信タイミングについても、上述した実施形態と異ならせることが可能である。
【0107】
(第4変形例)
上述した実施形態では、サーバ500が有する制御装置510はクライアント端末800からチューニング情報を受信していたが、これを各油圧ショベル100から受信してもよい。
【0108】
(第5変形例)
上述した実施形態では、燃費カレンダー155が定期レポート150にのみ表示されるが、緊急レポート250、350や重要レポート450に表示されても良い。燃費カレンダー155において、稼動時間および燃料消費量の表示に代えて、他の項目、例えば、稼動時間およびDPFにおける再生回数、平均負荷および最大負荷等、種々の情報、およびその組み合わせが表示されても良い。
【0109】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施形態や上記変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【0110】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2013年第46916号(2013年3月8日出願)