(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236437
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】加圧水型モジュール式小型炉用の炉心補給水タンク兼除熱システム
(51)【国際特許分類】
G21C 15/18 20060101AFI20171113BHJP
G21C 1/32 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
G21C15/18 M
G21C15/18 L
G21C15/18 A
G21C15/18 W
G21C1/32
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-517284(P2015-517284)
(86)(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公表番号】特表2015-519582(P2015-519582A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】US2013043201
(87)【国際公開番号】WO2013188114
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年3月9日
(31)【優先権主張番号】13/495,069
(32)【優先日】2012年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】メモット、マシュー、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハークネス、アレクサンダー、ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】カミンズ、ウィリアム、エドワード
【審査官】
長谷川 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03506539(US,A)
【文献】
特表平03−502005(JP,A)
【文献】
NICK SHULYAK,"Westinghouse Small Modular Reactor: Taking Proven Technology to the Next Level",IAEA INPRO DIALOGUE FORUM ON NUCLEAR ENERGY INNOVATIONS: COMMON USER CONSIDERATIONS FOR SMALL AND MEDIUM-SIZED NUCLEAR POWER REACTORS.,オーストリア,2011年10月14日,第3,4,9,16,17,19頁,<URL:https://www.iaea.org/INPRO/3rd_Dialogue_Forum/12.SMR-Westinghouse.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 15/18
G21C 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次回路が、実質的に密接する関係で格納容器(34)内に密封された原子炉圧力容器(10、12)の中に格納された、核反応する炉心(14)、上部炉内構造物(30)、蒸気発生器熱交換器(26)および加圧器(22)と、炉心からの冷却材流出口と蒸気発生器熱交換器の上流側との間の一次冷却材ホットレグ(24)と、蒸気発生器熱交換器の下流側と炉心への冷却材流入口との間の冷却材コールドレグ(78)とを含み、当該ホットレグおよび当該コールドレグが原子炉圧力容器内に格納されている加圧水型モジュール式炉(10)であって、当該加圧水型モジュール式炉はさらに、
炉心補給水タンク(40)であって、
一次側(44、46)および二次側(64)を具備し、一次側は一次側入口(84)と一次側出口(88)とを備え、少なくとも当該炉心内の圧力に等しい圧力に維持された内部流路を有する、当該炉心補給水タンク内に支持された熱交換器(42)、
当該熱交換器(42)の内部流路入口、および炉心出口側のホットレグと流体連通する一次側入口プレナム(44)、
当該熱交換器(42)の内部流路出口、および蒸気発生器熱交換器の下流側と炉心(14)の冷却材流入口との間のコールドレグ(78)と流体連通する一次側出口プレナム(46)、および
当該熱交換器(42)の二次側内部の二次側プレナム(64)であって、入口端部(66)と出口端部(68)と熱交換器(42)の内部流路の外面上の二次側流路とを具備し、二次側プレナムの入口端部と出口端部とを接続する二次側プレナム
を具備する炉心補給水タンク(40)と、
当該二次側プレナム(64)の入口端部(66)と出口端部(68)との間で炉心補給水タンク(40)に接続された最終ヒートシンク熱交換器(72)とを含み、当該二次側プレナム及び最終ヒートシンク熱交換器との接続部は、事故状態において沸騰を防ぐ程度に加圧されており、
当該加圧水型モジュール式炉はさらに、
当該熱交換器(42)の一次側(44、46)を炉心(14)から隔離するための手段(80)を含む
受動式除熱兼高圧水注入システムを具備することを特徴とする加圧水型モジュール式炉。
【請求項2】
炉心補給水タンク(40)が炉心(14)の高さより高く配置された請求項1のモジュール式炉(10)。
【請求項3】
最終ヒートシンク熱交換器(72)が炉心補給水タンク(40)の高さより高く配置された請求項2のモジュール式炉(10)。
【請求項4】
炉心補給水タンク(40)が原子炉圧力容器(10、12)の外側で支持された請求項1のモジュール式炉(10)。
【請求項5】
炉心補給水タンク(40)が格納容器(34)の内部に密封された請求項4のモジュール式炉(10)。
【請求項6】
最終ヒートシンク(70)が格納容器(34)の外側に配置された請求項5のモジュール式炉(10)。
【請求項7】
熱交換プレナムの一次側(44、46)が、少なくとも炉心(14)と同じ圧力に加圧された請求項1のモジュール式炉(10)。
【請求項8】
熱交換器(42)の一次側が、実質的に炉心(14)と同じ圧力に加圧された請求項7のモジュール式炉(10)。
【請求項9】
熱交換器(42)がチューブ・シェル型熱交換器である請求項1のモジュール式炉(10)。
【請求項10】
一次側入口プレナム(44)が炉心補給水タンク(40)の頂部にあり、一次側出口プレナム(46)が炉心補給水タンクの底部にある請求項9のモジュール式炉(10)。
【請求項11】
熱交換器(42)の一次側(44、46)を炉心(14)から隔離する手段が、一次側出口プレナム(46)とコールドレグ(78)との間の一次側出口と流体連通する弁(88)である請求項1のモジュール式炉(10)。
【請求項12】
最終ヒートシンク熱交換器(72)の一次側は炉心補給水タンクの熱交換器組立体(42)の二次側(64)に接続され、当該最終ヒートシンク熱交換器の二次側は冷却材プール(70)と熱交換関係にある請求項1のモジュール式炉(10)。
【請求項13】
複数の炉心補給水タンク(40)を具備する請求項1のモジュール式炉(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、同時に提出された米国特許出願第 号(Attorney Docket RTU 2011−011)に関連する。
【0002】
本発明は、概して加圧水型モジュール式小型炉に関し、具体的には、そのような原子炉の炉心補給水タンク兼除熱システムに関する。
【背景技術】
【0003】
加圧水型原子炉等の発電用原子炉においては、濃縮ウランなどの原子燃料の核分裂により熱が発生し、その熱が炉心を流れる冷却材へ伝達される。炉心は、細長の原子燃料棒が互いに近接して取り付けられた構造の燃料集合体を含み、冷却材は、この燃料集合体の中および上を流れる。燃料棒は同一の拡がりをもつ平行なアレイを形成するように互いに離隔している。所与の燃料棒の燃料原子が原子核崩壊する時に放出される中性子および他の原子粒子の一部は、燃料棒の間の空間を通過し、隣接する燃料棒の核分裂性物質に衝突して、原子核反応および炉心による熱の発生に寄与する。
【0004】
移動可能な制御棒は、中性子の一部を吸収することによって核分裂反応の全体的な速度の制御を可能にするように、炉心全体にわたって分散配置されている。これらの中性子は、吸収されなければ核分裂反応に寄与するものである。制御棒は概して、中性子吸収物質の細長の棒から成り、燃料集合体中において燃料棒の間をそれらに平行に延びる長手方向の孔または案内シンブルに収まる。制御棒をさらに炉心に挿入すると、より多くの中性子が、隣接する燃料棒の核分裂に寄与することなく吸収される。また、制御棒を引き抜くと、中性子吸収の程度が減少して、原子核反応の速度および炉心の出力が増大する。
【0005】
図1に示すのは、従来の原子炉一次系を単純化したものであり、ほぼ円筒形の圧力容器10と炉心蓋体12とが、核分裂性物質を含む燃料棒を支持する炉心14を密封している。水またはホウ酸水のような冷却材は、ポンプ16により容器10内に圧入され、炉心14を通過する際に熱エネルギーを吸収して、一般的に蒸気発生器と呼ばれる熱交換器18へ送られ、伝達された熱が蒸気駆動タービン発電機のような利用回路(図示せず)へ送られる。原子炉冷却材はその後、ポンプ16へ戻り、一次側ループが完成する。一般的に、上述したような複数のループが、原子炉冷却材配管20により単一の原子炉容器10に接続されている。
【0006】
この設計を採用する商業発電所は、典型的には出力が約1,100メガワット以上である。最近では、ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシーが、200メガワット級のモジュール式小型炉を提案している。モジュール式小型炉は一体型の加圧水型原子炉であり、一次ループ構成機器のすべてが原子炉容器の内部に配置されている。原子炉容器は、コンパクトで高圧の格納容器に取り囲まれている。一体型の加圧軽水炉には格納容器内の空間的な制約や低コストの要請があるため、安全性や機能性を損なうことなく補助系統の総数をできるだけ少なくする必要がある。このため、原子炉システムの一次ループと流体連通するすべての構成機器をコンパクトで高圧な格納容器内に保持するのが望ましい。そのような補助系統の1つは炉心補給水タンクであり、別の補助系統として受動式残留熱除去系がある。しかし、これらの系統を収容するには格納容器内の空間は限られている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、炉心補給水タンク系と受動式残留熱除去系とを簡素化して、一次原子炉ループとインターフェイスするこれらの系統の機器を、加圧水型モジュール式小型炉の高圧でコンパクトな格納容器内で支持できるようにすることである。
【0008】
また、本発明の別の目的は、炉心補給水タンク系と受動式残留熱除去系の機能を組み合わせることによって、高圧でコンパクトな格納容器内でこれらの系が必要とする空間を小さくすることである。
【発明の概要】
【0009】
上記およびその他の目的は、実質的に密接する関係で格納容器内に密封された原子炉圧力容器内に格納された核反応する炉心、上部炉内構造物、蒸気発生器熱交換器、および加圧器を含む一次回路を具備する加圧水型モジュール式小型炉によって達成される。このモジュール式小型炉は、炉心からの冷却材流出口と蒸気発生器熱交換器の上流側との間の一次冷却材ホットレグと、蒸気発生器熱交換器の下流側と炉心への冷却材流入口との間の一次冷却材コールドレグとを含み、当該ホットレグと当該コールドレグは原子炉圧力容器内に収容されている。この加圧水型モジュール式小型炉はさらに、密接する関係で格納容器内に密封された炉心補給水タンクを使用する受動式除熱兼高圧水注入システムを具備する。炉心補給水タンクは、一次側と二次側とを有する熱交換器を具備する。一次側は、熱交換器内に、一次側入口と一次側出口とを有する内部流路を具備する。一次側入口プレナムは、熱交換器の内部流路入口および炉心出口側のホットレグと流体連通する。一次側出口プレナムは、熱交換器の内部流路出口、および蒸気発生器熱交換器の下流側と炉心の冷却材流入口との間のコールドレグと流体連通する。熱交換器の二次側内部にある二次側プレナムは、入口端部と出口端部と熱交換器の内部流路の外面上の二次側流路とを具備し、二次側プレナムの入口端部と出口端部とを接続する。最終ヒートシンク熱交換器は、二次側プレナムの入口端部と出口端部との間の炉心補給水タンクに接続される。受動式除熱兼高圧水注入システムはさらに、熱交換器の一次側を炉心から隔離する手段を有する。
【0010】
炉心補給水タンクは炉心の高さより高く配置し、最終ヒートシンク熱交換器は炉心補給水タンクの高さより高く配置するのが好ましい。好ましくは、炉心補給水タンクは原子炉圧力容器の外部で支持され、かつ格納容器内に密封され、最終ヒートシンク熱交換器は格納容器の外部に配置される。熱交換器の一次側は、望ましくは炉心と少なくとも同じ圧力に、好ましくは炉心と実質的に同じ圧力に加圧される。
【0011】
一実施態様において、熱交換器はチューブ・シェル型熱交換器であり、望ましくは、一次側入口プレナムが炉心補給水タンクの頂部にあり、一次側出口プレナムが炉心補給水タンクの底部にある。熱交換器の一次側を炉心から隔離する手段は、一次側出口プレナムとコールドレグとの間の一次側出口と流体連通する弁であることが望ましい。
【0012】
別の実施態様において、沸騰を防ぐために二次側プレナムが加圧され、望ましくは、最終ヒートシンクがヒートシンク熱交換器を含み、当該ヒートシンク熱交換器の一次側は炉心補給水タンクの熱交換器組立体の二次側に接続され、当該ヒートシンク熱交換器の二次側は冷却材プールと熱交換関係にある。さらに別の実施態様において、モジュール式小型炉は、前記炉心補給水タンクを複数個具備する。
【0013】
本発明の詳細を、好ましい実施態様を例にとり、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来型原子炉システムの単純化した概略図である。
【0015】
【
図2】本発明の一実施態様を組み込んだ一体型モジュール式小型炉システムを示す一部破断斜視図である。
【0016】
【0017】
【
図4】
図2に示す原子炉格納容器の概略図であり、本発明の一実施態様による受動式残留熱除去兼高圧水注入システムの、原子炉容器の外側にある部分および蒸気発生器の、格納容器の外側にある蒸気ドラム部分を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図2、3、4は、本明細書に記載する受動式残留熱除去兼高圧水注入システムから利益が得られる設計のモジュール式小型炉を示す。
図2は、圧力容器とそれに合体した内部構成機器を示す原子炉格納容器の一部破断斜視図である。
図3は、
図2に示す圧力容器の拡大図である。
図4は、原子炉およびいくつかの原子炉補助系統の概略図であり、本発明の一実施態様による受動式残留熱除去兼高圧水注入システムの最終ヒートシンクおよび二次熱交換ループを含んでいる。いくつかの図面の中で使用している同じ参照符号は、対応する構成要素を指している。
【0019】
図2、3、4に示すような一体型の加圧水型原子炉において、原子力蒸気供給系の一次側に典型的に関連するすべての構成機器は単一の圧力容器10に収容されており、当該容器は典型的には高圧の格納容器構造物34に格納されている。圧力容器10に収容される一次側構成機器として、蒸気発生器の一次側、原子炉冷却材ポンプ、加圧器、および原子炉本体が挙げられる。この一体型設計の原子炉において、従来の原子炉の蒸気発生器システム18は2つの構成要素、すなわち、
図4に示すように、上部炉内構造物30の上方に位置する熱交換器26と、格納容器34の外側に保持される蒸気ドラム32とに分けられる。蒸気発生器の熱交換器26は、炉心14および他の従来型原子炉内構成機器によって共有され、一次設計圧力を定格とする圧力容器10/12、2つの管板54、56、ホットレグ配管24(高温側ライザーとも呼ばれる)、下部管板54と上部管板56との間を延びる伝熱管58、管支持板60、熱媒体としての二次流体の流れを伝熱管58の間に差し向けるための二次フローバッフル36、ならびに二次フローノズル44、50を含む。
【0020】
熱交換器26と圧力容器蓋体12の組立体は格納容器34内に保たれる。格納容器の外側にある蒸気ドラム32は、二次設計圧力を定格とする圧力容器38から成る。格納容器の外側にある蒸気ドラム34には、従来設計の蒸気発生器18と同様に、遠心式およびシェブロン式湿分分離器、給水配分装置、ならびに湿り蒸気、給水、再循環液、および乾き蒸気用のフローノズルがある。
【0021】
容器10の蓋体12内の熱交換器26を流れる一次原子炉冷却材の流れは、
図3の上部に矢印で示してある。同図に示すように、炉心14から出た加熱された原子炉冷却材は、高温側ライザー24内を上昇し、上部管板56の中心を通ってホットレグマニホールド74内に入る。加熱された冷却材はそこで流れの向きを180度変え、上部管板56を貫通する伝熱管58に入る。原子炉冷却材はその後、管板56を貫通する伝熱管58内を流下し、外部蒸気ドラム32からサブクール再循環入力ノズル50を通って熱交換器に入る再循環液および給水の混合物へ、向流関係で、熱を伝導する。サブクール再循環入力ノズル50から熱交換器26に入るサブクール再循環液および給水は、二次フローバッフル36の働きにより熱交換器の底部へ差し向けられた後、伝熱管58の周りをそれに沿って上昇し、上部管板56の直下で向きを変えて排出路76に入り、湿気を帯びた蒸気が湿り蒸気出口ノズル44に流入する。飽和した湿り蒸気はその後、外部の蒸気ドラム32に送られ、湿分分離器に入り、そこで蒸気と湿分が分離される。分離された湿分は再循環液を形成し、給水と混ぜられてサブクール再循環入力ノズル50へと戻され、同じサイクルを繰り返す。
【0022】
典型的な設計の加圧水型原子炉と改良型の加圧水型原子炉(ペンシルベニア州クランベリー郡に所在のウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシーが提供するAP1000(登録商標)など)はいずれも、事故シナリオの際に炉心損傷を防ぐために崩壊熱除去系と高圧注入系を使用する。
図2、3、4に示すウェスチングハウスのモジュール式小型炉の設計では、大型の加圧水型原子炉に現在実装されているこれらの系統の能力が、費用と空間の制約のために制限される。本発明は、受動式崩壊熱除去機能と高圧水注入機能とを組み合わせて単一の簡素で一体的な系統にする設計を提供する。この複合的な安全系は、大型の加圧水型原子炉の安全系に比べて、一体型原子炉の設計を大幅に簡素化し、事故の際、同等の原子炉防護能力を、低コストかつ小さな空間要件で提供する。以下に説明する本発明の実施態様は、内部の受動式残留熱除去熱交換器が原子炉容器と最終ヒートシンクプール内の熱交換器とに直接接続する新規な設計の炉心補給水タンクを有する。
【0023】
図2、4に示すように、炉心補給水タンク兼受動式残留熱除去熱交換器40は、格納容器34内に配置する。受動式残留熱除去熱交換器42は、炉心補給水タンク40内に配置する。受動式残留熱除去熱交換器42は、炉心補給水タンクの上端部に入口プレナム44を、また、炉心補給水タンクの下端部に出口プレナム46を具備する。上部管板48が上部プレナム44を二次流体プレナム64から分離し、下部管板52が下部プレナム46を二次流体プレナム64から分離する。伝熱管の管束62が、上部管板48と下部管板52との間を延びる。したがって、炉心24のホットレグから入口配管84を介して供給される一次流体は、入口プレナム44に入り、管束
62内を搬送されて出口プレナム46に入り、出口配管88を通って炉心14のコールドレグ78に戻る。冷却材は、管板48と管板52の間で管束
62内を通る間に、二次流体プレナム64内の二次流体に熱を伝える。二次流体は、二次流体入口配管66を通って二次流体プレナム64に入り、管束
62から伝達された熱を吸収し、二次流体出口配管68を介して流出する。炉心補給水タンク40の高さ、すなわち補給水タンクが支持される高さは、高流量の自然循環を促進するために最大にする。定常運転時に、炉心補給水タンク40と受動式残留熱除去熱交換器42の配管側は、原子炉冷却材と同じ圧力の低温のホウ酸水で満たされる。炉心補給水タンクの底部に付いた出口配管88の弁80が、この水が子炉圧力容器10へ流入するのを防止する。
【0024】
事故状態の間、原子炉保護系は弁80の開放信号を発し、炉心補給水タンクの低温のホウ酸水を出口配管88から原子炉圧力容器10のコールドレグ領域78へ流入させる。これと同時に、高温の原子炉冷却材が炉心出口域82から入口配管84を介して炉心補給水タンク40へ、さらに炉心補給水タンク40の入口プレナム44へ流入する。高温の原子炉水はその後、受動式残留熱除去熱交換器42の管束
62の細管内を流下し、二次流体プレナム64内の受動的余熱除去熱交換器のシェル側を流れる冷たい二次水によって冷却される。
【0025】
沸騰しないように加圧された二次水はその後、配管68内を上昇して最終ヒートシンクタンク70内の第2の熱交換器72に到達し、そこで熱をタンク70内の低温の水に伝達する。ここで、冷却された二次水は戻り管66内を流下し、熱交換器42の炉心補給水タンクのシェル側64に入り、このプロセスを繰り返す。この最終ヒートシンクループと炉心補給水タンクの一次ループは、いずれも自然循環により駆動される。炉心補給水タンクの一次ループの流れは、蒸気が炉心補給水タンクの入口配管84に流入してからも引き続き原子炉から崩壊熱を除去する。
【0026】
原子炉圧力容器10からの冷却材喪失事故の際、受動式残留熱除去熱交換器42が原子炉10から崩壊熱を除去するのに伴い、原子炉容器内の水位が下がる。水位が炉心補給水タンク入口配管の入口82よりも低下すると、蒸気が入口配管に入り、自然循環サイクルは途絶える。この時点で、炉心補給水タンク(受動式残留熱除去熱交換器の二次シェル側64を除く)のインベントリは、蒸気圧の下で出口配管内を流下し、原子炉圧力容器コールドレグ78に入り、実質的に高圧注入機能を果たす。
【0027】
燃料交換時と動作不能時に、炉心補給水タンク兼受動式残留熱除去システムは、原子炉および炉内構造物を冷却する。崩壊熱除去能力を提供するために、格納容器34内の空間に余裕がある限り、これらの炉心補給水タンクを任意の数だけモジュール式小型炉設計に組み込むことができる。
【0028】
したがって、本発明の炉心補給水タンク兼受動式残留熱除去システムは、事故時および運転停止時において炉心が放出する崩壊熱と同等以上の熱を除去する。さらに本システムは、あらゆる事故シナリオに際して炉心を安全な停止状態に維持するに十分なホウ酸水を原子炉圧力容器に提供し、冷却材喪失事故時において炉心の最上部より上に水位を保つに十分な補給水を提供する。さらにまた本システムは、2つの安全機能を有効な単一のシステムに統合することにより、格納容器内の占有空間を最小限に抑える。
【0029】
本発明のある特定の実施態様について詳しく説明してきたが、当業者は、本開示書全体の教示するところに照らして、これら詳述した実施態様に対する種々の変更および代替への展開が可能である。したがって、ここに開示したある特定の実施態様は説明目的だけのものであり、本発明の範囲を何らも制約せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に記載の全範囲およびその全ての均等物である。