(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236438
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】埋設電源コネクタを有する燃料電池構成部品
(51)【国際特許分類】
H01M 8/24 20160101AFI20171113BHJP
【FI】
H01M8/24 Z
【請求項の数】14
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-517327(P2015-517327)
(86)(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公表番号】特表2015-519716(P2015-519716A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】US2013044912
(87)【国際公開番号】WO2013188264
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年5月30日
(31)【優先権主張番号】13/495,353
(32)【優先日】2012年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591006586
【氏名又は名称】アウディ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・メロ・フェレイラ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジョン・カーネヴァール
(72)【発明者】
【氏名】グレン・マイケル・アレン
【審査官】
山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−166677(JP,A)
【文献】
特開2007−265881(JP,A)
【文献】
特開2002−184243(JP,A)
【文献】
実開平06−026184(JP,U)
【文献】
特開2006−210351(JP,A)
【文献】
特開2010−218951(JP,A)
【文献】
特開2006−040586(JP,A)
【文献】
特開2006−156077(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0057368(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
H01M 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料を含むプレートと、
前記プレート内に埋め込まれた第一の部分、及び前記プレートから延在する第二の部分を備え、前記第二の部分が負荷との導電接続部となるように構成されている、電気コネクタと、を備え、
前記プレートが、燃料電池スタック組立体の端部のための集電体として構成され、
前記電気コネクタには、複数の可撓性のあるワイヤストランドが、少なくともいくつかの前記ワイヤストランドの間に間隔をあけて備えられており、前記プレートの材料の一部が前記間隔の中に受け入れられ、
前記電気コネクタが、編組ケーブルを備えることを特徴とする燃料電池構成部品。
【請求項2】
前記電気コネクタの前記第一の部分が前記プレートの材料によって完全に囲まれていることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池構成部品。
【請求項3】
前記プレートが燃料電池スタック組立体の端部に位置付けられるように構成されたエンドプレートを備えることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池構成部品。
【請求項4】
前記電気コネクタは、長さ、幅、厚さがあり、
前記厚さ及び前記幅は、前記長さに対して直角であり、
前記幅は前記厚さよりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池構成部品。
【請求項5】
前記プレートが炭素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池構成部品。
【請求項6】
前記プレートが黒鉛を含むことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池構成部品。
【請求項7】
複数の燃料電池を備える電池スタック組立体と、
前記電池スタック組立体の一端のエンドプレートであって、導電性材料を含むエンドプレートと、
前記エンドプレート内に埋め込まれた第一の部分、前記エンドプレートから延在する第二の部分を備え、前記第二の部分が負荷との導電接続部となるように構成されている、電気コネクタと、を備え、
前記エンドプレートが、前記電池スタック組立体の端部の集電体として構成され、
前記電気コネクタには、複数の可撓性のあるワイヤストランドが、少なくともいくつかの前記ワイヤストランドの間に間隔をあけて備えられており、前記エンドプレートの材料の一部が前記間隔の中に受け入れられ、
前記電気コネクタが、編組ケーブルを備えることを特徴とする燃料電池デバイス。
【請求項8】
前記電気コネクタの前記第一の部分が前記エンドプレートの材料によって完全に囲まれていることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池デバイス。
【請求項9】
前記エンドプレートが炭素を含むことを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池デバイス。
【請求項10】
前記エンドプレートが黒鉛を含むことを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池デバイス。
【請求項11】
前記電気コネクタは、長さ、幅、厚さがあり、
前記厚さ及び前記幅は、前記長さに対して直角であり、
前記幅は前記厚さよりも大きいことを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池デバイス。
【請求項12】
導電性材料を含むプレートを形成するステップと、
導電性コネクタの第一の部分を、前記導電性コネクタの第二の部分を前記プレートから延在させながら、前記プレートに埋め込むステップと、を含み、
前記プレートが、燃料電池スタック組立体の端部のための集電体として構成され、
前記導電性コネクタには、複数の可撓性のあるワイヤストランドが、少なくともいくつかの前記ワイヤストランドの間に間隔をあけて備えられており、前記プレートに埋め込むステップにおいて、前記プレートの材料の一部が前記間隔の中に受け入れられ、
前記導電性コネクタが、編組ケーブルを備えることを特徴とする燃料電池構成部品の製造方法。
【請求項13】
前記埋め込むステップは、前記導電性コネクタの前記第一の部分を前記プレートの材料によって完全に取り囲むステップを含むことを特徴とする、請求項12に記載の燃料電池構成部品の製造方法。
【請求項14】
導電性材料を含む粉末をモールドの中に入れるステップと、
前記導電性コネクタの前記第一の部分を前記モールド内に置くステップと
前記第一の部分が前記モールド内にある間に、前記モールド内の前記粉末に熱と圧力をかけるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項12に記載の燃料電池構成部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運輸省/連邦交通機関から受注した契約番号CA−04−7003−00のもと、政府の支持を受けてなされたものである。したがって、政府は、この発明について一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は電気化学反応によって電気を提供する。一般的な燃料電池デバイスは、複数の個別の燃料電池ユニットの電池スタック組立体を備える。電池スタック組立体の端部における集電体は、電気化学反応によって生じる電流を収集する。一般的に、エンドプレートは、集電体に当てて配置されている。エンドプレートは、電池スタック組立体をひとまとめに保持するための構造の一部である押圧板としてよく用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、エンドプレートにコネクタを取り付けることによって、燃料電池から電気エネルギーを得ることが達成される。ボルトなどの締結具を使用する機械的接続部が、エンドプレートでの導電接続部を構築する。そのような構成は効果的で有用であることが分かっているが、これらは欠点がないわけではない。機械的接続箇所は、接続部のいたる所で潜在的な電圧損失の可能性をもたらす。さらに、機械的接続部で発熱する可能性がある。また、機械的接続部は、追加の作業時間をもたらすと共に、組立誤差が生じやすい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な燃料電池構成部品は、導電性材料を含むプレートを備える。電気コネクタは、プレート内に埋め込まれた第一の部分を備える。電気コネクタの第二の部分はプレートから延在している。第二の部分は、別のデバイスとの導電接続部になるように構成されている。
【0005】
例示的な燃料電池デバイスは、複数の燃料電池を含む電池スタック組立体を備える。電池スタック組立体の一端のエンドプレートは、導電性材料を含む。電気コネクタは、エンドプレート内に埋め込まれた第一の部分を備える。電気コネクタの第二の部分は、エンドプレートから延在している。第二の部分は、別のデバイスとの導電接続部になるように構成されている。
【0006】
例示的な燃料電池構成部品の製造方法は、導電性材料を含むプレートを形成するステップを含む。導電性コネクタの第一の部分は、コネクタの第二の部分をプレートから延在させながら、プレート内に埋め込まれる。
【0007】
開示された実施例の種々の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から当業者にとって明らかになるであろう。詳細な説明に伴う図面は、下記のとおり簡単に説明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に従って設計された燃料電池デバイスの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に従って設計された燃料電池構成部品の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、導電性コネクタの一例を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、
図2の例などの燃料電池構成部品の製造方法の一例を模式的に示す図である。
【
図4B】
図4Bは、
図2の例などの燃料電池構成部品の製造方法の一例を模式的に示す図である。
【
図4C】
図4Cは、
図2の例などの燃料電池構成部品の製造方法の一例を模式的に示す図である。
【
図4D】
図4Dは、
図2の例などの燃料電池構成部品の製造方法の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、電気化学反応に基づいて電気を発生させるのに有用である燃料電池デバイス20を図示している。電池スタック組立体22は、公知の方法で配置された複数の個別の燃料電池ユニットを備える。構造24は、電池スタック組立体22をひとまとめに保持するための押圧板26を備えている。
【0010】
エンドプレート30は、押圧板26と電池スタック組立体22との間に受け入れられる。エンドプレート30は、導電性材料を含む。一例では、導電性材料は、炭素系である。エンドプレート30の一例は、黒鉛を含む。
【0011】
エンドプレート30は、電池スタック組立体22の中に発生した電流を集めるための集電体として構成されている。
【0012】
図2はエンドプレート30を図示している。エンドプレート30は、エンドプレート30の中に埋め込まれた導電性コネクタ32を備える。導電性コネクタ32は、燃料電池デバイス20によって電源を入れようとする電気機器(load)などの別のデバイスとの導電接続部になるように構成された端部34を有する。導電性コネクタ32は、エンドプレート30の中に埋め込まれた第一の部分36を備える。導電性コネクタ32の第二の部分38は、エンドプレート30から延在している。
【0013】
一例では、導電性コネクタ32の第一の部分36は、エンドプレート30の材料によって完全に囲まれている。別の例では、第一の部分36は、エンドプレート30の材料によって少なくとも部分的に包まれている。
【0014】
図3は、導電性コネクタ32の一例を図示している。この例では、可撓性ワイヤの複数のストランドを備える。この例では、導電性コネクタ32の全体が可撓性である。いくつかの例は、概ね平坦なコネクタを備え、このコネクタは、コネクタの幅よりも大きい長さを有する。前記幅は、コネクタの厚さよりも大きい。
【0015】
図3の例は、編組線の構成を備える。導電性コネクタ32のいくつかのワイヤストランドの間は間隔があいている。一例では、導電性コネクタ32がエンドプレート30の中に埋め込まれている際、エンドプレート30の導電性材料の少なくとも一部は、導電性コネクタ32の種々のストランドの間の間隔の中に受け入れられている。導電性材料が導電性コネクタ32の本体を取り囲むと共に少なくとも部分的に前記本体に入り込み、より信頼性の高い機械的接続部がエンドプレート30の材料と導電性コネクタ32との間に構築される。導電性コネクタ32のワイヤストランド間の間隔の中に受け入れられた導電性材料は、エンドプレート30の材料と導電性コネクタ32との間の導電接続部を改善するための表面接触量を増加させる。
【0016】
図4A〜
図4Dは、例えばエンドプレート30等の燃料電池構成部品の製造方法の一例を模式的に図示している。モールド40は、金型部42,44を備える。図示の例では、金型部42は、トレイとして構成されており、このトレイの中に成型可能な形態の導電性材料が入れられる。
図4Aの例では、例えば黒鉛等の粉末状の導電性材料が、金型部42の中に配置される。
図4Bに示すように、少なくとも導電性コネクタ32の第一の部分36が、金型部42の中に置かれる。
図4Cに示すように、追加の導電性材料46が、金型部42に加えられる。この例では、追加の導電性材料が、導電性コネクタ32の第一の部分36を完全に覆う。
【0017】
所望の量の成型可能な導電性材料46がモールド40内に入ったら、第二の金型部44と第一の金型部42とが、エンドプレート30を形成するために合わせられる。一例では、熱と圧力がかけられることで、導電性コネクタ32の第一の部分36をエンドプレートの材料の中に埋め込ませたまま、固体のエンドプレート30が形成される。
【0018】
開示された例では、導電性コネクタと燃料電池デバイスとの間の機械的接続を行う必要がない。したがって、一体化された電気コネクタ32を有するエンドプレート30によって、発熱、電圧損失、組立誤差、またはこれらの組み合わせの潜在的な原因が取り除かれる。埋め込まれたコネクタ32は、取り扱わなければならない構成部品の数と、燃料電池デバイスの組み立てに必要な時間を低減させる。図示の例では、別個の集電体とエンドプレートが不要であり、さらなるコスト削減がもたらされる。
【0019】
別個の金属集電板の如何なる必要性をも排除することで、別の利点をもたらす。非多孔質の黒鉛のエンドプレート30を備える例では、金属集電体プレートを使用した場合に生じることがあるような腐食の心配がない。
【0020】
上述の説明は、本質的に限定するものではなくて例示的なものである。開示された実施例に対する変形および修正は、当業者にとって明らかになるであろうし、それは、本発明の本質から必ずしも逸脱しない。本発明に与えられる法的保護の範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することによって決定することができる。
【符号の説明】
【0021】
20 燃料電池デバイス
22 電池スタック組立体
26 押圧板
30 エンドプレート
32 コネクタ(電気コネクタ、導電性コネクタ)
34 端部
36 第一の部分
38 第二の部分
40 モールド
42 金型部(第一の金型部)
44 金型部(第二の金型部)
46 導電性材料