特許第6236460号(P6236460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6236460車両内でのユーザー機能の使用を監視するための方法及び監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236460
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】車両内でのユーザー機能の使用を監視するための方法及び監視システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   B60R16/02 660Z
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-541080(P2015-541080)
(86)(22)【出願日】2013年10月29日
(65)【公表番号】特表2016-501765(P2016-501765A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】EP2013072605
(87)【国際公開番号】WO2014072206
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年3月2日
(31)【優先権主張番号】102012220228.5
(32)【優先日】2012年11月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391009671
【氏名又は名称】バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYERISCHE MOTOREN WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】シュトローベル クリスチーナ
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−036753(JP,A)
【文献】 特開2001−209522(JP,A)
【文献】 特開2006−048283(JP,A)
【文献】 特開2011−255853(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/047035(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
G06F 3/00 − 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内での複数のユーザー機能(10)の使用を監視するための方法にして、少なくとも1つのユーザー機能(10)の少なくとも1つの制御機器(100)の少なくとも1つの状態遷移を検出するステップを含む方法において、
前記方法が更に、それぞれ前記複数のユーザー機能(10)の状態を表すことが出来る車両の初期状態及び最終状態を特定するためステップ、及び、初期状態から最終状態へ到るための、ドライバーの個々の行動及びそれにより引き起こされる複数のユーザー機能の複数の状態遷移を表す、少なくとも1つの使用パターンを識別するためステップ、を含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
用いられる使用パターン、及び、前記用いられる使用パターンに対する少なくとも1つの代替的な使用パターンが識別されること、
を特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記使用パターンが、車両の少なくとも2つのユーザー機能(10)に関する少なくとも1つの状態遷移を含んでいること、
を特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記少なくとも2つのユーザー機能(10)が少なくとも2つの異なるユーザー機能システムに属するものであること、
を特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法において、
1つ又は複数の識別された使用パターンに基いて、統計的な評価が実行されること、
を特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法において、
識別された、用いられる使用パターンが、車両内で記憶されること、及び/又は、少なくとも1つの車両外部ユニット(13、14)に伝送されること、
を特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法において、
車両内において、少なくとも1つの代替的な使用パターンに対する少なくとも1つの情報が出力されること、
を特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
少なくとも1つの代替的な使用パターンに対する少なくとも1つの情報が、車両の操作マニュアルからの情報であること、
を特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法において、
少なくとも1つの監視ユニット(11)の少なくとも1つの制御機器(100)の状態監視が、バス通信又は無線インターフェースを介して行われること、
を特徴とする方法。
【請求項10】
車両内での複数のユーザー機能(10)の使用を監視するための監視システムにおいて、
前記監視システム(1)が少なくとも1つの監視ユニット(11)を含んでおり、前記少なくとも1つの監視ユニット(11)が、少なくとも1つのユーザー機能(10)の少なくとも1つの制御機器(100)の少なくとも1つの状態遷移を検出するため、それぞれ前記複数のユーザー機能(10)の状態を表すことが出来る車両の初期状態及び最終状態を特定するため、及び、初期状態から最終状態へ到るための、ドライバーの個々の行動及びそれにより引き起こされる複数のユーザー機能の複数の状態遷移を表す、少なくとも1つの使用パターンを識別するため、のものであること、
を特徴とする監視システム。
【請求項11】
請求項10に記載の監視システムにおいて、
前記監視システムが更に、少なくとも1つの使用パターンを分析するための分析ユニット(12)を有すること、
を特徴とする監視システム。
【請求項12】
請求項11に記載の監視システムにおいて、
分析ユニット(12)が、少なくとも1つの使用パターンの統計的な評価を行うこと、
を特徴とする監視システム。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項に記載の監視システムにおいて、
前記監視システム(1)が、請求項1からのいずれか一項に記載の方法を実施するための手段を有すること、
を特徴とする監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内でのユーザー機能の使用を監視するための方法並びに監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日の車両には既に、例えば、快適さ、インフォテインメント、ドライバーアシスタント、車両のダイナミックな調整、個人化等の、専門分野の異なる多くのユーザー機能(クライアント用機能)が存在する。機能の総数は、今後も上昇傾向にある。これらの機能は一部のみしかドライバーに知られていない、なぜなら、通常取扱説明書が完全に読まれることはなく、また、機能の多様さから全てが明確に宣伝されることがないためである。ボタン(入力装置)の多機能性により、複数の機能は1つの特定の操作要素によって操作可能なものでない。例えば、鍵のロックボタンの短押しが車両をロックする一方で、長押しの際は、コンフォートクローズの機能が起動(アクティベート)される。その際、車両はロックされ、そして追加的に、開いた状態の全ての窓、及び、サンルーフが閉じられる。
【0003】
ドライバーに車両の機能特には所謂ユーザー機能を知らせるために、ある操作要素の操作時にその操作要素に属する情報をメモリから選択し、イラストで表示するようなインフォメーション装置が知られている。そのようなインフォメーション装置は例えば特許文献1に記載されている。
【0004】
その種のインフォメーション装置の欠点は、場合によってはドライバーにその他の機能が知らされないことであり、それはドライバーが対応する操作要素を操作しないことによる。加えて、インフォメーション装置によって供される情報は、車両のドライバーにとってのみ役に立つものであり、例えば車両の製造者のような第三者の役には立たない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE4410985A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は従って、様々な利用のために、車両内のユーザー機能についての情報を、簡単な方法で使用可能とするような、解決法をもたらすことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ユーザー機能を単に操作するのではなく利用者の行動を考慮することによってこの課題が解決される、という認識に基づいている。
【0008】
第1の観点に従うと、この課題は、車両内のユーザー機能の利用を監視するための方法によって解決され、この方法は、少なくとも1つのユーザー機能の少なくとも1つの制御機器の少なくとも1つの状態遷移を検出するステップを含んでいる。この方法は、当該方法が更に、車両の初期状態(開始状態)及び最終状態(受理状態、受容状態)を特定するステップ、及び、初期状態から最終状態に達するための少なくとも1つの使用パターンを識別するステップ、を含むことによって、特徴づけられている。
【0009】
本発明の意味においては、ドメイン(領域)とも称されるユーザー機能システムの、その機能がユーザー機能と称される。ユーザー機能システムは、例えば、コンフォート機能、インフォテインメント機能、ドライバーアシスタント機能、車両の動的な調整(ドライブダイナミックセッティング)、個人化機能(パーソナライズ機能)等である。これらのユーザー機能システムのユーザー機能は、例えば、パワーウィンドウ、車両ロック、放送局サーチ、ナビゲーション設定等である。これらのユーザー機能は、制御機器によってそれぞれ作動制御され、また、これらの制御機器を介して操作され得る。通常、車両のドライバーと制御機器の間には、操作ユニットが設けられている。複数のユーザー機能の制御機器は、組み合わせられていてもよい。本発明の意味においては、車両の利用者、特にユーザー機能の利用者が、ドライバーとして理解される。これは、同乗者や乗客であってもよい。
【0010】
少なくとも1つの状態遷移の検出は、本発明に従い、特には監視ユニットによって行われる。この監視ユニットはトレーサとも称されるものである。監視ユニットはその際、ユーザー機能の状態に影響を及ぼすものではなく、特には監視インターフェースを介して状態遷移を検出する。状態遷移は状態変化とも称され得るものであり、制御機器のこの状態遷移によって、ユーザー機能の使用が報告される。複数のユーザー機能のための複数の制御機器が1つの制御機器内で統合されている場合、複数のユーザー機能の内の1つの状態変化が状態遷移と称され、これが本発明に従い監視される、すなわち、1つの制御機器の状態変化は常に1つの個別のユーザー機能に割り当てられ得る。
【0011】
本発明に従い、監視するための方法は、車両の初期状態及び最終状態を特定するステップを含んでいる。これに関し、車両の初期状態及び最終状態と称されるものは、異なる複数のステージに対する、車両内のユーザー機能の個々の制御機器の状態である。初期状態は例えば、車両をアンロックする際、車両をONにする際、又は、例えばナビゲーションシステムの様な1つのユーザー機能システムを開始する際における、複数のユーザー機能の状態を表すことが出来る。最終状態は例えば、車両をロックする際、車両をOFFにする際、又は、例えばナビゲーションシステムの様な1つのユーザー機能システムの停止する際における、複数のユーザー機能の状態を表すことが出来る。追加的に又は代替的に、最終状態は、例えば開始状態からある期間が経過することによって、決定されてもよい。好ましくは、開始状態は、ユーザー機能を起動又はスタートすることによって、決定され、又、最終状態は、そのユーザー機能の使用を終了すること又はユーザー機能又はユーザー機能システムをOFFにすることによって、決定される。その際、初期状態及び最終状態は、複数のユーザー機能の複数の状態変化を監視することによって、容易に識別され得る。
【0012】
本発明に従い、上記方法は更に、初期状態から最終状態に達するための少なくとも1つの使用パターンを検出するステップを含む。この際、使用パターンと称されるものは、ドライバーの個々の行動、及びそれにより引き起こされるユーザー機能の状態変化である。
【0013】
本発明に従い、複数のユーザー機能の複数の状態変化を含んだ使用パターンが識別されることによって、一連の長所が獲得される。一方では、従来技術において行われているようにドライバーに1つの個別のユーザー機能についての情報を提供する代わりに、ドライバーに所望の最終状態に至るための情報を提供することが可能である。更に、車両製造者及びユーザー機能システムの提供者のために使用パターンを検出することによって、利用者の行動(振る舞い)を知ること、及び、それをプランニングの際に考慮すること、が可能になる。
【0014】
特には、用いられる使用パターンが識別される。更に、特に追加的に少なくとも1つの、用いられる使用パターンに対する代替的な使用パターンが識別されてもよい。用いられる使用パターンと称されるものは、ドライバーの行動により引き起こされた状態遷移によって構成された使用パターンである。代替的な使用パターンと称されるものは、あるユーザー機能の別の状態遷移によって、又は、ある別のユーザー機能の状態遷移によって、又は、それらの組み合わせの状態遷移によって、同じ初期状態から同じ最終状態を導く使用パターンであり、その際それらの状態遷移は用いられる使用パターンにおいて存在したものである。代替的な使用パターンは特には重みを有しており、その際、例えば、ドライバーにとって最大の快適さを有する代替的な使用パターンが、最大の重みを付される。
【0015】
用いられる使用パターンが識別されることによって、一方では、どのユーザー機能がどの状態遷移と共にドライバーによって使用されたか、についての報告を収集することが出来る。更に、識別された用いられる使用パターンは、別の代替的な使用パターンがあるかどうか、又は、用いられる使用パターンが唯一可能な使用パターンであるかどうか、を確認するために利用される。
【0016】
特には、開始状態及び最終状態に基いて、少なくとも1つの代替的な使用パターンが識別される。1つの特定の開始状態及びそれに属する1つの特定の最終状態に対する全ての使用パターンは、特には監視システム内に預けられている。これらの使用パターンは、データベースに保存されていてもよい。使用パターンは、特には車両内に預けられており、また、ユーザー機能の使用を監視するための監視ユニットに結び付けられている。1つのユーザー機能のための又は複数のユーザー機能のための使用パターンを読み出すことによって、用いられる使用パターンとの比較により、代替的な使用パターンが存在するかどうかを識別することが出来る。
【0017】
用いられる使用パターンに対する少なくとも1つの代替的な使用パターンを識別することは、ドライバーに用いられていないユーザー機能も知らせることが出来る、という利点を有する。加えて、代替的な使用パターンの識別は、車両製造者又はユーザー機能システムの提供者に、使用されていない使用パターンを、また従って、場合によっては使用されていないユーザー機能をも、知らせることを可能にする。代替的な使用パターンが存在しないことが識別される場合、これもまた、車両製造者又はユーザー機能システムの提供者にとって有用であり得る。
【0018】
1つの実施形態に従うと、使用パターンは、車両の少なくとも2つのユーザー機能に関して少なくとも1つの状態変化を含んでいる。これにより、個別のユーザー機能を単に使用することと比べて、ユーザー機能の組み合わせを、より頻繁に使用することも可能にする。本発明に従う方法では、制御機器の状態変化が監視されるので、これは簡単な方法で行うことが出来る。更なる実施形態に従うと、少なくとも2つのユーザー機能は、少なくとも2つの異なるドメイン、すなわちユーザー機能システム、に属している。これにより、ユーザー機能システムの横断的な監視、及び、使用パターンの識別が可能になる。これは、ドライバーのための単純化を導き、また、車両製造者及びユーザー機能システムの提供者には更なる情報を提供することが出来る。例えば、あるドライバーが車両をロックする前に常にラジオのスイッチを切り替える場合、これらの機能性は、新たな使用パターンに統合され得て、そして、新しいシリーズ(新しいラインナップ)においてそれが提供され得る。
【0019】
1つの実施形態に従うと、1つ又は複数の識別された使用パターンに基いて、統計的な評価が実施される。この統計的な評価の際には、特には、使用パターンの、使用又は不使用の頻度を考慮にいれてもよい。更に、この場合、時間的要因(タイムファクター)を考慮に入れてもよい。これにより、利用者とも称されるドライバーがその行動を変更しているかどうかを識別することが出来る。
【0020】
1つの実施形態に従うと、識別された、用いられている使用パターンは、記憶され及び/又は少なくとも1つの外部ユニットへ伝達される。この使用パターン又はこの使用パターンの評価から得られる結果は、監視システム内、特には車両内に記憶され得る。そこで、用いられるその使用パターンは、引き続き識別された用いられる複数の使用パターンの更なる評価のために、利用することが出来る。
【0021】
外部ユニットへの伝達と称されるものは、この関連においては、本発明に従って、使用パターン自体の伝達、及び/又は、使用パターンの評価から得られる結果の伝達である。外部ユニットは例えば、車両製造者又はユーザー機能提供者のデータベース又はコンピュータであってもよい。
【0022】
識別された用いられる使用パターンが記憶され、そして場合によっては伝達されることによって、これを、別の使用パターンを評価するために、そして場合によっては別の車両及びユーザー機能システムを立案及び設計するために、利用することが出来る。
【0023】
ユーザー機能の使用の解析は、現在までのところ、専用に装備された試験車両において行われるか、又は、ユーザーの問い合わせに関して行われている。複数の解析ユニットは、ユーザー機能ごとに、別々に実装されており、また、それらは通常ユーザー機能自体の一部である。従って、ユーザーに関連付けられ、また、統計的に説得力のある、ユーザー機能の使用に関するデータを収集することは、現在までに知られている方法を用いた場合、高コストである。どのユーザー機能がユーザーにより日常的に使用されているかを判断することは、特に困難である。それは、どのユーザー機能が将来より明確に宣伝されなければならないか、また、将来も用いられるべきであるか、の決定を困難にする。本発明に従う方法を用いれば、このような欠点を解消することが出来る。
【0024】
1つの実施例に従うと、少なくとも1つの代替的な使用パターンに対する少なくとも1つの情報が車両内で出力される。この関連において、出力と称されるものは、光学的表示又は聴覚的な通知である。少なくとも1つの代替的な使用パターンについての情報は、特には、好ましい代替的な使用パターンについての情報である。この場合、特に、ドライバーにとっての快適性を向上させる使用パターンが、好ましいものと称される。使用パターンについての情報は、使用パターンについての指摘、又は、特には車両の操作マニュアルからの使用パターンの情報、特には好ましい使用パターンについての情報、であってもよい。代替的な使用パターンはドライバーによって使用されなかったものであるので、ドライバーには、この情報(通知)によって、一連の機能が知らされる。なお、それらの機能は、下部メニューに隠れているか、ボタン(キー)の特定の操作によってのみ操作可能なものである。特に中古車の購入時には、ユーザーは従来、どのような機能がその車両内で使われているかについて、よく知らないことが多い。そのためユーザーは、知らない機能のために代金を払うことになる。これらの機能がドライバーに示されるかどうかは、ディーラー次第である。本発明に従う方法を用いれば、特には、代替的な使用パターンについての情報の出力、特には好ましい使用パターンについての情報の出力を用いれば、これらの欠点を解消することが出来る。
【0025】
1つの実施形態に従えば、バス通信を介して又は無線インターフェースを介して、少なくとも1つの監視ユニットによって、少なくとも1つの制御機器の状態監視が行われる。これによって、一方では、監視ユニットによって、異なる複数のユーザー機能システムのユーザー機能を監視することが可能であり、また他方では、車両内のインフォメーションシステムの変更は必要ない。単一のユーザー機能システムのユーザー機能もまた、バス通信又は無線インターフェースを介して、簡潔な方法で監視され得る。
【0026】
別の観点に従うと、本発明は車両内のユーザー機能の使用を監視するための監視システムに関している。当該監視システムは、当該監視システムが少なくとも1つの以下の様な監視ユニットを含むこと、によって特徴付けられている、すなわち、少なくとも1つのユーザー機能の少なくとも1つの制御機器の少なくとも1つの状態遷移を検出するための、車両の初期状態及び最終状態を特定するための、及び、初期状態から最終状態へ到達するための少なくとも1つの使用パターンを識別するための監視ユニットを含むこと、によって特徴付けられている。
【0027】
少なくとも1つのユーザー機能の少なくとも1つの制御機器の少なくとも1つの状態遷移の検出、車両の初期状態及び最終状態の特定、及び、初期状態から最終状態に到達するための少なくとも1つの使用パターンを識別は、単一の監視ユニットによって実施され得る。しかしながら本発明に従い、互いに通信し合う複数の監視ユニットを、設けることも可能である。監視ユニットは本発明に従い、トレーサとも称される。
【0028】
1つの好ましい実施形態に従えば、監視システムは更に、特には少なくとも1つの使用パターンを統計的に評価するための及び分析するための少なくとも1つの分析ユニットを有している。
【0029】
本発明に従う監視システムは特には、本発明に従う方法を実施するための手段を有している。例えば、監視ユニットは、車両のユーザー機能の制御機器と通信するためのインターフェースを有している。
【0030】
本発明に従う方法に関連して記載される長所や特徴は、援用出来る限りにおいて、対応する本発明に従う監視システムにおいても当てはまるものであり、また、その逆も成り立つ。
【0031】
本発明は、以下において新たに、添付の図面に関連して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に従う監視システムの実施形態の概略図である。
図2】本発明に従う方法の実施形態のいくつかのプロセスステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、車両内の複数の制御機器100が示されており、それらはECUとも称されるものである。1つ又は複数の制御機器100は、トレーサとも称される監視ユニット11によって監視される。トレーサ11には、ユーザー機能10から、可能な使用パターンの仕様が与えられる。可能な使用パターンは、他の方法でもトレーサ11により利用可能なものとされ得る。
【0034】
この監視システムを用いることで、本発明に従う方法を実施することが可能であり、本方法は車両内の具体的なユーザー機能10とは独立して使用することが出来る。本方法は、使用パターンの仕様についてのみパラメータ化される。特に本方法自体は、異なる複数のドメイン或いは異なる複数のユーザー機能のためのものである、すなわち本方法は、コンフォート機能、ドライバーアシスタンスシステム(DAS)等から独立している。図1に示されているように、車両は、使用パターンに基いてユーザー機能10の制御機器100の状態を監視し、また、そこからユーザー機能10の使用及び不使用を認識する。トレーサ11は、このイベントをタイムスタンプと共に、分析ユニット12所謂アナライザへ、転送する。
【0035】
アナライザ12は、個々のイベントを解析し、代替的なそして特には好ましい使用パターンからずれた使用パターンが、十分な統計的有意性を有して用いられているかどうかを調べる。その際、特に時間的な経過が考慮されるべきであり、この時間的な経過はドライバーが自身の行動を変えることについての示唆を与える。それ故、例えば、使用パターンが使用期間の最初又は最後に特に頻繁に観察された場合には、認識されるべきである。これは、ドライバーが、ユーザー機能を知ってはいるがもはや使用していないこと又はユーザー機能を知り使い始めたこと、を示唆している。アナライザ12内で識別された結果を、外部ユニット13、14に伝送することも出来る。このユニットは、例えば車両製造者又はユーザー機能システムの提供者のコンピュータ12又はデータバンク、であってもよい。代替的に又は追加的に、アナライザ12の結果を、又は、この結果に基づいて識別された情報例えば操作マニュアルからの情報を、指示器14又はその他の出力ユニットである外部ユニットに伝達することが可能であり、また、それらに関して車両のドライバーに出力することが出来る。
【0036】
トレーサ11は、ユーザー機能の状態を監視する構成要素にして、具体的なユーザー機能10からは独立した構成要素である。その際、トレーサ11は、機能状態(機能ステート)には影響を与えず、機能に対する監視インターフェースを、例えばバス通信又は無線インターフェースを、有するのみである。トレーサ11は、入力として1つ又は複数の使用パターンの仕様(規格)を得る。特には少なくとも1つの好ましい使用パターンが、トレーサ11により使用可能なものとされる。好ましい使用パターンがドライバーによって使用されていない場合、好ましい使用パターンが代替的な使用パターンである。任意で、複数の代替的な使用パターンを知らせることも出来る。
【0037】
用いられる使用パターンは状態遷移を記述し、この状態遷移はユーザー機能が用いられている状況において発生するようなものである。代替的な使用パターンは、同一の状況のための状態遷移を記述しているが、この状況においては、同様に用いられるべき他の複数のユーザー機能が、組み合わせで用いられている。つまり、使用パターン及び代替的な使用パターンは、異なる状態遷移にして、同一の初期状態から同一の最終状態への状態遷移を、記述している。
【0038】
本発明は、例を用いて以下のように説明出来る。初期状態においては、ドライバーは車両内で着座しており、その際、全ての窓及びサンルーフのうち例えば2つが開いている。ドライバーは、車両がロックされ又全ての窓及びサンルーフが閉じられていることを意図しながら、車両を離れる。使用パターンは、コンフォートクローズの機能のための状態遷移を記述している。ドライバーが、ドア内のボタンによって窓を閉め、また続いて鍵によって車両をロックするという機能の組み合わせを記述する使用パターンを用いた場合、これが用いられている使用パターンとして識別される。複数のボタンを介して車両内の窓を閉めることが出来るので、複数の使用パターンが生じ得る。これらの使用パターンの1つが、好ましい代替的な使用パターンにして、特にはコンフォートクローズの機能のための状態遷移を記述する使用パターンと、比較される場合、そのようにして、用いられている使用パターンは、好ましい使用パターン不使用として、識別され得る。
【0039】
識別された、又は、認識された使用パターンの解析は、本発明に従い、特にはドライバー毎に行われる。ドライバーを特定するために、本方法は例えばキープロファイルを使用する。
【0040】
解析はインターフェースを用いて可能なアクセプタに提供される。アクセプタは、車両内のマンマシンインターフェース(MMI)、ディーラーにおける解析システム、又は、バックエンドシステムであってもよい。従って、例えば解析を、組み込まれている駆動マニュアルと接続することによって、ドライバーに、全自動で、用いられていないユーザー機能についてのマニュアルが示される。これに関して特には、同じユーザー機能についてのマニュアルが繰り返し示されないことについて顧慮される。この目的のために、アナライザには、どの指示が既に発されたかについての履歴が備えられている。
【0041】
ドライバーに対しては、ドライバーが車両を最適に使用出来るような、需要に即し且つ個人化された提案がなされ得る。その一方で、ユーザーに関連するデータを欠いた単なる提案システムとは異なり、ドライバーに、余計な指示が示されないので、監視システムの煩わしさはより僅かである。ドライバーは、他の車両の購入時において支払いの用意がある新たな機能について、手ほどきを受ける。
【0042】
解析からは、どの機能がドライバーによって用いられていないか、そして従って、将来的な機能範囲にもはや存在する必要がないかについての、結論が引き出される。
【0043】
本発明に従う方法は、あるユーザー機能が使用されているか否かを確認することを可能にする。更に、実装コストは一度のみである。ユーザーテストを実行するためのコストは減少される。複数の個別のユーザー機能に、使用挙動を記録するための1つの包括的な手段が提供されるので、ユーザー機能ごとの別個の実装コストは省略される。
【0044】
本発明に従う方法は、例えば運転中に、ユーザー機能の使用を解析し、また可能なアクセプタへ転送することが出来る。この解析は、使用されないユーザー機能を特定する目的で行われる。
【符号の説明】
【0045】
1 監視システム
10 ユーザー機能
100 制御機器(ECU)
11 監視ユニット(トレーサ)
12 分析ユニット(アナライザ)

図1
図2