(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236462
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】浄化チャンバ又は浄化キャリアと、少なくとも1個の医療用、特に歯科用器具の浄化装置
(51)【国際特許分類】
A61C 19/00 20060101AFI20171113BHJP
A61L 2/07 20060101ALI20171113BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
A61C19/00 J
A61L2/07
B08B3/02 A
【請求項の数】21
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-548543(P2015-548543)
(86)(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公表番号】特表2016-507259(P2016-507259A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(86)【国際出願番号】EP2013077271
(87)【国際公開番号】WO2014096119
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年8月10日
(31)【優先権主張番号】12198313.4
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509235534
【氏名又は名称】ヴェー ウント ハー デンタルヴェルク ビュールモース ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ヴィマー
【審査官】
胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05840248(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0012291(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02246010(EP,A1)
【文献】
特開2007−134083(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3136038(JP,U)
【文献】
特開2000−202006(JP,A)
【文献】
特開2004−248749(JP,A)
【文献】
特表2012−520712(JP,A)
【文献】
特開平08−038518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
A61L 2/07
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の医療用、又は歯科用器具の浄化装置(1)に使用される浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、少なくとも1個の医療用器具を部分的に包囲するハウジング(10,10A,10B)を備える浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)において、
前記ハウジング(10,10A,10B)は、電気エネルギを熱エネルギに変換するための、導電性材料で構成された少なくとも1個の導体(13,13A,18,18A)と、電気エネルギを前記導体(13,13A,18,18A)に供給するための、少なくとも2個の電気接点(19,20,19A,20A)とを有しており、
少なくとも1個の導体(13,13A,18,18A)がコーティングとして形成されており、
少なくとも1個の前記導体(13,13A,18,18A)は、前記ハウジング(10,10A,10B)の内側(11)に配置されていることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項2】
少なくとも1個の医療用、又は歯科用器具の浄化装置(1)に使用される浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、少なくとも1個の医療用器具を部分的に包囲するハウジング(10,10A,10B)を備える浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)において、
前記ハウジング(10,10A,10B)は、電気エネルギを熱エネルギに変換するための、導電性材料で構成された少なくとも1個の導体(13,13A,18,18A)と、電気エネルギを前記導体(13,13A,18,18A)に供給するための、少なくとも2個の電気接点(19,20,19A,20A)とを有しており、
少なくとも1個の導体(13,13A,18,18A)がコーティングとして形成されており、
少なくとも1個の前記導体(13,13A,18,18A)は、該導体(13,13A,18,18A)を電気的に絶縁するために、誘電材料で構成されたキャリア層(14,14A)及び/又は被覆層(15,15A)を有しており、
少なくとも1個の前記キャリア層(14,14A)又は前記被覆層(15,15A)は、コーティングとして形成されていることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項3】
少なくとも1個の医療用、又は歯科用器具の浄化装置(1)に使用される浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、少なくとも1個の医療用器具を部分的に包囲するハウジング(10,10A,10B)を備える浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)において、
前記ハウジング(10,10A,10B)は、電気エネルギを熱エネルギに変換するための、導電性材料で構成された少なくとも1個の導体(13,13A,18,18A)と、電気エネルギを前記導体(13,13A,18,18A)に供給するための、少なくとも2個の電気接点(19,20,19A,20A)とを有しており、
少なくとも1個の導体(13,13A,18,18A)がコーティングとして形成されており、
少なくとも1個の導体(13,13A,18,18A)を形成する前記コーティングが、前記浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)に直接設けられていることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項4】
請求項1または3に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、少なくとも1個の前記導体(13,13A,18,18A)は、該導体(13,13A,18,18A)を電気的に絶縁するために、誘電材料で構成されたキャリア層(14,14A)及び/又は被覆層(15,15A)を有していることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、少なくとも1個の前記導体(13,13A,18,18A)は、前記浄化チャンバ(8)又は前記浄化キャリア(9)の前記ハウジング(10,10A,10B)上において、互いに対して異なる間隔(A,B)で配置された複数個のセクション(16, 17)を有していることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項6】
請求項2〜5の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、少なくとも1個の前記導体(13,13A,18,18A)は、前記ハウジング(10,10A,10B)の内側(11)及び/又は外側(12)に配置されていることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、少なくとも1個の前記導体(13,13A,18,18A)は、少なくとも1個の医療用器具を少なくとも2つの側で包囲するよう、前記ハウジング(10,10A,10B)上に配置されていることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、前記ハウジング(10,10A,10B)は、電気エネルギが個別に供給可能な前記導体(13,13A,18,18A)を少なくとも2個有していることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、少なくとも1個の前記導体(13,13A,18,18A)は、薄膜法又は厚膜法を含むコーティング法によって形成されていることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項10】
請求項2、4〜9の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、前記キャリア層(14,14A)及び/又は前記被覆層(15,15A)は、薄膜法又は厚膜法を含むコーティング法によって形成されていることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、前記ハウジングは、少なくとも1個の医療用器具のために、少なくとも1個の第1及び第2ハウジング部分(10A,10B)を含み、該ハウジング部分(10A,10B)は、少なくとも1個の医療用器具、又は歯科用器具の導入及び取り外しのために、互いに対して回転可能又は変位可能に接続されることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、前記ハウジング(10,10A,10B)は、少なくとも1個の医療用器具を取り付けるための接続手段(23)を有していることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、前記ハウジング(10,10A,10B)は、少なくとも1つの作動媒体を前記浄化チャンバ(8)又は前記浄化キャリア(9)内に導入するための、少なくとも1個の媒体供給口(24)を有していることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項14】
請求項4〜13の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、少なくとも1個の前記キャリア層(14,14A)又は前記被覆層(15,15A)は、コーティングとして形成されていることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、前記コーティングが薄膜又は厚膜の何れかを有していることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項16】
請求項1、2、4〜15の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)であって、少なくとも1個の導体(13,13A,18,18A)を形成する前記コーティングが、前記浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)に直接設けられていることを特徴とする浄化チャンバ(8)又は浄化キャリア(9)。
【請求項17】
少なくとも1個の医療用器具、又は歯科用器具の浄化装置(1)であって、浄化工程を制御及び/又は調整するための制御ユニット(25)と、前記浄化装置(1)を電力源に接続するための電力供給部(28)と、少なくとも1個の媒体貯蔵装置及び/又は外部の媒体供給源に接続するための少なくとも1個の接続部を含む媒体供給部(33)と、少なくとも1個の医療用器具、又は歯科用器具用の浄化チャンバ(8)及び/又は浄化キャリア(9)を備える浄化装置(1)において、
前記浄化チャンバ(8)及び/又は前記浄化キャリア(9)は、請求項1〜13の何れか一項に記載の浄化チャンバ(8)及び/又は浄化キャリア(9)に従って構成されていることを特徴とする浄化装置(1)。
【請求項18】
請求項17に記載の浄化装置(1)であって、前記浄化チャンバ(8)及び/又は前記浄化キャリア(9)は、前記浄化装置(1)から着脱可能に構成されていることを特徴とする浄化装置(1)。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の浄化装置(1)であって、該浄化装置(1)はドア(6)を備え、前記制御ユニット(25)、前記電力供給部(28)又は前記媒体供給部(33)、及び前記浄化チャンバ(8)又は前記浄化キャリア(9)における2個のハウジング部分(10A,10B)の少なくとも一方は、前記浄化チャンバ(8)の前記ドア(6)内又は前記ドア(6)上に配置されていることを特徴とする浄化装置(1)。
【請求項20】
請求項17〜19の何れか一項に記載の浄化装置(1)であって、前記制御ユニット(25)は、前記浄化チャンバ(8)又は前記浄化キャリア(9)内に収容された少なくとも1個の医療用器具を識別するための回路(26)を含み、また少なくとも1個の導体(13,13A,18,18A)は、データ及び/又はエネルギを送受信するよう、前記浄化チャンバ(8)又は前記浄化キャリア(9)の前記ハウジング(10,10A,10B)上に形成されていることを特徴とする浄化装置(1)。
【請求項21】
請求項17〜20の何れか一項に記載の浄化装置(1)であって、前記制御ユニット(25)は、前記浄化チャンバ(8)又は前記浄化キャリア(9)内で渦電流を発生させるための回路(27)を含み、また少なくとも1個の前記導体(13,13A,18,18A)は、交番磁界を発生させるために、前記浄化チャンバ(8)又は前記浄化キャリア(9)の前記ハウジング(10,10A,10B)上に形成されていることを特徴とする浄化装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部分に係る少なくとも1個の医療用、特に歯科用器具の浄化装置に使用される浄化チャンバ又は浄化キャリアと、このような浄化チャンバ及び/又は浄化キャリアを備える請求項10に係る浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄化装置は、洗浄、消毒、滅菌、及び/又は医療用、特に歯科用器具の手入れに使用されるものである。この場合に浄化すべき器具としては特に、直線状、曲線状又はピストル状のハンドピース及び該ハンドピースの一部、例えば治療器具を取り付けるためのレセプタクルを含むハンドピースヘッド部、アダプタ及び結合部が含まれる。ハンドピース内においては、治療器具を駆動させる供給ラインと、流体ラインを延在させる構成とすることが多い。これらラインは特に、空気、水又はスプレー用の伝達チャネル又は流体チャネルとして構成される。
【0003】
特に滅菌器、オートクレーブ又は加熱滅菌器の各装置においては、医療用器具、特に該医療用器具の駆動チャネル及び流体チャネルを浄化するために、少なくとも1個の医療用、特に歯科用器具が好適には浄化キャリアによって保持される浄化チャンバ内に少なくとも1つの作動媒体が導入されるか、又は該媒体が少なくとも1個の医療用器具に直接に供給される。この場合の作動媒体としては、好適には、熱水又は蒸気、特に飽和蒸気などの流体が使用される。
【0004】
従来技術では、作動媒体を浄化装置内で浄化温度まで加熱することが既知である。この加熱のために、浄化装置内には加熱装置が配置される。これら加熱装置は、滅菌器及びオートクレーブにおいて独立した蒸発器として構成されると共に、作動媒体である水を飽和蒸気に変えるものである。この場合に蒸気は、少なくとも1個のラインを通じて浄化チャンバ、浄化キャリア又は医療用器具に直接に供給され、これにより少なくとも1個の医療用器具が134℃に加熱される。
【0005】
更に、とりわけ滅菌器及びオートクレーブに関連する従来技術では、浄化装置の浄化チャンバが、やはり浄化装置内に配置される付加的な加熱素子によって予熱できることが既知である。これにより、少なくとも1個の医療用器具を134℃に加熱するために必要な蒸気量を減少させることが可能である。浄化装置内におけるこれら加熱素子は、浄化チャンバに熱接触するように配置され、従って加熱素子から浄化チャンバへの熱伝達がもたらされる。
【0006】
これら実施形態における欠点の1つとしては、特に独立する構成とした複数個の加熱装置及び/又は加熱素子の浄化装置内における配置の問題がある。
【0007】
加熱装置及び/又は加熱素子は独立した要素として構成されるため、発生させた熱量は、加熱装置及び/又は加熱素子から浄化チャンバ、浄化キャリア又は医療用器具に、直接又は1つ以上の作動媒体により伝達しなければならない。しかしながら、この発生させた熱量の伝達には欠点がある。特に、流体ライン又は媒体ラインにより、作動媒体を加熱装置から浄化チャンバに伝達する際に熱損失が生じる。更に、独立した加熱素子の浄化チャンバへの結合にも問題がある。即ち、熱エネルギを伝達する際に生じる熱損失を最小化するためには、加熱素子を浄化チャンバの形状に合わせなければならないが、チャンバ自体は、浄化すべき医療用器具の形状に合わせるのが好適であるため、場合によっては複雑な形状を有し、従って加熱素子の浄化チャンバへの結合が困難になる。
【0008】
他の欠点としては、複数個の加熱装置及び/又は加熱素子と、浄化チャンバへのこれら装置及び/又は素子の接続ラインが浄化装置内で占めるスペースの問題がある。即ち、これら加熱装置は、浄化チャンバ、制御ユニット及び関連する他の要素に加えて、浄化装置内に収容する必要がある。これにより、使いやすい浄化装置、特に省スペース化を可能にする浄化装置を実現することができない。
【0009】
別の欠点としては、多数の要素、特に、作動媒体を加熱するための要素、作動媒体を断熱状態で伝達するための要素、更には浄化チャンバを予熱するための要素により高コストとなる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した背景事情に鑑み、本発明の課題は、製造が容易であるだけでなく従来技術における欠点を克服すること、即ち、特に省スペース化を図りつつ浄化装置内で熱エネルギを発生させ、熱損失を生じることなく該熱エネルギを少なくとも1個の医療用器具に伝達可能にする、浄化チャンバ又は浄化キャリアと、少なくとも1個の医療用、特に歯科用器具を浄化すると共に浄化チャンバ又は浄化キャリアを備える装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
例示的な第1実施形態によれば、この課題を解決するために、少なくとも1個の医療用、特に歯科用器具の浄化装置に使用される浄化チャンバ又は浄化キャリアが提供される。該浄化チャンバ又は浄化キャリアは、少なくとも1個の医療用器具を部分的に包囲するハウジングを備える。このハウジングは、電気エネルギを熱エネルギに変換するために、導電性材料で構成された少なくとも1個の導体と、電気エネルギを導体に供給するために、少なくとも1個の電気接点を有する。
【0012】
例示的な第2実施形態によれば、少なくとも1個の導体は、該導体を電気的に絶縁するために、誘電材料で構成されたキャリア層及び/又は被覆層を有する。浄化チャンバ又は浄化キャリアが特に医療用器具を滅菌するための装置に使用される場合、浄化チャンバ及び/又は浄化キャリアは導電性材料、とりわけステンレス鋼で構成される。少なくとも1個の導体がチャンバ上、特に該チャンバの内側若しくは外側、又は電気的絶縁状態でキャリア上に配置される場合、本発明に係るキャリア層がチャンバ又はキャリアに設けられる。やはり誘電性材料を含む被覆層は、少なくとも1個の導体を、浄化すべき少なくとも1個の医療用器具に対して及び/又は付加的な要素、特に浄化装置内において導電的かつとりわけ浄化チャンバ又は浄化キャリアに近接して配置された要素に対して電気的に絶縁するよう機能する。
【0013】
導電性材料で構成され、かつ電気エネルギを熱エネルギに変換する少なくとも1個の導体と、キャリア層及び被覆層は、薄膜又は厚膜として構成されるのが好適である。好適には、これら層は、コーティング法、特に薄膜法又は厚膜法によって浄化チャンバ上又は浄化キャリア上に直接に設けられる。
【0014】
このように、浄化チャンバ又は浄化キャリアは、該浄化チャンバ又は浄化キャリア上にコーティング、特に薄膜又は厚膜として直接に設けられた導体によって特徴付けられる。更に、キャリア層及び/又は被覆層はコーティング、特に薄膜又は厚膜として形成される。
【0015】
他の例示的な実施形態によれば、少なくとも1個の導体は、浄化チャンバ又は浄化キャリアのハウジング上において、互いに対して異なる間隔で配置された複数個のセクションを有する。これにより、ハウジング上の単位面積当たりに発生させる熱量を異ならせ、従ってキャリア内で均一な温度分布がもたらされる。好適には、少なくとも1個の導体を有する浄化チャンバ又は浄化キャリアのハウジングは、2つのサブ領域に分割される。この場合に第1サブ領域は、垂直方向に見て、第2サブ領域の下方に配置される。チャンバ内で均一な温度分布をもたらすために、少なくとも1個の導体における複数個のセクションは、上方のサブ領域に比べて下方のサブ領域においてより小さな間隔を有する。
【0016】
他の例示的な実施形態によれば、少なくとも1個の導体は、医療用器具の少なくとも2つの側を包囲するよう浄化チャンバ又は浄化キャリア上に配置される。好適には、この場合の導体は、少なくとも1個の医療用器具の周りで、またその長手方向軸線に沿って、特に軸線方向及び半径方向にコイル状に延在させる。これに加えて、好適には、特に螺旋状とした第2導体は、ハウジングにおける他方の側に配置される。好適には、この第2導体には、電気エネルギが個別に供給可能であり、従って制御可能である。
【0017】
他の例示的な実施形態によれば、少なくとも2個の導体は、これら導体の少なくとも一方が他方の導体の間に配置されるようハウジング上に設けられる。この場合、各導体は、互いに対して噛み合う。
【0018】
他の例示的な実施形態によれば、浄化チャンバ又は浄化キャリアのハウジングは、少なくとも1つの作動媒体を浄化チャンバ又は浄化キャリア内に導入するために、少なくとも1個の媒体供給口を有する。好適には、この媒体供給口はノズルとして構成される。好適には、この場合の作動媒体は、特に螺旋状に形成された第2導体にガイドされることにより、チャンバ又はキャリア内で直接に加熱される。このように、第2導体は、加熱及び/又は蒸発用の付加的な加熱素子として機能する。浄化チャンバ又は浄化キャリアは、媒体供給口に加えて、作動媒体をチャンバ又はキャリアから排出するために少なくとも1個の媒体出口を有する。
【0019】
他の例示的な実施形態によれば、浄化チャンバ又は浄化キャリアのハウジングは、少なくとも1個の医療用器具を取り付けるための接続手段を有する。この接続手段は同時に、媒体供給口として構成することもできる。好適には、接続手段は、少なくとも1個の医療用器具、特にハンドピース又は角度付きピースを接続するための結合部を有する。
【0020】
他の例示的な実施形態によれば、浄化チャンバ又は浄化キャリアのハウジングは、少なくとも1個の第1及び第2ハウジング部分によって形成され、これらハウジング部分は、少なくとも1個の医療用器具、特に歯科用器具の導入及び取り外しのために、互いに対して回転可能又は変位可能である。好適には、このハウジングは、電気エネルギを熱エネルギに変換するために2個の導体を有し、この場合に第1導体は第1ハウジング部分に、また第2導体は第2ハウジング部分に配置される。
【0021】
少なくとも1個の医療用器具、特に歯科用器具の浄化装置における例示的な第1実施形態によれば、該装置は、浄化工程を制御及び/又は調整するための制御ユニットと、浄化装置、特に制御ユニットを電力源に接続するための電力供給部と、少なくとも1個の媒体貯蔵装置及び/又は外部の媒体供給源に接続するための少なくとも1個の接続部を含む媒体供給部と、少なくとも1個の医療用器具、特に歯科用器具用の浄化チャンバ及び/又は浄化キャリアを備える。この場合、浄化チャンバ及び/又は浄化キャリアは、上述した例示的な実施形態の何れかに従って構成される。
【0022】
少なくとも1個の医療用器具、特に歯科用器具の浄化装置における例示的な第2実施形態によれば、該装置はドアを備え、制御ユニット、電力供給部又は媒体供給部、及び浄化チャンバ又は浄化キャリアにおける2個のハウジング部分の少なくとも一方は、浄化チャンバのドア内又はドア上に配置される。ドア内又はドア上において、浄化工程に必要な要素及び少なくとも1個の導体をこのように配置することにより、この全体を、標準化された構成要素とし、異なる設計を有する浄化装置に使用することが可能である。これら浄化装置においては、特に浄化スペースの大きさが異なる。
【0023】
浄化装置の他の例示的な実施形態によれば、制御ユニットは、浄化チャンバ内又は浄化キャリア内に収容された少なくとも1個の器具を識別するための回路を含む。この識別を可能にするために、浄化チャンバ又は浄化キャリアのハウジング上に配置され、また電気エネルギを熱エネルギに変換し、更に好適にはコイル状とする少なくとも1個の導体は、制御ユニットに接続されると共に、データ及び/又はエネルギを送受信するよう形成される。このようにデータ及び/又はエネルギは、器具、特に医療用器具内又は医療用器具上のメモリ及び浄化装置の間で伝達することができ、この伝達されたデータに基づいて、医療用器具の浄化工程が自動的に選択される。
【0024】
浄化装置の他の例示的な実施形態によれば、制御ユニットは、浄化チャンバ内又は浄化キャリア内で渦電流を発生させるための回路を含む。従って、浄化チャンバ又は浄化キャリアのハウジング上で電気エネルギを熱エネルギに変換する少なくとも1個の導体は、交番磁界を発生させるよう構成される。
【0025】
本発明の浄化チャンバ、浄化キャリア及び浄化装置は、複数の大きな利点によって特徴付けられる。
【0026】
本発明の利点の1つは、必要な熱エネルギを、浄化チャンバ又は浄化キャリア上で及び/又は浄化チャンバ又は浄化キャリアを通して直接に発生可能とすることである。従って、個別的で独立した加熱装置及び/又は加熱素子で発生させた熱量を浄化チャンバに伝達する必要がない。これにより、熱エネルギの伝達に際して生じる熱損失が回避される。
【0027】
本発明の他の利点は、浄化チャンバ又は浄化キャリアが、加熱素子に依存することなく構成可能なことである。即ち、電気エネルギを熱エネルギに変換するための導体を、チャンバ又はキャリア上に直接に配置することにより、ハウジングを任意の形状、特に浄化すべき医療用器具の形状に適合させることができる。
【0028】
これに加えて、少なくとも1個の導体をコーティング法、特に薄膜法又は厚膜法で形成することも利点の1つである。即ち、少なくとも1個の導体を薄膜又は厚膜として形成すれば、導体、特に浄化チャンバ又は浄化キャリアを急速に加熱することができる。これは、層の質量が小さいことによるものである。
【0029】
本発明の更なる利点は、浄化装置が使いやすいことである。導電性材料で構成され、かつ電気エネルギを熱エネルギに変換するための導体が設けられた浄化チャンバ又は浄化キャリアの構成により、熱エネルギを浄化チャンバ上で直接に発生させることができる。従って、個別に配置された加熱装置及び/又は加熱素子並びに接続ラインが不要である。これにより、浄化装置の大きさ、特にそのハウジングの大きさが最適化される。
【0030】
更に、付加的な第2又は第3導体、特に第1又は第2導体が故障した場合にのみ作動させる代替的な導体を取り付ければ、浄化装置における故障した加熱素子の影響が容易に回避される。
【0031】
以下、本発明を添付図面に関連する複数の例示的な実施形態に基づいて詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】少なくとも1個の医療用、特に歯科用器具を浄化するための浄化装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2A】
図2の浄化装置の浄化チャンバにおけるハウジングの細部を示す断面図である。
【
図2B】
図2の浄化装置の浄化チャンバにおけるハウジングの他の細部を示す断面図である。
【
図3】少なくとも1個の医療用、特に歯科用器具を浄化装置内で収容するための浄化キャリアを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、少なくとも1個の医療用、特に歯科用器具を浄化するための浄化装置1の第1実施形態を示す。好適には、この装置1は、滅菌器1、特に蒸気滅菌器として構成されている。滅菌器1は、複数の外壁2A,2Bを含むハウジング2を備える。外壁の1つ、特に側壁の1つにより、洗浄又はケア装置1の作動面が構成されている。この作動面は、好適には、異なる作動プログラムを選択するか又は作動パラメータを設定するよう機能する複数個の作動要素3を含む。ディスプレイ画面5は、選択した浄化工程に関して選んだ作動プログラム又はパラメータを表示するものである。滅菌器1のハウジング2は、作動要素3に加えて、浄化チャンバ8と連通する開口4を含む。浄化すべき器具又は少なくとも1個の医療用器具用の浄化キャリアは、この開口4を通すことにより浄化チャンバ8内に導入又は浄化チャンバ8内から取り出し可能である。好適には、複数の外壁2A,2Bに対して、ヒンジ7周りに回転可能に取り付けられたドア6により、開口4を閉鎖することができる。
【0034】
浄化チャンバ8自体は、好適にはステンレス鋼で構成されたハウジング10によって形成されている。好適には、ハウジング10の一部は、少なくとも1個の医療用、特に歯科用器具の導入及び取り出しのために、ハウジング10に対して回転可能又はスライド可能にドア6に配置されている。導電性材料で構成され、かつ電気エネルギを熱エネルギに変換するための少なくとも1個の第1導体13は、ハウジング10の内側11に配置されている。これにより、熱エネルギが浄化チャンバ8上に又は浄化チャンバ8を介して伝達可能である。代替的には、導体13をハウジング10の外側に取り付けてもよい。少なくとも1個の導体13は、該導体13を電気的絶縁状態でチャンバ8上、特に導電的なチャンバハウジング10上に直接に配置するために、誘電材料で構成されたキャリア層及び/又は被覆層を有する。好適には、導体13及び複数の層は、薄膜技術又は厚膜技術により形成されている。
【0035】
図示の実施形態における少なくとも1個の導体13は、浄化チャンバ8の少なくとも2つの側を包囲するよう浄化チャンバ8のハウジング10上に配置されている。従って好適には、この場合の導体は、チャンバ8のハウジング10上でコイル状に延在している。代替的には、導体13は、好適には円筒状のチャンバ8周り、特に該チャンバ8側面周りに螺旋状に巻回してもよい。
【0036】
好適には、浄化チャンバ8自体は、滅菌器1から着脱可能に構成されている。
【0037】
図2は、
図1における浄化装置1の第1実施形態の概略断面図を示す。この場合、滅菌器1におけるハウジング2の内部には、開口4を通してアクセス可能な浄化チャンバ8に加えて、少なくとも1個の制御ユニット25及び浄化工程に必要な付加的な要素、例えば滅菌器1、特に制御ユニット25を電力源に接続するための電力供給部28及び媒体供給部33が配置されている。滅菌器の浄化チャンバ8は、加圧容器として構成されるのが好適である。
【0038】
媒体供給部33は、作動媒体用の少なくとも1個の媒体貯蔵装置、又は滅菌器1を外部の媒体供給源に接続するための媒体接続部を含む。媒体供給部33は更に、少なくとも1つの浄化媒体を浄化チャンバ8に搬送するための手段、例えばバルブ、ポンプ又は媒体ライン34を含む。この場合に媒体ライン34は、好適には、特にノズルとして構成された少なくとも1個の媒体供給口34によって浄化チャンバ8に接続されている。これに加えて、浄化チャンバ8は、チャンバ内に導入された媒体を排出するための媒体出口を有する。
【0039】
好適には、制御ユニット25は、作動パラメータを検出するために、浄化チャンバ8内に1個以上の制御回路、マイクロコントローラ及びセンサ、特に少なくとも1個の温度センサを含む。制御ユニット25は更に、制御ラインを介して媒体供給部33、作動要素及びディスプレイに接続されている。滅菌器1は、少なくとも1個の第1及び第2導体13,18を制御ユニット25及び/又は電力供給部28に電気接続する少なくとも2つの給電ライン29,30,31,32を備える。このように、制御ユニット25により、浄化装置1の作動が制御及び/又は調整される。
【0040】
図2に示すように、浄化チャンバ8の例示的な第2実施形態によれば、浄化チャンバ8のハウジング10は、その外側12に第1導体13を、またその内側11に第2導体18を有する。好適には、これら2個の導体13,18には、ライン29〜32により電力を個別に供給することができる。特に第1導体13は、浄化チャンバ8を予熱するために機能する。好適には、第2導体18は、作動媒体を加熱及び/又は蒸発させるために機能する。この場合、作動媒体は、媒体供給口24により、特に螺旋状に構成された第2導体18上に直接にガイドされ、これにより作動媒体をチャンバ8内で直接に加熱又は蒸発させることが可能である。
【0041】
好適には、制御ユニット25は、浄化チャンバ8内又は浄化キャリア9内に収容された少なくとも1個の器具を識別するための回路26も含む。この識別のために、浄化チャンバ8のハウジング10上における少なくとも1個の導体13,18は、データ及び/又はエネルギを送受信するよう形成されている。これら導体13,18は、コイル状とするのが好適である。このようにデータ及び/又はエネルギは、器具、特に医療用器具内又は医療用器具上のメモリ(ストレージ)及び浄化装置1の間で伝達することができる。好適には、回路26は、滅菌器1が実施する浄化工程を監視し、滅菌器1による浄化が実際に完了したときに、浄化工程に関するデータを少なくとも1個の導体13,18によって、少なくとも1個の医療用器具に伝達するよう構成されている。
【0042】
制御ユニット25は更に、渦電流を浄化チャンバ8内で発生させるための回路27を含むのが好適である。従って、浄化チャンバ8のハウジング10上における少なくとも1個の導体13,18は、交番磁界を発生させるよう構成されている。これにより、好適にはエネルギが、交番電磁界により、医療用器具、特に金属製器具に伝達されて熱に変換される。
【0043】
代替的かつ例示的な実施形態によれば、
図2に示す滅菌器1の要素、特に制御ユニット25、電力供給部28、媒体供給部33及び媒体供給口24は、ドア6に配置してもよい。このようにドア6は、少なくとも1個の第1導体13を有するハウジング10の一部と共に、モジュール式の要素を構成するものであり、従って異なる構成を有する様々な浄化装置に使用することができる。
【0044】
図2Aは、
図2の浄化チャンバ8のハウジング10における第1細部を示す。本発明によれば、少なくとも1個の導体13を電気的絶縁状態でチャンバ8上、特にその外側12に配置するために、誘電材料で構成されたキャリア層14がチャンバ8上に設けられている。やはり誘電材料を含む被覆層15は、少なくとも1個の導体13を、浄化装置1内のチャンバ8に近接して配置された導電性要素に対して絶縁するよう機能する。
【0045】
少なくとも2個の電気接点19,20は、電力を少なくとも1個の導体13に供給するよう機能し、好適には、キャリア層14上又は導体13上に直接に配置されると共に、該導体13に電気接続されている。好適には、これら接点19,20は、電気的に絶縁するためにやはり被覆層15で包囲されるか又は覆われている。この場合、個別の絶縁体で被覆された電力供給ライン29,30は、被覆層15を通過して電気接点19,20に延在している。
【0046】
このように、導体13をチャンバ8上に配置することにより、熱エネルギを浄化チャンバ8上、特にその外側12で直接に発生させることが可能である。この発生させた熱は、ハウジング10を通して拡散し、内側11からチャンバ8内に放射される。
【0047】
図2Bは、
図2の浄化チャンバ8のハウジング10における第2細部を示す。この場合、第2導体18が浄化チャンバ8のハウジング10の内側11に配置され、作動媒体を加熱及び/又は蒸発させるために、好適には螺旋状に構成されている。
図2Bは特に、螺旋状の導体18の断面を示し、従って該導体18における複数個のセクション16,17を示す。好適には、これらセクション16,17は、互いに対して異なる間隔A,Bで配置されている。この場合、図示の実施形態における導体18において、中央領域におけるセクション16,17間の間隔Aは、周辺領域におけるセクション16,17間の間隔Bよりも小さい。即ち、螺旋状の導体18の周辺領域におけるセクション16,17間の間隔Bはより大きい。この構成とすることにより、ハウジング10における単位面積当たりの発熱量を異ならせることが可能である。
【0048】
この実施形態における導体18も、電気的絶縁状態でハウジング10の内側11に設けるために、キャリア層14A上に配置されている。導体18は更に、少なくとも1個の医療用器具に対して絶縁するために、やはり被覆層15Aで覆われている。この被覆層15Aにより、好適には導体18、特に複数個のセクション16,17における3つの面、とりわけ頂面及び/又は側面が包囲されている。
【0049】
電力供給ライン31,32により電力を導体18に供給をするために、該導体18は少なくとも2個の電気接点19A,20Aを有する。好適には、これら電気接点19A,20Aも、キャリア層14A上又は導体18上に直接に配置されると共に、該導体18に電気接続されている。この場合、導体18への接触は、チャンバ8のハウジング10の外側12から行うのが好適である。従って接点19A,20Aは、ハウジング10を通過して延在している。接点19A,20Aを導電的なハウジング10に対して絶縁するために、これら接点19A,20Aは、絶縁体21,22で包囲されている。好適には、これら絶縁体21,22は円筒状に構成され、接点19A,20Aを収容するための中央孔を有する。
【0050】
図3は、少なくとも1個の医療用、特に歯科用器具を浄化装置1内で保持するための浄化キャリア9を示す斜視図である。この場合に浄化装置1は、好適には、医療用器具を液体で洗浄するよう、飽和蒸気で滅菌するよう、そして潤滑剤でケアするよう構成されている。浄化キャリア9自体は、第1ハウジング部分10A及び第2ハウジング部分10Bで構成され、これらハウジング部分10A,10Bは互いに対して接続されることにより互いに対して可動であり、これにより少なくとも1個の医療用、特に歯科用器具が導入及び取り外し可能である。好適には、2個のハウジング部分10A,10Bの間には、浄化すべき医療用器具を保持するための複数個の接続手段23が配置されている。図示の実施形態におけるこれら接続手段23は、器具を保持するために、好適には回転可能に設けられた共通のベースを有する。この場合にベースは第3ハウジング部分、特に浄化キャリア9の後部側を構成している。図示の例示的な実施形態における接続手段23は、媒体供給口24としても構成されている。従って、これら接続手段23内には少なくとも1つの孔が延在し、該孔により、浄化媒体源が、取り付けられた器具の内部に連通している。好適には、複数の孔が接続手段23に設けられることにより、器具を複数の媒体で浄化することができる。好適には、これら孔は、接続手段23における共通のベースを通過するよう延在している。浄化キャリア9が浄化装置1内に嵌め込まれると、複数の孔が結合手段を介して作動媒体に連通される。好適には、ハウジング10A,10Bは、少なくとも1つの作動媒体を浄化装置1内に導入するために、特に1個以上のノズルとして構成された付加的な媒体供給口を有する。好適には、これらノズルは、医療用器具の外部を洗浄するよう機能するものである。
【0051】
本発明によれば、浄化キャリア9のハウジング部分10A,10Bは更に、導電性材料で構成され、かつ電気エネルギを熱エネルギに変換するための少なくとも1個の導体13A,18Aを有する。好適には、これら導体13A,18Aは、2個のハウジング部分10A,10Bの内側11に配置されると共に、ステップ状に構成されている。この場合、電気エネルギを両方の導体13A,18Aに供給するために、これら導体13A,18Aは、それぞれ少なくとも2個の電気接点19,20,19A,20Aを有する。これら導体13A,18Aは、個別の接点を有するため、電気エネルギを個別に供給することができる。導体13A,18Aの接点、特に電気接点19,20,19A,20Aへの接触は、ハウジング部分10A,10Bの外側12から行うのが好適である。従って、好適には、これら接点19,20,19A,20Aはハウジング部分10A,10Bを通過するよう延在している。
図2Bに示すように、ハウジング部分10A,10Bが導電性材料で構成されていれば、絶縁体21,22で包囲される構成とする。
【0052】
導体13A,18Aは更に、互いに対して異なる間隔で浄化キャリア9のハウジング10A,10B上に配置された複数個のセクションを有する。この点と、電気エネルギを導体13A,18Aに対して個別に供給することにより、ハウジング10A,10B上の単位面積当たりに発生させる熱量を異ならせ、従ってキャリア9内で均一な温度分布がもたらされる。この目的のために、下側ハウジング部分10Aの導体13Aにおける複数個のセクションは、上側ハウジング部分10Bの導体18Aにおけるセクションに比べてより小さな間隔を有する。
【0053】
図示の例示的な実施形態における浄化キャリア9において、導体10A,18Aは、電気的絶縁のために、やはり誘電材料で構成されたキャリア層及び/又は被覆層を有する。この場合も、被覆層及びキャリア層並びに導体13A,13Bは、薄膜又は厚膜として構成されている。
【0054】
本発明は、上述した例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明に係る機能的な原理が適用されるか又は含まれる全ての実施形態を包含するものである。更に、上述した実施形態における全ての特徴は互いに組み合わせることができる。特に、
図1〜
図3に示す導体13,13A,18,18Aは、データ及び/又はエネルギを送受信するよう及び/又は交番電磁界を発生させるよう構成されている。