(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236479
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】カウンタードープ防止を有する太陽電池の製造
(51)【国際特許分類】
H01L 31/068 20120101AFI20171113BHJP
H01L 31/18 20060101ALI20171113BHJP
H01L 21/225 20060101ALN20171113BHJP
【FI】
H01L31/06 300
H01L31/04 440
!H01L21/225 R
!H01L21/225 Q
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-21289(P2016-21289)
(22)【出願日】2016年2月5日
(62)【分割の表示】特願2013-518383(P2013-518383)の分割
【原出願日】2011年4月22日
(65)【公開番号】特開2016-129236(P2016-129236A)
(43)【公開日】2016年7月14日
【審査請求日】2016年2月18日
(31)【優先権主張番号】12/828,573
(32)【優先日】2010年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デニス、ティモシー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】リ、ボ
(72)【発明者】
【氏名】カズンズ、ピーター ジョン
【審査官】
濱田 聖司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/065434(WO,A1)
【文献】
特開2008−78665(JP,A)
【文献】
特開2003−158277(JP,A)
【文献】
特開2009−76546(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/151808(WO,A1)
【文献】
特開2004−221149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の製造方法であって、
通常動作中に太陽放射を受けるように太陽に面する前面を有する太陽電池基板の、当該前面と反対側の裏面上に、ポリシリコン層を形成する工程と、
前記ポリシリコン層の上に、印刷可能なインクを含む第1のドーパント源及び第2のドーパント源を形成する工程と
を備え、
前記第1のドーパント源はホウ素燐ケイ酸塩ガラス(BPSG)を含み、
前記BPSG中において、ホウ素の成分パーセントが0.1%から5%の範囲であり、燐の成分パーセントが5%から8%の範囲であり、
前記第1のドーパント源及び前記第2のドーパント源を形成する工程は、
前記第1のドーパント源からのドーパントの、前記第2のドーパント源へのカウンタードープを抑えるべく、前記第1のドーパント源を硬化させる間に、前記第1のドーパント源からのドーパントをチャンバの外にパージする工程
を備える太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記第1のドーパント源及び前記第2のドーパント源は逆の導電型を有し、
前記第1のドーパント源及び前記第2のドーパント源を形成する工程は、
前記第2のドーパント源を、3000オングストロームを超える厚さに形成する工程
を更に備える請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記第1のドーパント源及び前記第2のドーパント源は逆の導電型を有し、
前記第1のドーパント源及び前記第2のドーパント源を形成する工程は、
前記第2のドーパント源の上にキャッピング層を形成することなく、前記第1のドーパント源の上にキャッピング層を形成する工程
を更に備える請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記第1のドーパント源及び前記第2のドーパント源を形成する工程は、
前記第1のドーパント源からのドーパントの、前記第2のドーパント源へのカウンタードープを抑えるべく、前記BPSGを含む熱的に安定なインクを使用して前記第1のドーパント源を印刷する工程
を更に備える請求項2又は3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記太陽電池基板の前記前面上に形成される表面をテクスチャ化する工程
を更に備える請求項1から4の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記第1のドーパント源がN型であり、前記第2のドーパント源がP型である
請求項1から5の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記第2のドーパント源がホウ素を含む
請求項1から6の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記第1のドーパント源及び前記第2のドーパント源を形成する工程において、前記第1のドーパント源が、i)前記第1のドーパント源を架橋結合させ、ii)前記第1のドーパント源からのドーパントを前記ポリシリコン層に拡散させて前記ポリシリコン層に拡散領域を形成するべく硬化される
請求項1から7の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記第1のドーパント源を硬化させる間に前記第1のドーパント源からのドーパントをパージする工程は、
前記第1のドーパント源を、前記チャンバ中で低圧下で硬化させる工程
を備える請求項1から8の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項10】
前記第1のドーパント源及び前記第2のドーパント源を形成する工程は、
前記第1のドーパント源からのドーパントの、前記第2のドーパント源へのカウンタードープを抑えるべく、急速熱処理を用いて前記第1のドーパント源を硬化する工程
を更に備える請求項1から9の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広くは太陽電池に関し、より具体的には太陽電池の製造プロセス及び構造に関するがこれらに限定されない。
【0002】
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載]
本開示は、米国エネルギー省により与えられた契約番号第DEFC36−07GO17043号に基づき、政府による支援を得て行われたものである。
【0003】
[関連出願]
本非仮出願は、35U.S.C.§119(a)に基づき、2009年11月10日出願の台湾・中華民国出願098138150号明細書の優先権を主張するものであり、前記出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
太陽電池は、太陽放射を電気エネルギーに変換するものとして周知のデバイスである。このような電池は、半導体処理技術を用いて半導体ウエハ上に作製することができる。太陽電池には、P型及びN型拡散領域が含まれる。太陽電池に太陽放射が当たると電子及び正孔が生成され、これらの電子及び正孔が拡散領域に移動することにより、拡散領域間に電位差が生じる。バックコンタクト型太陽電池においては、拡散領域及びこれらの拡散領域に結合した金属コンタクトフィンガーが共に、太陽電池の裏面に存在する。このコンタクトフィンガーによって、外部電気回路は太陽電池に結合され、太陽電池から電力の供給を受けることが可能となる。
【0005】
効率は、太陽電池の重要な特性であり、それは電力が発生するための太陽電池の容量に直接関連するからである。
【0006】
したがって、太陽電池の効率を改善させる技術が一般に望ましい。更に、太陽電池を他のエネルギー源に対して競争力のあるものとするために、太陽電池の製造コストを削減するのが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態において、太陽電池の製造プロセスは、太陽電池基板の裏面上に設けられたポリシリコン層の上にドーパント源を印刷する工程を含む。ドーパント源からのドーパントをポリシリコン層の中に拡散させて拡散領域を形成し、ドーパント源を硬化し、ドーパント源を架橋結合させて、後に実施されるテクスチャ化プロセスに対して耐性を付与する。カウンタードープを防止するべく、ドーパント源の一方からのドーパントが脱ガスして、他方のドーパント源の中に拡散するのを防止する。例えば、N型ドーパント源からのリンが、ホウ素を含むP型ドーパント源に拡散するのを防止する。
【0008】
本発明のこれら及びその他の特徴は、添付の図面及び「特許請求の範囲」を含む本開示の全体を読むことによって、当業者には容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態による太陽電池の製造を概略的に示す断面を示す。
【
図2】本発明の実施形態による太陽電池の製造を概略的に示す断面を示す。
【
図3】本発明の実施形態による太陽電池の製造を概略的に示す断面を示す。
【
図4】本発明の実施形態による太陽電池の製造を概略的に示す断面を示す。
【
図5】本発明の実施形態による太陽電池の製造を概略的に示す断面を示す。
【
図6】本発明の実施形態による、カウンタードープを防止するためのチャンバのパージを概略的に示す。
【
図7】本発明の実施形態による、ドーパント源の上にキャッピング層を形成することを含む代替的なプロセス工程を概略的に示す断面を示す。
【
図8】本発明の実施形態による、ドーパント源の上にキャッピング層を形成することを含む代替的なプロセス工程を概略的に示す断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面において、異なる図面間で使用されている同一の符号は、同一又は類似の構成要素を表す。
【0011】
本開示において、装置、プロセスパラメーター、材料、プロセス工程、及び、構造の例等、多くの具体的な詳細が提供されることにより、本発明の実施形態の十分な理解が可能となる。しかしながら、当業者であれば、本発明はこれらの具体的な詳細のうちの1つ以上を欠いても実施できることは理解されよう。他の例では、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるため、周知の詳細については図示又は説明をしていない。
【0012】
図1〜
図5は、本発明の実施形態による太陽電池の製造を概略的に示す断面を示している。
図1〜
図5、更には
図7及び
図8の例では、太陽電池のP型及びN型拡散領域、並びに対応する金属コンタクトフィンガーが、太陽電池用基板の裏面上に形成されるという点で、製造される太陽電池は裏面コンタクト太陽電池である。
【0013】
図1〜
図5は、次のプロセス工程を含むプロセスを概略的に示している。
a)ダメージエッチング工程、b)ポリシリコンの堆積、c)ドーパント源の印刷、d)硬化工程、e)トレンチ形成、f)テクスチャ化工程である。
【0014】
この例では、上述のプロセス工程は示された順番で実施される。本発明の理解に必要ない他のプロセス工程は、明確化のために省略されていることに留意する。例えば、P型及びN型拡散領域への金属接点の形成といった他のプロセス工程がテクスチャ化工程の後に続き、太陽電池の製造が完了する。
【0015】
図1は、裏面102と前面103とを有する太陽電池基板101を示す。前面103は太陽に面し、通常動作中に太陽放射を収光する。裏面102は、前面103の反対側である。基板101を準備し、太陽電池に加工するためにダメージエッチング工程を行う。この例では、基板101はN型シリコンウエハを構成し、典型的には、インゴットから基板101をスライスするためにウエハ供給業者が用いる切断工程のため、損傷表面を有した状態で入手される。ウエハ供給業者から入手した時点の基板101の厚さは、約100〜200マイクロメートルであり得る。一実施形態において、ダメージエッチング工程は、水酸化カリウムを含むウェットエッチングプロセスにより、基板101の両側から約10〜20μmを除去することを伴う。ダメージエッチング工程は、金属汚染を除去するために基板101を清浄することも含み得る。基板101の前面及び裏面表面上に、薄い誘電体層(標示しない)が形成される。薄い誘電体層は、基板101の両面上で20オングストローム以下(例えば、16オングストローム)の厚さに熱成長される二酸化ケイ素を含み得る。基板101の前面表面及びその上に形成される物質は、通常動作中に太陽に面して太陽放射を受けることから、太陽電池の前面にあるとも称される。同様に、基板101の裏面表面及びその上に形成される物質は、前面の反対側である太陽電池の裏面にあるとも称される。
【0016】
図2では、基板101の裏面102の薄い誘電体層の上にポリシリコン層104が形成されている。製造プロセスのこの段階ではドープされていないポリシリコン層104は、LPCVD法により約2200オングストロームの厚さに形成され得る。
【0017】
図3では、ドーパント源105及び106がポリシリコン層104の上に印刷されている。以下で更に明らかとなるように、ドーパント源105及び106は、太陽電池の裏面のポリシリコン層104の中に拡散領域を形成するためのドーパントを提供する。任意の所与の太陽電池のためにいくつかのドーパント源105及び106が形成されるが、図示を明確にするために、それぞれ1つだけが
図3に示されている。
【0018】
印刷可能なインクを含むドーパント源105及び106は、異なる導電型を有する。
図3の例では、ドーパント源105はP型ドーパント源であり、ドーパント源106はN型ドーパント源である。ドーパント源105及び106は、インクジェット印刷又はスクリーン印刷などの印刷によって、ポリシリコン層104の上に形成される。インクジェット印刷により、基板101の上にインクジェットプリンタノズルのシングルパス方式で、ドーパント源105及び106の両方を印刷することが有利に可能となる。ドーパント源105及び106はまた、プロセスによっては別個のパス方式で印刷されてもよい。
【0019】
図4では、硬化工程が行われ、ドーパント源105が架橋結合され、ドーパント源106が架橋結合され、ドーパント源105からのドーパントをポリシリコン層104の中へ拡散させて、ポリシリコン層104にP型拡散領域107を形成し、ドーパント源106からのドーパントをポリシリコン層104の中へ拡散させて、ポリシリコン層104にN型拡散領域108を形成する。ポリシリコン層104上には複数のドーパント源105及び106があるので、複数のP型拡散領域107及びN型拡散領域108がポリシリコン層104に存在する。ドーパント源105の架橋結合及びドーパント源106の架橋結合は、太陽電池のトレンチ及び前面で実施される後続のテクスチャ化工程(
図5参照)にドーパント源105及び106が耐え得るように、これらの耐久性を高めかつ強靭にするべく行われる。プロセス工程の数を減らすために、架橋及び拡散は同じ硬化工程において行われ、それによって太陽電池の製造コストを低減する。硬化工程は、600℃〜1100℃の範囲(例えば、950℃)の温度で約30分行われてもよい。
【0020】
太陽電池の性能を改善するため、ドーパント源106からのN型ドーパントがP型ドーパント源105に拡散するのを防止する又は最小限にするように、硬化工程が行われる。本発明者らが実施した研究によれば、硬化工程の間に、ドーパント源106からのN型ドーパントが、ドーパント源105のP型ドーパントをカウンタードープすることが可能であることを示している。本発明者らは、このカウンタードープが、この例ではリンを含むN型ドーパントの、ホウ素を含むP型ドーパント源105への脱ガスに起因することを発見した。場合によっては、結果として生じるリン濃度は、P型ドーパント源105中のホウ素濃度よりも高くなる。本発明者らは、ドーパント源106からのN型ドーパントは、P型拡散領域107とN型拡散領域108との間の領域(
図4では112と標示)をドープすることが可能であることも発見した。カウンタードープ、即ち、ドーパント源106からのN型ドーパントの、P型ドーパント源105への拡散は、太陽電池基板101の寿命を低下させ、かつ太陽電池の効率を低下させることにより、太陽電池の性能を低下させる。硬化工程の間に、P型ドーパント源105からのP型ドーパントもN型ドーパント源106の中に拡散される。しかしながら、本発明者らが行った研究によれば、このP型ドーパントの拡散は、N型ドーパント源106からのN型ドーパントのP型ドーパント源105への拡散ほど太陽電池の性能に影響を与えないことを示している。カウンタードープを防止しながら硬化工程を実施することにより、本発明者らが見出した問題に有利に対処することができる。
【0021】
図5に示すように、ポリシリコン層104を貫通してトレンチ115が形成されている。基板101の前面表面は不規則にテクスチャ化されて、テクスチャ化した表面109が形成される。このテクスチャ化プロセスにより、トレンチ115も不規則にテクスチャ化される。一実施形態では、基板101の前面表面及びトレンチ115は、水酸化カリウムとイソプロピルアルコールとを含むウェットエッチングプロセスを用いて、不規則な角錐を有するようにテクスチャ化される。テクスチャ化された表面109は、太陽放射の集光を増加させるのを助ける。エッチングプロセスで使用されるエッチング液は、ドーパント源105及び106を潜在的に劣化させる可能性がある。硬化工程はドーパント源105及び106のそれぞれを架橋し、これらをエッチング液に対してより耐性を持たせる。硬化工程の間に、N型ドーパント源106からのN型ドーパントの、P型ドーパント源105への拡散を防止する又は最小限に抑える工程はまた、テクスチャ化プロセスで使用するエッチング液に対してドーパント源105及び106がより耐性を持たせる。
【0022】
一実施形態において、硬化工程の間の、ドーパント源106からのN型ドーパントの、P型ドーパント源105の中への拡散は、熱的に安定なインクを使用することにより防止される又は最小限に抑えられる。一実施形態において、N型ドーパント源106は、ホウ素燐ケイ酸塩ガラス(BPSG)を含む熱的に安定なインクを含む。BPSGのホウ素含有量は、硬化工程の間に、脱ガスではなく、リンをポリシリコン層104に押し込むのを促進するように最適化され得る。例えば、BPSG中のホウ素の成分パーセントは0.1%〜5%の範囲であってもよく、リンの成分パーセントは5%〜8%であってもよい。特定の例として、BPSGは、(a)5%のホウ素及び5%のリン、(b)3%のホウ素及び5%のリン、又は、(c)5%のホウ素及び8%のリンを有していてもよい。BPSG中のホウ素及びリンの成分パーセントは、プロセスにより異なってもよい。広くは、ホウ素の成分パーセントは、N型ドーパント源106をカウンタードープせずに押し込む効果を得るのに十分なだけ低く維持される。BPSGは、印刷に適した形態である。
【0023】
一実施形態において、硬化工程の間の、ドーパント源106からのN型ドーパントの、P型ドーパント源105の中への拡散は、硬化時間を短くすることで防止される又は最小限に抑えられる。例えば、
図4のサンプルは、急速熱処理によって硬化されてもよい。特定の例として、
図4のサンプルは、約1〜2分の急速熱処理を受けてもよい。比較的短い硬化時間は、N型ドーパント源106から脱ガスして、P型ドーパント源105の中に拡散するN型ドーパントの量を最小限にする。
【0024】
一実施形態において、硬化工程の間の、ドーパント源106からのN型ドーパントの、P型ドーパント源105の中への拡散は、N型ドーパントがP型ドーパント源105中に深く拡散しないように、P型ドーパント源105を適切に厚くすることによって防止される又は最小限に抑えられる。例えば、P型ドーパント源105は、N型ドーパントによるカウンタードープに対する耐性が高まるように、少なくとも3000オングストロームの厚さに形成され得る。
【0025】
一実施形態において、硬化工程の間の、ドーパント源106からのN型ドーパントの、P型ドーパント源105の中への拡散は、N型ドーパント源106から脱ガスしたドーパントを、太陽電池が硬化されているチャンバの外にパージすることにより防止される又は最小限に抑えられる。例えば、
図6に示されるように、
図4のサンプルを硬化させる工程の間に、不活性ガス(例えば、窒素)をチャンバに流し、ドーパントがドーパント源に拡散する機会を得る前に、脱ガスしたドーパント(この例ではリン)をチャンバの外にパージしてもよい。別の例として、ドーパント源105及び106は、チャンバの中で低圧力下で硬化されてもよい。低圧は、脱ガスしたN型ドーパントを、P型ドーパント源105の中に拡散させる代わりにチャンバから引き抜く。
【0026】
一実施形態において、硬化工程の間の、ドーパント源106からのN型ドーパントの、P型ドーパント源105の中への拡散は、硬化工程の前にN型ドーパント源106の上にキャッピング層を形成することにより防止される又は最小限に抑えられる。
図7の例では、P型ドーパント源105の上にキャッピング層110が形成され、N型ドーパント源106の上にキャッピング層111が形成されている。キャッピング層110は、例えばケイ酸塩を含んでもよい。硬化工程の間に、キャッピング層110及び111は、ドーパント源のどちらか一方からの脱ガスしたドーパントが他方の中に拡散するのを防止する。用途に応じて、片方又は両方のキャッピング層を使用することができる。キャッピング層110は、チャンバの中のドーパントがP型ドーパント源105の中に拡散するのを阻止する。キャッピング層110はまた、P型ドーパント源105からのドーパントがチャンバの中に脱ガスするのを防止し、場合によっては、太陽電池のN型ドーパント源106又は他の物質をカウンタードープするのを防止する。キャッピング層111は、N型ドーパント源106からのドーパントが脱ガスし、P型ドーパント源105の中に拡散するのを阻止し、また、チャンバ内の他のドーパントがN型ドーパント源106の中に拡散するのを阻止する。
図8では、基板101の前面表面及びトレンチ115が、
図5と同様に不規則にテクスチャ化されている。
【0027】
カウンタードープ防止を含む太陽電池構造及び製造プロセスが開示された。本発明の具体的な実施形態を提供したが、これらの実施形態は説明を目的としたものであり、限定的なものでないことは理解されよう。多くの追加的実施形態が、本開示を読む当業者にとっては明らかとなろう。
[項目1]
太陽電池の製造方法であって、
通常動作中に太陽放射を受けるように太陽に面する前面を有する太陽電池基板の、前記前面と反対側の裏面上に、ポリシリコン層を形成する工程と、
前記ポリシリコン層の上に、印刷可能なインクを含む第1のドーパント源を印刷する工程と、
前記第1のドーパント源からのドーパントを前記ポリシリコン層に拡散させて、前記ポリシリコン層に第1の拡散領域を形成するべく、前記第1のドーパント源を硬化させる工程と、
前記第1のドーパント源を硬化する工程の間に、前記第1のドーパント源からのドーパントの、第2のドーパント源へのカウンタードープを防止する工程と、
前記太陽電池基板の前記前面上に形成される表面をテクスチャ化する工程とを備える太陽電池の製造方法。
[項目2]
前記第1のドーパント源からのドーパントの、前記第2のドーパント源へのカウンタードープを防止する工程が、
前記第1のドーパント源で熱的に安定なインクを使用することを含む項目1に記載の太陽電池の製造方法。
[項目3]
前記第1のドーパント源を硬化する工程は、前記第2のドーパント源からのドーパントを拡散させて、前記ポリシリコン層に第2の拡散領域を形成するべく、前記第2のドーパント源も硬化させることを含む、項目1または2に記載の太陽電池の製造方法。
[項目4]
前記第1のドーパント源からのドーパントの、前記第2のドーパント源へのカウンタードープを防止する工程が、
前記第1のドーパント源の上にキャッピング層を形成することを含む項目1から3の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
[項目5]
前記第1のドーパント源からのドーパントの、前記第2のドーパント源へのカウンタードープを防止する工程が、
前記第2のドーパント源を3000オングストロームを超える厚さに形成することを含む項目1から3の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
[項目6]
前記第1のドーパント源からのドーパントの、前記第2のドーパント源へのカウンタードープを防止する工程が、
前記第1のドーパント源を硬化させる工程の間に、前記第1のドーパント源からのドーパントをチャンバの外にパージすることを含む項目1又は3に記載の太陽電池の製造方法。
[項目7]
前記第1のドーパント源を硬化させる工程の間に、前記第1のドーパント源からのドーパントを前記チャンバの外にパージすることは、
不活性ガスを前記チャンバに流すことを含む項目6に記載の太陽電池の製造方法。
[項目8]
前記第1のドーパント源を硬化させる工程の間に、前記第1のドーパント源からのドーパントを前記チャンバの外にパージすることは、
前記第1のドーパント源を、チャンバ内で真空下で硬化させることを含む項目6に記載の太陽電池の製造方法。
[項目9]
前記第1のドーパント源及び前記第2のドーパント源が、インクジェット印刷により印刷される項目1から8の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
[項目10]
前記第1及び第2のドーパント源が、インクジェット印刷プロセスのシングルパス方式で印刷される項目1から8の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
[項目11]
太陽電池構造体であって、
通常動作中に太陽放射を受けるように太陽に面する前面と、当該前面と反対側の裏面とを有する太陽電池基板と、
前記太陽電池基板の前記裏面上に設けられたポリシリコン層と、
前記ポリシリコン層の上に形成され、印刷可能なインクを含む第1のドーパント源及び第2のドーパント源とを備え、
前記第1のドーパント源はホウ素燐ケイ酸塩ガラス(BPSG)を含む太陽電池構造体。
[項目12]
太陽電池構造体であって、
通常動作中に太陽放射を受けるように太陽に面する前面と、当該前面と反対側の裏面とを有する太陽電池基板と、
前記太陽電池基板の前記裏面上に形成されるポリシリコン層と、
前記ポリシリコン層の上に形成され、印刷可能なインクを含み、逆の導電型を有する第1のドーパント源及び第2のドーパント源とを備え、
前記第2のドーパント源が、3000オングストロームを超える厚さを有する太陽電池構造体。
[項目13]
太陽電池構造体であって、
通常動作中に太陽放射を受けるように太陽に面する前面と、当該前面と反対側の裏面とを有する太陽電池基板と、
前記太陽電池基板の前記裏面上に形成されるポリシリコン層と、
印刷可能なインクを含み、逆の導電型を有し、前記ポリシリコン層の上に形成される第1のドーパント源及び第2のドーパント源と、
前記第1のドーパント源の上のキャッピング層とを備える太陽電池構造体。
[項目14]
前記太陽電池基板の前記前面上に、テクスチャ化された表面を更に備える項目11から13の何れか一項に記載の太陽電池構造体。
[項目15]
前記第1のドーパント源がN型であり、前記第2のドーパント源がP型である項目11から14の何れか一項に記載の太陽電池構造体。
[項目16]
前記第2のドーパント源がホウ素を含む項目11から15の何れか一項に記載の太陽電池構造体。