特許第6236488号(P6236488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6236488局側光回線終端装置、冗長装置切替方法及び冗長装置切替プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236488
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】局側光回線終端装置、冗長装置切替方法及び冗長装置切替プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/711 20130101AFI20171113BHJP
   H04L 12/44 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H04L12/711
   H04L12/44 200
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-55531(P2016-55531)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-175177(P2017-175177A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2016年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 隆義
(72)【発明者】
【氏名】友信 公孝
【審査官】 上田 翔太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−005091(JP,A)
【文献】 特開2011−259064(JP,A)
【文献】 特開2004−179723(JP,A)
【文献】 特開2009−188519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/711
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリッタを用いて光信号を複数に分岐して、一心の光ファイバを複数のユーザで共有するアクセスネットワークにおいて、ユーザ宅に設置された複数の加入者側光回線終端装置と前記スプリッタを用いて接続され、複数の前記加入者側光回線終端装置のうちいずれかを現用系終端装置として使用し、他の前記加入者側光回線終端装置を予備系終端装置として使用する局側光回線終端装置であって、
MPCP(Multi-Point Control Protocol) DiscoveryにおけるDiscovery GATEフレームの送信、Register Requestフレームの受信及びRegisterフレームの送信を行わずに、複数の加入者側光回線終端装置のうち現用系終端装置にGATEフレームにより送信帯域及び送信タイミングを通知し、前記GATEフレームに対応して前記現用系終端装置からRegister ACKフレームを受信した場合に前記現用系終端装置との間でOAM(Operation Administration and Maintenance) Discovery及び暗号化処理を実行する第一認証シーケンスを行い、前記現用系終端装置との回線を確立する処理を繰り返し行う認証部と、
前記現用系終端装置側に異常が発生した場合に前記現用系終端装置との前記第一認証シーケンスを停止し、前記予備系終端装置のいずれかを切替後の現用系終端装置として選択する選択処理とMPCP DiscoveryにおけるDiscovery GATEフレームの送信、Register Requestフレームの受信及びRegisterフレームの送信を行わずに、複数の前記加入者側光回線終端装置のうち切替後の前記現用系終端装置にGATEフレームにより送信帯域及び送信タイミングを通知し、前記GATEフレームに対応して切替後の前記現用系終端装置からRegister ACKフレームを受信した場合に切替後の前記現用系終端装置との間でOAM Discovery及び暗号化処理を実行することにより切替後の前記現用系終端装置との回線を確立する第二認証シーケンスとを行って、現用系と予備系との切り替えを行う切り替え部と
を備えた局側光回線終端装置。
【請求項2】
複数の前記加入者側光回線終端装置それぞれには、スイッチが接続され、該スイッチを介して、複数の前記加入者側光回線終端装置にユーザ装置を接続する請求項1に記載の局側光回線終端装置。
【請求項3】
前記切り替え部は、前記現用系終端装置において前記スイッチとのリンクが切断されたことを検知した場合に、前記現用系終端装置からの通知を受けて、前記選択処理と、前記選択処理において切替後の現用系終端装置として選択された前記予備系終端装置との前記第二認証シーケンスとを実行して、現用系と予備系との切り替えを行う請求項2に記載の局側光回線終端装置。
【請求項4】
前記加入者側光回線終端装置は、前記局側光回線終端装置との接続に異常があることを検知した場合に、前記スイッチとのリンクを切断する請求項2に記載の局側光回線終端装置。
【請求項5】
前記切り替え部は、所定時間現用の前記加入者側光回線終端装置から制御フレームを受信しないことを検知した場合に、前記選択処理と、前記選択処理において切替後の現用系終端装置として選択された前記予備系終端装置との前記第二認証シーケンスとを実行して、現用系と予備系との切り替えを行う請求項1から4のいずれか一項に記載の局側光回線終端装置。
【請求項6】
スプリッタを用いて光信号を複数に分岐して、一心の光ファイバを複数のユーザで共有するアクセスネットワークにおいて、ユーザ宅に設置された複数の加入者側光回線終端装置と前記スプリッタを用いて接続され、複数の前記加入者側光回線終端装置のうちいずれかを現用系終端装置として使用し、他の前記加入者側光回線終端装置を予備系終端装置として使用する局側光回線終端装置が行う冗長装置切替方法であって、
MPCP(Multi-Point Control Protocol) DiscoveryにおけるDiscovery GATEフレームの送信、Register Requestフレームの受信及びRegisterフレームの送信を行わずに、複数の加入者側光回線終端装置のうち現用系終端装置にGATEフレームにより送信帯域及び送信タイミングを通知し、前記GATEフレームに対応して前記現用系終端装置からRegister ACKフレームを受信した場合に前記現用系終端装置との間でOAM(Operation Administration and Maintenance) Discovery及び暗号化処理を実行する第一認証シーケンスを行い、前記現用系終端装置との回線を確立する処理を繰り返し行う認証ステップと、
前記現用系終端装置側に異常が発生した場合に前記現用系終端装置との前記第一認証シーケンスを停止し、前記予備系終端装置のいずれかを切替後の現用系終端装置として選択する選択処理とMPCP DiscoveryにおけるDiscovery GATEフレームの送信、Register Requestフレームの受信及びRegisterフレームの送信を行わずに、複数の前記加入者側光回線終端装置のうち切替後の前記現用系終端装置にGATEフレームにより送信帯域及び送信タイミングを通知し、前記GATEフレームに対応して切替後の前記現用系終端装置からRegister ACKフレームを受信した場合に切替後の前記現用系終端装置との間でOAM Discovery及び暗号化処理を実行することにより切替後の前記現用系終端装置との回線を確立する第二認証シーケンスとを行って、現用系と予備系との切り替えを行う切り替えステップと
を有する冗長装置切替方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項6に記載の冗長装置切替方法を実行させるための冗長装置切替プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局側光回線終端装置、冗長装置切替方法及び冗長装置切替プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2000年代に入り、インターネット利用が急拡大しており、日本のほとんどのエリアにおいて、ブロードバンド回線が利用可能な状況となっている。ブロードバンド回線として、様々な方式、サービスがあるが、有線サービスにおいては、PON(受動光ネットワーク;Passive Optical Network)システムが多数のユーザに利用されている。
【0003】
PON(受動光ネットワーク;Passive Optical Network)は、光ファイバによるネットワークにおいて、単一の局側光回線の終端装置OLT(Optical Line Terminal)(以下「OLT」という。」)から複数の加入者側光回線の終端装置ONU(Optical Network Unit)(以下「ONU」という。)までを指す。PONは、光ファイバによる高速なインターネット接続サービス(FTTH;Fiber To The Home)を安価に提供できる技術として注目されている。
【0004】
また、近年、クラウドサービスの普及している状況もあり、ネットワークの信頼性に対する要望が、中小企業、個人ユーザからも上がっている。信頼性には、セキュリティ、必要な帯域の確保、確実な接続状態の維持などの様々な観点がある。信頼性の基本となる確実な接続状態については、高価格かつ高機能な専用線サービスではアクセス回線自体の冗長構成を取ることにより、確実な接続状態を確保することが可能である。
【0005】
一方で、多くのユーザに利用されるPONシステムにおいては、アクセス区間の冗長サービスが存在しない。そのため、アクセス区間に不具合が発生すると、インターネットへの接続が困難な場合があり、クラウドサービスの利用もできず、利用者への影響が大きくなる。
【0006】
図15は、基本的なPONシステムの構成を示すブロック図である。このPONシステムは、中継網1、OLT2、スプリッタ(合分波器)3、3台のONU4〜6、ユーザ装置(パソコンやセットトップボックス)7、ユーザ宅8で構成する。スプリッタ3によって分岐された光回線は、各ONUに接続されて、例えば、ユーザ宅8に設置される。
【0007】
ONU4には、パソコン等のユーザ装置7が接続されて、ユーザ装置7は、中継網1を介して、インターネットに接続される。図15には、3台のONU4〜6のみが図示されているが、実際には例えば最大で32台のONUが接続できる。この32台という制限は、スプリッタの分岐数で決まる値である。
【0008】
次に、図16を参照して、図15に示すPONシステムの動作を説明する。図16は、図15に示すPONシステムの動作を示すシーケンス図である。OLT2は、ONUを認証する動作を行う認証制御部21が備えている。まず、OLT2内に設けられた認証制御部21は、各ONU4に対して、認証シーケンスを実行する(ステップS1)。そして、認証されたONU4とOLT2とは、上下トラフィックが導通し、データ通信を実施する(ステップS2)。
【0009】
また、認証制御部21は、ONU5に対して、認証シーケンスを実行する(ステップS3)。そして、認証されたONU5とOLT2とは、上下トラフィックが導通し、データ通信を実施する(ステップS4)。
【0010】
さらに、認証制御部21は、ONU6に対して、認証シーケンスを実行する(ステップS5)。そして、認証されたONU6とOLT2とは、上下トラフィックが導通し、データ通信を実施する(ステップS6)。
【0011】
以上の動作を繰り返すことにより、図15に示すユーザ装置7を、中継網1に接続することができる。この状態において、図15に示すように、スプリッタ3とONU4との間に不具合が発生すると、ユーザ装置7を中継網1に接続できなくなり、サービスを受けることができなくなってしまう。
【0012】
このような問題を解決するために、PONシステムにおけるプロテクション方式(保護する方式)として従来の1:1プロテクションとは異なり、コスト効率に優れたN:Mプロテクションを適用する通信システムが知られている(例えば、非特許文献1参照)。この通信システムは、OLT側故障による全ONUの通信断を発生させずに冗長性を担保するため、正常系と予備系とを複数台持つ、N:Mプロテクションを実現するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】10G級PONに向けたN:M PONプロテクション方式、電子情報通信学会論文誌B、Vol.J96−B、No.3、pp.283−291
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、現状ではPONシステムを用いた光アクセスサービスにおいて、アクセス区間(OLT−ONU間)の通信路を冗長化するサービスと方式がない。そのため、アクセス区間に異常があると、サービスが停止してしまうという問題がある。また、PONシステムを用いた光アクセスサービスには、その経済性より中小企業、個人ユーザが多数利用してされており、安価な冗長化サービスが求められる。
【0015】
一方、PONシステムを用いた光アクセスサービスを2回線用意することに加え、ユーザ側に高機能なルータ、L2SW等を別途設置することで、アクセス区間を冗長化することは可能ではある。しかし、アクセス区間の異常を検出し、正常な状態の回線に切り替える方法がないため、この方法を実現するのは簡単でない。すなわち、新たな通信方式の導入及びOLTとONUとの両方の装置に新たな機能を実装(大幅な機能追加)しなければならない。したがって、従来のPONシステムを踏襲したままでOLT−ONU間の通信路の冗長化は容易に実現できない。特に、2回線同時に利用する際に、予備系のONU側の通信を制御する(不要なユーザ通信を止める)手段がなく、切り替えを実施することができないという問題がある。
【0016】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、PONシステムを利用した通信の可用性を高めることができる局側光回線終端装置、冗長装置切替方法及び冗長装置切替プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、スプリッタを用いて光信号を複数に分岐して、一心の光ファイバを複数のユーザで共有するアクセスネットワークにおいて、ユーザ宅に設置された複数の加入者側光回線終端装置と前記スプリッタを用いて接続され、複数の前記加入者側光回線終端装置のうちいずれかを現用系終端装置として使用し、他の前記加入者側光回線終端装置を予備系終端装置として使用する局側光回線終端装置であって、MPCP(Multi-Point Control Protocol) DiscoveryにおけるDiscovery GATEフレームの送信、Register Requestフレームの受信及びRegisterフレームの送信を行わずに、複数の加入者側光回線終端装置のうち現用系終端装置にGATEフレームにより送信帯域及び送信タイミングを通知し、前記GATEフレームに対応して前記現用系終端装置からRegister ACKフレームを受信した場合に前記現用系終端装置との間でOAM(Operation Administration and Maintenance) Discovery及び暗号化処理を実行する第一認証シーケンスを行い、前記現用系終端装置との回線を確立する処理を繰り返し行う認証部と、前記現用系終端装置側に異常が発生した場合に前記現用系終端装置との前記第一認証シーケンスを停止し、前記予備系終端装置のいずれかを切替後の現用系終端装置として選択する選択処理とMPCP DiscoveryにおけるDiscovery GATEフレームの送信、Register Requestフレームの受信及びRegisterフレームの送信を行わずに、複数の前記加入者側光回線終端装置のうち切替後の前記現用系終端装置にGATEフレームにより送信帯域及び送信タイミングを通知し、前記GATEフレームに対応して切替後の前記現用系終端装置からRegister ACKフレームを受信した場合に切替後の前記現用系終端装置との間でOAM Discovery及び暗号化処理を実行することにより切替後の前記現用系終端装置との回線を確立する第二認証シーケンスとを行って、現用系と予備系との切り替えを行う切り替え部とを備えた局側光回線終端装置である。
【0018】
本発明の一態様は、前記局側光回線終端装置であって、数の前記加入者側光回線終端装置それぞれには、スイッチが接続され、該スイッチを介して、複数の前記加入者側光回線終端装置にユーザ装置を接続する。
【0019】
本発明の一態様は、前記局側光回線終端装置であって、前記切り替え部は、前記現用系終端装置において前記スイッチとのリンクが切断されたことを検知した場合に、前記現用系終端装置からの通知を受けて、前記選択処理と、前記選択処理において切替後の現用系終端装置として選択された前記予備系終端装置との前記第二認証シーケンスとを実行して、現用系と予備系との切り替えを行う。
【0020】
本発明の一態様は、前記局側光回線終端装置であって、前記加入者側光回線終端装置は、前記局側光回線終端装置との接続に異常があることを検知した場合に、前記スイッチとのリンクを切断する。
【0021】
本発明の一態様は、前記局側光回線終端装置であって、前記切り替え部は、所定時間現用の前記加入者側光回線終端装置から制御フレームを受信しないことを検知した場合に、前記選択処理と、前記選択処理において切替後の現用系終端装置として選択された前記予備系終端装置との前記第二認証シーケンスとを実行して、現用系と予備系との切り替えを行う。
【0022】
本発明の一態様は、スプリッタを用いて光信号を複数に分岐して、一心の光ファイバを複数のユーザで共有するアクセスネットワークにおいて、ユーザ宅に設置された複数の加入者側光回線終端装置と前記スプリッタを用いて接続され、複数の前記加入者側光回線終端装置のうちいずれかを現用系終端装置として使用し、他の前記加入者側光回線終端装置を予備系終端装置として使用する局側光回線終端装置が行う冗長装置切替方法であって、MPCP(Multi-Point Control Protocol) DiscoveryにおけるDiscovery GATEフレームの送信、Register Requestフレームの受信及びRegisterフレームの送信を行わずに、複数の加入者側光回線終端装置のうち現用系終端装置にGATEフレームにより送信帯域及び送信タイミングを通知し、前記GATEフレームに対応して前記現用系終端装置からRegister ACKフレームを受信した場合に前記現用系終端装置との間でOAM(Operation Administration and Maintenance) Discovery及び暗号化処理を実行する第一認証シーケンスを行い、前記現用系終端装置との回線を確立する処理を繰り返し行う認証ステップと、前記現用系終端装置側に異常が発生した場合に前記現用系終端装置との前記第一認証シーケンスを停止し、前記予備系終端装置のいずれかを切替後の現用系終端装置として選択する選択処理とMPCP DiscoveryにおけるDiscovery GATEフレームの送信、Register Requestフレームの受信及びRegisterフレームの送信を行わずに、複数の前記加入者側光回線終端装置のうち切替後の前記現用系終端装置にGATEフレームにより送信帯域及び送信タイミングを通知し、前記GATEフレームに対応して切替後の前記現用系終端装置からRegister ACKフレームを受信した場合に切替後の前記現用系終端装置との間でOAM Discovery及び暗号化処理を実行することにより切替後の前記現用系終端装置との回線を確立する第二認証シーケンスとを行って、現用系と予備系との切り替えを行う切り替えステップとを有する冗長装置切替方法である。
【0023】
本発明の一態様は、コンピュータに、前記冗長装置切替方法を実行させるための冗長装置切替プログラムである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、PONシステムを利用した通信の可用性を高めることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
図2図1に示すOLT20とONU40との詳細な構成を示すブロック図である。図1に示すOLT20とONU40との詳細な構成を示すブロック図である。
図3】ONU40が現用系である場合の動作を示す説明図である。
図4図1に示す光ネットワーク装置の初期状態動作を示すシーケンス図である。
図5図2に示すONU冗長管理DB23のテーブル構造を示す説明図である。
図6図1に示すPONシステムの動作を示すシーケンス図である。
図7】認証シーケンスを示すシーケンス図である。
図8】故障発生時の動作を示す説明図である。
図9】故障発生時の動作を示す説明図である。
図10】ONU40とL2SW60との間、またはONU40のUNIより下部に故障が発生した場合の動作を示す説明図である。
図11】故障発生時の動作を示す説明図である。
図12】故障発生時の動作を示す説明図である。
図13】ONU40に故障が発生した場合の動作の詳細を示す説明図である。
図14図1に示すネットワーク構成の変形例を示す説明図である。
図15】基本的なPONシステムの構成を示すブロック図である。
図16図15に示すPONシステムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による光ネットワーク装置を説明する。まず、本発明の概要について説明する。本発明では、ONUがユーザ宅に2台以上設置される。2台以上のONUに対して、現用系または予備系の登録がOLTによって実施され、どの組み合わせが切り替え対象なのかをOLTが把握する。OLTは、ONUが3台以上の場合は切替先の順序も登録可能である。
【0027】
現用系ONUが正常な場合、少なくとも1系統の予備系のONUは、ユーザ装置と接続はされているものの、アクセス区間においてOLTと予備系ONUとの間のユーザ通信(ユーザパケットの導通)を実施させないようにする必要がある。これは、正常なユーザ装置と現用系ONUとが通信できなくなるために必要である。
【0028】
本発明では、この状態を作り出すため、OLTは、新規のONUがOLT配下へ接続された際に最初に実施する認証シーケンスを、現用系ONUでは、通常どおり認証シーケンスを実施する。一方、予備系ONUでは認証シーケンスをOLT側で実施しないという動作とする。
【0029】
OLTが現用系ONU側(伝送路も含む)の異常を検出した後、切替先の予備系ONUの認証シーケンスを直ちに実施することで、予備系ONUへの切り替えが行われ、アクセス区間の冗長化が実現される。
【0030】
図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、図15に示す従来の光ネットワーク装置と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。この図1に示す光ネットワーク装置が従来の光ネットワーク装置と異なる点は、ユーザ宅8にONU40、50が2台設けられており、ユーザ装置7との間がL2SW(レイヤー2スイッチ)60で接続されている点である。
【0031】
また、ユーザ宅8に2台のONU40、50が設けられたため、OLT20の機能に改良が加えられている。ここでは、ONU40が現用系であり、ONU50が予備系である。また、ユーザ宅8には、3台以上のONUが設置されていてもよい。OLT20には、どのONUが現用系と予備系となるのかなど現用系と予備系との切り替え順位も含めて、予め登録されている。
【0032】
図1に示す装置構成によって、PONシステムでアクセス回線を2回線用意し、リピータハブのような安価なL2SW60をユーザ宅内装置として用意される。そして、アクセス区間の冗長化を実施しようとした場合、何れかの方法で、OLT20と予備系ONU50との間の通信(ユーザトラフィック)を遮断しないと、現用系ONU40の通信が阻害されてしまう。
【0033】
仮にONU50も通常通りに通信を実施してしまうと、ユーザ装置7からの上りトラフィックをONU40またはONU50からOLT20へどう分配するか振り分けを行う振分機能がL2SW60側に必要になる。また、各ONU40、50からのリンク状態を確認しつつ、切り替え(片寄せ)を実施する機能も、L2SW60側で備えられる必要がある。このような構成にするには、ユーザ宅の装置に高価な装置を使用しなければならなくなり、結果的に、安価な冗長化が実現不可能となってしまう。
【0034】
そこで、ユーザ宅8に2台のONU40、50が設置され、L2SW60を介してユーザ装置7と接続したときに、ONUの認証を行うOLT20は、予備系のONUの認証を実施しない。この例では、ONU40が現用系であり、ONU50が予備系である。現用系のONU40には通常通りの認証シーケンスが行われ、予備系のONU50には認証シーケンスが実施されない。
【0035】
これにより、OLT20とONU50との間はアクセス区間(PON)のリンク状態は切断される。ただし、他の回線に故障等が発生した場合に、OLT20がONU50の認証シーケンスを実施することにより、通信を速やかに開始することが可能になる。
【0036】
なお、ONU40、50では、アクセス区間のリンク状態によって、L2SW60と接続されるUNI(ユーザ・網インタフェース)をON/OFFする機能も備える。
【0037】
次に、図2を参照して、図1に示すOLT20とONU40との詳細な構成を説明する。図2は、図1に示すOLT20とONU40との詳細な構成を示すブロック図である。その他のONUについても図2に示す構成と同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。OLT20は、認証制御部21、警報監視部22、ONU冗長管理DB(データベース)23、通信機能部24、PON制御部25、転送機能部26を備える。認証制御部21は、ONU40の認証を行うための認証シーケンスを実行する。警報監視部22は、ONU40が異常を検知した場合に発せられる警報やOLT20自身が通信路の異常等を監視する。ONU冗長管理DB23は、配下のONUも現用系と予備系の状況とを管理する。通信機能部24は、ONU40との通信を行う。PON制御部25は、PONシステムの動作を統括して制御する。転送機能部26は、中継網1との通信を行う。
【0038】
ONU40は、認証機能部41、警報監視部42、通信機能部43、PON制御部44、転送機能部45を備える。認証機能部41は、OLT20に認証してもらうための認証シーケンスを実行する。警報監視部42は、ONU40が機能しなかった場合の警報を発する。通信機能部43は、OLT20との通信を行う。PON制御部44は、PONシステムの動作を統括して制御する。転送機能部45は、L2SW60との通信を行う。
【0039】
図3は、ONU40が現用系である場合の動作を示す説明図である。OLT20は、認証シーケンスを実施/未実施により、ONU40またはONU50使用するかを決定する。図3においては、ONU40現用系であり、通常通り認証シーケンスを実施される。ONU50は、予備系であり、認証シーケンスが未実施であるため、OLT20との間のリンクは確立されていない。
【0040】
次に、図4を参照して、図1に示す光ネットワーク装置の初期状態動作を説明する。図4は、図1に示す光ネットワーク装置の初期状態動作を示すシーケンス図である。各ONUには、ONU名が付与されている。ONU名は、「ONUN」で、末尾のNは1から始まる順番号であり、例えば最大設置可能数が32であれば、Nの最大値は32となる。図4に示す例では、ONU40のONU名が「ONU1」、ONU50のONU名は「ONU2」、ONU70のONU名は「ONUN」である。
【0041】
まず、ユーザからの申し込みに応じて、ONU冗長管理DB23が更新される。これを受けて、認証制御部21は、ONU1〜N(ここでのNは、設置台数となる)は、冗長構成として管理する(ステップS11)。現時点では、ONU1(ONU40)が現用系であり、その他のONUが予備系として運用される(ステップS12)。そして、OLT20は、現用系であるONU40との間で認証シーケンスを実行する(ステップS13)。これにより、ONU1(ONU40)が現用系となり、警報監視部42は、正常であることをOLT20に通知する。
【0042】
一方、ONU50、ONU70は、認証シーケンスが未実施であるため、OLT20とのリンクが確立されず、中継網1からの下りトラフィックも、ユーザ装置7からの上りトラフィックも、導通しない。また、UNIをオフとするため、L2SWとのリンクも確立されず、確実に上りトラフィックがONU1のUNIへ送信される。
【0043】
図5は、図2に示すONU冗長管理DB23のテーブル構造を示す説明図である。ONU冗長管理DB23は、「No」、「ONU名」、「認証実施」「正常/異常」、「現用/予備」、「MAC」の5つのフィールドを有する。「No」は、1から始まる順番号であり、Nは設置台数の値となる。「ONU名」は、前述した通りである。「認証実施」は、認証シーケンスを実施したのであれば「1」、実施していないのであれば「0」でる。「正常/異常」は、正常動作できているか否かを示すものである。「正常」であれば「1」、「異常」であれば「0」、不明であれば「−」である。「現用/予備」は、そのONUが現用系か予備系であるかを示し、全てが故障していない限りいずれか1つが現用系になる。また、故障したONUは、現用/予備のフィールドが「−」になる。「MAC」はMACアドレスである。
【0044】
次に、図6を参照して、図1に示すPONシステムの動作を説明する。ここでは、ONU70が設置されているものとして説明する。図6は、図1に示すPONシステムの動作を示すシーケンス図である。まず、OLT2内に設けられた認証制御部21は、現時点で現用系に設定されているONU40との間で認証シーケンスを実行する(ステップS21)。そして、認証シーケンスが終了すると、OLT20とONU40との間で上下通信が正常に開始される。
【0045】
ONU50、ONU70は、予備系であるため、認証シーケンスが実行されないため、上下のトラフィックが導通しない。この処理動作を繰り返し行う。
【0046】
ここで、図7を参照して、認証シーケンスについて説明する。図7は、認証シーケンスを示すシーケンス図である。はじめに、図7左図を参照して、認証シーケンス全体の動作を説明する。まず、OLTとONUとは、MPCP(Multi-Point Control Protocol) Discoveryを実施する(ステップS31)。MPCPとは、PONにおいて上り通信の制御に使用されるプロトコルである。新規接続ONUの検出方法や上り送信タイミング制御等を規定している。
【0047】
次に、OLTとONUとは、OAM(Operation Administration and Maintenance) Discoveryを実施する(ステップS32)。OAMとは、ネットワークの運用・保守・管理を実施する機能である。
【0048】
次に、OLTとONUとは、暗号化処理を実行する(ステップS33)。そして、OLTとONUとの間のトラフィックが導通し、通常通信が可能となる(ステップS34)。
【0049】
次に、図7の右図を参照して、MPCP Discoveryの詳細を説明する。MPCP Discoveryのシーケンスでは、ステップS311〜S315のステップが存在するが、ステップS311〜S313のステップはここでは、実行しない。
【0050】
次に、OLTは、Discovery GATEフレームを送信するステップを実行する(ステップS311)。Discovery GATEフレームは、OLTに未登録のONUに対して、次に示すRegister Requestフレームの送信帯域および送信タイミングの通知を行うものである。これを受けて、ONUはRegister Requestフレームを送信するステップを実行する(ステップS312)。Register Requestフレームは、未登録のONUがOLTへ自身の登録を要求するものである。これを受けて、OLTはRegisterフレームを送信するステップを実行する(ステップS313)。Registerフレームは、OLTが未登録のONUに対して制御用の識別子(LLID:Logical Link Identifierなど)を通知する。これを受けて、ONUはOLTに登録されたことを検知する。引続き、OLTは通知した識別子を使い、当該ONUに対して、GATEフレームを送信するステップを実行する(ステップS314)。ステップS314で送信されるGATEフレームは、次に示すRegister ACKフレームのこれを受けて、送信帯域および送信タイミングの通知を行うものである。これを受けて、ONUは、Register ACKフレームを送信するステップを実行する(ステップS315)。Regisdter ACKフレームは、Regisdterフレームの受信応答であり、ONUはOLTから通知された識別子を正常に使用していることをOLTへ通知する。
【0051】
次に、図8図9を参照して、故障発生時の動作を説明する。図8図9は、故障発生時の動作を示す説明図である。図8は、ONU40とL2SW60との間、またはONU40のUNIより下部(ユーザ装置側)に故障が発生した場合の説明図である。
【0052】
まず、ONU40は、下部装置(UNI、ONU40とL2SW60との間の回線、L2SW60)とのリンクの切断を検出すると、OLT20に対して、故障を通知する制御フレームを送信する。
【0053】
次に、OLT20は、この制御フレームを受信し、ONU40から受信した制御フレームに故障情報が含まれていた場合、ONU40を予備系とし、使用を停止する。そして、OLT20は、ONU50を現用系とする。図8では、ONU40が現用系であり、認証シーケンスが行われている。また、ONU50は、予備系であり、認証シーケンスが行われていない。
【0054】
そして、故障が発生すると、ONU40は予備系となり、認証シーケンスを実施せず、使用停止とする。また、ONU50が現用系となり、直ちに認証シーケンスが行われ、現用系への切り替えが行われる。
【0055】
なお、下りトラフィックもOLT20からONU40としていたものを、OLT20からONU50へと切り替える。
【0056】
次に、OLT20において切り替えが完了すると、ONU40は、故障通知後、OLT20は直ちにUNIをOFFにし、L2SW60との通信を停止する。その後、認証シーケンスも未実施とすることで、アクセス区間のリンクもOFFにする。一方、OLT20は、切替先の予備系OMU50での認証シーケンスが完了した後、UNIをONにして、L2SWと通信開始する(図9参照)。
【0057】
次に、図10を参照して、ONU40とL2SW60との間、またはONU40のUNIより下部(ユーザ装置側)に故障が発生した場合の動作の詳細を説明する。図10は、ONU40とL2SW60との間、またはONU40のUNIより下部に故障が発生した場合の動作を示す説明図である。
【0058】
まず、当初のONU冗長管理DB23は、ONU名がONU1(ここでは、ONU40)のONUが現用系になっており、その他のONUは予備系に設定されている。ONU1のONU40は、認証実施が「1」、正常/異常も「1」となっている。
【0059】
次に、ONU40とL2SW60との間、またはONU40のUNIより下部に故障が発生すると、ONU40は、OLT20に対して、UNI故障検出の報告を含む上り制御フレームを送信する(ステップS41)。これを受けて、認証制御部21は、ONU1(ONU40)を故障と判断する(ステップS42)。そして、認証制御部21は、現用系と予備系との変更を行う。すなわち、ONU1、ONUNを予備系とし、ONU2を現用系とする(ステップS43)。
【0060】
そして、ONU冗長管理DB80の記憶内容が変更される。ONU冗長管理DB80は、ONU名がONU1のONU40が、予備系になっており、ONU名がONU2のONU50は現用系に設定されている。また、その他のONUは現状を維持し予備系のままである。ONU名はONU2のONU50は、認証実施が「1」、正常/異常も「1」となっている。このとき、認証制御部21は、順番号の若いONUから選択して予備系から現用系に切り替える。
【0061】
次に、認証制御部21は、UNI閉塞を指示する情報を含む下り制御フレームを送信する(ステップS44)。そして、認証制御部21は、現用系と予備系とを切り替えるために、ONU名がONU2であるONU50に対して認証シーケンスを実行する(ステップS45)。そして、認証制御部21は、UNIをONにする指示を含む下り制御フレームを送信する(ステップS46)。
【0062】
この認証シーケンス実行によって、ONU50は予備系から現用系に切り替えられ、上下トラフィックが導通し、データ通信を行うことができるようになる(ステップS47)。認証制御部21は、ONU名がONU1のONU40との間で認証シーケンスを行わない。
【0063】
次に、図11図12を参照して、他の故障発生時の動作を説明する。図11図12は、故障発生時の動作を示す説明図である。図11は、ONU40(ONU40とスプリッタ3との間の回線も含む)に故障が発生した場合の説明図である。
【0064】
まず、OLT20は、ONU40からの制御フレームが一定時間内に受信しないことを検知すると、ONU40に故障が発生したと見なす。
【0065】
次に、OLT20は、ONU40を予備系とし、使用を停止する。そして、OLT20は、ONU50を現用系とする。図11では、ONU40が現用系であり、認証シーケンスが実施済みである。また、ONU50は、予備系であり、認証シーケンスが行われていない。
【0066】
そして、故障が発生すると、ONU40は、自己の故障を検知し、UNIをOFFにし、L2SWとの通信を停止する。そして、ONU40は予備系となり、通信停止となる。また、ONU50が現用系とするために、直ちに認証シーケンスを実行する。これによってONU50が現用系への切り替えが行われる。
【0067】
なお、下りトラフィックもOLT20からONU40としていたものを、OLT20からONU50へと切り替える。
【0068】
次に、OLT20において切り替えが完了すると、ONU50は、UNIをONにし、L2SWとの通信を開始する(図12参照)。
【0069】
次に、図13を参照して、ONU40に故障が発生した場合の動作の詳細を説明する。図13は、ONU40に故障が発生した場合の動作の詳細を示す説明図である。まず、当初のONU冗長管理DB80は、ONU名がONU1のONU40が、現用系になっており、その他のONUは予備系に設定されている。
【0070】
このとき、ONU40に故障が発生すると、ONU40は、OLT20に対して、上り制御フレームを送信することができない(ステップS51)。
【0071】
次に、認証制御部21は、ONU名がONU1のONU40から応答がないため、故障が発生したと判断する(ステップS52)。そして、認証制御部21は、現用系と予備系の変更を行う(ステップS53)。すなわち、ONU名がONU1のONU40を予備系とし、ONU名がONU2のONU50を現用系とする。
【0072】
そして、ONU冗長管理DB80の記憶内容が変更される。ONU冗長管理DB80は、ONU名がONU1のONU40が、予備系になっている。また、ONU名がONU2のONU50は現用系に設定されている。このとき、その他のONUは現状を維持し予備系のままである。このとき、認証制御部21は、順番号の若いONUから選択して予備系から現用系に切り替える。
【0073】
次に、認証制御部21は、現用系と予備系とを切り替えるために、ONU40を使用停止にし、切り替え先のONUであるONU50に対して認証シーケンスを実行する(ステップS54)そして、ONU50は予備系から現用系に切り替えられる。
【0074】
次に、OLT20は、ONU50に対して、UNIをONにする指示を含む下り制御フレームを送信する(ステップS55)。現用系に切り替わったONU50は、OLT20との間で上下トラフィックが導通し、データ通信が実施可能となる(ステップS56)。
【0075】
次に、図14を参照して、図1に示すネットワーク構成の変形例を説明する。図14は、図1に示すネットワーク構成の変形例を示す説明図である。図14に示すネットワーク構成が図1に示すネットワーク構成と異なる点は、スプリッタ3の下部(ユーザ装置側)にユーザ宅8内にスプリッタ30を設けた点である。スプリッタ3は、各宅内に引き込む光ファイバケーブルに分岐するのに用いるものである。
【0076】
一方、スプリッタ30は、少なくともユーザ宅8内に設置されるONUの数だけ分岐できるスプリッタである。スプリッタ30をユーザ宅8内に設けられることで、複数のONUをユーザ宅8内に設置する場合であってもユーザ宅8に引き込む光ファイバケーブルを1本とすることができる。この場合、OLT20は、スプリッタ3の下部にスプリッタ30が設けられており、その下部に複数のONUが接続されていることを管理すればよい。
【0077】
以上説明したように、光ネットワークを使用したアクセスネットワークにおいて、異常・装置故障等が発生した場合でも、ユーザが設定変更などを実施することなく、自動的にネットワークを切り替えることができるため、可用性を高めることができるという効果が得られる。また、この構成によれば、ネットワーク側が主導で問題解決する機能を備えることにより、ユーザ宅内にはハブ等の簡易な装置でサービスを安価で提供することができる。また、PONシステムにおいて、PON区間の冗長化を実現することができる。
【0078】
また、アクセスネットワークにおいて、異常・装置故障等が発生した場合でも、ユーザが設定変更などを実施することなく、迅速かつ自動的にネットワークを切り替えることができる。また、予備系に切替後、故障から正常に回復した場合、正常な予備系として回復させることが可能になり、運用性が高くなる。また、OLT及びONUの軽微な機能追加で実現できるため、開発費が抑制できる。
【0079】
前述した実施形態におけるOLT、ONUの全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、PLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されるものであってもよい。
【0080】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明してきたが、上記実施の形態は本発明の例示に過ぎず、本発明が上記実施の形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素の追加、省略、置換、その他の変更を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
PONシステムを利用した通信の可用性を高めることが不可欠な用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0082】
1・・・中継網、20・・・OLT、21・・・認証制御部、23・・・ONU冗長管理DB、3、30・・・スプリッタ、40、50、70・・・ONU、60・・・L2SW、7・・・ユーザ装置、8・・・ユーザ宅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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