特許第6236494号(P6236494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6236494回転機器用静翼セグメントの取外し方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236494
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】回転機器用静翼セグメントの取外し方法および装置
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/24 20060101AFI20171113BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20171113BHJP
   F01D 9/04 20060101ALI20171113BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20171113BHJP
   F01D 25/28 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   F01D25/24 R
   F01D25/24 D
   F01D25/00 X
   F01D9/04
   F02C7/00 D
   F02C7/00 E
   F01D25/28 E
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-100351(P2016-100351)
(22)【出願日】2016年5月19日
(65)【公開番号】特開2017-207016(P2017-207016A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204000
【氏名又は名称】太平電業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】奥野 雅史
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−077966(JP,A)
【文献】 実開平04−109820(JP,U)
【文献】 国際公開第2008/012195(WO,A1)
【文献】 特開2010−156333(JP,A)
【文献】 実開平07−004803(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/04
F01D 25/00
F01D 25/24
F01D 25/28
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローターと、前記ローターを覆うケーシングと、前記ケーシングの内周面に取り付けられている円環状の静翼環とを備え、前記ケーシングは、上ケーシングと下ケーシングとからなり、前記静翼環は、複数個の円弧状静翼セグメントからなり、前記静翼セグメントは、内周枠部材と、前記内周枠部材の外側に前記内周枠部材と間隔をあけて同心円状に配された外周枠部材と、前記内周枠部材と前記外周枠部材との間に放射状に固定された複数枚の静翼とからなり、前記静翼セグメントは、前記ケーシングの内周面に環状に形成された溝に嵌合することにより、前記ケーシングに前記溝に沿って抜出し可能に装着されている回転機器における前記上ケーシングからの前記静翼セグメントの取外し装置において、
前記静翼セグメントの先端部を挟み込む固定治具と、前記固定治具が取り付けられる静翼セグメント誘導台と、円弧状の静翼セグメント用搬送ラインに沿って上向きに設置された基板と、前記基板に前記搬送ラインに沿って間隔をあけ、前記搬送ラインと直交して配された、前記静翼セグメント誘導台が移動する複数個の基台と、前記基台に取り付けられた、前記外周枠部材の外周面を受ける受けローラと、前記基台に取り付けられた、前記外周枠部材の側面を受けるガイドローラと、前記基台に取り付けられた滑車と、前記滑車にガイドされて前記搬送ラインに沿って張り渡され、前記静翼セグメント誘導台に固定されたワイヤと、前記静翼セグメントの抜出し方向上流側に設置された第1ワイヤ巻取機と、前記静翼セグメントの抜出し方向下流側に設置された第2ワイヤ巻取機とを備えていることを特徴とする、回転機器用静翼セグメントの取外し装置。
【請求項2】
前記基台を前記搬送ラインの径方向に昇降させる昇降手段を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の、回転機器用静翼セグメントの取外し装置。
【請求項3】
前記昇降手段は、パンタグラフジャッキからなることを特徴とする、請求項2に記載の、回転機器用静翼セグメントの取外し装置。
【請求項4】
前記ガイドローラは、前記基台の長手方向に移動可能であることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の、回転機器用静翼セグメントの取外し装置。
【請求項5】
前記静翼セグメントの抜出し初期に、前記静翼セグメントを抜出し方向に押し込む押込みジャッキを備えていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の、回転機器用静翼セグメントの取外し装置。
【請求項6】
前記押込みジャッキは、前記静翼セグメントの抜出し方向下流側に設置されていることを特徴とする、請求項5に記載の、回転機器用静翼セグメントの取外し装置。
【請求項7】
前記静翼セグメントの抜出し後半に、自重により前記静翼セグメントが抜け出すことを阻止するためのチューンブロックを備えていることを特徴とする、請求項1から6の何れか1つに記載の、回転機器用静翼セグメントの取外し装置。
【請求項8】
前記基板と前記基台と前記静翼セグメント誘導台と前記第1ワイヤ巻取機と前記第2ワイヤ巻取機とは、一台の台車に設置されていることを特徴とする、請求項1から7の何れか1つに記載の、回転機器用静翼セグメントの取外し装置。
【請求項9】
前記回転機器は、ガスタービンであることを特徴とする、請求項1から8の何れか1つに記載の、回転機器用静翼セグメントの取外し装置。
【請求項10】
ローターと、前記ローターを覆うケーシングと、前記ケーシングの内周面に取り付けられている円環状の静翼環とを備え、前記ケーシングは、上ケーシングと下ケーシングとからなり、前記静翼環は、複数個の円弧状静翼セグメントからなり、前記静翼セグメントは、内周枠部材と、前記内周枠部材の外側に前記内周枠部材と間隔をあけて同心円状に配された外周枠部材と、前記内周枠部材と前記外周枠部材との間に放射状に固定された複数枚の静翼とからなり、前記静翼セグメントは、前記ケーシングの内周面に環状に形成された溝に嵌合することにより、前記ケーシングに前記溝に沿って抜出し可能に装着されている回転機器であって、前記回転機器は、前記静翼セグメントの先端部を挟み込む固定治具と、前記固定治具が取り付けられる静翼セグメント誘導台と、円弧状の静翼セグメント用搬送ラインに沿って上向きに設置された基板と、前記基板に前記搬送ラインに沿って間隔をあけ、前記搬送ラインと直交して配された、前記静翼セグメント誘導台が移動する複数個の基台と、前記基台に取り付けられた、前記外周枠部材の外周面を受ける受けローラと、前記基台に取り付けられた、前記外周枠部材の側面を受けるガイドローラと、前記基台に取り付けられた滑車と、前記滑車にガイドされて前記搬送ラインに沿って張り渡され、前記静翼セグメント誘導台に固定されたワイヤと、前記静翼セグメントの抜出し方向上流側に設置された第1ワイヤ巻取機と、前記静翼セグメントの抜出し方向下流側に設置された第2ワイヤ巻取機とを備えている前記回転機器における前記上ケーシングからの前記静翼セグメントの取外し方法において、
押込みジャッキにより前記静翼セグメントを抜出し方向に若干、押し込み、次いで、前記固定治具を前記静翼セグメントの先端部に固定するとともに、前記固定治具を前記静翼セグメント誘導台に固定し、次いで、前記ワイヤを前記第2ワイヤ巻取機により巻き取るとともに、前記第1ワイヤ巻取機を緩めながら、前記押込みジャッキにより前記静翼セグメントを、前記静翼セグメントが自重により抜出し可能になるまでさらに押し込み、次いで、前記静翼セグメント誘導台を取り外し、次いで、前記固定治具にチエーンブロックを取り付け、前記チエーンブロックを緩めながら前記静翼セグメントを自重により、前記上ケーシングから抜き出し、かくして、前記静翼セグメントを前記上ケーシングから取り外すことを特徴とする、回転機器用静翼セグメントの取外し方法。
【請求項11】
前記押込みジャッキを前記静翼セグメントの抜出し方向下流側に設置することを特徴とする、請求項10に記載の、回転機器用静翼セグメントの取外し方法。
【請求項12】
前記押込みジャッキにより前記静翼セグメントを、前記静翼セグメントが自重により抜出し可能になるまで押し込む代わりに、前記第2ワイヤ巻取機により前記ワイヤを巻き取りながら前記第1ワイヤ巻取機を緩めることによって、前記静翼セグメントを自重により前記静翼セグメントが抜出し可能になるまで抜き出すことを特徴とする、請求項10または11に記載の、回転機器用静翼セグメントの取外し方法。
【請求項13】
前記回転機器は、ガスタービンであることを特徴とする、請求項10から12の何れか1つに記載の、回転機器用静翼セグメントの取外し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転機器用静翼セグメントの取外し方法および装置、特に、ガスタービン等の回転機器における静翼セグメントの取外しが静翼を損傷させることなく容易に確実に安全かつ短時間に行える、回転機器用静翼セグメントの取外し方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、回転機器としてのガスタービンは、ローターと、ローターを覆うケーシングと、ケーシングの内周面に取り付けられている円環状の静翼環とを備えている。
【0003】
ガスタービンにおいては、その組み立て等を考慮して、ケーシングは、上ケーシングと下ケーシングとに分割可能になっているとともに、静翼環も周方向に複数個の静翼セグメントに分割可能になっている。
【0004】
以下に、上ケーシングおよび静翼セグメントを、図面を参照しながら説明する。
【0005】
図10は、取り外された上ケーシングを示す側面図、図11は、静翼環を示す部分斜視図、図12は、上ケーシングと静翼環との取付け部分を示す断面図である。
【0006】
図11に示すように、静翼環2は、複数個の静翼セグメント2aからなっている。静翼セグメント2aは、内周枠部材3と、内周枠部材3の外側に内周枠部材3と間隔をあけて同心円状に配された外周枠部材4と、内周枠部材3と外周枠部材4との間に放射状に固定された複数枚の静翼5とからなっている。
【0007】
図10図12に示すように、上ケーシング1の内周面には、溝1aが環状に形成され、溝1a内に外周枠部材4を嵌合させることによって、静翼セグメント2aは、上ケーシング1にその周方向に沿って抜出し可能に装着されている。
【0008】
このように構成されているガスタービンの点検や修理の際には、図10に示すように、上ケーシング1を取り外した後、静翼セグメント2aを上ケーシング1から取り外す必要がある。上ケーシング1からの静翼セグメント2aの取外し方法の一例が特許文献1に開示されている。
【0009】
以下、この静翼セグメントの取外し方法を従来法といい、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図13は、従来法による静翼セグメントの取外し方法を示す正面図である。
【0011】
従来法により静翼セグメント2aを上ケーシング1から取り外すには、図13に示すように、円弧状のガイドレール36を上ケーシング1の下方部に上向きにして設置し、複数台のチェーンブロック37を静翼セグメント2aの静翼2に掛け、各チェーンブロック37を順次、掛け替え、操作しながら静翼セグメント2aを、上ケーシング1の溝1aに沿って抜き出して、ガイドレール36上に移動させ、かくして、静翼セグメント2aを上ケーシング1から取り外す。そして、図14に示すように、静翼セグメント2aをクレーン38により吊り上げて、別の場所に搬送し、点検や修理を行う。
【0012】
静翼セグメント2aを上ケーシング1に取り付ける場合は、取り外す場合と逆の操作をする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2014−177888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
静翼セグメントを上ケーシングから取り外す別の方法として、取り外した上ケーシングを反転し、この後、静翼セグメントを上ケーシングから取り外す方法があるが、上ケーシングの反転には、重機が必要となるので、コストと時間がかかるばかりか、上ケーシングの反転作業は、危険が伴う作業であり、また、重機の設置場所および上ケーシングの反転場所が問題となる。
【0015】
これに対して、上述した従来法によれば、上ケーシングを反転させることなく、静翼セグメントを上ケーシングから取り外すことができるので、上ケーシングの反転作業が不要となる。この結果、静翼セグメントの上ケーシングからの取外しが低コストで行えるばかりか、重機の設置場所や上ケーシングの反転場所の問題も生じず、危険な作業も伴わない。
【0016】
しかし、複数台のチェーンブロック37を用いるので、チェーンブロック37の操作が煩雑となり、静翼セグメント2aの取外しに時間を要する。しかも、チェーンブロック37を静翼5に掛けるので、静翼5が損傷するおそれがある。
【0017】
従って、この発明の目的は、静翼セグメントの取外しが静翼を損傷させることなく、容易に確実に安全かつ短時間に行える、回転機器用静翼セグメントの取外し方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0019】
請求項1に記載の発明は、ローターと、前記ローターを覆うケーシングと、前記ケーシングの内周面に取り付けられている円環状の静翼環とを備え、前記ケーシングは、上ケーシングと下ケーシングとからなり、前記静翼環は、複数個の円弧状静翼セグメントからなり、前記静翼セグメントは、内周枠部材と、前記内周枠部材の外側に前記内周枠部材と間隔をあけて同心円状に配された外周枠部材と、前記内周枠部材と前記外周枠部材との間に放射状に固定された複数枚の静翼とからなり、前記静翼セグメントは、前記ケーシングの内周面に環状に形成された溝に嵌合することにより、前記ケーシングに前記溝に沿って抜出し可能に装着されている回転機器における前記上ケーシングからの前記静翼セグメントの取外し装置において、前記静翼セグメントの先端部を挟み込む固定治具と、前記固定治具が取り付けられる静翼セグメント誘導台と、円弧状の静翼セグメント用搬送ラインに沿って上向きに設置された基板と、前記基板に前記搬送ラインに沿って間隔をあけ、前記搬送ラインと直交して配された、前記静翼セグメント誘導台が移動する複数個の基台と、前記基台に取り付けられた、前記外周枠部材の外周面を受ける受けローラと、前記基台に取り付けられた、前記外周枠部材の側面を受けるガイドローラと、前記基台に取り付けられた滑車と、前記滑車にガイドされて前記搬送ラインに沿って張り渡され、前記静翼セグメント誘導台に固定されたワイヤと、前記静翼セグメントの抜出し方向上流側に設置された第1ワイヤ巻取機と、前記静翼セグメントの抜出し方向下流側に設置された第2ワイヤ巻取機とを備えていることに特徴を有するものである。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記基台を前記搬送ラインの径方向に昇降させる昇降手段を備えていることに特徴を有するものである。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記昇降手段は、パンタグラフジャッキからなることに特徴を有するものである。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、前記ガイドローラは、前記基台の長手方向に移動可能であることに特徴を有するものである。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、前記静翼セグメントの抜出し初期に、前記静翼セグメントを抜出し方向に押し込む押込みジャッキを備えていることに特徴を有するものである。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記押込みジャッキは、前記静翼セグメントの抜出し方向下流側に設置されていることに特徴を有するものである。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか1つに記載の発明において、前記静翼セグメントの抜出し後半に、自重により前記静翼セグメントが抜け出すことを阻止するためのチェーンブロックを備えていることに特徴を有するものである。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7の何れか1つに記載の発明において、前記基板と前記基台と前記静翼セグメント誘導台と前記第1ワイヤ巻取機と前記第2ワイヤ巻取機とは、一台の台車に設置されていることに特徴を有するものである。
【0027】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8の何れか1つに記載の発明において、前記回転機器は、ガスタービンであることに特徴を有するものである。
【0028】
請求項10に記載の発明は、ローターと、前記ローターを覆うケーシングと、前記ケーシングの内周面に取り付けられている円環状の静翼環とを備え、前記ケーシングは、上ケーシングと下ケーシングとからなり、前記静翼環は、複数個の円弧状静翼セグメントからなり、前記静翼セグメントは、内周枠部材と、前記内周枠部材の外側に前記内周枠部材と間隔をあけて同心円状に配された外周枠部材と、前記内周枠部材と前記外周枠部材との間に放射状に固定された複数枚の静翼とからなり、前記静翼セグメントは、前記ケーシングの内周面に環状に形成された溝に嵌合することにより、前記ケーシングに前記溝に沿って抜出し可能に装着されている回転機器であって、前記回転機器は、前記静翼セグメントの先端部を挟み込む固定治具と、前記固定治具が取り付けられる静翼セグメント誘導台と、円弧状の静翼セグメント用搬送ラインに沿って上向きに設置された基板と、前記基板に前記搬送ラインに沿って間隔をあけ、前記搬送ラインと直交して配された、前記静翼セグメント誘導台が移動する複数個の基台と、前記基台に取り付けられた、前記外周枠部材の外周面を受ける受けローラと、前記基台に取り付けられた、前記外周枠部材の側面を受けるガイドローラと、前記基台に取り付けられた滑車と、前記滑車にガイドされて前記搬送ラインに沿って張り渡され、前記静翼セグメント誘導台に固定されたワイヤと、前記静翼セグメントの抜出し方向上流側に設置された第1ワイヤ巻取機と、前記静翼セグメントの抜出し方向下流側に設置された第2ワイヤ巻取機とを備えている前記回転機器における前記上ケーシングからの前記静翼セグメントの取外し方法において、押込みジャッキにより前記静翼セグメントを抜出し方向に若干、押し込み、次いで、前記固定治具を前記静翼セグメントの先端部に固定するとともに、前記固定治具を前記静翼セグメント誘導台に固定し、次いで、前記ワイヤを前記第2ワイヤ巻取機により巻き取るとともに、前記第1ワイヤ巻取機を緩めながら、前記押込みジャッキにより前記静翼セグメントを、前記静翼セグメントが自重により抜出し可能になるまでさらに押し込み、次いで、前記静翼セグメント誘導台を取り外し、次いで、前記固定治具にチェーンブロックを取り付け、前記チェーンブロックを緩めながら前記静翼セグメントを自重により、前記上ケーシングから抜き出し、かくして、前記静翼セグメントを前記上ケーシングから取り外すことに特徴を有するものである。
【0029】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記押込みジャッキを前記静翼セグメントの抜出し方向下流側に設置することに特徴を有するものである。
【0030】
請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載の発明において、前記押込みジャッキにより前記静翼セグメントを、前記静翼セグメントが自重により抜出し可能になるまで押し込む代わりに、前記第2ワイヤ巻取機により前記ワイヤを巻き取りながら前記第1ワイヤ巻取機を緩めることによって、前記静翼セグメントを自重により前記静翼セグメントが抜出し可能になるまで抜き出すことに特徴を有するものである。
【0031】
請求項13に記載の発明は、請求項10から12の何れか1つに記載の発明において、前記回転機器は、ガスタービンであることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、複数台のチェーンブロックを用いる必要がないので、静翼セグメントの取付けが容易に確実にかつ短時間に行える。
【0033】
また、この発明によれば、チェーンブロックを静翼に掛けることがないので、静翼が損傷するおそれがない。
【0034】
また、この発明によれば、受けローラとガイドローラと滑車とが取り付けられた基台が昇降手段によって、静翼セグメント用搬送ラインの径方向に昇降可能になっているとともに、ガイドローラが基台の長手方向に移動可能になっているので、各段の静翼環の形状の違いに容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】この発明において、押込みジャッキにより静翼セグメントを抜出し方向に若干、押し込む以前の状態を示す正面図である。
図2】この発明において、押込みジャッキにより静翼セグメントを抜出し方向に若干、押し込んで、固定治具を静翼セグメントの先端部に固定するとともに、固定治具を静翼セグメント誘導台に固定した状態を示す正面図である。
図3】この発明において、押込みジャッキにより静翼セグメントを抜出し方向にさらに押し込んだ状態を示す正面図である。
図4】この発明において、固定治具にチェーンブロックを取り付けた状態を示す正面図である。
図5】この発明において、チェーンブロックを緩めながら静翼セグメントを自重により、上ケーシングから抜き出した状態を示す正面図である。
図6】静翼セグメントを装置から取り外し、クレーンで吊り上げた状態を示す正面図である。
図7図1の一部省略A−A断面図である。
図8図1のB−B断面図である。
図9】この発明の、回転機器用静翼セグメントの取外し装置を示す部分斜視図である。
図10】取り外された上ケーシングを示す側面図である。
図11】静翼環を示す部分斜視図である。
図12】上ケーシングと静翼環との取付け部分を示す断面図である。
図13】従来法による静翼セグメントの取外し方法を示す正面図である。
図14】従来法により取り外された静翼セグメントをクレーンで搬送する状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の、回転機器用静翼セグメントの取外し装置の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0037】
図1は、この発明において、押込みジャッキにより静翼セグメントを抜出し方向に若干、押し込む以前の状態を示す正面図、図2は、この発明において、押込みジャッキにより静翼セグメントを抜出し方向に若干、押し込んで、固定治具を静翼セグメントの先端部に固定するとともに、固定治具を静翼セグメント誘導台に固定した状態を示す正面図、図3は、 この発明において、押込みジャッキにより静翼セグメントを抜出し方向にさらに押し込んだ状態を示す正面図、図4は、この発明において、固定治具にチェーンブロックを取り付けた状態を示す正面図、図5は、この発明において、チェーンブロックを緩めながら静翼セグメントを自重により、上ケーシングから抜き出した状態を示す正面図、図6は、静翼セグメントを装置から取り外し、クレーンで吊り上げた状態を示す正面図、図7は、図1の一部省略A−A断面図、図8は、図1のB−B断面図、図9は、この発明の、回転機器用静翼セグメントの取外し装置を示す部分斜視図である。
【0038】
この発明は、ローターと、前記ローターを覆う、上ケーシングと下ケーシングとからなるケーシングと、前記ケーシングの内周面に取り付けられている円環状の静翼環とを備えた、ガスタービン等の回転機器における前記上ケーシングからの前記静翼セグメントの取外し装置に関するものである。
【0039】
図11に示すように、静翼環2は、複数個の静翼セグメント2aからなっている。静翼セグメント2aは、内周枠部材3と、内周枠部材3の外側に内周枠部材3と間隔をあけて同心円状に配された外周枠部材4と、内周枠部材3と外周枠部材4との間に放射状に固定された複数枚の静翼5とからなっている。静翼環2は、ケーシングに複数段、取り付けられ、各段の静翼環2は、形状が異なる。すなわち、外径や軸方向の幅が異なる。
【0040】
図10図12に示すように、上ケーシング1の内周面には、溝1aが環状に形成され、溝1a内に外周枠部材4を嵌合させることによって、静翼セグメント2aは、上ケーシング1にその周方向に沿って抜出し可能に装着されている。
【0041】
図1から図9において、図10から図12に示す番号と同一番号の物は、同一物を示す。なお、図1から図6に示した上ケーシング1の板厚は、簡略に記載されていて、実際は、図13に示す通り厚く形成されている。
【0042】
6は、静翼セグメント2aの先端部を挟み込む固定治具である。固定治具6は、2枚の板間に静翼セグメント2aの先端部を挟み込み、ボルト8を締めることによって、静翼セグメント2aの先端部に固定される(図2から図5図9参照)。
【0043】
9は、固定治具6が取り付けられる静翼セグメント誘導台である。静翼セグメント誘導台9には、静翼抜出し用押え治具10がボルト11により固定され、固定治具6は、静翼抜出し用押え治具10にボルト12により固定される。静翼抜出し用押え治具10には、長孔10aが形成され、固定治具6は、長孔10aの範囲内で固定可能になっている。各段の静翼環2の形状の違いに対応するためである。静翼セグメント誘導台9は、後述する基台13上に取り付けられたガイドローラ15が潜り抜け、ガイドローラ15と干渉しない形状になっている(図7から図9参照)。
【0044】
13は、コ字形状の基台である。基台13は、円弧状の静翼セグメント用搬送ラインに沿って上向きに設置された円弧状に湾曲した基板7に、前記搬送ラインに沿って間隔をあけ、前記搬送ラインと直交して複数個、配されている。静翼セグメント誘導台9は、基台13上を後述するワイヤ19により移動する。所定の基台13上には、静翼セグメント2aの外周枠部材4の外周面を受ける一対の受けローラ14と、外周枠部材4の側面を受ける一対のガイドローラ15と、後述するワイヤ19をガイドする一対の滑車16とが取り付けられている。受けローラ14によって静翼セグメント誘導台9は、基台13上を円滑に移動し、ガイドローラ15によって静翼セグメント誘導台9は、前記搬送ラインから外れることなく移動する。ガイドローラ15は、基台13の長手方向に移動可能で所定位置で基台13に固定可能になっている。各段の静翼環2の形状の違いに対応するためである(図7から図9参照)。
【0045】
17は、一対の昇降手段であり、基台13を前記搬送ラインの径方向にガイド部材18に沿って昇降させる。各段の静翼環2に対応するためである(図7から図9参照)。昇降手段17は、パンタグラフジャッキからなっている。静翼セグメント2aは、昇降手段17により昇降させた後、ガイド部材18に固定しても良い。
【0046】
19は、滑車16にガイドされて前記搬送ラインに沿って張り渡された一対のワイヤである。静翼セグメント誘導台9は、ワイヤ19に着脱可能に取り付けられている(図9参照)。
【0047】
20は、静翼セグメント2aの抜出し方向上流側に設置された第1ワイヤ巻取機であり、21は、静翼セグメント2aの抜出し方向下流側に設置された第2ワイヤ巻取機である。ワイヤ19は、第1ワイヤ巻取機20と第2ワイヤ巻取機21との間に取り付けられ、第1ワイヤ巻取機20と第2ワイヤ巻取機21とを操作することによって、ワイヤ19とともに、静翼セグメント誘導台9が基台13上を移動する。
【0048】
22は、架台23に設置された押込みジャッキである。押込みジャッキ22は、静翼セグメントの抜出し方向下流側に設置され、静翼セグメント2aの抜出し初期に、静翼セグメント2aを抜出し方向に押し込む。
【0049】
24は、チェーンブロックであり、固定治具6に取り付けられ、静翼セグメント2aが自重により抜け出すことを阻止する。
【0050】
25は、台車であり、基板7と基台13と静翼セグメント誘導台9と第1ワイヤ巻取機20と第2ワイヤ巻取機21と架台23とが設置されている(図1から図6参照)。
【0051】
以上のように構成されている、この発明の、回転機器用静翼セグメントの取外し装置によれば、以下のようにして、静翼セグメントを上ケーシングから取り外す。なお、図2から図5において、静翼セグメントの抜出し方向を矢印で示す。
【0052】
先ず、図1に示すように、基板7と基台13と静翼抜出し用押え治具10が取り付けられた静翼セグメント誘導台9と第1ワイヤ巻取機20と第2ワイヤ巻取機21と架台23とが設置されている台車24を、静翼セグメント2aが装着された上ケーシング1の真下に移動させ、架台23上に押込みジャッキ22を設置する。
【0053】
次いで、図2に示すように、押込みジャッキ22を伸ばして、静翼セグメント2aを抜出し方向に若干、押し込む。この後、静翼抜出し用押え治具10に固定治具6を取り付けて、固定治具6により静翼セグメント2aの先端部を挟み込んで固定する。
【0054】
次いで、図3に示すように、押込みジャッキ22により静翼セグメント2aを、静翼セグメント2aが自重により抜出し可能になるまでさらに押し込む。この際、ワイヤ19を第2ワイヤ巻取機21により巻き取るとともに、第1ワイヤ巻取機20を緩める。
【0055】
このようにして、静翼セグメント2aを自重により抜出し可能になるまで抜き出したら、図4に示すように、静翼セグメント誘導台9を静翼抜出し用押え治具10とともに取り外し、押込みジャッキ22を架台23とともに撤去する。そして、固定治具6にチェーンブロック24を取り付け、チェーンブロック24を緩めながら静翼セグメント2aを自重によりさらに抜き出す。
【0056】
このようにして、図5に示すように、静翼セグメント2aを自重により完全に上ケーシング1から抜き出す。
【0057】
以上のようにして、静翼セグメント2aを上ケーシング1から取り外すことができる。
【0058】
なお、静翼セグメント2aを上ケーシング1に取り付ける場合には、上述した取外しの操作と逆の操作をする。
【0059】
上ケーシング1から抜き出した静翼セグメント2aは、図6に示すように、クレーン26により吊り上げて、別の場所に搬送し、点検や修理を行う。
【0060】
以上、説明したように、この発明によれば、複数台のチェーンブロックを用いる必要がないので、静翼セグメント2aの取付けが容易に確実に安全かつ短時間に行える。
【0061】
また、この発明によれば、固定治具6により静翼セグメント2aの先端部を挟み込んで固定することによって、チェーンブロックを静翼5に掛ける必要がないので、静翼5が損傷するおそれがない。
【0062】
また、この発明によれば、受けローラ14とガイドローラ15と滑車16とが取り付けられた基台13が昇降手段17によって、静翼セグメント用搬送ラインの径方向に昇降可能になっているとともに、ガイドローラ15が基台13の長手方向に移動可能になっているので、各段の静翼環2の形状の違いに容易に対応することができる。
【符号の説明】
【0063】
1:上ケーシング
1a:溝
2:静翼環
2a:静翼セグメント
3:内周枠部材
4:外周枠部材
5:静翼
6:固定治具
7:基板
8:ボルト
9:静翼セグメント誘導台
10:静翼抜出し用押え治具
10a:長孔
11:ボルト
12:ボルト
13:基台
14:受けローラ
15:ガイドローラ
16:滑車
17:昇降手段
18:ガイド部材
19:ワイヤ
20:第1ワイヤ巻取機
21:第2ワイヤ巻取機
22:押込みジャッキ
23:架台
24:チェーンブロック
25:台車
26:クレーン
36:ガイドレール
37:チェーンブロック
38:クレーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14