(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6236502
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】海水吸入箱入口用ストレーナー
(51)【国際特許分類】
B63B 13/00 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
B63B13/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-149221(P2016-149221)
(22)【出願日】2016年7月29日
【審査請求日】2016年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146814
【氏名又は名称】株式会社新来島どっく
(74)【代理人】
【識別番号】100090044
【弁理士】
【氏名又は名称】大滝 均
(72)【発明者】
【氏名】牧野 慎二
(72)【発明者】
【氏名】阿部 伸也
【審査官】
岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−051237(JP,A)
【文献】
実開昭54−024892(JP,U)
【文献】
特開2003−088294(JP,A)
【文献】
特開平06−000314(JP,A)
【文献】
実開昭54−165429(JP,U)
【文献】
特開2002−166875(JP,A)
【文献】
実公昭62−017351(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫水下の船底に設けられる船内機器冷却用海水吸入箱入口用ストレーナーであって、平断面視台形凹凸状の船内側に高低差のない頂部平坦部及び船外側に前記頂部平坦部より長い高低差のない底部平坦部を有し、これらの両平坦部面及びその間の側部面全面に多数の穴を有する1枚のコルゲート状のパンチングメタルと、当該コルゲート状パンチングメタルが嵌め込まれ、前記船底に取り付け容易で上下に半開き可能なアングル枠とからなることを特徴とする海水吸入箱入口用ストレーナー。
【請求項2】
前記パンチングメタルのパンチ穴の合計面積が、前記海水吸入箱の入口の合計面積の2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の海水吸入箱入口用ストレーナー。
【請求項3】
頂部平坦部及び底部平坦部を有する平断面視台形凹凸状の前記パンチングメタルは、当該台形の各コーナーが15Rで、かつ、穴直径20mm、穴ピッチ30mm以上で隣り合う穴の配置角が60度であることを特徴とする請求項1に記載の海水吸入箱入口用ストレーナー。
【請求項4】
前記アングル枠に取り付けられたパンチングメタルは、100〜1000m3/hのポンプ能力において海水透過率40%であることを特徴とする請求項1に記載の海水吸入箱入口用ストレーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶船底の海水吸入箱用ストレーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶には、船内各所において各種機器が使用され、それらの機器の冷却用に又は姿勢安定のバラストタンク等、海水を取り込む海水吸入箱(シーチェスト)が喫水下の船底に設けられる。
図3は、機関室内の主機関等の冷却のために機関室近傍の船底に設けられる海水吸入箱(シーチェスト)の配置例を示す船尾概略構成図であり、
図3において、符号100は、船体、101a、101bは、船底部に設けられる左右の海水吸入箱、102は、機関室、103は、プロペラ、104は、舵取り室、105は、舵、106は、航行中喫水線である。
【0003】
また、
図4は、
図3に示された前記海水吸入箱の入口に使用される従来のストレーナーを船底方向から見た概略図であり、
図4において、107は、船体外板、108は、ダブリングプレート(補強部材)、109は、海水吸入箱101a、101bの入口、110は、ストレーナーである。当該ストレーナー110は、メンテナンス等のため、ヒンジ(図示外)等で半開き可能な構造とされていた。
そして、この種の従来のストレーナー110は、フラットバーと丸棒を適宜の形状にした後、これらを格子状にして海水吸入箱の入口の形状に適合する形状にしてストレーナー110として製作していた。
【0004】
図5は、この種の従来のヒンジ式海水吸入口用ストレーナー製作詳細図であり、
図5(a)は、全体概略図、
図5(b)は、縦断面図、
図5(c)は、コーナー部分図、
図5(d)は、リブ支え間隔図、
図5(e)は、前記
図5(a)に示される”E”詳細図、
図5(f)は、同F−F断面図、
図5(g)は、同G−G断面図、
図5(h)は、同”H”詳細図、
図5(i)は、同”I”詳細図である。
図5(a)〜(i)において、符号111は、所定のRコーナーからなるフレーム枠、112a、112b、112c、・・・は、前記フラットバー形状のリブ、113は、棒鋼からなるリブ支えである。
【0005】
図5(a)〜
図5(i)に示すように、従来のストレーナー110は、多種多様の船舶に配置される様々な形の海水吸入箱101a、101bの入口109の形状に適合させた形状・構造としなければならず、このため、多数の使用部材を組合せた複雑な形状・構造であるため、その製作が困難であったし、また、でき上がったストレーナー110は、海水吸入面が平らであるためにゴミ等での前記入口109の閉塞を危惧して比較的大きなストレーナー形状としなければならない等、海水吸入箱自体も大きなものとする必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−88294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本願発明は、構造が簡単で、かつ、部品点数が少なくて製作が容易で、製作コストの低減が可能で、海水の取り込み面積を大きくとることができるので、ストレーナー自体を小さく形成でき、さらには、各種船舶の海水吸入箱に容易に適合可能な海水吸入箱の入口用ストレーナーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題解決のために、本願請求項1に係る発明は、喫水下の船底に設けられる船内機器冷却用海水吸入箱入口用ストレーナーであって、
平断面視台形凹凸状の船内側に高低差のない頂部平坦部
及び船外側に前記頂部平坦部より長い高低差のない底部平坦部を有
し、これらの両平坦部面及びその間の側部面全面に多数の穴を有する平断面視台形凹凸状の1枚のコルゲート状のパンチングメタルと、当該コルゲート状パンチングメタルが嵌め込まれ、前記船底に取り付け容易で上下に半開き可能なアングル枠とからなることを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の海水吸入箱入口用ストレーナーにおいて、前記パンチングメタルのパンチ穴の合計面積が、前記海水吸入箱の入口の合計面積の2倍以上であることを特徴とする。
そして、本願請求項3に係る発明は、前記請求項1に記載の海水吸入箱入口用ストレーナーにおいて、頂部平坦部
及び底部平坦部を有する平断面視台形凹凸状の前記パンチングメタルは、当該台形の各コーナーが15Rで、かつ、穴直径20mm、穴ピッチ30mm以上で隣り合う穴の配置角が60度であることを特徴とする。
そして、本願請求項4に係る発明は、前記請求項1に記載の海水吸入箱入口用ストレーナーにおいて、前記アングル枠に取り付けられたパンチングメタルは、100〜1000m
3/hのポンプ能力において海水透過率40%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のような構成とするので、本願発明に係る海水吸入箱の入口用ストレーナーは次のような特有の効果を有する。
(1)従来の複雑な格子形状のストレーナより部品数が少なく構造も単純なので製作が容易になる。
(2)また、製作にかかるコストの削減も見込める。
(3)さらに、強度、肉厚を確保し、かつ、通過面積が増加するので、各種船舶等に展開できる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明に係る海水吸入箱入口用ストレーナーを実施するための一実施例である海水吸入箱入口用ストレーナーの実施例1の概略を示す概略図である。
【
図2】
図2(a)は、本実施例1に係る海水吸入箱入口用ストレーナー1の前記パンチングメタル部2のパンチング加工の概要を示す部分概略図であり、
図2(b)は、同コルゲート加工の概要を示す部分平断面視概略図であ
り、図2(b)の上側が船内側であり、図2(b)の下側が船外側である。
【
図3】
図3は、機関室内の主機関等の冷却のために機関室近傍の船底に設けられる海水吸入箱(シーチェスト)の配置例を示す船尾概略構成図である。
【
図4】
図4は、
図3に示された前記海水吸入箱の入口に使用される従来のストレーナーを船底方向から見た概略図である。
【
図5】
図5は、従来のヒンジ式海水吸入口用ストレーナー製作詳細図であり、
図5(a)は、全体概略図、
図5(b)は、縦断面図、
図5(c)は、コーナー部分図、
図5(d)は、リブ支え間隔図、
図5(e)は、前記
図5(a)に示される”E”詳細図、
図5(f)は、同F−F断面図、
図5(g)は、同G−G断面図、
図5(h)は、同”H”詳細図、
図5(i)は、同”I”詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る海水吸入箱入口用ストレーナーを実施するための一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明に係る海水吸入箱入口用ストレーナーを実施するための一実施例である海水吸入箱入口用ストレーナーの実施例1の概略を示す概略図である。
図1において、符号1は、本実施例1に係る海水吸入箱入口用ストレーナーであり、2は、所定の
船内側に高低差のない頂部平坦部
2aを
、船外側に前記頂部平坦部より長い高低差のない底部平坦部2bからなる
平断面視台形凹凸状のコルゲート加工されたパンチングメタル部
であり、これらの両平坦部面2a、2b及びその間の側部面2cの全面に多数の穴を有する。3は、アングル材によるアングル枠、4a、4b、4c、4dは、取付ボルト穴、5a、5b、5c、5dは、ブラケット、107は、船体外板であ
り、該船体外板107の奥右側が船内側、手前左側が船外側である。
【0013】
本実施例1に係る海水吸入箱入口用ストレーナー1は、前記機関室102内の機器の冷却用の海水吸入を目的とし、使用される海水冷却ポンプ(図示外)等の100〜1000m
3/h程度のポンプ能力を前提とし、前記コルゲート加工されたパンチングメタル部2は、海水透過率40%とし、6mm板厚の鋼板に穴径20mm、穴ピッチ30mmでパンチ加工を行い、さらに、前面と後面が縦方向に凹凸状に70mmの間隔を有し、90mmの平坦部を有する山部と、120mmの底部を有する谷部からなるコルゲート加工を施したパンチングメタル部としたものである。なお、パンチングメタルとは、ステンレス、鉄、アルミ等の金属素材の板に多数の孔があいた(打ち抜きした)製品をいい、金属ならではの強度が必要で、かつ、水・空気・光・音、また砂糖や塩などをはじめとする粉体等、特定の物を、この孔によって通す、または分類する必要がある場合に使用されるものである(http://www.nunobiki-s.co.jp/contents/product/about.html等参照)。
【0014】
図2(a)は、本実施例1に係る海水吸入箱入口用ストレーナー1の前記パンチングメタル部2のパンチング加工の概要を示す部分概略図であり、
図2(b)は、同コルゲート加工の概要を示す部分
平断面視概略図であ
り、図2(b)の上側が船内側であり、図2(b)の下側が船外側である。
【0015】
なお、本実施例1に係る前記海水吸入箱入口用ストレーナー1は、板厚6mmの鋼板材質としたが、これは、この材質や板厚に限るものではなく、また、穴径、穴ピッチ等、必要とする海水透過流量との関係で適宜決定できるものである。本実施例1に係る前記海水吸入箱入口用ストレーナー1では、前述するように前記機関室102内の機器の冷却用の海水吸入を目的として、100〜1000m
3/h程度のポンプ能力を有する海水冷却ポンプ(図示外)を前提としたが、これは、必要とする海水吸入量に応じて前記穴径、穴ピッチを適宜決定するものとする。
本実施例1に係る海水吸入箱入口用ストレーナー1においては、
前記パンチングメタルのパンチ穴の合計面積が、前記海水吸入箱の入口の合計面積の2倍以上(好ましくは、3倍以上)となるように決定する。また、20mmを超える異物が前記海水吸引箱101a、101b内に入ることを避けるため、本実施例1に係る海水吸入箱入口用ストレーナー1においては、最大20mm径の穴とし、なるべく海水吸入量が大きくなるように穴を千鳥状に配置し、さらに、強度を考慮して、穴ピッチを30mm以上とするようにしても良いものである。
【0016】
このような部材からなる本実施例1に係る海水吸入箱入口用ストレーナー1は、上記のような所定の穴径、穴ピッチの一枚のパンチングメタルから所定寸法のパンチングメタルを準備し、それを
、船内側に前記頂部平坦部
2a及び船外側に前記底部平坦部2bを有する凹凸状のコルゲート加工の後、前記アングル枠3に嵌め込み取り付けるだけであるのであるから、これまでの様々な長さのフラットバー形状のリブ112a、112b、112c、・・・や、棒鋼リブ支え113、Rコーナーからなるフレーム枠111を準備し、これを溶接等による組立等の作業の必要がなくなり、製作の作業性が格段に向上すると共に、製作コスト削減することができることとなる。すなわち、パンチングメタルをコルゲート加工してアングル材からなる前記アングル枠3に取り付け、また、当該アングル枠3に取り付け用の前記ボルト穴4a、4b、4c、4dを開け、ボルト(図示外)で前記ブラケット5a、5b、5c、5dに固定するだけでストレーナー1の取り付けがきわめて容易となったものである。
【0017】
そして、何よりもストレーナーとして優れているのは、海水吸入面がコルゲート加工により凹凸状となるので、同じ開口面積であれば、海水との接触面積が増え、この結果、海水透過面積が増えることとなる。これは、その分、ストレーナー及び開口の大きさを小さくでき,効率の良い海水吸入箱及びストレーナーとすることができる。
【0018】
さらに、本実施例1に係る海水吸入箱入口用ストレーナー1は、コルゲート加工ににより強度が上がるので、板厚を薄くすることができ、この面からもコスト削減となることに加え、薄い板厚材は、軽量化を実現し、この面からも現場作業の軽減に寄与することとなる。
【0019】
また、
図1から明らかなように、本実施例1に係る海水吸入箱入口用ストレーナー1にあっては、前記アングル枠3に設けた取付ボルト穴4a、4b、4c、4dにボルト(図示外)で前記ブラケット5a、5b、5c、5dに固定するものであるが、前記アングル枠3は、前記ボルト(図示外)の係合を外すことにより、従来と同様に前記ブラケット5a、5b、5c、5dにより、上下に半開き可能としてメンテナンス等に対応できる構造としている。
そして、メンテナンスにおいても、ストレーナー交換として、開口に適合したコルゲート加工されたパンチングメタル部2を交換すればよいだけとなるので、メンテナンス性も向上することとなる。
【実施例2】
【0020】
本実施例1に係る海水吸入箱入口用ストレーナー1においては、前述するように、所定の穴径、穴ピッチのパンチングメタルから各頂部に平坦部を有する縦に台形凹凸状に形成されるコルゲート加工としたが、これは、各頂部に平坦部を有する縦台形凹凸状のコルゲート加工に限らない。場合によっては、単なる山部谷部からなる上下又は横方向の三角波形状又は矩形波形状、あるいは、上下又は横方向に格子状に凹凸が形成される形状等、前記パンチングメタル部2の前面と後面との間に間隔が設けられ、単一開口平面より全体として海水との接触面積が増加する形状であれば、形状を問わない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、船舶船底の海水吸入箱用ストレーナーへの利用を主とするが、船舶用に限らず、他の流水ストレーナーにも利用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 実施例1に係る海水吸入箱入口用ストレーナー
2 パンチングメタル部
2a 頂部平坦部
2b 底部平坦部
2c 側部面
3 アングル枠
4a−4d 取付ボルト穴
5a−5d ブラケット
100 船体
101a、100b 海水吸入箱
102 機関室
103 プロペラ
104 舵取り室
105 舵
106 航行中喫水線
107 船体外板
108 ダブリングプレート(補強部材)
110 ストレーナー
111 フレーム枠
112a、112b、112c、・・・ リブ
113 リブ支え
【要約】 (修正有)
【課題】構造が簡単で、かつ、部品点数が少なくて製作が容易で、製作コストの低減が可能で、海水の取り込み面積を大きくとることができ、ストレーナー自体を小さく形成でき、さらには、各種船舶の海水吸入箱に容易に適合可能な海水吸入箱の入口用ストレーナーの提供を目的とする。
【解決手段】前面と後面がコルゲート状のパンチングメタル2からなる海水吸入箱入口用ストレーナー1。
【選択図】
図1