(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の抵抗体からなる第一のブリッジ抵抗と、複数の抵抗体からなる第二のブリッジ抵抗と、複数の抵抗体からなる第三のブリッジ抵抗と、複数の抵抗体からなる第四のブリッジ抵抗と、を備え、前記第一から第四のブリッジ抵抗によりホイートストンブリッジを構成し、前記第一のブリッジ抵抗と前記第二のブリッジ抵抗の中間電位と、前記第三のブリッジ抵抗と前記第四のブリッジ抵抗の中間電位と、の電位差をセンサ出力として用いる力学量測定装置において、
前記ホイートストンブリッジは、診断時には第一のブリッジ抵抗と第四のブリッジ抵抗を接続し、第二のブリッジ抵抗と第三のブリッジ抵抗を接続できるようにするブリッジ抵抗選択回路を有し、
前記第一のブリッジ抵抗は、該第一のブリッジ抵抗を構成する複数の抵抗体の一部をバイパスする経路と、該一部の抵抗体を通過する経路とを選択することができるバイパス選択回路を有し、
前記第二から第四のブリッジ抵抗にも、前記バイパス選択回路と同様のバイパス選択回路を有し、
前記第一から第四のブリッジ抵抗に設けられたバイパス選択回路がバイパスする抵抗体の数は同数であることを特徴とする力学量測定装置。
前記バイパス選択回路は、前記第一のブリッジ抵抗を構成する複数の抵抗体のうち、同一セグメント内の抵抗体をすべてバイパスするよう設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の力学量測定装置。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の変形(ひずみ)を測定する装置として、薄い絶縁体上に金属抵抗体(金属箔)が配設された金属箔ひずみゲージが、昔からよく知られている。金属箔ひずみゲージは、測定対象物の変形に追従した金属箔の変形に伴う電気抵抗値の変化を測定してひずみ量に換算するものであり、構造が単純で安価である割に高精度であるため、広く利用されてきた。一方、金属箔ひずみゲージは、その構成上、被測定物の温度が変化すると測定誤差が生じ易い点や、常時駆動させるには消費電力が大きい点や、ある程度の設置面積を要する点などの弱点を有している。
【0003】
金属箔ひずみゲージのそれらの弱点を克服する装置として、半導体基板表面に形成された不純物拡散抵抗体によって構成されるひずみ検出領域(ブリッジ回路)を備えた半導体ひずみセンサが開発されている。半導体ひずみセンサは、不純物拡散抵抗体のひずみに対する抵抗変化率が従来の金属箔ひずみゲージの金属抵抗体のそれに比して数10倍大きいことから、微小なひずみでも検知することが可能である(すなわち、ひずみに対する感度が高い利点がある)。また、不純物拡散抵抗体の形成にフォトリソグラフィ等のいわゆる半導体プロセスを利用することで、不純物拡散抵抗体の微細パターン化が可能であり、半導体ひずみセンサ全体の小型化(小面積化)と共に省電力化することができる。さらに、不純物拡散抵抗体の微細パターン化により、ホイートストンブリッジ回路を構成する全ての抵抗体を同一の基板上に形成できるため、被測定物の温度変化に対する電気抵抗の変動が相殺されて測定誤差が小さくなる(測定精度が向上する)利点もある。
【0004】
例えば、特許文献1には、半導体基板表面にひずみ検出部を備え、被測定物に取り付けて、ひずみを測定する力学量測定装置において、半導体単結晶基板,半導体チップ内に少なくとも二組以上のブリッジ回路を形成し、前記ブリッジ回路のうち、ひとつのブリッジ回路が、電流を流して抵抗値の変動を測定する方向(長手方向)が該半導体単結晶基板の<1 0 0>方向と平行であるn型拡散抵抗を形成し、もう一つのブリッジ回路は<1 1 0>方向と平行であるp型拡散抵抗を組み合わせて形成した力学量測定装置が、開示されている。特許文献1によると、被測定物に生じる特定方向のひずみ成分を精度良く測定することができるとされている。
【0005】
また、特許文献2には、半導体基板に形成されたブリッジ回路を用いた力学量測定装置であって、前記ブリッジ回路は4つのブリッジ抵抗R
v1,R
v2,R
h1,R
h2からなり、各ブリッジ抵抗はそれぞれ複数の拡散抵抗からなり、前記複数の拡散抵抗は前記半導体基板上にマトリックス状に配置され、前記ブリッジ抵抗R
v1,R
v2は前記マトリックスの奇数列に配置された前記複数の拡散抵抗が選択的に直列接続されたものであり、前記ブリッジ抵抗R
h1,R
h2は前記マトリックスの偶数列に配置された前記複数の拡散抵抗が選択的に直列接続されたものである力学量測定装置が、開示されている。特許文献2によると、被測定物の温度変化によって発生する応力や、半導体基板上の熱分布や、拡散抵抗の不純物のドーズ量勾配に起因するブリッジ回路のオフセット出力の発生を防ぐことができるとされている。
【0006】
一方、ひずみセンサによる力学量測定は、被測定物の変形に追従してひずみセンサも変形することが基本事項であり、長期間にわたって高精度なセンシングを行うためには、ひずみセンサと被測定物との接合の信頼性が非常に重要となる。この観点において、例えば特許文献3には、半導体基板に作用する力学量を測定可能な測定部が前記半導体基板の中央部に設けられ、前記半導体基板が被測定物に貼り付けられて前記被測定物に作用する力学量を間接的に測定する力学量測定装置において、前記半導体基板の前記中央部の外側の外周部に、互いに近接するように少なくとも一箇所に集まっている集まりを形成する複数の不純物拡散抵抗を有し、前記集まりの1つを形成する複数の前記不純物拡散抵抗は、互いに接続されホイートストンブリッジを形成していることを特徴とする力学量測定装置が、開示されている。特許文献3によると、特許文献3の力学量測定装置は、該力学量測定装置と被測定物との間の剥離を自ら検知することができるとされている。
【0007】
また、力学量の測定を行う検出部と増幅回路間の不良(断線など)を検出する自己診断方法として、特許文献4では検出部と増幅回路間に配置した抵抗素子を使う方法が開示されている。さらに特許文献5においては検出部の抵抗を細分化した上で、検出部の出力に比例した出力を監視することで自己診断する方法が開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実験に用いた従来の半導体ひずみセンサの概要を示す平面模式図である。
【
図2】実験に用いた疑似圧力センサの概要を示す平面模式図とa-b線の断面模式図である。
【
図3】疑似圧力センサの変形の様子を示す断面模式図、および半導体ひずみセンサの出力電圧と時間との関係を示すグラフである。
【
図4】疑似圧力センサが曲げ変形している時にセンサを構成する抵抗の一部に高抵抗化の不良が起きた時の断面模式図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフである。
【
図5】疑似圧力センサが曲げ変形している時にセンサを構成する抵抗の一部に断線不良が起きた時の断面模式図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフである。
【
図6】疑似圧力センサが曲げ変形している時にセンサを構成する抵抗の一部に断線不良が起きた時の断面模式図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフの別の例である。
【
図7】第1実施形態に係る力学量測定装置の概要を示すブロック構成図である。
【
図8】第1実施形態に係る力学量測定装置の概要を示す平面模式図である。
【
図9】第1実施形態に係る力学量測定装置のセンサ部が正常動作している場合において、検出回路の接続を通常動作状態にした時の、擬似圧力センサに曲げ変形が生じた際の断面模式図、ブロック構成図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフである。
【
図10】第1実施形態に係る力学量測定装置のセンサ部が正常動作している場合において、検出回路の接続を自己診断状態にした時の、擬似圧力センサに曲げ変形が生じた際の断面模式図、ブロック構成図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフである。
【
図11】第1実施形態に係る力学量測定装置のセンサ部が正常動作している場合において、検出回路の接続を自己診断状態にした時に、演算回路内の選択回路制御を変更し、擬似圧力センサに曲げ変形が生じた際の断面模式図、ブロック構成図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフである。
【
図12】第1実施形態に係る力学量測定装置のセンサ部が正常動作している場合において、検出回路の接続を自己診断状態にし、出力ノードを挟んで抵抗素子を一つずつバイパスした時の、擬似圧力センサに曲げ変形が生じた際の断面模式図、ブロック構成図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフである。
【
図13】第1実施形態に係る力学量測定装置のセンサ部の一部に高抵抗化不良が起きている場合において、検出回路の接続を自己診断状態にした時の、擬似圧力センサに曲げ変形が生じた際の断面模式図、ブロック構成図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフである。
【
図14】第1実施形態に係る力学量測定装置のセンサ部の一部に高抵抗化不良が起きている場合において、検出回路の接続を自己診断状態にした時に、演算回路内の選択回路制御を変更し、擬似圧力センサに曲げ変形が生じた際の断面模式図、ブロック構成図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフである。
【
図15】第1実施形態に係る力学量測定装置のセンサ部の一部に高抵抗化不良が起きている場合において、検出回路の接続を自己診断状態にした時の、擬似圧力センサに曲げ変形が生じた際の断面模式図、ブロック構成図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフの別の例である。
【
図16】第1実施形態に係る力学量測定装置のセンサ部の一部に高抵抗化不良が起きている場合において、検出回路の接続を自己診断状態にした時に、演算回路内の選択回路制御を変更し、擬似圧力センサに曲げ変形が生じた際の断面模式図、ブロック構成図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフの別の例である。
【
図17】第1実施形態に係る力学量測定装置のセンサ部の一部に高抵抗化不良が起きている場合において、当該抵抗をバイパスし、検出回路の接続を自己診断状態にした時の、擬似圧力センサに曲げ変形が生じた際の断面模式図、ブロック構成図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフの別の例である。
【
図18】第1実施形態に係る力学量測定装置のセンサ部の一部に高抵抗化不良が起きている場合において、当該抵抗をバイパスし、検出回路の接続を自己診断状態にした時に、演算回路内の選択回路制御を変更し、擬似圧力センサに曲げ変形が生じた際の断面模式図、ブロック構成図、および出力電圧と時間との関係を示すグラフの別の例である。
【
図19】第2実施形態に係る力学量測定装置のセンサ部の構成を示す例である。
【
図20】第3実施形態に係る力学量測定装置のセンサ部の構成を示す例である。
【
図21】本発明に係る圧力センサの一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(出力電圧異常現象の実験と要因解明)
自動車部品は、各種工業部品の中でも適用温度範囲、耐候性、精度、長期信頼性などに関する要求が特に厳しい分野である。本発明者等は、半導体ひずみセンサを用いた圧力センサにおいて、最新の各種要求を満たすべく研究を行っていたところ、半導体ひずみセンサのセンサ部分に異物・断線による高抵抗化や半導体ひずみセンサとダイヤフラムの接合部に障害や破損が生じることで、センサ部の出力が期待値とずれることを発見した。
【0021】
図1は、実験に用いた従来の半導体ひずみセンサの概要を示す平面模式図である。
図1を用いて従来の半導体ひずみセンサ10の構成と機能とを簡単に説明する。半導体ひずみセンサ10は、シリコン単結晶基板1の表面上に複数の不純物拡散抵抗体2が形成されており、当該複数の不純物拡散抵抗体2は4つのブリッジ抵抗R
v1,R
v2,R
h1,R
h2として互いに接続されてホイートストンブリッジ3を構成している。ホイートストンブリッジ3は、電源端子4とグランド端子5とに接続され、4つのブリッジ抵抗R
v1,R
v2,R
h1,R
h2に流れる電流方向がシリコン単結晶基板1の<1 1 0>方向およびそれに垂直な方向となるにように構成されている。
【0022】
半導体ひずみセンサ10に対してシリコン単結晶基板1の<1 1 0>方向および/またはそれに垂直な方向のひずみが掛かると、不純物拡散抵抗体2(すなわち、4つのブリッジ抵抗R
v1,R
v2,R
h1,R
h2)の抵抗値が変化し、ブリッジ電圧の出力に電位差が生じる。この電位差は、シリコン単結晶基板1内に形成されたアンプ回路6で増幅され、電気信号として出力端子7から取り出される。このようにして、半導体ひずみセンサ10は、ホイートストンブリッジ3が形成された領域(ひずみ検出領域)に掛かるひずみ量に応じた電気信号を出力している。
【0023】
図2は、実験に用いた疑似圧力センサの概要を示す平面模式図とa-b線の断面模式図である。
図2に示したように、疑似圧力センサ20は、ダイアフラムを模した金属板21のほぼ中央位置にはんだ接合層22を介して半導体ひずみセンサ10が接合された構成である。自動車エンジン用圧力センサは、高温(例えば、120〜130℃程度)の環境下に配設されることから、ダイアフラムと半導体ひずみセンサ10との接合は、通常、有機系接着剤による接合ではなく、はんだ接合によって行われる。金属板21には、端子台23が設けられており、半導体ひずみセンサ10の電源端子4とグランド端子5と出力端子7とが接続されている。
【0024】
次に、
図3を用いて、実験とその結果について説明する。
図3は、疑似圧力センサの変形の様子を示す断面模式図、および半導体ひずみセンサの出力電圧と時間との関係を示すグラフである。実験は、130℃の環境下で行った。はじめ、「時間=t1」は、疑似圧力センサ20の金属板21に対して何の応力も掛かっていない(すなわち、ひずみが生じていない)初期状態であり、この時の半導体ひずみセンサ10の出力電圧をV
0とする。
【0025】
その後、「時間=t2」にかけて疑似圧力センサ20の金属板21に曲げ応力を加えると、金属板21にひずみが生じる。金属板21のひずみは、はんだ接合層22を介して半導体ひずみセンサ10に伝播し、半導体ひずみセンサ10の出力電圧が、V
0から過渡状態を経て出力電圧V
+となる。なお、金属板21に加える曲げ応力は、金属板21の弾性変形範囲内の応力とした。
【0026】
次に
図4を用いて、センサの一部に故障(高抵抗化)が起きている場合の実験とその結果を示す。はじめ、「時間=t1」は、疑似圧力センサ20の金属板21に対して何の応力も掛かっていない(すなわち、ひずみが生じていない)初期状態であるが、このときすでに
図3で示した初期電圧V
0を上回るV
0’が発生し、その後、「時間=t2」にかけて同じ曲げ応力を金属板21に加え続けたところ、半導体ひずみセンサ10の出力電圧が、V
+を超えるV
+’電圧になった。
【0027】
また
図5に示すように、センサの故障の程度がひどく「断線」が生じているサンプルにおいては、初期状態である「時間=t1」の段階ですでに出力が略VDDを示し、曲げ応力を加えた「時間=t2」の出力は「時間=t1」の出力に対して変化が見られない結果となった。
【0028】
複数のサンプルを使って同様の実験をしたところ、故障が発生している場所に依存してセンサの出力は期待値を上回る場合や、下回る場合などがランダムに発生した。
図6は、
図5で示した抵抗とは異なる場所の抵抗が故障した場合の結果を示す。故障した抵抗の場所の違いにより、
図6における出力は略GND電位になっている。
【0029】
これらのことから、発明者等は、自動車部品に搭載される部品に求められる高信頼性を確保するため、センサ部分の不良が起きたあるいは不良の初期段階であることを検知し、センサ出力をGND固定などの方法で外部に知らせることでセンサ故障時に安全停止する方法が必要と考え、センサブリッジを構成する抵抗体に異物等が付着したことによる高抵抗化やセンサブリッジの断線をセンサ素子自身で検知する自己診断機能を発明した。
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、ここで取り挙げた実施形態に限定されるものではなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。なお、同じ部材・部位には同じ符号を付して、各実施例で重複する説明は省略する。
【0031】
ここでは、本発明の第1実施例に係る力学量測定装置について
図7、
図8を参照しながら説明する。
図7は、第1実施例に係る力学量測定装置の構成概要を示す模式図である。
図8は、第1実施形態に係る力学量測定装置の概要を示す平面模式図である。なお、
図8においては、図面を単純化するために、配線の詳細(例えば、各不純物拡散抵抗体への配線)を省略してある。
【0032】
図7に示したように、第1実施例に係る力学量測定装置30は、センサ素子である不純物拡散抵抗体r
Ah11,r
Ah12, r
Ah21,r
Ah22, r
Av11,r
Av12, r
Av21,r
Av22と選択回路S
A1, S
A2, S
A3, S
A4, S
A5, S
B1, S
B2, S
B3, S
B4, S
B5によってホイーストンブリッジを形成する検出回路32と、検出回路32の出力を受けて出力電圧を生成する演算回路6と検出回路32内の選択回路S
A1, S
A2, S
A3, S
A4, S
A5, S
B1, S
B2, S
B3, S
B4, S
B5の制御を行う制御回路31で構成される。
【0033】
ホイーストンブリッジを構成する4つのブリッジ抵抗R
h1,R
h2,R
v1,R
v2は、それぞれ同一の不純物拡散抵抗体を複数個直列に接続し構成している。第1実施例においては、2つの抵抗体群からなるホイートストンブリッジの例を示している。ブリッジ抵抗R
v1は不純物拡散抵抗体r
Av11,r
Av12の2個からなり、ブリッジ抵抗R
v2は不純物拡散抵抗体r
Av21,
r
Av22の2個からなり、ブリッジ抵抗R
h1は不純物拡散抵抗体r
Ah11,r
Ah12の2個からなり、ブリッジ抵抗R
h2は不純物拡散抵抗体r
Ah21,r
Ah22の2個からなる。
【0034】
各不純物拡散抵抗r
Ah11,r
Ah12, r
Ah21,r
Ah22, r
Av11,r
Av12, r
Av21,r
Av22は互いに選択回路S
A1, S
A2, S
A3, S
A4, S
A5, S
B1, S
B2, S
B3, S
B4, S
B5を介して接続され、各選択回路S
A1, S
A2, S
A3, S
A4, S
A5, S
B1, S
B2, S
B3, S
B4, S
B5の制御信号は、半導体ひずみセンサ10内に配置された制御回路31で一括制御する。
【0035】
上述したように、ホイーストンブリッジを構成する不純物拡散抵抗体r
Ah11,r
Ah12, r
Ah21,r
Ah22, r
Av11,r
Av12, r
Av21,r
Av22は、互いに近接して配置されている。この構成は、ひずみ検出領域内における(より厳密には、当該ホイートストンブリッジを構成する不純物拡散抵抗体r
Ah11,r
Ah12, r
Ah21,r
Ah22, r
Av11,r
Av12, r
Av21,r
Av22が形成された領域において)、検出の面内等方性が高いため、当該領域内を平均化した信号が得られるという特徴がある。
【0036】
ホイーストンブリッジは、電源端子4とグランド端子5とに接続されている。ホイートストンブリッジから得られる信号(ブリッジ電圧の電位差)はシリコン単結晶基板1内に形成された演算回路6に入力され、演算回路6内では入力信号振幅の増幅や期待値との比較を実施し、出力電圧を決定する。
【0037】
制御回路31は、演算回路6によって制御され、通常動作時、自己診断時、不具合回路の修正時など、センサの状況に応じて任意の選択回路S
A1〜S
A5,S
B1〜S
B5の制御を切り替えることができる。
【0038】
次に、第一実施例における力学量測定装置30(主語は何でしょうか?力学量測定装置であっていますか?)の動作について説明する。
図9は、通常動作時に、第1実施形態に係る力学量測定装置を用いて疑似圧力センサが曲げ変形をしているときの、各抵抗値の変化の様子を示している。図の簡略化のため、演算回路等々は省略している。通常動作においては、選択回路S
A3はブリッジ抵抗R
h1とブリッジ抵抗R
v1を接続する状態とし、選択回路S
B3はブリッジ抵抗R
v2とブリッジ抵抗R
h2を接続する状態としている。また、選択回路S
A1,
S
A2, S
A4,S
A5,S
B1,S
B2,S
B4,S
B5はいずれも抵抗を選択する側に設定する。また、不純物拡散抵抗体r
Ah11,r
Ah12, r
Ah21,r
Ah22, r
Av11,r
Av12, r
Av21,r
Av22の曲げ変形前の抵抗値は、それぞれr
Aで略等しいとする。
【0039】
選択回路がいずれも抵抗を選択する状態では、曲げ変形に対して、ブリッジ抵抗R
v1では不純物拡散抵抗体r
Av11,r
Av12の抵抗値がr
Av11’,r
Av12’にそれぞれ変化し、ブリッジ抵抗R
v2では不純物拡散抵抗体r
Av21,r
Av22の抵抗値がr
Av21’,r
Av22’に変化し、ブリッジ抵抗R
h1では不純物拡散抵抗体r
Ah11,r
Ah12の抵抗値がr
Ah11’,r
Ah12’にそれぞれ変化し、ブリッジ抵抗R
h2では不純物拡散抵抗体r
Ah21,r
Ah22の抵抗値がr
Ah21’,r
Ah22’にそれぞれ変化したとする。
図8に示したように、X方向に引っ張られると、横方向のブリッジ抵抗R
h1、R
h2はそれぞれ抵抗値が大きくなり、縦方向のブリッジ抵抗R
v1、R
v2は抵抗値が小さくなる。また、センサの状態が正常であれば、同じ向きの不純物拡散抵抗体の抵抗値は等しくなる。より具体的には、曲げ変形に対して
r
Av11’ > r
A ・・・ (1)
r
Av12’ > r
A ・・・ (2)
r
Av21’ > r
A ・・・ (3)
r
Av22’ > r
A ・・・ (4)
r
Av11’ ≒ r
Av12’ ≒ r
Av21‘ ≒ r
Av22’ ・・・ (5)
r
Ah11’ < r
A ・・・ (6)
r
Ah12’ < r
A ・・・ (7)
r
Ah21’ < r
A ・・・ (8)
r
Ah22’ < r
A ・・・ (9)
r
Ah11’ ≒ r
Ah12’ ≒ r
Ah21’ ≒ r
Ah22’ ・・・ (10)
となり、これにより演算回路6に接続されるノードVp,Vnにひずみ応じた差動電圧が現れる。この差動電圧を演算回路6にて増幅することで所望の出力を得ることができる。
【0040】
次に、自己診断時の動作を
図10から
図12を用いて説明する。自己診断時においては、選択回路S
A3はブリッジ抵抗R
h1とブリッジ抵抗R
h2を接続する状態とし、選択回路S
B3はブリッジ抵抗R
v2とブリッジ抵抗R
v2を接続する状態としている。自己診断時の状態においては、センサの状態が正常であれば、前述したように同じ向きの抵抗値は上記式(5)および(10)より等しくなるため、ホイートストンブリッジ3の出力電圧Vp、Vnは略VDD/2となる。そのため、力学量測定装置にかかるひずみの量によらずに出力電圧は略GNDとなる。
【0041】
図12にはホイーストンブリッジ3を構成する抵抗値を出力ノードVp,Vnを挟んで、互いに同数ずつバイパスした場合を示す。
図12に示すように、選択回路S
A1が不純物拡散抵抗体r
Ah11をバイパスする側に、選択回路S
A4が不純物拡散抵抗体r
Av11をバイパスする側に、選択回路S
B1が不純物拡散抵抗体r
Av21をバイパスする側に、選択回路S
B4が不純物拡散抵抗体r
Av11をバイパスする側にそれぞれ変更された場合であっても、検出回路32の出力ノードVp,Vnは略VDD/2となるため、力学量測定装置30にかかるひずみの量によらずに出力電圧は略GNDとなる。また、このとき演算回路6内に配置した選択回路により演算回路部内でVpとVnを入れ替えて増幅回路に接続しても、出力電圧はGNDとなる。つまり、同−方向の抵抗体をVp、Vnを挟んで同じ本数ずつ接続した選択回路の状態においては、常にVp=Vnとなり、出力電圧はGNDとなることを確認することでセンサの状態が正常(ひずみ量によらず同一方向の抵抗値が一致)であると判定することが可能となる。
【0042】
次に、センサの状態に不具合が起きた場合を
図13から
図16を用いて説明する。
図13と
図14では、不純物拡散抵抗体r
Ah11で断線が生じて高抵抗化が起きた例を示している。不純物拡散抵抗体r
Ah11の高抵抗化により、検出回路32の出力ノードVnは、
Vn < VDD/2 ・・・(11)
となる。
【0043】
これにより
Vp - Vn > 0
になるため、このため演算回路6内の選択回路によって、増幅回路の+端子にVpを、−端子にVnを接続する設定において、出力は略GNDで一定ではなく発生するひずみ量に応じて変化する。これにより、センサ部に異常があると推定することが可能となる。
【0044】
同様に、
図14と15には、不純物拡散抵抗体r
AV11で断線が生じて高抵抗化が起きている例を示している。この場合の、検出回路32の出力ノードVnは
Vn > VDD/2 ・・・(12)
となる。
【0045】
これにより
Vp - Vn < 0
になるため、演算回路6内の選択回路によって、増幅回路の−端子にVpを、+端子にVnを接続する設定において、出力は略GNDで一定ではなく発生するひずみ量に応じて変化する。これにより、センサ部に異常があると推定することが可能となる。
【0046】
すなわち、本発明の第一実施例は、検出回路32内に配置した選択回路S
A3、S
B3を同一方向のブリッジ抵抗を接続する自己診断状態では、ホイーストンブリッジ3を構成するいずれかの不純物拡散抵抗体に断線等の影響で抵抗値に異常値が発生した場合にVp≠Vnとなり、正常時の出力電圧の期待値であるGNDと一致しない構成としているため、センサ部に異常があると推定することを可能とした。
【0047】
加えて、本発明の第一実施例では、センサ部に異常があることを推定した場合に、演算回路部にて、センサの出力電圧を略GNDに固定する、略VDDに固定する、デジタルデータとして出力コードを出力するなどの方法で、測定装置外部に知らせることを可能とする。
【0048】
次に、検出回路32内の選択回路を使った自己修復動作について、
図17を用いて説明する。
図12で説明したように、自己診断時においては、Vp,Vnを挟んで、同一方向の抵抗体の数が一致していれば、検出回路のVp=Vnがセンサが正常時の期待値となる。つまり検出回路内の選択信号をVp、Vnを挟んで同一方向の抵抗体の数が一致するような選択を実施した状態で、増幅回路の出力を確認する動作を、選択信号の制御を切り替えながら複数回実施し、Vp=Vnとなる組み合わせを探索し、Vp=Vnになった状態を正常と考えて使用すれば、不具合が起きている抵抗体をバイパスすることが可能となる。
【0049】
表1にて、Vp、Vnを挟んで同一方向の抵抗体の数を一致させながら、自己診断時の選択信号の組み合わせ例を示す。
S
A1、S
A2、S
A4、S
A5: 抵抗側を選択する場合を「R」それ以外は無表記とする。
S
B1、S
B2、S
B4、S
B5: 抵抗側を選択する場合を「R」それ以外は無表記とする。
S
A5、S
B5、同一の方向の抵抗を接続する診断側を「T」それ以外は無表記とする。
【0051】
図17、18に示した例においては、表1における#4の選択回路の制御を実施していた例である。
図17、18においては、不純物拡散抵抗体r
AV11の抵抗値r
AV11’が高抵抗化されている場合であり、表1中#4の選択信号の通り選択回路を制御することで高抵抗化した不純物拡散抵抗体r
AV11をバイパスしている。そのため、
図15、16で示した不具合が生じた状態から、結果として正常なセンサだけを組み合わせたホイーストンブリッジ回路として使用することができるようにしている。そのため、本発明の第一実施例によれば自己修復することが可能となる。
【0052】
本発明の第二実施例について
図19を用いて説明する。なお、第一実施例と同様の説明は省略する。
図19はホイートストンブリッジの一例を示す平面模式図および配線系統図である。図面を単純化するために、配線の詳細(例えば、不純物拡散抵抗体同士の配線や選択回路との接続配線)を省略してある。
【0053】
ホイーストンブリッジ3を構成するブリッジ抵抗R
h1,R
h2,R
v1,R
v2は、同一の不純物拡散抵抗体を複数個直列に接続し構成していることを述べた。抵抗体の本数はセンシングするエリアに均一に配置されていることが望ましい。そして、消費電力を抑える観点からホイーストンブリッジ3を構成する抵抗体の抵抗値を数十KΩ程度にする場合、比較的小さな数KΩ程度の抵抗を直列に接続することが望ましい。この場合、不良が発生する抵抗の検出確率と救済確立を上げるには、配置した全ての抵抗間に選択回路を配置することが望ましいが、抵抗の本数が増えると、選択回路と選択回路間をつなぐ配線および制御信号の本数が増大し、回路規模が飛躍的に大きくなってしまう。このような状態を回避するため、直列に接続する抵抗と配置する選択回路の数を最適にする必要がある。
【0054】
図19に示すホイーストンブリッジは、4つの抵抗体群からなるホイートストンブリッジA’を示している。抵抗体群のそれぞれは、複数のセグメント33が連なるように配列された構造を有している。セグメント33には、線形状を有する不純物拡散抵抗体が複数含まれている。そして、複数の不純物拡散抵抗体は、その線方向が互いに平行になるようにセグメント33内に配列されている。また、セグメント33は矩形状を有している。
【0055】
ホイーストンブリッジA’を構成するブリッジ抵抗R
v1は不純物拡散抵抗体r
Av11,r
Av12 ,r
Av13,r
Av14の4個からなり、ブリッジ抵抗R
v2は不純物拡散抵抗体r
Av21,r
Av22,r
Av23,r
Av24の4個からなり、ブリッジ抵抗R
h1は不純物拡散抵抗体r
Ah11,r
Ah12 ,r
Ah13,r
Ah14の4個からなり、ブリッジ抵抗R
h2は不純物拡散抵抗体r
Ah21,r
Ah22 ,r
Ah23,r
Ah24の4個からなる。また、抵抗体群RG
A1,それらセグメント33を構成する不純物拡散抵抗体の線方向が互いに直交する関係となるように配列されている。具体的には、抵抗体群RG
A1内での一方のセグメント33は、不純物拡散抵抗体r
Av11,r
Av12,r
Av21,r
Av22の線方向がシリコン単結晶基板1の<1 1 0>方向に直交する方向となるにように配列され、各不純物拡散抵抗体r
Av11,r
Av12,r
Av21,r
Av22はその方向に電流が流れるように接続されている。抵抗体群RG
A1内での一方のセグメント33と抵抗体群RG
A1内で隣接する他方のセグメント33は、不純物拡散抵抗体r
Ah11,r
Ah12,r
Ah21,r
Ah22の線方向がシリコン単結晶基板1の<1 1 0>方向となるにように配列され、各不純物拡散抵抗体r
Ah11,r
Ah12,r
Ah21,r
Ah22はその方向に電流が流れるように接続されている。同様に、抵抗体群RG
A2内での一方のセグメント33は、不純物拡散抵抗体r
Av13,r
Av14,r
Av23,r
Av24の線方向がシリコン単結晶基板1の<1 1 0>方向に直交する方向となるにように配列され、各不純物拡散抵抗体r
Av13,r
Av14,r
Av23,r
Av24はその方向に電流が流れるように接続されている。抵抗体群RG
A2内での一方のセグメント33と抵抗体群RG
A2内で隣接する他方のセグメント33は、不純物拡散抵抗体r
Ah13,r
Ah14,r
Ah23,r
Ah24の線方向がシリコン単結晶基板1の<1 1
0>方向となるにように配列され、各不純物拡散抵抗体r
Ah13,r
Ah14,r
Ah23,r
Ah24はその方向に電流が流れるように接続されている。
【0056】
図19および上記説明から判るように、各抵抗体群RG
A1,RG
A2は4つのブリッジ抵抗の要素を全て有している。このことから、ホイートストンブリッジA’は、自身のひずみ検出領域内において(当該ホイートストンブリッジA’を構成する不純物拡散抵抗体が形成された領域において)、検出の面内等方性が高く、当該領域内を平均化した信号が得られるという特徴がある。
【0057】
セグメント33は、ホイーストンブリッジA’の構成要素である不純物拡散抵抗体と同じ構成であるが電気的に接続されないダミー抵抗体34を有することが好ましい。また、各セグメント33内におけるダミー抵抗体34は、セグメント33を構成する不純物拡散抵抗体と平行で、かつ当該不純物拡散抵抗体の束を挟むように(言い換えると、セグメント内の一番外側に)配列されることが好ましい。そのような位置関係でのダミー抵抗体34の形成は、不純物拡散抵抗体の形成プロセスにおいて、ホイートストンブリッジA’を構成する不純物拡散抵抗体のドーパント濃度の均等化に貢献する。
【0058】
図19において、選択回路は各セグメント33に配置している構成としている。例えば、ブリッジ抵抗Rh1を例に説明すると、同一セグメント33内に含まれるr
Ah13,r
Ah14の間には選択回路を配置せず、セグメントがかわるr
Ah12,r
Ah13の間に選択回路を配置している。ブリッジ抵抗Rv1、Rv2、Rh2も同様に、それぞれのブリッジ抵抗内でセグメントが変わる不純物拡散抵抗体の間に選択回路を配置している。言い換えると、選択回路は、あるブリッジ抵抗を構成する抵抗体のうち、同一セグメント内にある抵抗体をすべてバイパスするように構成されている。この理由として、抵抗の高抵抗化や接合層で生じる不良現象はある範囲に渡って生じることが多く、セグメント内で隣り合う抵抗体においては、同時に不良が発生する可能性があるため、セグメント内の抵抗間に選択回路を配置しても、不良発生時はいずれの選択もバイパス経路を選択する可能性がある。そのため選択回路を抵抗の本数に対して少なくより効率的に配置するため、
図19においては同一セグメント内の抵抗間には選択回路を挿入せず、全ての抵抗間に選択回路を配置した場合に比べ、選択回路の個数を略半分としながら、実質的には同等の検出確率と救済確立を実現している。
【0059】
本発明の第三実施例を、
図20を用いて説明する。
図20はホイートストンブリッジの一例を示す平面模式図および配線系統図である。図面を単純化するために、配線の詳細(例えば、不純物拡散抵抗体同士の配線や選択回路との接続配線)を省略してある。また、第一実施例、第二実施例と同様の構成については説明を省略する。
【0060】
本発明の第三実施例では、第二実施例で説明したセグメント33の4つの集合体(言い換えると、セグメント33の4エリア)を一つのセグメント(セグメントa ~ d)と規定した例である。ホイーストンブリッジは、セグメントa ~ dに含まれる不純物拡散抵抗体からなる。本発明の第三実施例における選択回路は、ホイーストンブリッジを構成するブリッジ抵抗R
h1,R
h2,R
v1,R
v2のセグメントa,b,c、dが変わる箇所にそれぞれ配置されている。
【0061】
詳細な構造を、ブリッジ抵抗Rh1を例に説明する。本発明の第三実施例におけるブリッジ抵抗Rh1は、セグメントa内に含まれる不純物拡散抵抗体r
Ah11~r
Ah14を直列に接続したRh1aと、セグメントb内に含まれる不純物拡散抵抗体r
Ah11~r
Ah14を直列に接続したRh1bと、セグメントc内に含まれる不純物拡散抵抗体r
Ah11~r
Ah14を直列に接続したRh1cと、セグメントd内に含まれる不純物拡散抵抗体r
Ah11~r
Ah14を直列に接続したRh1dと、を直列に接続したものである。
【0062】
ブリッジ抵抗Rh1は、Rh1aをバイパスするように設けられた選択回路と、Rh1bをバイパスするように設けられた選択回路と、Rh1cをバイパスするように設けられた選択回路と、Rh1dをバイパスするように設けられた選択回路と、を備える。すなわち、セグメントa ~ dが変わる箇所に選択回路がそれぞれ配置されている。言い換えると、あるブリッジ抵抗を構成する複数の抵抗体の内、同一エリア内の抵抗体をすべてバイパスできるように選択回路が設けられている。
【0063】
ブリッジ抵抗Rh2,Rv1,Rv2についてもブリッジ抵抗Rh1と同様である。
【0064】
本発明の第三実施例では、セグメント33の4つの集合体毎に選択回路を設ける構成としているため、全ての抵抗間に選択回路を配置した場合に比べて、選択回路の配置箇所を大幅に削減した上で、セグメントの4エリア毎の不良発生と救済を実現した。
【0065】
なお、本実施例では、4つのセグメントの集合体を1エリアとして説明したが、これに限られず、セグメントの総数や同時に不良が起こり得る領域により1エリアを構成するセグメントの数を選択可能である。その場合、定性的に1エリアを構成するセグメント数はn
2(n≧2)と定義可能である。
【0066】
本発明の第二実施例及び第三実施例では、モジュールや圧力センサなどの実装におけるホイーストンブリッジを構成する抵抗体の不良が発生する確率を考慮し、同時に不良が起きる確率が高い抵抗体同士の間には選択回路を配置せず、不良が起きる確率が異なる抵抗体の間に選択回路を入れる構成としている(言い換えると、同時に不良が起きる確率が高い抵抗体をまとめている)。そのため、本発明の第二実施例及び第三実施例では、抵抗体の数に対して選択回路の数を最適にし実効的な不良の検出確率と回路規模を最適化することが可能である。
【0067】
ここでは、本発明に係る圧力センサについて
図21を参照しながら説明する。本発明に係る圧力センサは、ひずみセンサとして本発明に係る力学量測定装置を用いていることに特徴がある。
図21は、本発明に係る圧力センサの一例を示す断面模式図である。
【0068】
図21に示したように、本発明に係る圧力センサ80は、圧力を受けてそれを電気信号に変換するセンサ部と、電気信号を外部機器に伝達するコネクタ部とに大別される。センサ部は、一端が開放され他端が閉塞した金属製の有底筒状体で圧力ポートに挿入される圧力導入部81と、圧力導入部81の挿入量を規定するフランジ82と、圧力導入部81の閉塞端側で圧力を受けて変形するダイアフラム83と、ダイアフラム83上にはんだ接合されたひずみセンサ84と、ひずみセンサ84と接続されひずみセンサ84を制御する制御機構85とからなる。制御機構85には、補正演算に用いる各種データが格納されたメモリやコンデンサ86等が搭載されている。コネクタ部は、外部機器と接続されるコネクタ87と、電気信号を伝達する接続端子88と、コネクタ87をセンサ部に固定するカバー89とからなる。
【0069】
圧力センサ80は、ひずみセンサ84として本発明に係る力学量測定装置を用いていることから、高温高圧環境下での使用においても従来以上に高い精度や長期信頼性を確保することができる。