特許第6236535号(P6236535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 寧波方太厨具有限公司の特許一覧

<>
  • 特許6236535-開放式ポンプ 図000002
  • 特許6236535-開放式ポンプ 図000003
  • 特許6236535-開放式ポンプ 図000004
  • 特許6236535-開放式ポンプ 図000005
  • 特許6236535-開放式ポンプ 図000006
  • 特許6236535-開放式ポンプ 図000007
  • 特許6236535-開放式ポンプ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6236535
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】開放式ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/22 20060101AFI20171113BHJP
   F04D 29/24 20060101ALI20171113BHJP
   F04D 9/02 20060101ALI20171113BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   F04D29/22 B
   F04D29/24 C
   F04D9/02 Z
   A47L15/42 F
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-544583(P2016-544583)
(86)(22)【出願日】2014年12月23日
(65)【公表番号】特表2017-503109(P2017-503109A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】CN2014001160
(87)【国際公開番号】WO2015100703
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2016年8月23日
(31)【優先権主張番号】201310750285.6
(32)【優先日】2013年12月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516195948
【氏名又は名称】寧波方太厨具有限公司
【氏名又は名称原語表記】NINGBO FOTILE KITCHEN WARE CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】徐 慧
(72)【発明者】
【氏名】練 楊忠
(72)【発明者】
【氏名】朱 灯光
(72)【発明者】
【氏名】鄭 峰
(72)【発明者】
【氏名】李 帥
(72)【発明者】
【氏名】茅 忠群
(72)【発明者】
【氏名】諸 永定
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−047901(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/22
A47L 15/42
F04D 9/02
F04D 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上筐体(1)と、下筐体(2)と、羽根車(3)とを備えた開放式ポンプであり、前記羽根車(3)は、中心に位置する軸(31)と、前記軸(31)の周面において周方向に沿って均等に分布し、軸方向に延びる複数の羽根(32)と、を有し、前記羽根は、軸方向に互いに連結されている上部と下部とに分けられ、前記上筐体(1)の中に前記羽根の前記上部を格納する上部格納空洞(11)が形成され、前記下筐体(2)の中に前記羽根の前記下部を格納する下部格納空洞(21)が形成され、前記ポンプの吸込口が前記下筐体(2)の下方と側面とに位置し、吐出口が前記上筐体(1)の側面に位置する開放式ポンプにおいて、
前記羽根(32)は、少なくとも前記下部の底部が前記軸(31)の周面において前記羽根車の回転方向に沿って徐々に滑らかに湾曲し、前記羽根の前記下部格納空洞に格納される前記下部の高さと前記上部格納空洞に格納される前記上部の高さとの高さ比の範囲が1〜5であり、
前記羽根の前記上部は前記軸(31)の周面と垂直であり、前記下部は前記軸(31)の周面で前記羽根車の回転方向に沿って徐々に滑らかにアーチ状に湾曲していることを特徴とする、
開放式ポンプ。
【請求項2】
前記羽根の前記下部の高さと前記上部の高さとの高さ比が3であることを特徴とする、
請求項1に記載の開放式ポンプ。
【請求項3】
前記羽根の前記上部の径方向のサイズと前記下部の径方向のサイズとの比の範囲は1〜5であることを特徴とする、
請求項1に記載の開放式ポンプ。
【請求項4】
前記羽根の前記上部の径方向のサイズと前記下部の径方向のサイズとの比が4/3であることを特徴とする、
請求項3に記載の開放式ポンプ。
【請求項5】
前記羽根の前記下部の側面と前記下筐体(2)との間の間隔は、前記上部の側面と前記上筐体(1)との間の間隔より狭いことを特徴とする、
請求項3又は4に記載の開放式ポンプ。
【請求項6】
前記羽根の前記下部は、前記軸(31)に近い内側面から前記軸(31)から遠い外側面に向かって徐々に上方に傾斜していることを特徴とする、
請求項に記載の開放式ポンプ。
【請求項7】
前記軸(31)の頂部の外周が径方向に外に向かって裏返されてアーチ面(311)を形成することを特徴とする、
請求項1に記載の開放式ポンプ。
【請求項8】
前記羽根の頂部もアーチ面であり、前記羽根の頂部のアーチ面と、前記軸(31)の頂部が外に向かって裏返されて形成されたアーチ面(311)との弧度が同じであることを特徴とする、
請求項に記載の開放式ポンプ。
【請求項9】
前記軸(31)は中空であり、前記上筐体(1)の前記軸(31)の頂部に相当する位置に、前記軸(31)の頂部が外に向かって裏返されて形成されたアーチ面(311)の弧度と同じ凹部(12)が設けられることを特徴とする、
請求項に記載の開放式ポンプ。
【請求項10】
前記羽根の下部の底端が、前記下部格納空洞(21)から露出していることを特徴とする、
請求項1に記載の開放式ポンプ。
【請求項11】
上筐体(1)と、下筐体(2)と、羽根車(3)とを備えた開放式ポンプであり、前記羽根車(3)は、中心に位置する軸(31)と、前記軸(31)の周面において周方向に沿って均等に分布し、軸方向に延びる複数の羽根(32)と、を有し、前記羽根は、軸方向に互いに連結されている上部と下部とに分けられ、前記上筐体(1)の中に前記羽根の前記上部を格納する上部格納空洞(11)が形成され、前記下筐体(2)の中に前記羽根の前記下部を格納する下部格納空洞(21)が形成され、前記ポンプの吸込口が前記下筐体(2)の下方と側面とに位置し、吐出口が前記上筐体(1)の側面に位置する開放式ポンプにおいて、
前記羽根(32)は、少なくとも前記下部の底部が前記軸(31)の周面において前記羽根車の回転方向に沿って徐々に滑らかに湾曲し、前記羽根の前記下部格納空洞に格納される前記下部の高さと前記上部格納空洞に格納される前記上部の高さとの高さ比の範囲が1〜5であり、
前記羽根の前記上部は前記軸(31)の周面と垂直となり、前記下部は前記軸(31)の周面で前記羽根車の回転方向に沿って徐々に滑らかに湾曲し、かつ湾曲部分が前記回転方向に捻じれていることを特徴とする、
開放式ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ、特に開放式ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプは、作業前にポンプ及び給水管に水を満たす必要があり、その後高速回転する羽根車によって、慣性遠心力の作用で液体にエネルギーを与えることで、内部の圧力を高めるものである。羽根車が速く回転すると、羽根により水が速く回転させられ、水が遠心力の作用によって羽根車から飛び出す。ポンプの中の水が放出された後、羽根車の中心部分は真空領域となり、そして、水源の水が大気圧(又は水圧)の作用で給水管に入る。このように循環がなされることで、連続的に水を汲み上げることができる。ポンプは、構造が簡単で、操作が容易で、流量を調節しやすく、様々な特殊な性質を持つ物質・材料の搬送に適するなどの長所を有しているので、様々な分野に幅広く応用され、大きなものは工業の作業場に、小さなものは例えば洗濯機、食器洗浄機、空調機などの様々な家電用品に応用されている。
【0003】
例えば中国特許出願公開第1133961号明細書(出願番号95107436.9)に開示されている排水ポンプのような従来のポンプは、羽根車の軸方向下端に吸入口があり、上部側面に吐出口が設けられ、羽根車が密閉されたポンプ室内に置かれている。前記羽根車はいずれも密閉されたスペースに置かれる。このようにしなければ、羽根車の中心部分に真空領域が形成されない。水源の水は、大気圧(又は水圧)の作用があってはじめて羽根車に入ることができる。また、吸込口が羽根車の軸と同じ方向で、吐出口が羽根車の軸に対して垂直であるため、羽根車が回転する際、羽根車を通る水は必然的に羽根車の軸と同方向の速度になり、羽根車の軸と垂直な吐出口から水をスムーズに吐出させるためには、羽根車が密閉されたポンプ室内に設置される必要がある。特に、ポンプ室の上方の部品は密封固定でなければならない。そうでない場合には、水がポンプ室の上方すなわち羽根車の軸に平行な方向から上方に吐出されてしまうか、又は、上方の部品が水により外れてしまう。
【0004】
上記のような従来のポンプは、羽根車を密閉チャンバに設置する必要があるので、構造が複雑なだけでなく、加工に対する要求も高くなる。通常、チャンバは密閉でなければならず、そうでない場合、吐出口を羽根車の軸方向に平行に設けない限り、チャンバの上方すなわち羽根車の軸に平行な方向に水漏れが発生してしまう。
【0005】
それに対して、既に公知となっている開放式ポンプには、例えば欧州特許出願公開第0807396号明細書に開示されているものがある。この公報に開示されている食器洗浄機は、皿を格納するための洗浄室と、洗浄室の底部に支持されているスプレーアームと、洗浄液を汲み上げスプレーアームに加圧するポンプとを有する。ポンプは羽根車を有し、スプレーアームの内表面には羽根車を格納する筐体が配置されており、洗浄液が筐体からスプレーアームのノズルへと導かれる。羽根車は、下方縁部で前方へ湾曲する羽根を有し、羽根の底部に軸流式羽根部分を有し、駆動モータが無負荷で始動した後、軸流式羽根部分が流体を上昇させることで、ポンプが通常に作動する。しかし、この種の羽根車では、羽根の湾曲した下部が短くて、羽根が回転して水を汲み上げる際に高い水位が必要となり、吐出路が短く、洗剤や食べ屑から生じる洗浄用水の表面の泡を再び羽根車に巻き込んで、正常な水の汲み上げに影響を及ぼしやすく、また水の汲み上げ量も少なく、流速も遅い。そのため、回転スプレーアームの正常なスプレー作業に影響を及ぼすものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明で解決しようとする技術的課題は、上記の従来技術に存在する課題に対して、水の汲み上げ能力の高い開放式ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明でこの技術的課題を解決するために採用する技術的解決手段は、次のとおりである。
【0008】
上筐体と、下筐体と、羽根車とを備えた開放式ポンプであり、前記羽根車は、中心に位置する軸と、軸の周面において周方向に沿って均等に分布し、軸方向に延びる複数の羽根と、を有し、前記羽根は、軸方向に互いに連結されている上部と下部とに分けられ、前記上筐体の中に羽根の上部を格納する上部格納空洞が形成され、前記下筐体の中に羽根の下部を格納する下部格納空洞が形成され、前記ポンプの吸入口が下筐体の下方と側面とに位置し、吐出口が上筐体の側面に位置する開放式ポンプにおいて、
前記羽根は、少なくともその下部の底部が軸の周面において羽根車の回転方向に沿って徐々に滑らかに湾曲し、前記羽根の下部の高さと上部の高さとの高さ比の範囲が1〜5であることを特徴とする開放式ポンプである。
【0009】
前記羽根の下部の高さと上部の高さとの高さ比は3であることが好ましい。
【0010】
水流が羽根車の底部から上方に向かう際、水の流路幅が徐々に広くなって流速が低下するように、前記羽根の上部の径方向のサイズと下部の径方向のサイズとの比の範囲は、1〜5である。
【0011】
前記羽根の上部の径方向のサイズと下部の径方向のサイズとの比は4/3であることが好ましい。
【0012】
水が下方から上方へと流れる際、上部格納空洞によって水の流れを緩やかにし、水流が羽根車の頂部に到達する際の軸方向上向きの速度を落として、羽根車の上を覆う上筐体が上方に外れないようにするため、前記羽根の下部の側面と下筐体との間の間隔は、上部の側面と上筐体との間の間隔より狭い。
【0013】
本発明の一実施例において、前記羽根の上部は軸の周面と垂直であり、下部は軸の周面で羽根車の回転方向に沿って徐々に滑らかに湾曲し、かつ湾曲部分は回転方向に捻じれている。
【0014】
本発明の他の実施例において、前記羽根の上部は軸の周面と垂直であり、下部は軸の周面で羽根車の回転方向に沿って徐々に滑らかにアーチ状に湾曲している。
【0015】
本発明の他の実施例において、前記羽根の下部は、軸に近い内側面から軸から遠い外側面に向かって徐々に上方に傾斜している。
【0016】
水が羽根車の回転に伴って底部より頂部へ移動する際、流速が徐々に低下するだけでなく、アーチ面が軸の頂部で水流の方向を垂直方向から横方向に変え、アーチ面が水流をガイドし、羽根車を密閉しない場合でも水流の方向を変えることができるようにするため、前記軸の頂部の外周が、径方向に外に向かって裏返されてアーチ面を形成する。
【0017】
軸の頂部のアーチ面と対応させ、水流をより良くガイドするために、前記羽根の頂部もアーチ面であり、前記羽根の頂部のアーチ面と、軸の頂部が外に向かって裏返されて形成されたアーチ面との弧度は同じである。
【0018】
軸の頂部で上筐体に対する下方への吸引力を生じさせて上筐体を吸い付け、上筐体と下筐体との間に余分な連結部品が必要とならないようにするために、前記軸を中空とし、前記上筐体の軸の頂部に相当する位置に、軸の頂部が外に向かって裏返されて形成されたアーチ面と弧度が同じ凹部を設ける。これによって、羽根車の回転時に、軸の頂部と上筐体の凹部との間に真空領域を生じさせる。
【0019】
前記羽根の下部の底端は、前記下部格納空洞から露出していることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は次の通りである。
【0021】
羽根の上部と下部とが適切な高さ比にあることで、羽根車が低い水位で水を汲み上げることができ、水の表面の洗剤又は食べ屑から生じる泡が羽根車に巻き込まれて水の汲み上げに影響を及ぼす事態が起こりにくく、また、吸込口から十分の流量の水を汲み取ることができる。
【0022】
径方向サイズを羽根の上部において下部より大きくすることで、水が上昇する過程で流路幅が徐々に広くなるため、軸方向上向きの流速を下げることができる。
【0023】
軸の頂面が外向きに裏返されてアーチ面が形成されることで、アーチ面において水流の軸方向上向きの速度を低下させることができるだけでなく、密閉しない場合でも縦方向から横方向に変えられる。
【0024】
羽根の下部の側面と下筐体との間の間隔を、上部の側面と上筐体との間の間隔より小さくすることにより、水が下方から上方へ流れる際、上部格納空洞により水流を緩やかにし、水流が羽根車の頂部に到達する際の軸方向上向きの速度を低下させて、羽根車の上を覆う上部格納空洞が上方に外れないようにできる。
【0025】
羽根車の回転時に、上筐体における凹部により、軸の頂部と上筐体の凹部との間に真空領域を生じさせ、軸の頂部で上筐体に対する下方への吸引力を生じさせて上筐体を吸い付け、上筐体と下筐体との間に余分な連結部品を必要とならないようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例1におけるポンプの断面図である。
図2】本発明の実施例1における羽根車の正面構造の模式図である。
図3】本発明の実施例1における羽根車の立体構造の模式図である。
図4】本発明の実施例2における羽根車の正面構造の模式図である。
図5】本発明の実施例2における羽根車の立体構造の模式図である。
図6】本発明の実施例3における羽根車の正面構造の模式図である。
図7】本発明の実施例3における羽根車の立体構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図面と関連付けて本発明の実施例についてさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1図3に、本発明に係る開放式ポンプの一つの好ましい実施例を示す。当該開放式ポンプは、上筐体1及び下筐体2を備え、上筐体1及び下筐体2は、互いに接触して羽根車3を配置するための格納空洞を形成する。上筐体1の中に羽根車3の上部を格納するための上部格納空洞11が形成され、下筐体2の中に羽根車3の下部を格納するための下部格納空洞21が形成される。上筐体1と下筐体2との間は、密閉連結する必要はない。例えば下筐体2の外周に階段部22が形成され、上筐体1の上部格納空洞11の周囲に位置する部分が、階段部22に置かれてもよい。下筐体2の下方は開口していて、水流が下筐体2の下方と側面とから羽根車3に入る。すなわち、ポンプの吸入口を下筐体2の下方と側面とに位置させる。上筐体1の上部格納空洞11に対向する天井面は密閉されているため、水は上部格納空洞11の側面から流れていく。すなわち、ポンプの吐出口は、上筐体1内の上部格納空洞11の側面に位置する。図1に水流方向を矢印で示す。
【0029】
羽根車3は、中心の軸31と、軸31の周面において周方向に沿って均等に分布し軸方向に延びる複数の羽根32と、を有し、軸31の下端は、ポンプを駆動するためのモータの出力軸(図示せず)と連結される。このようにすることで、モータが回転すると、羽根車3が回転する。
【0030】
羽根32が軸方向に二段に、すなわち、羽根32の上部321と羽根32の下部322とに分けられてもよい。上部321と下部322とは一体に成形され、上部321は上部格納空洞11内に格納され、下部322は下部格納空洞21内に格納される。また、下部322の末端は、下部格納空洞21の底面より低いこと、すなわち下部格納空洞21から下方へ露出することが好ましい。
【0031】
羽根32の上部321は、軸31の軸平面に沿って延び、軸31の外周面とは垂直である。羽根32の下部322は、少なくともその底部が軸31の周面で羽根車3の回転方向に沿って徐々に滑らかに湾曲し、当該湾曲部分は湾曲する方向に捻じれている。羽根32がこのように設けられることで、羽根32が回転する際に、その底部で水が上方へ持ち上げられ、羽根32間の仕切られた流路を介して水を羽根車3の下方から上方へ移動させることができる。羽根車3が密閉されたスペース内に置かれず、真空の作用がなくても、水を汲み上げることができ、羽根車3の回転とともに水を底部から頂部へ送ることができる。
【0032】
本発明において、羽根32の下部322と上部321との高さ比の範囲は1〜5であることが好ましく、最も好ましい比は3である。羽根の下部322が上部321に比べて長く、水を汲み上げる部分が長いため、羽根32が水を汲み上げる水位は低く、水の表面の洗剤又は食べ屑から生じる泡が羽根車3に巻き込まれて水の汲み上げに影響を及ぼす事態が起こりにくく、また、吸込口から十分の流量の水を汲み上げることができる。
【0033】
上記においては、羽根32の下部322の底部が滑らかに湾曲している。当該湾曲は、下部322の全体にわたっていてもよく、又は上部321と下部322との全体、すなわち羽根32全体にわたっていてもよく、滑らかに湾曲した流路が形成されて水が最下端から上方へ持ち上げられればよいことを、当業者は理解できるであろう。
【0034】
羽根32の上部321の径方向のサイズは比較的大きく、下部322の径方向のサイズは比較的小さい。水が羽根車3の底部から上方に向かう際、水の流路幅は徐々に広くなり流速が低下する。上部321と下部322との径方向のサイズの比の範囲は1〜5であることが好ましく、最も好ましいのは4/3である。
【0035】
羽根車3の軸31の頂部の外周は、径方向に外に向かって裏返されてアーチ面311が形成される。このようにすれば、水流が羽根車3の回転に伴って底部から頂部へ移動する際、流速が徐々に低下するだけでなく、アーチ面311によって、軸31の頂部で水の流向を垂直方向から横方向に変えることができる。アーチ面311が水流をガイドすることで、羽根車3を密閉しない場合でも水の流向を変えて、上部格納空洞11の側面から流すことができる。羽根32の上部321の頂面も外に向かって裏返されアーチ面が形成されてもよく、その弧度は軸31の頂部のアーチ面311の弧度と同じであることが好ましい。
【0036】
羽根32の上部321と上部格納空洞11との間の間隔は、下部322と下部格納空洞21との間の間隔より大きい。すなわち、上部格納空洞11の直径は、下部格納空洞21の直径より大きい。このようにすれば、水が下方から上方へ流れる際、上部格納空洞11によって水の流れが緩やかになり、水流が羽根車3の頂部に到達する際の速度が低下し、羽根車3の上を覆う上筐体1が上方に外れることがなくなる。
【0037】
好ましくは、軸31を中空にして、上筐体1の軸31の頂部の相当する位置に、軸31の頂部のアーチ面311の弧度と同じ弧度の凹部12が設けられる。これにより、羽根車3の回転時に、軸31の頂部と上筐体1の凹部12との間に真空領域を生じさせ、軸31の頂部で上筐体1に対する下方向への吸引力を生じさせて、上筐体1を吸い付ける。このような構造では、上筐体1と下筐体2との間の余分な固定連結機構で両者を連結する必要がなく、上筐体1を下筐体2の上に置くだけでよい。羽根車3が回転すると、上筐体1は、下筐体2に吸引され付着する。水流は、上筐体1内の上部格納空洞11に位置する側面から流れ出すので、上筐体1が水流により上方に外れることもなくなる。したがって、ポンプの製造加工がより簡便となり、取付け・取外しもしやすくなる。あるいは、上筐体1と下筐体2との間が、例えば回転コネクタ等の簡便かつ取外し可能な連結機構で両者が連結されてもよい。これにより、上筐体1、下筐体2、及び羽根車3により構成されるポンプの構造がより安定する。
【実施例2】
【0038】
図4及び図5は、本発明の第2の実施例を示す。本実施例と実施例1との相違点は、羽根車の構造である。具体的には、羽根32’の下部322’が羽根車の回転方向に沿って徐々に滑らかにアーチ状に湾曲しており、下部322’と上部321’とがいずれも軸31の周面と垂直になっている。
【実施例3】
【0039】
図6及び図7は、本発明の第2の実施例を示す。本実施例と実施例1との相違点は、羽根車の構造である。具体的に、羽根32”の下部322”が羽根車の回転方向に沿って徐々に滑らかに湾曲し、軸31に近い内側面から軸31から遠い外側面に向かって徐々に上方に傾斜しており、上部321”は軸31の周面と垂直であり、下部322”は軸31の周面に対し傾斜するように形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】中国特許出願公開第1133961号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0807396号明細書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7